説明

配置評価装置

【課題】複数のユーザに共用される共用装置の配置をジョブの緊急性・重要度を考慮に入れて評価することのできる配置評価装置を提供する。
【解決手段】共用される印刷装置に対して印刷指示を出したユーザの該印刷指示に伴う行動(印刷指示を出してから印刷物取得までの時間、移動経路、印刷物取得後に自席に戻るまでの時間、移動経路などを検出部で検出し、検出したユーザの行動に基づいてその印刷ジョブの重要度を判定し、ユーザ毎に印刷ジョブの重要度を集計し、ユーザ毎の集計結果に基づいて、印刷装置の配置位置を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機能やスキャン機能を備えた複合機など複数のユーザに共用される共用装置の配置を評価する配置評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷機能やスキャン機能などを有する複合機、複写機、プリンタなど複数のユーザに共用される共用装置をオフィスに配置する場合、適切な配置場所を選択することが、業務の効率向上に繋がる。そのため、配置を評価する技術や推奨配置を求める技術が各種提案されている。
【0003】
たとえば、各ユーザの座席位置と、共用機器の設置候補場所とをそれぞれ特定した後、それらの移動距離をそれぞれ算出し、その後、それら各移動距離と過去の各ユーザ毎の共用機器の利用回数とを乗算して設置候補場所毎の総移動距離を求め、総移動距離が最も小さくなる設置候補場所を共用機器の設置場所として決定する設置場所決定装置がある(特許文献1参照)。
【0004】
このほか、配置に関する技術には、物流倉庫のマップとこの物流倉庫に保管する商品の出庫頻度とから、出庫頻度の高い商品が倉庫の出入口近くになるように商品の保管レイアウトを自動的に作成する物流倉庫のレイアウト設計支援方法(特許文献2参照)がある。また、オフィスにおける業務のワークスタイル(トレーディング型、プロジェクト型、コンセントレート型、トランザクション型などのワークスタイル)を分析して、オフィスに必要となる機器(装備)を決定したり、決定した各機器をオフィス内に配置できるか否かを判定し、各機器のレイアウトを行ったりする技術(特許文献3参照)などもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−302652号公報
【特許文献2】特開2002−288248号公報
【特許文献3】特開2001−184375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複合機などの共用装置で行われる印刷ジョブやスキャンジョブなどのジョブには、緊急なジョブもあれば、急ぐ必要のないジョブもある。緊急なジョブでは、ユーザは、ジョブの実行結果物である印刷物やスキャンデータを早期に取得することを望むので、自席から複合機までの距離が近いことが好ましい。一方、緊急でないジョブについては、自席から複合機までの距離が長くても問題は少ない。したがって、複合機などの共用装置の配置を評価したり提案したりする場合に、各ユーザが緊急性の高いジョブを依頼する頻度が高いか否かを考慮することが望ましい。
【0007】
しかしながら、配置の提案や評価を行う従来の技術では、上記の点は考慮されていなかった。たとえば、特許文献1に開示の技術では、各利用の重要性や緊急性にかかわらず、1回の利用を同じ重みで扱うので、ジョブの緊急性を考慮に入れた各ユーザの利用実態に即した配置を提案することはできなかった。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、ジョブの緊急性・重要度を考慮に入れて共用装置の配置を評価することのできる配置評価装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0010】
[1]複数のユーザに共用される、印刷機能を備えた共用装置に対して印刷指示を出したユーザの該印刷指示に伴う行動を検出部で検出し、
前記検出部の検出したユーザの行動に基づいて前記印刷指示に係る印刷の重要度を判定し、
ユーザ毎に、各印刷の重要度を集計し、
ユーザ毎の集計結果に基づいて、前記共用装置の配置位置を評価する
ことを特徴とする配置評価装置。
【0011】
上記発明では、印刷指示に伴うユーザの行動、たとえば、印刷指示を出してから共用装置としての印刷装置へ移動開始するまでの時間、移動開始から印刷装置へ到達するまでの時間や移動経路、印刷物を受け取ってから自席に戻るまでに時間や移動経路、などに基づいて、その印刷の重要度(緊急度)を判断する。そして、ユーザ毎に、各印刷の重要度を集計する。この集計値が大きいほど、急ぎの印刷を頻繁に行うユーザとなる。集計値の大きいユーザの近くに印刷装置が配置されることが望ましい。そこで、ユーザ別に求めた集計結果に基づいて、印刷装置の配置を評価する。
【0012】
[2]前記検出部は、前記印刷指示に伴うユーザの行動として、前記印刷指示を出してから印刷物を取得するまでの時間と、印刷物取得後にユーザが自席に戻るまでの時間との少なくとも一方を検出し、
前記判定では、検出された時間が短いほど、重要度を高くする
ことを特徴とする[1]に記載の配置評価装置。
【0013】
上記発明では、印刷指示を出してから印刷物を取得するまでの時間が短いほど、また、印刷物取得後にユーザが自席に戻るまでの時間が短いほど、重要度(緊急度)の高いジョブと判断する。
【0014】
[3]前記検出部は、前記印刷指示に伴うユーザの行動として、前記印刷指示を出してから印刷物を取得するまでの前記ユーザの移動経路と、印刷物取得後にユーザが自席に戻るまでの移動経路の少なくとも一方を検出し、
前記判定では、検出された移動経路が最短経路に近いほど、重要度を高くする
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の配置評価装置。
【0015】
上記発明では、印刷指示を出してから印刷物を取得するまでの移動経路が短いほど、また印刷物取得後にユーザが自席に戻るまでの移動経路が短いほど、重要度(緊急度)の高いジョブと判断する。
【0016】
[4]複数のユーザに共用される、原稿の読み取り機能を備えた共用装置において原稿の読み取りジョブの開始操作を行ったユーザの前記開始操作に伴う行動と、前記読み取りジョブの読み取り結果の取得に伴う前記ユーザの行動の少なくとも一方を検出部で検出し、
前記検出したユーザの行動に基づいて前記読み取りジョブの重要度を判定し、
ユーザ毎に、各読み取りジョブの重要度を集計し、
ユーザ毎の集計結果に基づいて、前記共用装置の配置位置を評価する
ことを特徴とする配置評価装置。
【0017】
上記発明では、原稿の読み取りジョブの開始操作を行ったユーザの行動、たとえば、読み取り開始操作を行ってからその読み取り結果のファイルにアクセスするまでの時間、原稿をもって自席から共用装置である読み取り装置へ移動した移動時間、移動経路、原稿読み取り後に自席に戻るまでの時間や移動経路、などに基づいて、その読み取りジョブの重要度(緊急度)を判断する。そして、ユーザ毎に、各読み取りジョブの重要度を集計する。この集計値が大きいほど、急ぎの読み取りジョブを頻繁に行うユーザとなる。集計値の大きいユーザの近くに読み取り装置が配置されることが望ましい。そこで、ユーザ別に求めた集計結果に基づいて、読み取り装置の配置を評価する。
【0018】
[5]前記共用装置は、原稿の読み取り機能をさらに備えており、
前記共用装置において原稿の読み取りジョブの開始操作を行ったユーザの前記開始操作に伴う行動と、前記読み取りジョブの読み取り結果の取得に伴う前記ユーザの行動の少なくとも一方を検出部で検出し、
前記検出したユーザの行動に基づいて前記読み取りジョブの重要度を判定し、
ユーザ毎に、各読み取りジョブの重要度を集計し、
ユーザ毎の、前記読取ジョブの重要度の集計結果と前記印刷の重要度の集計結果とに基づいて、前記共用装置の配置位置を評価する
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の配置評価装置。
【0019】
上記発明では、共用装置は、印刷機能と原稿の読み取り機能を備えた複合機であり、ユーザ毎に、印刷の重要度と読み取りジョブの重要度を集計して、複合機の配置を評価する。
【0020】
[6]前記検出部は、前記読み取り結果の取得に伴うユーザの行動として、前記開始操作を行ってから前記読み取り結果のファイルに対する操作を行うまでの時間を検出し、
前記判定では、前記検出された時間が短いほど、重要度を高くする
ことを特徴とする[4]または[5]に記載の配置評価装置。
【0021】
上記発明では、読み取りジョブの開始操作を行ってからその読み取り結果のファイルに対する操作を行うまでの時間が短いほど、そのジョブの重要度が高いと判断する。
【0022】
[7]前記検出部は、前記読み取り結果の取得に伴うユーザの行動として、前記開始操作を行ってから前記ユーザが自席に戻るまでの時間を検出し、
前記判定では、前記検出された時間が短いほど、重要度を高くする
