説明

配線用床材、および配線用床材の成形方法

【課題】 製造コストを低減することができる配線用床材を提供する。
【解決手段】 配線用床材2は、床材本体4と床板5とからなる。床材本体4は、間に配線溝3を形成すべく所定間隔をおいて配置されるブロック状部4a、4aを備える。床板5は、配線溝3の上方を閉塞するように、隣り合うブロック状部4a、4aに掛け渡される。ここで、床材本体4の本体部41と床板5の本体部51とは、各種のプラスチックが含まれるプラスチック廃棄物を粉砕した、複数種類のプラスチックが含まれる混合物を、材料にして成形される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製造コストを低減することができる、配線用床材、および配線用床材の成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、床に配線溝を設けるための配線用床材があった(例えば、特許文献1参照)。この配線用床材は、配線溝を形成すべく所定間隔をおいて配置されるブロック状部を備えた合成樹脂製の床材本体と、前記配線溝を覆う金属製の蓋体とから構成されていた。
【0003】
【特許文献1】特開2000−145112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の配線用床材にあっては、前記床材本体は、合成樹脂のバージン材、あるいは、そのバージン材に同一材料の再生樹脂を混合した材料で、成形されていた。また、蓋体は、強度を確保するために、金属で形成されていた。このため、床材本体とか蓋体、つまりは、配線用床材は、コスト高とならざるを得なかった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、製造コストを低減することができる、配線用床材、および配線用床材の成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配線用床材、および配線用床材の成形方法は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線用床材は、間に配線溝を形成すべく所定間隔をおいて配置されるブロック状部を備える床材本体と、隣り合う前記ブロック状部に掛け渡されて前記配線溝の上方を閉塞する床板とからなる。ここで、前記ブロック状部には、そのブロック状部の上面と前記床板の上面とが面一となるようにして前記床板を支持する段部が設けられている。そして、前記床材本体の本体部と前記床板の本体部とは、各種のプラスチックが含まれるプラスチック廃棄物を粉砕した、複数種類のプラスチックが含まれる混合物を、材料にして、融点の低い一部の材料が溶融されてつなぎとなり融点の高い他の材料が粉砕物のままで一体化された溶融混合物から、成形されてなる。
【0007】
この配線用床材によると、床材本体の本体部と床板の本体部とが、各種のプラスチックが含まれるプラスチック廃棄物から得られる混合物を材料にして成形されるため、それらの製造コストが安価となる。すなわち、混合物は、プラスチック廃棄物から得られ、しかも、混合物は、複数種類のプラスチックが含まれたものであるため、単一の材料に分別する工程を省くことができる。これにより、材料となる混合物のコストを削減することができ、その結果、製造コストを安価にすることができる。ここで、混合物には、複数種類のプラスチックが含まれるが、プラスチック以外に、紙とか、アルミ等の無機物や、有機低分子物等が含まれていてもよい。また、プラスチック廃棄物としては、家庭等から排出されたりするプラスチック製容器包装廃棄物が一般的であるが、容器包装廃棄物に限定されるものではない。さらに、床材本体の本体部と床板の本体部とは、融点の低い一部の材料が溶融されてつなぎとなり融点の高い他の材料が粉砕物のままで一体化された溶融混合物から成形されるため、粉砕物のままの材料が本体部の表面に露出する。これにより、本体部の表面がざらつき、配線用床材の上にカーペット等の敷物とか仕上げ材を載置した際には、その敷物とか仕上げ材が滑り難くなる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配線用床材は、請求項1に記載の配線用床材において、前記床板の本体部は、中実平板状に形成される。このように、床板の本体部を中実平板状にすることで、床板の本体部、ひいては床板の強度を十分に確保することが容易となる。