説明

酵母水溶性多糖類、その製造方法、食品添加物および飲食品

【課題】アルカリ加水分解により、回収率を10%以上に保ちつつも褐変や酵母臭が少なく、酸性条件下でもアルカリ条件下でも濁りや沈殿を発生しない酵母水溶性多糖類を製造する方法を提供する。
【解決手段】酵母細胞壁をアルカリ条件下で洗浄し、アルカリ加水分解した後、アルカリ加水分解物を酸性条件下で加熱し、固形物を除去することを特徴とする酵母水溶性多糖類の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵母水溶性多糖類、その製造方法、食品添加物および飲食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酵母細胞壁から抽出される水溶性多糖類(以下、「酵母水溶性多糖類」と称することがある)はマンナン及び一部のグルカンを含み、これらの酵母水溶性多糖類は食物繊維に属し、近年健康食品等として注目されている。
【0003】
従来、この水溶性多糖類を酵母細胞壁から抽出する方法としては熱水抽出、酵母細胞壁溶解酵素処理、自己消化処理、酸、アルカリ加水分解等がある。熱水抽出では酵母水溶性多糖類の回収率が3%程度と低く、酵母細胞壁溶解酵素処理では回収率が20%程度になるものの酵素反応に時間を要し、製造コストが高くなる。アルカリ加水分解は回収率が10%以上になるものの、得られた酵母水溶性多糖類は褐色に変化しており、酵母臭が強く、酸性条件下で濁りや沈殿が発生し、商品価値が低いものであった。
【0004】
一方、食品添加物には増粘性多糖類として用いられる水溶性多糖類(食物繊維)があり、具体的にはコンニャクマンナン、カラギーナン、グァーガム、タマリンド種子抽出物などがある。しかしながら、これらの増粘性多糖類は室温での粘性が高く、食品中に溶解する場合は加熱などの前処理を必要としていた。また、健康食品素材として食物繊維を多く含有させるためには食品中への溶解濃度を高めなければならないが、従来から水溶性多糖類として知られているコンニャクマンナンなどは1%水溶液で35,000mPa・sの非常に高い粘性を示し、食品中に高含有させることができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、アルカリ加水分解により、回収率を10%以上に保ちつつも褐変や酵母臭が少なく、酸性条件下でもアルカリ条件下でも濁りや沈殿を発生しない酵母水溶性多糖類を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アルカリ加水分解前に酵母細胞壁をアルカリ洗浄することで、酵母由来のタンパク質やアミノ酸が減少し、褐変や酵母臭が少ない酵母水溶性多糖類が得られることを見出した。また、酵母細胞壁のアルカリ加水分解抽出液のpHを酸性条件下に置き、短時間加熱することで抽出液中のタンパク質が凝固し、珪藻土濾過等により除去できるようになり、凝固物除去後の抽出液は酵母水溶性多糖類の濃度が高く、かつ酸性条件下でもアルカリ条件下でも濁りや沈殿が発生せず、上記課題が解決できることを見出した。また、得られた酵母水溶性多糖類は従来の水溶性多糖類と比較して粘性が低く、食品工業における取扱いが容易であるほか、水溶液中に高度に含有してもゲル化しない酵母水溶性多糖類を得ることができた。特に、従来の多糖類は高温域での粘性は低いが低温域での粘性が高い傾向にあったが、本発明における酵母水溶性多糖類は低温〜高温域の全ての温度帯において粘性が低く、飲料及び食品の広い分野での利用が可能となった。
【0007】
すなわち、本発明は下記に関するものである。
(1) 酵母水溶性多糖類であって、水に溶解した場合低粘性であり、かつ酸性条件でもアルカリ条件でも濁りや沈殿を生じないことを特徴とする酵母水溶性多糖類。
(2) 酵母水溶性多糖類であって、水に1%w/v水溶液として溶解した場合の0〜20℃の温度帯における粘度が10mPa・s以下であることを特徴とする酵母水溶性多糖類
(3) 酵母水溶性多糖類であって、水に20%w/v水溶液として溶解した場合の0〜20℃の温度帯における粘度が50mPa・s以下であることを特徴とする酵母水溶性多糖類。
