説明

酵素分解性微粒子ハイパーブランチポリマーによる生物活性作用物質のカプセル化および制御放出

本発明の対象は、シェルとしてカプセル化材料、およびコアとして少なくとも1つの封入生物活性作用物質からなる皮膚および皮膚付属器への作用物質の制御放出のためのカプセル化微粒子作用物質製剤であり、カプセル化材料として酵素分解性有機エステル基を含有するハイパーブランチポリマーが使用されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、そのエステル基を含有するハイパーブランチカプセル化材料が酵素によって皮膚および皮膚付属器上で分解される、マイクロカプセル化において1つもしくは複数の作用物質を含有する化粧用調製物である。
【背景技術】
【0002】
化粧品の特別な作用を達成し、かつこれを提供することが主眼である場合、成分が中心のテーマとなる。化粧用製剤において提供される成分および原料の高い水準は、消費者が老化の影響に抵抗しうる上等かつ有効な製品に関心があるため常に高まっている。この場合、さらに、化粧品メーカーの関心は、皮膚を再活性化させ、または光による老化の結果から守ることができる作用物質にも関する。かかる物質は過去において第一に皮膚の潤滑および湿度形成に使用され、これらは現在では生理的作用を有する多数の異なる材料によって補充される。この例としては、ビタミン、果実酸、またはセラミドも挙げられる。これにより、かかる作用物質などの種類も意義が増大している。化粧においては、水性系または水含有系においても安定して貯蔵されうる作用物質に対する高い関心が存在する。
【0003】
1つもしくは複数の化粧用皮膚作用物質および/または芳香剤および/または栄養補助剤の使用目的には、これらをカプセル化し、またはコーティングを与えることが望ましい。具体的には、この処置は、熱不安定性、易酸化性物質、または易揮発性香料に適切である。
【0004】
カプセル化は、作用物質を保護し、かつより長く耐久性にすべき場合、それらを十分に皮膚へ浸透させ、均一に分配させ、制御放出すべき場合に有意義である。
【0005】
この場合、化粧用途においては、皮膚への制御されない浸透が生じないことに注意が払われる。これはナノスケールの粒度の場合該当しうる。
【0006】
米国特許第6,379,683号明細書において、樹状ポリマー製シェルに脂溶性コアを含有するナノ粒子が記載されている。これらのナノカプセルは、外部の影響に対してコアを有効に保護するものである。ナノカプセルは塗布後に皮膚へ浸透し、作用物質を内部の皮膚層に放出させる。
【0007】
したがって、特定の皮膚特異的放出機序によって化粧活性作用物質を皮膚上で放出しうるマイクロスケール粒子を皮膚へ塗布することが望ましい。これにより、ポリマーが、すなわちポリマーフィルムとして皮膚上に形成されると、追加の効果が作用物質の浸透に影響を及ぼしうる。それによって、皮膚への浸透に際して作用物質を保護しうるマイクロ密封効果が生じる。
【0008】
したがって、マイクロカプセル化の目標は、作用物質の制御された放出挙動(制御放出)、流動物質のコーティング、コア材料のマスキングまたは保護、揮発度の削減のほか、例えば、配合のための他の物質との相性の改善の目的など、さまざまな目的に役立ちうる。
【0009】
「マイクロカプセル」という語は、固形、ゲル化、液状、またはガス状の媒体で充填されており、かつフィルム形成ポリマーの連続シェルによって取囲まれて(カプセル化されて)いる内部空間またはコアを含有する本発明による粒子および凝集体と解釈される。これらの小部分は、好ましくは、小さな寸法を有する。
【0010】
さらに、微視的に小さいカプセルは、1つもしくは複数の層からなる連続カプセル化材料において1つもしくは複数のコアを分配して含有しうる。しかも、被覆すべき材料の配分は、均質の混合物がシェル材料およびコア材料から生じる限りでは進行しうるが、これはマトリックスと呼ばれる。マトリックスシステムは微粒子としても周知である。
【0011】
マイクロカプセルの製造は、従来技術の文献において詳細に記載され、かつ溶剤蒸発、沈殿法、コアセルベーション、界面ポリ縮合、高圧カプセル化法等など、周知の再活性化および非再活性化法によって自由に利用可能である。
【0012】
溶剤蒸発は、リザーバシステムおよびマトリックスシステムの製造に使用され、この一部をなすのが特に噴霧乾燥およびドラムコーティングである。
【0013】
沈殿法に際しては、ポリマー壁材料は水と混合可能な溶剤に溶解され、かつカプセル化すべき作用物質はその中に分散される。次いで、分散液は強い混合下に連続水相へもたらされる。
【0014】
コアセルベーションは、外部の影響によってもたらされる、液状分散材料(コアセルベート)の高い含有量を有する相および低い含有量を有する相におけるコロイド状分散液の分離(液状/液状または固形/液状)と解釈される。
【0015】
界面ポリ縮合の技術では、すでに完成したポリマーをコーティング材料として使用する溶剤蒸発またはコアセルベーションなど他の使用されるマイクロカプセル化法とは対照的に、シェルは適切なモノマーからのカプセル化法の経過中に初めて形成される。
【0016】
圧縮または超臨界流体による高圧カプセル化法に関する従来技術は、Chemie Ingenieur Technik 77(2005年)669〜680頁におけるゲームズ(Gamse)らのほか、「超臨界流体抽出物:原理と実践(Supercritical Fluid Extraction:Principles and Practices)」、マサチューセッツ州(MA)、Stoneham、1986年におけるマクヒュウ(McHugh)とクルコニス(Krukonis)によって記載されている。
【0017】
ゲームズ(Games)ら、ファージュ(Fages)ら、およびブンガート(Bungert)らは、具体的には、微粒子すなわちマイクロカプセルの製造に適している高圧法を記載している(ゲームズ(Games)ら、Chemie Ingenieur Technik 77(2005年)669〜680頁、ファージュ(Fages)ら、Powder Technology 141(2004年)219〜226頁、およびブンガート(Bungert)ら、Ind.Eng.Chem.Res.、37、(1997年)3208〜3220頁)。圧縮ガスによる粒子製造のための周知の方法は、GAS(GAS(ガス・アンチソルベント(AntiSolvent))法、PCA(圧縮流体アンチソルベントによる沈殿)法、PGSS(ガス飽和溶液からの粒子)法、およびRESS(超臨界溶液急速膨張)法である。以下、これらの方法を手短に説明する。
【0018】
GAS法では、ポリマー、作用物質、および溶剤を含有する溶液を一定の温度でオートクレーブにかけ、次いで非溶剤としてガスを強く送り込み、ポリマーおよび作用物質が微粒子として沈殿する。この場合、攪拌機による溶液/懸濁液の混合が、粒子の凝集を防ぐために有用である。
【0019】
作用物質分子はポリマーマトリックスにおける沈殿中に詰め込まれ、またはその周りにポリマーのコーティングが形成されたコア(リザーバ)として存在しうる。次いで、懸濁液が形成されるが、これはろ過によって分離されうる。超臨界媒体(流体)における粒子の洗浄によって、溶剤残留物が抽出されうる。低い、それによって作用物質を保護する温度での方法を行う可能性に加えて、とりわけ相変換、さらに粒子形成の動態に対する影響に重要な役割がある。過飽和が時間経過およびガス添加の強度によって制御されることにより、粒度分布も選択されうる。第1のステップにおいて相分離が誘導され、かつ発生するポリマーを多く含む相、その後の微粒子の滴の形態で結晶核が形成される。そこで肝心な点は、これらの滴を結合または増加させるのではなく、これらの滴から溶剤をできるだけ迅速に抽出させることである。次いで、小さな径の粒子が蓄積する(ゲームズ(Games)ら、Chemie Ingenieur Technik 77(2005年)669〜680頁、およびブンガート(Bungert)ら、Ind.Eng.Chem.Res.、37、(1997年)3208〜3220頁)。これらの両方のステップの適切な変化によって、粒子分布および粒度が調節される。
