説明

酒類容器

【課題】
本発明では、装飾を施す際に内容物の品質劣化を引き起こさず、幅広い利用場所において、貰った人を喜ばせる装飾が施された酒類容器を提供することを目的とする。
【解決手段】
開示する酒類容器は、ガラス製の酒類容器であって、当該酒類容器の胴体部分の外周形状に合わせて曲成され、該胴体外周部分に設置される金属板と、前記胴体外周部分に前記金属板を囲むように施され、当該酒類容器を送られる人に向けた祝いを意味する装飾である装飾部と、を有し、前記金属板上には、前記送られる人がカラー画像で描かれており、当該酒類容器の中に酒類が充填され栓で閉じられた後で、かつ、該栓が開けられる前に、前記金属板が設置され、前記装飾部が施されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酒類を充填した容器の外周に装飾を施す技術に関する。
【背景技術】
【0002】
どんな人でも、何かの記念にプレゼントを貰うと、嬉しいと感じる。一方、プレゼントを贈った方も、プレゼントを貰ってくれた人が喜んでくれると、嬉しいと感じるものである。このように、プレゼントを贈るという行為は、人間関係を円滑にしてくれるものである。
【0003】
さらに、上記のプレゼントに装飾を施せば、その装飾が人の美的感覚に訴えることで、プレゼントを貰った人の「嬉しい」という感情を増幅させることが一般に良く知られている。
【0004】
そうした中、プレゼントとして酒類などボトル状のものを贈る場合を想定し、当該ボトルに装飾を施す技術について種々の提案がなされている。例えば、特許文献1乃至特許文献3では、ボトルに彫刻や成型などで、文字や柄などの凹凸を施し、さらに、該凹部にブラックライトに反応して発光する塗料を使用して、ボトルに装飾を施す技術が提案されている。
【0005】
他方、特許文献以外であっても、上記ボトルへの装飾として、ボトル表面へカラー画像を直接印刷したもの、カラー画像を印刷した紙媒体をボトル表面に貼付したものが見受けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3127267号公報
【特許文献2】実開平05−065842号公報
【特許文献3】特開平2005−138906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記ブラックライトに反応する塗料を使用する技術では、暗い場所などでしか当該塗料の装飾効果を発揮できず、利用環境が制限されてしまうという問題点があった。
【0008】
また、上記ボトル表面へカラー画像を直接印刷する技術では、印刷時に、ボトルに振動を与えるタイプのものやボトルに熱を加えるタイプのものがあり、ボトルに充填された酒類の品質を悪化させ、さらに、内容物が発泡性の酒類であった場合、ボトルを破損させる恐れもあるという問題点があった。
【0009】
また、上記ボトル表面へ直接印刷されたカラー画像は、印刷品質が低い場合が多い上に、当該カラー印刷を行う機器設定・環境設定が難しい場合が多いという問題点があった。
【0010】
さらに、上記カラー画像を印刷した紙媒体をボトル表面に貼付する技術では、長期保存した場合の色褪せ、ボトルが濡れた場合の紙媒体の品質劣化など種々の問題点があった。
【0011】
そこで本発明では、上記問題点に鑑み、装飾を施す際に内容物の品質劣化を引き起こさず、幅広い利用場所において、貰った人を喜ばせる装飾が施された酒類容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
開示する酒類容器の一形態は、ガラス製の酒類容器であって、当該酒類容器の胴体部分の外周形状に合わせて曲成され、該胴体外周部分に設置される金属板と、前記胴体外周部分に前記金属板を囲むように施され、当該酒類容器を送られる人に向けた祝いを意味する装飾である装飾部と、を有し、前記金属板上には、前記送られる人がカラー画像で描かれており、当該酒類容器の中に酒類が充填され栓で閉じられた後で、かつ、該栓が開けられる前に、前記金属板が設置され、前記装飾部が施されることを特徴とする。
【0013】
また、開示する酒類容器の一形態は、前記金属板上に描かれる前記送られる人のカラー画像が、熱転写用媒体上に作製された該カラー画像に係る転写箔を、前記金属板上に熱転写したものであっても良い。
また、開示する酒類容器の一形態は、発泡性の酒類が充填されていても良い。