しかも、床板の本体部を中実平板状にすることで、リブのように突出した部分がある場合と比較すると、下方で火災が発生しても、火災の熱が、本体部の下面で、面全体に広がって分散されるため、温度が高くなりにくい。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る配線用床材は、請求項1または2に記載の配線用床材において、前記混合物を構成する主な構成物の比重が、1.0未満である。こうして、混合物を構成する主な構成物の比重を1.0未満とすることで、塩化ビニル樹脂をほとんど排除することができる。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る配線用床材は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配線用床材において、前記ブロック状部は、裏面側が開口する中空箱型に形成されて、その中空部分には、格子を形成するようにして前記ブロック状部の天壁から下面に達する複数の縦横の補強リブが設けられる。ブロック状部に、このような補強リブを設けることで、中空箱型であっても、十分な強度を確保することができる。そして、壁際に配置される配線用床材等において、床材本体をカットする場合にも、天壁から下面に達する補強リブによって、ブロック状部の強度を維持することができ、この床材本体のカットに容易に対応することができる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る配線用床材は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配線用床材において、前記床板は、複数備わり、それら床板の本体部の少なくとも二つは、薄肉のヒンジ部を通じて、そのヒンジ部とともに一体に成形される。こうして、ヒンジ部は、床板の本体部の成形の際に形成されるため、このヒンジ部は、簡単に形成される。そして、二つの床板は、ヒンジ部により連結され、取り扱いが容易となるとともに、不陸に対して容易に追従することができる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係る配線用床材は、請求項5に記載の配線用床材において、前記ヒンジ部は、前記床板の本体部の厚さの略中央位置に設けられる。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係る配線用床材は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の配線用床材において、前記配線溝は、十字状に形成され、その十字状に対応するように、前記床板として、前記配線溝の交差する部分を覆う第1の床板と、前記配線溝の交差する部分から延びる四方の各々を覆う第2の床板とが設けられる。
【0014】
また、請求項8に記載の発明に係る配線用床材は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の配線用床材において、前記床板は、前記配線溝に配線されたケーブルの火災による延焼を防止すべく、前記床板の本体部の裏面に固定された、不燃材からなる延焼防止材を有する。
【0015】
また、請求項9に記載の発明に係る配線用床材は、請求項8に記載の配線用床材において、 前記延焼防止材は、耐火紙からなる。
【0016】
また、請求項10に記載の発明に係る配線用床材は、請求項8に記載の配線用床材において、前記延焼防止材は、金属板からなる。
【0017】
また、請求項11に記載の発明に係る配線用床材の成形方法は、間に配線溝を形成すべく所定間隔をおいて配置されるブロック状部を備える床材本体と、隣り合う前記ブロック状部に掛け渡されて前記配線溝の上方を閉塞する床板とからなる、配線用床材における、前記床材本体の本体部と、前記床板の本体部とを、成形する成形方法である。この成形方法は、各種のプラスチックが含まれるプラスチック廃棄物を粉砕して、複数種類のプラスチックが含まれる混合物を形成し、その混合物を溶融化することで、融点の低い一部の材料が溶融されてつなぎとなり融点の高い他の材料が粉砕物のままで一体化された溶融混合物とし、その溶融混合物をプレス機によりプレスして、前記床材本体の本体部と前記床板の本体部とを成形するものである。
【0018】
