説明

酪農食品及び穀物食品向けに事前糊化させたコーンフラワーの連続製造

例えば、酪農食品及び穀物食品向けの超微細及び微細コーンフラワーの連続製造中に亜硫酸塩による前加熱処理を用いて、澱粉質胚乳の事前糊化及びタンパク質の変性を制御するために、全粒コーンの熱的、機械的、化学的、及び生物学的又は酵素処理を行う急速前加熱処理方法を提供する。
酪農食品及び穀物食品向けに事前糊化されたフラワーコーンを連続製造するための製法及び装置は、不溶性繊維、澱粉、及びタンパク質の部分加水分解を行うように加工助剤としてメタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又は亜硫酸水素ナトリウム液を用いた前加熱処理を含む。これとともに、事前糊化及び変性が制御され、穀粒の洗浄および廃水への固形物損失は減少し、粉砕に最適な所望レベルに含水率が安定化される。そして、予め調整された穀粒を製粉及び乾燥させて、均一な部分的加熱処理を行う。そして、乾燥粉砕粒子を冷却及び更に乾燥させる。そして、粗粉から、このように生成された超微細粉を遠心選別及び回収する。粗粉は更に吸引されて、コーンブラン留分が除去される。それを更に製粉して、全粒コーン及び部分的な全粒フラワー用に微細ブランを得る。単離された粗粉を再製粉し、更にふるい分けして、穀物食品向けの微細コーンフラワーを得る。そして、微細フラワーのみを石灰水に混和し、トルティーヤ用マサフラワーを生成する。微細フラワーのみを石灰で混和してマサフラワーを得る。超微細コーンフラワーは、酪農食品向けの助剤又は補助フラワーとして用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事前糊化させたコーンフラワーを製造するための酸性前加熱処理に関する。より詳細には、亜硫酸塩還元剤を、酪農食品及び穀物食品加工向けの超微細コーン及び微細フラワーの製造中に用いる食品加工助剤として用いて、不溶性食物繊維の連続部分加水分解を実現し、過剰な事前糊化及び変性を回避する酸性前加熱処理に関する。
【背景技術】
【0002】
高品質マサ及びコーンフラワーの製造は、食品用コーンが以下の特徴を有する場合に限り、従来の技術によって実現できる。即ち、穀粒サイズ及び硬度が均一である、応力亀裂及び穀粒の破損が少ない、及び石灰水による加熱処理中に果皮の除去が容易である、という特徴である。フリントコーン、ポップコーン、フラワー(粉)、デント及びスイートという5つの一般分類は、穀粒の特徴に基づいている。デントコーンは、フリントとフラワーの交配種であるため、遺伝子及び環境要因により、角質胚乳の紛質胚乳に対する比は著しく異なる。角質胚乳(硬く半透明)の紛質胚乳(柔らかく不透明)に対する比は、デントコーンの場合、平均して約2:1であろう。食品用コーン(U.S. No.2: USFGC, 1996)を、最終製品になる前に部分的に加熱して加熱処理済みコーンフラワーとすることは知られている。ホワイトカーネルコーンは、水分11.0−11.5%、澱粉/非澱粉多糖類72.2−73.2%、タンパク質9.8−10.5%、脂肪分3.7−4.6%、及び灰分1.1−1.7%を含んでよい。例えば、乾式製粉したコーン試料は、乾燥重量で総胚乳74.8−76.2%、胚芽18.9−20.5%、ブラン(ふすま)3.3−6.3%であってよい。成熟デント粒(Watson, 1987; FAO, 1993)は、4つの選別可能な成分を有している。即ち、乾燥重量で、先端キャップ(tip cap)(0.8−1.1%)、果皮(5.1−5.7%)及び糊粉(2.0−3.0%)、胚乳(78.3−81.9%)、及び胚芽(10.2−11.9%)である。乾式又は湿式製粉工程において、選別されたブランは、果皮、先端キャップ、糊粉層(ブランとともに単離)、及び澱粉胚乳の粘着部を含む。天然のコーンブランは、胚乳組織及び糖タンパク質から生じる多少の澱粉(4−22%)及びタンパク質(5−8%)も含んでいる(Saulnier et al. 1995及びHromadkova et al. 1995)。乾式製粉工程における主要産物は、紛質及び角質胚乳の単離部であり、これらは進歩的な製粉、ふるい分け(又は分級)、及び吸引工程により回収される。湿式製粉により澱粉を回収するためには、浸漬処理においてアルカリ又は還元剤(好ましくは二酸化硫黄)を用いてコーン(又は胚乳)を処理することにより、胚乳細胞内部の顆粒をタンパク質基質(グルテン)から放出させなければならない。
【0003】
ニシュタマリゼーション(アルカリ水溶液処理)されたコーンフラワー(NCF)は、コーンのアルカリ性加熱処理(加熱及び浸漬)、洗浄、ニシュタマル(アルカリ水溶液処理されたトウモロコシ)の製粉、及び乾燥ステップにより製造され、コーンマサフラワーを生じさせる。この前加熱処理されたフラワーはふるい分けされ、異なる製品用途向けにブレンドされる。通常、市販向け又は包装トルティーヤ及びトウモロコシ原料食品向けに包装される前に、添加物が追加される。果皮又はブランは、アルカリ性加熱処理及び洗浄工程段階中に部分的に除去されるが、コーン粒からくる繊維はまだ残っている(米国特許番号4,513,018)。
【0004】
メキシコのマサフラワー及び小麦製粉産業は、1999年、フラワートルティーヤやパン向けの小麦粉、及びトルティーヤ向けのニシュタマリゼーションされたコーンフラワー等の主食フラワーに微量栄養素を添加するという連邦政府の合意書に調印した。小麦粉ブランドの約66%は、第一鉄及び葉酸で強化されており、一方、全マサフラワーは、還元鉄、亜鉛、ビタミンB群で更に強化されている(トルティーヤ消費量の少なくとも30%に相当する)。
【0005】
コーントルティーヤと小麦トルティーヤ及びパンとの間には、物理化学的なフラワー組成、原料成分、生地作成、及びベーキング(焼き)工程に関して著しい差がある。穀物製品は、ブラン及び胚芽を取り除いた小麦フラワー(原料を形成)を用いる。パンを作るために用いた生地や類似の製品は、常に、コーントルティーヤ生地よりも多くの原料成分を含んでいる。例として、テクスチャ調整剤(ショートニング、塩、砂糖/シロップ)、膨張剤(重炭酸ナトリウム及び/又はイースト)、並びに特徴付け薬剤(風味/薬味、ゴム(粘剤)及び抗菌性添加剤)がある。コーントルティーヤの基本原料は、ニシュタマリゼーションされた全粒コーン、又は石灰水で前加熱処理されたコーンフラワーを含み、べーキング用生地の作成及び包装の前に混合される水及び抗菌性又は機能的添加剤を含む(米国特許番号3,730,732)。
【0006】
微量栄養素の損失は、多くの場合、製粉中に起きる。これは精製工程の早い段階のうちの一段階である。製粉中にブラン層及び胚芽層は除去され、抗酸化剤化合物をほとんど含まない残りの澱粉胚乳はすりつぶされ、穀物食品(パン及びトルティーヤ)を作るためのフラワーにされる。全粒粉製品は、ブラン及び胚芽を残している。これが、食物繊維(ヘテロキシラン)と相乗的に又は独立して作用するフェノール酸(フェルラ酸/ジフェルラ酸、クマル酸及びバニリン酸)とフィチン酸とをもたらし、冠動脈疾患、結腸癌、及び2型糖尿病(インスリン耐性)の危険性を低下させる。コーン中に存在する総フェノール酸の約69%が、不溶性結合構造(b−グリコシド)であり、フェルラ酸が主要化合物である。コーンヘテロキシラン側鎖からのフェルロイルオリゴ糖は、酸加水分解により単離、又はフェルラ酸糖エステルとして可溶化できる。これはスイートコーンの熱処理(115℃25分の処理は、総フェノール成分を54%まで高める効果がある)に付随しており、低密度リポタンパク質の酸化への抑制効果は、遊離フェルラ酸よりも良好である。推奨される最低限一日3食の全粒粉を消費すると、抗酸化物質及び食物繊維の摂取量が増加し、心臓疾患の危険性を25−36%低下させることであろう(Decker et al. 2002)。世界で生産される穀物の上位は、小麦、米、及びコーンである。
【0007】
全粒粉を含む新たな焼き食品は、以下の又はその他の関連する健康表示を掲げるラベルを付ける資格を得てよい。即ち、a)「癌の発生要因は多数あるが、食物繊維を含む穀物製品、果物、及び野菜が多く、脂肪分が少ない食べ物をとることで、癌の危険性が低下する場合もある」(21 CFR 101.76)、並びにb)「心臓疾患の発生要因は多数あるが、食物繊維を含む穀物製品、果物、及び野菜が多く、飽和脂肪分及びコレステロールが少ない食べ物をとることで、血液中のコレステロールレベルが下がり、心臓疾患の危険性が低下する場合もある」(21 CFR 101.77及び81:FDA/DHHS, 2004)である。
