説明

配線間隔検証プログラムおよび配線間隔検証装置

【課題】配線モデルの配線間隔の合否を容易に検証すること。
【解決手段】算出手段2は、各配線モデル4、5が伝搬する信号の伝搬速度と、送信素子モデル6の立ち上がり時間(tr)または立ち下がり時間(tf)とに基づいて、配線モデル4、5の特性インピーダンスを算出する区間となる区間長を設定する。例えば、区間長は、次式(2)で表される。区間長=(伝搬速度×trtf)/分割係数・・・(2)ここで、trtfは、立ち上がり時間または立ち下がり時間のいずれか一方を意味している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線間隔検証プログラムおよび配線間隔検証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル電子機器に求められる情報処理の量は、増加の一途をたどっている。この多量の情報を処理するため、電子機器内のデジタル信号の転送速度が高速化されている。
【0003】
他方、基板の小型化、薄型化等により、信号伝送の品質の悪化が指摘されている。
例えば、プリント基板内の配線の密度が高くなり、配線の間隔を十分に確保することが難しくなっている。配線の間隔が狭い部分は、ノイズによって信号伝送の品質が悪化する可能性があることが知られている。
【0004】
このような信号伝送の品質の悪化に対し、設計段階において配線モデルに寄生する負荷(配線寄生負荷)を算出し、当該配線寄生負荷の変動する部分を検出することにより、信号伝送の品質が悪化する箇所を予測する技術が知られている。
【0005】
例えば、予め配線寄生負荷を見積もりしたリファレンスモデルを用意しておき、このモデル内のリファレンスパターンデータの持つレイアウトパターンデータと入力されたレイアウトデータのレイアウトパターンデータとのパターンマッチングを行うことにより、配線寄生負荷を算出する方法が知られている。
【0006】
また、各配線の負荷をモデル化した配線負荷モデルの隣接配線数に応じた特性パラメータを抽出し、該特性パラメータと各配線負荷モデルの配線長とに基づき、分布定数回路データを出力する方法が知られている。
【0007】
また、計算式を用いて配線モデルの特性インピーダンスを算出し、ノイズに影響を及ぼす可能性が高い部位を検出する方法が知られている。
図30は、特性インピーダンスを算出する例を説明する図である。
【0008】
ここで、基板モデル90の配線モデル91が配置される層92の厚さをh、層92の誘電率をεr、配線モデル91の厚さをt、配線モデル91の幅をwとすると、特性インピーダンスZ0は、次式(1)で表すことができる。
【0009】
Z0=87.0/(εr+1.41)0.5ln(5.98h/(0.8w+t))・・・(1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−44550号公報
【特許文献2】特開平5−54092号公報
【特許文献3】特開2002−163320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
算出の対象となる配線モデルの種類(差動配線、シングル配線等)や信号の種類(クロック、データ等)が多種多数の場合、各配線モデルの特性インピーダンスを算出する区間を決定することが難しい。
【0012】
しかしながら、3次元電磁解析ソフト等を用いて配線モデルの特性インピーダンスを算出すると、演算処理に多大な算出時間を要するという問題があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、配線モデルの配線間隔の合否を容易に検証することができる配線間隔検証プログラムおよび配線間隔検証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、基板モデルに配置された配線モデルの間隔の合否を検証する配線間隔検証プログラムが提供される。この配線間隔検証プログラムは、コンピュータを、各配線モデルの信号の伝搬速度と、信号を送信する素子モデルの立ち上がり時間または立ち下がり時間とに基づいて、配線モデルの特性インピーダンスを算出する区間となる区間長を設定する算出手段として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
開示の配線間隔検証プログラムによれば、配線モデルの配線間隔の合否を容易に検証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態の配線間隔検証装置の概要を示す図である。
【図2】第2の実施の形態の配線間隔検証装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】第2の実施の形態の配線間隔検証装置の機能を示すブロック図である。
【図4】検証対象回路モデルの構造を示す斜視図である。
【図5】特性インピーダンスDBのデータ構造を示す図である。
【図6】誘電率の異なる特性インピーダンスデータテーブルを示す図である。
【図7】設計DBのデータ構造を示す図である。
【図8】配線間隔の算出方法の一例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の配線間隔検証装置の全体処理を示すフローチャートである。
【図10】近似計算処理を示すフローチャートである。
【図11】対象ネットの選択を示す図である。
【図12】シミュレーションモデルの作成の一例を示す図である。
【図13】モニタに表示された合否判定の一例を示す図である。
【図14】シングル配線を有する検証対象回路モデルの一例を示す図である。
【図15】第3の実施の形態の配線間隔検証装置の機能を示すブロック図である。
【図16】基準インピーダンスの算出例を示す図である。
【図17】不整合面積の算出を説明する図である。
【図18】第3の実施の形態の配線間隔検証装置の全体処理を示すフローチャートである。
【図19】第4の実施の形態の基板モデルの構造を示す斜視図である。
【図20】第4の実施の形態の配線間隔検証装置の機能を示すブロック図である。
【図21】第4の実施の形態の欠損領域データを示す図である。
【図22】第4の実施の形態の配線間隔検証装置における配線モデルと欠損領域の位置関係を分類した結果の一例を示す図である。
【図23】雑音係数DBに格納される特性インピーダンスの増加特性を示す図である。
【図24】第4の実施の形態の配線間隔検証装置で特性インピーダンスの変化量の計算を行う幅方向の範囲を説明するための図である。
【図25】第4の実施の形態の配線間隔検証装置で特性インピーダンスの変化量の計算を行う幅方向の範囲内に存在する欠損領域の面積の算出方法を説明するための図である。
【図26】図25の判定結果を表形式で示す図である。
【図27】図25に示す欠損領域モデルによって影響を受ける配線モデルの特性インピーダンスを表現するモデルを示す図である。
【図28】第4の実施の形態の配線間隔検証装置における配線モデルの区間毎の特性インピーダンスの計算結果を示す図である。
【図29】第4の実施の形態の配線間隔検証装置の全体処理を示すフローチャートである。
【図30】特性インピーダンスを算出する例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
まず、実施の形態の配線間隔検証装置について説明し、その後、実施の形態をより具体的に説明する。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の配線間隔検証装置の概要を示す図である。
実施の形態の配線間隔検証プログラムは、配線モデルの間隔の合否を検証するプログラムであって、配線間隔検証装置(コンピュータ)1を、算出手段2として機能させる。
【0018】
図1では、基板モデル3上に、差動信号を伝送する配線モデル4、5と、信号を送信するIC(Integrated Circuit)等の送信素子モデル6と、送信素子モデル6が送信した差動信号を、配線モデル4、5を介して受信する受信素子モデル7とを図示している。
【0019】
配線モデル4、5の幅が、広くなったり狭くなったりしている。これに応じて配線モデル4、5の特性インピーダンスが変化する。
算出手段2は、各配線モデル4、5が伝搬する信号の伝搬速度と、送信素子モデル6の立ち上がり時間(tr)または立ち下がり時間(tf)とに基づいて、配線モデル4、5それぞれの特性インピーダンスを算出する区間となる区間長を設定する。
【0020】
例えば、区間長は、次式(2)で表される。
区間長=(伝搬速度×trtf)/分割係数・・・(2)
ここで、trtfは、立ち上がり時間または立ち下がり時間のいずれか一方を意味している。
【0021】
なお、立ち上がり時間と立ち下がり時間が異なる場合は、値の小さい方を用いるのが好ましい。
ここで、分割係数は、区間長毎に分割される区間における反射波の振幅が、trtfの時間内に入射波の振幅の0.1倍以下となるように設定するのが好ましい。これにより、配線モデル4、5が伝搬する信号に与えるノイズの影響を軽減することができる。なお、0.1倍は例示であり、これに限定されないのは言うまでもない。また、分割係数は、例えば、配線間隔検証装置1を操作するユーザが決定したり、予め定めた数式によって決定したりすることができる。
【0022】
実配線における特性インピーダンスの不整合が信号品質に影響を与えるか否かの分岐点はtrtfにより異なる。trtfが小さい場合は、差動信号に多くの高周波成分が含まれる可能性がある。周波数が高い信号は波長が短い。波長が短い信号は、短い距離の特性インピーダンスの不整合でも、その高周波成分の物理長が、波長に対して無視できない長さとなるため、波形品質を悪化させる。よって、式(2)を用いて区間長を算出することにより、trtfが小さい場合には、区間長を小さく設定し、より細かい単位でのモデリングが可能となる。これにより、配線モデルの合否の信頼性を向上することができる。また、伝搬速度と、trtfとに基づいて、区間長を設定するようにしたので、容易に区間長を決定することができる。
