説明

酵素養液の製造方法と利用方法、及び有機資源循環方法

【課題】土壌菌の活性液、堆肥化促進剤、バイオリアクター用液等又は液状飼料として利用できる酵素養液の製造方法及び利用方法を提供すること。
【解決手段】栄養分・ミネラル類・酵素群の含まれる家庭等の廃棄物系バイオマスを加水し、機械的に細砕する加水細砕工程と、加水細砕した有機栄養溶液に強化酵素(原液)を適量混入し得られる有機栄養酵素容液(酵素養液)を貯留する混合貯留工程と、前記原液およびバイオマスに含まれる細胞内・外の酵素によって、加水粉砕工程や混合貯留工程の酵素養液中で有機分解・合成する物質遷移の平衡熟成工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家庭生ゴミ等廃棄物系バイオマスを原材料とした酵素養液に関するバイオマス変換方法と酵素養液利用によるバイオマス増産モデルに関する。
【背景技術】
【0002】
動植物性残渣等の家庭生ゴミは貴重なバイオマスにも関わらずこれまでは廃棄物として集積し、焼却し、埋設してきた。日本のゴミ焼却率は70%以上であり、焼却施設が1850箇所、米国の150箇所、ドイツの50箇所と比較して異常な過密状態である。集積されて大量廃棄処分は焼却施設や最終処分場と自然界との接続部分で環境公害・大気汚染・生態系破壊を繰り返してきた。自然環境の生態系に人為的な化学的・物理的・生物化学的な多変動要因を人為的に制御することで成立する設備やプラントは複雑となりコストが高く、非効率で維持管理が難しい。自然界との接合部分では予期せぬ欠陥が生じやすく地域生活者の健康被害等の重大な環境問題を発生しつづけており、有機廃棄物処理の持続安全性は確立されていない。その上、公的資金により賄われる処理費用は市町村の行財政を圧迫し、最終処分場の残存期間も逼迫している。自然循環系から断絶して有機質廃棄物の処理をして生態系に再接続する方法は人為的に制御できない変動要因があり、自然界や生態系・生活環境とのミスマッチによる困難な課題が多い。
【0003】
自然循環系は微妙なバランスの上に成立し、どこまでも連続している。難題である家庭生ゴミ処理方法も醗酵装置や乾燥減容装置による発生源処理方法を導入しはじめているが物質収支効率や乾燥エネルギー消費で持続可能性は損なわれ生ゴミ処理機でゴミを排出している。小規模分散処理の方法も自然環境との融合や経済的側面から成立していない。特に地球温暖化が世界的に緊急課題となっている今日では特段の地球環境への配慮が必要である。欧米家庭では家庭生ゴミ粉砕機(フードデイスポーザー)を下水道に直結させる直投方法で廃棄処理している地域も多いと聞くが下水浄化能力や河川湖沼の富栄養化による環境劣化問題が発生している。また、予期せぬ化合物生成や環境ホルモンの生態系破壊問題も発生している。日本国内では直投方式フードデイスポーザーは大規模の社会実験の結果から流域下水道問題や下水道設備整備能力の課題もあり認可地域は殆どない。新築高層マンションは自前の浄化槽設備を備えて、フードデイスポーザーも徐々に普及し始めている。が、室内に還流する悪臭問題が発生している。地方では微生物利用による生ゴミ堆肥化も行われているが、得体の知れない堆肥の利用先の農地が限定され停滞している。また、堆肥化工程で微生物作用による60%程度の物質変換ロスが揮散ガスとして大気開放され地球温暖化の温室効果ガスの発生源として指摘されている。数少ない良質の完熟堆肥もミネラルや土壌微生物資材としては有効であるが、植物の栄養補給源としての役割・機能は誤解されている。微生物の食べ滓であり栄養補給価値は乏しい。
【0004】
家庭生ゴミ等の廃棄物系バイオマスは放置すると腐敗し、変異し、予期せぬ化学物質を合成し環境公害や悪臭公害となりやすい。一方でバイオマスは生態系を生命体のエサとして、エネルギー源として循環し有機合成、分解を繰り返しながら物質遷移し生態系を豊かにしてきた。植物が生産するバイオマスは太陽エネルギーや炭酸ガスを固定し、生態系の生存環境を整える最も重要な機能物質である。地上で最も豊かな生態系は熱帯雨林であり、バイオマス賦存量と炭素循環の回転率が生態系の多様性と直接関係している。バイオマス生産の殆どが植物に依存し、薄く広く賦存するバイオマスを植物が生産消費し、草食動物が一次消費し、肉食動物がニ次消費し生態系を豊かにして来た。動物、植物の死骸等を土壌微生物等の土壌生態系が更に分解し土壌還元して黒土に同化してきた。その土壌で植物に有機物質が遷移して高効率で物質変換し再利用され生育する。その物質遷移の原動力は酵素である。バイオマスは生態系の中で酵素群とともに循環しながら有機分解・合成を繰り返し、途切れることなく生態系を豊かにし、着実に持続発展して来た。このような生態系の有機資源循環の方法は殆どの有機質廃棄物の処理技術には反映されていない。伝統的な環境と共存する資源循環型農法に僅かに見られるのみである。
【0005】
最近まで日本は世界に誇る廃棄物系バイオマスを含めた資源循環型農業の中に成立していた。その伝統技術による農業も工業的手法に置き換わり僅か50年位で先人達が築き上げた資源循環型農業も衰退し、高齢化が進み、後継者が減少し続け、資源循環型の技術伝承が途絶えようとしている。廃棄物系バイオマス利活用方法は人為的な工業的手法や生活環境の不都合な廃棄物処理による暫定的な悪さ退治の方法でなく、自然環境と調和する持続発展可能な資材化利用による良さ追求する長期的な視点で成立させる必要がある。生態系や炭素循環の自然界や生態系と農産物食糧生産を調和させる発想方法が重要で農業と環境を融合させる工夫が必要である。農薬や化学肥料で汚染された農地では木杭が腐敗しない状態が広がり、酸性雨の影響もあり土壌微生物の表層土の生息密度が低下した。大陸から劣悪石炭燃料による窒素酸化物や硫化酸化物の大気汚染物質が酸性雨雪や降下物となり松枯れやブナ枯れを引き起こし、植物の衰退を加速している。地球規模では表土流出や砂漠化が拡大しており、黄砂飛来の頻度が急増している。農薬や化学肥料・除草剤による土壌汚染は農産物の化学物質汚染となり学童の野菜嫌いを増し、体質劣化を招き、国民病として蔓延しヒトを含め生態系の食物連鎖の原点が狂いはじめている。
【0006】
日本では農業分野に工業的手法を導入し、動物・植物・微生物が関与する変動要因の多い生態系に自然界に存在しない農薬や除草剤、化学肥料を大量消費して、色、形状、粒ぞろい等の見掛け品質基準を導入した。農産物等食料品に残留する化学物質や硝酸態窒素・亜硝酸イオン濃度を放置し、残留農薬等の安全基準も放置されてきた。国民病ともいえる生活慣習病や花粉症等のアレルギー体質を加速してしまった。病害被害は食物と共に経口し、体内に堆積し長時間掛けて発症する。食物連鎖の上位に位置するヒトは化学物質による濃縮汚染の影響を確実に受けて蔓延している。農業地帯の農耕地の土壌汚染も同様である。過剰施肥の化学肥料や農薬が土壌浸透して地底に堆積し地下水汚染を引き起こす窒素汚染は凄まじく水道水の水質劣化にも跳ね返っている。日本がガソリンよりも高い飲料水を世界でも最速で求めるようになった。有料飲料水を手放せないペットボトル依存国民に成り下がり、プラスチック公害も引き起こしている。更に工業的管理手法が生態系に大規模集約型農業や専業化・分業化を進め、生産性指標を導入し、自然環境と断絶した工業生産物を扱うような方向に迷走した。生産性や経済性を優先する工業的手法は家畜医薬品やホルモン剤を多用し、肥満ブタを作り薬剤汚染した。滋養食であった鶏卵などはアレルギー食材に変えてしまった。生産基盤となる土壌生態系を破壊した農薬や化学肥料に依存し、遺伝子破壊の除草剤や劇物の有機リン系農薬などが生態系の破壊とともに生活者に化学物質の体内蓄積を促進し花粉症やアトピー体質等の生活慣習病などの薬害を広げている。食糧の自給率が40%を割り込み人口爆発による食料危機に突入する中で食糧を海外依存する日本の将来は前途多難である。農業分野は官製市場として保護されずに農業団体等が商社化し、肥大化した組織維持や利益確保の暴走を招き農作業現場に工業的手法を導入し、環境と農業を密接な関係を分断し、精神基盤の源泉であった食文化や伝統文化の崩壊を加速して来た。経済活動を最優先する政官財の利権構造により農業崩壊を加速して修復が困難な手遅れ状態となりつつある。
【0007】
これに対して、微生物の培養方法と装置に関連する先行技術として、「活性化液の製造方法、活性化液、活性化液の使用方法及び活性化液の製造装置」が、提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3447846号(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
生態系の食物連鎖は草食生物が若芽を食べ、蜜を吸い、果実を食べる。肉食生物が腸を食べ、体液を吸い、肉を食べる。生態系は鮮度を重視した生食が基本である。食物連鎖の中で、細胞で生産される酵素群の利活用もしているのだろう。その酵素の触媒作用で有機分解・合成による物質変換が消化吸収効率を高めている。野生動物は遠距離を命がけでミネラル摂取に移動する。ミネラルは酵素生産や酵素触媒作用に不可欠の物質である。微生物はサブミクロンに対し酵素はナノサイズレベルの大きさである。蛋白質である酵素群は酸素有無に関わらず瞬時に触媒機能を発揮する。その作用は物質密度の高い溶液中の方が好都合である。微生物等の生命体と異なり酵素は生存環境整備や増殖時間を必要としない。人為的な生ゴミ処理方法と生態系の有機分解・合成は全く異なり生化学作用が中心である。生態系はバイオマス物質変換を高効率に省エネで多面的に同時進行する。人為的な有機廃棄物処理は物理的・化学的・生物学的な多要素制御を自然環境と断絶して行う。効率が悪く、時間が掛かり、不完全である。その上維持管理に巨額の費用がかかる。自然界との接続部分で多くの環境公害・破壊・劣化を繰返している。生態系の生化学作用に学び、食物連鎖を重視する生態系と調和する有機物の利活用方法が必要である。
【0009】