ことを特徴とする[4]乃至[6]のいずれか1つに記載の配置評価装置。
【0023】
上記発明では、読み取りジョブの開始操作を行ってからそのユーザが自席に戻るまでの時間が短いほど、そのジョブの重要度が高いと判断する。
【0024】
[8]前記検出部は、前記読み取り指示に伴うユーザの行動として、前記ユーザが自席からの移動を開始してから前記開始操作を行うまでの時間を検出し、
前記判定では、前記検出された時間が短いほど、重要度を高くする
ことを特徴とする[4]乃至[7]のいずれか1つに記載の配置評価装置。
【0025】
上記発明では、原稿を持ったユーザが自席から共用装置である読み取り装置に向けて移動を開始してからその読み取り装置で読み取りジョブの開始操作を行うまでの時間が短いほど、そのジョブの重要度が高いと判断する。
【0026】
[9]前記検出部は、前記読み取り結果の取得に伴うユーザの行動として、前記開始操作を行ってから前記ユーザが自席に戻るまでの移動経路を検出し、
前記判定では、前記検出された移動経路が短いほど、重要度を高くする
ことを特徴とする[4]乃至[8]のいずれか1つに記載の配置評価装置。
【0027】
上記発明では、読み取りジョブの開始操作を行ってからそのユーザが自席に戻るまでの移動経路が短いほど、そのジョブの重要度が高いと判断する。
【0028】
[10]前記検出部は、読み取り指示に伴うユーザの行動として、前記ユーザが自席を立ってから前記開始操作を行うまでの移動経路を検出し、
前記判定では、前記検出された移動経路が短いほど、重要度を高くする
ことを特徴とする[4]乃至[9]のいずれか1つに記載の配置評価装置。
【0029】
上記発明では、原稿を持ったユーザが自席から共用装置である読み取り装置に向けて移動を開始してからその読み取り装置で読み取りジョブの開始操作を行うまでの移動経路が短いほど、そのジョブの重要度が高いと判断する。
【0030】
[11]前記共用装置は原稿のコピー機能をさらに有し、
ユーザ毎に、コピージョブの実行回数を集計し、
ユーザ毎のコピージョブの実行回数の集計結果をさらに加味して、前記評価を行う
ことを特徴とする[1]乃至[10]のいずれか1つに記載の配置評価装置。
【0031】
上記発明では、コピー機能を備えた共用装置においては、ユーザ毎のコピー回数の集計結果をさらに加味して、配置の評価を行う。
【0032】
[12]前記集計結果に基づいて、各ユーザの重要度を判定し、
前記判定で得た各ユーザの重要度に応じて、それぞれのユーザから前記共用装置までの距離の比率の推奨値を求める
ことを特徴とする[1]乃至[11]のいずれか1つに記載の配置評価装置。
【0033】
上記発明では、ユーザ毎の集計結果は、重要度の高いジョブを頻繁に行うユーザほど大きい値になるので、集計結果はユーザの重要度(共用装置のユーザとして重要人物であること)を示している。そこで、各ユーザの重要度に応じて、それぞれのユーザから共用装置までの距離の比率の推奨値を求める。
【0034】
[13]前記距離の比率に見合った前記共用装置の配置場所を決定して表示する
ことを特徴とする[12]に記載の配置評価装置。
【0035】
上記発明では、各ユーザと共用装置との距離がユーザの重要度に応じた比率になるような配置位置を導出して表示する。
【0036】
[14]ユーザ毎に、前記ユーザの重要度とそのユーザから前記共用装置までの距離とを乗算した重み付き移動距離を求め、複数のユーザの前記重み付き移動距離を対比表示する
ことを特徴とする[12]または[13]に記載の配置評価装置。
【0037】
上記発明では、ユーザの席から共用装置までの距離にそのユーザの重要度を乗じることでそのユーザの重み付き移動距離を求める。重みつき移動距離のユーザ間でのばらつきが少ないほど、すべてのユーザに公平な位置に配置されたことになる。そこで、各ユーザの重み付き移動距離を対比表示すれば、どのユーザの近くに共用装置を配置すべきか、といった評価が可能になる。
【0038】
[15]複数の配置場所の候補の中から、全ユーザの重み付き移動距離の合計が最小になる配置場所を推奨配置場所として表示する
ことを特徴とする[14]に記載の配置評価装置。
【0039】
上記発明では、すべてのユーザの重み付き移動距離の合計(重み付き総移動距離)が小さいほど、全ユーザ合計の移動負担が少ないことになる。そこで、全ユーザの重み付き移動距離の合計が最小になる配置場所を推奨配置場所として表示する。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係る配置評価装置によれば、ジョブの緊急性・重要度を考慮に入れて共用装置の配置を評価するので、各ユーザの利用実態により適切に即した配置の評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る配置評価装置を含む複合機システムの構成を示す説明図である。
【図2】複合機システムを採用したオフィスのレイアウトの一例を示す図である。
【図3】重要度5と判定する場合のユーザの行動パターンを示す説明図である。
【図4】重要度4と判定する場合のユーザの行動パターンを示す説明図である。
【図5】重要度3と判定する場合のユーザの行動パターンを示す説明図である。
【図6】重要度2と判定する場合のユーザの行動パターンを示す説明図である。
【図7】重要度1と判定する場合のユーザの行動パターンを示す説明図である。
【図8】複合機の概略構成を示すブロック図である。
【図9】ユーザ端末の概略構成を示すブロック図である。
【図10】情報収集端末の概略構成を示すブロック図である。
【図11】位置検出装置によるユーザの位置検出および移動軌跡の追跡方法を例示した図である。
【図12】位置検出装置による位置検出処理の流れを示す流れ図である。
【図13】情報収集端末に累積記憶される位置検出情報の一例(移動軌跡登録テーブル)を示す説明図である。
【図14】ユーザ端末での文書の印刷指示の手順を示す流れ図である。
【図15】印刷画面の一例を示す正面図である。
【図16】プリンタプロパティ画面の一例を示す正面図である。
【図17】ユーザ端末のプリンタドライバが行う動作を示す流れ図である。
【図18】ユーザ端末からPCプリントジョブを受信した複合機の動作を示す流れ図である。
【図19】ユーザ認証を受けた後の複合機の動作を示す流れ図である。
【図20】ログイン画面の一例を示す正面図である。
【図21】操作選択画面の一例を示す正面図である。
【図22】ボックスファイル印刷画面の一例を示す正面図である。
【図23】ScanToBoxジョブを投入する場合のユーザ操作の手順を示す流れ図である。
【図24】宛先ボックス選択画面の一例を示す正面図である。
【図25】ScanToBoxジョブを実行する複合機の動作を示す流れ図である。
【図26】ボックスに保存されているファイルを読み出す際にユーザがユーザ端末で行う操作の流れを示す流れ図である。
【図27】ボックス管理ページの一例を示す正面図である。
【図28】ボックス内のファイルの取得指示を受けた複合機の動作を示す流れ図である。
【図29】コピージョブ実行時の複合機の動作を示す流れ図である。
【図30】コピー設定画面の一例を示す正面図である。
【図31】情報収集端末が行う情報収集処理の流れを示す流れ図である。
【図32】印刷ジョブ履歴テーブルの一例を示す正面図である。
【図33】スキャンジョブ履歴テーブルの一例を示す正面図である。
【図34】コピージョブ履歴テーブルの一例を示す正面図である。
【図35】情報収集端末が行う集計・評価処理を示す流れ図である。
【図36】印刷ジョブの重要度を判定する際の判定条件が登録された第1判定条件テーブルを示す説明図である。
【図37】スキャンジョブの重要度を判定する際の判定条件が登録された第2判定条件テーブルを示す説明図である。
【図38】ユーザAとユーザBについての集計結果を例示した図である。
【図39】Aさんの各印刷ジョブでの移動軌跡を重ねて示した説明図である。
【図40】Bさんの各印刷ジョブでの移動軌跡を重ねて示した説明図である。
【図41】Aさんの重要度が2、Bさんの重要度が1の場合の行動例を示す説明図である。
【図42】配置場所の評価処理を示す流れ図である。
【図43】現状の設置位置と、第1の設置場所候補と、第2の設置場所候補を抽出した場合のレイアウトマップ図である。
【図44】現状の設置位置での重み付き総移動距離の算出表と、第1の設置場所候補での重み付き総移動距離の算出表と、第2の設置場所候補での重み付き総移動距離の算出表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0043】
図1は、本発明に係る配置評価装置を含む複合機システム5の構成を示している。複合機システム5は、オフィスなどに設けられたLAN(Local Area Network)などのネットワーク2に、複数のユーザによって共用される共用装置としての複合機(MFPとも記す)10と、複数台のユーザ端末30と、配置評価装置としての情報収集端末50と、ユーザ認証に供される認証サーバ62と、ユーザの携帯端末が発する信号からユーザの移動経路を検出するための複数(少なくとも3台)の検出器64と、検出器64の検出結果から各携帯端末の位置を検出する位置検出装置65などが接続されて構成される。
