説明

酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液の処理方法および処理装置

【課題】蒸留あるいは中和処理なしに、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液に含まれる過酸化水素を除去する、当該廃液の処理方法を提供する。
【解決手段】当該廃液に紫外線を照射し、含まれる過酸化水素を分解する照射工程と、照射工程を経た廃液の過酸化水素濃度を測定する測定工程と、測定工程で測定された過酸化水素濃度と当該濃度の基準値とを対比し、測定された濃度が基準値を超える場合に、(a)、(b)および(c)から選ばれる少なくとも一つを実施する制御工程とを含む方法とする。(a)照射工程を経た廃液の環流と、照射工程前の廃液に対する環流廃液の混合との開始、または当該環流および混合量の増加、(b)照射工程での廃液への紫外線照射条件の、過酸化水素の分解が促進される方向への変化、(c)照射工程前の廃液に対して、紫外線による過酸化水素の分解を促進する促進剤の添加の開始、または促進剤の添加量の増加。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液の処理方法および処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の製造工程から、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液が排出される。代表的な当該廃液は、硫酸、塩酸、フッ酸またはアンモニアに過酸化水素を加えた硫酸過水(SPM)、塩酸過水(HPM)、フッ酸過水(FPM)またはアンモニア過水(APM)を含む廃液である。酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液は、一般に、当該酸または塩基の中和処理を経た後、触媒、酵素剤、還元剤などを用いた過酸化水素の分解処理を経て放流される。
【0003】
廃液に含まれる酸および塩基は、再利用が望まれる。しかし、過酸化水素が廃液に含まれる場合、これを除去する必要があるため、その前に酸または塩基の中和処理が必須となる。中和処理を経た廃液から、酸および塩基の再利用はできない。このため、中和処理を実施することなく、廃液に含まれる過酸化水素を除去する方法の実現が望まれる。
【0004】
硫酸を含むSPMは、半導体素子の製造工程において150℃程度の高温で使用されることもあって、これまで、多量の水で希釈された状態で製造装置から排出されている。近年、製造装置が改良され、多量の水で希釈されることなく、すなわち有効酸濃度が高い状態で、装置から排出されるようになってきている。有効酸(塩基)濃度が高い廃液から、有効酸(塩基)濃度が高いまま酸(塩基)を再利用することは、半導体素子の製造コストの観点からも、環境保全の観点からも、非常に待ち望まれる技術である。
【0005】
特許文献1(特開平6-127908号公報)には、レジスト剥離装置から排出された、レジスト系有機物および過酸化水素を含む廃硫酸を硫酸に再生する硫酸再生装置が開示されている。特許文献1は、再生後の硫酸への有機物の混入を防ぐために、廃硫酸に含まれる有機物を除去することを課題としており、当該装置は、酸化剤および/または紫外線を用いて有機物を分解除去する有機物分解装置を備える。特許文献1には、当該再生装置において、過酸化水素などの酸化剤を廃硫酸に積極的に添加することによって、有機物を分解することが記載されている。
【0006】
特許文献1の再生装置において、廃硫酸に最初から含まれる過酸化水素ならびに有機物分解装置において添加された過酸化水素は、再生後の硫酸への混入を防ぐために、硫酸の沸点以下での蒸留(第1の蒸留塔)により除去される。第1の蒸留塔を経た硫酸は、より高温での蒸留(第2の蒸留塔)により純度が高められ、硫酸供給管を通してレジスト剥離装置に再供給される。すなわち、特許文献1の装置は第1および第2の二つの蒸留塔を備えるが、これは、有機物分解のために過酸化水素を積極的に添加することを前提としているためと、レジスト剥離装置および硫酸再生装置を含む硫酸の再生循環路を構築することにより、レジスト剥離工程に再生硫酸を連続的に供給するためと考えられる。特許文献1の装置は、特定の工程に再生硫酸を連続的に供給する目的のためには非常に優れた性能を発揮する。しかし、一方で、廃液中の酸および塩基の再生および再利用を、バッチで、あるいは再生循環路を構築することなく別の装置または場所において行う場合には、少なくとも二つの蒸留塔を備える当該装置の製造コストおよび運転コストが不必要に大きいことから、特許文献1の装置は不適である。