地球規模で生態系存亡の危機である環境問題は人口爆発に起因する食糧・エネルギー不足や石化燃料の消費急拡大による熱公害である。熱公害は極地の氷床融解や山脈の万年雪を溶解しており、高緯度地域ほど地球温暖化の影響が深刻な状況となっている。IPCCの科学者予測と現実の地球環境劣化は大きく乖離して実態は解らない。ヒト社会の石化燃料利用の熱効率向上や自然エネルギーの利用拡大は緊急課題である。生態系の食糧・エネルギー・地球環境問題はバイオマス収支バランスの崩れが真因である。生態系豊かな熱帯雨林の破壊が原因であり、種の滅亡が類人猿を超え人類に迫っている。植物が炭酸ガスと水と太陽エネルギーで光合成しバイオマスの殆どを生産する。バイオマス生産量が消費量よりも多ければ生態系は持続発展することができる。生態系の多様化はバイオマス増産が唯一の解決策であり、人類にはバイオマス生産手段は現時点で存在していない。バイオマス生産は酵素群の生体触媒作用に依存している。酵素群の生産技術やその制御技術は限定的であり自然界の営みには遠く及ばない。生態系を持続発展させる重要な視点はバイオマス増産のお手伝いがヒト社会にも必要であるということだ。
【0010】
地球環境問題の脅威は土壌の表層土流出や砂漠化である。表層土無機化が加速しバイオマス収支バランスの劣化を招いている。炭素循環系が成立しない環境には生命体が存在できない。世界中で表層土流出や、砂漠化現象が加速する状況は早急に回避する必要がある。生態系の炭素循環を強化しないと生命体の衰退を加速する。人類は生体の70%が水分で、ミイラの70%が炭素という。バイオマス増産が急務であり、植物自体の生存環境の調整能力が地球温暖化や気象変動を緩和し、安定化させて生態系の生存環境を保全する。ハウス栽培の植物園では一定の温湿調整や陰イオン濃度が高い環境を作り出す機能を観測することが出来る。バイオマス増産の基盤となる土壌生態系を回復し土壌の体質改善が緊急課題である。土中生態系を通して物質遷移する地力復元が植物の生育を促進する事になる。土壌微生物の増殖は土壌中から増殖材料の必要物質を集積し、土壌自体を浄化するバイオレメデイーション機能を発揮する。気象変動抑制の具体的行動の一方法としてバイオマス増産の「健康栽園モデル」として構築事例を整理して提供する。世界中の家庭生ゴミを資材化して簡単なバイオマス増産の具体的行動が可能となる。
【0011】
調理クズや非食部分の有機栄養分はヒトの食事より栄養やミネラルバランスに優れている。生ゴミを加水細砕して土壌微生物のエサとして土壌還元し、土壌生態系を復元する方法である。植生環境の特異な植物や薬効の知れている植物エキスを抽出しその中に含まれる酵素群を濃縮して複合調整して機能強化して原液とし、動植物残渣等の生ゴミを加水細砕して、その原液を滴下し、酵素養液として土壌還元し土壌微生物のエサとする。土壌微生物が増殖し、死活を繰り返し有機分解・合成して物質遷移の速度を早め土壌生態系を活性化し食の連鎖を強化して地力回復を図る。土壌微生物の増殖は必要な物質を土壌中から集積するので植物栄養分が豊富な生育環境を整備しバイオマス増産を実現する。ケニア・ナイロビで植林活動を中心に約25年間のバイオマス増産で持続可能な地域復興を実現したワンガリ・マータイ女史の先進事例がある。強化酵素・酵素養液・炭素循環系の強化は土壌の体質改善を加速し、播種・発芽・生長・結実までの全期間で波及効果が広がりバイオマス増産を加速し土壌環境の自浄作用や環境回復を加速、促進することができる。バイオマスによる酵素養液は土壌生態系の生化学作用を活性化する。酵素養液の地下浸透は垂直深度の土壌体質の改善効果が顕著であり、団粒化構造の進行も速い。酸素・養分・水分の供給が好適となり吸収根の成育や密度を高める。酵素養液は土壌生態系を循環し遷移するので生育障害が殆ど発生しない特徴がある。
【0012】
人口爆発による食糧・エネルギー不足は危機的段階に突入している。その中で日本は農業分野の衰退が加速され、荒廃・遊休農地が急増し、食糧自給率も減少している。地球環境問題が世界中で最大の関心事となっている。地球温暖化による気象変動の影響で気象被害が局地化・強大化しており、石化燃料離れがC4植物の食糧エタノール化転用に波及し、世界中で食糧価格が変動しはじめた。食糧の海外依存率の高い日本ではその影響を受けやすい。バイオマス収支バランスの崩れが多方面に食料・燃料危機として現れている。土壌体質の改善は世界規模で緊急対応が必要となる。家庭生ゴミの酵素養液による植栽増産効果は3割増収が簡単に達成できる。その上、農薬や化学肥料等の農業資材を大部分削減できることになる。施肥や農薬散布の生産現場の農作業が簡素化し、化学物質に無縁の安全で安心な農産物生産が可能となる。日本では農業人口の減少や食品自給率に直接影響するので食糧生産現場へ衰退産業からの業務シフトが緊急課題となるだろう。近代農業と異なる新たな地域の未利用・廃棄物系有機資源を利活用した酵素養液や強化酵素、炭素循環を意識した農業資材を地域調達する資源循環型農業の必要性が高まる。農薬や化学肥料からの脱却は日本人の化学物質の摂取量を緩和することができる。農業を簡素化し、古来の日本人の想念であった「医食同源」や「身土不二」といった伝統的な日本文化を復元しつつ、荒廃農地の利活用を進めて兼業農業による食糧自給率の向上や食文化復活をめぐる今日的な諸問題を打開することになろう。バイオマス増産による地球温暖化対応の実践モデルは家庭生ゴミの酵素養液による「健康栽園モデル」であり、生態系の持続発展性を目指した具体的な食糧・燃料危機を回避する行動計画として提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために次の構成を備える。
本発明にかかる酵素養液の製造方法の一形態によれば、栄養分・ミネラル類・酵素群の含まれる家庭等の廃棄物系バイオマスを加水し、機械的に細砕する加水細砕工程と、前記加水細砕した有機栄養溶液に強化酵素(以下、「原液」という)を適量混入し得られる有機栄養酵素容液(以下、「酵素養液」という)を貯留する混合貯留工程と、前記原液およびバイオマスに含まれる細胞内・外の酵素によって、加水粉砕工程や混合貯留工程の酵素養液中で有機分解・合成する物質遷移の平衡熟成工程とを有する。
また、本発明にかかる酵素養液の製造方法の一形態によれば、加水細砕が可能な地域に於ける未利用・廃棄物系バイオマスの事業用・産業用の酵素養液の製造をすべく、バイオマスの発生状況や性状に合わせて前処理工程に希釈した酵素溶液浸潤工程を追加することを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる酵素養液の製造方法の一形態によれば、前記原液の素材は、産業用酵素、植物エキス、きのこエキス、ミネラル含有天然湧水、活性化液の1種類以上を選択的に配合し、きのこ由来の抗酸化酵素(SOD)を複合することで有機物の腐敗や悪臭発生を未然に防ぐことを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる酵素養液の製造方法の一形態によれば、前記の酵素処理による有機栄養溶液のバイオマス変換は生化学の触媒作用により、自然環境下で物質変換ロスを最小限にして、有機栄養溶液に酵素触媒作用により溶出された残渣の酵素群も利用して有機分解・合成を高効率に短時間に酵素養液を得ることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる酵素養液の製造方法の一形態によれば、前記の原液自体も定率希釈して土壌散布や葉面散布することで土壌微生物活性や植物光合成活性を促進し病害被害を緩和する機能を発揮する生命体に無害の天然由来の酵素農業資材として利用できることを特徴とすることができる。
また、本発明にかかる酵素養液の利用方法の一形態によれば、前記の酵素養液の製造方法で得られた酵素養液を、希釈して土壌微生物のエサとして還元することで土壌微生物の増殖による土壌の活性化、堆肥化促進剤として用いる堆肥化の促進、バイオリアクター用液、動物に液状で与える液状飼料、植物に希釈散布して農産物増産化、又は土壌に滞留する冨栄養分を微生物増殖により集積し微生物自体に物質変換することによる土壌浄化等の資材として利用することを特徴とする。
また、本発明にかかる有機資源循環システムの一形態によれば、前記の酵素養液の製造方法又は酵素養液の利用方法と農地に不足する炭素資材を有機的に組合せて地域バイオマス増産を可能とする地球温暖化抑制を目指した実行可能な有機資源循環型「健康栽園」モデルであることを特徴とする。
【0014】
生ゴミ等の動植物性残渣は生態系の重要な有用炭素資源でもある。加水細砕して生態系を循環する酵素群と鮮度の高い家庭生ゴミ等に含まれる細胞内・外酵素で有機分解・合成し、有機栄養分の変換効率の優れた酵素養液として土壌微生物のエサとする。土壌微生物が更に有機物分解・合成しながら死活を繰り返し微生物生成物や細胞内・外酵素、ミネラル分・有機物豊潤な団粒化構造を形成する土壌となり、養分や保水性に優れた団粒構造の土壌では土壌生態系が豊かになる。農薬や化学肥料なしに植物が健全に早く生育し、バイオマス増産が可能となる。バイオマスは殆どを植物が太陽光と炭酸ガスおよび水を材料として生産・消費し、広く薄く賦存して生命体を育んできた。生ゴミ等動植物性残渣を収集・運搬して集積し自然界と断絶して廃棄物処理するのではなく、発生源で鮮度を維持して生態系と調和し自然循環系を連続させる工夫が重要である。世界中で発生している表層土流出や砂漠化現象はそれぞれの地域で廃棄物系・未利用系バイオマスを資材化して実践行動を興し、有機資源循環系を強化する必要がある。実行可能な最速の地球環境復活の具体的方法として簡単な生ゴミ資材化利活用モデルを公開し提供する。土壌体質の改善がバイオマス増産環境を整備し生態系における食糧・エネルギー不足を解消し地球環境劣化を抑制する確実で重要な方法である。
【0015】
生命体は細胞レベルでその構成元素や割合はさほど変わらない。棲息領域や環境により姿・形・組織・器官の構造や機能は千差万別であるが細胞レベルの構成元素は大差ない。生命活動に必要な炭水化物や脂肪・蛋白質等の有機物の素材材料元素はC・H・O・N・P・Sや必須ミネラルのK・Fe・Ca・Mg、希少ミネラルのMn・Co・Cu・Ni・Mo・Zn・Cl・Si等で構成される。エサや熱源の材料を有機分解・合成するのが酵素群であり、細胞内で生産され、有機分解や合成の接着剤やハサミのような役割・機能を発揮する。特定物質への単独作用が基本であり、酵素の種類は膨大となる。ヒトの酵素種類は8000種類位と言うが全貌は不明である。生命体が共通して利用可能な酵素群が有機物と共に物質遷移しながら生態系を循環しているのであろう。生体活動のエサや熱源材料等の必要な共通特定物質を有機分解・合成する役割・機能を持つ酵素群が存在すると思われる。これを「機能性酵素」と呼ぶことにする。生態系を循環する酵素群を生命体が必要とすれば使い不要であれば使わない。不要な酵素は消化して熱源利用や必要な部材に加工する。酵素や細胞機能の全貌を今の科学技術では充分に把握できていない。複合作用などは未知の世界である。最近の万能細胞の利活用技術も特定酵素作用であろう。それらの解明はまだ始まったばかりで、蛋白質の機能解明も今後は急速に進展するのだろう。