この成形方法によると、床材本体の本体部と床板の本体部とが、各種のプラスチックが含まれるプラスチック廃棄物から得られる混合物を材料にして成形されるため、それらの製造コストが安価となる。すなわち、混合物は、プラスチック廃棄物から得られ、しかも、混合物は、複数種類のプラスチックが含まれたものであるため、単一の材料に分別する工程を省くことができる。これにより、材料となる混合物のコストを削減することができ、その結果、製造コストを安価にすることができる。ここで、混合物には、複数種類のプラスチックが含まれるが、プラスチック以外に、紙とか、アルミ等の無機物や、有機低分子物等が含まれていてもよい。また、プラスチック廃棄物としては、家庭等から排出されたりするプラスチック製容器包装廃棄物が一般的であるが、容器包装廃棄物に限定されるものではない。さらに、床材本体の本体部と床板の本体部とは、融点の低い一部の材料が溶融されてつなぎとなり融点の高い他の材料が粉砕物のままで一体化された溶融混合物から成形されるため、粉砕物のままの材料が本体部の表面に露出する。これにより、本体部の表面がざらつき、配線用床材の上にカーペット等の敷物とか仕上げ材を載置した際には、その敷物とか仕上げ材が滑り難くなる。
【0019】
また、請求項12に記載の発明に係る配線用床材の成形方法は、請求項11に記載の成形方法において、前記床板は、複数備わり、それら床板の本体部の少なくとも二つを、薄肉のヒンジ部を通じて、そのヒンジ部とともに前記プレスにより一体に成形する。こうして、ヒンジ部は、床板の本体部の成形の際に形成されるため、このヒンジ部は、簡単に形成される。そして、二つの床板は、ヒンジ部により連結され、取り扱いが容易となるとともに、不陸に対して容易に追従することができる。
【0020】
また、請求項13に記載の発明に係る配線用床材の成形方法は、請求項11または12に記載の成形方法において、前記混合物の形成に至る過程で、前記プラスチック廃棄物を、比重分離機により分離して、前記混合物を構成する主な構成物の比重を、1.0未満とする。こうして、混合物を構成する主な構成物の比重を1.0未満とすることで、塩化ビニル樹脂をほとんど排除することができる。
【0021】
また、請求項14に記載の発明に係る配線用床材の成形方法は、請求項13に記載の成形方法において、前記混合物を溶融化するにあたって、前記混合物を、造粒化し、その造粒化した混合物を、攪拌することで発生する摩擦熱により溶融する。
【発明の効果】
【0022】
この発明に係る配線用床材、および配線用床材の成形方法によれば、プラスチック廃棄物を複数種類のプラスチックが含まれた混合物の状態で使うことで、床材本体の本体部と床板の本体部との製造コストが安価となるため、この配線用床材の製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明に係る配線用床材、および配線用床材の成形方法を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1ないし図13は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、基礎床面である。2は、前記基礎床面1上に並べて設置される配線用床材である。
【0025】
配線用床材2は、間に配線溝3を形成すべく所定間隔をおいて配置されるブロック状部4a、4aを備える床材本体4と、隣り合うブロック状部4a、4aに掛け渡されて配線溝3の上方を閉塞する床板5とからなる。そして、ブロック状部4aには、そのブロック状部4aの上面と床板5の上面とが面一となるようにしてその床板5を支持する段部4bが設けられている。ここにおいて、床材本体4の本体部41と、床板5の本体部51とは、各種のプラスチックが含まれるプラスチック廃棄物(例えば、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)に基づいて、分別収集されたプラスチック製容器包装廃棄物)を粉砕した、複数種類のプラスチックが含まれる混合物を、材料にして、融点の低い一部の材料が溶融されてつなぎとなり融点の高い他の材料が粉砕物のままで一体化された溶融混合物から、成形されている。そして、この混合物を構成する主な構成物の比重は、1.0未満となっている。
【0026】
具体的には、図3〜図7に示すように、床材本体4は、本体部41のみからなり、平面視が正方形形状に形成されている。そして、ブロック状部4aは、略正方形形状に形成されて、床材本体4に、配線溝3を隔てて、縦横に二つずつ並ぶように設けられている。こうして、配線溝3は、床材本体4の中央部分で直角に交差して、縦横に貫くようにして、十字状に形成される。そして、各ブロック状部4aは、配線溝3の底面を形成する底板4cにより繋がっている。また、前記段部4bは、配線溝3に沿うように設けられており、一つのブロック状部4aに対して、配線溝3側の二辺に対応して、略L字形状に延びている。そして、この段部4bは、略L字の各片の中間位置に、配線溝3側に張り出す張出部4dを備えており、段部4bの上面には、孔4e、4eが明けられている。