そもそも、酸または塩基の沸点が過酸化水素の沸点よりも十分に大きくなければ、特許文献1の装置により、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液から過酸化水素を除去した後に、当該酸または塩基を再利用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6-127908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような事情を考慮し、本発明は、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液の処理方法および処理装置であって、過酸化水素の沸点に対する当該酸または塩基の沸点の関係によらないとともに、当該酸または塩基の中和処理を実施することなく、廃液に含まれる過酸化水素を分解、除去する処理方法および処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の処理方法は、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液の処理方法であって、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液に紫外線を照射して、前記廃液に含まれる過酸化水素を分解する照射工程と、前記照射工程を経た前記廃液における過酸化水素の濃度を測定する測定工程と、前記測定工程において測定された前記過酸化水素の濃度と、当該濃度の基準値とを対比して、前記測定された濃度が前記基準値を超える場合に、以下の(a)、(b)および(c)から選ばれる少なくとも一つを実施する、制御工程とを含む。(a)前記照射工程を経た前記廃液の少なくとも一部の環流と、前記照射工程が実施される前の前記廃液に対する、環流させた前記廃液の混合とを開始する、または前記環流および混合が既に行われているときに、前記照射工程を経た前記廃液の当該環流および混合の量を増加させる。(b)前記照射工程における前記廃液への紫外線の照射条件を、当該廃液に含まれる過酸化水素の分解が促進される方向に変化させる。(c)前記照射工程が実施される前の前記廃液に対して、紫外線の照射による過酸化水素の分解を促進する促進剤の添加を開始する、または前記添加が既に行われているときに、前記照射工程が実施される前の前記廃液に対する前記促進剤の添加の量を増加させる。
【0010】
本発明の処理装置は、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液の処理装置であって、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液に紫外線を照射する紫外線照射機構と、前記紫外線を照射した後の前記廃液における過酸化水素の濃度を測定する測定機構と、以下の(A)、(B)および(C)から選ばれる少なくとも一つとを備える。(A)前記紫外線を照射した後の前記廃液の少なくとも一部を環流させて、前記紫外線が照射される前の前記廃液に混合する環流機構、ならびに前記測定機構において測定された前記過酸化水素の濃度と、当該濃度の基準値とを対比して、前記測定された濃度が前記基準値を超える場合に、前記環流機構による前記環流および混合を開始するか、または前記環流および混合が既に行われているときに前記環流および混合させる前記廃液の量を増加させる、環流制御機構。(B)前記測定機構において測定された前記過酸化水素の濃度と、当該濃度の基準値とを対比して、前記測定された濃度が前記基準値を超える場合に、前記紫外線照射機構による前記廃液への紫外線の照射条件を、当該廃液に含まれる過酸化水素の分解が促進される方向に変化させる紫外線制御機構。(C)前記紫外線が照射される前の前記廃液に対して、紫外線の照射による過酸化水素の分解を促進する促進剤を添加する促進剤添加機構、ならびに前記測定機構において測定された前記過酸化水素の濃度と、当該濃度の基準値とを対比して、前記測定された濃度が前記基準値を超える場合に、前記促進剤添加機構による前記促進剤の添加を開始するか、または前記促進剤の添加が既に行われているときに前記促進剤を添加する量を増加させる、促進剤制御機構。
【発明の効果】
【0011】
本発明の処理方法および処理装置は、蒸留塔なしに、すなわち、過酸化水素の沸点に対する酸または塩基の沸点の関係によることなく、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液に含まれる過酸化水素を分解し、除去できる。これにより、本発明の処理方法および処理装置は、過酸化水素に比べて非常に高い沸点を有する硫酸だけではなく、過酸化水素と沸点が同程度以下である塩酸、フッ酸またはアンモニアを含む廃液にも適用できる。
【0012】
本発明の処理方法および処理装置は、触媒、酵素剤、還元剤などを用いて過酸化水素を分解する処理方法ならびに当該方法を採用する処理装置とは異なり、酸または塩基の中和処理を実施することなく、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液に含まれる過酸化水素を分解し、除去できる。
【0013】
本発明の処理方法および処理装置によれば、廃液に含まれる過酸化水素の低コストでの除去が可能となり、廃液に含まれる酸または塩基の再利用が低コストで実現される。さらに、本発明の処理方法によれば、有効酸(塩基)濃度を保ったまま、廃液に含まれる過酸化水素を除去できる。すなわち、本発明の処理方法は、有効酸(塩基)濃度が高い廃液から、当該濃度が高いまま酸または塩基を再利用する場合に、特に有利となる。
【0014】