【0016】
生態系の食の連鎖は生食が基本である。資材化する家庭生ゴミ等の鮮度維持が重要である。生命体はエサの細胞内酵素も有機分解・合成の道具として利活用しているのだろう。動植物性残渣の有機栄養資材化は鮮度を保持して残渣の細胞内・外酵素を有効に利用して有機分解・合成の物質変換を効率的に多様に行う。穀物ガラや非食部分、貝殻や魚腸骨などは総て生化学作用で生成されたバイオマスであり、再利用が可能である。それぞれの細胞壁や骨格には貴重な高分子物質やミネラル等の構成成分が含まれている。細胞内には生産され生化学作用を発揮する酵素も存在するだろうし、骨格形成部分には必須ミネラル分が大量に存在する。それを分解し再生利用して捕食者自身の命脈を繋いでいるのである。溶液中に含まれる物質変換に必要な酵素群は多種多様なほど良い。例えば、木質系資材は白色腐朽菌(きのこ菌)の作用を発端に多様な有機分解・合成が土壌微生物等の生化学作用で物質遷移して野菜に変換するのである。樹木には植物生命を維持する必要な材料元素が完備されている。その物質変換を生態系に委ねれば姿・形を変えて野菜等に物質遷移することが可能である。物質遷移の所用期間は不明であるがその物質遷移・変換が生態系を循環している酵素群である。科学技術的に解明し説明することなどは現時点で出来ないだろう。酵素養液を利活用する事で物質変換を加速することが出来る。酵素養液は炭素循環系を強化し植物が元気に早く生育する。炭素循環の回転率を高める必要がある。
【0017】
生ゴミ資材化はその循環用途先を最初に決定する。土壌微生物のエサであれば、栄養分やミネラルバランスが重要であろう。土壌還元には塩分は控えめがよい。海水の塩分濃度の3%程度とする。酵素養液は多様な微生物増殖による土壌体質の改善が狙いであり、資材化は用途要件に合わせることが重要である。情報化時代で知見は容易に集積できる。ただ、ヒトの社会から自然界を眺めた知見であり、自然界の循環系の良否とは異なることに留意する必要がある。人類は自然界と断絶する方向に考えるので要注意である。知見があろうがなかろうが試行すれば新たな発見がある。自然界に身を置いて試行は慎重に注意深く特に安全面の観察は仮説を設定して確信度を高めることが大切だ。対象とする生態系や自然界からの見方が重要である。ヒト社会からの知見は時として間違う。天然由来の物は希釈濃度を注意すれば良い。家畜やペットのリキッドフードは飼い主が必要に応じて毒味をする。調味料や香辛料の大量投入は良くないとされる。飼育対象物に依存する事になる。限度が不明であれば試行する。未知の分野は試行するしか知見は得られない。得られる結果により次の行動が決まる。資材化は生態系の嗜好性を考慮することは最低限の遵守事項である。生態系に関わり、家庭生ゴミ資材化で身近な生命体に利活用する。常に良さを追求して工夫する必要がある。情報をあつめ、解らない事は慎重に試験して確認する。解った事は公開して後進に伝えるのである。農業をこれほど衰退させた農業技術はヒト社会の理屈であり、慎重に自然界の側から見ることが必要である。土壌微生物のエサを造り、増殖させて土壌生態系を豊かに復元することにある。
【0018】
加水に食品関連廃液を利用する。食品由来の濃縮液体は環境負荷となり易いものが多い。栄養成分の高い廃液は総て好適であり利活用できる。煮汁・廃食油・とぎ汁・牛乳・漬け汁等の廃液は積極的に利用する。醗酵液は利用し腐敗液は毒性に留意する。食べ残しや非食部分は加水細砕装置で細砕不可能なものは除く。バイオマス由来の資材混入は殆ど問題ない。人為的な化学物質の含有資材は慎重に扱う。有機資源が物質遷移して循環しており、めぐり巡ってヒトに確実に循環する。ヒトも炭素循環系の中に居る。加水量は生ゴミ投入量に対し同重量程度で良い。得られる酵素養液が濃ければ希釈すれば良いのである。家庭生ゴミ等の有機物は腐敗し、悪臭を発生しやすいので、栄養分を微生物や衛生害虫に横取りされないように、鮮度を保ちながら発生源で資材化する。都合により後処理となる場合は酵素希釈溶液に生ゴミ等残渣を漬け込んでおく。腐敗による悪臭発生や害虫被害を未然に防ぎ、酵素作用により鮮度を保持し酵素は細胞壁を通過するので分解も進む。酸化現象は鉄が錆び、火が燃え、病気になる劣化現象である。還元現象は成長し、元気が良く、鮮度保持する蘇生現象である。生ゴミ資材化等の強化酵素に抗酸化酵素(SOD)は不可欠である。腐敗は生命体にとって最優先で避ける必要がある。酵素養液は腐敗菌繁殖による劣化影響には細心の留意を払うことが重要である。
【0019】
強化酵素の原液は最終的に工夫して地域調達するのがよい。原液素材を厳選する必要がある。酵素作用の機能別分類は大雑把に酸化還元・転移・加水分解・脱離・異性化・合成の6分類があり、動物・植物・微生物由来の蛋白質・炭水化物・油脂・セルロース類の加水分解酵素が生物由来の酵素資材として市場流通している。人為的に化学合成された酵素を存在するが、人造物は避ける必要がある。自然界の生化学作用に人造物は持ち込まないこと。酵母等の微生物資材も酒造等醸造界に流通している。漢方や生薬材料・植物エキスも一般流通している。活性化液や機能水等も多種多様に存在する。地域に伝来の秘伝技術や在野技術も多数存在する。素材として安全性や実績を見極めて、天然物を厳選する。用途用法を組合せて強化酵素を造り原液とする。環境的に苛酷条件下で成育する植物エキスの抽出方法も酵素処理による高濃度抽出方法が存在する。特に抗酸化酵素はきのこ類に多く、悪臭抑制や腐敗醗酵を未然に予防する上で不可欠である。資材化用途に合わせて選択的に配合する。酵素資材・濃縮方法・配合割合は薬剤師や漢方医、醸造知識や知見を寄せて試行して安全性を確保した上で機能強化を実現する。民間に伝承される実績に基づく発酵食品の醸造技術・保存技術等は原液の機能開発の示唆に富む。持続可能な地域における有機資源循環は地域特性にあわせ、地域生活者の知恵として後世に伝承すべき文化であり、地域文化として次世代への贈り物となる。
【0020】
家庭生ゴミ細砕装置は身近な道具を選定する。電気の無い地域で電動機は使えない。食材は地域特性があるので家庭生ゴミを細砕・細粒する道具は地域特性に合わせ調達する。石臼・すり鉢・ジュウサーミキサー・フードデイスポーザー等であり身近な方法を利活用する。強化酵素や抗酸化酵素が調達できない場合は有機栄養養液を腐敗させないで土壌還元する。食物残渣は多様で魚腸骨や貝殻、穀物ガラや調理クズ・非食部分は鮮度を意識して加水粉砕する。残渣の細胞内・外酵素も利活用する。フードデイスポーザー等は、2〜3度繰り返しで細砕化する。日本ではフードデイスポーザーの需要先は限定される。加水粉砕機能を生かして酵素養液化には最適である。腐敗醗酵して悪臭発生源とならないように留意する。破砕粒度は細かいほど酵素溶出や含浸しやすく物質変換が早い。貝殻や穀物カラはミネラル補給源で酵素作用を支援する。土壌微生物のエサとしても好適である。酵素はナノサイズで細胞壁を通過して含浸して作用する。フードデイスポーザーによる酵素養液化の所要時間は家庭生ゴミが1kg/日の場合は数分間である。乾燥型やバイオ式生ゴミ処理機の処理時間とは桁違いの早さである。有機栄養成分の変換効率も同様であり、自然界の生態系強化も最速技術である。植栽比較すれば一目瞭然となる。
【0021】
酵素養液の用途は多様である。酵素養液を熟成して原液を造る事が出来る。バイオリアクターとして特定微生物の酵素養液が得られる。熟成し濃縮すれば原液や機能水として使うことが出来る。微生物利用はその生成物の利用技術である。食品保存溶液や漬け汁やタレ・ヌカ床・植物エキスやミネラル資材は積極的に活用する。機能強化や濃縮技術も存在するのだろう。地域における持続可能な有機資源循環系は地域特性に合わせて確立することが重要だ。微生物資材は地域で調達するのが基本で持続可能性を確立する原点である。地域の廃棄物系・未利用有機資源を利活用する上で基本技術である。地域特性を活かして地域生態系に融合する在野技術として伝統となる。秘伝は秘伝として伝承し公開する必要はない。多くの失敗に学びノウハウとして蓄積する実技を伴う経験による知識は尊いのである。地域生活者の伝統技術を厳選し強化複合すれば地域の強化酵素技術と原液が得られる。原液は流通可能である。微生物資材と異なり生命体ではない。地球環境問題を打開するために土壌体質の改善が重要であり緊急課題である。良い原液は多いほど良い。地球そのものが瀕死の状態である。砂漠化は危篤状態であり、酵素養液による蘇生復活が急務である。地域伝承文化は掘り起こして活用し緊急事態を打開する。目先にとらわれると間違う。地域環境の将来像の認識を共有化し現時点の対応方法を含め再確認することが何よりも重要だ。合意形成した「高遠な目標」は決して振れることがない。
【0022】
生態系を有機物と酵素群が循環する。タンパク質の機能解析は先端技術であり進展は早いがまだ日が浅い。暫定対応の差異分析による技術進化は人為的制約条件の上に成立するので前提条件を見極めることが重要だ。差異分析は専門家の仕事であり、全貌把握は多方面専門技術の交流が重要である。認識を共有化して諦めないことが唯一の成功への道である。機能性酵素群の解明には先端技術でも膨大な時間と労力を必要とする。複合酵素作用などは未知の世界である。科学技術的に未知の領域でも、生態系のバイオマス循環は間断なく継続している。動植物性残渣等の分解酵素は自然の循環系の中に多種類が大量に存在する。仮説設定して慎重に石橋を叩きながら試行すれば良い。行動すれば答が得られる。得られた答に合わせて良さを追及する。未知の分野を切開くための必須条件である。失敗は最大のノウハウとなり、実践経験が重要である。知識だけで進展はない。行動が解決策の近道だ。大量な情報は技術進化を早める。
【0023】