【0044】
複合機10は、原稿を光学的に読み取ってその複製画像を記録紙に印刷して出力するコピージョブ、読み取った原稿の画像データをファイルにして保存したり外部端末へ送信したりするスキャンジョブ、ユーザ端末30から受信した印刷データに基づいて対応する画像を記録紙に印刷して出力するPCプリントジョブ、ファクシミリ送受信ジョブなど各種のジョブを実行する機能を備えた画像形成装置である。スキャンジョブには、画像データのファイルを複合機10内のボックスと呼ばれる保存領域に保存するScanToBoxのほか、ファイルを電子メールに添付して送信するScanToEmailなどがある。
【0045】
ユーザ端末30は、複合機10に対して、PCプリントジョブを送信する機能、ScanToBoxジョブでボックスに保存したファイルにネットワーク2を通じてアクセスする機能などを果たす。
【0046】
情報収集端末50は、複合機10の配置を評価する機能を果たす。具体的には、ユーザが複合機10に投入した各ジョブの重要度(緊急度)を、たとえば、ジョブの投入操作からそのジョブの結果物をユーザが受け取るまでの時間の長さなどを基準に判断し、各ジョブの重要度をユーザ別に集計する。そして、その集計結果に基づいてユーザ毎の重要度(複合機10の利用に関する重要人物度)を求め、ユーザの重要度に応じた、複合機10の適正な配置位置を提案したり、評価したりする。
【0047】
図2は、複合機システム5を採用したオフィスのレイアウトの一例を示している。居室70の中央には、各ユーザの机と椅子が向かい合わせにして2列に配列されている。各ユーザの机上にはユーザ端末30が設置されている。居室70には、複数の出入口(ドアA、ドアB、ドアC、ドアD)がある。また居室70の壁沿いの所定箇所に複合機10が設置されている。複合機10は、居室70内に座席のある複数のユーザによって共用される。
【0048】
ここで、ジョブの重要度について説明する。ジョブの重要度(緊急度)は、ジョブを依頼したユーザのそのジョブの依頼や結果の取得に伴う行動に基づいて判断する。すなわち、ジョブを依頼してからそのジョブの結果物を受け取るために自席から複合機10に向けて直ぐに移動を開始したか、移動開始後、寄り道せずに真っ直ぐ複合機10に向かったか、複合機10での作業や印刷物の取得を終えてから自席に真っ直ぐ戻ったか、などのファクタを基準に判断する。
【0049】
図3は、重要度5と判定する場合のユーザの行動パターンを示している。なお、ここでは、重要度を1〜5とし、5は最も高い重要度とする。ユーザAが、自席のユーザ端末30Aから印刷指示を出し(PCプリントジョブを複合機10へ送信し)、その直後に自席を立って複合機10に向かって真っ直ぐに(寄り道せずに)移動し、複合機10にて印刷物を受け取ると、即座に自席へ真っ直ぐに戻る、といった行動をとった場合、そのジョブは緊急度の高い重要なジョブ(重要度5)と判断する。
【0050】
図4は、重要度4と判定する場合のユーザの行動パターンを示している。ユーザAが、自席のユーザ端末30Aから印刷指示を出し、その直後に自席を立って複合機10に向かって真っ直ぐに(寄り道せずに)移動し、複合機10にて印刷物を受け取ると、どこか(たとえば、会議室)へ行ってしまう、といった行動をとった場合、そのジョブの重要度を「4」と判断する。
【0051】
図5は、重要度3と判定する場合のユーザの行動パターンを示している。ユーザAが、自席のユーザ端末30Aから印刷指示を出し、その後、40分経過してから自席を立って複合機10に向かって真っ直ぐに(寄り道せずに)移動し、複合機10にて印刷物を受け取ると、即座に自席へ真っ直ぐに戻る、といった行動をとった場合、そのジョブの重要度を「3」と判断する。
【0052】
図6は、重要度2と判定する場合のユーザの行動パターンを示している。ユーザAが、自席のユーザ端末30Aから印刷指示を出し、その直後に自席を立って別の部屋(たとえば、トイレなど)へ行ってしまう。その後、他の部屋から戻ってきて複合機10に向かって移動し、複合機10にて印刷物を受け取ると、自席へ真っ直ぐに戻る、といった行動をとった場合、そのジョブの重要度を「2」と判断する。
【0053】
図7は、重要度1と判定する場合のユーザの行動パターンを示している。ユーザAが、自席のユーザ端末30Aから印刷指示を出し、40分経過後に自席を立って別の部屋(たとえば、トイレなど)へ行ってしまう。その後、他の部屋から戻ってきて複合機10に向かって移動し、複合機10にて印刷物を受け取ると、自席へ真っ直ぐに戻る、といった行動をとった場合、そのジョブの重要度を「1」と判断する。
【0054】
図8は、複合機10の概略構成を示すブロック図である。複合機10は、当該複合機10の動作を統括制御するCPU(Central Processing Unit)11にバス12を介して、ROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、不揮発メモリ15と、ハードディスク装置16と、表示部17と、操作部18と、ファクシミリ通信部19と、ネットワーク通信部20と、スキャナ部21と、画像処理部22と、プリンタ部23と、後処理部24とを接続して構成される。
【0055】
CPU11ではOSプログラムをベースとし、その上で、ミドルウェアやアプリケーションプログラムなどが実行される。ROM13には各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU11が処理を実行することでジョブの実行など複合機10の各機能が実現される。RAM14はCPU11がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。なお、その他の必要なプログラムはハードディスク装置16からRAM14にロードされて実行される。
【0056】
不揮発メモリ15は、電源がオフにされても記憶が保持される書き換え可能なメモリ(フラッシュメモリ)である。不揮発メモリ15には、装置固有の情報(IP(Internet Protocol)アドレスなど)や各種の設定情報などが記憶される。ハードディスク装置16は、大容量不揮発の記憶装置であり、プログラムのほか、たとえば、印刷データや画像データ、ジョブ履歴の保存などに使用される。
【0057】
複合機10の操作パネル25は表示部17と操作部18を備えて構成される。表示部17は、液晶ディスプレイなどで構成され、初期画面、操作画面、設定画面などの各種の画面を表示する。操作部18は、ユーザからジョブの投入や設定など各種の操作を受け付ける。操作部18は、表示部17の画面上に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルのほか、テンキーや文字入力キー、スタートキーなどを備えて構成される。
【0058】
ファクシミリ通信部19は、ファクシミリ機能を備えた外部装置と公衆回線を通じて画像データを送受信する。ネットワーク通信部20は、ネットワーク2を通じてユーザ端末30や情報収集端末50、認証サーバ62などと通信を行う。
【0059】
スキャナ部21は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを取得する。スキャナ部21は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学系と、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0060】
画像処理部22は、印刷データをイメージデータに変換するラスタライズ処理や、画像データに対して、画像補正、回転、拡大/縮小、圧縮/伸張など各種の画像処理を行う。
【0061】
プリンタ部23は、画像データに基づく画像を電子写真プロセスによって記録紙上に形成して出力する。プリンタ部23は、たとえば、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
【0062】
後処理部24は、プリンタ部23から印刷出力された記録紙に、ステープル、パンチ、折り、小冊子、挿入紙などの後処理(フィニッシング処理)を行う。
【0063】
図9は、ユーザ端末30の概略構成を示している。ユーザ端末30は、OSプログラム、複合機10のドライバプログラム、文書や画像を作成・編集するアプリケーションプログラム、Web(World Wide Web)ページにアクセスして表示するブラウザプログラムなどがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC)などで構成される。PCプリントジョブの投入など、複合機10に対する各種の要求は、上記のドライバプログラムによって行われる。
【0064】
ユーザ端末30は、CPU31にバス32を介して、ROM33と、RAM34と、不揮発メモリ35と、ハードディスク装置36と、表示部37と、操作部38と、ネットワーク通信部39などを接続して構成される。
【0065】
