説明

酸化フッ化物に基づく固溶体蛍光体および固体白色光用途のために蛍光体を含む白色発光ダイオード

本発明は、固溶体を介したSrAlOF酸化フッ化物に基づく緑色発光および黄色発光蛍光体、ならびに蛍光体を含む白色発光ダイオード(LED)を説明する。本発明においては、SrAlOFとSrSiOとの間の固溶体系と、SrAlOFとGdSrAlOとの間の固溶体系とを含む、蛍光体組成物を開示する。蛍光体組成物を使用する白色発光LEDも開示される。また、本発明においては、上記の蛍光体組成物を製造する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、同時係属中の同一譲受人に譲渡された米国仮特許出願第61/256,830号(名称「SOLID SOLUTION PHOSPHORS BASED ON OXYFLUORIDE AND WHITE LIGHT EMITTING DIODES INCLUDING THE PHOSPHORS FOR SOLID WHITE LIGHTING APPLICATIONS」、2009年10月30日にWon−Bin Im、Ram SeshadriおよびSteven P. DenBaarsにより出願、代理人整理番号30794.327−US−P1)に対して米国特許法第119(e)の下に優先権を主張し、上記仮特許出願は本明細書において参考として援用される。
【0002】
本願は、以下の同時係属中の同一譲受人に譲渡された米国特許出願に関連する:
米国特許出願第12/816,939号(2010年6月16日にWon−Bin Im、Ram SeshadriおよびSteven P. DenBaarsにより出願、名称「OXYFLUORIDE PHOSPHORS AND WHITE LIGHT EMITTING DIODES INCLUDING THE OXYFLUORIDE PHOSPHOR FOR SOLID−STATE LIGHTING APPLICATIONS」、代理人整理番号30794.316−US−U1(2009−704−2))、この米国特許出願は、同時係属中の同一譲受人に譲渡された米国仮特許出願第61/187,411号(2009年6月16日にWon−Bin Im、Ram SeshadriおよびSteven P. DenBaarsにより出願、名称「OXYFLUORIDE PHOSPHORS AND WHITE LIGHT EMITTING DIODES INCLUDING THE OXYFLUORIDE PHOSPHOR FOR SOLID−STATE LIGHTING APPLICATIONS」、代理人整理番号30794.316−US−P1 (2009−704−1))に対して米国特許法第119(e)の下に優先権を主張している;
米国特許出願第12/394,492号(2009年2月27日にWon−Bin Im、Ram SeshadriおよびSteven P. DenBaarsにより出願、名称「YELLOW EMITTING PHOSPHORS BASED ON Ce3+−DOPED ALUMINATE AND VIA SOLID SOLUTION FOR SOLID−STATE LIGHTING APPLICATIONS」、代理人整理番号30794.262−US−U1(2008−434))、この米国特許出願は、同時係属中の同一譲受人に譲渡された以下の出願の利益を米国特許法第119(e)の下に主張する:
米国仮特許出願第61/067,297号(2008年2月27日にWon−Bin Im、Ram SeshadriおよびSteven P. DenBaarsにより出願、名称「YELLOW EMITTING Ce3+−DOPED ALUMINATE PHOSPHOR AND WHITE LIGHT EMITTING DIODES INCLUDING Ce3+−DOPED ALUMINATE PHOSPHOR FOR SOLID−STATE LIGHTING APPLICATIONS」、代理人整理番号30794.262−US−P1 (2008−434−1))および、
米国仮特許出願第61/074,281(2008年6月20日にWon−Bin Im、Ram SeshadriおよびSteven P. DenBaarsにより出願、名称「NEW YELLOW−EMITTING PHOSPHORS VIA SOLID SOLUTION AND WHITE LIGHT EMITTING DIODES INCLUDING NEW YELLOW−EMITTING PHOSPHOR FOR SOLID−STATE LIGHTING APPLICATIONS」、代理人整理番号30794.276−US−P1 (2008−540−1))、上記の出願の全てが本明細書において参考として援用される。
【0003】
本発明は、新しい緑色発光および黄色発光蛍光体粉末、ならびに固溶体蛍光体を含む白色発光ダイオード(LED)を提供することに関する。
【背景技術】
【0004】
(注記:本願は、括弧内の1つ以上の参照番号(例えば、参考文献[x])によって、本明細書を通して指示されるように、いくつかの異なる刊行物を参照する。このような参照番号に従って順序付けられたこれらの異なる刊行物の一覧は、以下の「参考文献」の項に列挙される。これらの刊行物はそれぞれ、参考として本明細書に援用される)。
【0005】
白色光を生成するために、最新の市販LEDランプは、そのような組み合わせが提供する卓越した効率により、青色InGaNダイオードによって励起される黄色発光YAG:Ce3+蛍光体を採用する[1−3(非特許文献1〜3)]。しかしながら、YAG:Ce3+蛍光体は、赤色スペクトル領域中で比較的弱い発光を有し、その結果として、演色能力がまだ向上されていない[4−6]。加えて、YAG:Ce3+蛍光体からの出力色は、温度および電流に強く依存し、高出力LEDにおいて有意な問題となる[7]。これらの欠点を克服するため、また、知的財産と関連する問題を回避するためにも、青色のポンピングされたLED用途のための新しい黄色発光蛍光体[8−11]を開発するように、ならびに既存のシステムを最適化するように、世界中に広範囲の努力が存在する。
【0006】
残念ながら、YAG:Ce3+を例外として、長紫外線(UV)または青色励起源用の蛍光体材料がほとんどない。今まで、YAG:Ce3+蛍光体に取って代わる、競合する黄色蛍光体は見出されていない。赤色スペクトル領域中の蛍光体の効率および演色性に関して、新しい蛍光体を開発する必要がある。