微生物利用はその生成物の利用することにある。酵素資材もその一つ。細胞内・外酵素の触媒作用で有機分解・合成してイオン交換のポンプ作用で有用物を細胞内に取り込み熱源や栄養源として消化・吸収して微生物が増殖する。イオン交換にミネラルが電子交換の役割・機能を発揮する。例えば細胞内のナトリウムと細胞外のカルシウムが入れ替わる。カルシウムポンプ作用のようなものである。塩分を摂取してもカルシウムが豊富に得られれば塩分を排出することが出来る。その細胞内酵素や体外酵素が置換されて水中に溶出する。有機栄養溶液をエサとして増殖した微生物の死骸であるスカムをバクテリオファージが分解する。やがてバクテリオファージもエサを食べつくし死滅する。養液の濁りが消え透明度が増す。ろ化するか透明液層を使用する。熟成した水溶液は活性液とも機能水とも呼ばれる。そのような循環系の中で生成される溶液は無菌状態で家畜飲用水として利用が可能となる。ナノ物質の酵素群が複合的に集積した機能を発揮するミネラル分豊潤な酵素資材となる。例えば蛋白質分解酵素が豊潤な機能水を鶏の飲料水とする。エサは変えずに飲料水のみ変える。鶏糞の強烈なアンモニア臭は激減する。鶏のエサの体内滞留時間は2〜3時間である。その間に栄養分が分解・吸収される。悪臭原因はその大半が蛋白質未消化分に起因する。養鶏舎のアンモニア濃度は時に百ppm以上になる。機能水や活性化液と呼ばれる酵素溶液を給与すると数ppmにすることが出来る。酵素の役割機能や定量評価方法も確立していない。多変動要因の多い自然界の生態系では固有値であり再現性は不可能となる。同一の時空間は自然界では存在しない。人為的な制御技術は生態系の循環系には通用しない理由である。科学技術者が避けてきた理由でもある。
【0024】
酵素養液の土壌還元は使い易いように希釈して浅溝を掘り流し込み覆土する。土壌微生物は紫外線に弱い。酵素養液の汚物感の見栄えも解消できる。酵素養液は温暖時期で即日に分解され土壌に同化する。数日で植物の吸収根の根張り侵入が見られる。土壌微生物のエサとして酵素養液の還元量は10L/m/日程度を目処とする。多ければ微生物が増殖し年中無休24時間対応で有機分解・吸収する。酵素養液の濃淡も同様である。微生物増殖はその死活による微生物の生成物が豊潤となる。生態系の柔軟対応の素晴らしさであり、人為的な制御技術では成しえない不可能な分野である。酵素養液が土壌浸透することで土壌微生物の垂直生菌数が増加する。団粒化構造の垂直進度は完熟堆肥の深度進行の速度を凌駕する。団粒化構造は酸素供給や水分補給が好適で土壌体質の改善速度は速い。植物の吸収根に酸素供給は極めて重要である。団粒化土壌の特性の一つ。比較対照区を造り、計測しても個有値で客観性は得られない。自然界の環境は変動する要素要因が多く普遍性のもとめられる科学的根拠は得がたい事になる。酒蔵で隣り合う酒樽の味や成分が異なる様なものである。土壌生態系は食の連鎖で微生物相も変化する。菌糸が繁茂したり、土壌醗酵したり土壌生態系は時々刻々と変化しながら土壌団粒化が進む。その効果は植物生育成績として、また収穫量の差となって現れる。比較対照区で観察すればその差は歴然であり、写真記録で残す方法が簡便である。生態系は連続し、循環しているので計測し易い代用特性を選び計測し易い方法で把握する。土壌体質の改善は土壌生態系に反映する。土壌微生物と酵素豊潤な土壌は連作障害が発生せず、多様な植栽が可能となる。亜硝酸や硝酸態窒素の吸収が減り、病害虫被害が激減する。食味豊かな農産物が増収可能で、腐らずに枯れる農産物が出来るようになる。学童が眼を輝かせて野菜を摂取する状態となる。細胞壁がしっかりし歯切れが良い。鮮度保持期間が長くなる。何よりも安全で食味豊かである。酵素養液・強化酵素・炭素循環による「健康栽園」の世界である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の効果は例えばこれまでは悪さ退治の暫定策の生ゴミ等廃棄物処理方法を環境と調和する良さを追求した持続可能な生ゴミ資材化利用に転換することになる。有機廃棄物処理は生態系の自然循環と断絶することで諸問題を発生させた。本発明は発想を変えて自然の摂理に合致させた有機資源の循環系を復活させるために土壌微生物のエサとして生ゴミ資材化利用する方法である。生ゴミ資材化利用は、廃棄焼却のCO2発生抑制し、バイオマス増産でCO2を吸着固定する。生態系を活性化しバイオマス収支バランスを保ち持続発展を可能とする。バイオマスは生産量が消費量を上回れば生態系を豊かにする重要な効果がある。土壌微生物は生命体発生以来の有機分解・合成の炭素循環系を保ちバイオマス増産環境を維持し発展してきた。その生態系の食糧・エネルギー源であるバイオマス収支バランスが崩れてきた。特に熱帯雨林の破壊が今日的な気象変動をもたらしたと考えられる。植物の光合成で生態系に賦存するバイオマスの食の連鎖で命脈を繋ぎ発展して来た。森林伐採の被害を最大に受けたのが土壌生態系であろう。表土流出や砂漠化の進展は土壌無機化や土壌微生物の激減によると考えられる。生ゴミ等有機物は棄てず燃やさず酵素養液化して土壌微生物のエサとして還元し、土壌微生物を増殖してその生成物で土壌体質を回復させる必要がある。土壌微生物が利用し易い資材化が重要である。
【0026】
本発明の効果は例えば在来農法の発展を促進し、近代農法を革新する。日本には伝統的な資源循環型農法があり、土壌生態系を重視してきた。本発明は生態系の有機分解・合成に機能性酵素群が作用するとの着眼である。微生物利用はその生成物や酵素群の利活用にあり、本発明の機能性酵素の利用は有機分解・合成の物質遷移を短時間で高効率に安定的に自然環境下で行うことができる。酵素養液は物質変換を生化学作用により高効率で行うことが出来る。変換率が100%に限りなく近い。在来の有機堆肥農法を有機栄養の視点で見ると醗酵過程で微生物群が呼吸活性や醗酵熟で物質変換効率が半分以下の30%程度に留まる。栄養成分が極端に不足する有機栽培では当然ながら農産物収量が減少する。微生物の食べ滓による栄養不足状態では病害被害に弱く、養分吸収性が悪く、有害な窒素酸化物を吸収し残留する硝酸態窒素や亜硝酸イオン濃度が高くなり、農産物が腐れ易くなる。生ゴミ資材化は酵素作用で物質変換を高効率で行い、土壌微生物のエサとして直接的に土壌微生物の醗酵熱や生成物質を土壌還元する方法である。この面から在来農法と全く異なる方法である。残留する硝酸態窒素や亜硝酸イオンは桁違いに少ない。近代農業技術は農薬や化学肥料に依存し農地土壌環境や生態系を破壊し、生活慣習病などの要因となる化学物質の体内蓄積による慢性疾患は食料品を通して毒物を体内蓄積した。植物の遺伝子破壊をする除草剤は沿岸魚介類にダイオキシン等が濃縮され蓄積している。家庭生ゴミ資材化による土壌微生物の増殖は土壌蓄積した農薬や化学肥料も徐々に分解し解毒して土壌洗浄する役割も果たす。酵素養液資材の自家調達による波及効果は農薬や化学肥料から脱却し収益体制を確保し、簡単農業を実現し、酵素溶液の土壌散布や葉面散布は農産物の増収を可能とする。バイオマス増産は地球温暖化抑制の新たな活動として世界に発信できる革新的な農業技術である。生産消費の考え方は地域食糧自給率の向上を加速し、フードマイレッジを圧縮する。地域特産農産物を量産し、食物由来の化学物質の過度摂取を未然に防ぐ医食同源や身土不二が実現可能となろう。
【0027】
本発明の効果は例えば土壌生態系回復が地球温暖化抑制の最優先の実践課題であり国民的活動とすることが出来る。植物によるバイオマス増産が生態系の食糧・熱源の補給源泉であり、生態系の生存環境の保全調整役割を果たす重要な方法である。これは生命体が発現後から連続的に持続発展して来た唯一の方法である。地域の廃棄物系・未利用有機資源にも酵素養液資材化は応用できる。安定的に発生する学校給食残渣等は良質なリキッドフード利用が可能で小規模畜産を復活させるだろう。家畜等の小動物の出現は子供達の情操を育み、精神的な豊かさを復活させる効果が期待できる。リキッドフードによる動物飼育は家畜健康や衛生環境を改善する。家畜等は健康に育ち、好奇心が旺盛で親和的である。このリキッドフード飼育による家畜は好奇心旺盛で喧騒することなく、混住社会に共存する小規模有畜農業が復活するだろう。有機栄養溶液を熟成すると環境浄化資材として利活用できる。また、草木等の堆積堆肥化法で添加し酵素醗酵堆肥として腐葉土化する。地域の庭木・街路樹・里山等の環境整備と農業資材化利活が推進できる。バイオリアクターとして自家調達可能な酵素養液資材として土壌・葉面散布による農産物増収が図れる。農業と環境が両立する中山間地の生態系豊かな地域に復活し、脱工業化時代の生態系共存型の農村地帯として自治・自律機能を復活するのだろう。
【0028】
本発明の効果は例えば酵素養液・強化酵素・炭素循環の生態系の仕組みを有機的に組み合わせて、日本古来の医食同源・身土不二といった農耕民族の想念を単純にして明解な生態系に融和するバイオマス変換要素技術やノウハウを良さ追求の発想方法に転換して地域の持続発展性を重視した地域バイオマス生産消費という概念を共有化して新世紀を切開く新産業として発展させることができる。バイオマス増産が持続発展性の源泉となる。その第一歩として地球温暖化抑制の実践行動の「健康栽園モデル」を提案する。まずは身近な地域環境保全活動として着手し、地球環境に思いを馳せる。自然環境は何処までも連続しており地球環境問題は国境を越えて実践行動として展開することで多方面の複合的な波及効果を喚起することができる。生態系の自浄能力を環境保全・再生力に積極活用する方法として公開し、環境的に経済的にも持続発展が可能な地域における有機資源循環型社会への実現に向けた実践行動として、また、地域の廃棄物系・未利用有機資源を利活用することにより高効率に土壌生態系復元による地力活力回復の方法として応用し、増加する遊休農地の解消促進や兼業農業による農産物栽培技術移転を推進しながら地域復活を推進する。多品種少量生産の地産地消による地域食糧自給率の向上は地域持続性の根幹を成す基幹産業である。基幹産業として食糧および燃料の確保はそれぞれに地域存亡に関わる生態系本来の姿である。農産物や穀物による液化燃料への変換技術は既に存在している。木質系資材による液化燃料技術も時間の問題である。バイオマス増産による食糧・エネルギー不足への備えは高遠な目標を持って進める必要があり、太陽光エネルギーを初め多様なエネルギー利用技術が進展するだろう。ローカルに機能し次第にグローバルに寄与するグローカルシステムとしての相乗効果を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明にかかる酵素養液の製造方法によれば、栄養分・ミネラル類・酵素群の含まれる家庭等の廃棄物系バイオマスを加水し、機械的に細砕する加水細砕工程と、前記加水細砕した有機栄養溶液に強化酵素(以下、「原液」という)を適量混入し得られる有機栄養酵素容液(以下、「酵素養液」という)を貯留する混合貯留工程と、前記原液およびバイオマスに含まれる細胞内・外の酵素によって、加水粉砕工程や混合貯留工程の酵素養液中で有機分解・合成する物質遷移の平衡熟成工程とを有する。