本発明の処理方法および処理装置は、廃液に含まれる酸または塩基を再利用しない場合、例えば、処理後の廃液を放流する場合、にも好適に適用され、このときにも、当該廃液の処理が低コストとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の処理装置の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の処理装置において、廃液に紫外線を照射する処理槽の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の処理装置において、廃液に紫外線を照射する処理槽の別の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の処理装置の別の一例を示す模式図である。
【図5】本発明の処理装置のまた別の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の処理装置のさらにまた別の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の処理装置の上記とは別の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の処理装置の上記とはまた別の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の処理装置(酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液の処理装置)を図面に示しながら、当該装置および本発明の処理方法(酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液の処理方法)を説明する。
【0017】
図1に示す装置51は、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液1を、処理前に一時的に貯留する貯留槽12と、貯留槽12に廃液1を導入する導入管11と、廃液1に紫外線を照射する処理槽14と、廃液1を貯留槽12から処理槽14に送る配管13およびポンプPと、廃液1を処理槽14から装置51外に排出する排出管15と、排出管15の途中に設けられ、処理槽14を経た廃液1における過酸化水素の濃度を測定する測定装置18と、制御装置31と、を備える。制御装置31は、測定装置18で測定した当該濃度と当該濃度の基準値とを対比して、測定された濃度が基準値を超える場合に、処理槽14における廃液1への紫外線の照射条件を、廃液1に含まれる過酸化水素の分解が促進される方向に変化させる。装置51は、紫外線照射機構として処理槽14と、測定機構として測定装置18と、上記(B)の紫外線制御機構として制御装置31と、を備える。
【0018】
廃液1は、導入管11を通して貯留槽12に送られた後、ポンプPにより、配管13を通して処理槽14に送られる。処理槽14では、廃液1に紫外線を照射して当該廃液に含まれる過酸化水素を分解する工程(照射工程)が実施される。照射工程を経た廃液1は、排出管15を通して装置51外に送り出される。その際、排出管15の途中に設けられた測定装置18によって、照射工程を経た廃液1における過酸化水素の濃度が測定される(測定工程)。制御装置31は、測定装置18で測定した過酸化水素の濃度と当該濃度の基準値とを対比して、測定された濃度が基準値を超える場合に、処理槽14における廃液1への紫外線の照射条件を、廃液1に含まれる過酸化水素の分解が促進される方向に変化させる(制御工程)。
【0019】
装置51ならびに装置51において実施される上記処理方法では、廃液1に含まれる過酸化水素の分解・除去効率が向上する。さらに、この装置および方法では、処理すべき廃液1に含まれる過酸化水素の濃度が経時的に変化する場合にも、過酸化水素を安定して分解・除去できる。なお、排出管15を通して装置51から送り出された廃液1は、当業者が自由に取り扱うことができ、例えば、必要に応じてさらなる処理が施された後、貯蔵、再利用あるいは放流される。以降の図に示す装置52〜56においても同様である。
【0020】
制御装置31(制御工程)で対比される「基準値」は、装置51のユーザーが任意に設定できる。基準値は、例えば、廃液1からの酸または塩基の再利用時、あるいは廃液1の放流時に要求される過酸化水素の上限濃度である。上限濃度は、再利用時について、例えば100ppm、放流時について、例えば20ppmである。
【0021】
装置51ならびに装置51において実施される上記処理方法では、測定装置18によって測定された、照射工程を経た廃液1の過酸化水素の濃度が基準値を超える場合に、制御装置31によって、過酸化水素の分解が促進される方向に紫外線の照射条件を変化させる。ここで、装置51の具体的な構成によっては、紫外線の照射条件が変化してから実際にその効果が得られるまで、より具体的には、測定装置18によって測定される過酸化水素の濃度が下がり始め、基準値以下となるまでに、タイムラグが生じることがある。このようなときに、基準値を上記上限濃度に設定していると、一時的に当該上限濃度を超える過酸化水素濃度を有する廃液が装置51から排出されることがある。このような排出が問題となる場合には、上記上限濃度から一定の値を差し引いた濃度を、基準値としてもよい。
【0022】
制御装置31は、測定装置18において測定された廃液1における過酸化水素の濃度が当該濃度の基準値以下となった場合、処理槽14における廃液1への紫外線の照射条件を、廃液1に含まれる過酸化水素の分解が穏やかになる方向に変化させてもよい。