【0008】
昨今の傾向によれば、肥満は、年間死亡数について癌に対抗して2005年までに死因の第1位となるであろう。太り過ぎや肥満の状態は、2型糖尿病、高血圧、高コレステロール血症、ぜんそく、関節炎、並びに健康状態の不良に関わっている。極低脂肪、高炭水化物の食事に最善を尽くす人もいるが、炭水化物摂取量の低下に応じる人もいる(Atkins Foundation, 2005)。WHO(DHHS, 2003)は、不健康な食事と運動不足が、世界的に見て60%の死亡率と47%の疾病率を有する慢性疾患の主な原因であると考えている。これらの問題は、裕福な諸国に限らず、発展途上国世界でも、特に若年人口の間で急速に広まっている。
【0009】
WHO(2003)の報告(非伝染性疾病−心臓血管、2型糖尿病及び特定の癌の統合的防止:食事に対する世界戦略、運動と健康の案(Drat global strategy on Diet, Physical Activity and Health))では、脂肪分を総エネルギー摂取量の15%から30%に限定し、飽和脂肪分を10%未満に限定する食事を推奨した。炭水化物(全粒粉)は、容量必要量で55%から75%の割合を占めるべきであるが、遊離糖類は10%以下にとどまるべきである。タンパク質摂取量は、約10%から15%にとどまるべきである。大抵の疾患は、間違った生活様式及び食事に起因する。現在の食習慣は人々を不健康にし、弱らせ、寿命を短くし、心の健康を悪くしてしまう(予防は治療に勝り、健康は宝(Know Thyself-prevention is better than cure and health is wealth):SSSB, 1995)。
【0010】
細胞膜又は非澱粉多糖類(NSP)は、主要なコーン食物繊維成分であり、ヘミセルロース(ヘテロキシラン又はペントサン及びβ−グルカン:4.4−6.2%)、セルロース(2.5−3.3%)、及び多少のリグニン(0.2%)からなる。Watson(1987:表IV及びVII)によれば、コーン果皮/先端キャップは、穀粒の乾燥重量の6−7%を占め、糊粉−胚乳は約2−3%を有する。この果皮についても、不溶性繊維を90%(ヘミセルロース67%及びセルロース23%)、可溶性繊維を0.6%(可溶性アラビノキシラン及びβ−グルカン)のみ含む。ブラン(4.9%)と胚乳(2.6%)の食物繊維は、全食物繊維の80%を占めると推定される。コーンの不溶性繊維は、主にブランと胚乳(糊粉及び澱粉)に存在し、これは全食物繊維の68%(乾燥重量で9.5%)を占める。
【0011】
全コーンブラン層は、外(あまかわ又は殻)、内(横および管細胞)、珠心層及び胚乳(糊粉及び澱粉)細胞膜から構成される。可溶性繊維が全食物繊維(4.1%)の12%に達するコーンの胚乳(ひき割りトウモロコシ)とは異なり、全粒小麦において、可溶性繊維は、全繊維の22%に相当する(フラワー水揚げ量の約20%は、可溶性ペントサン分となるはずである)。ヘテロキシランポリマーは、コーン細胞膜のセルロース骨格にフェルラ酸(3.1%または31,000ppmの乾燥重量)及びジフェルラ酸(0.5%)を介してエステル結合により明らかに架橋結合されている。しかしながら、コーンブランにおけるヘテロキシランの不溶性は、小麦ブランとは対照的に、タンパク質−多糖類の結合(果皮糖タンパク質)と、高度に分岐した構造(23%線形)とに起因する可能性もある(Saulnier el al. 1995)。米国では、植物油、マーガリンやスプレッド、ヨーグルト、スナックバー、サラダドレッシング、栄養補助食品、及び健康飲料におけるステロールの使用について、米国食品医薬品局(FDA)からGRAS表示(食品安全表示)が認定されている。一食(50グラム)当たり少なくともステロールエステル0.65グラム(遊離ステロール0.4グラム)とスタノールエステル1.7グラムをとる場合は、植物ステロール(植物油の副産物)を消費するとコレステロールと冠状動脈性心臓病を低下する場合があるという健康表示を含めてよい。石灰水処理された産業用コーンブラン(Maseca(登録商標))は、総ステロール容量が860−900ppm(GRAS Notice-61, 2000)であるアルコール−トルエン抽出物(不けん化物)を45%含み、これは、乾式製粉コーン胚芽容量の約50%を示す(Arbokern-Canada, 2000)。デザイナーフーズ又はメディカルフーズとして知られる機能性食品は、栄養価が高いことに加えて、身体機能を支援するような原料成分を含む加工食品として規定される。「新規食品原料成分(NDI)」の販売を望む栄養補助食品又は添加物の流通業者は、FDAに対して自分たちの計画を事前通告し、その製品が安全である証拠を提出しなければならない。しかしながら、多くの場合は、新規食品原料成分から作られていない。製造業者が身体の構造又は機能に対する効果を表示したい場合は、その表示に対して科学的な証拠が必要である。
【0012】
アルカリ加熱処理及び/又は浸漬処理中には、部分的な果皮又はブラン除去にともなう栄養分の損失、澱粉糊化/膨張をともなう胚乳周辺の劣化、前加熱処理されたコーン粒のタンパク質変性等の化学的及び物理的変化が起こる。最も重要な栄養的変化は、燐(P)に対するカルシウム(Ca)の比の増大を伴ったカルシウムレベルの増加、不溶性食物繊維及びゼインタンパク質の減少、チアミン及びリボフラビンの減少、イソロイシンに対するロイシンの比の向上、ナイアシンの必要性の低下、果皮/糊粉/胚乳からのナイアシン放出、並びにフェルラ酸(Sanchez, Ramirez and Contreras, 2005)、残余殺虫剤、殺菌剤、及び微量有害物質のアルカリ浸漬液又は「nejayote」への浸出(FAO, 1993 and Sustain, 1997)である。
【0013】
商業的運転において、コーン固形物の損失は、コーンの種類(硬い又は柔からい)や加熱処理、洗浄、及び乾燥工程の厳しさに応じて、5−14%と推定された。トルティーヤの品質は、固形物の損失(ブランの除去)には直接関連していなかったが、基準に合ったトルティーヤは、4%未満の損失があった。適切に処理された産業用コーン又はマサフラワーは、トルティーヤ製品の製造を簡略化できる。なぜなら、消費者が、排水処理、コーンの確保、取扱い、並びにトルティーヤ及びスナック用マサへの加工に必要な経営管理技術を除外するからである。しかしながら、事前糊化されたコーンフラワーは、以下の品質及び費用制限を有する可能性がある。即ち、ニシュタマリゼーションされたコーンフラワーから作られた穀物スナック又はメイズフラワーのラビオリにおけるテクスチャの悪さ、風味の欠如、並びに高いコストである(米国特許6,491,959及びErempoc et al. 1997)。
【0014】
第3世代(3G)穀物食品は、エクストルージョンクッキング(押し出し処理)工程を含む。その後、冷却処理、引き延ばし(holding)、及び乾燥工程により、フライや加熱処理によってニシュタマリゼーションされたコーンを原料にした食料品を作るために応用される穀物ペレット(米国特許5,120,559に記載の新規なマサスナック、及び米国特許20040086547に記載の高コレステロール血症を低下させるスナック)が作られる。その他の例は、全粒粉又はグリッツ(小麦、大麦、ライ麦、オーツ麦、米又はコーン)を加熱処理し、続いて冷却、焼き戻し、破砕、ビスケットの形成、並びに穀物食品をベーキング又はトーストされて作られた朝食用シリアルである(CA2015149)。
【0015】
亜硫酸塩剤は、以下に述べる技術的機能に世界中で用いられてきた。即ち、a)果物の酸化(酵素的褐変)抑制(ドライフルーツ:600ppm未満)、野菜の酸化抑制(脱水ポテト:250ppm未満)、及び炭酸飲料の酸化抑制(バルクワイン:350ppm未満)、b)えび及びロブスターの黒皮症(メラニン色素)の防止、c)ワイン醸造中の抗菌増大(50−100ppm)、d)小麦生地の調節(ジスルフィド結合の減少)、並びにe)食品澱粉の漂白/変性(500ppm未満、FDA 121.1031)を含む技術的機能である。