【実施例1】
【0030】
本発明による「酵素養液の製造方法」と「生ゴミ資材化装置の構成」を図1示す。
酵素養液の製造方法は原材料となる有機資源を投入口10と加水細砕を行う加水細砕装置20と酵素養液の回収工程で構成される。有機資源の発生状況や性状に合わせ、請求項2の前処理工程に希釈した酵素溶液の浸潤工程を設ける。浸潤工程は添加する酸化還元酵素の作用により腐敗の酸化物質を還元修復して鮮度維持をすると同時に悪臭物質を分解して作業環境を好適にすることが出来る。
【0031】
以下、家庭生ゴミの酵素養液の製造方法について図1について詳細に説明する。
調理クズや食べ残しの家庭生ゴミ等の動植物性残渣は栄養分・ミネラル類・酵素群が含まれる廃棄物系バイオマスである。これらを有機分解・合成して物質遷移の役割・機能を担う土壌微生物のエサとして還元し、生態系に無理のない状態で持続可能な自然循環系を持続発展させることが出来る。
【0032】
投入する生ゴミ等残渣はバイオマス由来の残渣であり、加水細砕できる材料は全て酵素養液化する。魚腸骨・貝殻・穀物ガラや非食部分等に含まれるミネラル類や酵素群も重要な物質である。細砕粒子が粗ければ再度粉砕する。細砕は一度よりも二度の方が良い。再攪拌することで残渣の酵素や混入した強化酵素の作用が加速される。酵素はナノサイズレベルの蛋白質であり、細胞内に浸透するので接触面積が多いほど作用が早い。また細胞内酵素も置換されて溶出する酵素触媒抽出の相乗効果もある。
【0033】
加水する液体は水に限らすとぎ汁・廃食油・煮汁・漬物汁・糖蜜等の高栄養物質は好適な栄養資源であり総て利用する。得られた酵素養液に不安があればプランターやポット栽培・水槽飼育の観賞魚等の生態系で限度を確認すれば良い。家庭生ゴミの酵素養液は自家用消費が基本であり、酵素養液の安全性確認方法は五官を駆使して検査する。簡単な方法としては酵素養液を素手で攪拌する。手肌が滑らかとなる。手肌の荒れは良くない。必要により食味確認する。
【0034】
家庭生ゴミを酵素養液化する強化酵素の原液はこの加水粉砕装置専用の資材として商品名「有機栄養液肥の素(ECOFF)・・健康栽園協会」として市場流通している。原液にはきのこエキス由来の抗酸化酵素を配合し、腐敗醗酵や悪臭発生を未然に防ぐ特徴がある。家庭生ゴミを巡る腐敗悪臭や衛生害虫の問題点を改善した。酵素触媒作用は溶液中でより高効率の機能を発揮する。家庭生ゴミ等は原液の4%希釈溶液に浸潤させておけば、鮮度を保ちバッチ処理が可能である。原液は産業用酵素、植物エキス、きのこエキス、ミネラル含有天然湧水、活性化液を選択的に調整配合することで家庭生ゴミの物性にあわせた原液供給が可能である。
【0035】
加水細砕装置には市販されているフードデイスポーザーの粉砕機能を利用する。
表1に加水細砕装置とフードデイスポーザーの役割機能の差異を整理して示す。
【表1】

【0036】
フードデイスポーザーは欧米では一般的に生ゴミ処理機として普及しているが、日本では下水道の処理施設の負荷増大や下水管路仕様マッチング等の課題もあり、その判断を家庭生ゴミ担当部署の地方自治体に判断を委ねた。地方自治体では行財政逼迫に関係もあり殆ど認可されていない。フードデイスポーザーは家庭生ゴミ廃棄処理機であるのに対して加水細砕装置は酵素養液の製造装置である。また、家庭生ゴミの発生源オンサイト処理が必要であり、持ち運びが自由に出来る特徴がある。
【0037】
酵素養液はフタ付きポリタンク等の容器に回収する。
酵素養液化後すぐに土壌還元することも出来るし容器貯留して熟成して葉面散布や土壌散布の活性化液として利活用できる。酵素養液は生態系を物質遷移してヒトにも循環して戻る。土壌微生物のエサとして利用する場合は屋内観葉植物・観賞魚・ペット等で比較試験をしながら様子を見る。習熟するまでは身近にプランターやポット栽培の植栽試験区を用意して効果を検証可能な環境を用意すれば良い。土壌還元量は10L/m/日程度を目処に状況に合わせて使う。新発見や感動は記録に残し後続に伝える。
【0038】
家庭生ゴミ堆肥化の利用方法もある。堆肥化は投入時の栄養成分が最終工程において30%程度で、長期間掛けて減少する成分は地球温暖化効果ガスとして大気開放されている。酵素処理は瞬時に有機分解・合成が開始されて物質遷移して酵素養液となるので土壌還元することにより土壌微生物が急速に増殖し死活を繰返し更に有機分解をするので生成物質を植物が吸収、物質遷移し、植物の生育を早め、バイオマス増産を可能とする。無施肥で3割程度の増収が実現する。増収分が炭酸ガスとエネルギーの固定分である。有機栽培農法の勘違いも有機栄養成分の着眼漏れであろう。
【0039】
本発明による「生ゴミ資材化装置の構成」の詳細を説明する。
人口爆発に伴う食糧・燃料危機および石化燃料消費の急拡大に伴う熱公害による地球温暖化問題の打開策の一つが炭素循環系の活性化に伴うバイオマス増産である。バイオマス賦存量を増大することで食料不足や植物燃料化への需要拡大が可能となる。世界中の家族単位で取り組むべき緊急課題でもある。好適な事例として説明する。
【0040】
家庭生ゴミ資材化装置は投入口10、加水細砕装置20および架台30で構成する。
地球環境問題はより多くの生活者の参加を必要とするのでコスト圧縮が重要である。組立工場の大量生産の製造方法でなく、単純、明解な分散組立方法や製品検査委託方式を開発し組立費用や検査作業を健康栽園クラブに委託する方法を導入し、環境対応の地域取組みを支援する新たな仕組みを織り込み、輸送経路を簡素化や資材化装置の軽量化・小型化・車載移動を可能と組立後の堅牢構造を確保した。バイオマス増産に伴う多面的な地球温暖化抑制の効果を想定してCO2排出権取引の考え方も折込み地方行政や地域企業が地域社会への貢献策として健康栽園クラブの活動支援をしやすい構想を織込む。
【0041】
資材化装置は受注・発注方式を採用する。サブアッセンブリーした2分割構成で健康栽園クラブにそれぞれ送達される。現地では単純に重ね合わせることで三次元位置決めのフェールセーフを織り込んだ構造とした。分散組立することで機構や構造を使用現場付近で熟知することが重要でブラックボックス化を回避する狙いがある。日常的に使用する新装置は的確でスピーデイな日常対応が何よりも重要である。この加水細砕装置が果たす地球温暖化抑制の多面的な役務効果は大きく、より多くの生活者の参加を必要とする。必要コストを現地・現場に積極的に還元することにより普及定着を促進する。環境問題は多くの生活者の参加と創造力が必要であり、健康栽園クラブの開設自律支援を行う。
【0042】
ニ分割構成は投入口10と加水細砕装置20および装置固定天板15で一機構部品とする。また架台と加水粉砕装置の下端部固定と架台補強中板(棚板35)をサブアッセンブリーとする。締結を2箇所でネジ留めすることで精度よく簡単に組立てられる。なお、40は架台の底板である。架台に過負荷時のリセットボタン操作口と電源コード通過孔にシャープエッジ対策のプロテクターを装着する。通電して作動確認をして記録を残し検査証発給委託をする。組立・検査費用等はクラブ運用経費の一部として健康栽園クラブの開設と技術移転を加速する方法である。
【0043】
家庭生ゴミの酵素養液によるバイオマス増産の地球温暖化抑制の効果は定かではない。IPCCデータインベントリー項目に登録するCO2排出係数も不明確であり、今後の予測精度の向上や実測データの収集が必要となる。人為的なヒト社会からの断面的な効果予測や実績は徐々に精度は高まっているが、生態系を対象とした循環系のCO2排出係数やLCAを考慮した排出係数はこれからの課題であろう。国家目録として登録して環境家計簿に引用される1999年の排出係数があるが、バイオマス増産効果はそれを容易に凌ぐのである。
【実施例2】
【0044】
本発明による請求項6記載の酵素養液とその用途について説明する(図2参照)。
家庭生ゴミ等の動植物性残渣の栄養成分は調理して食事にする料理よりも栄養バランスに優れ、ミネラル分が豊富である。また、バイオマスを生産する植物で樹木等の構成元素の種類や構成成分比率は農産物とさほど変わらない。生命体は炭素集積が極めて高い。
朽木は古来の日本農業では漉き込み農法として伝承され、夏前の成長力ある若い草木は土壌還元して漉き込み、春先はレンゲやレッドクローバーを栽培して土壌に漉き込み、窒素補給もしていた。枯草菌が多い稲株を秋に天地返しで風雪を利用して炭素源を土壌還元し田植えに備えていた。お百姓さんから農業者に変わり経済優先の農薬や化学肥料に依存し、環境破壊を加速した。湧水は危険で飲めない。田園地帯の水中動物は激減し、エサを求めて里に現れる熊も大量に殺戮し絶滅を加速している。人類の滅亡もまじかであろう。
バイオマス生産消費バランスを意識しないと人類を含め生態系の持続発展性は復活できない。生態系の多様性が生活者の豊かさである。酵素養液による有機分解・合成は樹木を野菜に変換するバイオマス変換技術でもある。
【0045】
家庭生ゴミを加水細砕して酵素養液をつくり土壌微生物のエサとして利用する。