【0023】
制御する紫外線の照射条件は、例えば、単位量の廃液1に対する紫外線の照射量である。当該照射量は、例えば、廃液1が処理槽14を通過する時間を変化させたり、処理槽14において廃液1に照射する紫外線の強度を変化させたりすることで調整される。
【0024】
具体的には、上記制御工程において、測定工程で測定した過酸化水素の濃度と当該濃度の基準値とを対比して、測定された濃度が基準値を超える場合に、照射工程における単位量の廃液1に対する紫外線の照射量を多くする。制御装置31は、測定装置18で測定した過酸化水素の濃度と当該濃度の基準値とを対比して、測定された濃度が基準値を超える場合に、処理槽14による、単位量の廃液1への紫外線の照射量を多くする。
【0025】
装置51ならびに装置51において実施される上記方法では、測定工程において(測定装置18において)、照射工程を経た(処理槽14を経た)廃液1における過酸化水素の濃度を連続的に測定し、制御工程において(制御装置31において)、測定された当該濃度と基準値とを連続的に対比して、上述した紫外線の照射条件の変化を連続的に実施してもよい。この場合、廃液1に含まれる過酸化水素の分解・除去効率がさらに向上する。また、処理すべき廃液1に含まれる過酸化水素の濃度が経時的に変化する場合にも、当該変化に対する処理の追従性が向上し、過酸化水素のさらに安定した分解・除去が可能となる。
【0026】
本発明の処理方法および処理装置の対象となる廃液1は、酸または塩基と過酸化水素とを含む。廃液1は、例えば、半導体素子の製造工程、より具体的には、基板の洗浄工程またはレジスト剥離工程から排出される廃液である。廃液1は、半導体素子の製造装置から排出された後、直接、または一度貯留された後に、導入管11を通して貯留槽12に送られる。
【0027】
廃液1が含む酸は、例えば、硫酸、塩酸またはフッ酸である。廃液1が含む塩基は、例えば、アンモニアである。廃液1は、例えば、硫酸過水(SPM)、塩酸過水(HPM)、フッ酸過水(FPM)またはアンモニア過水(APM)を含む廃液である。
【0028】
処理槽14および照射工程では、廃液1に紫外線(UV)が照射され、以下の式(1)に示す過酸化水素の分解反応が進行する。式(1)における「・OH」は、ヒドロキシラジカルである。
【0029】
22 +(UV照射)→ 2(・OH) → ・OH+1/2(H22) (1)
【0030】
式(1)に示すように、廃液1に紫外線が照射されると、当該廃液1に含まれる過酸化水素が分解してヒドロキシラジカルが発生する。発生したヒドロキシラジカルのうち、およそ半分のヒドロキシラジカルは過酸化水素に戻るが、残りのヒドロキシラジカルは、当該ラジカル同士あるいは廃液中に含まれる物質と反応し、消滅する。紫外線の照射により、当該反応と式(1)に示す分解反応とが繰り返されることで、過酸化水素は、最終的に水と酸素とに分解される。廃液中に有機物、例えばレジスト剥離工程から排出されたレジスト材料、が含まれる場合、ヒドロキシラジカルが当該有機物を分解して、炭酸ガスがさらに発生することがある。
【0031】
廃液1に照射する紫外線の波長は、100〜280nmが好ましい。この波長域の紫外線の光源には、例えば、水銀灯、エキシマレーザー、発光ダイオード(LED)を利用できる。
【0032】
照射工程における廃液1の温度は、限定されない。廃液1に含まれる酸または塩基の種類によって調整でき、例えば酸が硫酸である場合、10〜50℃程度が好ましい。
【0033】
処理槽14の構造は、当該槽14内の廃液1に紫外線を照射できる限り限定されない。処理槽14の例を、図2,3に示す。
【0034】
図2に示す処理槽14Aは、最も単純な構造を有する処理槽の一種である。処理槽14Aの内部は、配管13を通して処理槽14Aに送られた廃液1が滞留する空間になっている。廃液1は、処理槽14Aの内部で、設定された高さの液面を保っている。処理槽14A内の上部、廃液1の液面から露出した位置に、紫外線の光源41が配置されている。処理槽14Aの内部には隔壁43が配置されており、隔壁43の配置によって、廃液1の処理槽14Aへの滞留時間を長くするとともに、廃液1にできるだけ均一に紫外線が照射されるように工夫されている。配管13を通して処理槽14Aに送られた廃液1は、処理槽14Aの内部に滞留する間に光源41からの紫外線の照射を受けた後、処理槽14Aに接続された排出管15を通して当該槽14Aから送り出される。このような処理槽14Aを備える装置51は、低コストで構築できる。なお、処理槽14Aの内壁面は、紫外線を効率よく反射する処理、例えば鏡面処理、が施されていることが好ましい。
【0035】
処理槽14Aにおいて、廃液1への紫外線の照射条件は、例えば、以下のように制御できる:廃液1が処理槽14Aを通過する時間を調整する。この調整は、ポンプPの出力を変化させることで実行できる;廃液1に照射する紫外線の強度を変化させる。例えば、2以上の光源41を有する処理槽14Aとし、点灯させる光源41の数を変化させる;処理槽14A内における廃液1の液面の高さを調整する。この調整は、処理槽14Aに送り込む廃液1の量と、処理槽14Aから送り出す廃液1の量とのバランスを変化させることで実行できる。
【0036】