【0023】
また、式(2)にて決定した区間長を、後述する工程に適用することで、配線モデルの合否を容易に検証することができる。
なお、本実施の形態の配線間隔検証装置1が実行する処理は、例えば、プリント基板上に配置された配線モデルのデザインルールチェック(DRC)工程に適用することができる。
【0024】
以下、実施の形態をより具体的に説明する。
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、一例として、隣接する2信号を、差動信号を構成する2信号とし、その差動インピーダンスを算出する方法を示す。
【0025】
図2は、第2の実施の形態の配線間隔検証装置のハードウェア構成例を示す図である。
配線間隔検証装置100は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス108を介してRAM(Random Access Memory)102、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)103、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、外部補助記憶装置106および通信インタフェース107が接続されている。
【0026】
RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。HDD103には、OSやアプリケーションプログラムが格納される。また、HDD103内には、プログラムファイルが格納される。
【0027】
グラフィック処理装置104には、モニタ104aが接続されている。グラフィック処理装置104は、CPU101からの命令に従って、画像をモニタ104aの画面に表示させる。入力インタフェース105には、キーボード105aとマウス105bとが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード105aやマウス105bから送られてくる信号を、バス108を介してCPU101に送信する。
【0028】
外部補助記憶装置106は、記録媒体に書き込まれた情報を読み取ったり、記録媒体に情報を書き込んだりする。外部補助記憶装置106で読み書きが可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等が挙げられる。磁気記録装置としては、例えば、HDD、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等が挙げられる。光ディスクとしては、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等が挙げられる。光磁気記録媒体としては、例えば、MO(Magneto-Optical disk)等が挙げられる。
【0029】
通信インタフェース107は、ネットワーク30に接続されている。通信インタフェース107は、ネットワーク30を介して、他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う。
【0030】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。このようなハードウェア構成の配線間隔検証装置100内には、以下のような機能が設けられる。
【0031】
図3は、第2の実施の形態の配線間隔検証装置の機能を示すブロック図である。
配線間隔検証装置100は、パラメータ入力受付部110と、特性インピーダンスDB(データベース)120と、設計DB130と、特性インピーダンス算出部140と、モデル作成部150と、シミュレーション実行部160と、合否判定部170とを有している。
【0032】
特性インピーダンスDB120および設計DB130は、HDD103の一領域により実現することができる。また、パラメータ入力受付部110、特性インピーダンス算出部140、モデル作成部150、シミュレーション実行部160、および、合否判定部170は、CPU101の一機能により実現することができる。
【0033】
パラメータ入力受付部110は、後述する選択画面をモニタ104aに表示する。そして、キーボード105aまたはマウス105bを介して入力される条件に基づき、区間長を算出する対象ネットを特定する。入力される条件としては、例えば、配線モデルによって伝送される信号の種類(属性情報)、特性インピーダンスの変化量の計算を行う幅方向の範囲、ランク付けのために抽出する際の特性インピーダンスの閾値等が挙げられる。
【0034】
また、パラメータ入力受付部110は、この他にも種々の条件の入力を受け付ける。
特性インピーダンスDB120には、配線モデルの配線間隔、配線幅、および、層間隔と特性インピーダンスとの関係を示す数値を、複数の条件について羅列したデータが格納されている。
【0035】
設計DB130には、検証の対象となる配線に関する設計データが格納されている。
図4は、検証対象回路モデルの構造を示す斜視図である。
図4に示す検証対象回路モデル20では、送信素子モデル11が生成した差動信号を受信素子モデル12に伝送する配線モデル13、14が、複数の誘電体層が積層された基板モデル10の最上位の誘電体層に形成されている。各誘電体層は、コア材または接着層のいずれかである。
【0036】
配線モデル13、14は、信号を伝送するための配線または所定形状のパターンである。配線モデル13は、ほぼ90°に屈曲する屈曲部13a、13bを有している。配線モデル14は、ほぼ90°に屈曲する屈曲部14a、14bを有している。
【0037】
配線モデル13の屈曲部13a、13bに挟まれた部位と、配線モデル14の屈曲部14a、14bに挟まれた部位との間隙は、配線モデル13、14の他の部位の間隙に比べて狭くなっている。
【0038】
基板モデル10には、信号線等として用いる配線モデル13、14が形成される層と、ベタモデル(図示せず)が形成される層とが交互に積層されている。
ベタモデルは、平面的に形成され、グランド電位に保持されて伝送信号の復路となるパターンを形成している。このため、配線モデル13、14とベタモデルは、配線モデル13、14における信号特性が良好(典型的には特性インピーダンス整合が取れた状態(例えば、50Ω))になるように設計するのが好ましい。
【0039】
なお、ベタモデルは、所定の正または負の電位に保持されていてもよい。
なお、図4に示すX軸方向およびY軸方向の座標については、後述する。
再び図3に戻って説明する。
【0040】
特性インピーダンス算出部140は、設計DB130から抽出した情報を入力条件とし、特性インピーダンスDB120に格納されている情報に基づいて、パラメータ入力受付部110が特定した対象ネットについて、隣接する2配線モデルの特性インピーダンスを算出する。具体的には、特性インピーダンスを算出する区間の単位となる区間長を設定する。そして、設定した配線モデルの区間長によって仕切られた1つの区間を特性インピーダンス算出区間とする。そして、各特性インピーダンス算出区間の特性インピーダンスを算出する。なお、特性インピーダンス算出部140は、特性インピーダンス算出区間毎に、算出した特性インピーダンスを記憶する機能を有していてもよい。
【0041】
モデル作成部150は、シミュレーションモデルを作成する。具体的には、特性インピーダンス算出部140によって算出された各特性インピーダンス算出区間の特性インピーダンスに応じた伝送路モデルを作成する。そして、配線モデルの信号送信側の送信素子モデルと伝送路モデルを接続する。また、配線モデルの信号受信側の受信素子モデルと伝送路モデルを接続する。これが、シミュレーションモデルとなる。
【0042】
ここで、一定の範囲、および、刻み値の特性インピーダンスを持ったものを複数含んだライブラリ(伝送路ライブラリ)を予め用意しておき、モデル作成部150は、算出された特性インピーダンスに応じたものを呼び出してシミュレーションモデルを作成するのが好ましい。
【0043】
なお、このライブラリは、配線間隔検証装置100が有していてもよいし、配線間隔検証装置100の外部に設けられていてもよい。
シミュレーション実行部160は、モデル作成部150によって作成されたシミュレーションモデルに対し波形シミュレーションを実行する。そして、シミュレーション実行結果のアイパターン波形を得る。
【0044】
合否判定部170は、シミュレーション実行部160によって得られたアイパターン波形に、受信素子の規格であるマスクを当てはめ、マスクに対するアイパターン波形の割り込み有無を確認することによって、配線設計の品質に関する配線間隔の合否を判定する。
【0045】
なお、合否判定部170は、アイパターン波形およびマスクをモニタ104aに表示する機能を有していてもよい。
次に、配線間隔検証装置100が有する各DBが格納している情報を説明する。
【0046】
図5は、特性インピーダンスDBのデータ構造を示す図である。
特性インピーダンスDB120では、情報がテーブル化されて格納されている。
特性インピーダンスデータテーブル121は、入力条件および算出結果の欄を有している。横方向に並べられた情報同士が互いに関連づけられている。
【0047】
入力条件の欄には、ユーザにより入力される条件を示す項目が設定されている。具体的には、誘電率、層間隔(mm)、配線幅(mm)および配線間隔(mm)の項目が設定されている。これらの項目には、用意された値が予め設定されている。
【0048】