(4) 酵母細胞壁をアルカリ条件下で洗浄し、アルカリ加水分解した後、アルカリ加水分解物を酸性条件下で加熱後、固形物を除去することを特徴とする(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の酵母水溶性多糖類の製造方法。
(5) 酵母細胞壁をアルカリ条件下で洗浄し、アルカリ加水分解した後に固液分離し、上清溶液を酸性条件下で加熱し、固形物を除去することを特徴とする(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の酵母水溶性多糖類の製造方法。
(6) 前記アルカリ加水分解を、pH8.0〜14.0、70〜110℃の条件で行うことを特徴とする(4)または(5)に記載された酵母水溶性多糖類の製造方法。
(7) 前記酵母細胞壁が醸造用酵母またはパン酵母の細胞壁であることを特徴とする(4)または(5)に記載された酵母水溶性多糖類の製造方法。
(8) 前記アルカリ条件下での洗浄を、pH8.0〜14.0に調整後、加水しながら遠心分離機で固液分離することを特徴とする(4)または(5)に記載された酵母水溶性多糖類の製造方法。
(9) 前記酸性条件下での加熱を、pH2.5〜5.0、90〜140℃、15〜120秒で行うことを特徴とする(4)または(5)に記載された酵母水溶性多糖類の製造方法。
(10) (1)ないし(3)のいずれか1項に記載の酵母水溶性多糖類を含有することを特徴とする食品添加物。
(11) (1)ないし(3)のいずれか1項に記載の酵母水溶性多糖類を含有することを特徴とする飲食品。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、酵母臭と褐変が少なく、酸性条件下でもアルカリ条件下でも濁りや沈殿が発生せず、従来のアルカリ加水分解に比べ水溶性多糖類濃度の高い酵母水溶性多糖類を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の酵母水溶性多糖類は、水に溶解した場合低粘性であり、かつ酸性条件でもアルカリ条件でも濁りや沈殿を生じないことを特徴とするものである。
【0011】
本発明における低粘性とは、酵母水溶性多糖類の20%w/v水溶液の0〜20℃の温度帯における粘度が50mPa・s以下であり、1%w/v水溶液の0〜20℃の温度帯における粘度が10mPa・s以下の粘度をいう。特に、1%水溶液の0〜20℃の温度帯での粘度が5mPa・s以下であることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の酵母水溶性多糖類は以下の製造方法により、得ることができる。
【0013】
本発明方法の酵母細胞壁の種類は、酵母水溶性多糖類の原料となりうる酵母細胞壁であれば特に限定されないが、例えばビール酵母細胞壁、発泡酒酵母細胞壁、雑酒酵母細胞壁、清酒酵母細胞壁、ワイン酵母細胞壁、ウィスキー酵母細胞壁等の醸造用酵母細胞壁、パン酵母細胞壁、トルラ酵母細胞壁等を挙げることができる。
【0014】
本発明方法の原料となる酵母細胞壁を得る方法は特に限定されないが、例えば酵母菌体を5〜20時間45〜65℃に加温して自己消化させた後、遠心分離機で上清を除去する方法や、酵母菌体を80℃以上に昇温殺菌した後、そのまま遠心分離で上清を除去する方法や、酵素を添加、反応後に遠心分離して上清を除去する方法等がある。
【0015】
本発明の最初の工程では、酵母細胞壁をアルカリ条件下で洗浄する。酵母細胞壁に残留したタンパク質やアミノ酸が洗浄により除去できれば、その洗浄方法は限定されない。洗浄方法としては、例えばイーストセパレーターにより加水しながら行う方法などがあるが、洗浄後の固液分離した液が無色〜淡色、透明になればよい。洗浄温度は4〜95℃、好ましくは20℃〜50℃の範囲内で適宜実施すればよい。
【0016】
上述のアルカリ条件は、酵母細胞壁スラリーにアルカリを添加し、pHを8.0〜14.0好ましくは9.5〜12.0とする。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩等を挙げることができる。添加方法はバッチ式でも連続式でもよい。