CPU31は、ROM33に格納されているプログラムに従ってユーザ端末30の動作を制御したり、ハードディスク装置36に格納されているプログラムに従って各種の処理を実行したりする。ROM33には起動用のプログラムや固定データが記憶される。RAM34は、ハードディスク装置36から読み出したプログラムが記憶される。またRAM34は、CPU31がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。
【0066】
不揮発メモリ35には、当該ユーザ端末30のシステム情報(端末情報(端末ID(IDentification))、IP(Internet Protocol)アドレスなど)やユーザ情報(ユーザID)、各種の設定情報などが記憶される。ハードディスク装置36は、大容量不揮発の記憶装置であり、OSプログラム、複合機10のドライバプログラム、各種アプリケーションプログラム、ファイル、データなどが保存される。
【0067】
表示部37は、液晶ディスプレイなどの表示装置で構成される。操作部38は、キーボードやマウスなどの操作入力装置で構成される。
【0068】
ネットワーク通信部39は、複合機10、情報収集端末50などとネットワーク2を通じて通信し各種のデータを送受信する機能を果たす。
【0069】
図10は、情報収集端末50の概略構成を示している。情報収集端末50もユーザ端末30と同様に、パーソナルコンピュータなどに所定のプログラムをインストールして構成される。詳細には、情報収集端末50は、CPU51にバス52を介して、ROM53と、RAM54と、不揮発メモリ55と、ハードディスク装置56と、表示部57と、操作部58と、ネットワーク通信部59などを接続して構成される。
【0070】
CPU51は、ROM53に格納されているプログラムに従って情報収集端末50の動作を制御したり、ハードディスク装置56に格納されているプログラムに従って各種の処理を実行したりする。ROM53には起動用のプログラムや固定データが記憶される。RAM54は、ハードディスク装置56から読み出したプログラムが記憶される。またRAM54は、CPU51がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリなどとして使用される。
【0071】
不揮発メモリ55には、当該情報収集端末50のシステム情報(端末情報(端末ID)、IPアドレスなど)、各種の設定情報やテーブルなどが記憶される。ハードディスク装置56は、大容量不揮発の記憶装置であり、OSプログラム、配置評価装置としての機能を実現するプログラム、ファイル、データなどが保存される。
【0072】
表示部57は、液晶ディスプレイなどの表示装置で構成される。操作部58は、キーボードやマウスなどの操作入力装置で構成される。
【0073】
ネットワーク通信部59は、複合機10、ユーザ端末30などとネットワーク2を通じて通信し各種のデータを送受信する。
【0074】
図11は、位置検出装置65によるユーザの位置検出および移動軌跡の追跡方法を例示している。図12は、位置検出装置65による位置検出処理の流れを示している。各ユーザには、発信機能を有する携帯端末66を携帯させる。居室70内の少なくとも3箇所には、携帯端末66が発信する信号を検出する検出器64を互いに離隔して配置してある。
【0075】
各検出器64はユーザの保持する携帯端末66の発信する電波を常に検知し、位置検出装置65は各検出器64の検知内容から各携帯端末66の位置(座標情報)を定期的に(たとえば、1秒毎に)算出する(図12、ステップS101)。たとえば、位置検出装置65は、各検出器64が受信した信号の強さからそれぞれの検出器64から携帯端末66までの距離を求め、三角測量の技術により、携帯端末66の位置(座標情報)を算出する。そして、位置検出装置65は、検出した日時と携帯端末66の識別ID(ユーザ情報)と検出した位置の座標情報とを対応付けた位置検出情報を情報収集端末50へ送信する(ステップS102)。情報収集端末50は受信した位置検出情報を累積記憶する。
【0076】
図13は、情報収集端末50に累積記憶される位置検出情報の一例(移動軌跡登録テーブル68)を示している。この例では、1秒毎のユーザAとユーザBの位置(座標情報)が時系列にかつユーザ別に登録されている。各ユーザの位置を時系列に繋げることで、そのユーザの移動軌跡を認識することができる。なお、座標の原点は任意に設定でき、たとえば、居室70のいずれか1つの隅などに設定される。
【0077】
次に、ユーザが複合機システム5においてユーザ端末30からPCプリントジョブを複合機10に送信して印刷させる場合の手順や処理について説明する。
【0078】
本例では、複合機10は、PCプリントジョブを受信した場合、直ぐには印刷せず、一旦、ボックスに保存する。そして、そのPCプリントジョブを送信したユーザが複合機10に来て、ユーザ認証を行い、ボックスに保存されている画像データ(ファイル)の印刷指示を当該複合機10の操作パネルから入力すると、印刷を行うようになっている。
【0079】
そのため、PCプリントを行う場合のユーザの行動は、まず、自席のユーザ端末30からPCプリントジョブを複合機10に対して送信する操作を行い、その後、送信先の複合機10に向かって移動し、複合機10にてユーザ認証を行い、ボックス内のファイルの印刷操作を行って印刷を実行させ、その印刷物を持って目的の場所(自席、あるいは会議室など他の部屋)へ移動する、といったものになる。
【0080】
図14は、ユーザ端末30での文書の印刷指示手順を示している。ユーザ端末30では、ユーザによる入力操作を受けて、アプリケーションプログラムにより文書が作成される(ステップS201)。その後、ユーザからアプリケーションプログラムの印刷メニューを開く操作を受けると、表示部37に印刷画面80(図15参照)を表示する(ステップS202)。
【0081】
印刷画面80のプロパティボタン81がクリックされると、表示部17にプリンタプロパティ画面84(図16参照)を表示する(ステップS203)。プリンタプロパティ画面84を通じて、ステープル、折り(中折)などの後処理(仕上げ)の設定を受け(ステップS204)、印刷画面80に戻る。
【0082】
その後、印刷画面80のOKボタン82がクリックされて印刷指示を受ける(ステップS205)。OKボタン82がクリックされると、プリンタドライバはPCプリントジョブを複合機10に対して送信する。
【0083】
図17は、ユーザ端末30のプリンタドライバが行う動作を示している。ユーザ端末30のプリンタドライバは、図15の印刷画面80で印刷指示(OKボタン82のクリック)を受けると(ステップS301;Yes)、印刷画面80およびプリンタプロパティ画面84で受けた設定内容に従って、各種パラメータの解釈とデータ変換を行って設定ファイルを作成し(ステップS302)、さらに文書の画像データのプリントファイルへの変換を行う(ステップS303)。作成した設定ファイルとプリントファイル、端末情報(端末ID、ユーザ情報)などを含むPCプリントジョブを生成し、指定の複合機10に送信する(ステップS304)。
【0084】
図18は、ユーザ端末30からPCプリントジョブを受信した複合機10の動作を示している。複合機10は、ユーザ端末30のプリンタドライバからPCプリントジョブ(印刷ジョブデータ)を受信し(ステップS401)、その受信が完了すると(ステップS402;Yes)、受信完了時刻(ジョブ受信完了日時)と、当該PCプリントジョブに含まれるユーザ情報と、自装置で割り当てたジョブIDとを関連付けたジョブ履歴を作成して記憶する(ステップS403)。
【0085】
続いて、受信したPCプリントジョブのプリントファイルに対してラスタライズ処理を行い(ステップS404)、ビットマップファイルに変換した画像データをRAM14に格納する(ステップS405)。さらに、その画像データ(印刷データ)を、当該受信したPCプリントジョブのユーザ情報が示すユーザのボックスにファイルとして保存し(ステップS406)処理を終了する。
【0086】
図19は、ユーザ認証を受けた後の複合機10の動作を示す流れ図である。複合機10は、待機状態では、操作パネルの表示部17に図20に示すようなログイン画面90を表示する(ステップS501)。ログイン画面90には、ユーザID入力欄91、パスワード入力欄92、ソフトキーボード93、ログイン釦94などが表示されている。なお、操作パネル25には、ハードキーとして、テンキー18aやスタートキー18bが設けてある。
【0087】
ユーザが、ソフトキーボード93等を使用して自身のユーザIDとパスワードをユーザID入力欄91およびパスワード入力欄92にそれぞれ入力すると、複合機10はその入力内容を、対応する入力欄91、92に表示する(ステップS502)。その後、ログイン釦94の押下操作を受けると(ステップS503;Yes)、入力されたユーザIDとパスワードを認証サーバ62に送信して認証の成否を問い合わせる(ステップS504)。
【0088】