図3に示す処理槽14Bは、廃液1が流通する配管42を内部に備える。配管42の一方の端部は、廃液1を処理槽14Bに送る配管13に接続されている。配管42の他方の端部は、紫外線照射後の廃液1を処理槽14Bから送り出す排出管15に接続されている。さらに、処理槽14Bは、配管42の外壁面に沿うように複数配置された紫外線の光源41を備える。配管42は、紫外線を透過する材料、例えばポリテトラフルオロエチレン、から構成されている。
【0037】
配管13を通して処理槽14Bに送られた廃液1は、そのまま処理槽14Bの配管42内を流れる。その際、光源41からの紫外線が配管42を透過して廃液1に照射され、廃液1に含まれる過酸化水素が分解される。その後、廃液1は、配管42に接続された排出管15を通して処理槽14Bから送り出される。処理槽14Bでは、紫外線の光源41と廃液1との距離を小さく保つことができるため、廃液1に含まれる過酸化水素を分解する効率が高くなる。これに加えて、配管42の径および形状、光源41の種類および配置の形態ならびに処理槽14B内における配管42の経路を適切に選択、設計することにより、廃液1に含まれる過酸化水素を分解する効率がさらに向上する。
【0038】
処理槽14Bにおいて、廃液1への紫外線の照射条件は、例えば、以下のように制御できる:廃液1が処理槽14Bを通過する時間を調整する。この調整は、ポンプPの出力を変化させたり、バルブなどを用いて廃液1が通過する配管42の長さを変化させることで実行できる;廃液1に照射する紫外線の強度を変化させる。例えば、2以上の光源41を有する処理槽14Bとし、点灯させる光源41の数を変化させる。
【0039】
配管42は、通常、図3に示すように、屈曲した状態で処理槽14B内に配置される。これにより、処理槽14Bのコンパクト化を図ることができる。さらに、光源41の配置の形態によっては、1つの光源41によって、複数の配管42を流れる廃液1に同時に紫外線を照射できる。
【0040】
処理槽14Bでは、配管42を構成する材料の種類を適切に選択することによって、廃液1に含まれる酸または塩基による処理槽14Bの腐食が抑えられ、廃液1の処理コストおよび装置51のメンテナンスコストが低くなる。これに加えて、処理槽14Bの腐食による廃液1への不純物の混入が減り、純度が高い酸または塩基の再利用が容易となる。酸および塩基のなかでも硫酸の腐食性が特に強いため、処理槽14Bは、廃液1が硫酸を含む場合に好適である。硫酸を含む廃液1を処理する場合、配管42は、紫外線を透過する樹脂、例えばポリテトラフルオロエチレン、により構成されることが好ましい。
【0041】
処理槽14Bの内壁面に対して、紫外線を効率よく反射する処理、例えば鏡面処理、が施されていることが好ましい。
【0042】
本発明の処理方法における照射工程は、廃液1への紫外線の照射によって廃液1に含まれる過酸化水素が分解できる限り、任意の装置を用い、必要に応じて当該装置を組み合わせて、実施できる。当該装置は、図2,3に示す処理槽14A,14Bに限定されない。
【0043】
測定装置18は、例えば、過酸化水素センサーである。
【0044】
本発明の処理方法における測定工程は、溶液中の過酸化水素の濃度を測定する公知の方法、例えば、滴定法、UV吸収法、近赤外吸収法を応用して実施できる。硫酸を含む廃液あるいはアンモニアを含む廃液の場合、過酸化水素の濃度を直接測定するだけではなく、廃液1の化学的酸素要求量(COD)を測定し、測定したCOD値を換算して過酸化水素の濃度としてもよい。
【0045】
測定装置18および制御装置31を用いた紫外線の照射条件の制御は、当業者であれば、適宜、構築できる。
【0046】
図4に、本発明の処理装置の別の一例を示す。図4に示す装置52は、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液1を、処理前に一時的に貯留する貯留槽12と、貯留槽12に廃液1を導入する導入管11と、廃液1に紫外線を照射する処理槽14と、廃液1を貯留槽12から処理槽14に送る配管13およびポンプPと、廃液1を処理槽14から装置51外に排出する排出管15と、排出管15の途中に設けられ、処理槽14を経た廃液1における過酸化水素の濃度を測定する測定装置18と、排出管15の途中に設けられ、処理槽14を経た廃液1の少なくとも一部を排出管15から分岐させるバルブ16と、バルブ16において分岐させた廃液1を貯留槽12に環流させ、紫外線が照射される前の廃液1に混合する環流管17と、制御装置32と、を備える。制御装置32は、測定装置18で測定した当該濃度と当該濃度の基準値とを対比して、測定された濃度が基準値を超える場合に、バルブ16の作動を制御し、処理槽14を経た廃液1を環流管17を通して貯留槽12に環流させ、貯留槽12内の廃液1に混合させる量を制御する。より具体的には、当該場合に、バルブ16および環流管17による当該環流および混合を開始するか、または、当該環流および混合が既に行われているときに当該環流および混合させる廃液1の量を増加させる。装置52は、紫外線照射機構として処理槽14と、測定機構として測定装置18と、上記(A)の環流機構としてバルブ16および環流管17と、上記(A)の環流制御機構として制御装置32と、を備える。
【0047】