酵素処理により高効率の物質変換を行い、調理クズや残渣はミネラル分が豊富で、栄養バランスの優れた有機栄養溶液が出来る。鮮度の良い動植物残渣の細胞には酵素群も含まれる。これを土壌微生物のエサとする。生ゴミ等残渣はバイオマス由来の残渣であり、加水細砕できる残渣は全て酵素養液化する。魚腸骨・貝殻・穀物ガラや非食部分等に含まれるミネラル類や酵素群も重要な物質である。細砕した粒子が粗ければ再度粉砕する。細砕は一度よりも二度の方が良い。再攪拌することで残渣の酵素や強化酵素の作用が加速される。加水する液体は水に限らすとぎ汁・廃食油・煮汁・漬物汁・糖蜜等の高栄養物質は好適な栄養資源であり総て利用する。得られた酵素養液に不安があればプランターやポット栽培・水槽飼育の観賞魚等の生態系で限度を確認すれば良い。酵素養液の安全性確認方法は五官を駆使して検査する。簡単な方法としては酵素養液を素手で攪拌する。手肌が滑らかとなる。手肌の荒れは良くない。酵素養液は資材化後すぐに土壌還元することも出来るし容器貯留して熟成して葉面散布や土壌散布の活性化液として利活用できる。酵素養液は生態系を物質遷移してヒトにも循環して戻る。ヒトに良い物は生態系にも良い。
【0046】
土壌微生物のエサとして土壌還元する場合は表土を5〜10cm程度の溝を掘り還元後は覆土する。土壌微生物は紫外線に対して弱い。酸性雨雪の影響で表土付近の生菌数は極端に減少傾向である。酵素養液は数倍に希釈して使用する。温暖時は数時間で土壌同化する。土壌還元を繰り返すと菌糸が地上を走り土壌醗酵の好適状況も発生する。この状況は記録に留め、伝承する価値がある。土壌体質の改善効果の好適現象は表層土醗酵のきのこ発芽である。土壌が健全な勲章のようなものである。過負荷になるとミミズが増殖する。ミミズは土壌環境が栄養過多の肥満状態である。ここで栽培する野菜類は残留窒素濃度が高く病害被害も受けやすい。失敗事例として記録し、留意する。酵素養液の地下浸透は垂直方向の土壌団粒化を進めることが出来る。科学的には土壌微生物の垂直分布を基準区・試験区で土壌微生物の微生物相と生菌数を比較把握する。簡便な方法として比較対照区の同一深度の土壌を採取し混濁状況と透明度の比較調査も簡便である、習熟すれば的確な判断が可能となる。植生比較の成育記録の写真が簡便で一般的ある。記録としても解り易い。学術的に微生物生菌数や微生物相の調査や土壌成分検査等もあるが必要に応じ専門家に任せる。
【0047】
表層土の不毛荒廃地の代表は砂漠化現象であり、無機状態に近い。砂漠化現象は砂漠地帯だけではない。国内の穀倉地帯でも進行している。春先には季節風で砂埃が大量に舞い上がる。鉄砲水の土砂災害や土砂崩れの山肌露出も土壌生態系の衰退現象の一つである。酸性雨の影響もあり、松枯れやナラ枯れ、場所によりササ枯れも発生している。これらは粗悪石炭の硫化化合物が原因であろう。松やナラは亜硫酸ガスに弱い。団粒構造が崩壊しつつあり、土壌微生物の多様性が失われ、連作障害の克服や遺伝子組み換え技術が進展し、正常土壌で発芽し難い種苗が普及しはじめている。対象療法の問題解決型の技術開発は異常状態を正常化するヒト社会の自然との乖離現象である。この誤りは避ける必要がある。リンゴの苗木は3年間栽培すると連作障害が発生する。そこに酵素養液を散布したところ連作障害を解消した。モンパ病で衰弱したリンゴ成木が復活した。消毒液の土壌浸透は微生物相を偏らせ、病害被害を引き起こす。土壌微生物の多様化がこれらを解消したのだろう。土壌生態系の崩壊は身近な事例が多数存在する。農薬や化学肥料に依存した水田では水中小動物が激減した。田の除草剤は植物遺伝子破壊により枯れる。生命体に共通の毒物である。水棲動物が激減した理由である。沿岸漁業では濃縮したダイオキシン類が高濃度に魚貝類に蓄積している。施肥過多による化学肥料や腐敗堆肥は地下浸透し、地下水汚染への影響が深刻である。硝酸態窒素や亜硝酸イオン濃度は水質基準を大きく上回る。その様な農業地帯が増大している。畑での汚染状況は野菜の残留濃度として硝酸態窒素や亜硝酸イオン濃度は簡単に計測できる。パックテストなどは子供たちの理科実験で学ぶのであろう。そのような知識を地域に活かせば良い。病害虫被害は不健全な土壌生態系により広がる。酵素養液による効能は吸収根の成育状況や根張り状態を写真記録すれば良い。特に酵素養液は種苗時期の成育状態が大差となる。樹木生育の成績は初期状態の差が基幹の太さの違いとなる。炭素固定量が積分される。酵素養液は里山の森林で比較すれば良い。樹木が覚醒する。重要な地域の生態系保全の活動となる。土壌体質改善は酵素養液の栽培方法で簡単に解消が確認できる。
【0048】
酵素養液は堆肥化補助資材として利用することが出来る。堆肥化初期の仕込み段階で酵素養液を水分補給代わりに添加する。初期の好気性微生物の増殖を加速し一次醗酵のピーク時期を早め醗酵温度を高める。微生物のエサとして増殖する痕跡である。初期醗酵の酸化還元電位(ORP)を下げ、高温持続性の長期化することが出来る。醗酵温度の高温持続性は生ゴミに含まれる種子発芽失効や腐敗菌等雑菌の熱殺菌や堆肥化醗酵環境を還元領域に整える事ができる。悪臭公害の酸化物質やアンモニア発生を大幅に抑制し、良質の酵素醗酵堆肥として資材化できる。この完熟堆肥を施肥することでミネラル補給と優良土壌微生物の生存環境を整え土壌の体質改善に寄与する。初期醗酵温度は80℃程度を維持し、リグニン等の強固な細胞壁を脆弱にし、最終工程で活躍する放線菌類がリグニン分解を促進する。また、生ゴミに混入される脂質類は低級脂肪酸として残存しやすいが酵素醗酵堆肥化はこれらの有機物分解に優れ高分子物質を低分子化し連作障害を解消することができる。優良な完熟堆肥は腐敗菌の少ない良質な微生物資材でありミネラル補給源でもある。そのような優良堆肥は少なくなった。コーンコブを主材としたきのこ廃培地の一般的な堆積堆肥化の工程に酵素養液を混合すると初期醗酵のピーク温度が通常40時間位に対し10時間程度に早まる。ピーク温度も跳ね上がる。悪臭原因物質のアンモニアガス濃度が80ppmから数ppm程度に下がる。集落農集排の悪臭公害も原液添加で解消した。汚泥引き抜きが不要で液肥資材化した。酵素養液は堆肥化の悪臭物質の発生を抑制し良質な有機堆肥化手法に改善する。酸化還元電位(ORP)を下げて、有機分解・合成の物質変換効率を高め、物質繊維が進む。堆肥化工程の酵素利用が地域の未利用・廃棄物系バイオマスの資材化に重要な役割を果たすことになる。
【0049】
酵素養駅は家畜やペットのリキッドフードとなる。
酵素養液を給与すると好んで舐める。強化複合酵素を原液希釈して飲料水として給与しても良いし、通常エサに酵素養液を混入給与しても良い。糞尿臭気の厳しいネコは1〜2日で糞尿臭気が激減する。抜毛が減り毛並みや色艶が増し、気性も穏やかになる。飼い犬も同様である。老犬が元気を回復したり、気性激しい犬が穏やかになる。個体により変化は様々であるが性格が柔和になる。犬猫のペットフードの環境も劣悪の状態にあるらしい。家畜においても同様である。鶏卵用の鶏はエサをそのままに飲料水として給与すると、鶏糞が簡単に壊れ、強烈な鶏舎アンモニア臭気が激減する。ポリバケツの底に温度計と検知管を差し込み、堆積鶏糞表層部をハツリ、蒸散臭気をポリバケツ内に集積して計測する簡単な方法で簡易測定による近接臭気のアンモニア濃度100ppm超が数ppmに激減する。鶏舎の騒々しさが解消し、鶏卵は三層構造で卵黄は楊枝を立てることが出来る。楊枝を抜いても卵黄が漏れない。卵黄を摘みあげることが出来る。鶏舎に他人が入ると一斉に近寄ってくる。通常エサの鶏舎は他人が入ると争って逃げ出す。この傾向は豚舎でも同様である。リキッドフードとして家畜等のエサ化利用する場合は、学校給食残渣や地域の食品関連事業所で安定的に発生する残渣等を酵素養液化する。不足する栄養分は荒廃農地等で家畜飼料を作付け栽培する。栽培植栽の非食部分も飼料化利用する。非食部分や地域の未利用有機資源を酵素養液化することも出来る。経費を抑制し高効率で安定的に小規模有畜農業として再構築することが出来る。食品加工副産物による微生物醗酵エサ化技術よりも酵素処理による製造方法が簡素化されて製造コストを削減できる。その上、物質変換のロスも少ない。エコフードとして酵素作用による物質変換は安定的に高効率に短時間で資材化できコスト圧縮が可能となる。畜産関係のエサ代は海外生産に依存し、地球規模の食料危機は家畜肥料の高騰に跳ね返る。畜産経営指標はエサ代が50%を超えるが、大幅削減が実現できる。消化吸収性の良い家畜飼料は家畜の糞尿臭気が抑制され畜産環境の悪臭公害を大幅に改善できる。混住社会に共存する小規模有畜農業の復興が可能となり、環境保全型農業が展望できる。
【実施例3】
【0050】
本発明による請求項7の地域におけるバイオマス増産を可能とする「健康栽園モデル」の好適な実施形態の一例として示す。家庭生ゴミを酵素養液化して地域で相互に協力して耕作地を持たない地域生活者を含みバイオマス増産の地域取組の具体的方法を提示する。バイオマス生産はその殆どを植物に依存し、賦存するバイオマスは動植物が消費して、生命活動に必要な食糧・エネルギー源として生態系を育み、生命体の生存環境を快適に共存する役割・機能を備えている。生活環境や地域の廃棄物系・未利用系バイオマスを物質遷移しながら循環させる生態系との共生に知恵と知識と行動を起こさないと地球環境そのものが崩壊する事になる。日本は四季の変化に恵まれた生態系豊かな多様な国土が広がっている。遊休農地や耕作地を利用して有機資源循環のバイオマス増産をする環境が整っている。組織形態は家族・職域・地域・学園・施設・自治会・同好会・児童会・スポーツ団体等の地域特性に合わせて「健康栽園」を開設し、まず、安全・安心で食味豊かな食糧の地域自給率を高め、医食同源を実現し、バイオマス増産による賦存量を増大し、植物による液体燃料を確保し、地域燃料自給率を高め、「みんなで、仲良く、元気に、明るく、楽しく、優しく、そして何時までも」と願っている。参加メンバーが将来を展望して、アイデアを出し合い、認識を共有化しながら地域に於ける多方面の波及効果をイメージしながら持続発展性を実現して頂きたい。そのヒナ型として提供する。参加メンバーによるイメージ図は必要に応じて合意形成し「高遠な目標」の下に実現願いたい。
【0051】
図3は「健康栽園モデル」のイメージ図である。