【発明の効果】
【0014】
開示する酒類容器は、内容物の品質劣化を引き起こさず、幅広い利用場所において、貰った人を喜ばせる装飾が施されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態に係る酒類容器の全体を示す図である。
【図2】本実施の形態に係る金属板の斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る金属板の正面図である。
【図4】本実施の形態に係る熱転写用媒体上に作製されたカラー画像に係る転写箔を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
(酒類容器の構造)
【0017】
図1乃至図4を用いて、本実施の形態に係る酒類容器100の構造について説明する。図1は、酒類容器100の全体概要を説明する図である。図2は、金属板110の斜視図であり、図3は、金属板110の正面図である。図4は、金属板110にカラー画像を熱転写する処理を説明する図である。
【0018】
図1で示すように、酒類容器100は、ガラス製の酒類容器であって、金属板110、装飾部120、酒類製造元が施した装飾部130を有する。ここで、装飾部130は、酒類容器100の製造元が製造・販売当初から施している装飾である。そして、金属板110及び装飾部120は、酒類容器100の中に酒類が充填され栓で閉じられた後、かつ、該栓が開けられる前、つまり、酒類容器100が開栓される前に、金属板110が設置され、装飾部120が施されるため、装飾部130も当初形態を留めている。
【0019】
ここで、酒類容器100は、酒類容器100が開栓される前に、金属板110が設置され、装飾部120が施されるため、酒類容器100へ与えた振動・熱等の影響が内容物(充填物)である酒類に影響を与えないように考慮されている。
【0020】
図1及び図2で示すように、金属板110は、その表面に、酒類容器100をプレゼントとして贈られる人などがカラー画像で描かれている。こうするで、酒類容器100をプレゼントされる人を驚かせ、感激させ、喜ばせることができる。
【0021】
また、金属板110は、金属を材料とし、例えば、アルミニウム合金を材料とすることが好適である。こうすることで、酒類容器100の外観に豪華さを出すことができ、それに伴い、酒類容器100をプレゼントされる人を驚かせ、感激させ、喜ばせることができる。
【0022】
図2及び図3で示すように、金属板110は、酒類容器100の胴体部分の外周形状に合わせて曲がった形(反った形)に形成されている。そして、金属板110は、酒類容器100の胴体部分外周に、接着剤などで接着される。
【0023】
図4で示すように、金属板110表面に描かれるカラー画像は、一旦、フィルム状の熱転写用媒体140上に転写箔として形成され、その後、当該転写箔は熱転写用媒体140から金属板110上に熱転写される。ここで、熱転写用媒体140上における転写箔の形成には、ナビタス株式会社製の(オンデマンド転写箔プリンタ)NAP−7Hが使用される。また、熱転写用媒体140から金属板110上へ行われる、転写箔の熱転写には、ナビタス株式会社製の(ロール式熱転写装置)RH−150が使用される。
【0024】
図1乃至図3で示すように、金属板110表面には、例えば、ラインストーンによる装飾や凹凸を付けた意匠的な装飾のように種々の装飾を施すことが可能である。こうすることで、酒類容器100をプレゼントされる人をより驚かせ、感激させ、喜ばせることができる。
【0025】
図1で示すように、装飾部120は、酒類容器100の胴体部分外周上に、金属板110を囲むように施される。これは、金属板110の装飾を際立たせるようにするためである。また、装飾部120は、酒類容器100を贈られる人に向けた祝いの言葉やデザインなどが施される。酒類容器100は、何かの記念にプレゼントとして贈られることを想定しており、装飾部120は、例えば、誕生日の記念であれば「HAPPY BIRTH DAY」、結婚の記念であれば「HAPPY WEDDING」などの言葉や、それらを観念的に想起させるようなデザインが施される。装飾部120があることによって、酒類容器100をプレゼントされた人の「貰って嬉しい」という気持ちを増幅させることができる。
【0026】