【0016】
防腐剤及びその他の食品添加物を規制する連邦食品・医薬品・化粧品法(FDCA)が1958年に修正された際、FDAは、亜硫酸塩(任意の亜硫酸塩剤:二酸化硫黄、メタ重亜硫酸ナトリウム/カリウム、重亜硫酸ナトリウム/カリウム、及び亜硫酸ナトリウム)を一般に安全と認められるもの(GRAS)とした。しかしながら、1958年より前に広く消費され、またその後も改良されて商業的に導入されてきた組み換えDNAを介して作られた全てのGRAS物質は、21 CFR 170.36(チーズに食品加工助剤として3ppm未満、アルコール飲料に140ppm未満、ケーキミックスに0.1−1.0%用いられる際の重亜硫酸カリウムへのGRAS Notice-60)に提案された規制基準に準拠しなければならない。1985年、FDAは、亜硫酸塩はほとんどの人には安全であるが、ぜんそく患者や、その他これらの原料成分に過敏な又はアレルギーのある人々(米国では1%)には予測不可能な深刻な危害を及ぼすと結論した。
【0017】
サブクラスの直接添加物(21 CFR 172, 170.36,及び101.1)であるこれらの二次的添加剤は、主に、食品加工中に技術的効果を達成するために用いられるが、試薬が検出されない場合には、完成食品中の機能的添加剤又は防腐剤としての機能を果たすことは意図されていない加工助剤である。亜硫酸塩剤の検出可能な量は、完成食品内にある二酸化硫黄としての亜硫酸塩の10ppm以上である(21 CFR part 101.1食品;表示免除)。最後に、いくつか考えられるアレルギー誘発性原料成分の表(2005年までのE.U.食品表示規制)には、グルテンを含む穀類及びその製品(セリアック病は、小麦、大麦、ライ麦、及びオーツ麦からのグルタミン及びプロリン中のプロラミンリッチな穀物によって誘発される慢性的腸炎を引き起こす)と、大豆及びその製品と、10ppmよりも高濃度で亜硫酸塩、二酸化硫黄、及びラクトースを含む牛乳乳製品と、が含まれる。
【0018】
世界各国での健康管理費用が増大、特に北米、日本、及びヨーロッパ(国内総生産の8%)において増大するにつれ、焦点は処置から予防へと移ってきた。米国における約1100万人の人々が、食品アレルギーに苦しんでおり、ヨーロッパでは子供の8%及び大人の3%が影響を受けていると見積もられている。
【0019】
胃腸疾患の生物療法は、食物アレルギーを治療する臨床診療では未だ承認されていない。しかしながら、プレバイオティクス及びプロバイオティック療法は、特定条件の治療として可能性がある。プレバイオティクスは、消化管を通過して結腸へ至る、消化されにくい食事成分であり、本来の位置で選択的に増殖及び/又は所望のバクテリア集団の活性を促進させる。他方、プロバイオティクスは、腸の微生物バランスに前向きに影響を与えることで消費者の健康の利益となるように栄養補助食品として用いられる微生物である。乳酸菌種は、機能的原料成分として、特にヨーグルト及び発酵乳等の乳製品においてますます用いられている。プレバイオティクスとプロバイオティクスとの間で考えられる相乗効果により、これらの機能的原料成分の組み合わせを含む食品は、しばしばシンバイオティクスと称される。
【0020】
トルティーヤは、北中米における主要な食用コーン製品である。トルティーヤは、産業用のニシュタマリゼーションされたコーンフラワー(NCF)で作った新鮮なマサ又はコーン生地から作られた、平らで丸く、パン種が入っていない、焼かれた薄いパンケーキ(平らなコーンブレッド)である。トルティーヤは、手動又は機械的に任意の種類の添加剤無しで念入りに作られる場合、室温で最大貯蔵寿命が12時間である。その後、トルティーヤは、微生物(粘着性の芽胞形成菌)を汚染することで悪くなり、貯蔵された又は再加熱されたトルティーヤの澱粉構成物質の物理化学的な変化により堅く、又は古くなる(澱粉老化/アニーリング)。湿気が失われない条件下で保存された場合(プラスチック包装等)でさえ、やはりトルティーヤは時間とともに堅くなり、曲げると簡単に割れる又は粉々に崩れることが知られている。石灰水処理したコーン生地に食用水溶性物質を添加(1%未満;pH=7.5−9.5)すると、トルティーヤの腐敗が顕著に抑制された(米国特許3,730,732)。
【0021】
南米北部、特にコロンビア及びベネズエラでは、食用コーンは、廃水無しの乾燥製粉技術で加工され、更に伝統的コーン食品向けに前加熱処理と胚芽及びブランの除去とを施したフラワーへ変換する。その消費は、主に「アレパ(arepa)」の形式である。これは、乾燥製粉されたコーンフラワーから作られた、平ら又は卵型のパン種が入っていない、焼いた厚いパンケーキである。他の南米諸国では、コーンミール(ポレンタ)及びコーンフラワーが、異なるパン類(エンパナーダ及びパンケーキミックス)、トウモロコシの粥(アトレ(atole))、及びスナック食品向けに用いられる(FAO, 1993)。 澱粉製造に対するコーンの湿式製粉工程は、向流的に全粒を浸漬する間(12日45−50℃)の酸性発酵(pH<5)を含む。技術的又は機能的効果は、胚乳を柔らかくし、タンパク質基質と互いに保持するジスルフィド結合を切断することである。これは、内因性又は外因性乳酸菌類によって通常作られる0.50−2.0%の乳酸と0.10−0.25%の二酸化硫黄とともに二つの加工助剤を必要とする、拡散律速単位操作を含む(Watson, 1987)。発酵したニシュタマリゼーションコーンの微生物叢は、自然に発生する固体状態の発酵を生じさせ、東南メキシコにおいて先住民が粥/飲料として消費する「ポソール(pozol)」等のコーンサワー種を作ることができる(Ramirez and Steinkraux, 1986)。研究室で発酵したニシュタマリゼーション生地(pH<4)において識別された乳酸菌は、L.プランタラム(L.plantarum)、L.ファーメンタム(L.fermentum)、及びペディオコッカス(Pediococcus)類であった(Sefa-Dedeh et. Al. 2003)。乳酸発酵における主要な結果は、胚乳タンパク質/ゼインの分散であり、またその後に続く酸性発酵されたコーン粥/ポリッジ向け製粉処理中に澱粉の放出が促進されることである。酸性発酵されたコーン粥/ポリッジは、例えば、ガーナのkenkey、ナイジェリアのogi(産業用)、ケニヤのuji及び南アフリカのmahewなどである(Steinkraus,2004)。新規な乾燥サワー生地或いは発酵穀物の原料成分又は組成(小麦、オーツ麦、大麦、ライ麦、及び米を含む)は、小麦/ライ麦パン(DE4308707)、小麦クラッカー(米国特許6,649,197)又は低脂肪発酵酪農食品(EP0663153)及び低脂肪乳スプレッド(WO9808400)等の製品用の市販の乳酸スターターとともに革新を行ってきた。
【0022】
ポテト澱粉、事前糊化した澱粉及びフラワー、植物ガム、及び穀物繊維等その他の未発酵原料も、乳製品中の水分移動を束縛及び減少させるために用いられる。チーズ製造用牛乳の低温殺菌前に添加される市販粘剤(0.15−0.25%)は、所望のテクスチャ特性及び官能特性を付加し、増収をもたらした(NZ507104)。微生物粘剤(1%−3%未満)も、乳タンパク質を、乳清と、食品添加剤として用いられるタンパク質・粘着剤の沈殿物とから回収するために用いられる(EP 0471408)。最後に、物理的に変更/事前糊化された澱粉又は穀物の原料成分は、これらの技術的又は加工助剤の特性についても設計された(米国特許番号5,061,104及び6,861,081)。ここで用いられたような補助物質又は食品加工助剤が意味するものは、穀類、澱粉、植物粉、大豆粉と、食用粘剤ゴ、ペクチン、ハイドロコロイド、及び食物繊維と、又はこれらの混合物からなる群から選択される物質である。顆粒サイズは、市販の小麦、ポテト、及びコーン澱粉についての固有の特性である。食品加工中の吸水率及び酵素感受性を向上させるために、サイズを減少させることが報告された。これは、脂肪のようなテクスチャ又は口当たりを提供し、穀物原料の乳加工中の保湿を向上させることができるため、食材において考えられる脂肪の代用品として用いることもできる。
【0023】
