説明

配送管理方法

【課題】
配送物受け渡し時の受取人に対する正確な本人認証と、配送人の横領等の不正を防ぐことを目的とする。
【解決手段】
営業所端末511は、配送物の配送情報からハッシュ値を生成し、これを元に2つの電子割符A1150、電子割符B1160を生成する。電子割符A1150とEメールのバージョンNo.をバーコードA303に格納し、配送案内メールによって受取人携帯電話301へ送信する。また、電子割符B1160をバーコードB203に格納し、バーコードプリンタ512を用いて配送物の配送伝票202へ印刷して配送する。受取人は、配送人携帯電話402を用いて、バーコード読取り器530を用いて電子割符A1150と電子割符B1160を読取り、読取った電子割符A1150と電子割符B1160を合成し、復号化してハッシュ値を復元する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送物の配送における受取人の認証を行う技術に関する。その中でも特に、その配送管理方法及び装置と受取人の本人認証方法及び装置や受取人が携帯電話を所有しているときに好適な本人認証方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
書留郵便や宅配などの配送業務において、配送物の受け渡しは、配送人が受取人の認印またはサインを受領することによって行なわれている。例えば、特許文献1には、各戸に電子署名情報を配布し、配送人に電子署名情報を送付することによって受領証明とする例がある。しかし、受け取った配送物が正確な配送物であるかを保証するものではない。配送時の本人認証に電子割符を用いる例は、特許文献2に記載されているが、具体的な配送システムについて言及していない。
【0003】
【特許文献1】特開2003−196350号公報
【0004】
【特許文献2】特開2001−331450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術においては、上述のとおり、書留郵便や宅配などの配送業務においては、受取人の認印またはサインによって本人確認を行なっている。この方法では、配送先の住所において受領を行なった人物が正当な受取人でない場合でも、配送物が受け渡される可能性がある。また、配送人が不正に認印を押印またはサインをすることによって、配送物を横領する可能性もある。
【0006】
このように、従来の方法では、受取人の本人認証が甘いため、不正な配送人または不正な受取人による配送物の横領が起こりうるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、配送人が正当な受取人に正当な配送物を配送する方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明では、配送物に関する配送情報を二つに分割して、第1の電子割符と第2の電子割符を生成し、これを用いて本人確認を行うこととした。
【0009】
本発明は、書留郵便や宅配などの配送において、配送情報のハッシュ値から電子割符を生成し、一方を配送物の配送伝票内のバーコードへ格納し、他方を受取人の携帯電話へ送信し、配送物受け渡し時にそれらを合成して公開鍵によって復号化し、元のハッシュ値と一致しているかどうかを照合する。もし照合結果が一致していれば、正当な受取人として配送物を受け渡す。もし一致していなければ、正当な受取人ではないと判断し、配送物は受け渡さない。電子割符は営業所において配送情報から公開鍵暗号によって生成されるので、受取人または配送人が電子割符を偽造することは不可能である。
【0010】
また、照合を営業所において行なうため、不正な受取人による配送物の受け取りを防ぐだけでなく、配送人の横領も防ぐことができる。したがって、電子割符を用いることによって、正当な受取人に正当な配送物を受け渡すことが可能となる。
【0011】
さらに、受取人が不在の場合に、受取人が認めた代理の受取人へ電子割符を送信することにより、正当な代理受取人へ正当な配送物を受け渡すことが可能となる。
【0012】
なお、本明細書のバーコードとは、機械的に読み取り可能な情報を表現した符号であって、2次元バーコードも含まれる。また、本発明には、バーコードの他、情報を格納する磁気媒体、ICタグ(カード)などを利用することも含まれる。また、配送物には、郵便物(書留郵便を含む)、宅配、インタネットショッピング、カタログショッピングなどでの商品の受取りが含まれる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、配送物における受取人の認証を実現することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図1から図15を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明における情報・物の流れについて示したものであり、図4は、各装置における処理をシーケンス図で表わしたものである。