【0020】
PCA法またはSEDS(超臨界流体による溶液強化分散)法によってもGAS法の両方の制限的規模、すなわち、粒子形成のためのイニシエーターとしての圧力ビルドアップ率および物質輸送が最適化され、滴から溶剤を除去する(ゲームズ(Games)ら、Chemie Ingenieur Technik 77(2005年)669〜680頁、ファージュ(Fages)ら、Powder Technology 141(2004年)219〜226頁、およびブンガート(Bungert)ら、Ind.Eng.Chem.Res.、37、(1997年)3208〜3220頁)。オートクレーブからの作用物質ポリマー溶液は、これにより濃縮され、噴射ノズルにおいて超臨界ガスと接触し、かつ沈殿ユニットにおいて飛散される。最後の洗浄過程において超臨界流体により溶剤は抽出によって粒子から除去される。溶液および超臨界流体が飛散過程の直前にノズルにおいて混合されることによって、短い接触時間によって高い圧力ビルドアップ率が達成される。すでに詳しく上述したように、その結果としてポリマー作用物質溶液の高い過飽和がもたらされる。このようにして、均質の分配のほか、小さい粒度が得られるが、なぜなら初期相分離後に飛散によって微細な分散が行われ、ここでポリマー溶液滴の高い比表面によって超臨界ガスへの溶剤の改善された物質輸送が行われうるからである。超臨界噴霧乾燥によって、置換結晶化および溶剤蒸発による結晶化が結合される。
【0021】
PGSS法は、ポリマー用の(しばしば毒性の)溶剤なしに行われるので基本的に前述の高圧法と区別される。国際公開第95/21688号パンフレットにおけるワイドナー(Weidner)、Chemie Ingenieur Technik 77(2005年)669〜680頁におけるゲームズ(Games)ら、Powder Technology 141(2004年)219〜226頁におけるファージュ(Fages)ら、およびInd.Eng.Chem.Res.、37、(1997年)3208〜3220頁におけるブンガート(Bungert)らによって記載されているように、この方法においては、超臨界流体によるポリマーのガラス温度の低下の効果が利用される。ポリマーは超臨界流体において融解され、作用物質は溶液において分散される。それによって、ポリマー溶解物の粘度も低下する。分散作用物質を有するポリマーガス融解物は沈殿ユニットにおいてノズルを介して弛緩されるが、ここでノズルはさらに超臨界ガスに供給されうる。ジュール・トンプソン効果による温度添加により溶液は冷却され、かつポリマーは微細粉末として沈殿する。粒子はガス流からサイクロンおよび後方の電気フィルタを介して分離されうる。このようにして、さまざまな大きさの部分が分離されうる。作用物質はポリマーの融解のためポリマーマトリックスにおいて分散されうる。ノズルにおける弛緩によって微細な単分散粒子が生じる。
【0022】
RESS法は、この方法においても有機溶剤が使用されないのでPGSS法に似ている。Chemie Ingenieur Technik 77(2005年)669〜680頁におけるゲームズ(Games)ら、Powder Technology 141(2004年)219〜226頁におけるファージュ(Fages)ら、およびInd.Eng.Chem.Res.、37、(1997年)3208〜3220頁におけるブンガート(Bungert)らによって記載されているように、最初にポリマーが高圧オートクレーブにおいて溶解される。作用物質は同じく溶解されるか、または攪拌機を介して分散される。充填微粒子の場合には、溶解物における作用物質の均質の分配にきわめて大きな意味があるが、なぜなら最終的に作用物質分子の大きさが微粒子の大きさの実質的な限界を示すからである(ゲームズ(Games)ら、Chemie Ingenieur Technik 77(2005年)669〜680頁、ファージュ(Fages)ら、Powder Technology 141(2004年)219〜226頁、およびブンガート(Bungert)ら、Ind.Eng.Chem.Res.、37、(1997年)3208〜3220頁)。超臨界溶液は沈殿ユニットにおいて環境圧で飛散される。溶液すなわち弛緩に際しての滴の過飽和は、上記の方法と比べきわめて大きな速度で生じる。弛緩によって、きわめて短時間に超臨界流体の密度は低下し、それとともに溶解力もガスに典型的な値に低下する。核形成および物質輸送は、この方法において直接、連続し、他の方法に対してさまざまな点で最適化されている(ゲームズ(Games)ら、Chemie Ingenieur Technik 77(2005年)669〜680頁、ファージュ(Fages)ら、Powder Technology 141(2004年)219〜226頁、およびブンガート(Bungert)ら、Ind.Eng.Chem.Res.、37、(1997年)3208〜3220頁)。
【0023】
しかし、正常な皮膚、具体的には、ただし感受性で刺激性の皮膚、および特にベビーケアにおける処置のための化粧用製剤において、明らかな理由により、この種のマイクロカプセル化作用物質を使用することは、しばしば困難であり、または不可能である。
【0024】
スキンケアにおいては、さらに、皮膚の微生物叢が不適切な添加剤によって損なわれず、維持および保護され、すなわち、「自然の」環境条件を広範囲に維持することに注意が払われる必要がある。
【0025】
ヒトの皮膚は、組織との動的平衡にある平衡状態の微生物叢を有する(ホランド(Holland),K.T.、ボヤール(Bojar),R.A.、Am.J.Clin.Dermatol.、2002年、3、445〜449頁)。したがって、微生物叢を皮膚の不可欠な成分とみなすことができる。微生物の大半は皮膚表面上および毛嚢中に生息する。皮膚は、微生物が見境なしに繁殖せず、とりわけ病原性微生物の行動が制限される多くの機序によって管理される。
【0026】
微生物叢の微生物は酵素を産生し、それを環境に放出する。酵素は生体触媒であり、人体における反応を加速させるが、その場合に自己変化することがない。これらの酵素は、皮膚上に存在する分子の変換すなわち分解にも役立つ。加水分解反応は加水分解酵素によって触媒されるが、これらを基質特性に応じてリパーゼ、プロテアーゼ、エステラーゼ、グリコシダーゼ、ホスファターゼなどに分けることができる。例えば、皮膚および頭皮上のリパーゼ天然脂肪(トリグリセリド)はグリセリンおよび遊離脂肪酸において分解する。同じく、汗とともに分泌される分子は分解され、かつこのようにして不快な汗臭を生じうる。
【0027】
加水分解可能な構造を有するポリマーは酵素の作用によって迅速に分解されうることも示された(サンテレ(Santerre),J.Pら、生分解性評価および酸化および加水分解酵素を有するポリエステル・ウレタン(Biodegradation evaluation and polyester−urethanes with oxidative and hydrolytic enzymes)、J.Biomed.Mater.Res.、28、1187頁、1997年)。多くの酵素はきわめて特殊であり、特定の基質のみ分裂させる。ただし、例えば、リパーゼなど、合成ポリマーをも分裂させうる非特異的に作用する酵素も存在する。
【0028】