分級とは、微粒子物質を粗留分と微細留分に選別することである。この選別は、フラワー製造において常にサイズによるものである。製造の各種段階において、フラワーは、所定の最大サイズの粒子のみを通すメッシュを用いてふるい分けされる。今までは、サイズによるフラワーの選別自体は、フラワー製造に十分であった。
【0024】
その他、非食料品産業は、その他の密度等の粒子特性を考慮にいれ、粒子状物質を選別するその他の機構を歴史的に用いてきた。例えば、密度は、スクリーン又はふるいを用いる場合には重要ではないが、流体抵抗が主に含まれる遠心式空気分級機では主要因である。用いる機器によっては、分級が、粒子形状、電気特性、磁気特性、及び表面特性にも影響を受ける可能性がある。超微細粒子が製造される場合は、ますます多くのエネルギーを必要とする。サイズを小さくすると、粒子の均質性も一般に増加する。
【0025】
空気分級機(空気選別機とも称する)は、任意のガスを含むが、好ましくは清浄空気を用いる。媒体においてサブマイクロメートル粒子範囲(1000から0.1ミクロン)への分級は、以下にあげる力のうちのいずれかの組み合わせを用いて気流で行われる。即ち、重力、抵抗、衝突、遠心力である。その他の格子及びスクリーン/ふるい等の分級装置は、広から中範囲(500mmから0.15mm又は150μmに至るまで:100USスダンダードメッシュ)で動く。密度は、スクリーン又はふるいを用いる場合には重要ではないが、流体抵抗が含まれる空気分級機では主要因である。
【0026】
遠心選別機(又はサイクロン)は、化学/製薬産業においてガス流からの固体及び液体(エアロゾル又は超微細粒子)物質の除去に広く用いられている。サイクロンは、サイクロンダウンストリームのような別の選別ステップで回収されなければならない出口ガスに超微細留分が同伴されたとしても、選別機器とみなされる。これらは、捕集媒体効率(15から50μmサイズに対して80−95%:325メッシュ)と高スループットを有する(Theodore et al.1976)。
【0027】
1885年に特許を受けたマンフォード・ムーディ選別機(Mumford-Moodie Separator)は、スタートバントホワールウィンド(Sturtevant Whirlwind)と類似している(Klumpar et al. 1986)。固形物は、遠心力を与える回転分配板を用いて、上昇清浄気流に供給される。大きな粒子は、内部の円錐部(後尾部又は微細放出部)に落ちる。超微細留分(10から420μm:40メッシュ)は、内部のファンの動作により上方に運び去られ、外部の円錐部の拡大区分における羽根の間で空気から選別され、その底部で捕集される。外部の円錐部で微細留分から分離された空気は、流入する供給物を上昇気流内に広げる分配器に至るまで、連続的に再循環される。よって、上昇分級器はほぼ全ての原動力を組み込む。一方、サイクロンは重力的慣性力のみを用いる。
【0028】
これらの力の大きさは、粒子の質量への依存度、又は抵抗係数及び特性領域を介した粒子の直径に大きく依存している。大きな粒子は、主に重力及び遠心力の影響を受ける。一方、中サイズ及び小サイズ/超微細粒子は、主に空気力学的な抵抗力の影響を受けるであろう。工業用空気分級機(遠心分離機)は、スタートバント社のC.E. Raymond、 Humboldt Wedag、 Polysius、Smidth Sepax、Hardinge Gyrotor、及びOnodaにより作られた。
【0029】
コーンフラワー処理機は、3つのアプローチ、即ち、新たな交配種からの新たな製品開発、コーンからの伝統的製品の収率の増大、及びより低い単価でのプロセス効率の向上のうちの一つにおいて、生産工程から付加価値を生み出すことができる。これは、米国特許番号2,584,893、2,704,257、3,194,664、及び4,513,018に開示された装置等の、石灰水溶液で穀物が加熱処理及び/又は浸漬処理される装置を用いて、複数の方法で過去に行われてきた。マサフラワーを工業生産するこれらの先行技術の方法は、多量の可溶性廃棄物(1.2−2.0%COD:Alvarez and Ramirez, 1995)及びコーン固形物の損失(~1.5−2.5%:食物繊維50−60%、灰分15−20%、澱粉15%、タンパク質5−10%、及び脂肪分5%未満)とともに、石灰による前加熱処理及び浸漬処理時間の加速を伴う。
【0030】
最終製品を高収率で得るために、低温度での前加熱処理により水分量を低下させる多種多様な食品向けインスタントコーンフラワーの製造方法が開発されてきた。これらには、以下の米国特許が反映される。即ち、米国特許番号4,594,260、5,176,931、5,532,013、6,387,437、及び6,638,554である。これに関連して、低温度乾燥を必要とする米国特許番号4,594,260、5,176,931、5,532,013、及び6,265,013についても記述する。一方、米国特許番号4,513,018、5,447,742、5,558,898、6,068,873、6,322,836、及び6,344,228は、低温度加熱処理に代えて、高温度脱水又は急速加熱処理を用いた。 先行技術の方法の不利益を考慮し、いくつかの研究では、廃水を最小限にする低温度且つ急速前加熱処理を用いるだけでなく、米国特許番号4,594,260、5,532,013、6,025,011、6,068,873、6,265,013、6,326,045及び6,516,710に反映されるように、コーン留分を選別した。
【0031】
酸性浸漬処理又は前加熱処理への2、3の応用についても、廃水を減らした状態で伝統的コーン加工を新規な化学的又は生化学的製法に変換するために、試験がなされた(米国特許番号1,045,490及び6,322,836又は国際特許00/45647)。公開されている最近の三つの革新は、天然タンパク質が一部変更されるようにコーンの加熱処理段階中に添加される酸性還元酵素又はハイドロサルファイト、或いは還元剤(メタ重亜硫酸塩)を加工助剤として用いて改良コーン食品を製造するためのものである(国際特許00/45647、01/98509及びWO 2004/023892 A1)。
【0032】
上述した先行技術は、改良されたマサ食品、ひき割りトウモロコシ、及び破断トウモロコシ(broken corn)向けのコーンを部分的に前加熱処理することが可能であるが、亜硫酸塩による前加熱処理だけでなく、酪農食品及び穀物食品用の超微細及び微細コーンフラワーを生じる遠心選別機を用いた連続的な産業上の利用は、発明の時点ではまだ市場で利用可能ではなかった。
【0033】
【特許文献1】米国特許番号4,513,018
【特許文献2】米国特許番号3,730,732
【特許文献3】米国特許番号6,491,959
【特許文献4】米国特許番号5,120,559
【特許文献5】米国20040086547
【特許文献6】カナダ特許番号2015149
【特許文献7】ドイツ特許番号4308707
【特許文献8】米国特許番号6,649,197
【特許文献9】欧州特許番号0663153
【特許文献10】国際特許番号9808400
【特許文献11】米国特許番号5,061,104
【特許文献12】米国特許番号6,861,081
【特許文献13】米国特許番号2,584,893
【特許文献14】米国特許番号2,704,257
【特許文献15】米国特許番号3,194,664
【特許文献16】米国特許番号4,594,260
【特許文献17】米国特許番号5,176,931
【特許文献18】米国特許番号5,532,013
【特許文献19】米国特許番号6,387,437
【特許文献20】米国特許番号6,638,554
【特許文献21】米国特許番号6,265,013
【特許文献22】米国特許番号5,447,742
【特許文献23】米国特許番号5,558,898
【特許文献24】米国特許番号6,068,873
【特許文献25】米国特許番号6,322,836
【特許文献26】米国特許番号6,344,228
【特許文献27】米国特許番号6,025,011
【特許文献28】米国特許番号6,326,045
【特許文献29】米国特許番号6,516,710
【特許文献30】米国特許番号1,045,490
【特許文献31】国際特許番号00/45647