事例は地域から家庭生ゴミを出さない活動として開始されている。一般化して紹介する。家庭生ゴミの酵素溶液による植栽方法は全く新たな有機資源循環の方法である。知的好奇心旺盛な有志が数人で先行してその効能を実践体験してみる。簡単な鉢植えや植栽ポットで比較栽培試験をする。地域の先進実践者の花卉栽培や植栽栽培等の家庭菜園や植栽等に家庭生ゴミ等を酵素溶液化して土壌還元し、自家処理して自己完結型の有機資源循環系を小規模に造り、農産物等を食卓に戻す。子供が居れば感想を聞く。子供は邪心なく素直に答える。身近な植物の栽培比較は1〜2週間で差異が歴然とする。その状況は興味ある人に見せて、食べ比べることから始める。百聞は一見に如かず。百見は一実験に如かず。実体験を希望する人には手解きをすればよい。総て、事実を事実として公開することが基本である。強要してはならない。複数参加者が家族単位で比較試験をしながら先駆的体験をする。相互に家族ぐるみで情報交換や食味試験をしながら客観性のある確信度を高める。生ゴミ発生量が1kg/日程度であれば土壌還元面積は10m程度でよい。花卉類であれば試験区と対象区では色彩や生育がまるで異なる。食物であれば食感や食味が差異として実感できる。本格的な自給自足の自家用野菜であれば1a程度あれば良い。
【0052】
図4は「健康栽園モデル」の役割・機能を整理した全体図である。
三人よれば文殊の知恵である。新発見や事実情報を交換し認識を共有化し試食等を通して体験談を整理して「健康栽園クラブ」の構想を膨らませながら、参加者が目指す形態をイメージして参加者の要望や希望を折込み概要として整理する。家庭生ゴミ等は食材品揃えから下拵え・調理・料理・食事の過程で調理クズ・食べ残し・非食部分が残渣として排出される。庭木や剪定木の木質系廃材等も植栽に必要なミネラル等がほぼ含まれているので朽木の漉き込みや炭化して炭素資材として循環させれば良い。土壌微生物や酵素資材により有機分解・合成を加速すれば、朽木に残存する物質は健康野菜等に変換が可能である。里山や雑木や雑草などは時期を選んで炭素が欠乏する農地や荒廃地に還元し、酵素養液と共に土壌還元すれば土壌微生物が更に有機分解・合成を繰り返し、姿・形を換えて貴重なバイオマス増産が可能となる。生命体は炭素循環系の中にのみ存在し、炭素循環の回転率を高めることが生態系を豊かにすることである。その有機分解・合成は生命体の細胞で生産される酵素の生化学作用による。バイオマスの生産は殆どが植物の光合成に依存している。総て工夫して農産物に物質変換させることが出来る。酵素溶液・強化酵素・炭素循環の自然界で日常的に行なわれていることを生態系に学び、自然界からの視点でその要求を想定しながら試行し工夫すれば良い。農薬や化学肥料などは一切不用の自然循環に調和する農法である。地域の廃棄物系・未利用系バイオマスはその殆どが確実に間違いなく利活用できるのである。そのための工夫や試行を実践して地域特性に合致した健康栽園システムを構築するのである。未体験は実際に工夫して実践すれば良いのであり、考えていても何も得られない。実行して失敗したら諦めずに工夫して成功するまで実践すれば良い。行動すれば良否の答が確実に出る。良い結果は進め、悪い結果はやり直し、諦めないことが最も重要である。クラブ運営の健康栽園は30m/軒程度で10家族程度からマトリックス栽培方法ではじめるのが良い。
【0053】
クラブ開設準備は農地所有者・運営者・会計・栽培指導者・自治会役員等が役割分担して団体名、約束事、事業計画、予算会計等のクラブ運営組織として発足する。生ゴミ資材化の装置・基材はクラブ組織で購入し普及する。行政の補助施策があれば地域役員を経由して行政が助成し易い状態で支援要請をする。生ゴミ処理費用は地方行財政を圧迫しており健康栽園クラブによる生ゴミ資材化の波及効果は多方面に広がるのでよく相談する。特に最初の遊休農地整備費用には補助施策があれば積極的に利用する。特に今後は地球温暖化効果ガスの流通市場が発達すると考えられるので環境家計簿等による集約方法を取り入れながら、クラブ組織で集約する方法を研究し、確立することが重要であり、地場企業が参入しやすい環境を整備することが重要である。団体会計方式を導入し公開する。初年度事業は農地整備と土壌体質改善が重要であり、緑肥資材となるレンゲや菜の花栽培等の荒廃農地の復活には好適である。地域景観が大きく変貌する状況を誰にもわかる様に植栽計画をする。家庭生ゴミ資材化という新たな地域活動の認知努力が賛同参加者を募る上で大切である。家庭生ゴミ由来の酵素養液はクラブに利用体系を具備し、安全性を確保する確認体制を整える。酵素養液による比較栽培を適宜に行い、確信度を高めながら相互認識を深め、参加者間の信頼性を高める。運営の透明性が重要であり、家族間・クラブ内・クラブ間の相互情報交換を活性化する。情報の鮮度・精度・量が質を高めるための具体的方法である。そのためには現物・現地・現場の事実認識が最も重要となる。クラブ運営指針は健康栽園の持続発展性や行動規範として参加者が決めればよい。
【0054】
マトリックス栽培方法は列栽培による横断収穫である(イメージ図参照)。
クラブ参加者の自家用野菜の要望を受け入れて農産物の種類を多様化する。初年度は慎重に地域のオバアチャンの知恵袋を活用しながら栽培分担する農産物も調整し決定する。役割・機能や作付け栽培計画を立てて実行する。ご近所の野菜栽培の経験豊富なお年寄りが栽培指導者であり、身体は動かないが手ほどきは丁寧である。栽培計画調整会議にも参加を要請し経験談を多く聞きだすこと。指導者の要望を受入れ栽培技術やノウハウを若い世代に伝授しやすい環境を整備する。家庭から持寄る酵素養液の土壌還元や農作業は栽培担当と指導者が協働して行うこと。教える側と教わる側が揃うと技術移転は速い。栽培日誌等の記録に残せばクラブ参加者と共有化できる。高齢農業者は体力が年毎に衰退するので、地域の特産品栽培方法等を早く伝承する必要がある。健康栽園クラブイベントや農繁期は人手が必要であり友・知人や在住生活者・クラブ参加者家族で相互に参加を呼び掛けて対応し、さりげない地域の三世代交流や試食会イベント等も具体化する。ノウハウや知見を共有し相互理解を深める。知恵や創意が集積し地球温暖化防止の具体的行動として大きく波及することになる。また、マトリックス栽培方式は多品種少量生産の新世紀型の営農手法・受託生産計画・農産物品揃え・参加者負荷配分・生産性評価等の近代経営手法としてもマトリックス計算できるように配慮した。営農手法として活用すれば魅力ある基幹産業として発展することになる。
【0055】
地域の荒廃農地利用が地域環境保全の優先的で好適な課題でもある。荒廃農地整備は夏に着手すれば翌春は花畑が出現する事になる。最初から無農薬・無化学肥料の農産物栽培を行う。遊休農地に繁茂する雑木草木類は貴重なバイオマス資源でもある。農地整備で発生する草木類は裁断し集積して酵素醗酵腐葉土化したり草木灰で還元したり、堆積して空乾燥や朽木材として漉き込み農法の材料とする。良好な炭素資材として利活用できる。不足する場合は地域の里山の落ち葉や街路樹・庭木剪定木などを集積する。地域の環境整備は地域役員と相談しながら生活者の支援を得てやるのが良い。酵素養液は寒冷期間に貯留熟成して春先の緑肥漉き込みと同時に土壌体質の改善の土壌漉き込み散布する。表土醗酵が好適な土壌体質の改善策であり、きのこの発芽が勲章となる。春に花畑を愛でた後は緑肥として漉き込み、熟成した強化酵素を250倍程度に希釈して土壌散布する。地域伝来の農業技術は指導者や農業者の知恵を活用すること。酵素醗酵による完熟堆肥は微生物資材でありミネラル補給源である。積極的に併用することで在来農法を進化させる。参加する地域の専業農業者も素人集団の栽培成績・食味の豊かさや収量増に驚くことになる。これらの自然農法はネット情報を厳選して活用する。情報化時代の恩恵を最大限に自然農法に活かす。酵素養液・強化酵素・炭素循環による土壌体質の改善は最速で障害なく半年で実現できる。従来の5倍から10倍の土壌改善の方法である。果樹類等は吸収根への酵素養液を還元する。里山の松枯れやブナ枯れはその樹勢を取戻す。これらは庭木等で先行して試行しておく事は自明の利である。リスクは極力排除することが重要で、三人寄れば文殊の知恵をいかすことが重要である。
【0056】
家庭生ゴミの酵素溶液化による温暖化効果ガスの排出抑制効果は多方面に及ぶ。酵素養液の物質変換効率はほぼ100%。堆肥化の物質変換率は30%程度である。堆肥化は醗酵熱や揮散ガスで70%程度は大気開放される。例えば朽木の漉き込み農法はこの辺りが考慮されている先人の知恵である。樹木には必要な元素は殆ど含まれている。生育中の大気や土中から必要な元素を集積して成育するからである。これらの物質を高効率に物質遷移し循環させることを実践することである。酵素養液や強化酵素は土壌微生物を増殖し、活性化させることで有機分解・合成を加速するのである。当然この成果として農産物等のバイオマス増産は30%〜50%程度の増収となる。生態系の炭素循環系は時には人間の予想を遥かに超えたダイナミックな有機分解・合成を繰り返す。農薬や除草剤・化学肥料を不要とし、その製造過程の博大なエネルギー量を削減できる。地産・地消による食糧自給率はフードマイレージを抑制し、生ごみ収集・運搬・焼却のエネルギーや排出削減効果も集積される。農耕地の炭素資材は飢餓状態であり、土壌微生物増殖には不可欠である。農業部門のCO2排出係数の研究も遅れており定かでないが、人為的に分断されていた環境と農業が融合することで人為的な自然界への反作用が排除されるので自然界の本来の高効率で省エネ・省資源の炭素循環系の物質遷移や循環効率は高まりその効果は増大する。これまでと異なる視点が必要になる。この健康栽園モデルに環境会計を導入すると地球温暖化抑制効果は予想外に大きくなる。生命体発生以来、生態系が持続発展させてきた有機資源循環系である。酵素養液の導入は生態系の炭素循環回転率を加速することになる。家庭生ゴミの酵素養液によるバイオマス増産の積み上げ効果は排出係数が1を越えることになる。仮説を設定して予実績の実態研究する必要がある。
【0057】