廃液1は、導入管11を通して貯留槽12に送られた後、ポンプPにより、配管13を通して処理槽14に送られる。処理槽14では、廃液1に紫外線を照射して当該廃液に含まれる過酸化水素を分解する工程(照射工程)が実施される。照射工程を経た廃液1は、排出管15を通して装置51外に送り出される。その際、排出管15の途中に設けられた測定装置18によって、照射工程を経た廃液1における過酸化水素の濃度が測定される(測定工程)。制御装置32は、上述した制御を行う(制御工程)。
【0048】
装置52の起動時、あるいは貯留槽12内の廃液1に含まれる過酸化水素の濃度が高くなった場合に、処理槽14における過酸化水素の分解・除去が、望むレベルにまで達しないことがある。このとき、装置52ならびに装置52において実施される上記処理方法では、バルブ16を作動させて、処理槽14から送り出された廃液の少なくとも一部を貯留槽12に環流させ、貯留槽12内の廃液1における過酸化水素の濃度を低減させるとともに、環流させた廃液1に対して再度の照射工程を実施できる。すなわち、廃液1に含まれる過酸化水素の分解がより確実になる。
【0049】
制御装置32(制御工程)で対比される「基準値」は、装置52のユーザーが任意に設定できる。基準値は、例えば、廃液1からの酸または塩基の再利用時、あるいは廃液1の放流時に要求される過酸化水素の上限濃度である。
【0050】
装置52ならびに装置52において実施される上記処理方法では、測定装置18によって測定された、照射工程を経た廃液1の過酸化水素の濃度が基準値を超える場合に、制御装置32によって、環流機構による廃液1の環流・混合が始まるか、あるいは廃液1の環流・混合量が増加させられる。ここで、装置52の具体的な構成によっては、廃液1の環流・混合が始まってから、あるいは廃液1の環流・混合量が増加してから実際にその効果が得られるまで、より具体的には、測定装置18によって測定される過酸化水素の濃度が下がり始め、基準値以下となるまでに、タイムラグが生じることがある。このようなときに、基準値を上記上限濃度に設定していると、一時的に当該上限濃度を超える過酸化水素濃度を有する廃液が装置52から排出されることがある。このような排出が問題となる場合には、上記上限濃度から一定の値を差し引いた濃度を、基準値としてもよい。
【0051】
制御装置32は、測定装置18において測定された廃液1における過酸化水素の濃度が当該濃度の基準値以下となった場合、環流機構による廃液1の環流・混合量を減少させてもよく、環流・混合を停止してもよい。
【0052】
装置52ならびに装置52において実施される上記方法では、環流機構による廃液1の環流・混合量はゼロでありうるし、常に環流・混合が行われてもよい。
【0053】
装置52ならびに装置52において実施される上記方法では、測定工程において(測定装置18において)、照射工程を経た(処理槽14を経た)廃液1における過酸化水素の濃度を連続的に測定し、制御工程において(制御装置32において)、測定された当該濃度と基準値とを連続的に対比して、上述した廃液1の環流・混合を連続的に制御してもよい。この場合、処理すべき廃液1に含まれる過酸化水素の濃度が経時的に変化する場合にも、当該変化に対する処理の追従性が向上し、過酸化水素のさらに安定した分解・除去が可能となる。
【0054】
環流機構は、図4に示すバルブ16および環流管17に限定されない。廃液1の環流先は貯留槽12に限定されない。照射工程が実施される前の廃液1に、環流した廃液1を混合すればよい。
【0055】
測定装置18および制御装置32を用いた廃液1の環流量の制御は、当業者であれば、適宜、構築できる。
【0056】
図5に、本発明の処理装置の別の一例を示す。図5に示す装置53は、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液1を、処理前に一時的に貯留する貯留槽12と、貯留槽12に廃液1を導入する導入管11と、廃液1に紫外線を照射する処理槽14と、廃液1を貯留槽12から処理槽14に送る配管13およびポンプPと、廃液1を処理槽14から装置51外に排出する排出管15と、排出管15の途中に設けられ、処理槽14を経た廃液1における過酸化水素の濃度を測定する測定装置18と、紫外線の照射による過酸化水素の分解を促進する促進剤2を、紫外線が照射される前の廃液1に添加する促進剤槽21と、促進剤2の添加量を調整するバルブ19と、制御装置33と、を備える。制御装置33は、測定装置18で測定した当該濃度と当該濃度の基準値とを対比して、測定された濃度が基準値を超える場合に、バルブ19の作動を制御し、廃液1への促進剤2の添加量を制御する。より具体的には、当該場合に、バルブ19および促進剤槽21による促進剤2の添加を開始するか、または、当該添加が既に行われているときに廃液1への促進剤2の添加量を増加させる。促進剤槽21は貯留槽12に接続されており、促進剤2は、貯留槽12内の廃液1に添加される。装置53は、紫外線照射機構として処理槽14と、測定機構として測定装置18と、上記(C)の促進剤添加機構としてバルブ19および促進剤槽21と、上記(C)の促進剤制御機構として制御装置33と、を備える。
【0057】