【特許文献32】国際特許番号01/98509
【特許文献33】国際特許番号2004/023892 A1
【特許文献34】欧州特許番号0471408
【特許文献35】ニュージーランド特許番号507104
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
従って、本発明は、先行技術から完全に脱却して、酪農食品及び穀物食品向けの超微細及び微細コーンフラワーの連続製造中に亜硫酸塩による前加熱処理を用いて、澱粉質胚乳の事前糊化及びタンパク質の変性を制御するために、全粒コーンの熱的、機械的、化学的、及び生物学的又は酵素処理を行う急速前加熱処理方法を提供することを課題とする。
【0035】
本発明の他の課題は、酪農食品で食品加工助剤として用いられる超微細コーンフラワーを連続製造するだけでなく、穀物原料成分として微細コーン及びブランフラワーを生じる遠心空気選別機を利用することである。
【0036】
本発明の他の課題は、事前糊化されたコーンフラワーの製造中に、コーン損失を低下させた状態で澱粉の事前糊化及びタンパク質の変性を制御する水拡散とともに、コーン細胞膜、澱粉、タンパク質を部分加水分解するための亜硫酸塩による酸性前加熱処理を含む工業的方法及び装置を用いてこの目的を実現させることである。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明の上記の及びその他の課題、並びに利点は、酪農食品及び穀物食品向けの事前糊化されたコーンフラワーの製造に適用された連続工程を介して実現される。本発明の実施例は、不溶性繊維、澱粉、及びタンパク質の部分加水分解を行うように加工助剤としてメタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又は亜硫酸水素ナトリウム液を用いた前加熱処理を含む。これとともに、事前糊化及び変性が制御され、穀粒の洗浄および廃水への固形物損失は減少し、粉砕に最適な所望レベルに含水率が安定化される。そして、予め調整された穀粒を製粉及び乾燥させて、均一な部分的加熱処理を行う。そして、乾燥粉砕粒子を冷却及び更に乾燥させる。そして、粗粉から、このように生成された超微細粉を遠心選別及び回収する。粗粉は更に吸引されて、コーンブラン留分が除去される。それを更に製粉して、全粒コーン及び部分的な全粒フラワー用に微細ブランを得る。単離された粗粉を再製粉し、更にふるい分けして、穀物食品向けの微細コーンフラワーを得る。そして、微細フラワーのみを石灰水に混和し、トルティーヤ用マサフラワーを生成する。超微細コーンフラワーは、酪農食品向け助剤又は補助剤として用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明は、以下の説明及び添付の図面から十分に理解されよう。ここで、本発明の実施例は、唯一つの図面により、加工助剤として亜硫酸塩を用いた酸性前加熱処理と、粗大コーン粉から超微細コーン粉を回収するために遠心空気選別機とを利用した、連続及び工業用プロセスを示すブロックタイプフローチャートにおいて描写される。
【0039】
先ず図1を参照すると、フローチャート形式で本発明の実施例が描写されている。これは、プレクッカー1、洗浄機2、供給機付きプレコンディショナ3、第1ミル4、加熱炉5、ファン付きドライヤ6、第1サイクロン分離機7、清浄空気ファン付き冷却機8、第2サイクロン分離機9、内部ファン付き遠心空気選別機10、吸引機システム11、第2ミル12、第3ミル13、及びふるい14を含む。
【0040】
設計自体は周知であるプレクッカー1に、精製コーン及びメタ重亜硫酸ナトリウム液が洗浄機2から再循環される加熱された浸漬水(60℃から70℃)とともに供給され、亜硫酸塩水性懸濁液が形成される(コーン対水の比は約1:1から約1:1.5)。酸性溶液の固形分は約0.5%から約0.7%の範囲に調整される。蒸気加熱及び穀粒の滞留時間を制御することにより、大気圧下でコーンを前加熱処理できる。コーン懸濁液は、飽和蒸気により約75℃から約90℃の温度で25から45分間加熱される。これにより、亜硫酸塩で前加熱された穀粒を32%から35%の含水率で生成でき、一方、(コーンの)0.05から0.15重量%の加工助剤を供給するように10%酸性亜硫酸塩溶液を添加することでpHが約6.2から約6.7まで低下する。
【0041】
この亜硫酸塩溶液入りプレクッカーは、繊維、澱粉、及びタンパク質の部分加水分解を生じる。これは、加熱水が、先端キャップの基端部を介して迅速で均一に拡散し、果皮の細胞膜を通って粒の頭頂部まで移動し、次に内胚乳や胚芽成分まで移動することを促進する。飽和蒸気及び亜硫酸塩溶液も、コーン粒の可溶化、事前糊化、及び膨潤についての制御をもたらし、連続アルカリ加熱工程(Alvarez and Ramirez, 1995)と比較して、(より低い廃水処理費用で)廃水の流出を10%から20%に減少させるとともに、廃棄物を60%から70%に減少できる。プレクッカーにおけるこの廃水損失は、洗浄機2からの回収浸漬水で置換できる。
【0042】
次に、部分的に前加熱されたコーン懸濁液は、洗浄機2に移され、蒸気加熱水を約60℃から約70℃の温度で30から60秒間散布される。これは水の吸収を増加させ、亜硫酸塩剤及び可溶性固形物を廃水の中へ洗い落とす働きをする。
【0043】
前加熱処理及び洗浄されたコーンは、その後、プレコンディショナ3へ移される。そこで、前加熱処理済み穀粒は平衡に達し、約210から約340分間で約34%から約37%の残留含水率が得られる。
【0044】
その後、事前調整及び洗浄されたコーンは、供給機を介して、設計自体は周知である第1ミル4に供給される。この供給は、予め製粉されたコーンと加熱炉5からくる熱風とが混合され、且つ設計自体は周知である工業用ドライヤ6により部分的に加熱処理されるように行われる。これにより、予め製粉された穀粒は、190℃から約230℃の高温で、10秒から約30秒の短時間、瞬間的に乾燥される。その澱粉質胚乳は、部分的に糊化され、生成される粒状によって含水率16%から約18%となる。
【0045】
熱湿空気(130℃から180℃、及び11%から13%の湿気)は、設計自体は周知である第1サイクロン分離機7で抽出される。従って、付随ファンにより清浄空気が吸い込まれる冷却機8を介してドライヤ機材を推進させることで、更なる水分抽出が起こり、含水率を16−18%から約9−12%(供給コーンと同様)まで低減させる。
【0046】
第2サイクロン分離機9による熱湿空気(100℃から110℃)の更なる抽出の後、前加熱処理済み乾燥粒子又は粉は、特別に設計された内部ファンを備える遠心空気選別機10に向かう。ここで、大きなサイズの部分は、高繊維胚乳、胚芽、及びブラン留分からなる粗粉として知られる。一方、小さいサイズの部分は、低繊維胚乳及び胚芽留分からなる超微細粉とされている。
【0047】
遠心ファンが小さいサイズの粒子を取り込んだ上昇空気を上方に移動させると、微細粉は超微細コーンフラワー(60から325メッシュ以下)として選別され、粗粉(40から80メッシュ以下)は更に分離される。超微細粉は、流体抵抗に大きく影響されるであろう。一方、粗粉は、内部ファンの作用により生じる重力、遠心力、及び衝突力に影響を受けるであろう。含水率が9%から12%の超微細コーンフラワーは、供給コーンの総重量の約30%から約60%まで生成される。必要に応じて、超微細コーンフラワーを加工助剤として用いることができ、或いは新規な酪農食品向けの補助(アジュバント)物質と混合することもできる。
【0048】
後者の粗粉は、設計自体は公知である吸引機システム11において更に分離される。ここでは二つの留分が得られる。軽量なブラン留分は、重くてより粗大な留分から単離され、その重くてより粗大な留分は、更に第3ミル13において再製粉される。吸引された軽量留分は、含水率が9%から12%(供給コーンの総重量の約3%から約8%に相当)である全粒コーン及び部分全粒フラワー向けブランフラワー(45メッシュ以下)として、第2ミル12で更に再製粉される。第3ミル13で再製粉した重い留分は、含水率が約9%から12%(供給コーンの総重量の約30%から約60%に相当)である均質な微細コーンフラワー(45から80メッシュ以下)をふるい分けして生成するためのふるい14に移される。必要であれば、微細コーンフラワーは、食品用石灰水(事前糊化フラワーの0.05%−0.15重量%)に混和して、トルティーヤ製造用マサフラワーを生成できる。その他、コーンフラワーは穀物食品用の穀物原料として用いることができる。