【0017】
次にアルカリ条件下で洗浄した酵母細胞壁をアルカリ加水分解する。アルカリ加水分解は、pHを8.0〜14.0、好ましくは10.0〜12.0に調整し、60〜120℃、好ましくは85〜95℃で3〜24時間、好ましくは12〜20時間加水分解すればよい。アルカリ加水分解に用いるアルカリとしては、上述のアルカリ洗浄に用いたアルカリを挙げることができる。アルカリ加水分解の際、攪拌はしてもしなくてもよい。
【0018】
上記アルカリ加水分解後、酵母水溶性多糖類は溶液側に存在する。酵母水溶性多糖類を得るため、固液分離を行う。酵母水溶性多糖類は上清溶液に含まれる。固液分離の方法は、イーストセパレーターによる遠心分離や、珪藻土濾過、限外濾過膜を用いる方法等があるが特に限定されない。なお、固液分離を行わずに、次の加熱工程に進んでもよい。
【0019】
次に固液分離した上清溶液あるいはアルカリ加水分解後のスラリーを酸性条件下で加熱する。酸性条件とするには、例えば塩酸、硫酸等の無機酸や酢酸等の有機酸を添加し、pH2.5〜5.0、好ましくは3.5〜4.5に調整すればよい。固液分離した上清溶液あるいはアルカリ加水分解後のスラリーを酸性に調整した後に加熱する。加熱は熱凝固物を発生させる条件であれば特に限定されないが、例えば90〜140℃、好ましくは115〜125℃で15〜120秒、好ましくは30〜60秒加熱し、熱凝固物を発生させる。pH調整はバッチ式でも連続式でもよい。また加熱の方法はプレート式の熱交換機による方法等があるが特に限定されない。発生した熱凝固物はイーストセパレーターによる遠心分離や、珪藻土濾過、限外濾過膜を用いる除去するが、その方法は特に限定されない。
【0020】
上記の方法で熱凝固物を除去した溶液を分画分子量3,000〜200,000カット、好ましくは6,000〜100,000カットのUF膜で限外濾過をすることにより、溶液中の塩濃度が低下する。限外濾過後の溶液はそのままアセプティック充填するか、スプレードライヤーで乾燥してもよい。
【0021】
スプレードライヤーで乾燥した場合、白色で無味無臭の粉末が得られる。水によく溶け(30g/水100ml以上)、粘度も低く(15.0cp/20%以下、25℃)、糖質として70〜95%を含有し、多糖類中のマンノースとグルコースの構成比は75〜95:5〜25で、食物繊維含有率は70〜95%である。またその粉末の収率は、原料として使用した酵母細胞壁の乾燥物量対比8〜20%である。
【0022】
実施例
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
ビール酵母を自己消化させた後、遠心分離した沈殿物をスプレードライし、酵母細胞壁とした。酵母細胞壁30gに170gの蒸留水を加え溶解後、未処理、水洗浄、アルカリ洗浄の3条件で前処理した。水洗浄は酵母細胞壁溶解スラリーを3,000prmにて5分間遠心分離したのち、上清を廃棄し、上清と同量の蒸留水を添加後、再溶解し、更に3,000prmにて5分間遠心分離した。この操作を繰返し、上清のBrixが0.1以下になった時点で水洗浄を終了とした。アルカリ洗浄は、酵母細胞壁溶解スラリーに25%水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを9以上とし、3,000prmにて5分間遠心分離したのち、上清を廃棄し、上清と同量の蒸留水を添加後、再溶解し、更に3,000prmにて5分間遠心分離する。この操作を繰返し、上清のBrixが0.1以下になった時点でアルカリ洗浄を終了とした。
【0024】
未処理、水洗浄、アルカリ洗浄の3条件で前処理した酵母細胞壁スラリーに25%NaOH溶液を添加し、pH11に調整後、80℃のウォーターバスに17時間静置しアルカリ加水分解した。その後、8,000rpmにて5分間遠心分離し、上清を回収後、3N塩酸を添加し、pH5.5に調整した。各サンプルを凍結乾燥し、NaCl、グルカン、マンナン、粗蛋白量を測定した。その結果を表1に示す。また凍結乾燥したサンプルの1%水溶液の470nmでの吸光度を表2に示す。各サンプルの酵母臭につき官能検査結果を行った。凍結乾燥した各サンプルの1%水溶液をブラインドで官能検査し、表3に示す評価基準に基づいた専門パネリスト5名の官能評価平均値を表4に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