【0007】
したがって、この問題に対処するために、新しい蛍光体が固体照明に必要とされる。本発明は、近UV−LED(ピーク発光波長λmax=395および405nm)および赤色発光蛍光体、または近UV−LEDおよび緑橙色蛍光体、または近UV−LEDおよび黄色蛍光体を組み合わせることによる、白色光生成に使用することができる。本発明はまた、青色LEDおよび黄色蛍光体、または青色LEDおよび緑黄色蛍光体、または青色LEDおよび黄赤色蛍光体を組み合わせることによる、白色光生成にも使用することができる。この目的で、多数の異なる用途がある。
【0008】
本発明では、端成分のうちの1つである、MSiO(M=Ca、Sr、Ba)が、Blasseら[12]によってEu2+イオン用の蛍光体材料として開発され、次いで、Jangら[13]および特許[14、15]が、LED用途を報告した(それぞれ、韓国特許第2007−98275号およびPCT/2009/0085467)。したがって、本開示では、本発明は、SrAlOFとSrSiO,(Sr3−x−yAR)(Al1−(z+u)IIISi)O4+z1−z:Ce3+との間の固溶体系においてz=1.0に対応する、SrSiOという端成分を対象としない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】D.Haranath、H.Chander、P.Sharma、S.Singh、Appl.Phys.Lett.2006,89,173118
【非特許文献2】C.−H.Lu、R.Jagannathan、Appl.Phys.Lett.2002,80,3608
【非特許文献3】R.Kasuya、A.Kawano、T.Isobe、H.Kuma、J.Katano、Appl.Phys.Lett.2007,91,111916
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記で説明される従来技術での制限を克服するため、および本明細書を読んで理解すると明白となる他の制限を克服するために、本発明は、固溶体を介したSrAlOF酸化フッ化物に基づく緑色発光および黄色発光蛍光体、ならびに蛍光体を含む白色発光ダイオード(LED)を説明する。3つの明確に異なる体系の魅力的な性質のうちのいくつかを組み合わせようとして、本発明は、固溶体を介してほぼ同形のホスト化合物間で2種類の固溶体系を合成した。
【0011】
(i)SrAlOFとSrSiOとの間の固溶体系。緑色発光蛍光体は、(Sr3−x−yAR)(Al1−(z+u)IIISi)O4+z1−z:Ce3+として表され、式中、0<x≦0.3であり、0≦y≦1であり、0<z<1であり、0<z+u<1であり、ARは、周期表中のアルカリ土類金属から選択される、少なくとも1つの元素、例えば、Mg、Ca、およびBaを含み、IIIは、Al、B、およびGaから選択される少なくとも1つの原子を含む。
【0012】
一実施形態では、x、y、z、およびuは、蛍光体組成物が、430nmから760nmの間の波長と、例えば、蛍光体を光学的にポンピングするLEDによって、365nmから450nmの間の波長を有する青色光または紫外線光によって励起されるときに緑色光であるピーク波長とを有する、光を発するようなものであり、ピーク波長は、x、y、z、およびuを変化させることによって同調可能である。別の実施形態では、x、y、z、およびuは、蛍光体が、黄色蛍光体、緑橙色蛍光体、黄赤色蛍光体等の1つ以上の付加的な蛍光体と組み合わせた白色光用途に使用されるようなものである。好ましくは、蛍光体組成物は、固溶体形態であり、固溶体の量は、発せられる光のピーク波長を決定する。
【0013】
蛍光体組成物は、励起放射線を吸収し、それを蛍光体組成物中の活性剤に移送する、増感剤および電荷補償剤として吸収イオンを含んでもよく、蛍光体組成物は、励起放射線の波長よりも長い波長を有する光を発し、増感剤は、電荷補償のために、Li、Na、およびKから選択される1つ以上のイオンを含む。
【0014】
蛍光体組成物を製造するための方法は、混合物を形成するように、化学量論量でCaCO、SrCO、BaCO、Al、SiO、SrF、BaF、およびCeOを混合するステップと、蛍光体組成物を形成するように、還元雰囲気中で1000〜1700℃の間で混合物を加熱するステップとを含む。加熱するステップは、混合物を1回だけ加熱するステップと比較して、蛍光組成物のより高い結晶化度を達成するように、混合物を2回以上加熱し、それにより、蛍光体組成物の1つ以上の光学特性を強化するステップを含んでもよい。還元雰囲気は、窒素および水素の両方を有するガス混合物を供給することによって提供され、水素は、ガス混合物中の水素の容量が、ガス混合物の容量の2〜25%であるように、2〜25容量%である。
【0015】
(ii)SrAlOFとGdSrAlOとの間の固溶体系。(Sr3−(a+b+c)ARGdc−dLn)AlO4+c1−c:Ce3+として表される、緑色発光および黄色発光蛍光体であって、式中、0<a≦0.3であり、0≦b≦3であり、0<c<1であり、0<d<1であり、0<c−d<1であり、0<a+b+c<3であり、ARは、周期表中のアルカリ土類金属から選択される少なくとも1つの元素、例えば、Mg、Ca、およびBaを含み、Lnは、周期表上のランタニドから選択される少なくとも1つの原子、例えば、La、Tb、およびYを含む。
【0016】
一実施形態では、a、b、c、およびdは、蛍光体組成物が、430nmから760nmの間の波長と、例えば、蛍光体を光学的にポンピングするLEDによって、370nmから450nmの間の波長を有する青色光または紫外線光によって励起されるときに黄色光または緑色光であるピーク波長とを有する、光を発するようなものであり、ピーク波長は、x、y、z、およびuを変化させることによって同調可能である。別の実施形態では、a、b、c、およびdは、蛍光体組成物が、黄色蛍光体、緑橙色蛍光体、黄赤色蛍光体等の1つ以上の付加的な蛍光体と組み合わせた白色光用途に使用されるようなものであり、LEDは、蛍光体組成物および付加的な蛍光体を光学的にポンピングする。好ましくは、蛍光体組成物は、固溶体形態であり、固溶体の量は、発せられる光のピーク波長を決定する。
【0017】