この健康栽園モデルは原則として公開して実践する。従来の廃棄物処理と全く異なる生態系から見たバイオマス循環の自然循環強化の支援方法である。生態系でバイオマスを有機分解・合成する繰返しが生態系を豊かにして来た。ヒト社会の利便性や好適条件が自然界との断絶の上に成立しており、自然界との接合部分で環境破壊を増幅している事実である。農薬・除草剤・化学肥料が生活慣習病などという異常体質に変質させ、化学物質等を食材として体内に堆積している。生態系にとって科学技術などのヒト社会の利便性は自然界では弊害となり全く通用しないことが多いのである。有機分解・合成の生化学作用の世界では蛋白質の酵素の触媒作用が重要である。最近の発明や発見がその蛋白質の機能解明分野に集中しているが複合作用の効果や使い方は全く未知の世界に等しい。創造性を発揮する仮説解明の分野であり、制御の出来ないナノテクの世界である。現時点では自然界の営みを観察し邪魔をしないようにするしか方法がない。自然界や生態系の中では数十億年に渡り、物質遷移し循環し、生態系を多様かしてきた事実である。ゆえに、透明性を確保し、実践活動を公開し、見せて、食味して、実践を通して共感する中から相互情報交流を活性化する。地域の特産品量産や地産・地消、医食同源、バイオマス増産といった多方面の地域生活環境や文化に波及することを念頭にクラブ活動として地域に同化する。旨い物にはヒトが集り、余剰品は頒布会等でお裾分けする。評判がよければ直販所や委託生産方式を導入する。未知の分野を切開く実体験や実践方法は広く公開し、情報を開示する必要がある。科学技術の発展の原点は情報公開と透明性である。ヒト社会の利便性の追及が生態系との乖離を急速に拡大している。地球温暖化問題は人類が克服すべき緊急課題である。情報公開を促進し試行頻度を増し信頼性を高めることが重要である。
【0058】
生ゴミは鮮度を保ち加水細粉して強化酵素を加え酵素養液とする。生ゴミ鮮度維持のために酵素希釈液に生ゴミを浸潤させてもよい、腐敗を防ぎ、鮮度を維持し、後処理を可能とする。温暖時期は原液の3%希釈液に浸潤させる方法が良い。2〜3日位は腐敗する事はない。加水細砕は2〜3回程度が良い。溶液を手で攪拌すると肌がスベスベになる。手肌荒れは留意する。酵素養液は即土壌還元しても良い。腐敗雑菌の増殖で腐敗する場合もある。腐敗菌の作用で悪臭が発生した場合の緊急回避の方法として籾殻薫炭等の炭化炭素資材を混入する。薫炭等の多孔質炭化資材は悪臭を吸着し、分解すると共に酵素養液の腐敗酸化を中和し、不足する土壌の炭素補給や土壌微生物増殖に寄与する多面的な効果がある。炭素資材は高温焼成のアルカリ領域のものが良い。寒冷時は酵母やコヌカ、とぎ汁を添加してバイオリアクターとする。寒冷時には雑菌が少なく低温で醗酵する酵母等は拮抗する微生物が少ないので品質的に安定する。酵母は多様な酵素を基質に溶出するので特殊な酵素養液となる。特殊微生物の培養増殖は酵素濃度を高めることが出来る。また、炭素資材は堆肥化工程の初期に混入して微生物活性を高めると共に酸化腐敗醗酵を未然に防ぐことが出来る貴重な補助資材である。微生物利用はその生成物や酵素を利用する技術であり、炭素資材は不可欠の補助資材である。基本特性を理解し有効に利用する。培養方法は市販雑誌やネット情報が簡単に手に入る。失敗は最大のノウハウとなる。躊躇せず実践することが重要である。未知の分野は不安を伴う。しかし、経験すれば簡単になる。百見は一実験に如かず。熟成した酵素養液は原液として使える。希釈して養面散布や土壌散布して微生物を活性化する。自家用調達の酵素養液の希釈倍率も栽培する植物に聞けば良い。自然界の生命体は正直で素直である。また、草木堆肥などに酵素養液を添加すれば、基質中の微生物が増殖し酵素醗酵堆肥化する。初期醗酵ピーク温度が半日くらいで70℃を超えて実現する。草木堆肥は種子等の失効が重要であり、腐敗雑菌の熱消毒が重要である。初期醗酵温度のピーク温度の達成時間を短縮化すること。恒温醗酵時間をなるべく長くなるように工夫すること。腐敗醗酵は最初からやり直す。好適な醗酵環境が整ったらその状況を堆肥化技術として記録に残し公開する。更に良い方法はお仲間が教えてくれる。教える事は学ぶことである。情報公開が基本である。栄養価の高い大量に発生する生ゴミはリキッドフードとして使う。特に成長期の動物は成育が早い。結果を想定しながら実体験を通してノウハウを蓄積すること。失敗経験による知識は貴い。失敗事例は記録に残し成功方法を含め公開することが重要である。
【0059】
健康栽園モデルは地域に賦存する廃棄物系・未利用系バイオマス資源を物質変換して遷移しバイオマス増産を具現化する。生態系はバイオマスとともに酵素群が生態系を循環し有機分解・合成を繰り返しながら物質遷移・循環して生命体の炭素循環系を構成している。その植物を育む土壌生態系が農薬や除草剤、化学肥料により壊滅的な破壊をされている。その化学物質が生態系の一部をなすヒト社会にも多様な健康被害として深く静かに進行している。土壌生態系の豊かさは土中炭素量と土壌微生物生菌数であろう。酵素養液の利活用は2桁位は容易に増殖する。土質改善指標として整備する必要がある。地域に賦存する多種多様で膨大な資材は有効に土壌還元する必要がある。里山を荒廃させる竹林や稲ワラやアシやススキ、森林間伐材は有機栄養源として利用方法の研究が必要である。きのこ菌糸体や子実体抽出エキスは頑強なセルロースやリグニン分解機能が潜んでいるとも考えられる。高分子蛋白質は良質な多糖体の酵素処理による分解利用が可能となるかも知れない。植物栽培燃料化は各地で広がっており地域燃料自給率の向上が可能となるのかも知れない。地域における未利用・廃棄物系バイオマスの資材化利用は全く新たな技術分野であり、産業基盤を整えることが出来ると考えられる。バイオマス増産が食糧とエネルギーを持続可能な地域社会実現の源泉である。未知の分野を切開く遊び心にあふれる健康栽園クラブの出現が楽しみである。
【0060】
表2に酵素養液・強化酵素・炭素循環によるマトリックス栽培方式の健康栽園の農産物に残る硝酸態窒素や亜硝酸イオン濃度の暫定目標を示す。
【表2】

【0061】
例えばホウレンソウに残留する窒素化合物はメトヘモグロビン症候群やブルーベビー症を引き起こし易い。体内でメトロソアミンを生成し発癌物質となり易いとされる。窒素化合物は人体にとって有害で大気汚染物質としても排出規制されている。酸化領域の生化学作用は老化や病気の発生原因となり、きのこ成分等の抗酸化酵素が珍重されており、出来る限り避ける必要がある。この表は炭素循環農法として公開されている基準値を参考に暫定目標値として設定する。木質系資材の農地還元方法はノウハウが蓄積され炭素循環農法に公開されている。ホウレンソウなどの残留窒素化合物も限りなくゼロになり、通常栽培の3桁も減少する。健康栽園システムの考え方として提示し実証データを集積しつつ別途に目標値を設定する。限りなく表1になろう。良さを追求する活動でもある健康栽園システムの由縁である。農薬・除草剤・化学肥料から脱却は農産物生産技術を簡素化し高価な農薬や化学肥料の農業資材コストを削減できる。家庭生ゴミによる酵素養液や強化酵素の導入は自家用酵素資材の調達を簡易化し、物質遷移の効率を加速し、炭素循環の回転率を高める。家庭生ゴミで健康野菜を確保し健康家族の具現化が何よりも優先すべきことであり重要である。
【0062】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】家庭生ゴミ資材化装置の構想を示す説明図である。
【図2】酵素養液の資材化用途を示す説明図である。
【図3】地域対応型の健康栽園モデルの全体構成イメージ図である。
【図4】バイオマス増産モデルの組織の役割・機能を説明する体系図である。
【符号の説明】
【0064】
10 投入口
15 天板
20 加水細砕装置
30 架台
35 棚板
40 底板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栄養分・ミネラル類・酵素群の含まれる家庭等の廃棄物系バイオマスを加水し、機械的に細砕する加水細砕工程と、
前記加水細砕した有機栄養溶液に強化酵素(以下、「原液」という)を適量混入し得られる有機栄養酵素容液(以下、「酵素養液」という)を貯留する混合貯留工程と、
前記原液およびバイオマスに含まれる細胞内・外の酵素によって、加水粉砕工程や混合貯留工程の酵素養液中で有機分解・合成する物質遷移の平衡熟成工程とを有することを特徴とする酵素養液の製造方法。
【請求項2】
加水細砕が可能な地域に於ける未利用・廃棄物系バイオマスの事業用・産業用の酵素養液の製造をすべく、バイオマスの発生状況や性状に合わせて前処理工程に希釈した酵素溶液浸潤工程を追加することを特徴とする請求項1記載の酵素養液の製造方法。
【請求項3】
前記原液の素材は、産業用酵素、植物エキス、きのこエキス、ミネラル含有天然湧水、活性化液の1種類以上を選択的に配合し、きのこ由来の抗酸化酵素(SOD)を複合することで有機物の腐敗や悪臭発生を未然に防ぐことを特徴とする請求項1記載の酵素養液の製造方法。
【請求項4】
前記の酵素処理による有機栄養溶液のバイオマス変換は生化学の触媒作用により、自然環境下で物質変換ロスを最小限にして、有機栄養溶液に酵素触媒作用により溶出された残渣の酵素群も利用して有機分解・合成を高効率に短時間に酵素養液を得ることを特徴とする請求項1記載の酵素養液の製造方法。
【請求項5】
前記の原液自体も定率希釈して土壌散布や葉面散布することで土壌微生物活性や植物光合成活性を促進し病害被害を緩和する機能を発揮する生命体に無害の天然由来の酵素農業資材として利用できることを特徴とする請求項1記載の酵素養液の製造方法。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5記載の酵素養液の製造方法で得られた酵素養液を、希釈して土壌微生物のエサとして還元することで土壌微生物の増殖による土壌の活性化、堆肥化促進剤として用いる堆肥化の促進、バイオリアクター用液、動物に液状で与える液状飼料、植物に希釈散布して農産物増産化、又は土壌に滞留する冨栄養分を微生物増殖により集積し微生物自体に物質変換することによる土壌浄化等の資材として利用することを特徴とする酵素養液の利用方法。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6記載の酵素養液の製造方法又は酵素養液の利用方法と農地に不足する炭素資材を有機的に組合せて地域バイオマス増産を可能とする地球温暖化抑制を目指した実行可能な有機資源循環型「健康栽園」モデルであることを特徴とする有機資源循環方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−209222(P2009−209222A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51582(P2008−51582)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(508065112)
【出願人】(508065123)
【出願人】(502426496)
【Fターム(参考)】