したがって、化粧用作用物質のためのカプセル化システムに理想的に要求されるものは多種多様である。簡単に実施可能であるべきであり、かつ一定の品質でマイクロカプセルの製造に適している保護的かつ迅速な封入法に加えて、それによってのみ十分な保護が得られるという点で、カプセル化すべき作用物質ができるだけ完全に被覆されなければならない。好ましくは、マイクロカプセルの製造は簡単なワンステップ法で行われ、かつ壁材料として、明確な化学化合物において傑出する市販のポリマーが使用される。ポリマー材料の選択に際しては、さらに、望ましくない皮膚反応が引き起こされないこと、かつ放出機序の種類が、微生物叢の侵害が結果として生じないように適合されうることが考慮される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の課題は、すでに述べた多種多様の要件基準を満たし、作用物質を皮膚への塗布後に継続的かつ制御的に皮膚上に放出するが、皮膚の微生物叢を損なうことがない作用物質をマイクロカプセル化で含有するスキンケアのための貯蔵および輸送安定化粧用調製物を提供することである。
【0030】
したがって、本発明の対象は、シェルとしてカプセル化材料および少なくとも1つの封入生物活性作用物質からなる皮膚および皮膚付属器への作用物質の制御放出のためのカプセル化微粒子作用物質製剤であり、カプセル化材料として酵素分解性有機エステル基含有ハイパーブランチポリマーが使用されることを特徴とする。
【0031】
ヒトまたは皮膚微生物叢由来の皮膚に固有の酵素による制御放出は、この場合、皮膚/皮膚付属器において直接行われる必要はない。これは表面処理された密着繊維上でもこの酵素からこの繊維への移動によっても可能である。
【0032】
したがって、本発明の別の対象は、少なくとも1つの、具体的には、生物活性作用物質を包含するシェルとしてカプセル化材料からなる繊維への作用物質の制御放出のためのカプセル化微粒子作用物質製剤であり、これは、カプセル化材料として酵素分解性有機エステル基含有ハイパーブランチポリマーが使用されることを特徴とする。
【0033】
本発明の別の対象は特許請求の範囲によって特徴づけられている。
【0034】
この場合、特別な利点により、化粧用作用物質がわずかな溶解度を有するポリマー系が提供されるが、それはかかるポリマー混合物において、作用物質はポリマーを除去する高い傾向を有するためである。系の低い密度はさらに短い分散路を引き起こす。
【課題を解決するための手段】
【0035】
意外にも、エステル基含有ハイパーブランチマクロ分子の使用によって、別の薬剤および担体材料を使用せず、かつカプセル壁材料を透過性にするための機械的エネルギーを使用せずに製造可能である化粧用製剤への組込みのためのマイクロカプセルが製造されることがわかった。
【0036】
高分岐球状ポリマーは専門文献において「樹状ポリマー」とも呼ばれている。多機能モノマーから合成されたこれらの樹状ポリマーは、2種類のカテゴリー、「デンドリマー」および「ハイパーブランチポリマー」に分けられる。
【0037】
デンドリマーは、きわめて規則的な放射相称発生構造を有する。これらは、ハイパーブランチポリマーと比べ高い合成費用により多ステップ合成で製造される単分散の球状ポリマーを示す。
【0038】
この場合、構造は3種類の領域によって特徴づけられる。すなわち、
(1)対称中心を示す多機能コア、
(2)繰返しユニット(発生)のさまざまに規定される放射相称層、および
(3)末端基。
【0039】
ハイパーブランチポリマーは、デンドリマーとは対照的に、多分散であり、かつその分岐および構造の点で不規則である。樹状ユニットに加えて、ハイパーブランチポリマーにおけるデンドリマーとは対照的に、線状ユニットも発生する。ハイパーブランチポリマーの例が次の構造で示されている。
【化1】

【0040】
ハイパーブランチポリマーの合成および構成のさまざまな可能性に関しては、a)ジケイ(Jikei)M.、カミモト(Kamimoto)M.、ハイパーブランチポリマー(Hyperbranched polymers):有望な新しいクラスの材料(a promising new class of Materials)、Prog.Polym.Sci.、26(2001年)1233〜1285頁、および/または、b)ガオ(Gao)C.、ヤン(Yan)D.、ハイパーブランチポリマー(Hyperbranched Polymers):合成から応用へ(from synthesis to applications)、Prog.Polym.Sci.、29(2004年)183〜275頁、c)ザイラー(Seiler)、進歩報告(Fortschritt−Berichte)VDI、第3シリーズ、第820号、ISBN3−18−382003−xが参照されるが、これらは本明細書で参考文献として導入され、本発明の開示の一部とみなされる。
【0041】
これらの刊行物に記載されたエステル基含有ハイパーブランチおよび高分岐ポリマーは、本発明の趣旨においても作用物質のカプセル化のための適切なポリマーであり、以下、担体ポリマーまたはカプセル化もしくはシェル材料と呼ぶ。
【0042】
「ハイパーブランチポリマー」という概念は、本発明の趣旨において、デンドリマーのほか高分岐ポリマーをも包含する。
【0043】
このポリマーから周知の方法に従って製造されるマイクロカプセルは、形および大きさの点で製造方法に依存して広範囲に変化しうるが、好ましくは、ほぼ球状または円形であり、かつその内部に含有する物質に応じて1〜1,000μm、具体的には、5〜200μm、かつ好ましくは、10〜50μmの範囲の直径を有する。マイクロカプセルの製造方法の一部は、100℃を超える反応温度によるその徹底した製造条件に基づき、化粧用作用物質のカプセル化のために適切ではないが、それはしばしば、かかる条件下にカプセル化すべき作用物質は、大部分が、すなわち、好ましくない場合には、しかも完全に破壊されるからである。
【0044】
皮膚上のマイクロカプセルからの物質の放出は、それらを含有する調製物の使用中に酵素作用によるシェルの破壊によって行われる。
【0045】
さらに、ハイパーブランチエステル基含有基本ポリマーの任意の他のポリマーとの混合によって、ハイパーブランチベースポリマーの割合が70重量%を超える限り、酵素で誘導される放出挙動が依然として得られることが確認された。他の、好ましくは、イオン性基で官能化されるポリマーとの混合によって、活性作用物質の生分解性、放出挙動などの特徴、および製造コストなども有利に影響されうる。
【0046】
本発明の好ましい実施形態において、化粧用調製物マイクロカプセルは、0.1〜10重量%、具体的には、0.2〜8重量%、特に好ましくは、0.5〜5重量%の量で含有する。
【0047】
本発明により使用されるカプセル化材料は、結合ユニットが少なくとも2つの結合可能性を有する、1,000g/モル〜100,000g/モル、好ましくは、1,500g/モル〜70,000g/モル、かつ特に好ましくは、4,000g/モル〜50,000g/モルのモル質量に基づくハイパーブランチポリエステルである。この関係で好ましいハイパーブランチ担体ポリマーはポリエステル、およびポリエステルアミドである。これらのポリマーの中で好ましいのは、パーストープ(Perstorp)AB社において商標ボルトルン(Boltorn)(登録商標)ですでに市販されているハイパーブランチポリエステル、すなわち、具体的には、完全にまたは部分的に、好ましくは、1〜99%、具体的には、30〜98%まで脂肪酸でエステル化されているハイパーブランチボルトルン(Boltorn)(登録商標)ポリエステルのほか、DSM BVニーダーランデ(Niederlande)社において商標ハイブレン(Hybrane)(登録商標)で市販されているハイパーブランチポリエステルアミドである。
【0048】
意外にも、図1に記載された特に好ましいカプセル化法が有機溶剤なしに作用物質カプセル化にも使用されうることがわかった。ハイパーブランチポリマーはここではそれ自体、溶剤すなわち分散剤として作用する。これによって不必要な溶剤すなわちガス濃縮の使用は、本発明によるハイパーブランチポリマーが従来技術の他の溶剤のような爆発性の蒸気を形成しえないため、従来技術と比べより安全な方法をもたらす。