認証サーバ62から認証失敗の応答を受けた場合は(ステップS505;No)、認証エラーを表示して(ステップS506)、ステップS501に戻る。
【0089】
認証成功の応答を受けた場合は(ステップS505;Yes)、図21に示す操作選択画面100を表示部17に表示する(ステップS507)。操作選択画面100には、実行する機能を選択する釦として、Box釦101と、ScanToBox釦102と、コピー釦103が表示されている。
【0090】
ここで、ユーザからBox釦101の押下操作を受けると(ステップS508;Yes)、ログイン情報よりユーザを特定し、そのユーザのボックスに保存されているファイル(印刷ジョブ)の一覧を、図22に示すボックスファイル印刷画面110にて表示する(ステップS509)。ボックスファイル印刷画面110には、各ファイルについて、そのファイル名とそのファイルに係るPCプリントジョブの受信日時とがリスト表示される。ユーザは、印刷対象のファイルを、ファイル名の表示箇所を押下することで選択することができる。複合機10のCPU11は、該選択操作を受けると、選択されたファイルの表示箇所を黒白反転表示する(ステップS510)。
【0091】
複合機10は、印刷対象のファイルが選択された状態でスタートキー18bの押下操作を受けると(ステップS511;Yes)、その選択されたファイルの印刷処理を行う(ステップS512)。具体的には、印刷対象のファイルをボックスから読み出し、対応する画像をプリンタ部23で記録紙に印刷して出力する。また、後処理(ステープル、折り)が設定されている場合には、後処理部24は、プリンタ部23から出力された印刷済みの記録紙に後処理を行って出力する。
【0092】
CPU11は、印刷対象のファイルの印刷が完了すると、このファイルに対応するPCプリントジョブのジョブIDとユーザ情報とジョブ受信完了日時(以上は、図18のS403で記憶したもの)と、ジョブ印刷完了日時(印刷終了時刻)とを関連付けたジョブ情報を情報収集端末50に送信して(ステップS513)、本処理を終了する。
【0093】
なお、複合機10は、操作選択画面100においてScanToBox釦102が押下操作された場合は(ステップS514;Yes)、ScanToBox処理を行い(ステップS515)、コピー釦103が押下操作された場合は(ステップS516;Yes)、コピー処理を行う(ステップS517)。
【0094】
次に、ScanToBoxジョブを行う場合の手順や処理について説明する。
【0095】
ScanToBoxジョブを行う場合のユーザの行動は、まず、自席などから原稿を持って複合機10に向かって移動し、複合機10にてユーザ認証を行い、原稿を読み取らせてそのファイルを複合機10のボックス内に保存する。その後、たとえば、自席に戻り、自分のユーザ端末30にてブラウザを開き、このブラウザから複合機10に対して先ほど読み取ってボックスに保存したファイルの取得指示を送って、ファイルを入手する、といったものになる。
【0096】
図23は、ScanToBoxジョブを投入する場合のユーザの操作手順を示している。ユーザは複合機10においてログインした後、スキャナ部21の原稿台に原稿をセットする(ステップS601)。そして、操作選択画面100(図21)にてScanToBox釦102を操作する。該操作を受けると複合機10は、表示部17に図24に示す宛先ボックス選択画面120を表示する。この宛先ボックス選択画面120においてユーザは、読み取った画像データを格納するボックスを選択し(ステップS602)、スタートキー18bを押下する(ステップS603)。
【0097】
図25は、ScanToBoxジョブを実行する複合機10の動作(図19のS515に対応する動作)を示す流れ図である。ScanToBoxジョブが選択された状態でスタートキー18bの押下操作を受けると(ステップS541;Yes)、スキャナ部21で原稿の読み取りを行う(ステップS542)。読み取った画像データを所定の形式のファイルにデータ変換し(ステップS543)、そのファイルを、指定されたボックスに保存する(ステップS544)。さらに保存完了の時刻(読み取り完了日時)を記録し(ステップS545)、該日時と、当該ScanToBoxジョブを投入したユーザのユーザ情報と、当該ScanToBoxジョブのジョブIDとを関連付けて記憶し(ステップS546)、本処理を終了する。
【0098】
図26は、ボックスに保存されているファイルを読み出す際にユーザがユーザ端末30で行う操作の流れを示している。ユーザは、たとえば、自己のユーザ端末30にてブラウザを開き(ステップS621)、複合機10内のボックスに対する各種操作を受け付けるためのWebページ(図27に示すようなボックス管理ページ130)にアクセスする。たとえば、該当する複合機10のIPアドレスを入力することでこのWebページを開く。
【0099】
図27のボックス管理ページ130には、ボックスに対する操作(開く、作成する、削除する)の種類を選択する機能釦131、各ユーザのボックスに格納されているファイルとそのスキャン日時を一覧に表したファイルリスト132などが表示されている。
【0100】
ユーザは、ファイルリスト132からボックスおよびファイルを指定し(ステップS622、S623)、さらにそのファイルの取得を図示しない釦を押下して指示する(ステップS624)。
【0101】
図28は、ボックス内のファイルの取得指示を受けた複合機10の動作を示している。CPU11は、ユーザ端末(PC)30からファイルの取得指示を受けると、その指定されたファイルを、その取得指示の送信元のユーザ端末30に対して送信する(ステップS561)。さらに、このファイルをボックスに保存しときに図25のS546で記録した保存時刻(読み取り完了日時)とユーザ情報とジョブIDと、ユーザ端末30へこのファイルの送信が完了したファイル送信完了日時とを関連付けたジョブ情報を情報収集端末50へ送信して(ステップS562)、処理を終了する。
【0102】
次に、コピージョブを行う場合の手順や処理について説明する。
【0103】
コピージョブを行う場合のユーザの行動は、まず、自席などから原稿を持って複合機10に向かって移動し、複合機10にてユーザ認証を行い、原稿を読み取らせてコピーを行い、原稿とその複製物を持って目的の場所(自席や会議室など)へ移動する、といったものになる。
【0104】
図29は、コピージョブ実行時の複合機10の動作を示している。ユーザは、複合機10においてログインした後、スキャナ部21の原稿台に原稿をセットし、操作選択画面100(図21)にてコピー釦103を選択し、コピーに関する各種の設定を、図30に示すようなコピー設定画面140を通じて行う。その後、スタートキー18bが押下されると、複合機10は、コピー処理を行い(ステップS581)、当該コピージョブのジョブIDと、ログイン中のユーザのユーザ情報(ユーザID)と、コピー実施日時とを関連付けたジョブ情報を情報収集端末50へ送信して(ステップS582)処理を終了する。
【0105】
次に、情報収集端末50の動作について説明する。
【0106】
図31は、情報収集端末50が行う情報収集処理の流れを示している。情報収集端末50は、何らかの情報を受信すると(ステップS701;Yes)、その情報の種類を判別し、印刷ジョブに係るジョブ情報であれば(ステップS702;Yes)、該受信した印刷ジョブのジョブIDと、ユーザ情報(ユーザID)と、ジョブ受信完了日時と、ジョブ印刷完了日時とを関連付けて、印刷ジョブ履歴テーブル150(図32参照)に登録し(ステップS703)、再びステップS701に戻って次の受信を待機する。
【0107】
受信した情報がScanToBoxジョブのジョブ情報の場合は(ステップS704;Yes)、その受信したScanToBoxジョブのジョブIDと、ユーザ情報(ユーザID)と、ファイル送信完了日時と、読み取り完了日時とを関連付けて、スキャンジョブ履歴テーブル160(図33参照)に登録し(ステップS705)、再びステップS701に戻って次の受信を待機する。
【0108】
受信した情報がコピージョブのジョブ情報の場合は(ステップS706;Yes)、その受信したコピージョブのジョブIDと、ユーザ情報(ユーザID)と、コピー実施日時とを関連付けて、コピージョブ履歴テーブル170(図34参照)に登録し(ステップS707)、再びステップS701に戻って次の受信を待機する。
【0109】
受信した情報が位置検出装置65からの位置検出情報の場合は(ステップS708;Yes)、その受信した位置検出情報を、図13に示すような移動軌跡登録テーブル68に登録し(ステップS709)、再びステップS701に戻って次の受信を待機する。
【0110】
図35は、情報収集端末50が行う集計・評価処理を示している。情報収集端末50のCPU51は、印刷ジョブ履歴テーブル150(図32)に登録されている各印刷ジョブにつき、印刷指示が送信された日時(ジョブ受信完了日時)から印刷出力完了(ジョブ印刷完了日時)までの経過時間(1)を算出する(ステップS801)。なお、集計対象期間を設定した場合には、その集計対象期間内にジョブの実行日時があるジョブだけを対象に集計評価を行う。