蛍光体組成物は、励起放射線を吸収し、それを蛍光体組成物中の活性剤に移送する、増感剤および電荷補償剤として吸収イオンを含んでもよく、蛍光体組成物は、励起放射線の波長よりも長い波長を有する光を発し、増感剤は、電荷補償のために、Li、Na、およびKから選択される1つ以上のイオンを含む。
【0018】
蛍光体組成物を製造するための方法は、混合物を形成するように、化学量論量でSrCO、Gd、Al、SrF、BaF、およびCeOを混合するステップと、蛍光体組成物を形成するように、還元雰囲気中で1000〜1700℃の間で混合物を加熱するステップとを含む。加熱するステップは、混合物を1回だけ加熱するステップと比較して、蛍光組成物のより高い結晶化度を達成するように、混合物を2回以上加熱し、それにより、蛍光体組成物の1つ以上の光学特性を強化するステップを含んでもよい。還元雰囲気は、窒素および水素の両方を有するガス混合物を供給することによって提供され、水素は、ガス混合物中の水素の容量が、ガス混合物の容量の2〜25%であるように、2〜25容量%である。
【0019】
両方の場合において、本発明に基づく蛍光体は、既存のInGaNベースの青色LEDおよびGaNベースの長波長UV LEDによって励起されたときに、430〜760nmの広帯域発光を示した。本発明に基づく固溶体系蛍光体を使用して、これらのLEDは、固体照明に、または液体ディスプレイ用のバックライト源として使用されるときに、白色照明の広いスペクトル範囲および高い効率とともに、良好な演色性を提供すると見込まれる。
【0020】
次に、図面を参照する(同一参照番号は、全体を通して、対応する部分を表す)。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、単位セルの[010]方向から見た、固溶体系中の端成分化合物の構造の図を示し、図1(a)はSrAlOFを含み、図1(b)はSrSiOを含む。
【図2】図2は、種々の蛍光体の組み合わせとともに、Ce3+活性酸化フッ化物蛍光体に基づく固溶体蛍光体系を使用した、LEDの概略図である。
【図3】図3は、SrAlOFとSrSiOとの間の固溶体系を含む、本発明の第1の実施形態を製造するための実験的手順を図示する。
【図4】図4(a)および4(b)は、qの量に応じた(q=0、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、および1.0)、Sr2.975−qCe0.025Al1−qSi4+q1−qのXRDパターンを示す。
【図5】図5(a)および5(b)は、それぞれ、Sr2.975−qCe0.025Al1−qSi4+q1−q(q=0、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、および1.0)の励起および発光スペクトルを示す。
【図6】図6(a)および6(b)は、25〜200℃の温度範囲で、本発明の蛍光体粉末、および市販のYAG:Ce3+蛍光体の温度消光特性を示す。
【図7】図7(a)は、2〜30mAの範囲で、異なる順方向バイアス電流下のSr2.975Ce0.025Al0.5Si0.94.50.5蛍光体(q=0.5)と組み合わせた、InGaN LED(ピーク波長λmax=430nmを発する)からの電界発光(EL)スペクトルを示し、図7(b)は、異なる順方向バイアス電流下の同じデバイスのCIE色座標を示す。
【図8】図8は、SrAlOFとGdSrAlOとの間の固溶体系を含む、本発明の第2の実施形態を製造するための実験的手順を図示する。
【図9】図9(a)および9(b)は、sの量に応じた(s=0、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、および1.0)、Sr2.975−sCe0.025GdAlO4+s1−sのXRDパターンを示す。
【図10】図10(a)および10(b)は、それぞれ、Sr2.975−sCe0.025GdAlO4+s1−s(s=0、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、および1.0)の励起および発光スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好ましい実施形態の以下の説明では、本明細書の一部を形成し、本発明が実践され得る特定の実施形態の一例として示される、付随の図面が参照される。他の実施形態が利用されてもよく、構造的変化は、本発明の範囲から逸脱することなく成され得ることを理解されたい。
【0023】
概要
LEDから白色光を生成するためには、基本的に2つの策略がある。第1のアプローチは、LEDチップからの異なる赤色、緑色、および青色構成要素を混合することであり、第2のアプローチは、蛍光体を使用して、青色LEDまたはUV LEDからの発光をより長い波長に下方変換することである。費用、効率、および簡単な製造に関して、第2の方法は、国際特許第WO98/05078号[16]で開示されている、黄色発光蛍光体または青色LEDを被覆することよる白色LEDの製造に広く使用されている。
【0024】
しかしながら、YAG:Ce3+蛍光体は、赤色スペクトル領域中で比較的弱い発光強度を有するため、良好な演色評価数(CRI)を得ることが困難である。さらに、LCD用のバックライトユニット等の表示デバイス用途のために、蛍光体を使用して、好適な色温度を得ることも重要である。したがって、より良好な熱安定性を伴って、容易に低費用で製造することができる、高い効率および高いCRIを伴う新しい蛍光体の開発の必要性がある。
【0025】
本発明は、固体照明用途のための端成分としてCe3+をドープした酸化フッ化物蛍光体を含む、固溶体蛍光体に関する。この点に関して、本発明は、近UV−LED(λmax=395および405nm)および赤色発光蛍光体、または近UV−LEDおよび緑橙色蛍光体、または近UV−LEDおよび黄色蛍光体を組み合わせることによる、白色光生成に使用することができる。また、本発明は、青色LEDおよび黄色蛍光体、または青色LEDおよび緑黄色蛍光体、または青色LEDおよび黄赤色蛍光体を組み合わせることによる、白色光生成に使用することもできる。この目的で、多数の異なる用途がある。
【0026】
技術的説明