廃液1は、導入管11を通して貯留槽12に送られた後、ポンプPにより、配管13を通して処理槽14に送られる。処理槽14では、廃液1に紫外線を照射して当該廃液に含まれる過酸化水素を分解する工程(照射工程)が実施される。貯留槽12において廃液1に促進剤2が添加されていれば、促進剤2が混合した廃液1に対して照射工程が実施される。照射工程を経た廃液1は、排出管15を通して装置51外に送り出される。その際、排出管15の途中に設けられた測定装置18によって、照射工程を経た廃液1における過酸化水素の濃度が測定される(測定工程)。制御装置33は、上述した制御を行う(制御工程)。
【0058】
装置53の起動時、あるいは貯留槽12内の廃液1に含まれる過酸化水素の濃度が高くなった場合に、処理槽14における過酸化水素の分解・除去が、望むレベルにまで達しないことがある。このとき、装置53ならびに装置53において実施される上記処理方法では、バルブ19を作動させて、促進剤槽21から促進剤2を廃液1に添加し、促進剤2が混合した廃液1に紫外線を照射して、照射工程を実施できる。すなわち、廃液1に含まれる過酸化水素の分解がより確実になる。
【0059】
制御装置33(制御工程)で対比される「基準値」は、装置53のユーザーが任意に設定できる。基準値は、例えば、廃液1からの酸または塩基の再利用時、あるいは廃液1の放流時に要求される過酸化水素の上限濃度である。
【0060】
装置53ならびに装置53において実施される上記処理方法では、測定装置18によって測定された、照射工程を経た廃液1の過酸化水素の濃度が基準値を超える場合に、制御装置33によって、促進剤添加機構による促進剤2の添加が始まるか、あるいは促進剤2の添加量が増加させられる。ここで、装置53の具体的な構成によっては、促進剤2の添加が始まってから、あるいは促進剤2の添加量が増加してから実際にその効果が得られるまで、より具体的には、測定装置18によって測定される過酸化水素の濃度が下がり始め、基準値以下となるまでに、タイムラグが生じることがある。このようなときに、基準値を上記上限濃度に設定していると、一時的に当該上限濃度を超える過酸化水素濃度を有する廃液が装置53から排出されることがある。このような排出が問題となる場合には、上記上限濃度から一定の値を差し引いた濃度を、基準値としてもよい。
【0061】
装置53ならびに装置53において実施される上記方法では、促進剤2の添加量はゼロでありうるし、常に促進剤2の添加が行われてもよい。
【0062】
装置53ならびに装置53において実施される上記方法では、測定工程において(測定装置18において)、照射工程を経た(処理槽14を経た)廃液1における過酸化水素の濃度を連続的に測定し、制御工程において(制御装置33において)、測定された当該濃度と基準値とを連続的に対比して、上述した促進剤2の添加を連続的に制御してもよい。この場合、処理すべき廃液1に含まれる過酸化水素の濃度が経時的に変化する場合にも、当該変化に対する処理の追従性が向上し、過酸化水素のさらに安定した分解・除去が可能となる。
【0063】
促進剤2は、特に限定されない。促進剤2は、過酸化水素を消費する物質、または紫外線の照射によって過酸化水素が分解して生じたヒドロキシラジカル(・OH)を消費する物質を含む。促進剤2は、例えばオゾンである。オゾンは、ヒドロキシラジカルを消費する。
【0064】
紫外線の照射によって過酸化水素が分解して生じたヒドロキシラジカル(・OH)は有機物を分解する。すなわち、有機物によっても、ヒドロキシラジカル(・OH)は消費される。このため、促進剤2は、有機物を含んでいてもよく、具体的には、有機物を含む溶液であってもよい。有機物は、例えば、有機溶剤、樹脂であり、樹脂には、半導体素子の製造工程から排出されるレジスト材料が含まれる。
【0065】
促進剤2が有機物を含む場合、廃液1に含まれる酸または塩基の再利用を考慮すると、当該有機物の量は、照射工程においてヒドロキシラジカルとの反応によってほぼ消費される程度の量が好ましい。当該量は、濃度にして数ppm程度である。処理すべき廃液1がレジスト剥離工程から排出された廃液であるなど、最初から有機物を含む場合、有機物を含む促進剤2を添加した後の廃液1における有機物の濃度に注意することが好ましい。もちろん、本発明の処理方法または処理装置を経た廃液に有機物が含まれることが問題とならない場合には、単にヒドロキシラジカルを消費して過酸化水素の分解を促進させることに着目して、有機物を含む促進剤2を用いうる。
【0066】
促進剤2は、廃液1への紫外線の照射が完了する前の任意の時点で、処理すべき廃液1に添加できる。例えば、図6に示す装置54では、貯留槽12と処理槽14との間において、廃液1に促進剤2が添加される。図7に示す装置55では、処理槽14内の廃液1に促進剤2が添加される。
【0067】
本発明の処理方法は、上記(a)〜(c)の各々を実施する制御工程を、任意の組み合わせで含んでもよい。本発明の処理方法は、上記(a)〜(c)の全てを実施する制御工程を含んでもよい。このような処理方法を実施する本発明の処理装置の一例を図8に示す。図8の装置56は、紫外線照射機構と、測定機構と、上記(A)〜(C)の全ての機構と、を備える。図8の符号34は、環流制御機構、紫外線制御機構および促進剤制御機構を兼ねる制御装置である。
【0068】