【0111】
情報収集端末50は、各印刷ジョブにつき、印刷出力完了時刻(ジョブ印刷完了日時)の直前にその印刷ジョブに係るユーザが自席から移動を開始した時刻を、移動軌跡登録テーブル68(図13)から検索する。たとえば、ユーザAがあるジョブの印刷指示を出したユーザである場合、そのジョブのジョブ受信完了日時の直前におけるユーザAの移動状況を移動軌跡登録テーブル68から調べ、自席から移動を開始した時刻を特定する。そして、移動開始から印刷出力完了(ジョブ印刷完了日時)までの経過時間(2)を算出する(ステップS802)。経過時間(2)は、自席から複合機10に向かって急いで移動したか、寄り道などをしていたかを判定する指標になる。
【0112】
各印刷ジョブにつき、印刷指示が送信された日時(ジョブ受信完了日時)から移動開始までの経過時間(3)を算出する。経過時間(3)は、そのジョブについて求めた、経過時間(1)から経過時間(2)を減算して求める(ステップS803)。経過時間(3)は、印刷指示を出してから直ぐに移動を開始したか否かを示す指標になる。
【0113】
さらに、各印刷ジョブにつき、印刷完了時刻(ジョブ印刷完了日時)の直後の自席に戻った時刻を移動軌跡登録テーブル68から検索する。たとえば、ユーザAがあるジョブの印刷指示を出したユーザである場合、そのジョブのジョブ印刷完了日時の直後におけるユーザAの移動状況を移動軌跡登録テーブル68から調べ、自席に戻った時刻を特定する。そして、印刷完了日時から自席に戻るまでの経過時間(4)を算出する(ステップS804)。経過時間(4)は印刷物を取ってから自席に真っ直ぐに(急いで)戻ったか否かを示す指標になる。
【0114】
次に、各印刷ジョブの重要度を、各印刷ジョブについて求めた上記経過時間(2)、(3)、(4)から判定する(ステップS805)。
【0115】
図36は、印刷ジョブの重要度を判定する際の判定条件が登録された第1判定条件テーブル180である。第1判定条件テーブル180によれば、印刷完了から自席に戻るまでの経過時間(4)が5分以内、もしくは、自席から移動を開始して印刷完了するまでの経過時間(2)が5分以内のとき(A欄)に、印刷データ受信完了から移動開始までの経過時間(3)が5分以内ならば重要度5、経過時間(3)が5分を超えて30分以内ならば重要度4、経過時間(3)が30分を超えるならば重要度3となる。
【0116】
また、印刷完了から自席に戻るまでの経過時間(4)が5分を超えて30分以内、もしくは、自席から移動を開始して印刷完了するまでの経過時間(2)が5分を超えて30分以内のとき(B欄)に、印刷データ受信完了から移動開始までの経過時間(3)が5分以内ならば重要度4、経過時間(3)が5分を超えて30分以内ならば重要度3、経過時間(3)が30分を超えるならば重要度2となる。
【0117】
印刷完了から自席に戻るまでの経過時間(4)が30分を超える、もしくは、自席から移動を開始して印刷完了するまでの経過時間(2)が30分を超えるとき(C欄)に、印刷データ受信完了から移動開始までの経過時間(3)が5分以内ならば重要度3、経過時間(3)が5分を超えて30分以内ならば重要度2、経過時間(3)が30分を超えるならば重要度1となる。
【0118】
図35に戻って説明を続ける。次に、印刷ジョブの実行回数を、ユーザ別、重要度別に集計する(ステップS806)。たとえば、ユーザA、Bについて集計する場合、ユーザAによる重要度5のジョブの回数と、ユーザAによる重要度4のジョブの回数と、ユーザAによる重要度3のジョブの回数と、ユーザAによる重要度2のジョブの回数と、ユーザAによる重要度1のジョブの回数を求める。また、ユーザBによる重要度5のジョブの回数と、ユーザBによる重要度4のジョブの回数と、ユーザBによる重要度3のジョブの回数と、ユーザBによる重要度2のジョブの回数と、ユーザBによる重要度1のジョブの回数とを求める。
【0119】
次にScanToBoxジョブ(スキャンジョブとも呼ぶ)について集計する。すなわち、スキャンジョブ履歴テーブル160(図32)に登録されている各スキャンジョブにつき、読み取り完了日時から、ユーザ端末30でファイルを取得する日時(ファイル送信日時)までの経過時間(5)を算出する(ステップS807)。
【0120】
上記経過時間(5)に基づいて、各スキャンジョブの重要度を判定する(ステップS808)。
【0121】
図37は、スキャンジョブの重要度を判定する際の判定条件が登録された第2判定条件テーブル190である。たとえば、第2判定条件テーブル190によれば、読み取り完了日時からファイル送信日時までの経過時間(5)が5分以内ならば重要度5と判定し、経過時間(5)が5分を超えて10分以内ならば重要度4、経過時間(5)が10分を超えて20分以内ならば重要度3、経過時間(5)が20分を超えて30分以内ならば重要度2、経過時間(5)が30分を超える場合は重要度1と判定する。
【0122】
図35に戻って説明を続ける。次に、スキャンジョブの実行回数を、ユーザ別、重要度別に集計する(ステップS809)。
【0123】
さらに、コピージョブ履歴テーブル170に登録されているコピージョブについて、実行回数をユーザ別に集計する(ステップS810)。
【0124】
次に、ユーザ毎に、印刷ジョブ、スキャンジョブの各回数を重要度別に集計し、コピージョブの回数も考慮に入れて、各ユーザの重要度を求める(ステップS811)。
【0125】
ここでは、ユーザ別に以下の集計を行う。プリントジョブについて、重要度毎に、重要度×回数を求め、それらを全重要度について合計した値Pと、スキャンジョブについて、重要度毎に、重要度×回数を求め、それらを全重要度について合計した値Sと、コピーの実行回数Cとの合計値を、そのユーザの重要度として求める。
【0126】
図38は、ユーザA(Aさん)とユーザB(Bさん)についての上記集計の集計結果を例示している。同図(A)はAさんの集計結果、同図(B)はBさんの集計結果である。Aさんの場合、重要度5の印刷ジョブ(プリント)を20回(5×20=100)、重要度4の印刷ジョブを10回(4×10=40)、重要度3の印刷ジョブを4回(3×4=12)、重要度2の印刷ジョブを1回(2×1=2)、重要度1の印刷ジョブを0回(1×0=0)行っているので、印刷ジョブに関する重要度の累計は154となる。
【0127】
またスキャンジョブについては、重要度5のスキャンジョブ(スキャン)を10回(5×10=50)、重要度4のスキャンジョブを5回(4×5=20)、重要度3のスキャンジョブを3回(3×3=9)、重要度2のスキャンジョブを1回(2×1=2)、重要度1のスキャンジョブを1回(1×1=1)行っているので、スキャンジョブに関する重要度の累計は82となる。コピージョブの実行回数は15回なので、Aさんの重要度は154+82+15=251となる。また、図38(B)によれば、Bさんの重要度は120となっている。
【0128】
このようにして求めた各ユーザの重要度から、ユーザ同士の重要度の比率を示す重要度比率を求める(ステップS812)。上記の例では、AさんとBさんの重要度比率は、251:120となる。
【0129】
この重要度比率から各ユーザと複合機10との距離比率を求め、最適な配置を提案したり、配置を評価したりする(ステップS813)。
【0130】
たとえば、重要度比率と、各ユーザと複合機10との距離の比率とが、逆比になるような配置を推奨する。上記の場合、AさんとBさんの重要度比率は251:120なので、Aさんの座席から複合機10までの距離LaとBさんの座席から複合機10までの距離Lbとが、La:Lb=120:251となるような配置を推奨する。また、Aさんの座席から複合機10までの実際の距離をLaR、Bさんの座席から複合機10までの実際の距離をLbRとすると、LaRとLbRとの比が、120:251にどれだけ近い比率になっているかによって、現在の配置の良否を評価する。
【0131】
図39はAさんの各印刷ジョブでの移動軌跡を重ねて示しており、図40はBさんの各印刷ジョブでの移動軌跡を重ねて示している。このような多数のジョブの履歴から、各ユーザの重要度を判定する。
【0132】
図41は、Aさんの重要度が「2」、Bさんの重要度が「1」の場合の例を示している。複合機10は既存の位置Paに配置する場合に比べて、新規の位置Pbに配置すると、距離比率は、Aと複合機10間の距離:Bと複合機10間の距離=1:2となり、ユーザの重要度比率の逆比と一致し、最適な設置場所となる。図中では、既存の位置PaにおけるAさんの移動経路201およびBさんの移動経路202を破線で、新規の位置Pbに複合機10を設置した場合のAさんの移動経路211およびBさんの移動経路212を実線で示してある。
【0133】
図42は、配置場所の評価処理の他の例を示している。ここでは、フロアのレイアウトマップから複合機10を設置可能な場所の候補を抽出し、どの設置場所候補が最適かを判断するようになっている。詳細には、情報収集端末50のCPU51は、予め取得している各ユーザ端末30および複合機10の設置場所情報等からフロアレイアウトのマップを作成して表示する(ステップS841)。