【0049】
本発明による作用物質製剤は、親水性コアを有するハイパーブランチポリマーを含んでなる。親水性は、コアが高い割合の水を吸収しうることを意味する。本発明の好ましい態様によれば、親水性コアは水中で可溶性である。好ましくは、水中の溶解度は90℃で少なくとも7質量パーセント、特に好ましくは、少なくとも20質量パーセントである。この大きさは、疎水性化前のハイパーブランチポリマーによって、すなわち、親水性コアにおいてそのようなものとして測定される。測定は、純粋な物質の水溶性が測定されるいわゆるフラスコ法に従って行われうる。この方法において、物質(固形物は粉末化される必要がある)は、試験温度をわずかに上回る水中温度で溶解される。飽和が達成されると、溶液は冷却され、かつ試験温度で維持される。溶液は、平衡が達成されるまで攪拌される。あるいは、測定は、適切なプローブ利用が確保され、飽和均衡が達成されると、直接、試験温度で実施されうる。次いで、未溶解物質の小部分の含有が許されない水溶液中の試験物質の濃度が、適切な分析方法によって測定される。
【0050】
親水性コアに加えて、ハイパーブランチポリマーは疎水性末端基を有する。この関係で疎水性末端基という概念は、ハイパーブランチポリマーの鎖端の少なくとも一部分が疎水性基を有することを意味する。これにより、それによって少なくとも部分的に疎水性化表面が得られることが考えられうる。
【0051】
疎水性という概念はそれ自体、当業界において周知であり、ここで、ハイパーブランチポリマーの末端の少なくとも一部において存在する基は、それだけでみると、低い水溶性を有する。
【0052】
特別の態様によれば、表面は、少なくとも6個、好ましくは、少なくとも12個の炭素原子を有するカルボン酸によって誘導される基によって疎水性化される。カルボン酸は、好ましくは、最大で40個、特に最大で32個の炭素原子を有する。これにより、基は飽和および/または不飽和脂肪酸によって誘導されうる。
【0053】
これには具体的には、亜麻仁、大豆、および/またはトール油に含まれている脂肪酸が属する。特に適切なのは、少ない割合の二重結合を有する脂肪酸である。
【0054】
使用可能であるのは、6〜22個の炭素原子、具体的には、14〜18個の炭素原子を有する天然の植物性または動物性脂肪および油に基づくこの分野で周知かつ通常の一塩基性脂肪酸であり、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、油酸、リノール酸、ペトロレジン(Petrolesin)酸、エライジン酸、アラヒン酸、ベヘン酸、オイルカ(Euruca)酸、ガドレイン酸、ナタネ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、トール油脂肪酸など、単独もしくは混合してそのグリセリド、メチル、またはエチルエステルの形態で、または遊離酸として使用されうるもののほか、圧力分解に際して見られる技術的混合物である。適切であるのは、原則として同様の鎖分布を有するすべての脂肪酸である。
【0055】
不飽和部分でのこれら脂肪酸すなわち脂肪酸エステルの含有量は、これが必要である限り、周知の触媒水和法によって所望のヨード数に設定され、または完全水和脂肪要素と非水和脂肪要素との混合によって達成される。
【0056】
脂肪酸の平均飽和度の測定数としてのヨード数は、100gの化合物から二重結合の飽和のために取入れられるヨード量である。
【0057】
これにより、好ましいカルボン酸は、少なくとも35℃、かつ好ましくは、少なくとも40℃の融点を有する。それに応じて、好ましくは、線状飽和カルボン酸が使用される。これには具体的には、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、およびテトラコサン酸が属する。特に好ましくは、16〜22個の炭素原子を有する飽和脂肪酸である。
【0058】
ハイパーブランチ担体ポリマー(疎水性化後)は、少なくとも1,500g/モルの分子量を有する。好ましくは、分子量は、最大で100,000g/モル、特に好ましくは、最大で50,000g/モルである。これらの大きさは、DMFにおける測定が行われ、かつ基準としてポリエチレングリコールが使用されるゲルパーメーションクロマトグラフィーによって測定されうる分子量(Mw)の平均量に依拠する(特に、ブルガス(Burgath)ら、Macromol.Chem.Phys.、201(2000年)782〜791頁を参照)。これにより、ポリスチロール標準を使用して得られた較正曲線が使用される。したがって、これらの大きさは見掛けの測定値を示す。
【0059】
好ましいハイパーブランチポリマーの多分散性は、好ましくは、1.01〜6.0の範囲、特に好ましくは、1.10〜5.0の範囲、かつ完全に特に好ましくは、1.2〜3.0の範囲にあり、ここで分子量(Mn)の数平均もGPCによって得られうる。
【0060】
ハイパーブランチポリマーの粘度は、好ましくは、50mPas〜5,00Pasの範囲、特に好ましくは、70mPas〜3,00Pasの範囲にあり、ここでこの大きさは、回転粘度計によって2つの20mmプレート間で110℃および30s−1で測定されうる。
【0061】
ハイパーブランチポリマーの酸価は、好ましくは、0〜20mg KOH/gの範囲、特に好ましくは、1〜15mg KOH/gの範囲、かつ完全に好ましくは、6〜10mg KOH/gの範囲にある。この特性は、NaOHによる滴定によって測定されうる(DIN 53402を参照)。
【0062】
さらに、疎水性化後のハイパーブランチポリマーは、0〜600mg KOH/gの範囲、好ましくは、0〜300mg KOH/gの範囲、かつ特に好ましくは、0〜200mg KOH/gの範囲のヒドロキシ価を有する。この特性は、ASTM E222により測定される。これにより、ポリマーは明確な量の酢酸無水物で変換される。変換されない酢酸無水物は水で加水分解される。次いで、混合物がNaOHで滴定される。ヒドロキシ価は比較プローブとポリマーについて測定される値との区別から生じる。これにより、ポリマーの酸基の数が考慮される。これは、以前に記載された方法を介して測定されうる酸価によって行われうる。
【0063】
ハイパーブランチポリマーの分岐度は、1〜99%、好ましくは、30〜98%の範囲にある。分岐度は、ポリマー、具体的には、親水性コアの製造に使用される成分のほか反応条件に依存する。分岐度は、フレイ(Frey)らによって測定されうるが、ここでこの方法は、D.へルター(Hoelter)、A.ブルガス(Burgath)、H.フレイ(Frey)、Acta Polymer、1997年、48、30頁、およびH.マグヌソン(Magnusson)、E.マルムストレーム(Malmstroem)、A.フルト(Hult)、M.ヨアンソン(Joansson)、Polymer 2002年、43、301頁に示されている。
【0064】
ハイパーブランチポリマーは、少なくとも30℃、特に好ましくは、少なくとも35℃、かつ完全に特に好ましくは、少なくとも40℃の融点を有する。融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、Apparat Mettler DSC 27 HPおよび10℃/分の発熱率によって行われうる。
【0065】
疎水性化後のハイパーブランチポリマーの水溶性は、好ましくは、最大で10質量パーセント、特に好ましくは、最大で7質量パーセント、および完全に特に好ましくは、最大で5質量パーセントであるが、これは40℃で以前に示されたフラスコ法に従って測定される。
【0066】
本発明により同時に使用可能なカプセル化材料は、従来技術において周知の天然、半合成、または合成、無機および具体的には、結果として生じる混合物の酵素制御開放が維持され続けることが保証される限り、有機材料である。