図5に示す特性インピーダンスデータテーブル121は、誘電率が3.8である場合のテーブルを示している。この誘電率3.8に対し、層間隔が0.2mmから0.1mm単位で増加する場合の各配線幅が0.1mmから0.05mm単位で増加する場合の配線間隔が0.3mm、0.4mm、0.5mmの場合の各パターンが設定されている。
【0049】
算出結果の欄には、入力条件に基づいて算出される特性インピーダンスが予め設定されている。
なお、特性インピーダンスデータテーブル121は、入力される誘電率毎に複数設定されている。
【0050】
図6は、誘電率の異なる特性インピーダンスデータテーブルを示す図である。
図6に示す特性インピーダンスデータテーブル121は、誘電率が4.3である場合のテーブルを示している。
【0051】
このような特性インピーダンスデータテーブル121を設けることにより、演算時間の短縮を図ることができる。
図7は、設計DBのデータ構造を示す図である。
【0052】
設計DB130では、情報がテーブル化されて格納されている。
設計データテーブル131は、ネット番号、ペア認識、配線層、誘電率、層間隔(mm)、配線幅(mm)、配線間隔(mm)、始点(mm)および終点(mm)の欄を有している。横方向に並べられた情報同士が互いに関連づけられている。
【0053】
前述したように、設計データテーブル131は、多層の基板モデルについてのデータを示している。この基板モデルは、配線パターンを有する配線層と、グランド電位に保持されるグランド層とを有している。配線層は、グランド層に挟まれている。
【0054】
ネット番号の欄には、配線モデルを識別する情報が設定されている。
ペア認識の欄には、差動信号を伝送する配線モデルのペアを識別する情報が設定されている。例えば、1Posiおよび1Negaが、配線モデルのペアを構成していることを示している。また、2Posi、2Negaが、配線モデルのペアを構成していることを示している。
【0055】
配線層の欄には、基板モデルの、配線モデルのペアが存在する層を識別する情報を設定されている。
誘電率の欄には、配線モデルの誘電率が設定されている。
【0056】
層間隔(mm)の欄には、基板モデルの、配線モデルが設置されている層を挟むグランド層の間隔を示す値が設定されている。
配線幅(mm)の欄には、各配線モデルの自身の幅(図30の幅wに相当)を示す値が設定されている。
【0057】
配線間隔(mm)の欄には、配線モデルペア間の最短距離を示す値が設定されている。
始点(mm)および終点(mm)の欄は、さらに、X座標およびY座標の欄に分かれている。ここで、X座標、Y座標は、例えば、図4に示す基板モデル10の左下の頂点を基準(0,0)とし、頂点から他の頂点へ向かう辺をそれぞれX軸、Y軸としたときの座標を表している。
【0058】
始点のX座標の欄は、当該配線モデルの始点のX座標が設定されている。始点のY座標の欄は、当該配線モデルの始点のY座標が設定されている。終点のX座標の欄は、当該配線モデルの終点のX座標が設定されている。終点のY座標の欄は、当該配線モデルの終点のY座標が設定されている。
【0059】
なお、配線間隔は、以下のようにして算出される。
図8は、配線間隔の算出方法の一例を示す図である。
ネット番号1の配線モデルとネット番号2の配線モデルの配線間隔h1の算出を例にとる。
【0060】
まず、Y軸方向の配線間隔hを求める。
Y軸方向の配線間隔h=Posi配線始点のY軸座標−Nega配線のY軸座標=|10(mm)−20(mm)|=10(mm)
次に、配線がY軸と成す角度θを求める。
【0061】
Y軸と成す角度θ=tan^−1(X軸方向の増加分/Y軸方向の増加分)=tan^−1((20−10)/(100−10))=0.11(rad)
次に、配線間隔h1を求める。
【0062】
配線間隔h1=Y軸方向の配線間隔×sin(配線がY軸と成す角度)=10(mm)×sin(0.11)=1.1(mm)
次に、配線間隔検証装置100の処理の流れを説明する。
【0063】
図9は、第2の実施の形態の配線間隔検証装置の全体処理を示すフローチャートである。
[ステップS1] パラメータ入力受付部110が、対象ネットの選択を受け付ける。その後、ステップS2に遷移する。
【0064】
[ステップS2] 特性インピーダンス算出部140が、配線モデルの区間長を設定する。その後、ステップS3に遷移する。
[ステップS3] 特性インピーダンス算出部140は、区間長によって区切られた各特性インピーダンス算出区間について、設計データテーブル131を参照し、配線間隔、配線幅、層間隔、および、誘電率を抽出する。そして、これを入力条件として特性インピーダンスデータテーブル121の内容をもとに近似計算を行って、各区間の特性インピーダンスを算出する。その後、ステップS4に遷移する。なお、近似計算については、後述する。
【0065】
[ステップS4] モデル作成部150が、特性インピーダンス算出部140によって算出された特性インピーダンスに基づいてシミュレーションモデルを作成する。その後、ステップS5に遷移する。
【0066】
[ステップS5] シミュレーション実行部160が、モデル作成部150によって作成されたシミュレーションモデルのシミュレーションを実行する。そして、シミュレーション実行結果のアイパターン波形を得る。その後、ステップS6に遷移する。
【0067】
[ステップS6] 合否判定部170が、作成されたアイパターン波形にマスクを当てはめ合否を判定する。
以上で配線間隔検証装置100の全体処理の説明を終了する。
【0068】
次に、ステップS3にて説明した近似計算について説明する。
近似計算は物理寸法、誘電率のパラメータについて対象値に最も近い特性インピーダンスデータベース上の条件値に対応する値を該当値として選択する方式により実現する。
【0069】
図10は、近似計算処理を示すフローチャートである。
[ステップS11] 特性インピーダンス算出部140は、設計データテーブル131から抽出したパラメータのうち、1つのパラメータを選択する。そして、選択したパラメータの値を「対象値」とする。その後、ステップS12に遷移する。
【0070】
[ステップS12] 特性インピーダンス算出部140は、各特性インピーダンスデータテーブル121間の、ステップS11にて選択したパラメータの刻み幅を認識し、これを「ステップ値」とする。その後、ステップS13に遷移する。
【0071】
[ステップS13] 特性インピーダンス算出部140は、各特性インピーダンスデータテーブル121におけるステップS11にて選択したパラメータの初期値を決定する。これを「特性インピーダンスデータベース値」とする。その後、ステップS14に遷移する。
【0072】
[ステップS14] 特性インピーダンス算出部140は、特性インピーダンスデータベース値−対象値の絶対値を算出する。これを差分値とする。その後、ステップS15に遷移する。
【0073】
[ステップS15] 特性インピーダンス算出部140は、差分値がステップ値の半分以下か否かを判断する。差分値がステップ値の半分以下ではない場合(ステップS15のNo)、ステップS16に遷移する。差分値がステップ値の半分以下である場合(ステップS15のYes)、ステップS17に遷移する。
【0074】
[ステップS16] 特性インピーダンス算出部140は、次の特性インピーダンスデータテーブル121におけるパラメータの値を選択する。その後、ステップS14に遷移する。
【0075】
[ステップS17] 特性インピーダンス算出部140は、その時点における特性インピーダンスデータベース値を「該当値」に決定する。その後、ステップS18に遷移する。
【0076】
[ステップS18] 特性インピーダンス算出部140は、当該パラメータが、最終パラメータか否かを判断する。最終パラメータではない場合(ステップS18のNo)、ステップS11に遷移し、ステップS11以降の処理を繰り返し行う。最終パラメータである場合(ステップS18のYes)、ステップS19に遷移する。
【0077】
[ステップS19] 特性インピーダンス算出部140は、対応する特性インピーダンスデータベース値を、計算結果として出力する。その後、近似計算処理を終了する。
以上で、近似計算処理の説明を終了する。
【0078】
次に、配線間隔検証装置100の各処理について具体例を用いて説明する。
<検証対象ネットの選択>
図11は、対象ネットの選択を示す図である。
【0079】
ユーザは、基板ネット(図示せず)の中から、無作為に1ネットを検証対象のネットとして選択することができる。
図11では、対象ネットを絞り込む選択画面31がモニタ104aに表示されている。選択画面31には、パラメータとして、「信号種類」と「trtf」が表示されている。ユーザは、キーボードやマウスを用いて「信号種類」の属性「CLK」または「DATA」のいずれか一方を選択することができる。また、「trtf」の属性「1ns以下」または「0.2ns以下」のいずれか一方を選択することができる。また、他にもユーザは、波形の劣化が気になる部分(例えば、伝送速度が100Mbps程度の部分)を選択して対象ネットを絞り込むこともできる。
【0080】
<区間長の設定>
区間長は、第1の実施の形態にて説明した式(2)を用いて設定する。以下、式(2)を再掲する。
【0081】
区間長=(伝送路の伝搬速度×trtf)/分割係数・・・(2)
本実施の形態では、一例として、分割後の区間における反射波の振幅が、trtfの時間内に入射波の振幅の0.1倍となるように分割係数を設定する。分割係数の計算式は、次式(3)にて表すことができる。
【0082】
分割係数=log0.1・・・(3)(但し、logの底は、反射係数)
なお、式(3)は、反射係数^分割係数=0.1を変形したものである。
ここで反射係数は、次式(4)にて表すことができる。
【0083】