【0049】
以下の表は、酪農食品(超微細:<60−325メッシュ)及び穀物食品(微細:<45−80メッシュ及びブラン:<45メッシュ)向けに事前糊化されたコーンフラワーの栄養素平均組成を表す。
【0050】
【表1】

【0051】
超微細及び微細フラワーは、胚芽留分を有する低繊維又は高繊維胚乳からの粒子を含む。一方、ブランフラワーは主に澱粉胚乳留分を有する果皮を含む。従って、本発明の方法により生成された事前糊化コーンフラワーは、従来の方法に比べて栄養価がより高く、脂肪分(>140%)、食物繊維(20%)及びタンパク質(10%)組成が、産業用乾燥製粉(粗大穀粉/微細フラワー)コーンフラワーよりも高い(INCAP, 1961)。
【0052】
(実施例1)
超微細コーンフラワー(低繊維胚乳及び胚芽留分を有する粒子)を加工助剤として用いた酪農食品の作成
1)チーズ加工中における使用:加工助剤又は補助コーンフラワー4.5キロを、連続混合(トリブレンダー又は粉乳ホーンが適切に混合する)により熱水又は熱した全乳(脂肪分3.0%から約3.3%)40キロに混合して、10%分散液を作成する。超微細フラワー分散液の外見が滑らかで均一になるまで混合する。加熱温度を60℃から約85℃までに設定し、10分から約30分間加熱する。30−32℃に冷却し、ミルクバット(1バッチあたり200キロ)中、約0.10%から約0.25%のフラワー固形分を得るように、冷却した2.5%フラワー分散液をチーズミルクバットに添加する。ハード(チェダー)又はソフト(モッツアレラ、フレッシュチーズ、及びプロセススプレッド)チーズ食品向けの標準製造手順に従う(Food Processing Center-pilot plant, University of Nebraska-Lincoln, 2004)。この超微細コーンフラワー分散液を、その他の分散ハイドロコロイドを用いる代わりに添加した結果、チーズの収率は、総固形分及び含水率において、約3%から約15%に増加した。
【0053】
その他の培養チーズ製品を製造する場合は、フラワー固形分0.25%から約0.6%を達成させるために、より高い添加が必要である。スターター培養システムとともに助剤又は補助コーンフラワーとして適用される場合に、強化酸の開発及び硬度は改良された。これらのアメリカン(ハード)及びイタリアン(ソフト)チーズは、乳清回収率(1%から約2%)が、乳清固形分の発現に従来の方法を実行した場合に報告されたものよりも高いであろう。Sanchelima International Inc.は、可溶性乳清タンパクの一部を、ラテンフレッシュ及びチェダー用のチーズカード(収率約20%から13%)に取り込む特許製法(連続熱ゲル化処方)を有している。水収率とは対照的に、実際の収率ゲインは、回収乳清の1キロ毎に、全乳の初期タンパク質対脂肪比(約1.0から約1.2)にほぼ比例的に水と脂肪分を組みいれるであろう。同じ種類のチーズを製造するために全製造手順が維持される場合は、チーズ収率は、最終製品中の沈澱乳性タンパク及び湿気百分率に応じて変化するであろう。従って、固有の澱粉−タンパク質複合体が、結合ゲル又テクスチャライジング剤の糊化/ゲル化温度(約60℃から85℃で10分から30分間)以上で形成された状態で、チーズ製造中に助剤として用いられた超微細コーンフラワーは、物理的機能性(水及び脂肪保持効果)において総タンパク質対脂肪比(約0.8から約1.1%)を維持するように見える。ゲル又は食品添加剤を形成するために、数種類の多糖類(グアー、アルギン酸塩、カラギーナン、キサンタン、及び澱粉)が数種類のタンパク質(ゼラチン、大豆グロブリン、カゼイン、及び乳清)とともに使用された(米国特許番号4,159,982、EP 0471408及びNZ 507,104)。
【0054】
2)低脂肪プロセスチーズ及びスプレッドにおける使用:5%超微細フラワー分散液を作成し、先に説明したようにスターティングスキムミルク(脂肪分1%から約2%)に添加する。標準プロセスチーズ製造方法に従う。そして、加工助剤は、脂肪分を30%から約45%に低下させるだけでなく、脂肪置換剤/模倣剤及びタンパク質置換剤/増量剤のように作用した。更に、チーズ基質の質感や外見が改良され、脂肪分離は減少した。
【0055】
3)低脂肪酪農食品における使用:1%から5%超微細フラワー分散液を作成し、先に説明したように予め低温殺菌したスキムミルクに添加する。以下の酪農食品向け標準製造手順に従う。即ち、
a)低脂肪サワークリーム:口当たりは改良され、テクスチャも滑らかで、香料がうまく乳化されて、脂肪及びカロリー(66%)が低減されている。乳清合成及び粘性の欠点も減少している。
b)プレーンヨーグルト:食品中の乳清分離が減少し、テクスチャ及び口当たりが改良されている。
c)低脂肪カッテージチーズドレッシング:滑らかで、脂肪分が高い乳化食品(低脂肪:50%)と類似したテクスチャを強化し、粘性を与えるとともに、乳清合成が減少している。
d)低脂肪アイスクリームミックス/チョコレート又はバニラ:糊化した超微細粒子(脂肪分約5%及び3.5kcal/グラムを含む低繊維胚乳及び胚芽留分を有する)が、香りに特徴がない低/高脂肪アイスクリーム(脂肪分2.7%)にリッチで滑らかなテクスチャを与える。
【0056】
(実施例2)
微細コーン(高繊維胚乳及び胚芽留分を有する粒子)並びにブランフラワー(果皮及び澱粉胚乳留分を有する粒子)を穀物原料成分として用いた穀物食品の作成
1)新規なスナック及びトルティーヤ製造における使用:本発明の方法で生成された微細コーン又はマサフラワー(高繊維胚乳及び胚芽留分を有する)のいずれかを、1:1.0から1:1.3の重量比で温水により再水和し、産業用第3世代スナック及び業務用トルティーヤを焼いた食品の製造で用いられるコーン及びマサ生地(最終含水率50%から55%)を得ることができる。
【0057】
全粒コーン又は完全フラワー(integral flour)を穀物食品用に用意する場合、食物繊維組成を約3%から約6%(ニシュタマリゼーションされたコーンフラワーにおいて報告されたように、食物繊維7%から9%を有する:米国特許6,764,699)に増加させるために、ブランフラワー約5から約10重量%を微細コーン又はマサフラワーと均一に混和できる。AACCの全粒定義(2004)は、元の穀物又は穀粒と同じ相対比率のブラン、胚芽、及び胚乳を必要とする。すべての全粒原料成分が用いられて加熱され、フラワーに製粉され、焼き食品及びその他の製品を作るのに用いられ、或いは朝食用シリアルを作るために押出又は薄く削られる。この課題は、これらの製品を精製穀物製品よりもおいしそうに見せて、より健康的な特質を一般集団に伝えることである。
【0058】
FDA(1999及び2002)及びAACC(2003)は、以下のラベルを付ける資格のある全粒食品及び焼き食品に対する新たな健康表示を認識した。即ち、a)不溶性繊維(ヘミセルロースA/C、セルロース、難消化性澱粉及びリグニン)をより多く含み、低脂肪である食品は、結腸直腸癌の危険性を減少させる可能性がある(21 CFR 101.76)、並びにb)可溶性繊維(分岐ヘミセルロースB又はコーンハルゴム(corn hull gum)、b−グルカン及びハイドロコロイド)をより多く含み、低脂肪/コレステロールであるこれらの食品は、コレステロールを低下させ、心臓疾患の危険性を減少させる可能性もある(21 CFR 101.77 and 81)。穀物の焼き製品及び機能性食品は、更に、慢性疾患の危険性を低下させ、或いは科学的利益が公衆に伝えられて標準的な食生活において通常消費されると期待される分の効果が達成されるべきところまで、体の健康状態を向上させることができる。従って、食品産業は、貯蔵寿命を維持しつつ、製品に基づく表示というよりはむしろ機能に基づく表示(FDA/DHHS-Food Labeling, 2004: 21 CFR 101.54)を与える機会を有している。FDAは、混乱を減らすために、栄養素ラベルの総炭水化物の表示から食物繊維を分離するように嘆願された(Mehta, 2005)。