【0027】
また、底板4cには、段部4bに沿って、複数の仕切り突起4f、4fが互いに離間して設けられている。こうして、配線溝3は、仕切り突起4f、4fにより、中央の主配線溝3aと、段部4b側(つまりは、ブロック状部4a側)の副配線溝3bとに別けられる。図示実施の形態においては、仕切り突起4fは、段部4bと同一の高さとなるように延びており、段部4bと同様に、床板5を支持する機能も有する。図13は、配線溝3へのケーブル6の配線の一例を示している。この図13において、電力ケーブル6aと光ケーブル6bとは、配線溝3が交差する部分において、進路を変えるように曲がって配線されている。詳細には、電力ケーブル6aは、一つのブロック状部4aの周囲に沿うようにして、副配線溝3b内に配線されている。ここで、この副配線溝3bは、電力ケーブル6aの径に合わせた幅を有している。そして、電力ケーブル6aは、湾曲した部分が戻ろうとすることで、副配線溝3bを形成する仕切り突起4fとかブロック状部4aとかの側面を押圧する。このため、この電力ケーブル6aの副配線溝3bからの飛び出しが防止される。光ケーブル6bは、大きくカーブを描くように、一つのブロック状部4aの周囲にあって、外側の副配線溝3bから、主配線溝3aを横切って、内側の副配線溝3bのコーナー部分を通り、さらに、主配線溝3aを横切って、外側の副配線溝3bに達するようにして配線されている。
【0028】
また、ブロック状部4aは、裏面側が開口する中空箱型に形成されて、その中空部分には、格子を形成するようにしてブロック状部4aの天壁4gから下面4hに達する複数の縦横の(図示実施の形態においては、縦横各四本の)補強リブ4i、4iが設けられている(図5、図7参照)。
【0029】
一方、図8〜図12に示すように、床板5は、本体部51の他に、配線溝3に配線されたケーブル6の火災による延焼を防止すべく、本体部51の裏面に固定された、不燃材からなる延焼防止材52を有している。ここで、床板5の本体部51は、中実平板状に形成されている。また、この本体部51は、矩形形状をしており、裏面には、突部5a、5aが設けられている。延焼防止材52は、鉄板、アルミ板、銅板等の金属板からなり、本体部51に合わせるように、矩形形状をしている。この延焼防止材52には、本体部51の突部5a、5aが挿入される孔5b、5bが設けられている。そして、この孔5bの周縁には、孔5b内に向かって突設された刺子5c、5cが設けられている。そこで、これら刺子5c、5cが本体部51の突部5aに刺さることで、延焼防止材52は、本体部51に固定される(図12参照)。また、床板5が、床材本体4のブロック状部4aにおける段部4bに掛け渡されると、突部5aは、段部4bに設けられた孔4eに挿入される。
【0030】
延焼防止材52の材料となる金属板としては、板厚0.1〜1.0mmの鉄板(薄鉄板)、特に鋼板(薄鋼板)とか、板厚0.05〜1.0mmのアルミ板(薄アルミ板)とか、板厚0.05〜1.0mmの銅板(薄銅板)とかが好ましい。ここにおいて、アルミ板としては、接着層を含めて、板厚0.05mmのアルミシートがある。そして、金属板が本体部51に接着される場合には、孔5bとか突部5aとかは、無くともよい。なお、金属板は、これらの板厚や材質に限定されるものではないが、ここに示す板厚を越える金属板は、コストがかかるだけである。
【0031】
ここにおいて、床板5は、複数備わり、それら床板5、5の本体部51、51の少なくとも二つは、薄肉のヒンジ部5dを通じて、そのヒンジ部5dとともに、後述するプレスにより一体に成形されている。そして、ヒンジ部5dは、本体部51の厚さの略中央位置に設けられている。図示実施の形態においては、配線溝3の十字状に対応するように、床板5として、配線溝3の交差する部分を覆う第1の床板53と、配線溝3の交差する部分から延びる四方の各々を覆う第2の床板54、54とが設けられている。そして、第1の床板53と、第2の床板54、54の各々とが、前記ヒンジ部5dを通じて一体に成形され、こうして、これら全ての床板、すなわち、一枚の第1の床板53および四枚の第2の床板54、54)が、一体に形成される。なお、符号5eは、各第2の床板54、54の反ヒンジ部5d側の端縁部に設けられた、指掛けとか工具差し入れ用の切欠き部である。
【0032】