【0067】
天然有機材料は、例えば、炭水化物、アミノ酸、核酸、アミド、グルコサミン、エステル、アラビアゴム、寒天、アガロース、マルトデキストリン、アルギン酸すなわちその塩、例えばアルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カルシウム、リポソーム、脂肪および脂肪酸、セチルアルコール、コラーゲン、キトサン、レシチン、ゼラチン、アルブミン、シェラック、多糖類、例えばデンプンまたはデキストラン、シクロデキストリン、ショ糖およびろうからのホモポリマーおよびヘテロポリマーである。
【0068】
半合成カプセル化材料は、とりわけ化学修飾セルロース、具体的には、セルロースエステルおよびセルロースエーテル、例えばセルロースアセテート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースのほか、デンプン誘導体、具体的には、デンプンエーテルおよびデンプンエステルである。
【0069】
合成カプセル化材料は、例えば、アミノ樹脂、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドン、オルガノポリシロキサン、非天然アミノ酸、非天然核酸、ポリアミン、ポリオール、オリゴ−およびポリイソプレン、エステルおよびポリエステルなどのポリマー、具体的には、分岐グリセリンエステルアミド、イミン、ポリフェノール、ジチオールおよびホスホジエステル、エチルエングリコール、オキシメチレングリコシド、アセタールユニット、ケイ酸塩および炭酸塩、ハイパーブランチヒドロゲル、ポリエステル構造を有する櫛形ポリマーまたはポリビニルピロリドン、ポリラクチドである。
【0070】
さらに好ましい同時使用可能な担体ポリマーは、ポリカプロラクトン、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)などのコポリマーのほか、デグサ社(Degussa AG)によって製造された製品ファミリーDynapol(登録商標)SおよびDynacoll(登録商標)のポリエステル化合物である。これらのポリマーは特殊なポリマー特性を含めるための混合物としても使用されうる。
【0071】
これらのポリエステルの混合によって、ポリマーの化合物は、結果として生じるカプセル化材料が短くまたは長く酵素的に分解されうるように含めることができる。
【0072】
化粧用調製物の範囲で使用されうる作用物質の一般的な例は、ビタミン、ビタミン誘導体およびビタミン複合体、酵素、界面活性剤、化粧用オイル、真珠光沢(Perlglanz)ろう、安定剤、抗菌作用物質、抗炎症作用物質、植物、酵母および藻抽出物、合成天然材料、アミノ酸およびクレアチンなどのアミノ酸誘導体、コレステロールなどの生物活性脂質、セラミドおよび偽セラミド、デオドラント、制汗剤、抗鱗屑剤、UV日焼け防止指数、抗酸化剤、保存剤、防虫剤、セルフタナー、チロシナーゼ阻害剤(脱色剤)、香水油、染料、ペルオキシド、ペプチド、オリゴペプチドまたは香料である。好ましく使用される作用物質は、非カプセル化形態において、安定して組込み可能ではなく、または少なくとも長い貯蔵期間にわたって安定し続けない製剤におけるものである。特に好ましい作用物質の例がクレアチンである。
【0073】
スキンケアのための化粧用製剤は、それぞれの使用目的に一般的な成分を通常の量で含有する実用的に通常の製剤である。これらの製剤は当業者には周知であり、そのまま使用されうる。
【0074】
現在使用される酵素分解性カプセルシステムは、水の存在下に膨化する天然ポリマー(キトサン、アルギン酸塩、ゼラチン等)に基づく。環境からの水の分散によって、一方では、カプセル化作用物質がカプセルの内部で侵され、かつ他方では、カプセル内部からの作用物質が環境に放出される。これにより作用物質の十分な保護が得られない。
【0075】
脂肪酸でエステル化されたハイパーブランチポリマーから本発明において製造される作用物質カプセルは、水の浸入をその疎水性シェルによって阻止し、こうして作用物質の良好な保護を提供しうる。さらに、担体ポリマーの酵素分解は天然ポリマーと比べ改善され、これが作用物質のより迅速かつ効率的な放出をもたらす。
【0076】
現在の作用物質カプセルと比べ、本発明により使用される(上記および図1に記載されたカプセル化法により製造される)微粒子作用物質製剤は別の利点、すなわち、剪断力に対する安定性を有する。本発明による作用物質カプセルすなわち作用物質製剤は現在、部分的に分散剤として提供され、かつ水の封入によって柔らかくなるため、これらは最後に、かつ厳格でない条件下でのみクリーム製剤へ組込むことができる。これは、固形の、剪断力に対して安定な密なシェルを有するという点で、本発明により使用される作用物質カプセルにおいては不要である。
【0077】
さらに、本発明により特に適切な作用物質粒子は、平均10〜60μmの粒度を有し、かつカプセル化化粧用作用物質を少なくとも30重量%まで24時間以内、好ましくは、15時間以内、かつ特に好ましくは、10時間以内に作用物質製剤の周囲へ放出させる。
【0078】
目的粒度および作用物質充填濃度は、コアセルベーション、または好ましくは、担体ポリマー溶解物または担体ポリマーを多く含む溶液中、−30℃〜+150℃、かつ特に好ましくは、0℃〜+60℃の温度範囲、および0.1mbar〜250bar、かつ好ましくは、1mbar〜10barの圧力範囲での作用物質の分散によってもたらされる。あるいは、本発明による作用物質製剤の製造は、噴霧乾燥、GAS(ガス・アンチソルベント(AntiSolvent))、PCA(圧縮流体アンチソルベントによる沈殿)法、PGSS(ガス飽和溶液からの粒子)法、およびRESS(超臨界溶液急速膨張)法でも可能であるが、ただし、−30℃〜+150℃、好ましくは、0℃〜+100℃の温度範囲、かつ0.1mbar〜250bar、好ましくは、1bar〜180barのシステム圧力においてのみである。
【0079】
これら本発明による方法で(上記の本発明による担体ポリマーを使用して)製造された作用物質製剤は特に高い安定性を示すが、それによって、具体的には、感受性、反応性、または不安定な化粧用作用物質が有利な化粧用製剤に加工されうる。
【0080】
担体ポリマーの質量に関して、本発明による作用物質製剤は、特に、約0.5〜90質量%の作用物質濃度において傑出する。
【0081】
さらに意外にも、ハイパーブランチ担体ポリマーにおいて(ポリマーには比較的低い融解粘度および溶液粘度に基づき)カプセル化法が溶剤なしに、すなわち圧縮ガスなしに行われうることがわかった。ハイパーブランチポリマーはそれ自体、溶剤/分散剤として作用しうる。これによって溶剤/ガス濃度の不必要な使用は、ハイパーブランチポリマーが従来技術の他の溶剤のように爆発性または健康に有害な蒸気を形成しえないため、従来技術と比べ、より安全な方法をもたらす。
【0082】
次の実施例により本発明の対象を詳しく説明する。
【実施例】
【0083】
実施例1:クレアチンのマイクロカプセル化
図1に示された本発明による方法の使用によりクレアチンをハイパーブランチ、酵素分解性ポリエステルにカプセル化した。この場合、混合容器(図1参照)において、ポリマー溶解物中20重量%の市販の生物活性作用物質クレアチンをT=85℃で攪拌容器中で強い混合によって0.5分間分散した。ポリマー溶解物は、融解ハイパーブランチ、脂肪酸修飾ポリエステル(M=7500g/モル)から成ったが、これは、パーストープ(Perstorp)社から市販のハイパーブランチポリエステルボルトルン(Boltorn)H30の50%のヒドロキシ基をステアリン酸とパルチミン酸との混合物(ステアリン酸のパルミチン酸との質量比=2:1)でエステル化することによって得られた。
【0084】