本発明の処理装置は、上記(A)〜(C)の機構を、任意の組み合わせで備えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の処理方法および処理装置は、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液における過酸化水素を分解・除去して、当該酸または塩基の再利用を可能とする。本発明の処理方法および処理装置により、例えば、半導体素子の製造コストの低減および環境保全を図ることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 廃液
2 促進剤
11 導入管
12 貯留槽
13 配管
14、14A、14B 処理槽
15 排出管
16 バルブ
17 環流管
18 測定装置
19 バルブ
21 促進剤槽
31,32,33,34 制御装置
41 (紫外線の)光源
42 配管
51,52,53,54,55,56 (廃液処理)装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液に紫外線を照射して、前記廃液に含まれる過酸化水素を分解する照射工程と、
前記照射工程を経た前記廃液における過酸化水素の濃度を測定する測定工程と、
前記測定工程において測定された前記過酸化水素の濃度と、当該濃度の基準値とを対比して、前記測定された濃度が前記基準値を超える場合に、以下の(a)、(b)および(c)から選ばれる少なくとも一つを実施する、制御工程と、
を含む、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液の処理方法。
(a)前記照射工程を経た前記廃液の少なくとも一部の環流と、前記照射工程が実施される前の前記廃液に対する、環流させた前記廃液の混合と、を開始する、または
前記環流および混合が既に行われているときに、前記照射工程を経た前記廃液の当該環流および混合の量を増加させる、
(b)前記照射工程における前記廃液への紫外線の照射条件を、当該廃液に含まれる過酸化水素の分解が促進される方向に変化させる、
(c)前記照射工程が実施される前の前記廃液に対して、紫外線の照射による過酸化水素の分解を促進する促進剤の添加を開始する、または
前記添加が既に行われているときに、前記照射工程が実施される前の前記廃液に対する前記促進剤の添加の量を増加させる。
【請求項2】
前記(b)が、
前記照射工程において、単位量の前記廃液に対する紫外線の照射量を多くする、である請求項1に記載の処理方法。
【請求項3】
前記促進剤が、有機物を含む溶液またはオゾンである請求項1に記載の処理方法。
【請求項4】
前記酸が、硫酸、塩酸またはフッ酸である請求項1に記載の処理方法。
【請求項5】
前記塩基が、アンモニアである請求項1に記載の処理方法。
【請求項6】
酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液に紫外線を照射する紫外線照射機構と、
前記紫外線を照射した後の前記廃液における過酸化水素の濃度を測定する測定機構と、
以下の(A)、(B)および(C)から選ばれる少なくとも一つと、を備える、酸または塩基と過酸化水素とを含む廃液の処理装置。
(A)前記紫外線を照射した後の前記廃液の少なくとも一部を環流させて、前記紫外線が照射される前の前記廃液に混合する環流機構、ならびに
前記測定機構において測定された前記過酸化水素の濃度と、当該濃度の基準値とを対比して、前記測定された濃度が前記基準値を超える場合に、
前記環流機構による前記環流および混合を開始するか、または前記環流および混合が既に行われているときに前記環流および混合させる前記廃液の量を増加させる、環流制御機構、
(B)前記測定機構において測定された前記過酸化水素の濃度と、当該濃度の基準値とを対比して、前記測定された濃度が前記基準値を超える場合に、
前記紫外線照射機構による前記廃液への紫外線の照射条件を、当該廃液に含まれる過酸化水素の分解が促進される方向に変化させる紫外線制御機構、
(C)前記紫外線が照射される前の前記廃液に対して、紫外線の照射による過酸化水素の分解を促進する促進剤を添加する促進剤添加機構、ならびに
前記測定機構において測定された前記過酸化水素の濃度と、当該濃度の基準値とを対比して、前記測定された濃度が前記基準値を超える場合に、
前記促進剤添加機構による前記促進剤の添加を開始するか、または前記促進剤の添加が既に行われているときに前記促進剤を添加する量を増加させる、促進剤制御機構。
【請求項7】
前記紫外線の照射条件が、単位量の前記廃液に対する紫外線の照射量であり、
前記紫外線制御機構は、前記測定された濃度が前記基準値を超える場合に、前記紫外線照射機構による当該紫外線の照射量を多くする、請求項6に記載の処理装置。
【請求項8】
前記促進剤が、有機物を含む溶液またはオゾンである請求項6に記載の処理装置。
【請求項9】
前記酸が、硫酸、塩酸またはフッ酸である請求項6に記載の処理装置。
【請求項10】
前記塩基が、アンモニアである請求項6に記載の処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−206637(P2011−206637A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74592(P2010−74592)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】