表1に示した結果から明らかなように、酵母細胞壁をアルカリ洗浄することで酵母可溶性多糖類の主成分であるマンナン濃度が上昇し、粗蛋白量が減少した。
【0027】
【表2】

【0028】
表2に示した結果から明らかなように、酵母細胞壁をアルカリ洗浄することで溶解色が低下した。
【0029】
【表3】

【0030】
【表4】

【0031】
表4に示した結果から明らかなように、酵母細胞壁をアルカリ洗浄することで、酵母臭が抑制された。
【実施例2】
【0032】
アルカリ洗浄処理した酵母細胞壁スラリーに、25%NaOH溶液を添加し、pH11に調整後、80℃のウォーターバスに17時間静置した。その後、8,000rpmにて5分間遠心分離し、上清を回収した。上清を50mlずつ遠沈管に分注し、塩酸によりpHを2.0〜8.0まで段階的に調整した。pH調整後の上清を8,000 rpmにて5分間遠心分離し、沈殿物を回収後、凍結乾燥し、沈殿物の重量を測定した。また、pH調整後の上清をオートクレーヴを用い105℃1分間加熱後、8,000 rpmにて5分間遠心分離し、沈殿物を回収後、凍結乾燥し、沈殿物の重量を測定した。各pHでの沈殿物量を図1に示す。またpH調整前の上清、pH調整、加熱後の沈殿物及び、沈殿物を除去した上清の分析値を表5に示す。
【0033】
図1に示す通り、上清のpHを4.0に調整した場合、沈殿物の発生量は最大になった。また、加熱をしない場合に比べ、105℃1分間の加熱をした場合、沈殿物の発生量は4倍以上となった。
【0034】
【表5】

【0035】
表5に示す通り沈殿物の60%以上は粗蛋白質であった。また、沈殿物を除去することにより、上清中の粗蛋白質濃度が減少し、相対的にマンナン濃度が上昇した。
【実施例3】
【0036】
アルカリ洗浄処理した酵母細胞壁スラリーに、25%NaOH溶液を添加し、pH11に調整後、80℃のウォーターバスに17時間静置した。その後、8,000rpmにて5分間遠心分離し、上清を回収した。塩酸を用い、上清のpHを4.0に調整後、オートクレーヴを用い105℃1分間加熱後、珪藻土濾過にて凝固物を除去し、さらに分画分子量6,000のUF膜で限外濾過し発生した中和塩の脱塩を行った。脱塩後の溶液をスプレードライし、白色の粉末を得た。この粉末の分析値を表6に示す。また、この粉末の1%水溶液を作成し、pH1.0〜14.0に調整した際の濁りにつき、積分球式濁度計にて濁度を測定した。結果を表7に示す。
【0037】
【表6】

【0038】
表6に示す通り、本発明方法により全糖90%以上、マンナン75%以上、食物繊維85%以上の酵母水溶性多糖類が得られた。また回収率は10%以上であった。
【0039】
【表7】

【0040】
表7に示す通り、全てのpHで濁度は2ppm以下であり、目視でも濁りは見られなかった。
【実施例4】
【0041】
実施例3で調製した酵母水溶性多糖類粉末を水に溶解し1%、5%、10%、20%水溶液を作成し、音叉型粘度計(AND社 CJV5000 VIBRO VISCOMETER)で0〜80℃での各濃度の粘度を測定した。各温度帯での粘度を図2に示す。
【0042】
酵母水溶性多糖類は温度の上昇に従い粘度が低くなっており、低温・高濃度でも粘性が低いことがわかる。特に、室温以下の温度帯(0〜25℃、好ましくは0〜20℃の温度帯)であっても粘性が上がることなく、10%以下の水溶液では粘度が10mPa・sを超えない程度の低粘性であることがわかる。
【実施例5】
【0043】
2リットルのお湯を沸騰させ、丸つぶむぎ茶(アサヒビールモルト社製)35グラム(計量カップ1/3)を入れ7分煮出たのち、45分静置し、丸つぶ麦茶の粒を取り除いた。麦茶粒を除去した麦茶に実施例3で調製した酵母水溶性多糖類粉末を30g添加して溶解させたのち、冷蔵庫で4℃まで冷却した。