【0059】
Mision light(登録商標)ラベル表示は、GRAS繊維原料を添加して一食当たり約3.2グラムの食物繊維(乾燥ベースで23グラム又は2トルティーヤコーン)にすると、カロリーを25%減少したトルティーヤ(ライトトルティーヤ)が得られることを報告した。強化繊維配合トルティーヤ三食分(強化Maseca(登録商標)フラワーにより作成)は、FDAによる一日の摂取量(DV)の約30%を与えるべきである。他方、ニシュタマリゼーションされたコーントルティーヤは、一食当たり約1.8から2.2グラムの繊維を与えるであろう。メキシコ及び中央アメリカにおける一人当たりのコーントルティーヤ消費量は、約240グラム/日(10トルティーヤ又は125フラワーグラム)であり、少なくとも一日のカロリー摂取量の40%を占める。
【0060】
2)低カロリー低グルテン小麦食品における使用:前述の製法から得られたブランフラワー又は微細コーンのいずれかを、原料処方において繊維含有量を約3%から約30%に、また非グルテンタンパク質を約2%から約5%にそれぞれ増加させるために、小麦粉と45から49重量%で均一に混合できる。いくつかの疫学的研究では、全粒粉は、全粒粉含有量またはブラン含有量を25重量%よりも多く含む食品として一貫して規定した。その他の穀物製品は、黒パン、ポップコーン、調理済みオートミール、小麦麦芽、ブラン、食用シリアル、玄米、及び小麦ブルグアを含む。しかしながら、アメリカにおいて、FDAは、全粒粉製品を、全粒粉含有量が51重量%であるという基準を満たすものとして特定している(Liu, 2003 and Anderson, 2004)。この低カロリー低グルテンフラワーは、クッキー、ビスケット、クラッカー、スナックバー(グラノーラ又はフルーツ)、平たいパン、フラワートルティーヤ、クランペット、マフィン、エンパナーダ、パンケーキ、ブルグア、ダンプリング、及び麺類等の小麦食品の標準的な製造中に穀物原料として更に用いることができる。従って、(食物繊維63%及びタンパク質4%を含むブランフラワーからの)非澱粉多糖類をより多く含み(食物繊維5%及びタンパク質8%を含む微細コーンフラワーからの)高繊維胚乳である小麦食品及び穀物食品の一日の摂取量は、総カロリー摂取量(25%から約30%)の減少、並びにアレルギー誘発性のグルテン消費量の度合(15%から約40%)の低下に寄与することが可能である。炭水化物/グルテン低含有量のクッキー(夫々60%と15%)において用いられるニシュタマリゼーションされたコーンブラン(Maseca(登録商標))は、モルモットのLDLコレステロールを減少させただけでなく、メキシコ北部における健常な(14%)及び高コレステロール症の(11%)成人のLDL及び血清コレステロール値も減少させた。彼らは、6週間における研究中にコーンブランクッキーを消費した(総繊維64%、タンパク質4%、脂肪分2%、及び灰分2%を含む微細ブランを55%添加したクッキーを70グラム/日)。FDA(21 CFR 101.9)によれば、一日のカロリー摂取量は、各成人に依存し(2500kcalから2000kcal)、約30から25グラムの食物繊維を含む(食事指針ピラミッド:一日当たり穀物を6から11品目:DHHS/USDA-Dietary guidelines, 1995)。また、高エネルギー食品(脂肪/タンパク質が多く、糖分が多く又は澱粉が多い)及びソフトドリンク(遊離糖類が多い)の消費を減らすと、一日の総カロリーが減少し、健康的な体重を維持できるであろう。
【0061】
この方法では、新規な物理化学的前加熱処理は、工業的方法(1.5%−2.5%)と比較して、廃水固形分を50%から70%(0.5%から約0.7%)に減少させる結果となり、またこれに付随して下水費用が減少する。加工助剤溶液中の重亜硫酸及び亜硫酸イオンは、望ましくない胞子形成を行う細菌増殖及び前加熱処理されたコーンの調整中における褐色化ピグメント反応の防止に役立つ。亜硫酸塩溶液(0.05%−0.15%)を用いた低温度前加熱処理(75℃−90℃)は、不溶性繊維、澱粉及びタンパク質の加水分解に役立つだけでなく、完全フラワー向けにブラン除去も向上させる。また、低石灰(米国特許番号6,344,22866、6,387,437、及び6,428,828)又は高濃度亜硫酸塩(米国特許番号6,322,836及びWO 2004/023892)を用いずに、ブラン、胚乳、及び胚芽成分を溶解する。
【0062】
更に、精製コーン1キログラム当たりの超微細及び微細コーンフラワーの収率が90%よりも高い場合がある。コーン乾燥製粉により製造されたミール及びフラワーは、完全アレパフラワーに対して65%から70%の収率、又は80%から85%の収率を得るのみである(米国特許番号6,326,045)。
【0063】
上述のように、酪農食品用に超微細フラワーを、また穀物食品用に微細フラワーを生じる亜硫酸塩によるコーン前加熱処理及び遠心空気選別によって、効率的な新規連続製法で事前糊化されたコーンフラワーを製造できることは明白であろう。ここで、本発明の特性がなければ存在していたと考えられる栄養素及び固形分損失は防止される。
【0064】
ここに例示及び詳細に記載した本発明の実施例は、例示を目的としており、これに限定されないことは理解されよう。その他の変更及び修正も可能であり、当業者に提示される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施例における、加工助剤としてのキシラナーゼ、エンドアミラーゼ、及びエンドプロテアーゼ溶液による低温度及び中性pHでの前加熱処理を利用した連続及び工業用バイオプロセスを示すブロックタイプフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
1 プレクッカー
2 洗浄機
3 供給機付きプレコンディショナ
4 第1ミル
5 加熱炉
6 ファン付きドライヤ
7 第1サイクロン分離機
8 清浄空気ファン付き冷却機
9 第2サイクロン分離機
10 内部ファン付き遠心空気選別機
11 吸引機システム
12 第2ミル
13 第3ミル
14 ふるい

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種食品向けに事前糊化されたコーンフラワーの生成に対する物理化学的な製法であって、
メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素塩ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一の酸性成分から構成される亜硫酸塩液中で、蒸気により精製コーン粒を前加熱する前加熱工程と、
可溶性固形物を廃水に除去するために前記亜硫酸塩により前加熱されたコーン粒を洗浄し、前記前加熱されたコーン粒の含水率を安定化させる洗浄工程と、
前記前加熱及び洗浄されたコーン粒を製粉し、当該製粉されたコーン粒を部分的に糊化するために乾燥させる製粉工程と、
前記製粉及び乾燥されたコーン粒を、清浄空気で冷却し更に乾燥させる冷却工程と、
前記製粉されたコーンを選別し、60から325メッシュ以下の超微細粉を回収し、酪農食品向け超微細コーンフラワーを得る選別工程と、
を備え、
前記選別工程は、空気選別機を用いて行われることを特徴とする製法。
【請求項2】
前記前加熱工程は、前記精製コーンの約0.02から約0.15重量%の亜硫酸塩を用いることを特徴とする請求項1に記載の製法。
【請求項3】
前記選別工程は粗粉から前記超微細粉を選別し、前記超微細粉は低繊維胚乳及び胚芽留分からなり、前記粗粉は高繊維胚乳、胚芽、及びブラン留分からなることを特徴とする請求項1に記載の製法。
【請求項4】
前記粗粉を吸引して軽量なコーンブラン留分を除去する吸引工程と、
前記吸引された粗粒を再製粉する再製粉工程と、
前記粗粉の吸引及び再製粉された高繊維胚乳及び胚芽留分を回収する回収工程と、
を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の製法。
【請求項5】