【0134】
作成されたフロアレイアウト上で、複合機10を設置可能な場所(設置場所候補)を抽出する(ステップS842)。たとえば、複合機10の設置に必要な条件を予め登録しておき、その条件を満たす場所を設置場所候補として抽出する。設置の条件には、複合機10の設置に必要な床面積のほか、電源コンセントまでの距離、壁沿いか否か、ドアとの距離などがある。
【0135】
次に、各設置場所候補から、各ユーザの席までの距離を算出する(ステップS843)。そして、設置場所候補のそれぞれについて、その場所に複合機10を設置した場合における、ユーザ毎の重み付き移動距離を求める。重み付き移動距離とは、ユーザの重要度にそのユーザの席から複合機10までの距離を乗じた値である。
【0136】
次に、設置場所候補毎に、全ユーザの重み付き移動距離の合計(重み付き総移動距離)を求め(ステップS845)、重み付き総移動距離が最小となる設置場所候補を、複合機10の設置推奨場所とし、この場所を推奨する表示を行う(ステップS846)。
【0137】
図43は、現状の設置位置221と、第1の設置場所候補222と、第2の設置場所候補223を抽出した場合のレイアウトマップを示している。図43には、現状の設置位置221でのAさんの移動経路231、Bさんの移動経路232、第1の設置場所候補222に複合機10を設置した場合のAさんの移動経路241、Bさんの移動経路242、第2の設置場所候補223に複合機10を設置した場合のAさんの移動経路251、Bさんの移動経路252を示してある。
【0138】
図44は、現状の設置位置221での重み付き総移動距離の算出表261と、第1の設置場所候補222での重み付き総移動距離の算出表262と、第2の設置場所候補223での重み付き総移動距離の算出表263を示している。情報収集端末50は、このような設置場所毎の算出表を評価結果として表示部57に対比表示する。
【0139】
各重み付き総移動距離の算出表261、262、263における「重要度を考慮した総計」の数値は、ユーザの重要度であり、図38で求めた値に対応している。
【0140】
重み付き総移動距離の算出表261に示すように、現状の設置位置221の場合、Aさんから複合機10までの距離は3m、Bさんから複合機10までの距離は1mである。ユーザAの重み付き移動距離は、重要度を考慮した総計(ユーザの重要度)×複合機=251×3=753となる。ユーザBの重み付き移動距離は、120×1=120となり、ユーザAとユーザBの重み付き移動距離を合計した重み付き総移動距離は873となる。
【0141】
重み付き総移動距離の算出表262に示すように、第1の設置場所候補222の場合、Aさんから複合機10までの距離は1m、Bさんから複合機10までの距離は3mである。ユーザAの重み付き移動距離は、251×1=251、ユーザBの重み付き移動距離は、120×3=360となり、ユーザAとユーザBの重み付き移動距離を合計した重み付き総移動距離は611となる。
【0142】
重み付き総移動距離の算出表263に示すように、第2の設置場所候補223の場合、Aさんから複合機10までの距離は4m、Bさんから複合機10までの距離は5mである。ユーザAの重み付き移動距離は、251×4=1004、ユーザBの重み付き移動距離は、120×5=600となり、ユーザAとユーザBの重み付き移動距離を合計した重み付き総移動距離は1604となる。
【0143】
よって、上記の場合、重み付き総移動距離が最小の第1の設置場所候補222が推奨設置場所となる。なお、配置の評価方法や評価結果の表示方法は上記の例に限定されるものではない。
【0144】
このように、本実施の形態では、ユーザが複合機10に投入した各ジョブの重要度(緊急度)を、ジョブの投入操作からそのジョブの結果物をユーザが取得するまでの時間などを基準に判断し、各ジョブに割り当てた重要度をユーザ別に集計し、その集計結果に基づいてユーザ毎の重要度を求め、ユーザの重要度に応じた複合機10の適正配置を提案したり、配置位置を評価したりするので、ジョブの緊急性を考慮に入れた各ユーザの利用実態に即した配置を提案することができる。
【0145】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0146】
ジョブの重要度を集計する際に、集計対象の期間を設定できるようにするとよい。たとえば、直近の1ヶ月、1週間というような設定方法、集計対象期間の開始日と終了日を設定する設定方法などがある。
【0147】
実施の形態では、移動開始までの時間や移動に要した時間など「時間」を基準にジョブの重要度を判定したが、移動軌跡を追跡している場合は、移動経路の長さを基準にしてもよい。すなわち、自席から複合機10まで最短経路で移動しているか、寄り道しているかを調べ、移動経路が最短経路に近いほど重要度の高いジョブ(このジョブのためだけに移動したので重要度が高い)と判断してもよい。複合機10から自席への帰路についても同様に、最短経路で戻るほど重要なジョブと判断する。
【0148】
たとえば、複合機10の操作パネル25でユーザ認証されたとき、その認証されたユーザのログイン前の移動軌跡を解析し、自席から複合機10までの移動が最短経路に近いか否かを判別する。また印刷完了後やスキャン完了後のユーザの移動軌跡を解析することで、そのユーザが複合機10から自席にどの程度最短経路に近い経路で戻ったかなどを判別することができ、これらに基づいてジョブの重要度を判断する。なお、往路と帰路の両方から判断してもよいし、何れか一方のみでもよい。
【0149】
実施の形態では、スキャンジョブについては、原稿を読み取ってからその読み取り結果のファイルにユーザがアクセスするまでの時間を判断要素としてそのジョブの重要度を判断したが、判断要素の種類や数はこれに限定されない。たとえば、原稿を持って自席を立ってから複合機10に到達するまでの時間や移動経路、スキャン終了から自席に戻るまでの時間や移動経路などの判断要素を考慮に入れてジョブの重要度(緊急度)を判定するようにしてもよい。
【0150】
たとえば、ScanToEmailの場合には、スキャン結果は宛先へ送信するので、そのスキャン結果を取得するために自席のPCから複合機10のボックスにアクセスすることはないので、原稿を読み取ってからその読み取り結果のファイルにユーザがアクセスするまでの時間を基準にしてそのジョブの重要度を判断することはできない。しかし、自席から複合機10までの移動時間や移動経路、複合機10から自席に戻るまでの移動時間や移動経路に基づいて、すなわち、時間や経路が最短値に近いほど、そのスキャンジョブの重要度が高いと判断することができる。
【0151】
コピージョブについても、移動開始から複合機10に到達するまでの時間や移動経路の長さ、およびまたは、コピー後、複合機10から自席に戻るまでの時間や移動経路に基づいて、そのコピージョブの重要度を判断してもよい。すなわち、時間や移動経路が最短に近いほど、そのコピージョブの重要度が高いと判断するようにしてもよい。
【0152】
コピージョブについても重要度を求める場合には、実施の形態で示した印刷ジョブの場合と同様に、コピージョブの重要度を考慮した集計を行えばよい。
【0153】
また、移動時間や移動経路などに基づいてどのような重要度を与えるかは任意に設定すればよい。また重要度は1から5に限定されるものではなく、任意に設定すればよい。
【0154】
印刷ジョブの重要度と、スキャンジョブの重要度と、コピージョブの重要度(或いは回数)を集計してユーザの重要度を求める際に、ジョブの種類に応じた重み付けを行うように構成してもよい。実施の形態では、図38に示すように、ジョブの種類による重み付けを行わずに、「重要度を考慮した総計」を求めたが、たとえば、プリントの小計は2倍にする、といった重み付けをして各小計を合計するようにしてもよい。また、ジョブの種類に応じた重み付けの割合は、ユーザが任意に設定変更できるようにするとよい。
【0155】
実施の形態では、共用装置として複合機10を例に説明したが、印刷機能、スキャン機能、コピー機能の中の少なくとも1つの機能を有する装置であって複数のユーザで共有される装置であればよい。たとえば、複写機やプリンタ、スキャナなどであってもよい。
【0156】
ジョブの重要度を判断する要素は、実施の形態では、印刷指示から移動開始までの時間、移動開始から複合機10に到達するまでの時間、印刷完了から自席に戻るまでの時間などとしたが、ジョブの重要度を判断する判断要素はこれらをすべて使用する必要はなく、1または2以上の任意の判断要素に基づいて判断すればよい。スキャンジョブやコピージョブについて重要度を判断する場合についても、任意の1または2以上の要素に基づいて判断すればよい。
【0157】
たとえば、印刷ジョブでは、印刷指示を出してから印刷物を取得するまでの時間と、印刷物取得後にユーザが自席に戻るまでの時間と、印刷指示を出してから印刷物を取得するまでのユーザの移動経路と、印刷物取得後にユーザが自席に戻るまでの移動経路の中の1または2以上の判断要素に基づいて印刷ジョブの重要度を判断してもよい。
【0158】