まず、図1を用いて簡単に本実施例の処理の流れを説明する。まず、依頼人101が、宅配業者の営業所(含むコンビニエンスストアなどの取次店)102に配送物を持ち込むとともに配送依頼をする。配送依頼には、通常通り受取人の住所などの配送情報を営業所に提示する(1)。ここで、より好適には、受取人105の携帯電話などの受取人端末のアドレスが含まれる。次に、配送情報を分割した電子割符Aの内容を示すバーコードAを受取人端末に送信する(2)。そして、配送作業を行う配送人104の配送人端末に対して、営業店毎の公開鍵を送信しておく(3)。そして、実際に配送物を配送人104が配送作業を行う(4)。ここで、配送物には、伝票として、電子割符Bが格納されたバーコードB(もしくは記憶媒体)が添付される。そして、配送人104は、受取人105のところへ配送物を持参していく。このとき、受取人105からバーコードAの提示を受ける(5)。そして、配送人104は、バーコードAと配送物のバーコードBに基づいて、ハッシュ値を作成し、営業所102に送信する(6)。そして、営業店102では、ハッシュ値に基づいて照合を行い、その結果を配送人104に送信する(7)。照合結果が正当なものであれば、配送物を受取人105に引き渡す(8)。
【0016】
以下、図4及び図5を用いて、本実施例の情報処理の詳細を説明する。図4及び図5において、営業所端末511は、バーコードA303のバージョンNo.を生成し、また配送情報を元に電子割符A1150、電子割符B1160を生成する。生成したバージョンNo.及び電子割符A1150、電子割符B1160からバーコードA303、バーコードB203を生成し、バーコードA303は通信網103を介して受取人携帯電話301へEメールによって送信する。バーコードB203はバーコードプリンタ512を用いて配送伝票202上に印刷する。
【0017】
受取人の住所において、バーコード読取り器530につながれた配送人携帯電話402は、配送伝票202のバーコードB203内の電子割符B1160を読み取り、受取人携帯電話301上に表示されるバーコードA303内のバージョンNo.と電子割符A1150を読み取る。配送人携帯電話402は電子割符A1150、電子割符B1160からハッシュ値を復元し、バージョンNo.及びハッシュ値を通信網103を介して営業所端末511へ送信する。営業所端末511はバージョンNo.及びハッシュ値の照合を行ない、照合結果を通信網103を介して配送人携帯電話402へ送信する。配送人は配送結果がOKなら配送物を受取人へ受け渡すことになる。
【0018】
営業所端末511が電子割符A1150、B1160を生成するときのフローチャートを示したものが図10である。まず配送情報からハッシュ値を生成する(ステップ1001)。次にハッシュ値を秘密鍵で暗号化し、署名データを生成する(ステップ1002)。そして、署名データを二つに分割し、電子割符A1150と電子割符B1160を生成する(ステップ1003)。図11では、電子割符A1150、電子割符B1160生成の流れを数値例を用いて表わしている。
【0019】
配送人携帯電話402がハッシュ値を復元するときのフローチャートを示したものが図1313である。まず電子割符A1150と電子割符B1160を合成して、署名データを復元する(ステップ1301)。次に署名データを営業所端末511から送信された公開鍵によって復号化し、ハッシュ値を復元する(ステップ1302)。図14では、ハッシュ値復元の流れを数値例を用いて表わしている。
【0020】
図6〜図9は各装置の持つ手段を表わしている。営業所端末511は、Eメール送受信手段、バージョンNo.生成手段、鍵ペア生成・格納手段、ハッシュ値生成手段、署名データ生成手段、電子割符生成手段、バーコード生成手段、バージョンNo.照合手段、ハッシュ値照合手段を有している。バーコードプリンタ512は配送伝票202作成手段を有している。受取人携帯電話301は、Eメール送受信手段、バーコードA303の画面表示手段を有している。配送人携帯電話402は、Eメール送受信手段、公開鍵格納手段、署名データ復元手段、ハッシュ値復元手段を有している。バーコード読取り器530は、バーコード読取り手段を有している。
【0021】
図12は、営業所端末511が扱うデータのデータテーブルを示す。営業所端末511では、配送情報、バージョンNo.、ハッシュ値、秘密鍵、公開鍵、署名データ、電子割符A1150、電子割符B1160、バーコードA、バーコードBのデータを扱う。配送情報は受注No.、配送指定日時、受取人住所、受取人氏名、依頼人氏名、品名から構成される。バーコードAは電子割符A1150、バージョンNo.から構成される。バーコードBは配送情報、電子割符B1160から構成される。
【0022】
図15は、配送人携帯電話402が扱うデータのデータテーブルを示す。配送人携帯電話402では、電子割符A1150、電子割符B1160、バージョンNo.、署名データ、公開鍵、ハッシュ値、照合結果のデータを扱う。
受取人携帯電話301におけるバーコードA303の表示例を示したものが図3である。配送案内とともにバーコードA303が携帯画面上に表示される。