本発明の発明者らは、その出願が上記で相互参照され、参考により本明細書に援用される「YELLOW EMITTING PHOSPHORS BASED ON Ce3+−DOPED ALUMINATE AND VIA SOLID SOLUTION FOR SOLID−STATE LIGHTING APPLICATIONS」と題された、Won−Bin Im、Ram Seshadri、およびSteven P. DenBaarsによる2009年2月27日出願の米国実用新案特許出願第12/394,492号、代理人整理番号30794.262−US−U1(2008−434)で開示されているような、セルパラメータa=6.8839(1)Å、c=11.0420(2)Åである、空間群I4/mcm(No.140)を伴う正方構造を有する、白色LED用途のための新しい黄色発光蛍光体、La1−xCeSrAlOを報告した。
【0027】
本発明の発明者らはまた、その出願が上記で相互参照され、参照することにより本明細書に組み込まれる、「OXYFLUORIDE PHOSPHORS AND WHITE LIGHT EMITTING DIODES INCLUDING THE OXYFLUORIDE PHOSPHOR FOR SOLID−STATE LIGHTING APPLICATIONS」と題された、Won−Bin Im、Ram Seshadri、およびSteven P. DenBaarsによる2010年6月16日出願の米国実用新案特許出願第12/816,939号、代理人整理番号30794.316−US−U1(2009−704−2)で開示されているような、新しい緑色発光蛍光体、Sr3−xCeAlOFも報告した。
【0028】
一方で、SrAlOFは、一般式SrSiO(空間群P4/ncc、No.130)およびLaSrAlOを伴う同形化合物である。本発明が図1で示すように、構造は、完全固溶体系が可能であることに十分密接に関係している。具体的には、図1は、単位セルの[010]方向から見た、固溶体系中の端成分化合物の構造の図を示し、図1(a)はSrAlOFを含み、図1(b)はSrSiOを含む。
【0029】
新しい組成物を用いて良好な光学特性を得るために、本発明は、固溶体を介したほぼ同形のホスト化合物間で2種類の固溶体系を合成した。3つの明確に異なる体系(SrAlOF、GdSrAlO、およびSrSiO)の魅力的な性質のうちのいくつかを組み合わせようとして、本発明は、固溶体の形態で3つの体系のルミネセンス特性を顕著に強化した。さらに、3つの体系の間で固溶体系を使用して、本発明は、固溶体の量に応じて3つの体系の光学特性を同調した[12]。
【0030】
本発明はまた、青色(または長UV)LEDおよび黄色発光蛍光体の組み合わせも使用する。白色光生成に青色(または長UV)LEDを使用するために、NichiaによるPCT国際出願第WO98/05078号[12]で開示されているように、黄色発光蛍光体がLED上に被覆される。
【0031】
図2は、種々の蛍光体の組み合わせとともに、Ce3+活性酸化フッ化物蛍光体に基づく固溶体蛍光体系202を使用した、LED200の概略図である。白色LEDは、固溶体蛍光体系202と組み合わせた(例えば、それで被覆された)、(395nm、405nm、450nm、または460nm)の主波長を有する近UV−LED(または青色LED)200を使用して製造される。白色光を発する白色LED(点線の円錐によって図2で図示される)を得るために、固溶体系蛍光体202はさらに、赤色発光蛍光体、または黄色および赤色発光蛍光体と組み合わせることができる。この目的で、多数の異なる用途がある。
【0032】
第1の実施形態:SrAlOFとSrSiOとの間の固溶体系
図3は、SrAlOFとSrSiOとの間の固溶体系を含む、本発明の第1の実施形態を製造するための実験的手順を図示する。
【0033】
(Sr3−x−yAR)(Al1−(z+u)IIISi)O4+z1−z:Ce3+蛍光体サンプルを合成するために、CaCO、CaF、SrCO、SrF、BaCO、BaF、Al、SiO、AlF、NHF、HBO、Ga、In、Sc、CeF、およびCeOが、化学量論量で原料として使用された(300)。具体的には、アルカリ土類金属(AR)の炭酸塩または酸化物、アルミナ(Al)、および酸化セリウム(CeO)が使用されてもよい。フッ素源として、多くの材料、例えば、SrF、BaF、NHF、CeF、およびAlFが使用されてもよい。
【0034】
次いで、原料は、瑪瑙乳鉢を使用して30分間混合され(混合ステップ302)、結果として生じた混合物は、後に空気中で500〜1700℃の間に加熱された(第1の点火ステップ304)。次いで、加熱した混合物が粉砕された(加熱した混合物が第1の粉砕ステップ306を受けた)。
【0035】
粉砕した混合物は、還元雰囲気下の第2の点火ステップ(308)において加熱された。第2の点火ステップ(308)では、混合ガスの容量に基づいて、水素含有量が2〜25容量%である窒素混合ガスを供給することによって、還元雰囲気が提供されることが好ましい。混合物の光学特性を強化するために、混合物を1回だけ加熱することと比較して、蛍光体粉末のより高い結晶化度を得るように、混合物を2回以上加熱することが可能である。
【0036】
第2の点火ステップ(308)後、粉砕された蛍光体粉末(312)を得るように、加熱した混合物が粉砕された(加熱した混合物が第2の粉砕ステップ310を受けた)。
【0037】
本発明の好ましい実施形態では、蛍光体の原料は、炭酸ストロンチウム(SrCO)、フッ化ストロンチウム(SrF)、アルミナ(Al)、二酸化ケイ素(SiO)、および酸化セリウム(CeO)である。上記で説明されるように、Sr、Al、およびSiは、必要であれば、Mg、Ca、Ba、B、Ga、In、Sc、Ge、Sn等の種々の元素に置換することができる。
【0038】
図4(a)および4(b)は、qの量に応じた(q=0、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、および1.0)、Sr2.975−qCe0.025Al1−qSi4+q1−qのXRDパターンを示し、図4(b)は、2θ=37°に近い反映の進化を詳述し、端成分の期待反映位置が図4(a)より上側に表示されている。図3の実験的手順を使用して、Sr2.975−qCe0.025Al1−qSi5−q1+q蛍光体サンプルの単相が得られた。
【0039】