反射係数=((基準インピーダンス(Ω)±最大不整合度(Ω))−基準インピーダンス)/((基準インピーダンス(Ω)±最大不整合度(Ω))+基準インピーダンス)・・・(4)
ここで、基準インピーダンスは、予め定めた値(例えば、50(Ω))である。また、最大不整合度は、基準インピーダンスに対するずれを許容する量である。この値は、例えば、予め決定された値である。一例として、基準インピーダンスが50Ωである場合、最大不整合度は5Ω程度(10%程度)とすることができる。
【0084】
この計算式により区間長を設定することができる。
<各特性インピーダンス算出区間の特性インピーダンス算出>
特性インピーダンス算出部140は、設計データテーブル131を参照し、区間長によって区切られた各特性インピーダンス算出区間について、配線間隔、配線幅、層間隔、および、誘電率を抽出する。そして、これを入力条件として特性インピーダンスデータテーブル121を参照し、近似計算によって各区間の特性インピーダンスを算出する。
【0085】
以下、近似計算の一例を示す。
<近似計算>
前述したように、特性インピーダンス算出部140は、物理寸法、誘電率のパラメータについて対象値にもっとも近い特性インピーダンスデータテーブル121の条件値に対応する値を該当値として選択する方式により近似計算を実現する。
【0086】
以下、特性インピーダンス算出部140が、設計データテーブル131からパラメータとして誘電率4.2、層間隔0.31(mm)、配線幅0.16(mm)、配線間隔0.48(mm)を抽出した場合を例に説明する。
【0087】
まず、誘電率を選択する。そして、設計データテーブル131から抽出した誘電率の値「4.2」を対象値に決定する。また、各特性インピーダンスデータテーブル121を参照すると、各特性インピーダンスデータテーブル121の誘電率の刻み幅は、4.3−3.8=0.5である。従って、ステップ値を「0.5」に決定する。また、特性インピーダンスデータベース値の初期値を誘電率が小さい方の値「3.8」に決定する。
【0088】
この条件において、差分値は、|特性インピーダンスデータベース値−対象値|=|3.8−4.2|=0.4となる。
ステップ値の半分は、ステップ値/2=0.5/2=0.25となる。
【0089】
ここで、差分値0.4は、ステップ値の半分0.25以下ではないので、次の特性インピーダンスデータテーブル121における誘電率の値「4.3」を特性インピーダンスデータベース値として選択する。
【0090】
差分値は、|特性インピーダンスデータベース値−対象値|=|4.3−4.2|=0.1となる。
ここで、差分値0.1は、ステップ値の半分0.25以下であるので、4.3を該当値に決定する。
【0091】
また、誘電率は、最終パラメータではないため、次のパラメータとして層間隔を選択する。そして、設計データテーブル131から抽出した層間隔の値「0.31」を対象値に決定する。また、各特性インピーダンスデータテーブル121を参照すると、各特性インピーダンスデータテーブル121の層間隔の刻み幅は、0.1(mm)である。従って、ステップ値を「0.1」に決定する。また、特性インピーダンスデータベース値の初期値を最も小さい層間隔「0.2」に決定する。
【0092】
この条件において、差分値は、|特性インピーダンスデータベース値−対象値|=|0.1−0.31|=0.21となる。
ステップ値の半分は、ステップ値/2=0.1/2=0.05となる。
【0093】
ここで、差分値0.21は、ステップ値の半分0.05以下ではないので、次の特性インピーダンスデータテーブル121における層間隔の値「0.3」を特性インピーダンスデータベース値として選択する。
【0094】
差分値は、|特性インピーダンスデータベース値−対象値|=|0.3−0.31|=0.01となる。
ここで、差分値0.01は、ステップ値の半分0.05以下であるので、0.3(mm)を該当値に決定する。
【0095】
また、層間隔は、最終パラメータではないため、次のパラメータとして配線幅を選択する。そして、設計データテーブル131から抽出した配線幅の値「0.16」を対象値に決定する。また、各特性インピーダンスデータテーブル121を参照すると、各特性インピーダンスデータテーブル121の配線幅の刻み幅は、0.05(mm)である。従って、ステップ値を「0.05」に決定する。また、特性インピーダンスデータベース値の初期値を最も小さい配線幅「0.1」に決定する。
【0096】
この条件において、差分値は、|特性インピーダンスデータベース値−対象値|=|0.1−0.16|=0.06となる。
ステップ値の半分は、ステップ値/2=0.05/2=0.025となる。
【0097】
ここで、差分値0.06は、ステップ値の半分0.025以下ではないので、次の特性インピーダンスデータテーブル121における配線幅の値「0.15」を特性インピーダンスデータベース値として選択する。
【0098】
差分値は、|特性インピーダンスデータベース値−対象値|=|0.15−0.16|=0.01となる。
ここで、差分値0.01は、ステップ値の半分0.025以下であるので、0.15(mm)を該当値に決定する。
【0099】
また、配線幅は、最終パラメータではないため、次のパラメータとして配線間隔を選択する。そして、設計データテーブル131から抽出した配線間隔の値「0.48」を対象値に決定する。また、各特性インピーダンスデータテーブル121を参照すると、各特性インピーダンスデータテーブル121の配線間隔の刻み幅は、0.1(mm)である。従って、ステップ値を「0.1」に決定する。また、特性インピーダンスデータベース値の初期値を最も小さい配線間隔「0.3」に決定する。
【0100】
この条件において、差分値は、|特性インピーダンスデータベース値−対象値|=|0.3−0.48|=0.16となる。
ステップ値の半分は、ステップ値/2=0.1/2=0.05となる。
【0101】
ここで、差分値0.16は、ステップ値の半分0.05以下ではないので、次の特性インピーダンスデータテーブル121における配線間隔の値「0.4」を特性インピーダンスデータベース値として選択する。
【0102】
差分値は、|特性インピーダンスデータベース値−対象値|=|0.4−0.48|=0.08となる。
ここで、差分値0.08は、ステップ値の半分0.05以下ではないので、次の特性インピーダンスデータテーブル121における配線間隔の値「0.5」を特性インピーダンスデータベース値として選択する。
【0103】
差分値は、|特性インピーダンスデータベース値−対象値|=|0.5−0.48|=0.02となる。
ここで、差分値0.02は、ステップ値の半分0.05以下であるので、0.5(mm)を該当値に決定する。
【0104】
また、配線間隔は、最終パラメータであるため、特性インピーダンスデータテーブル121を参照し、誘電率「4.3」、層間隔「0.3」、配線幅「0.15」、および、配線間隔「0.5」に一致する特性インピーダンス94.8Ωを抽出する。
【0105】
<シミュレーションモデルの作成>
図12は、シミュレーションモデルの作成の一例を示す図である。
図12は、モデル作成部150が配線モデル13、14から作成した伝送路モデル151を示している。
【0106】
伝送路モデル151のX軸は、配線モデルの物理的な位置を示している。Y軸は、特性インピーダンス算出部140が抽出した特性インピーダンスを示している。
また、図12は、モデル作成部150が伝送路モデル151と伝送路ライブラリ152から作成したシミュレーションモデル153を示している。
【0107】
シミュレーションモデル153は、特性インピーダンスが同一の区間は、連続的な区間モデルとして表されており、特性インピーダンスが異なる部分では、区間モデルが途切れている。
【0108】
<合否判定>
図13は、モニタに表示された合否判定の一例を示す図である。
合否判定部170は、作成されたアイパターン波形171に、受信素子モデル12の規格であるマスク172を当てはめ、マスク172に対するアイパターン波形171の割り込み有無を確認することによって、配線設計の品質に関する配線間隔の合否を判定する。図13に示すアイパターン波形171は、マスク172を覆う部分が存在しないので、合否判定部170は、配線モデルの配線間隔が合格であると判定する。
【0109】
以上述べたように、本実施の形態の配線間隔検証装置100によれば、特性インピーダンス算出部140が、式(2)に基づいて、適切な特性インピーダンス算出区間の区間長を算出した。これにより、ユーザのスキルにかかわらず、適切な特性インピーダンス算出区間の区間長を設定することができる。従って、この区間長によるシミュレーションモデルを作成し、合否判定を行うことで、ユーザは対象ネットの選択を行うだけで、信頼性の高い配線間隔の合否を容易に取得することができる。
【0110】
また、区間長の設定に伴う演算は、例えば、3次元電磁解析ソフトが実行する演算等に比べて簡易な演算であり、演算処理に要する時間を短縮することができる。
また、本実施の形態では隣接する2信号を、差動ペアを構成する2信号としたが、開示の配線間隔検証装置100は、それぞれが独立したシングル配線を有する検証対象回路モデルにも適用することができる。
【0111】
図14は、シングル配線を有する検証対象回路モデルの一例を示す図である。なお、図4と同様の機能を有する部位には、同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
図14に示す検証対象回路モデル20aは、送信素子モデル11aが生成したシングルエンド信号を受信素子モデル12aに伝送する配線モデル13が形成されている。また、送信素子モデル11bが生成したシングルエンド信号を受信素子モデル12bに伝送する配線モデル14が形成されている。この場合、送信素子モデル11a、11bのtrtfが異なる場合には、いずれか小さい方のtrtfを用いて式(2)を計算し、区間長を決定するのが好ましい。これにより、合否判定の精度を高めることができる。