前記回収工程は、45から80メッシュ以下で前記吸引及び再製粉された粗粉をより微細な留分にふるい分けし、穀物食品に適した微細コーンフラワーを生成するふるい分け工程を備えることを特徴とする請求項4に記載の製法。
【請求項6】
前記超微細及び微細コーンフラワーは、コーン粒の総重量の91%から96%の収率に相当することを特徴とする請求項5に記載の製法。
【請求項7】
前記吸引工程により生成された前記軽量なコーンブラン留分を45メッシュ下で再粉砕し、ブランフラワーを生成する再粉砕工程を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の製法。
【請求項8】
前記軽量なコーンブラン留分は、コーン粒1キログラム当たり約3%から8%のフラワーを構成することを特徴とする請求項7に記載の製法。
【請求項9】
前記微細コーンフラワーを前記ブランフラワーの5から10重量%と混合し、食物繊維含有量が増加した全粒コーンフラワーを生成する混合工程を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の製法。
【請求項10】
前記ブランフラワーを小麦フラワーの45から49重量%と混和し、総カロリー量が減少した部分全粒粉フラワーを生成する混和工程と、
前記部分全粒粉フラワー及び前記全粒粉コーンフラワーの両方を用いて、小麦食品及び穀物食品のうちの少なくとも一方を製造する製造工程と、
を更に備えることを特徴とする請求項9に記載の製法。
【請求項11】
前記ブランフラワーを小麦フラワーの45から49重量%と混和し、総カロリー量が減少した部分全粒粉フラワーを生成する混和工程と、
を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の製法。
【請求項12】
前記微細コーンフラワーに石灰を添加して、コーン食品の生成に適したマサフラワーを得る添加工程を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の製法。
【請求項13】
前記石灰は、前記微細コーンフラワーの約0.05から約0.15重量%を表し、
前記微細コーンフラワー及びマサフラワーを温水で1:1から約1:1.3重量比で再水和し、コーン及びマサ生地を形成する再水和工程を更に備えることを特徴とする請求項12に記載の製法。
【請求項14】
前記超微細コーンフラワーを、熱水及び熱しミルクのうちの一方と混合し、固形分が約0.1%から約10%であるフラワー分散液を形成する混合工程を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の製法。
【請求項15】
チーズ、チーズスプレッド、サワークリーム、ヨーグルト、カッテージチーズドレッシング、及びアイスクリームミックスのうちの少なくとも一つを作るための加工助剤として前記フラワー分散液を用いる工程を更に備えることを特徴とする請求項14に記載の製法。
【請求項16】
前記フラワー分散液を約60℃から85℃の温度で10分から約30分間加熱処理することを特徴とする請求項15に記載の製法。
【請求項17】
約0.10%から0.6%のフラワー固形分を得るために、前記加熱された分散液を前記スターティング全乳に添加することを特徴とする請求項16に記載の製法。
【請求項18】
補助剤を用いて、チーズ収率が約3%から15%に増加することを特徴とする請求項17に記載の製法。
【請求項19】
約1%から5%のフラワー固形分を達成するために、前記フラワー分散液を予め低温殺菌されたスキムミルクに添加することを特徴とする請求項15に記載の製法。
【請求項20】
前記加工助剤を脂肪及びタンパク質置換剤として作用させて、チーズスプレッド酪農食品において約30%から約70%の低脂肪含有量を得ることを特徴とする請求項19に記載の製法。
【請求項21】
前記選別工程は遠心空気選別機を用いて実行することを特徴とする請求項1に記載の製法。
【請求項22】
前記遠心空気選別機は、前記超微細粉の粒子が、重力よりも、前記遠心空気選別機内で生じる抵抗力により影響を受けるような環境をもたらすことによって、前記超微細粉を単離するように構成及び配置されることを特徴とする請求項21に記載の製法。
【請求項23】
各種食品向けに事前糊化されたコーンフラワーの生成に対する物理化学的な製法であって、
メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素塩ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも一の酸性成分から構成される亜硫酸塩液中で、蒸気により精製コーン粒を前加熱する前加熱工程と、
可溶性固形物を廃水に除去するために前記亜硫酸塩により前加熱されたコーン粒を洗浄し、前記前加熱されたコーン粒の含水率を安定化させる洗浄工程と、
前記前加熱及び洗浄されたコーン粒を製粉し、当該製粉されたコーン粒を部分的に糊化するために乾燥させる製粉工程と、
前記製粉及び乾燥されたコーン粒を、清浄空気で冷却し更に乾燥させる冷却工程と、
前記製粉されたコーンを選別し、粗粉を回収する選別工程と、
前記粗粉を吸引及び再製粉する吸引工程と、
45から80メッシュ以下で前記吸引及び再製粉された粗粉をより微細な留分にふるい分けし、穀物食品に適した微細コーンフラワーを生成するふるい分け工程と、
を備え、
前記選別工程は、空気選別機を用いて行われることを特徴とする製法。
【請求項24】
前記粗粉の吸引工程は、軽量なコーンブラン留分を除去し、当該軽量なコーンブラン留分を45メッシュ下で再粉砕してブランフラワーを生成する再粉砕工程を備えることを特徴とする請求項23に記載の製法。
【請求項25】
前記微細コーンフラワーを前記ブランフラワーの5から10重量%と混合し、食物繊維含有量が増加した全粒コーンフラワーを生成する混合工程を更に備えることを特徴とする請求項24に記載の製法。
【請求項26】
前記ブランフラワーを小麦フラワーの45から49重量%と混和し、総カロリー量が減少した部分全粒粉フラワーを生成する混和工程を更に備えることを特徴とする請求項24に記載の製法。
【請求項27】
前記微細コーンフラワーに石灰を添加して、コーン食品の生成に適したマサフラワーを得る添加工程を更に備えることを特徴とする請求項23に記載の製法。
【請求項28】
前記石灰は、前記微細コーンフラワーの約0.05から約0.15重量%を表し、
前記微細コーンフラワー及びマサフラワーを温水で1:1から約1:1.3重量比で再水和し、コーン及びマサ生地を形成する再水和工程を更に備えることを特徴とする請求項27に記載の製法。
【請求項29】
前記選別工程は遠心空気選別機を用いて実行することを特徴とする請求項23に記載の製法。
【請求項30】
前記遠心空気選別機は、前記超微細粉の粒子が、前記遠心空気選別機内で生じる抵抗力よりも重力により影響を受けるような環境をもたらす前記微細コーンフラワーを単離するように構成及び配置されることを特徴とする請求項29に記載の製法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2008−539722(P2008−539722A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510017(P2008−510017)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/014335
【国際公開番号】WO2006/118778
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(507364931)インヴェスティゲイション デ テクノロジア アヴァンサダ,エセ.ア. デ セ.ウベ. (1)
【氏名又は名称原語表記】INVESTIGACION DE TECNOLOGIA AVANZADA, S.A. DE C.V.
【住所又は居所原語表記】Ave Ruiz Cortines S/n Frente A Colonia La Purisima Entre Gral. Bonifacio Salinas Y Carretera Migual Aleman, Guadalupe, N.L., 67110, Mexico
【Fターム(参考)】