説明

酸化剤ベースの処方物を用いるプリオンに感染した物質で汚染された表面の汚染除去

【課題】プリオンに感染した物質を保有する表面を、アルカリ洗浄溶液により洗浄し、表面から可能な限り多くのタンパク様物質を除去する。
【解決手段】洗浄剤は、表面に残るプリオンを攻撃し、洗浄工程の間に表面から除去されたプリオンを攻撃するアルカリ洗浄剤である。洗浄溶液が、排出された後、界面活性剤、緩衝剤、および重金属を含まない腐食防止剤の溶液を、50〜60℃で表面上を循環させる。界面活性剤は、プリオン汚染された物質を分散させ、そして凝固解消させる。強酸化剤、好ましくは、過酢酸を1,000〜2,500ppmの濃度までこの溶液に加える。過酢酸または他の強酸化剤は、プリオン(特に凝固解消されたプリオン鎖を攻撃し、プリオンを不活性化させる。リンスおよび乾燥後、表面は、微生物不透過性バリアに包まれ、そして最終滅菌(例えば、蒸気オートクレーブ)に供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、プリオン不活性化の分野に関する。本発明は、医療機器および手術用機器からの、プリオンに感染した物質の不活性化に関連する特定の適用を見出し、そしてそれに特定の参照とともに記載される。しかしながら、本発明はまた、プリオンに感染した物質で汚染された他の表面(例えば、製剤施設、食品加工施設、床を含む実験動物研究設備、作業台、装置、ケージ、発酵タンク、流体ライン等)の除染において利用され得ることが認識される。
【背景技術】
【0002】
プリオンは、胎児脳疾患に類似の致死的な脳疾患を引き起こすタンパク質性感染性の因子であり、これらの疾患は、一般に伝染性海綿状脳症(TSE)と言われる。これらの疾患としては、ヒトにおけるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ウシにおけるウシ海綿状脳症(BSE)(ヒトにおける「狂牛病」としても知られる)、ヒツジにおけるスクラピー、ならびにオオジカおよびシカにおける萎縮病が挙げられる。これらの疾患は、初期の長い潜伏期間により特徴付けられる。一旦神経症状(例えば、痴呆および協調運動障害(loss or coordination))が現れると、死を導く比較的迅速な神経学的退化が続く。プリオンは、宿主において共通に見られるタンパク質の異常な形成であると考えられている。しかし、正常な形態のタンパク質とは異なり、宿主は異常な形態を破壊することができない。異常なタンパク質が、特に神経組織に蓄積すると、最終的に神経細胞の死を導く。
【0003】
高い伝染性であるとは考えられないにもかかわらず、プリオン疾患は、特定の危険性の高い組織(脳、脊髄、大脳髄液、および眼を含む)から感染され得る。プリオンに感染した患者の外科手術手順の後に、プリオンを含む残存物は、外科手術の機器(特に神経外科的および眼科学的の機器)に残存し得る。長い潜伏期間の間、外科手術の候補者がプリオン保有者かどうかを判断することは極めて困難である。
【0004】
プリオンは、不活性化に対して非常に抵抗性である。微生物とは異なり、プリオンは、破壊するもしくは分裂させるDNAまたはRNAを持たない。プリオンは、その疎水性の性質のため、凝集して不溶性の塊になる傾向がある。微生物に功を奏する滅菌をもたらす多様な条件下で、プリオンは、プリオン自体および潜在的なプリオンを滅菌プロセスから保護するより堅固な塊を形成する。プリオン不活性化についての世界保健機関(1997)協約は、高濃度の水酸化ナトリウムまたは次亜塩素酸塩中に2時間器具を浸漬し、次いで、オートクレーブ1時間を提唱している。当然、これらのプロセスは、多くの医療機器に損傷を与え、他の機器に有害である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、上に参照された問題などを克服する、新しいかつ改良されたプリオン不活性化技術を提供する。
【0006】
(発明の要旨)
本発明に従って、プリオンを不活性化する方法が提供される。この方法は、プリオンに感染した物質を保有する表面を、プリオンを攻撃する洗浄剤を用いて前処理する工程、およびこの表面を液体形態およびガス状形態のうちの1つの酸化剤を用いて処理する工程を包含する。したがって、本発明は、以下を提供する。