【0112】
また、本実施の形態では、配線モデルの全体に亘って区間長を算出するようにした。しかし、これに限らず、配線モデルの特定の部位のみについて区間長を算出するようにしてもよい。
【0113】
例えば、配線モデルの物理形状の変化点、例えば、図14に示す配線モデル13、14では、ほぼ直角に折れ曲がる屈曲部13a、14aおよび屈曲部13b、14bをそれぞれ変化点に設定する。そして各変化点の近傍の区間長を算出し、算出した区間長における特性インピーダンスのみの合否判定を行う。そして、その合否判定をもって配線モデル13、14全体の合否結果とするようにしてもよい。これにより、演算時間を短縮し、処理の高速化が図れる。
【0114】
また、変化点は、屈曲部分に限らず、誘電特性が変化する点を設定するようにしてもよい。
また、区間長を算出する区間は、ユーザが任意に決定してもよいし、変化点を中心として両側に特性インピーダンス算出区間を所定区間(例えば、1区間)ずつ設けるようにしてもよい。
【0115】
ところで、本実施の形態では、インピーダンスの不連続点を検出することを目的としている。このため、配線モデルの伝送路全体に亘って一様に特性インピーダンスが基準インピーダンスからずれている場合は、検出漏れが発生する可能性がある。従って、配線モデルの伝送路全体の特性インピーダンスの平均値を求め、この平均値が基準インピーダンスを含む所定のばらつき基準を満たさない場合は、警告メッセージの表示や、警告音等によりアラームをユーザに報知するようにしてもよい。
【0116】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態の配線間隔検証装置について説明する。
以下、第3の実施の形態の配線間隔検証装置について、前述した第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0117】
第3の実施の形態の配線間隔検証装置は、配線方向を横軸とした特性変化の分布図を利用し図式的な指標を設定して合否判定する点が第2の実施の形態の配線間隔検証装置100と異なっている。
【0118】
図15は、第3の実施の形態の配線間隔検証装置の機能を示すブロック図である。
第3の実施の形態の配線間隔検証装置100aは、特性インピーダンス算出部140の機能が一部異なる特性インピーダンス算出部140aを有している。また、モデル作成部150とシミュレーション実行部160と合否判定部170の代わりに不整合面積算出部180と合否判定部170aとを有している。
【0119】
特性インピーダンス算出部140aは、所定数分の各特性インピーダンス算出区間における特性インピーダンスの基準となる値を示す基準インピーダンスを算出する。なお、本実施の基準インピーダンスは、第2の実施の形態の式(4)にて示した基準インピーダンスとは別個の概念である。
【0120】
図16は、基準インピーダンスの算出例を示す図である。
特性インピーダンス算出部140aは、基準インピーダンスを算出する対象区間を決定する。具体的には、まず、送信素子モデル11に接続されている配線モデル13、14の特性インピーダンス算出区間を対象区間とする。そして、当該対象区間を含み、受信素子モデル12に向かう方向の所定数分(以下、11個とする)の特性インピーダンス算出区間を基準インピーダンス算出区間とする。特性インピーダンス算出区間の個数は、例えば、ユーザが設定することができる。
【0121】
特性インピーダンス算出部140aは、対象区間を受信素子モデル12の方向に遷移させながら、全ての特性インピーダンス算出区間を対象区間とする。具体的には、次の対象区間は、送信素子モデル11に接続されている配線モデル13、14の特性インピーダンス算出区間に隣接する特性インピーダンス算出区間となる。この場合、当該対象区間と、当該対象区間の送信素子モデル11側に隣接する1つの特性インピーダンス算出区間と、当該対象区間の受信素子モデル12側に隣接する9つの特性インピーダンス算出区間の計11個の特性インピーダンス算出区間を基準インピーダンス算出区間とする。
【0122】
対象区間の遷移がある程度進み、前後5つの特性インピーダンス算出区間が確保できるまで、このような処理を行う。
図16(a)は、対象区間の遷移がある程度進み、図16(a)中、左右5つの特性インピーダンス算出区間が確保できる状態を示している。
【0123】
各特性インピーダンス算出区間における特性インピーダンスが、それぞれ、左側から100Ω、100Ω、100Ω、100Ω、105Ω、110Ω、105Ω、100Ω、100Ω、100Ω、100Ωであれば、図16(b)のヒストグラムに示すように、その中の最も数の多い(ヒストグラムの頂点の)特性インピーダンス100Ωを当該対象区間の基準インピーダンスに決定する。なお、ヒストグラムの頂点を求める際には一般的なプログラム言語に用意されているMAX関数を使用することができる。
【0124】
再び図15に戻って説明する。
不整合面積算出部180は、各特性インピーダンス算出区間それぞれの区間において、基準インピーダンスと特性インピーダンス曲線との差分を求める。これを特性インピーダンス算出区間それぞれの不整合面積とする。各区間の不整合面積は、次式(5)で表される。
【0125】
不整合面積=trtf(ns)×基準インピーダンス(Ω)×判定係数A・・・(5)
なお、判定係数Aは、実使用上問題の無いような小さな不整合を積算の対象から除外する等の目的で設けられている。この判定係数Aは、後述する判定係数Bとの間で関連性を有している。一例として、後述する判定係数Bが0.1の場合、判定係数Aは、その1/10倍である0.01等に設定することができる。
【0126】
そして、不整合面積が存在する区間が連続して存在する場合、その区間をひとまとまりとして不整合面積を合算する。合算の結果得られた値を連続不整合面積とする。なお、連続区間は、前区間の不整合面積の有無を条件として、不整合面積が0となるまでの区間とする。
【0127】
図17は、不整合面積の算出を説明する図である。
図17に示す基準インピーダンス算出区間の基準インピーダンスは、100Ωである。左側から4つの特性インピーダンス算出区間では、特性インピーダンス曲線と基準インピーダンスとの差分は0である。左側から5個目の特性インピーダンス算出区間では、特性インピーダンス曲線と基準インピーダンスとの差分は5Ωである。左側から6個目の特性インピーダンス算出区間では、特性インピーダンス曲線と基準インピーダンスとの差分は10Ωである。左側から7個目の特性インピーダンス算出区間では、特性インピーダンス曲線と基準インピーダンスとの差分は5Ωである。左側から8個目〜11個目の特性インピーダンス算出区間では、特性インピーダンス曲線と基準インピーダンスとの差分は0である。
【0128】
このように、5個目〜7個目の特性インピーダンス算出区間において、連続して不整合面積が存在する。図17では、5個目の特性インピーダンス算出区間の斜線部の不整合面積M1は、105(Ω)×0.5(ns)=52.5(Ω・ns)である。6個目の特性インピーダンス算出区間の斜線部の不整合面積M2は、110(Ω)×0.5(ns)=55(Ω・ns)である。7個目の特性インピーダンス算出区間の斜線部の不整合面積M3は、105(Ω)×0.5(ns)=52.5(Ω・ns)である。
【0129】
次に、連続不整合面積を求める。5個目〜7個目の特性インピーダンス算出区間において、連続して不整合面積が存在するため、5個目〜7個目の特性インピーダンス算出区間における不整合面積の和が、連続不整合面積となる。具体的には、連続不整合面積=52.5(Ω・ns)+55(Ω・ns)+52.5(Ω・ns)=160(Ω・ns)となる。
【0130】
再び図15に戻って説明する。
合否判定部170aは、送信素子に接続された配線開始区間から最終区間までの不整合面積の和が、許容できる値以内か否かを判断することにより、配線間隔の合否を判定する。具体的には、次式(6)を使用して合否を判定する。
【0131】
連続不整合面積<trtf(ns)×基準インピーダンス(Ω)×判定係数B・・・(6)
ここで、判定係数Bは、特性インピーダンス曲線の基準インピーダンスに対するずれを許容する値であり、任意に定めることができる。一例として、0.1等が挙げられる。0.1の場合、特性インピーダンス曲線の、基準インピーダンスに対する10%のずれを許容していることを示している。
【0132】
上記式(6)を満たす関係であれば、合否判定部170aは、配線モデルの配線間隔が合格であると判定する。
このような判定処理を行うことにより、使用上看過できる不整合を配線間隔エラーの対象から除外することができる。
【0133】
図18は、第3の実施の形態の配線間隔検証装置の全体処理を示すフローチャートである。第2の実施の形態の処理と同じ処理には同じステップ番号を付し、その説明を省略する。
【0134】
[ステップS3a] 特性インピーダンス算出部140aは、送信素子モデルに隣接する特性インピーダンス算出区間を対象区間に決定する。その後、ステップS4aに遷移する。
【0135】
[ステップS4a] 特性インピーダンス算出部140aは、決定した対象区間により決定される基準インピーダンス算出区間における基準インピーダンスを算出する。その後、ステップS5aに遷移する。
【0136】
[ステップS5a] 不整合面積算出部180は、不整合面積を算出する。その後、ステップS6aに遷移する。
[ステップS6a] 不整合面積算出部180は、当該基準インピーダンス算出区間において、不整合面積が存在する区間が連続して存在するか否かを判断する。不整合面積が存在する区間が連続して存在する場合(ステップS6aのYes)、ステップS7aに遷移する。不整合面積が存在する区間が連続して存在しない場合(ステップS6aのNo)、ステップS8aに遷移する。