そして、床板5が、床材本体4のブロック状部4aに設けられた段部4bに掛け渡されたとき、段部4bの側面と床板5との間、そして、段部4bに形成された孔4eの周面と突部5aとの間には、クリアランスが設けられている。したがって、不陸による、段部4b、4b間の間隔の変動とか、床材本体4および床板5の、温度変化による膨張・収縮にも、容易に対応することができる。
【0033】
次に、以上の構成からなる配線用床材2における、床材本体4の本体部41と床板5の本体部51とを成形する、配線用床材の成形方法について説明する。始めに、各種のプラスチックが含まれるプラスチック廃棄物(例えば、前記容器包装リサイクル法に基づいて分別収集されたプラスチック製容器包装廃棄物)を粉砕、洗浄して、複数種類のプラスチックが含まれる混合物を形成する。そして、その混合物を溶融化することで、融点の低い一部の材料が溶融されてつなぎとなり融点の高い他の材料が粉砕物のままで一体化された溶融混合物とする。次いで、その溶融混合物をプレス機によりプレス(圧縮)して、床材本体4の本体部41と床板5の本体部51とを成形する。
【0034】
ここにおいて、プラスチック廃棄物の粉砕は、粉砕機を用い、例えば、1〜20mmの範囲のものを含むようにして、平均10mm程度に粉砕される。もっとも、プラスチック廃棄物の、粉砕と洗浄は、粉砕洗浄機を用いることで、一つの機械で行なうこともできる。また、混合物の形成に至る過程で、プラスチック廃棄物を、比重分離機(例えば、遠心比重分離機とか湿式比重分離機(水比重分離機))により分離して、混合物を構成する主な構成物の比重を、1.0未満とすることができる。この際、プラスチック廃棄物は、比重1.0未満の、PP、PE等のポリオレフィン系樹脂が主体となるが、その他に、PS、PETとか、プラスチックに貼り付けられたアルミ蒸着ラベルや紙系ラベル等の剥がし残り等が若干含まれる。そして、このように、混合物を構成する主な構成物の比重を1.0未満とすることで、塩化ビニル樹脂をほとんど排除することができる。
【0035】
また、プラスチック廃棄物を、比重1.0未満に分離した後には、そのプラスチック廃棄物を、必要に応じて、脱水・乾燥する。なお、プスチック廃棄物は、比重分離機にかけられる前に、攪拌タンクにより、プラスチックとダストに分離されるのが良い。
【0036】
また、混合物を溶融化するにあたっては、混合物を、造粒化し、その造粒化した混合物を、攪拌することで発生する摩擦熱により溶融(例えば、半溶融の状態に溶融)する。ここで、混合物の造粒化においては、造粒機を用いて、混合物を圧縮して固め、例えば、直径5〜10mm、長さ5〜30mm程度の柱状、またはその他の形状の、粒状物あるいは小片に形成する。そして、この造粒化した混合物を攪拌すると、例えば、PE、PPが溶融し始め、その後PSが溶融するというように、これら融点の低い一部の材料PE、PP、PS等は、溶融するが、融点の高いプラスチックとか、アルミや紙等、融点の高い他の材料は、溶融することなく残る。こうして、融点の低い一部の材料が溶融されてつなぎとなり融点の高い他の材料が粉砕物のままで一体化された溶融混合物から、床材本体4の本体部41と床板5の本体部51とを成形することとなる。
【0037】
ここで、本体部41、51の材料となる混合物の組成の一例を、表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
次に、配線用床材2および成形方法の作用効果について説明する。この配線用床材2とか成形方法によると、床材本体4の本体部41と床板5の本体部51とが、各種のプラスチックが含まれるプラスチック廃棄物から得られる混合物を材料にして成形されるため、それら本体部41、51の製造コストが安価となる。すなわち、混合物は、プラスチック廃棄物から得られ、しかも、混合物は、複数種類のプラスチックが含まれたものであるため、単一の材料に分別する工程を省くことができる。これにより、材料となる混合物のコストを削減することができ、その結果、本体部41、51の製造コストを安価にすることができる。そして、このように、プラスチック廃棄物を複数種類のプラスチックが含まれた混合物の状態で使うことで、本体部41、51の製造コストが安価となるため、配線用床材2の製造コストを低減することができる。
【0040】
また、材料となる混合物を溶融化して本体部41、51を成形する際、融点の低いプラスチックから順に溶融するが、融点の高いプラスチックは、溶融しきれずに残ることがある。さらに、混合物に、プラスチック以外に、紙とかアルミ等が含まれている場合には、これら紙とかアルミ等は、溶融することなく残る。こうして、融点の高い、プラスチックや、紙とかアルミ等が、溶融することなく粉砕物のままの材料の状態で残ると、その材料が本体部41、51の表面に露出する。これにより、本体部41、51の表面がざらつき、配線用床材2の上にカーペット等の敷物とか仕上げ材を載置した際には、その敷物とか仕上げ材が滑り難くなる。