(1) プリオンを不活性化させる方法であって、以下:
プリオンを攻撃する洗浄剤を用いて、プリオン感染物質を保有する表面を前処理する工程;ならびに
液体形態およびガス状形態のうちの1つの形態の酸化剤で該表面を処理する工程、
によって特徴付けられる、方法。
(2) 前記酸化剤が、液体溶液であることによってさらに特徴付けられる、項目1に記載のプリオン不活性化方法。
(3) 前記酸化剤が、過酢酸を含むことによってさらに特徴付けられる、項目1または2に記載のプリオン不活性化方法。
(4) 前記過酢酸が、2,000ppm〜2,500ppmの濃度の水溶液であることによってさらに特徴付けられる、項目3に記載のプリオン不活性化方法。
(5) 前記液体溶液が、界面活性剤および該溶液のpHを中性pH付近に緩衝する緩衝剤をさらに含むことによってさらに特徴付けられる、項目2〜4のいずれか1項に記載のプリオン不活性化方法。
(6) 前記酸化剤処理工程が、50℃〜60℃の温度で実施されることによってさらに特徴付けられる、項目4〜5のいずれか1項に記載のプリオン不活性化方法。
(7) 項目5に記載のプリオン不活性化方法であって、以下:
界面活性剤、腐食防止剤、および前記溶液を中性pH付近に緩衝する緩衝剤の水ベースの溶液で、前記表面を処理する工程;ならびに
該溶液に前記酸化剤を加え、前記液体溶液を生成する工程、
によってさらに特徴付けられる、項目5に記載のプリオン不活性化方法。
(8) 項目7に記載のプリオン不活性化方法であって、前記界面活性剤、緩衝剤、および腐食防止剤の溶液が、少なくとも1分間、前記表面上を循環し、前記酸化剤が該溶液に加えられた後に、該溶液が、少なくともさらに6分間該表面上を循環することによってさらに特徴付けられる、プリオン不活性化方法。
(9) 前記腐食防止剤が、触媒として作用し、前記酸化剤の濃度を減少させる重金属を含まないことによってさらに特徴付けられる、項目7または8のいずれか1項に記載のプリオン不活性化方法。
(10) 前記洗浄剤が、アルカリ洗浄剤であることによってさらに特徴付けられる、項目1〜9のいずれか1項に記載のプリオン不活性化方法。
(11) 前記洗浄工程および前記処理工程が、50℃と60℃との間の温度で実施されることによってさらに特徴付けられる、項目1〜10のいずれか1項に記載のプリオン不活性化方法。
(12) 前記酸化剤が、溶液の過酢酸を含み、そして、前記処理工程が、53℃〜57℃の温度範囲で実施されることによってさらに特徴付けられる、項目1〜11のいずれか1項に記載のプリオン不活性化方法。
(13) 前記腐食防止剤および前記緩衝剤が、過酢酸を触媒的に分解する重金属を含まないことによってさらに特徴付けられる、項目12に記載のプリオン不活性化方法。
(14) 前記液体溶液が、少なくとも1,000ppmの過酢酸であることによってさらに特徴付けられる、項目2〜13のいずれか1項に記載のプリオン不活性化方法。
(15) 前記アルカリ洗浄剤が、前記過酢酸処理工程より前に、前記表面からリンスされることによってさらに特徴付けられる、項目10に記載のプリオン不活性化方法。
(16) 前記洗浄工程および前記過酢酸処理工程が、53℃と57℃との間の温度範囲で実施されることによってさらに特徴付けられる、項目15に記載のプリオン不活性化方法。
(17) 項目3〜16のいずれか1項に記載のプリオン不活性化方法であって、以下:
プリオン鎖を界面活性剤で凝固解消し、前記過酢酸が該プリオン鎖との反応し、そして該プリオンを不活性化することを容易にする工程、
によってさらに特徴付けられる、プリオン不活性化方法。
(18) 項目3〜17のいずれか1項に記載のプリオン不活性化方法であって、以下:
前記過酢酸を中性pH付近まで緩衝し、そして過酢酸を分解する金属を含まない腐食防止剤での過酢酸腐食から前記表面を保護する工程、
によってさらに特徴付けられる、プリオン不活性化方法。
(19) 項目3〜18のいずれか1項に記載のプリオン不活性化方法であって、以下:
前記過酢酸処理工程後に、前記表面をリンスする工程、
によってさらに特徴付けられる、プリオン不活性化方法。
(20) 項目19に記載のプリオン不活性化方法であって、以下:
前記表面をリンスする工程後に、該表面を乾燥する工程;
微生物バリアに該表面を包む工程;ならびに