Sr2.975−qCe0.025Al1−qSi4+q1−q(q=0、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、および1.0)固溶体のXRD進化は全て、図4に示されるように、室温での清浄相を示す。全てのサンプルの回折パターンは、q=0.9を超えて発生する、一方の構造から他方の構造への転移とともに、qに応じたSrAlOF(SAF)またはSrSiO(SSO)の初期モデルのものと同様であった。2θ=37°に近い反映を示す図4(b)は、qの関数としての相転移を明確に確認する。
【0040】
Sr2.975−qCe0.025Al1−qSi4+q1−q(q=0、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、および1.0)固溶体のルミネセンス特性は、図5(a)および5(b)に示されるように、固溶体の量qに応じて、365nmから450nmの広い励起帯を有する。具体的には、図5(a)および5(b)は、それぞれ、Sr2.975−qCe0.025Al1−qSi4+q1−q(q=0、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、および1.0)の励起および発光スペクトルを示す。
【0041】
Sr2.975−qCe0.025Al1−qSi4+q1−qの相対フォトルミネセンス(PL)強度は、以下で説明される表1に記載される。相対PLは、市販のYAG:Ce3+蛍光体の発光強度を、室温でのSr2.975−qCe0.025Al1−qSi4+q1−qのデータと比較する(すなわち、相対強度=市販のYAG:Ce3+のPLで割ったSr2.975−qCe0.025Al1−qSi4+q1−qのPL)。固溶体量qが増加するにつれて、発光位置は、537nmから503nmの範囲で、より短い波長へと徐々に移動した。
【0042】
表1.Sr2.975−qCe0.025Al1−qSi4+q1−qの光学特性
【0043】
【表1】

図6(a)および6(b)は、25〜200℃の温度範囲で、本発明の蛍光体粉末、および市販のYAG:Ce3+蛍光体の温度消光特性を示す。具体的には、図6(a)は、25〜200℃の範囲内の温度上昇を伴うSr2.975Ce0.025AlOF(q=0)の発光スペクトルを示し、図6(b)は、温度依存性発光強度を示す。温度が25℃から200℃に上昇するにつれて、蛍光体のPL強度は、初期PL強度の50%、42%、および48%だけ減少した(YAG:Ce3+、q=0、およびq=1.0について測定された)。
【0044】
図7(a)は、2〜40mAの範囲で、異なる順方向バイアス電流下のSr2.975Ce0.025Al0.5Si0.94.50.5蛍光体(q=0.5)と組み合わせた、InGaN LED(ピーク波長λmax=430nmを発する)からの電界発光(EL)スペクトルを示し、測定された発光効率は、電流に応じて15〜30lm/Wであった。図7(b)は、異なる順方向バイアス電流下の同じデバイスのCIE(International Commission of Illumination/国際照明委員会)色座標を示し、Planckian軌跡線、ならびに3500Kおよび6500Kの色温度に対応する点が示される。
【0045】
第2の実施形態:SrAlOFとGdSrAlOとの間の固溶体系
図8は、SrAlOFとGdSrAlOとの間の固溶体系を含む、本発明の第2の実施形態を製造するための実験的手順を図示する。
【0046】
(Sr3−(a+b+c)ARGdc−dLn)AlO4+c1−c:Ce3+蛍光体サンプルを合成するために、CaCO、CaF、SrCO、SrF、BaCO、BaF、Al、AlF、Gd、La、Tb、Y、およびCeOが、化学量論量で原料として使用された(800)。具体的には、アルカリ土類金属(AR)の炭酸塩または酸化物、アルミナ(Al)、酸化セリウム(CeO)、および酸化ガドリニウム(Gd)または酸化テルビウム(Tb)が利用されてもよい。フッ素源として、多くの材料、例えば、SrF、BaF、LaF、GdF、NHF、CeF、およびAlFが使用されてもよい。
【0047】
次いで、原料は、瑪瑙乳鉢を使用して30分間混合され(混合ステップ802)、結果として生じた混合物は、後に還元雰囲気中で1000〜1700℃の間に加熱された(804)。混合物の1つまたは複数の光学特性を強化するために、混合物は、混合物を1回だけ加熱することと比較して、結果として生じる蛍光体粉末のより高い結晶化度を達成するように、2回以上加熱されてもよい。混合ガスの容量に基づいて、水素含有量が2〜25容量%である窒素混合ガスを供給することによって、還元雰囲気が提供されることが好ましい。
【0048】
点火ステップ(804)後、蛍光体粉末(808)を形成するように、加熱した混合物が粉砕された(粉砕ステップ806)。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、蛍光体の原料は、炭酸ストロンチウム(SrCO)、酸化ガドリニウム(Gd)、アルミナ(Al)、および酸化セリウム(CeO)である。上記で説明されるように、Sr、La、およびAlは、必要であれば、Mg、Ca、Ba、Tb、La、B、Ga、In、Sn等の種々の元素に置換することができる。合成条件は上記と同じである。
【0050】
図9(a)および9(b)は、sの量に応じた(s=0、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、および1.0)、Sr2.975−sCe0.025GdAlO4+s1−sのXRDパターンを示し、図9(b)は、2θ=37°に近い反映の進化を詳述し、端成分の期待反映位置が図9(a)より上側に表示されている。図8の実験的手順を使用して、Sr2.975−sCe0.025GdAlO4+s1−s蛍光体サンプルの単相が得られた。全てのサンプルの回折パターンは、sに応じたSrAlOFまたはGdSrAlOの初期モデルのものと同様であった。
【0051】
Sr2.975−sCe0.025GdAlO4+s1−s(s=0、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、および1.0)固溶体のルミネセンス特性は、図10(a)および10(b)に示されるように、固溶体の量sに応じて、400nmから450nmの広い励起帯を有する。SrAlOFとGdSrAlOとの間の固溶体系を使用して、本発明は、期待通りSr2.975−sCe0.025GdAlO4+s1−s励起帯および発光帯を同調した。具体的には、図10(a)および10(b)は、それぞれ、Sr2.975−sCe0.025GdAlO4+s1−s(s=0、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、および1.0)の励起および発光スペクトルを示す。