混合容器2(図1参照)において2重量%ポリビニルアルコール(M=6000g/モル)および0.1重量%のエトキシ化脂肪アルコール、TegoアルカノールL4からなる界面活性剤の混合物を水中50℃で攪拌しながら供した。
【0085】
次いで、混合容器1からのポリマー/クレアチン分散液を外相に対して毎分3,000回転でULTRA−TURRAX撹拌機で連続的攪拌により混合容器2へ添加した。5分の保持時間後およびポリマーの融点より低い温度10℃へシステム温度を低下させた後、固形粒子が形成される。これらの粒子は、10μm<d90、粒子<50μmの粒度を示し(図2)、かつハイパーブランチ、脂肪酸修飾ポリエステルからなり、これは(粒子質量に対して)約17重量%クレアチンを包含する。チューブポンプ(システム3)により遠心分離機の懸濁液を供給した(システム4)が、ここでは25℃で微粒子作用物質製剤が連続相から分離される。次いで、微粒子を真空乾燥機において25℃および10mbarで100時間乾燥させた。したがって、微粒子は自由流動性に存在し、球状であり、皮膚に対する好ましくない感覚作用が生じない。
【0086】
実施例2:トコフェロールのマイクロカプセル化
図1に示された本発明による方法の使用によりトコフェロールをハイパーブランチ、酵素分解性ポリエステル化した。この場合、混合容器1(図1参照)において、ポリマー溶解物中20重量%の生物活性作用物質トコフェロールをT=85℃で(例えば、アンカー攪拌機を備えた攪拌容器において毎分100回転で)強い混合によって0.5分間分散した。ポリマー溶解物は、融解ハイパーブランチ、脂肪酸修飾ポリエステル(M=10,000g/モル)から成ったが、これは、パーストープ(Perstorp)社から市販のハイパーブランチポリエステルボルトルン(Boltorn)H30の90%のヒドロキシ基をステアリン酸とパルチミン酸との混合物(ステアリン酸とパルミチン酸との質量比=2:1)でエステル化することによって得られた。
【0087】
混合容器2(図1参照)において、2重量%ポリビニルアルコール(M=6000g/モル)および0.1重量%のエトキシ化脂肪アルコール、TegoアルカノールL4からなる界面活性剤の混合物を水中50℃で攪拌しながら供した。この混合物は連続相として作用する。
【0088】
次いで、混合容器1からのポリマー/作用物質分散液を外相に対して3,000upmでULTRA−TURRAX撹拌機で連続的攪拌により混合容器2へ添加した。5分の保持時間後およびポリマーの融点より低い温度10℃へシステム温度を低下させた後、固形粒子が形成される。これらの粒子は、10μm<d90、粒子<60μmの粒度を示し、かつハイパーブランチ、脂肪酸修飾ポリエステルからなり、これは約16重量%トコフェロール(粒子質量に対して)を包含する。チューブポンプ(システム3)により遠心分離機の懸濁液を供給した(システム4)が、ここでは25℃で微粒子作用物質製剤が連続相から分離される。次いで、微粒子を真空乾燥機において25℃および10mbarで100時間乾燥させた。したがって、微粒子は自由流動性に存在し、球状であり、皮膚に対する好ましくない感覚作用が生じない。
【0089】
こうして製造された本発明による作用物質粒子が化粧品の使用にきわめて有利な特徴の組合せを有することを初めて示すことができた。すなわち、
(i)担体ポリマーの酵素分解によるトコフェロールの放出
トコフェロール充填ポリマー粒子0.22gをリン酸緩衝液15ml、pH5.0中、または同じ緩衝液中、キャンディダ・シリンドラセア(Candida cylindracea)、0.5mg/mlからのリパーゼ溶液15ml中に37℃で懸濁した。60重量%超のカプセル化トコフェロールをこの放出試験においてリパーゼの存在下に担体ポリマーの酵素分解によって12時間後に放出させた。それに対して、酵素を含まない緩衝液溶液中で10重量%未満のトコフェロールを12時間後に放出させた。
(ii)トコフェロールのカプセル化効率
図1に示された本発明による方法により、約80重量%の(示された混合容器1において)使用されたトコフェロールのカプセル化が達成された。これは、UV−Vis分析(パーキン・エルマー(Perkin Elmar)UV−Vis装置「Lamda 650」)による作用物質粒子の分析および使用されたトコフェロール濃度の比較によって測定された。
(iii)作用物質粒子のトコフェロール含有量
UV−Vis分析(パーキン・エルマー(Perkin Elmar)UV−Vis装置「Lamda 650」)により示されたように、記載された方法により、化粧品の応用に適切な約16重量%の濃度のトコフェロールを得ることができた。
(iv)剪断安定性
図1に従って製造された微粒子を、毎分15000回転で1分間攪拌するULTRA−TURRAX撹拌機でクリーム製剤へ組込んだ。油相への組込み前後の作用物質粒子の顕微鏡写真の比較(パラフィン(Parrafin)WINOG20ファルマ(Pharma)、ウニバー(Univar)社(GmbH))は、粒子の結合の変化が確認されないことを示した。
(v)溶剤を含まない粒子による溶剤を含まないマイクロカプセル化法
意外にも、ハイパーブランチ担体ポリマーにおいて、図1に記載されたカプセル化法が有機溶剤なしに行われ、かつトコフェロールカプセル化に応用されうることが初めて確認された。ハイパーブランチ、脂肪酸修飾ポリマーはそれ自体、溶剤および/または分散剤として作用しうる。これによって削減される溶剤濃度は、従来技術との比較において、本発明によるハイパーブランチポリマーが従来技術の他の溶剤のように爆発性の蒸気を形成しえないため、より確実かつ有効な方法をもたらす。製造されたポリマー粒子/トコフェロール粒子は、従来技術とは対照的に、有機溶剤を含まず、これは、ハーヒェンベルク(Hachenberg)とベーリンガー(Beringer)の「分析および測定法としてのヘッドスペースガスクロマトグラフィー(Die Headspace−Gaschromatographie als Analysen−und Messmethod)」、フィーベーク・フェアラーク(Vieweg Verlag)、ブラウンシュバイク(Braunschweig)、ヴィースバーデン(Wiesbaden)、1996年における記載に従ってヘッドスペースガスクロマトグラフィー(アジレント(Agilent)GC6890と組合せたアジレント(Agilent)HP7694)による作用物質粒子の分析によって示すことができた。
【0090】
実施例3:葉酸のマイクロカプセル化
図1に示された本発明による方法の使用により葉酸をハイパーブランチ、酵素分解性ポリエステル化した。この場合、混合容器1(図1参照)において、ポリマー溶解物中20重量%の生物活性作用物質葉酸をT=85℃で(例えば、アンカー攪拌機を有する攪拌容器において毎分100回転で)強い混合によって分散した。ポリマー溶解物は、融解ハイパーブランチ、脂肪酸修飾ポリエステル(M=10,000g/モル)から成ったが、これは、パーストープ(Perstorp)社から市販のハイパーブランチポリエステルボルトルン(Boltorn)H30の80%のヒドロキシ基をステアリン酸とパルチミン酸との混合物(ステアリン酸とパルミチン酸との質量比=2:1)でエステル化することによって得られた。
【0091】
混合容器2(図1参照)において、2重量%のポリビニルアルコール(M=6000g/モル)および0.1重量%のエトキシ化脂肪アルコール、TegoアルカノールL4からなる界面活性剤の混合物を水中50℃で攪拌しながら供した。この混合物は連続相として作用する。
【0092】