【0041】
また、床材本体4においては、ブロック状部4aに、天壁4gから下面4hに達する格子状の補強リブ4i、4iを設けることで、中空箱型であっても、十分な強度を確保することができる。そして、部屋の壁際に配置される配線用床材2等において、床材本体4をカットする場合にも、天壁4gから下面4hに達する補強リブ4iによって、ブロック状部4aの強度を維持することができ、この床材本体4のカットに容易に対応することができる。
【0042】
また、床板5においては、その本体部51を中実平板状にすることで、本体部51、ひいては床板5の強度を十分に確保することが容易となる。そして、部屋の壁際に配置される配線用床材2等において、床板5をカットする場合にも、本体部51が中実であることから、本体部51、ひいては床板5の強度を維持することができ、この床板5のカットに容易に対応することができる。しかも、床板5の本体部51を中実平板状にすることで、リブのように突出した部分がある場合と比較すると、下方で火災が発生しても、火災の熱が、本体部51の下面で、面全体に広がって分散されるため、温度が高くなりにくい。また、床板5、5を繋ぐヒンジ部5dは、床板5,5の本体部51、51の成形の際に形成されるため、このヒンジ部5dは、簡単に形成される。さらに、床板5、5は、ヒンジ部5dにより連結され、取り扱いが容易となるとともに、不陸に対して容易に追従することができる。特に、ヒンジ部5dは、本体部51の厚さの略中央位置に設けられているため、ヒンジ部5dを中心にした床板5の回動を、上下で均等に行なうことができる。
【0043】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、床材本体4の本体部41と床板5の本体部51との成形の材料となる混合物には、複数種類のプラスチックが含まれるが、プラスチック以外に、紙とか、アルミ等の無機物や、有機低分子物等が含まれていても構わない。また、混合物の元となるプラスチック廃棄物としては、家庭等から排出されたりするプラスチック製容器包装廃棄物が一般的であるが、容器包装廃棄物に限定されるものではない。また、混合物を構成する主な構成物の比重は、1.0未満とするのが望ましいが、この値に限定されるものではない。
【0044】
また、床材本体4において、複数(図示実施の形態においては四つ)のブロック状部4a、4aは、底板4cを介して一体に形成されているが、それらブロック状部4a、4aは、別々に形成されてもよい。
【0045】
また、床材本体4は、本体部41(すなわち、プラスチック成形品)のみからならなくとも、本体部41の他に、例えば、配線溝3に面して配備される、床板5の延焼防止材52と同様の、不燃材からなる延焼防止材とかの、補助部材を有してもよい。
【0046】
また、床板5における延焼防止材52は、金属板からならなくとも、耐火紙等、その他の材料からなっていてもよい。また、この延焼防止材52は、必要なければ、無くともよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の一実施の形態の、平面図である。
【図2】同じく、正面図である。
【図3】同じく、床材本体の平面図である。
【図4】同じく、床材本体の正面図である。
【図5】同じく、床材本体の底面図である。
【図6】同じく、図3におけるA−A線による断面図である。
【図7】同じく、図3におけるB−B線による断面図である。
【図8】同じく、床板の平面図である。
【図9】同じく、床板の正面図である。
【図10】同じく、床板の底面図である。
【図11】同じく、図8におけるC−C線による断面図である。
【図12】同じく、図10における要部拡大図である。
【図13】同じく、ケーブルの配線を示す平面図である。
【符号の説明】
【0048】
2 配線用床材
3 配線溝
4 床材本体
41 本体部
4a ブロック状部
4b 段部
4g 天壁
4h 下面
4i 補強リブ
5 床板
51 本体部
52 延焼防止材
5d ヒンジ部
6 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間に配線溝を形成すべく所定間隔をおいて配置されるブロック状部を備える床材本体と、隣り合う前記ブロック状部に掛け渡されて前記配線溝の上方を閉塞する床板とからなり、