【0052】
可能な修正
本発明では、蛍光体組成物は、以下の式を用いて作製される。
【0053】
(i)SrAlOFとSrSiOとの間の固溶体系:
(Sr3−x−yAR)(Al1−(z+u)IIISi)O4+z1−z:Ce3+であって、式中、0<x≦0.3であり、0≦y≦1であり、0<z<1であり、0<z+u<1であり、ARは、周期表中のアルカリ土類金属から選択される、少なくとも1つの元素、例えば、Mg、Ca、およびBaを含み、IIIは、Al、B、およびGaから選択される少なくとも1つの原子を含む。本蛍光体を使用した、白色発光LEDの調製方法も開示される。
【0054】
(ii)SrAlOFとGdSrAlOとの間の固溶体系:
(Sr3−(a+b+c)ARGdc−dLn)AlO4+c1−c:Ce3+であって、0<a≦0.3であり、0≦b≦3であり、0<c<1であり、0<d<1であり、0<c−d<1であり、0<a+b+c<3であり、ARは、周期表中のアルカリ土類金属から選択される少なくとも1つの元素、例えば、Mg、Ca、およびBaを含み、Lnは、周期表上のランタニドから選択される少なくとも1つの原子、例えば、La、Tb、およびYを含む。本蛍光体を使用した、白色発光LEDの調製方法も開示される。
【0055】
ホスト格子を含む蛍光体の効率は、別のイオンが励起放射線を吸収し、後にそれを活性剤に移送してもよいように、このイオンをホスト格子に添加することによって強化されてもよい。この場合、吸収イオンは、増感剤と呼ばれる。この点に関して、少量のPr、Nd、Sm、Eu、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Mn、Zn、およびBiを、増感剤としてホスト格子に添加することができる。二価イオンも増感剤として使用されてもよく、二価イオンは、電荷補償のために、Li、Na、およびKを含む群から選択される1つ以上のイオンを含んでもよい。
【0056】
本発明を合成するために、種々の方法、例えば、噴霧熱分解、共沈、ゾルゲル法、ソルボサーマル、水熱法等を適用することが可能である。本発明の1つまたは複数の光学特性を強化するために、原料の混合物は、混合物を1回だけ加熱することと比較して、サンプルのより高い結晶化度を得るように、2回以上加熱されてもよい。
【0057】
本発明はまた、白色LEDからの白色光生成を得るように、種々の色域の必要性に応じて、青色LEDおよび黄色発光蛍光体、または青色LEDおよび緑橙色蛍光体、または青色LEDおよび黄赤色蛍光体といった種々の組み合わせで使用されてもよい。例えば、プロトタイプ白色LEDは、青色またはGaNベースのUV LEDに適用または被覆される、本発明の蛍光体サンプルを含んでもよい。白色LED用の付加的なステップとして、本発明の蛍光体は、チップ包装過程でInGaNベースの青色LEDおよびGaNベースのUV LEDに適用されてもよい。さらに、本発明のルミネセンス特性は、エポキシ樹脂および蛍光体粉末の種々の混合比によって調べられてもよい。本発明は、最適化されてもよく、本発明の化学組成は、種々の用途のために変更されてもよい。
【0058】
利点および改良
本発明は、新しい緑色および黄色発光蛍光体粉末、ならびに本発明の固溶体蛍光体を含む白色発光LEDを提供する。YAl12:Ce3+(YAG:Ce3+)の欠点にもかかわらず、青色光(例えば、ピーク波長λmax=450および460nm)または近UV光(λmax=395および405nm)励起によって励起される、競合する蛍光体がほとんど存在しない。本発明の蛍光体は、InGaNベースの青色LEDおよびGaNベースの長波長UV LEDに適用され、例えば、良好な演色性および高い効率を、種々の蛍光体との本発明の組み合わせから得ることができる。
【0059】
両方の端成分が、本発明の発明者によって作製された特許出願の主題であるため、本発明の固溶体系蛍光体の組成物は、あらゆる特許を含む文献で説明されているものとは完全に異なる。具体的には、本発明の端成分のうちの1つである、新しい黄色発光蛍光体La1−xCeSrAlOが最初に開発され、その出願が上記で相互参照され、参照することにより本明細書に組み込まれる、「YELLOW EMITTING PHOSPHORS BASED ON Ce3+−DOPED ALUMINATE AND VIA SOLID SOLUTION FOR SOLID−STATE LIGHTING APPLICATIONS」と題された、Won−Bin Im、Ram Seshadri、およびSteven P. DenBaarsによる2009年2月27日出願の米国実用新案特許出願第12/394,492号、代理人整理番号30794.262−US−U1(2008−434)で開示された(白色発光LED用途とともに)。本発明の別の端成分は、その出願が上記で相互参照され、参照することにより本明細書に組み込まれる、「OXYFLUORIDE PHOSPHORS AND WHITE LIGHT EMITTING DIODES INCLUDING THE OXYFLUORIDE PHOSPHOR FOR SOLID−STATE LIGHTING APPLICATIONS」と題された、Won−Bin Im、Ram Seshadri、およびSteven P. DenBaarsによる2010年6月16日出願の米国実用新案特許出願第12/816,939号、代理人整理番号30794.316−US−U1(2009−704−2)で開示されているような、新しい緑色発光蛍光体Sr3−xCeAlOFである。
【0060】
したがって、本発明は、化学組成に関して、報告された緑色発光および黄色発光蛍光体とは技術的に明確に異なる。本発明では、ホスト元素および固溶体の量の変化を伴う発光色および励起帯の同調性は、完璧な白色光生成を達成するための非常に魅力的な性質である。さらに、本発明の最も有利な側面は、固溶体蛍光体が、市販のYAG:Ce3+蛍光体よりもはるかに高いPL強度を示したことである。本発明の魅力的な性質により、完璧な白色光LEDは、種々の蛍光体を高い効率を伴う本発明と組み合わせることによって達成されてもよい。
【0061】