次いで、混合容器1からのポリマー/作用物質分散液を外相に対して3,000upmでULTRA−TURRAX撹拌機で連続的攪拌により混合容器2へ添加した。5分の保持時間後およびポリマーの融点より低い温度10℃へシステム温度を低下させた後、固形粒子が形成される。これらの粒子は、10μm<d90、粒子<60μmの粒度を示し(図3参照)、かつハイパーブランチ、脂肪酸修飾ポリエステルからなり、これは約18重量%の葉酸(粒子質量に対して)を包含する。チューブポンプ(システム3)により遠心分離機の懸濁液を供給した(システム4)が、ここでは25℃で微粒子作用物質製剤が連続相から分離される。次いで、微粒子を真空乾燥機において25℃および10mbarで100時間乾燥させた。したがって、微粒子は自由流動性に存在し、球状であり、皮膚に対する好ましくない感覚作用が生じない。
【0093】
こうして製造された本発明による作用物質粒子が化粧品の使用にきわめて有利な特徴の組合せを有することを初めて示すことができた。すなわち、
(i)担体ポリマーの酵素分解による葉酸の放出
葉酸充填ポリマー粒子0.22gをリン酸緩衝液15ml、pH5.0中、または同じ緩衝液中、キャンディダ・シリンドラセア(Candida cylindracea)、0.5mg/mlからのリパーゼ溶液15ml中に37℃で懸濁した。70重量%超のカプセル化葉酸をこの放出試験においてリパーゼの存在下に担体ポリマーの酵素分解によって12時間後に放出させた。それに対して、酵素を含まない緩衝液溶液中で10重量%未満の葉酸を12時間後に放出させた。
(ii)葉酸のカプセル化効率
図1に示された本発明による方法により、約90重量%の(示された混合容器1において)使用された葉酸のカプセル化が達成された。これは、UV−Vis分析(パーキン・エルマー(Perkin Elmar)UV−Vis装置「Lamda 650」)による作用物質粒子の分析および使用された葉酸濃度の比較によって測定された。
(iii)作用物質粒子の葉酸含有量
UV−Vis分析(パーキン・エルマー(Perkin Elmar)UV−Vis装置「Lamda 650」)により示されたように、記載された方法により、化粧品の応用に適切な約18重量%の濃度の葉酸が得られた。
(iv)剪断安定性
図1に従って製造された微粒子を、毎分15000回転で1分間攪拌するULTRA−TURRAX撹拌機で油相へ組込んだ。クリーム製剤への組込み前後の作用物質粒子の顕微鏡写真の比較は、粒子の結合の変化が確認されないことを示した。
(v)溶剤を含まない粒子による溶剤を含まないマイクロカプセル化法
意外にも、ハイパーブランチ担体ポリマーにおいて、図1に記載されたカプセル化法が有機溶剤なしに行われ、かつ葉酸カプセル化に応用されうることが初めて確認された。ハイパーブランチ、脂肪酸修飾ポリマーはそれ自体、溶剤および/または分散剤として作用しうる。これによって削減される溶剤濃度は、従来技術との比較において、本発明によるハイパーブランチポリマーが従来技術の他の溶剤のように爆発性の蒸気を形成しえないため、より確実かつ有効な方法をもたらす。製造されたポリマー/葉酸粒子は、従来技術とは対照的に、有機溶剤を含まず、これは、ハーヒェンベルク(Hachenberg)とベーリンガー(Beringer)の「分析および測定法としてのヘッドスペースガスクロマトグラフィー(Die Headspace−Gaschromatographie als Analysen− und Messmethod)」、フィーベーク・フェアラーク(Vieweg Verlag)、ブラウンシュバイク(Braunschweig)、ヴィースバーデン(Wiesbaden)、1996年における記載に従ってヘッドスペースガスクロマトグラフィー(アジレント(Agilent)GC6890と組合せたアジレント(Agilent)HP7694)による作用物質粒子の分析によって示すことができた。
【0094】
実施例4:ポリマー混合の微粒子
市販のハイパーブランチポリエステルボルトルン(Boltorn)H30(パーストープ(Perstorp)、スウェーデン)の50%のヒドロキシ基をステアリン酸とパルミチン酸(ステアリン酸とパルミチン酸との質量比=2:1)との混合物でエステル化することによって得られたハイパーブランチ、脂肪酸修飾ポリエステル(M=7500g/モル)を、市販のハイパーブランチポリエステルボルトルン(Boltorn)H30 (パーストープ(Perstorp)、スウェーデン)の90%のヒドロキシ基をアラヒン酸とベヘン酸との混合物(アラヒン酸とベヘン酸との質量比=2:3)でエステル化することによって得られた別のハイパーブランチ、脂肪酸修飾ポリエステル(M=10500g/モル)とともに1:1の比で融解し、均質のポリマー混合物を製造した。次いで、こうして製造されたポリマー混合物をさらに(実施例1に記載されているように)融解した。
【0095】
生物活性作用物質クレアチンを混合容器1へ添加し(20重量%)、かつ強い混合によってポリマー溶解物に分散した。混合容器2において、2重量%ポリビニルアルコール(M=6000g/モル)および0.1重量%のエトキシ化脂肪アルコール、TegoアルカノールL4からなる界面活性剤の混合物を水中50℃で攪拌しながら供した。この混合物は連続相として作用する。
【0096】
次いで、混合容器1からのポリマー/作用物質分散液を外相に対して3,000upmでULTRA TURRAX撹拌機で連続的攪拌により混合容器2へ添加した。5分の保持時間後およびポリマーの融点より低い温度10℃へシステム温度を低下させた後、固形粒子が形成される。これらの粒子は、実施例1に記載されたような粒度分布を示し、かつ約12重量%クレアチンを含有する。したがって、微粒子は自由流動性に存在し、球状であり、皮膚に対する好ましくない感覚作用が生じない。
【0097】
こうして製造された本発明による作用物質粒子が化粧品の使用にきわめて有利であることを初めて示すことができた。
【0098】
クレアチンの放出を実施例2(i)におけるように検査した。22時間後にリパーゼの存在下に放出されたクレアチンの量は、本来のクレアチン含有量に対して45重量%であった。リパーゼなしでは約10%放出された。
【0099】
実施例5:製剤における安定性
実施例4のカプセルの1.5%を水中油型乳剤へ攪拌しながら添加し、T=45℃で貯蔵した。5週間後、分析測定は、遊離クレアチンの場合よりも約35%多いクレアチンがカプセル化によって安定化されたことを示した。したがって、クレアチンから不活性クレアチニンへの転位は削減されている。
【0100】
【表1】

【0101】
実施例6:ボルトルン(Boltorn)H30およびボルトルン(Boltorn)H40の酵素分解の証明
水性酵素含有溶液中の分子ボルトン(Boltorn)H30およびボルトルン(Boltorn)H40(パーストープ(Perstorp))の分解は、次の実験によって示された。
【0102】
ポリマーボルトルン(Boltorn)H30およびボルトルン(Boltorn)H40(パーストープ(Perstorp))を別々の実験で電気ミルにおいて粉砕し、篩い分けした。さらに、90μm<d粒子<250μmの分画で作業した。ポリマー粒子をキャンディダ・シリンドラセア(Candida cylindracea)からのリパーゼの溶液0.5mg/ml、およびリン酸緩衝液、pH=5中37℃下に懸濁した。対照プローブとして純粋な緩衝液を同じ条件で使用した。ハイパーブランチポリマーボルトン(Boltorn)H30およびボルトルン(Boltorn)H40のモノマー2,2−ビス−ヒドロキシメチルプロピオン酸の濃度をUV分光法によって分析した(208.5nmにおけるピーク)。
【0103】
リパーゼ含有溶液中ヒドロキシメチルプロピオン酸の濃度は、24時間後に純粋な緩衝液中濃度の4.7倍である。したがって、ポリマーボルトルン(Boltorn)H30は、酵素分解性ハイパーブランチポリマーである。
【0104】
【表2】

【0105】
リパーゼ含有溶液中ヒドロキシメチルプロピオン酸の濃度は、24時間後に純粋な緩衝液中濃度の4.8倍である。したがって、ポリマーボルトルン(Boltorn)H40は、酵素分解性ハイパーブランチポリマーである。
【0106】
【表3】

【0107】
実施例7:脂肪酸分解