4℃まで冷却した麦茶は、粘性が高くなることがなく、酵母水溶性多糖類無添加の麦茶と同様に、通常の茶類として飲用することができた。
【実施例6】
【0044】
実施例3で調製した酵母水溶性多糖類をドウに添加し常法によりフランスパンを製造した。
【0045】
強力粉 250.0g
薄力粉 30.0g
バター 3.0g
塩 5.0g
水 210.0g
ドライイースト 2.4g
酵母水溶性多糖類 8.0g
合 計 508.4g
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、従来のアルカリ加水分解と同等である10%以上の回収率でありながら、酵母臭や褐色が少なく、酸性条件下でもアルカリ条件下でも濁りや沈殿が発生せず、水溶性が高く、粘性の低い酵母水溶性多糖類である、従来のアルカリ加水分解に比べ水溶性多糖類濃度の高い酵母水溶性多糖類を製造できることから産業上有用性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】酵母細胞壁アルカリ加水分解物上清のpHを変化させた際の沈殿物量を示すグラフ。
【図2】0〜80℃での各濃度での酵母水溶性多糖類水溶液の粘度を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵母水溶性多糖類であって、水に溶解した場合低粘性であり、かつ酸性条件でもアルカリ条件でも濁りや沈殿を生じないことを特徴とする酵母水溶性多糖類。
【請求項2】
酵母水溶性多糖類であって、水に1%w/v水溶液として溶解した場合、0〜20℃の温度帯における粘度が10mPa・s以下であることを特徴とする酵母水溶性多糖類。
【請求項3】
酵母水溶性多糖類であって、水に20%w/v水溶液として溶解した場合、0〜20℃の温度帯における粘度が50mPa・s以下であることを特徴とする酵母水溶性多糖類。
【請求項4】
酵母細胞壁をアルカリ条件下で洗浄し、アルカリ加水分解した後、アルカリ加水分解物を酸性条件下で加熱し、固形物を除去することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の酵母水溶性多糖類の製造方法。
【請求項5】
酵母細胞壁をアルカリ条件下で洗浄し、アルカリ加水分解した後に固液分離し、上清溶液を酸性条件下で加熱し、固形物を除去することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の酵母水溶性多糖類の製造方法。
【請求項6】
前記アルカリ加水分解を、pH8.0〜14.0、70〜110℃の条件で行うことを特徴とする請求項4または5に記載された酵母水溶性多糖類の製造方法。
【請求項7】
前記酵母細胞壁が醸造用酵母またはパン酵母の細胞壁であることを特徴とする請求項4または5に記載された酵母水溶性多糖類の製造方法。
【請求項8】
前記アルカリ条件下での洗浄を、pH8.0〜14.0に調整後、加水しながら遠心分離機で固液分離することを特徴とする請求項4または5に記載された酵母水溶性多糖類の製造方法。
【請求項9】
前記酸性条件下での加熱を、pH2.5〜5.0、90〜140℃、15〜120秒で行うことを特徴とする請求項4または5に記載された酵母水溶性多糖類の製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の酵母水溶性多糖類を含有することを特徴とする食品添加物。
【請求項11】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の酵母水溶性多糖類を含有することを特徴とする飲食品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−169514(P2006−169514A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332026(P2005−332026)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】