前記ブロック状部には、そのブロック状部の上面と前記床板の上面とが面一となるようにして前記床板を支持する段部が設けられており、
前記床材本体の本体部と前記床板の本体部とは、各種のプラスチックが含まれるプラスチック廃棄物を粉砕した、複数種類のプラスチックが含まれる混合物を、材料にして、融点の低い一部の材料が溶融されてつなぎとなり融点の高い他の材料が粉砕物のままで一体化された溶融混合物から、成形されてなることを特徴とする配線用床材。
【請求項2】
前記床板の本体部は、中実平板状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の配線用床材。
【請求項3】
前記混合物を構成する主な構成物の比重が、1.0未満であることを特徴とする、請求項1または2に記載の配線用床材。
【請求項4】
前記ブロック状部は、裏面側が開口する中空箱型に形成されて、その中空部分には、格子を形成するようにして前記ブロック状部の天壁から下面に達する複数の縦横の補強リブが設けられていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配線用床材。
【請求項5】
前記床板は、複数備わり、それら床板の本体部の少なくとも二つは、薄肉のヒンジ部を通じて、そのヒンジ部とともに一体に成形されていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配線用床材。
【請求項6】
前記ヒンジ部は、前記床板の本体部の厚さの略中央位置に設けられていることを特徴とする、請求項5に記載の配線用床材。
【請求項7】
前記配線溝は、十字状に形成され、その十字状に対応するように、前記床板として、前記配線溝の交差する部分を覆う第1の床板と、前記配線溝の交差する部分から延びる四方の各々を覆う第2の床板とが設けられることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の配線用床材。
【請求項8】
前記床板は、前記配線溝に配線されたケーブルの火災による延焼を防止すべく、前記床板の本体部の裏面に固定された、不燃材からなる延焼防止材を有することを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の配線用床材。
【請求項9】
前記延焼防止材は、耐火紙からなることを特徴とする、請求項8に記載の配線用床材。
【請求項10】
前記延焼防止材は、金属板からなることを特徴とする、請求項8に記載の配線用床材。
【請求項11】
間に配線溝を形成すべく所定間隔をおいて配置されるブロック状部を備える床材本体と、隣り合う前記ブロック状部に掛け渡されて前記配線溝の上方を閉塞する床板とからなる、配線用床材における、前記床材本体の本体部と、前記床板の本体部とを、成形する成形方法であって、
各種のプラスチックが含まれるプラスチック廃棄物を粉砕して、複数種類のプラスチックが含まれる混合物を形成し、その混合物を溶融化することで、融点の低い一部の材料が溶融されてつなぎとなり融点の高い他の材料が粉砕物のままで一体化された溶融混合物とし、その溶融混合物をプレス機によりプレスして、前記床材本体の本体部と前記床板の本体部とを成形することを特徴とする、配線用床材の成形方法。
【請求項12】
前記床板は、複数備わり、それら床板の本体部の少なくとも二つを、薄肉のヒンジ部を通じて、そのヒンジ部とともに前記プレスにより一体に成形することを特徴とする、請求項11に記載の、配線用床材の成形方法。
【請求項13】
前記混合物の形成に至る過程で、前記プラスチック廃棄物を、比重分離機により分離して、前記混合物を構成する主な構成物の比重を、1.0未満とすることを特徴とする、請求項11または12に記載の、配線用床材の成形方法。
【請求項14】
前記混合物を溶融化するにあたって、前記混合物を、造粒化し、その造粒化した混合物を、攪拌することで発生する摩擦熱により溶融することを特徴とする、請求項13に記載の、配線用床材の成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−50873(P2008−50873A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229282(P2006−229282)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【出願人】(506192102)未来建装株式会社 (2)
【Fターム(参考)】