付録
本発明についてのさらなる情報は、Won−Bin Im, Ram Seshadri and Steven P. DenBaarsによる、2009年10月30日出願の「SOLID SOLUTION PHOSPHORS BASED ON OXYFLUORIDE AND WHITE LIGHT EMITTING DIODES INCLUDING THE PHOSPHORS FOR SOLID WHITE LIGHTING APPLICATIONS」と題された原米国暫定特許出願第61/256,830号の付録で見出すことができ、付録は、「Substitution of oxygen by fluorine in the GdSrAlO:Ce3+ phosphors: Gd1−xSr2+xAlO5−x solid solutions for solid state white lighting」と題された、Won Bin Im、Yoann Fourre、Stuart Brinkley、Junichi Sonoda、Shuji Nakamura、Steven P. DenBaars、およびRam Seshadriによる出版物を含み、その出版物は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0062】
(参考文献)
以下の参考文献は、参照することによって、本明細書に組み込まれる。
[1] D. Haranath, H. Chander, P. Sharma, S. Singh, Appl. Phys. Lett. 2006, 89, 173118.
[2] C.−H. Lu, R. Jagannathan, Appl. Phys. Lett. 2002, 80, 3608.
[3] R. Kasuya, A. Kawano, T. Isobe, H. Kuma, J. Katano, Appl. Phys. Lett. 2007, 91, 111916.
[4] H. S. Jang, W. B. Im, D. C. Lee, D. Y. Jeon, S. S. Kim, J. Lumin. 2007, 126, 371.
[5] Y. Chen, M. Gong, G. Wang, Q. Su, Appl. Phys. Lett. 2007, 91, 071117.
[6] R.−J. Xie, N. Hirosaki, K. Sakuma, Y. Yamamoto, M. Mitomo, Appl. Phys. Lett. 2004, 84, 5404.
[7] X. Piao, K. I. Machida, T. Horikawa, H. Hanzawa, Y. Shimomura, N. Kijima, Chem. Mater. 2007, 19, 4592.
[8] J. K. Park, M. A. Lim, C. H. Kim, H. D. Park, J. T. Park, S. Y. Choi, Appl. Phys. Lett. 2003, 82, 683.
[9] Y. Q. Li, A. C. A. Delsing, G. de With, H. T. Hintzen, Chem. Mater. 2005, 17, 3242.
[10] M. P. Saradhi, U. V. Varadaraju, Chem. Mater. 2006, 18, 5267.
[11] W. B. Im, Y.−I. Kim, N. N. Fellows, H. Masui, G. A. Hirata, S. P. DenBaars, R. Seshadri, Appl. Phys. Lett. 2008, 93, 091905.
[12] G. Blasse, W. L. Wanmaker, J. W. ter Vrugt, and A. Bril, Philps. Res. Repts., 1968, 23, 189.
[13] H. S. Jang and D. Y. Jeon, Appl. Phys. Lett. 2007, 90, 041906.
[14] PCT国際出願WO/2009/0085467(2009年4月2日公開)、Stetne et al.名称「Yellow emitting Ce3+ doped calcium silicate phosphor and white light emitting diodes including Ce3+ doped calcium silicate.」
[15] 韓国特許出願第10−2007−98275号(2007年9月28日出願)
[16] PCT特許公開WO/1998/005078(2009年2月5日公開)、Shimizu et al.,名称「Light Emitting Device and Display Device」、PCT特許出願第PCT/JP1997/002610(1997年7月29日出願)に対応。
【0063】
結論
ここで、本発明の好ましい実施形態の説明を結論付ける。本発明の1つ以上の実施形態の上述の説明は、例証および説明の目的のために提示されている。本発明を包括的または開示される正確な形態に制限することを意図するものではない。多くの修正例および変形例が、上述の教示に照らして可能である。本発明の範囲は、本発明を実施するための形態によってではなく、本明細書に添付の請求項によって制限されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(Sr3−x−yAR)(Al1−(z+u)IIISi)O4+z1−z:Ce3+を含み、
0<x≦0.3であり、
式中、
0≦y≦1であり、
0<z<1であり、
ARは、少なくとも1つのアルカリ土類金属を含み、
0≦z≦1であり、
IIIは、Al、B、およびGaから選択される少なくとも1つの原子を含み、
0<z+u<1である、蛍光体組成物。
【請求項2】
x、y、z、およびuは、前記蛍光体組成物が、430nmから760nmの間の波長と、365nmから450nmの間の波長を有する青色光または紫外線光によって励起されるときに緑色光であるピーク波長とを有する、光を発するようなものであり、前記ピーク波長は、x、y、z、およびuを変化させることによって同調可能である、請求項1に記載の蛍光体組成物。
【請求項3】
前記緑色光を発するように前記蛍光体組成物を光学的にポンピングする、発光ダイオード(LED)とさらに組み合わせられる、請求項2に記載の蛍光体組成物。