【0137】
[ステップS7a] 不整合面積算出部180は、連続した不整合面積が存在する区間について連続不整合面積を算出する。その後、ステップS8aに遷移する。
[ステップS8a] 不整合面積算出部180は、不整合面積を算出した区間が最終区間、つまり、受信素子モデルと接続されている区間か否かを判定する。最終区間に該当しない場合(ステップ8aのNo)、ステップS9aに遷移する。最終区間に該当する場合(ステップS8aのYes)、ステップS10aに遷移する。
【0138】
[ステップS9a] 次の特性インピーダンス算出区間(現在の対象区間に隣接する特性インピーダンス算出区間)に遷移する。その後、ステップS4aに遷移し、当該特性インピーダンス算出区間を対象区間とし、ステップS4a以降の処理を継続して行う。
【0139】
[ステップS10a] 合否判定部170aは、開始区間から最終区間までの連続不整合面積の和に対し合否判定を実施する。判定基準は前述した式(6)を用いる。その後、全体処理を終了する。
【0140】
以上で、配線間隔検証装置100aの処理の説明を終了する。
この第3の実施の形態の配線間隔検証装置100aによれば、第2の実施の形態の配線間隔検証装置100と同様の効果が得られる。
【0141】
そして、第3の実施の形態の配線間隔検証装置100aによれば、さらに、シミュレーションに要する計算時間を省略し、検証処理全体の動作時間を短縮することが可能となる。
【0142】
なお、本実施の形態では、ヒストグラムの頂点の特性インピーダンス100Ωを特性インピーダンス算出区間の基準インピーダンスに決定した。しかし、これに限らず、不整合部分が伝送路全体に対し少ないことを前提とすれば、特性インピーダンスの平均値を基準インピーダンスとすることもできる。これにより、より簡単な計算式で基準インピーダンスを算出することができる。この方法によれば、例えば、図16(a)に示す基準インピーダンス算出区間における基準インピーダンスは、(100×8+105×2+110×1)/11=101.8(Ω)となる。
【0143】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態の配線間隔検証装置について説明する。
以下、第4の実施の形態の配線間隔検証装置について、前述した第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0144】
第4の実施の形態の配線間隔検証装置は、特性インピーダンスの基準となる広域導体(ベタ)に欠損が存在する場合に対応する機能を有している点が第2の実施の形態の配線間隔検証装置100と異なっている。
【0145】
図19は、第4の実施の形態の基板モデルの構造を示す斜視図である。
図19に示す検証対象回路モデル20bの基板モデル10aには、例えば、層間の配線を通すために、配線モデル13、14が配置されている層の1つ下のグランド層に設けられた欠損領域モデル(貫通孔モデル)15が形成されている。
【0146】
配線モデル13、14と欠損領域モデル15が近接すると、配線モデル13、14の特性インピーダンスが不整合の状態になる可能性がある。特性インピーダンスの不整合は、信号特性の劣化をもたらす。
【0147】
ここで、欠損領域によって配線モデルに信号特性の劣化が生じるのは、図19に示す基板モデル10aでは、配線モデル13、14が形成されている誘電体層と同一の誘電体層、一層上の誘電体層、または一層下の誘電体層に欠損領域モデル15が存在し、平面透視で近接している場合である。
【0148】
配線間隔検証装置100bは、基板モデルの配線構造の設計段階における作業効率を向上させるために、特性インピーダンスの変化量の大きい配線モデルを計算によって求める。この特性インピーダンスの変化量の計算にあたっては、第2の実施の形態にて求めた区間長を設定する。
【0149】
次に、第4の実施の形態の配線間隔検証装置100bの機能を説明する。
図20は、第4の実施の形態の配線間隔検証装置の機能を示すブロック図である。
配線間隔検証装置100bは、設計DB130が記憶する情報に加え、新たな情報が記憶されている設計DB130aと、特性インピーダンス算出部140が有する機能に加え、新たな機能が追加されている特性インピーダンス算出部140bとを有している。また、配線間隔検証装置100bは、欠損領域検出部190と、雑音係数DB200と、面積算出部210とをさらに有している。
【0150】
欠損領域検出部190および面積算出部210は、CPU101の一機能により実現することができる。また、雑音係数DB200は、HDD103の一機能により実現することができる。
【0151】
設計DB130aは、欠損領域モデルに関するデータ(欠損領域データ)を有している。
図21は、第4の実施の形態の欠損領域データを示す図である。
【0152】
図21に示す欠損領域データテーブル132には、ネット番号、配線層、直径および中心座標の欄が設けられている。横方向に並べられた情報同士が互いに関連づけられている。
【0153】
ネット番号の欄には欠損領域モデルを識別する情報が設定されている。
配線層の欄には、基板モデルの、欠損領域モデルが存在する層を識別する情報が設定されている。
【0154】
直径(mm)の欄には、欠損領域モデルの直径(最大直径)が設定されている。
中心座標(mm)の欄は、さらに、X座標およびY座標の欄に分かれている。ここで、X座標、Y座標は、例えば、図19に示す基板モデル10aの左下の頂点を基準(0,0)とし、頂点から他の頂点へ向かう辺をそれぞれX軸、Y軸としたときの座標を表している。
【0155】
X座標の欄は、当該欠損領域モデルの中心のX座標が設定されている。Y座標の欄は、当該欠損領域モデルのY座標が設定されている。
再び図20に戻って説明する。
【0156】
欠損領域検出部190は、設計データテーブル131に設定されている配線モデルのX座標、Y座標と、図21に示す欠損領域データテーブル132に設定されている欠損領域モデルのX座標、Y座標とに基づき、平面透視における配線モデルに対する欠損領域モデルの位置関係を分類し、分類結果を作成する。詳細については、図22を用いて後述する。
【0157】
面積算出部210は、パラメータ入力受付部110が特定した対象ネットの配線モデルを抽出し、平面透視で特性インピーダンスの変化量の計算を行う幅方向の範囲内にある欠損領域の面積を計算する。
【0158】
特性インピーダンス算出部140bは、欠損領域検出部190によって分類された配線モデルおよび欠損領域モデルの位置関係と、面積算出部210によって計算された欠損領域モデルの面積とを用いて、計算対象となる配線モデルの特性インピーダンスの変化量を区間長毎に計算する。
【0159】
次に、配線間隔検証装置100bにおける配線モデルと欠損領域の位置関係の判定について説明する。位置関係の判定は、欠損領域検出部190によって実行される。
図22は、第4の実施の形態の配線間隔検証装置における配線モデルと欠損領域の位置関係を分類した結果の一例を示す図である。
【0160】
図22に示す分類データテーブル191は、分類結果を表すデータを有するテーブルである。
欠損領域検出部190は、設計データテーブル131に示す配線モデルのX座標、Y座標と、欠損領域データテーブル132に示す欠損領域モデルのX座標、Y座標とに基づき、平面透視における配線モデルに対する欠損領域モデルの位置を分類する。
【0161】
また、欠損領域検出部190は、平面透視における位置関係の分類に加えて、欠損領域モデルが配線モデルと同一層、一層上の層、または一層下の層のいずれかにあるか否か(すなわち、欠損領域と配線モデルの間が2層以上離れていないか否か)を判定する。
【0162】
具体的には、欠損領域検出部190は、配線モデルの各区間を表す始点および終点のX座標値、Y座標値と、欠損領域データテーブル132に示す欠損領域モデルのX座標値、Y座標値とのXY座標上における位置関係を算出することにより、平面透視における配線モデルに対する欠損領域モデルの位置を分類する。平面透視における配線モデルに対する欠損領域モデルの位置は、配線の片側、両側、または、真上/真下のいずれかに分類される。
【0163】
分類データテーブル191の該当する部分には、「1」が設定され、非該当の部分には「0」が設定される。
また、欠損領域検出部190は、配線モデルの配線層の番号から、欠損領域モデルの配線層の番号を減算した値が、0、+1、または−1のいずれかに該当するか否かを判定する。+2以上、または−2以下の場合は、配線モデルと欠損領域モデルとの間に別のベタモデルが形成されていると考えられるため、判断対象となっている配線モデルと欠損領域モデルとの間には、信号特性の劣化に繋がる関連性が低いと考えることができるからである。
【0164】
以上の判定を行うことにより、欠損領域検出部190は、配線モデルと欠損領域モデルの位置関係を分類し、分類データテーブル191を作成する。
図23は、雑音係数DBに格納される特性インピーダンスの増加特性を示す図である。
【0165】
この増加特性を表すデータは、特性インピーダンスの変化量を計算するために用いられるデータであり、配線モデルと欠損領域モデルの位置関係に対する欠損領域モデルの単位面積あたりの特性インピーダンスの増加(劣化)を表すデータである。
【0166】
図23に示す増加特性を表すデータは、配線モデルおよび欠損領域モデルの位置関係と、欠損領域モデルの大きさとに対する配線モデルの信号特性の変化量を表している。