該包まれた表面を最終滅菌プロセスに供し、微生物を死滅させる工程、
によってさらに特徴付けられる、プリオン不活性化方法。
(21) 項目1〜20のいずれか1項に記載のプリオン不活性化方法であって、前記洗浄剤が、以下:
20.0〜41wt% 水酸化カリウム;
0.4〜8wt% エチレンジアミン四酢酸またはその塩;
0.0〜7wt% グルコン酸塩;
0.3〜6wt% プロペン酸ホモポリマー;
0.0〜5wt% C8両性カルボン酸塩;
0.0〜10wt% ヘキサメタリン酸ナトリウム;
0.0〜4wt% サリチル酸塩;
0.4〜10wt% アクリル酸ホモポリマー;ならびに
0.0〜10wt% 塩化ジメチルジアリルアンモニウム
およびアクリルアミドコポリマー、
を含むアルカリ洗浄剤であることによってさらに特徴付けられる、プリオン不活性化方法。
(22) 項目21に記載のプリオン不活性化方法であって、前記アルカリ洗浄剤が、以下:
20.0〜32wt% 水酸化カリウム;
4.0〜8wt% エチレンジアミン四酢酸;
1.0〜5wt% グルコン酸ナトリウム;
0.3〜1wt% 2−プロペン酸ホモポリマー;
0.0〜2wt% 混合C8両性カルボン酸塩;
0.0〜10wt% ヘキサメタリン酸ナトリウム;および
水、
を含むことによってさらに特徴付けられる、プリオン不活性化方法。
(23) 前記洗浄剤が、少なくとも500ppmのアルカリ度を有することによってさらに特徴付けられる、項目1〜22のいずれか1項に記載のプリオン不活性化方法。
(24) 前記酸化剤が、少なくとも1000ppmの濃度の過酸を含む、項目1に記載のプリオン不活性化方法。
【0007】
本発明のさらに限定された局面に従って、酸化剤は、界面活性剤を含む溶液中で液体形態であり、これは、プリオン分子を開きそしてこの酸化剤がプリオンをより効率的に破壊することを可能にする。
【0008】
本発明のなおさらに限定された局面に従って、液体酸化剤溶液は、過酢酸を含み、そして約53〜57℃で維持される。
【0009】
本発明のなおさらに限定された局面に従って、この酸化剤は、中性pH付近に緩衝される。
【0010】
本発明のなおさらに限定された局面に従って、この酸化剤は、過酢酸を含む。
【0011】
本発明の別のさらに限定された局面に従って、この機器は、液体酸化剤で12分未満、処理される。
【0012】
本発明の1つの利点は、機器に対して穏やかなことである。
【0013】
本発明の別の利点は、プリオンを迅速にかつ効率的に不活性化することである。
【0014】
本発明の別の利点は、広範囲な物質およびデバイスに適合することである。本発明のさらなるの利点は、以下の好ましい実施形態の詳細な記述を読みかつ理解することによって、通常の当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、種々の成分および成分の配列の形態をとり得、ならびに種々の工程および工程の配列の形態をとり得る。これらの図面は、好ましい実施形態を例証する目的のためのみであって、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【図1】図1は、種々の洗浄組成物を用いたタンパク質性物質の除去を図示する。
【図2】図2は、タンパク質性物質対アルカリ度のグラフである。
【図3】図3は、タンパク質性物質の除去におけるKOH濃度単独の影響(上曲線)と洗浄配合物中の全体のアルカリ度の影響(下曲線)とを比較する。
【図4】図4は、プリオン(IFDO)減少モデルにおける種々の洗浄組成物の効力を比較する。
【図5】図5は、プリオン(IFDO)減少モデルにおける過酢酸濃縮物の効力を比較する。
【図6】図6は、プリオン(IFDO)減少モデルにおける過酢酸の温度の効力を比較する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
プリオンで汚染され得る物質を保有する機器または他のアイテムを、アルカリ性洗浄剤を用いた洗浄操作に供する。この洗浄剤は、好ましくは、濃縮物(アルカリ性洗浄剤、ならびに必要に応じて以下:界面活性剤、カチオン性ポリマー、キレート剤、抗再析剤(anti−redeposition agent)、カチオン性ポリマー、および腐食防止剤の1つ以上を含む)の希釈によって生成される。