また、装飾部120における装飾は、白黒の網点描写による画像彫刻、酒類容器100表面の彫刻加工、ブラックライトに反応する塗料を使用したデザインなど種々の装飾を組み合わせて行うことが好適である。
【0027】
なお、先に述べた通り、酒類容器100への金属板110の設置及び装飾部120の形成は、酒類容器100が開栓される前に、つまり、酒類容器100の中に酒類を充填した状態で行われる。
【0028】
また、酒類容器100への装飾は、極力、酒類容器100自体に振動を与えないようにすることが配慮されているため、酒類容器100の内容物(充填物)は、スパークリングワインなど発泡性の酒類であることが好適である。酒類容器100自体に振動を与えないようにすることで、酒類容器100の破損、内容物(充填物)の風味などの劣化を防止することができる。
(酒類容器の使用方法)
【0029】
ここでは、酒類容器100の使用方法について説明する。酒類容器100は、当初販売時と変わらぬ品質(内容物は風味)を保っているため、酒類容器100をプレゼントされた人は、通常の開栓方法に従って開栓し、充填されている酒類を飲むことができる。また、空の酒類容器100は、装飾品としても使用することができる。
一方、酒類容器100は、当初販売時と変わらぬ品質を保っているため、開栓せずに、記念品(置き物)として長期保管しても、何ら問題は生じない。
(総括)
【0030】
酒類容器100は、何かの記念にプレゼントとして贈られることを想定しており、例えば、ギフトボックスに入れて贈られる場合、そのギフトボックスを開けると、金属板110に描かれた自分(自分たち)の鮮明なカラー画像、それを囲むように描かれる祝いの装飾120が最初に目に入る。従来の品質の悪いカラー画像や白黒画像で描かれたものと比べると、贈られた人に与える印象に大きな違いがある。
【0031】
また、従来技術と比べ、酒類容器100は、内容物(充填物)である酒類に、熱、振動を与えないようにして装飾が施されているので、開栓後、元来の内容物(充填物)の風味を味わうことができる。
【0032】
また、従来技術と比べ、酒類容器100は、内容物(充填物)である酒類に、熱、振動を与えないようにして装飾が施されているので、容器破損のリスクが小さい。
【0033】
また、装飾としてカラー印刷を施した紙製シールを貼付する従来技術と比べ、酒類容器100は、長期保存、濡れた場合のデザイン性の劣化に強い。特に、結婚の記念などとして酒類容器100を贈られた場合、記念として長期保管されることも多いと想定され、長期保存に強いことは大きな優位性を有している。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
100 酒類容器
110 金属板
120 装飾部
130 酒類製造・販売元が施した装飾部
140 熱転写用媒体
150 転写箔(カラー画像に係る転写箔)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製の酒類容器であって、
当該酒類容器の胴体部分の外周形状に合わせて曲成され、該胴体外周部分に設置される金属板と、
前記胴体外周部分に前記金属板を囲むように施され、当該酒類容器を送られる人に向けた祝いを意味する装飾である装飾部と、を有し、
前記金属板上には、前記送られる人がカラー画像で描かれており、
当該酒類容器の中に酒類が充填され栓で閉じられた後で、かつ、該栓が開けられる前に、
前記金属板が設置され、前記装飾部が施されることを特徴とする酒類容器。
【請求項2】
前記金属板上に描かれる前記送られる人のカラー画像が、熱転写用媒体上に作製された該カラー画像に係る転写箔を、前記金属板上に熱転写したものであることを特徴とする請求項1に記載の酒類容器。
【請求項3】
発泡性の酒類が充填されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の酒類容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−63796(P2013−63796A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204328(P2011−204328)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(511227967)有限会社R.A.C (1)
【Fターム(参考)】