実施例1からの記載されたハイパーブランチポリエステルを微細に粉砕し、粉末0.5gを緩衝液80ml、pH7中37℃でキャンディダ・シリンドラセア(Candida cylindracea)からのリパーゼ5mgでインキュベートした。GC分析において、脂肪酸基1.6%を30分後に放出した。リパーゼなしには加水分解は起こらなかった。
【0108】
実施例8:
実施例2(i)に対応して実施例1のクレアチンを充填した微粒子をムコール・ミーハイ(Mucor miehei)からのリパーゼでインキュベートした。24時間後、リパーゼの存在下、本来のクレアチン含有量に対する70重量%のクレアチンが放出された。それに対して、酵素を含まない緩衝液溶液中では20%未満のクレアチンが放出された。
【0109】
実施例9:製剤における粒子の結合
実施例1の微粒子を水中油型乳剤へ添加し、45℃で経時的に顕微鏡で観察した。分散水によって膨張する他のポリマー、例えば、ゼラチンまたはアルギン酸塩とは対照的に、45℃で少なくとも12週間後に微粒子の形および大きさの変化が確認されないことが示される。
【0110】
実施例10:微粒子の剪断安定性
微粒子のクリーム製剤への均質の組込みに際しては部分的に微粒子に対するきわめて高い剪断力が作用しうる。この場合、微粒子は破壊されうる。したがって、実施例1の微粒子をUltraturrax(1分、24,000rpm)によるクリーム製剤への組込み前後に観察した。図4は、処理後に粒子の結合の変化が確認されないことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明による製造法を示す概略説明図である。
【図2】実施例1の微粒子を示す拡大図である。
【図3】実施例3の微粒子を示す拡大図である。
【図4】実施例10の剪断安定性の観察における処理前後の変化を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェルとしてのカプセル化材料および少なくとも1つの封入生物活性作用物質からなる皮膚および皮膚付属器への作用物質の制御放出のためのカプセル化微粒子作用物質製剤であって、カプセル化材料として酵素分解性有機エステル基を含有するハイパーブランチポリマーが使用されることを特徴とする製剤。
【請求項2】
前記カプセル化材料が、1000〜70000g/モルのモル質量、少なくとも30℃の融点、および0mg KOH/g〜600mg KOH/gのヒドロキシ数を有するハイパーブランチポリマーであることを特徴とする請求項1に記載のカプセル化作用物質製剤。
【請求項3】
カプセル化材料として1500〜100000g/モルのモル質量、少なくとも20℃の融点、40℃での水溶性、5質量パーセント未満、および0mg KOH/g〜600mg KOH/gのヒドロキシ数を有する、脂肪酸で完全にまたは部分的にエステル化されたハイパーブランチポリステルが使用されることを特徴とする請求項1または2に記載のカプセル化作用物質製剤。
【請求項4】
前記制御作用物質放出が、前記作用物質製剤を取囲む少なくとも1つの酵素と前記作用物質製剤との接触によって開始されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のカプセル化作用物質製剤。
【請求項5】
ハイパーブランチベースポリマーを基準にして30重量%未満で周知のカプセル化材料が使用されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のカプセル化作用物質製剤。
【請求項6】
炭水化物、天然および非天然アミノ酸、天然および非天然核酸、ポリアミン、ポリオール、オリゴ−およびポリイソプレン、アミド、グルコサミン、エステル、具体的には、分岐グリセリンエステルアミド、イミン、ポリフェノール、ジチオールおよびホスホジエステル、エチルエングリコール、オキシメチレングリコシド、アセタールユニット、ケイ酸塩および炭酸塩、アラビアゴム、寒天、アガロース、マルトデキストリン、アルギン酸、アルギン酸塩、脂肪、脂肪酸、セチルアルコール、コラーゲン、キトサン、レシチン、ゼラチン、アルブミン、シェラック、多糖類、シクロデキストリン、ショ糖、ろう、化学修飾セルロース、具体的には、セルロースエステルおよびセルロースエーテル、例えばセルロースアセテート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースのほか、デンプン誘導体、具体的には、デンプンエーテルおよびデンプンエステル、アミノ樹脂、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドン、オルガノポリシロキサン、ハイパーブランチヒドロゲル、ポリエステル構造を有する櫛形ポリマー、またはポリビニルピロリドンからのホモポリマーまたはヘテロポリマーから形成される群から選択される少なくとも1つのカプセル化材料のほか、1つのポリラクチド、1つのポリラクチドコグリコリド、または1つのポリカプロラクトンが同時に使用されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のカプセル化作用物質製剤。
【請求項7】
前記作用物質製剤が、クレアチンなどのアミノ酸誘導体、ビタミン、酵素または抗炎症物質、界面活性剤、化粧用オイル、真珠光沢(Perlglanz)ろう、安定剤、抗菌作用物質、抗炎症作用物質、植物抽出物、酵母抽出物、および藻抽出物、合成天然材料、ビタミン、ビタミン誘導体およびビタミン複合体、アミノ酸、コレステロールなどの生物活性脂質、セラミドおよび偽セラミド、デオドラント、制汗剤、抗鱗屑剤、UV日焼け防止指数、抗酸化剤、保存剤、防虫剤、セルフタナー、チロシナーゼ阻害剤、香水油、ペルオキシド、ペプチド、オリゴペプチドまたは香料の群から選択される作用物質を包含することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のカプセル化作用物質製剤。
【請求項8】
前記微粒子作用物質製剤が1〜1000μmの粒度を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のカプセル化作用物質製剤。
【請求項9】
前記作用物質製剤の粒子が、−30℃〜+150℃の温度範囲においてそれ自体周知の方法で製造され、かつその際のシステム圧力が0.1mbar〜250barであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のカプセル化作用物質製剤の製造方法。
【請求項10】
前記作用物質製剤の粒子が、好ましい融解ポリマーが生物活性作用物質と混合される少なくとも1つの攪拌ステップ、少なくとも1つの相すなわち粒子分離ステップ、および少なくとも1つの乾燥ステップからなる少なくとも3つの方法技術ステップの組合せによって−30℃〜+150℃の温度範囲で製造されることを特徴とする請求項9に記載のカプセル化微粒子作用物質製剤の製造方法。
【請求項11】
皮膚および皮膚付属器の表面処理のための化粧用および皮膚科製剤の製造のための請求項1〜10のいずれか一項に記載のカプセル化作用物質製剤の使用。
【請求項12】
表面処理された繊維の製造のための請求項1〜11のいずれか一項に記載のカプセル化作用物質製剤の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−512721(P2009−512721A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536953(P2008−536953)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008663
【国際公開番号】WO2007/048464
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】