【0017】
アルカリ性洗浄剤は、好ましくはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物である。例示的な洗浄剤は、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムである。この水酸化物は、好ましくは濃縮物の20〜60重量%で存在する。
【0018】
キレート剤は、水に硬度を与える塩(water hardness salt)(例えば、カルシウムの塩およびマグネシウムの塩)とのキレート化のために提供され、洗浄される装置上に沈殿を生じる。適切なキレート剤としては、カルボン酸ベースのポリマー(例えば、ポリアクリル酸)、およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩が挙げられるが、これらに限定されない。以下に考察されるヘキサメタリン酸ナトリウムもまた、ある程度はキレート剤として作用する。このキレート剤は、好ましくは濃縮物の約1〜15重量%で存在する。好ましい組成物は、2〜10重量%のNa−EDTAおよび0.1〜3重量%のポリアクリル酸を含む。
【0019】
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および双性イオン界面活性剤からなる群から選択され、洗浄性能を高める。このような界面活性剤の例としては、水溶性塩または高級脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸塩(例えば、硬化やし油脂肪酸のモノ硫酸化モノグリセリドのナトリウム塩)、高級アルキル硫酸塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、アルキルアリールスルホン酸塩(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、高級アルキルスルホ酢酸塩、1,2ジヒドロキシプロパンスルホン酸塩の高級脂肪酸エステル、および低級脂肪族アミノカルボン酸化合物の実質的に飽和した高級脂肪族アシルアミド(例えば、脂肪酸中に12〜16炭素、アルキル基もしくはアシル基などを有する高級脂肪族アシルアミド)が挙げられるが、これらに限定されない。最後に記載したアミドの例は、N−ラウロイルサルコシン、ならびにN−ラウロイルサルコシン、N−ミリストイルサルコシンまたはN−パルミトイルサルコシンのナトリウム塩、カリウム塩、およびエタノールアミン塩である。
【0020】
さらなる例は、エチレンオキシドと、長い疎水性鎖(例えば、約12〜20炭素原子の脂肪族鎖)を有するそれらと反応性の種々の反応性水素含有化合物との縮合生成物)であり、そしてこの縮合生成物(「エトキサマー(ethoxamer)」)は、親水性ポリオキシエチレン部分(例えば、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪アミド、多価アルコール(例えば、ソルビタンモノステアレート)およびポリプロピレンオキシド(例えば、プルロニック(Pluronic)物質)とポリ(エチレンオキシド)との縮合生成物)を含む。
【0021】
適切な両性界面活性剤は、アルキル両性カルボン酸塩(例えば、混合C−8両性カルボン酸塩界面活性剤)である。好ましい濃縮物は、0〜5重量%の濃度で混合C8両性カルボン酸塩を含む。
【0022】
抗再析剤は、装置上への汚物の再析を阻害する。適切な抗再析剤としては、グルコン酸塩(例えば、グルコン酸ナトリウム)およびクエン酸塩が挙げられる。ポリアクリル酸もまた、抗再析剤として作用する。抗再析剤は、好ましくは、濃縮組成物の1〜10重量%の濃度である。特に好ましい組成物は、組成物の0.1〜3重量%の濃度(さらに好ましくは約0.3重量%の濃度)でポリアクリル酸を含み、そして、組成物の1〜10重量%の濃度(さらに好ましくは約1〜5重量%の濃度)でグルコン酸ナトリウムを含む。
【0023】