スキャンジョブでは、原稿の読み取りジョブの開始操作を行ったユーザの開始操作に伴う行動や読み取りジョブの読み取り結果の取得に伴うユーザの行動に基づいてジョブの重要度を判断する。すなわち、自席から複合機10へ向かう時間や移動経路、複合機10から自席に戻るまでの時間や移動経路、あるいはスキャン結果のファイルにアクセスするまでの時間、などの判断要素の中の1または2以上の任意の判断要素に基づいてスキャンジョブの重要度を判断してもよい。コピージョブの重要度を判断する場合も同様である。
【0159】
また、実施形態では配置評価装置としての機能を情報収集端末50が備えた例を説明したが、配置評価装置としての機能を複合機10などの共用装置が具備するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0160】
2…ネットワーク
5…複合機システム
10…複合機
11…CPU
12…バス
13…ROM
14…RAM
15…不揮発メモリ
16…ハードディスク装置
17…表示部
18…操作部
18a…テンキー
18b…スタートキー
19…ファクシミリ通信部
20…ネットワーク通信部
21…スキャナ部
22…画像処理部
23…プリンタ部
24…後処理部
25…操作パネル
30…ユーザ端末
31…CPU
32…バス
33…ROM
34…RAM
35…不揮発メモリ
36…ハードディスク装置
37…表示部
38…操作部
39…ネットワーク通信部
50…情報収集端末
51…CPU
52…バス
53…ROM
54…RAM
55…不揮発メモリ
56…ハードディスク装置
57…表示部
58…操作部
59…ネットワーク通信部
62…認証サーバ
64…検出器
65…位置検出装置
66…携帯端末
68…移動軌跡登録テーブル
70…居室
80…印刷画面
81…プロパティボタン
82…OKボタン
84…プリンタプロパティ画面
90…ログイン画面
91…ユーザID入力欄
92…パスワード入力欄
93…ソフトキーボード
94…ログイン釦
100…操作選択画面
101…Box釦
102…ScanToBox釦
103…コピー釦
110…ボックスファイル印刷画面
120…宛先ボックス選択画面
130…ボックス管理ページ
131…機能釦
132…ファイルリスト
140…コピー設定画面
150…印刷ジョブ履歴テーブル
160…スキャンジョブ履歴テーブル
170…コピージョブ履歴テーブル
180…第1判定条件テーブル
190…第2判定条件テーブル
221…現状の設置位置
222…第1の設置場所候補
223…第2の設置場所候補
261、262、263…重み付き総移動距離の算出表
Pa…現状の設置位置
Pb…改善後の設置位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザに共用される、印刷機能を備えた共用装置に対して印刷指示を出したユーザの該印刷指示に伴う行動を検出部で検出し、
前記検出部の検出したユーザの行動に基づいて前記印刷指示に係る印刷の重要度を判定し、
ユーザ毎に、各印刷の重要度を集計し、
ユーザ毎の集計結果に基づいて、前記共用装置の配置位置を評価する
ことを特徴とする配置評価装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記印刷指示に伴うユーザの行動として、前記印刷指示を出してから印刷物を取得するまでの時間と、印刷物取得後にユーザが自席に戻るまでの時間との少なくとも一方を検出し、
前記判定では、検出された時間が短いほど、重要度を高くする
ことを特徴とする請求項1に記載の配置評価装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記印刷指示に伴うユーザの行動として、前記印刷指示を出してから印刷物を取得するまでの前記ユーザの移動経路と、印刷物取得後にユーザが自席に戻るまでの移動経路の少なくとも一方を検出し、
前記判定では、検出された移動経路が最短経路に近いほど、重要度を高くする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の配置評価装置。
【請求項4】
複数のユーザに共用される、原稿の読み取り機能を備えた共用装置において原稿の読み取りジョブの開始操作を行ったユーザの前記開始操作に伴う行動と、前記読み取りジョブの読み取り結果の取得に伴う前記ユーザの行動の少なくとも一方を検出部で検出し、
前記検出したユーザの行動に基づいて前記読み取りジョブの重要度を判定し、
ユーザ毎に、各読み取りジョブの重要度を集計し、
ユーザ毎の集計結果に基づいて、前記共用装置の配置位置を評価する
ことを特徴とする配置評価装置。
【請求項5】
前記共用装置は、原稿の読み取り機能をさらに備えており、
前記共用装置において原稿の読み取りジョブの開始操作を行ったユーザの前記開始操作に伴う行動と、前記読み取りジョブの読み取り結果の取得に伴う前記ユーザの行動の少なくとも一方を検出部で検出し、
前記検出したユーザの行動に基づいて前記読み取りジョブの重要度を判定し、
ユーザ毎に、各読み取りジョブの重要度を集計し、
ユーザ毎の、前記読取ジョブの重要度の集計結果と前記印刷の重要度の集計結果とに基づいて、前記共用装置の配置位置を評価する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の配置評価装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記読み取り結果の取得に伴うユーザの行動として、前記開始操作を行ってから前記読み取り結果のファイルに対する操作を行うまでの時間を検出し、
前記判定では、前記検出された時間が短いほど、重要度を高くする
ことを特徴とする請求項4または5に記載の配置評価装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記読み取り結果の取得に伴うユーザの行動として、前記開始操作を行ってから前記ユーザが自席に戻るまでの時間を検出し、
前記判定では、前記検出された時間が短いほど、重要度を高くする
ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1つに記載の配置評価装置。
【請求項8】
前記検出部は、前記読み取り指示に伴うユーザの行動として、前記ユーザが自席からの移動を開始してから前記開始操作を行うまでの時間を検出し、
前記判定では、前記検出された時間が短いほど、重要度を高くする
ことを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1つに記載の配置評価装置。
【請求項9】
前記検出部は、前記読み取り結果の取得に伴うユーザの行動として、前記開始操作を行ってから前記ユーザが自席に戻るまでの移動経路を検出し、
前記判定では、前記検出された移動経路が短いほど、重要度を高くする
ことを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1つに記載の配置評価装置。
【請求項10】
前記検出部は、読み取り指示に伴うユーザの行動として、前記ユーザが自席を立ってから前記開始操作を行うまでの移動経路を検出し、
前記判定では、前記検出された移動経路が短いほど、重要度を高くする
ことを特徴とする請求項4乃至9のいずれか1つに記載の配置評価装置。
【請求項11】
前記共用装置は原稿のコピー機能をさらに有し、
ユーザ毎に、コピージョブの実行回数を集計し、
ユーザ毎のコピージョブの実行回数の集計結果をさらに加味して、前記評価を行う
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の配置評価装置。
【請求項12】
前記集計結果に基づいて、各ユーザの重要度を判定し、
前記判定で得た各ユーザの重要度に応じて、それぞれのユーザから前記共用装置までの距離の比率の推奨値を求める
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1つに記載の配置評価装置。
【請求項13】
前記距離の比率に見合った前記共用装置の配置場所を決定して表示する
ことを特徴とする請求項12に記載の配置評価装置。
【請求項14】
ユーザ毎に、前記ユーザの重要度とそのユーザから前記共用装置までの距離とを乗算した重み付き移動距離を求め、複数のユーザの前記重み付き移動距離を対比表示する
ことを特徴とする請求項12または13に記載の配置評価装置。
【請求項15】
複数の配置場所の候補の中から、全ユーザの重み付き移動距離の合計が最小になる配置場所を推奨配置場所として表示する
ことを特徴とする請求項14に記載の配置評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2012−226545(P2012−226545A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93371(P2011−93371)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】