配線モデルと欠損領域モデルの位置関係は、(A)配線モデルの真上または真下に欠損領域モデルが位置する、(B)配線モデルの両側に欠損領域モデルが位置する、または、(C)配線モデルの片側のみに欠損領域モデルが位置する、の3つのパターンに分類できる。ここで、配線モデルの理想的な特性インピーダンスを50(Ω)とすると、位置関係(C)、(B)、(A)の順に特性インピーダンスの不整合度合が高まるため、図23に示す特性は、位置関係(A)の特性インピーダンスが一番高くなり、位置関係(B)、(C)の順で特性インピーダンスが低下するように増加係数(特性の傾き)が設定されている。
【0167】
図24は、第4の実施の形態の配線間隔検証装置で特性インピーダンスの変化量の計算を行う幅方向の範囲を説明するための図である。
図24には、基板モデル10aに形成された配線モデル13と欠損領域モデル15の位置関係と、特性インピーダンスの変化量を計算する幅方向の範囲(計算対象となる幅方向の範囲)を拡大して示している。
【0168】
配線間隔検証装置100bは、計算対象となる幅方向の範囲を予め設定してから特性インピーダンスの変化量を計算する。
計算対象となる幅方向の範囲は、ユーザが指定することができる。ユーザの指定は、パラメータ入力受付部110が受け付ける。
【0169】
ここでは、例えば、配線モデル13の配線幅(0.1mm)の40倍(4.0mm)に設定された場合を例示する。
図24に示すように、平面透視において配線モデル13の近傍に位置する欠損領域モデル15のうちの部分15a(斜線で示す部分)が配線モデル13から4.0mm以内に含まれる範囲である。
【0170】
この場合、配線間隔検証装置100bは、欠損領域モデル15のうち、計算対象となる幅方向の範囲に含まれる部分15aによる配線モデル13の特性インピーダンスの変化量を求める。この特性インピーダンスの変化量を把握することにより、配線モデル13の信号特性に与える影響を把握することができる。同様の手法で配線モデル14についても信号特性による影響を把握することができる。
【0171】
図25は、第4の実施の形態の配線間隔検証装置で特性インピーダンスの変化量の計算を行う幅方向の範囲内に存在する欠損領域の面積の算出方法を説明するための図である。ここでは、配線モデル13と欠損領域モデル15を用いて説明する。
【0172】
欠損領域検出部190は、特性インピーダンスの変化量の計算を行う幅方向の範囲内における欠損領域モデル15を検出する。面積算出部210は、欠損領域検出部190の検出結果に基づいて、欠損領域モデル15の面積を算出する。
【0173】
欠損領域モデル15の検出および面積の計算においては、特性インピーダンスの変化量の計算の対象となる配線モデル13の始点から終点にかけて、計算を行う幅方向の範囲内にある領域を所定面積の正方形のメッシュに区画する。そして、配線モデル13をメッシュの辺の長さの区間に分割し、メッシュ毎に欠損領域モデル15の有無を判定する。
【0174】
欠損領域モデル15の有無の判定では、メッシュ内の少なくとも一部に欠損領域モデル15が存在していれば、そのメッシュは欠損領域「有」と判定する。すなわち、欠損領域「無」と判定されるのは、判定対象となるメッシュ内に、欠損領域モデル15が全く存在しない場合である。
【0175】
なお、メッシュの一辺の長さは、区間長に設定される。
本実施の形態では、メッシュを表す一辺の長さを0.5mmに設定するため、配線モデル13を長さ方向に0.5mmの区間に分割する。そして、面積算出部210が区間毎に欠損領域モデル15の面積を計算する。
【0176】
なお、メッシュの座標は、メッシュの四隅の座標のうち、数値が一番小さいものを用いる。すなわち、図25では、左下の頂点の座標値を、メッシュを特定する座標として用いる。
【0177】
図25に示す例では、X=28.5〜31.5の範囲、かつ、Y=20.0〜22.0の範囲に含まれるメッシュについて、X軸方向に0.5mm毎に刻んだ区間毎に、欠損領域モデル15の有無を判定する。なお、図25では、欠損領域モデル15が「有」と判定されたメッシュ内に「有」の文字を記し、欠損領域モデル15が「無」と判定されたメッシュ内に「無」の文字を記す。
【0178】
また、配線モデル13の区間毎の面積は、区間毎のメッシュの数より、X=28.5〜29.0の区間では0.5mm2、X=29.0〜29.5の区間では0.5mm2、X=29.5〜30.0の区間では0.5mm2、X=30.0〜30.5の区間では0.5mm2、X=30.5〜31.0の区間では0.5mm2、X=31.0〜31.5の区間では0.25mm2となる。
【0179】
図26は、図25の判定結果を表形式で示す図である。
欠損領域「有」と判定されたメッシュには、フラグ“1”を立て、欠損領域「無」と判定された単位面積には、フラグを“0”に設定する。このフラグは、特性インピーダンス算出部140bが特性インピーダンスの変化量を算出する際に用いる。
【0180】
図26に示す判定結果では、配線モデル13、14の各区間における欠損領域モデル15の面積は、区間毎の欠損領域「有」を表すフラグ“1”の数に、メッシュの単位面積(0.25mm2)を乗じた値として表される。
【0181】
なお、図26には、配線モデル13についての判定結果を示すが、パラメータ入力受付部110によって作成される属性情報に該当する配線モデルのすべての区間について、同様の判定結果を得ることができる。
【0182】
図27は、図25に示す欠損領域モデルによって影響を受ける配線モデルの特性インピーダンスを表現するモデルを示す図である。
モデル142は、図23に示す特性と図26に示す判別結果に基づき、特性インピーダンス算出部140bによって作成される。
【0183】
特性インピーダンス算出部140bは、図23に示す特性と図26に示す判別結果とを用いて、配線モデルの各区間における欠損領域により影響を受ける特性インピーダンスを算出する。
【0184】
ここで、配線モデルの各区間における特性インピーダンスの増加量は、次式(7)で求まる。
増加量=増加係数×区間内の欠損領域の面積・・・(7)
増加係数は、図23に示す特性(A)〜(C)のいずれかの増加係数である。
【0185】
各区間で欠損領域モデル15は配線モデル13の片側に位置しているため、図23に示す(C)の特性を用いると、X=28.5〜29.0の区間では4Ω、X=29.0〜29.5の区間では4Ω、X=29.5〜30.0の区間では4Ω、X=30.0〜30.5の区間では4Ω、X=30.5〜31.0の区間では4Ω、X=31.0〜31.5の区間では2Ωとなる。
【0186】
このようにして、配線モデル13の各区間における増加量が特性インピーダンス算出部140bによって求められる。なお、特性インピーダンス算出部140bによる増加量の計算は、配線モデル14についても同様に行うことができる。
【0187】
図28は、第4の実施の形態の配線間隔検証装置における配線モデルの区間毎の特性インピーダンスの計算結果を示す図である。
図28の表は、図27に示す配線モデル13、14の特性インピーダンスの計算結果を表形式で示すデータであり、特性インピーダンス算出部140によって計算された後、HDD103に格納される。図28におけるXY座標は、各区間の始点の座標を表す。図28には、(X,Y)=(28.5,20.0)〜(31.5,20.0)の区間における計算結果のみを示すが、実際には、属性条件等によって指定される配線モデル13、14のすべての区間について計算が行われる。
【0188】
図28に示す特性インピーダンスの欄には、特性インピーダンス算出部140bが、図10に示す近似計算処理によって算出した特性インピーダンスに、式(7)にて算出した増加量を加算した値が設定されている。
【0189】
次に、第4の実施の形態の配線間隔検証装置100bの処理を説明する。
図29は、第4の実施の形態の配線間隔検証装置の全体処理を示すフローチャートである。第2の実施の形態の処理と同じ処理には同じステップ番号を付し、その説明を省略する。
【0190】
[ステップS3b] 特性インピーダンス算出部140bは、欠損部により増加する各特性インピーダンス算出区間の増加量を算出する。そして、求めた増加量を、ステップS3にて求めた特性インピーダンスに加算する。その後、ステップS4bに遷移する。
【0191】
[ステップS4b] モデル作成部150が、ステップS3bにて算出された特性インピーダンスに基づいてシミュレーションモデルを作成する。その後、ステップS5に遷移する。
【0192】
以上で、第4の実施の形態の配線間隔検証装置100bの全体処理の説明を終了する。
この第4の実施の形態の配線間隔検証装置によれば、第2の実施の形態の配線間隔検証装置100と同様の効果が得られる。
【0193】
そして、第4の実施の形態の配線間隔検証装置100bによれば、さらに、特性インピーダンスの基準となる広域導体(ベタ)に欠損があるような場合でも、その影響を算出する手法とともに用いることにより、両者の複合要因を加味したシミュレーションを実施することが可能である。
【0194】
以上、本発明の配線間隔検証プログラムおよび配線間隔検証装置を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
【0195】
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、配線間隔検証装置100、100a、100bが行った処理が、複数の装置によって分散処理されるようにしてもよい。例えば、1つの装置が、区間長の算出処理までを行っておき、他の装置が、その区間長を用いて配線モデルの合否の判定を行うようにしてもよい。
【0196】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、配線間隔検証装置100、100a、100bが有する機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等が挙げられる。磁気記録装置としては、例えば、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等が挙げられる。光ディスクとしては、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等が挙げられる。光磁気記録媒体としては、例えば、MO(Magneto-Optical disk)等が挙げられる。