【請求項4】
x、y、z、およびuは、前記蛍光体が、黄色蛍光体、緑橙色蛍光体、黄赤色蛍光体等の1つ以上の付加的な蛍光体と組み合わせた白色光用途に使用されるようなものである、請求項3に記載の蛍光体組成物。
【請求項5】
前記蛍光体組成物は、励起放射線を吸収し、それを前記蛍光体組成物中の活性剤に移送する、増感剤および電荷補償剤として吸収イオンを含み、前記蛍光体組成物は、前記励起放射線の波長よりも長い波長を有する光を発し、前記増感剤は、電荷補償のために、Li、Na、およびKから選択される1つ以上のイオンを含む、請求項1に記載の蛍光体組成物。
【請求項6】
前記蛍光体組成物は、固溶体形態であり、前記固溶体の量は、発せられる前記光の前記ピーク波長を決定する、請求項1に記載の蛍光体組成物。
【請求項7】
(Sr3−x−yAR)(Al1−(z+u)IIISi)O4+z1−z:Ce3+として画定される蛍光体組成物を製造するための方法であって、
式中、0<x≦0.3であり、0≦y≦1であり、0<z<1であり、ARは、少なくとも1つのアルカリ土類金属を含み、0≦z≦1であり、IIIは、Al、B、およびGaから選択される、少なくとも1つの原子を含み、0<z+u<1であり、
該方法は、
混合物を形成するように、化学量論量でCaCO、SrCO、BaCO、Al、SiO、SrF、BaF、およびCeOを混合するステップと、
該蛍光体組成物を形成するように、還元雰囲気中で1000〜1700℃の間で前記混合物を加熱するステップと
を含む、方法。
【請求項8】
前記加熱するステップは、前記混合物を1回だけ加熱するステップと比較して、前記蛍光組成物のより高い結晶化度を達成するように、前記混合物を2回以上加熱し、それにより、前記蛍光体組成物の1つ以上の光学特性を強化するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記還元雰囲気は、窒素および水素の両方を有するガス混合物を供給することによって提供され、前記水素は、前記ガス混合物中の前記水素の容量が、前記ガス混合物の容量の2〜25%であるように、2〜25容量%である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
(Sr3−(a+b+c)ARGdc−dLn)AlO4+c1−c:Ce3+を含み、
式中、
0<a≦0.3であり、
0≦b≦3であり、
0<c<1であり、
0<d<1であり、
0<c−d<1であり、
0<a+b+c<3であり、
ARは、アルカリ土類金属から選択される少なくとも1つの元素を含み、
Lnは、周期表中のランタニドから選択される少なくとも1つの原子を含む、蛍光体組成物。
【請求項11】
a、b、c、およびdは、前記蛍光体組成物が、430nmから760nmの間の波長と、370nmから450nmの間の波長を有する青色光または紫外線光によって励起されるときに黄色光または緑色光であるピーク波長とを有する、光を発するようなものであり、前記ピーク波長は、x、y、z、およびuを変化させることによって同調可能である、請求項10に記載の蛍光体組成物。
【請求項12】
前記黄色または緑色光を発するように前記蛍光体組成物を光学的にポンピングする、発光ダイオード(LED)とさらに組み合わせられる、請求項11に記載の蛍光体組成物。
【請求項13】
a、b、c、およびdは、前記蛍光体組成物が、黄色蛍光体、緑橙色蛍光体、黄赤色蛍光体等の1つ以上の付加的な蛍光体と組み合わせた白色光用途に使用されるようなものであり、前記LEDは、前記蛍光体組成物および前記付加的な蛍光体を光学的にポンピングする、請求項12に記載の蛍光体組成物。
【請求項14】
前記蛍光体組成物は、励起放射線を吸収し、それを前記蛍光体組成物中の活性剤に移送する、増感剤および電荷補償剤として吸収イオンを含み、前記蛍光体組成物は、前記励起放射線の波長よりも長い波長を有する光を発し、前記増感剤は、電荷補償のために、Li、Na、およびKから選択される1つ以上のイオンを含む、請求項10に記載の蛍光体組成物。
【請求項15】
前記蛍光体組成物は、固溶体形態であり、前記固溶体の量は、前記発した光の前記ピーク波長を決定する、請求項10に記載の蛍光体組成物。
【請求項16】
(Sr3−(a+b+c)ARGdc−dLn)AlO4+c1−c:Ce3+として画定される蛍光体組成物を製造するための方法であって、
式中、0<a≦0.3であり、0≦b≦3であり、0<c<1であり、0<d<1であり、0<c−d<1であり、0<a+b+c<3であり、ARは、アルカリ土類金属から選択される少なくとも1つの元素を含み、Lnは、周期表中のランタニドから選択される少なくとも1つの原子を含み、
前記方法は、
混合物を形成するように、化学量論量でSrCO、Gd、Al、SrF、BaF、およびCeOを混合するステップと、
前記蛍光体組成物を形成するように、還元雰囲気中で1000〜1700℃の間で前記混合物を加熱するステップと
を含む、方法。
【請求項17】
前記加熱するステップは、前記混合物を1回だけ加熱するステップと比較して、前記蛍光組成物のより高い結晶化度を達成するように、前記混合物を2回以上加熱し、それにより、前記蛍光体組成物の1つ以上の光学特性を強化するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記還元雰囲気は、窒素および水素の両方を有するガス混合物を供給することによって提供され、前記水素は、前記ガス混合物中の前記水素の容量が、前記ガス混合物の容量の2〜25%であるように、2〜25容量%である、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−509483(P2013−509483A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536850(P2012−536850)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/052505
【国際公開番号】WO2011/053455
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(506115514)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (87)
【Fターム(参考)】