配送伝票202におけるバーコードB203の表示例を示したものが図2である。配送伝票202内にバーコードB203が印刷される。
【0023】
上述の実施の形態においては、バーコードを受取人へEメールで送信していたが、代わりにバーコードの記載されたはがきを送付することも可能である。また、携帯電話の代わりにPDAを用いることも可能である。
【0024】
さらに、電子割符を格納する記録媒体としてバーコードを用いたが、バーコードの代わりにICタグ(カード)など他の電子媒体を用いても本発明を同様に利用することができる。
【0025】
以上述べたように、本実施例によれば、配送物側と受取人携帯電話側の二つの電子割符を照合することによって、受取人の本人認証を正確に行なうことができ、また、配送人の横領等の不正も防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、配送物の受取人の認証を、コンピュータを用いて実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明における情報及び物の流れの図である。
【図2】配送物に貼付される配送伝票の図である。
【図3】受取人の携帯電話へ送信される配送案内メールの図である。
【図4】本発明における各装置の処理のシーケンス図である。
【図5】本発明における装置の構成図である。
【図6】営業所端末が有する手段である。
【図7】バーコードプリンタが有する手段である。
【図8】受取人携帯電話が有する手段である。
【図9】配送人の携帯電話及びバーコード読取り器が有する手段である。
【図10】営業所端末における電子割符生成のフローチャートである。
【図11】数値例をともなった電子割符生成の流れである。
【図12】営業所端末において取り扱うデータのデータテーブルである。
【図13】配送人の携帯電話におけるハッシュ値復元のフローチャートである。
【図14】数値例をともなったハッシュ値復元の流れである。
【図15】配送人の携帯電話において取り扱うデータのデータテーブルである。
【符号の説明】
【0028】
202 配送伝票
203 バーコードB
301 受取人携帯電話
303 バーコードA
401 営業所システム
402 配送人携帯電話
511 営業所端末
512 バーコードプリンタ
530 バーコード読取り器
1150 電子割符A
1160 電子割符B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送物の受け渡しにおいて受取人の認証を実施する配送管理方法において、
前記配送物の配送を管理する配送サーバが、
前記配送物に関する情報である配送情報を含む配送依頼を受け付け、
所定の秘密鍵を用いて前記配送情報に対応する署名データを生成し、
前記署名データを分割して第1の電子割符及び第2の電子割符を生成し、
前記署名データ、前記第1の電子割符および前記第2の電子割符を識別するバージョン情報を作成し、
前記バージョン情報、前記署名データ及び前記第2の電子割符を対応付けて媒体に格納し、
前記第1の電子割符および前記バージョン情報を、前記受取人が利用する受取人端末に送信し、
前記配送物の配送の際に前記受取人端末から前記配送物の配送人が利用する配送人端末を介して送信される前記バージョン情報及び前記第1の割符を受信し、
前記記憶媒体に格納され、受信した前記バージョン情報に対応する第2の電子割符と送信された前記第1の割符を合成して署名データを復号し、
復号された前記署名データと前記記憶媒体に格納された署名データを比較し、
比較結果を前記配送人端末に送信し、
送信された比較結果により、前記受取人が正当な受取人であることの認証を可能とする配送管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の配送管理方法において、
前記配送サーバは、前記配送情報からハッシュ値を生成し、
生成された前記ハッシュ値に対して前記秘密鍵を用いて署名データを生成することを特徴とする配送管理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の配送管理方法において、
第1の電子割符および前記バージョン情報を、バーコード形式で前記受取人端末に送信することを特徴とする配送管理方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の配送管理方法において、
前記記憶媒体は、前記配送物に添付されることを特徴とする配送管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2005−213020(P2005−213020A)
【公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−24993(P2004−24993)
【出願日】平成16年2月2日(2004.2.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】