【0197】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0198】
配線間隔検証プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0199】
以上の第1〜第4の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 基板モデルに配置された配線モデルの間隔の合否を検証する配線間隔検証プログラムにおいて、
コンピュータに、
前記各配線モデルの信号の伝搬速度と、前記信号を送信する素子モデルの立ち上がり時間または立ち下がり時間とに基づいて、前記配線モデルの特性インピーダンスを算出する区間となる区間長を設定する算出手順、
を実行させることを特徴とする配線間隔検証プログラム。
【0200】
(付記2) 前記算出手順では、さらに、前記区間における反射波の振幅が入射波の振幅の所定倍以下になるよう決定された係数に基づいて、前記区間長を設定することを特徴とする付記1記載の配線間隔検証プログラム。
【0201】
(付記3) 前記コンピュータを、さらに、複数の前記配線モデルに関する条件と前記条件に対応する特性インピーダンスとを関連づけて記憶する記憶手段として機能させ、
前記算出手順では、特性インピーダンス算出対象となる前記配線モデルに関する条件と、前記記憶手段に記憶された前記配線モデルに関する条件とを比較し、特性インピーダンス算出対象となる前記配線モデルに関する条件に最も近い前記記憶手段に記憶された条件に関連づけられた特性インピーダンスを、前記対象配線の特性インピーダンスに決定することを特徴とする付記1記載の配線間隔検証プログラム。
【0202】
(付記4) 前記コンピュータに、さらに、
予め定めた複数の前記区間の基準インピーダンスを算出する基準インピーダンス算出手順、
前記基準インピーダンスの算出対象となった前記各区間の特性インピーダンスについて区間長方向の分布図を作成し、作成した前記分布図から前記基準インピーダンスとの不整合の度合いを示す指標を算出する不整合度算出手順、
前記不整合度算出手順により算出された前記指標により前記配線の合否を判定する判定手順、
を実行させることを特徴とする付記1記載の配線間隔検証プログラム。
【0203】
(付記5) 前記指標は、前記分布図の各区間における、前記基準インピーダンスと前記各区間の特性インピーダンスによって囲まれた面積の積算値であることを特徴とする付記4記載の配線間隔検証プログラム。
【0204】
(付記6) 前記不整合度算出手順では、前記各区間の前記面積が、予め決定した基準値以下である場合、当該区間の面積を積算の対象から除外することを特徴とする付記5記載の配線間隔検証プログラム。
【0205】
(付記7) 前記不整合度算出手順では、前記区間における前記配線が伝搬する信号の立ち上がり時間または立ち下がり時間に基づいて前記基準値を算出することを特徴とする付記6記載の配線間隔検証プログラム。
【0206】
(付記8) 前記算出手順では、特性インピーダンス算出対象となる前記配線モデルを、前記配線モデルに設定された属性により絞り込むことを特徴とする付記1記載の配線間隔検証プログラム。
【0207】
(付記9) 前記算出手順では、さらに、前記基板モデル上の欠損領域による特性インピーダンスの増加量を算出し、
区間毎の前記配線モデルの特性インピーダンスに、さらに、欠損領域による特性インピーダンスの増加量を加算した値を前記区間の特性インピーダンスとすることを特徴とする付記1記載の配線間隔検証プログラム。
【0208】
(付記10) 前記コンピュータに、さらに、
前記配線モデルの物理的な形状または誘電特性の変化点を検出する検出手順を実行させ、
前記算出手順では、前記検出手順により検出された変化点を中心とした両側の所定区間において前記区間長を設定することを特徴とする付記1記載の配線間隔検証プログラム。
【0209】
(付記11) 基板モデルに配置された配線モデルの間隔の合否を検証する配線間隔検証装置において、
前記各配線モデルの信号の伝搬速度と、前記信号を送信する素子モデルの立ち上がり時間または立ち下がり時間とに基づいて、前記配線モデルの特性インピーダンスを算出する区間となる区間長を設定する算出部、
を有することを特徴とする配線間隔検証装置。
【符号の説明】
【0210】
1、100、100a、100b 配線間隔検証装置
2 算出手段
3、10、10a 基板モデル
4、5、13、14 配線モデル
6、11、11a、11b 送信素子モデル
7、12、12a、12b 受信素子モデル
15 欠損領域モデル
15a 部分
20、20a、20b 検証対象回路モデル
31 選択画面
110 パラメータ入力受付部
120 特性インピーダンスDB
121 特性インピーダンスデータテーブル
130、130a 設計DB
131 設計データテーブル
132 欠損領域データテーブル
140、140a、140b 特性インピーダンス算出部
142 モデル
150 モデル作成部
151 伝送路モデル
152 伝送路ライブラリ
153 シミュレーションモデル
160 シミュレーション実行部
170、170a 合否判定部
171 アイパターン波形
172 マスク
180 不整合面積算出部
190 欠損領域検出部
191 分類データテーブル
200 雑音係数DB
210 面積算出部
M1、M2、M3 不整合面積

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板モデルに配置された配線モデルの間隔の合否を検証する配線間隔検証プログラムにおいて、
コンピュータに、
前記各配線モデルの信号の伝搬速度と、前記信号を送信する素子モデルの立ち上がり時間または立ち下がり時間とに基づいて、前記配線モデルの特性インピーダンスを算出する区間となる区間長を設定する算出手順、
を実行させることを特徴とする配線間隔検証プログラム。
【請求項2】
前記算出手順では、さらに、前記区間における反射波の振幅が入射波の振幅の所定倍以下になるよう決定された係数に基づいて、前記区間長を設定することを特徴とする請求項1記載の配線間隔検証プログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、さらに、複数の前記配線モデルに関する条件と前記条件に対応する特性インピーダンスとを関連づけて記憶する記憶手段として機能させ、
前記算出手順では、特性インピーダンス算出対象となる前記配線モデルに関する条件と、前記記憶手段に記憶された前記配線モデルに関する条件とを比較し、特性インピーダンス算出対象となる前記配線モデルに関する条件に最も近い前記記憶手段に記憶された条件に関連づけられた特性インピーダンスを、前記対象配線の特性インピーダンスに決定することを特徴とする請求項1記載の配線間隔検証プログラム。
【請求項4】
前記コンピュータに、さらに、
予め定めた複数の前記区間の基準インピーダンスを算出する基準インピーダンス算出手順、
前記基準インピーダンスの算出対象となった前記各区間の特性インピーダンスについて区間長方向の分布図を作成し、作成した前記分布図から前記基準インピーダンスとの不整合の度合いを示す指標を算出する不整合度算出手順、
前記不整合度算出手順により算出された前記指標により前記配線の合否を判定する判定手順、
を実行させることを特徴とする請求項1記載の配線間隔検証プログラム。
【請求項5】
前記指標は、前記分布図の各区間における、前記基準インピーダンスと前記各区間の特性インピーダンスによって囲まれた面積の積算値であることを特徴とする請求項4記載の配線間隔検証プログラム。
【請求項6】
前記不整合度算出手順では、前記各区間の前記面積が、予め決定した基準値以下である場合、当該区間の面積を積算の対象から除外することを特徴とする請求項5記載の配線間隔検証プログラム。
【請求項7】
前記不整合度算出手順では、前記区間における前記配線が伝搬する信号の立ち上がり時間または立ち下がり時間に基づいて前記基準値を算出することを特徴とする請求項6記載の配線間隔検証プログラム。
【請求項8】
前記算出手順では、さらに、前記基板モデル上の欠損領域による特性インピーダンスの増加量を算出し、
区間毎の前記配線モデルの特性インピーダンスに、さらに、欠損領域による特性インピーダンスの増加量を加算した値を前記区間の特性インピーダンスとすることを特徴とする請求項1記載の配線間隔検証プログラム。
【請求項9】
前記コンピュータに、さらに、
前記配線モデルの物理的な形状または誘電特性の変化点を検出する検出手順を実行させ、
前記算出手順では、前記検出手順により検出された変化点を中心とした両側の所定区間において前記区間長を設定することを特徴とする請求項1記載の配線間隔検証プログラム。
【請求項10】
基板モデルに配置された配線モデルの間隔の合否を検証する配線間隔検証装置において、
前記各配線モデルの信号の伝搬速度と、前記信号を送信する素子モデルの立ち上がり時間または立ち下がり時間とに基づいて、前記配線モデルの特性インピーダンスを算出する区間となる区間長を設定する算出部、
を有することを特徴とする配線間隔検証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−215681(P2011−215681A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80271(P2010−80271)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】