カチオン性ポリマーは、マグネシウム化合物、ケイ酸塩化合物、および亜鉛化合物を溶液で維持するのに役立ち、腐食防止剤を溶液に維持し、そして、本発明の洗浄組成物が硬水中で使用される場合、水−硬度物質の析出(water−hardness precipitation)および洗浄装置表面上のスケール形成を阻止するのに役立つ。このようなカチオン性ポリマーの例は、水溶性のカルボン酸ポリマー(例えば、ポリアクリル酸もしくはポリメタクリル酸またはビニル付加ポリマー)として包括的に分類され得るカルボキシル化ポリマーである。企図されるビニル付加ポリマーの例としては、酢酸ビニル、スチレン、エチレン、イソブチレン、アクリル酸およびビニルエーテルとの無水マレイン酸コポリマーが挙げられる。
【0024】
例示的なカチオン性ポリマーは、塩化ジメチルジアリルアンモニウムホモポリマー、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミドコポリマー、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリル酸コポリマー、およびビニルイミダゾールビニルピロリドンコポリマーのような、ジアルキルジアリルアンモニウム塩(例えば、ハロゲン化物)のホモポリマーまたはコポリマーである。他の適切な非セルロース系カチオン性ポリマーは、CTFA Cosmetic Ingredient Dictionaryに「Polyquaternium」の表示の下に続く整数において開示される。上記のポリマーの全ては、水溶性または少なくとも水中にコロイド状に分散可能である。このような低分子量(分子量範囲約1,000〜100,000未満)のカルボキシル化ポリマーは、炭酸塩が洗浄タンク中の望ましくないスケールを形成するのを阻止する抗核剤として作用する。塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミドコポリマーであるPolyquaternium 7は、例示的である。このカチオン性ポリマーは、好ましくは濃縮物の0〜10重量%で存在する。
【0025】
例示的な金属腐食防止剤は、濃縮物の約0〜10重量%の量のケイ酸塩およびリン酸塩である。
【0026】
洗浄剤濃縮物は、必要に応じて、低レベルの抗菌剤(例えば、フェノール)、第四アンモニウム化合物、または酸化剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、または過酢酸)を含む。
【0027】
好ましいアルカリ洗浄剤濃縮物は、表1に示される。
【0028】
【表1】

特に、以下の処方物は、表2に指定される。
【0029】
【表2】

洗浄操作を行うために、生成物を8〜16cc/リットル、30〜65℃で2〜30分間、水に希釈する。自動洗浄機の代表的な全体のサイクルは、30〜65℃の水で2分間前洗浄する工程、8〜16cc/リットルのアルカリ性洗浄剤で2〜30分間洗浄する工程、水で15秒間リンスする工程、30〜65℃で1分間熱リンスする工程、および最終的に乾燥する工程(もし必要ならば)を包含し得る。さらなるサイクルは、単に、上記のように前リンス、アルカリ洗浄、および後リンスする工程を包含し得る。
【0030】
洗浄濃縮物は、必要に応じて低レベルの抗菌剤(例えば、フェノール、第4級アンモニウム化合物、酸化剤(例えば、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、または過酢酸))を含む。
【0031】
他の洗浄剤もまた企図される。洗浄剤は、種々のカテゴリーに分類される。酵素洗浄剤は、活性プロテアーゼ、リパーゼ、および表面上における組織または汚物の分解を補助する他の酵素を含む。これらの生成物は、プリオンおよび他のタンパク質性物質の除去を補助するが、一般的に、プリオンに対する効力に乏しい(すなわち、プリオンはプロテアーゼ耐性である)。非酵素洗浄剤は、中性、酸性、およびアルカリベースの生成物に分類され得る。これらの洗浄剤は、表面からの汚物除去を補助する多種の賦形剤(例えば、湿潤剤および界面活性剤)を含む。
【0032】
プリオン除去効力について、ある範囲のpHを有する洗浄剤をプリオンモデルに対して試験した。より具体的には、5%ウシ血清アルブミン(BSA)溶液を調製し、類似のステンレス鋼の試片の各々上に2mlをピペットで取った。これらの試片をオーブン中43℃で1時間乾燥し、室温まで冷却し、そして秤量した。これらの乾燥条件下で、ウシ血清アルブミンは、感染性プリオンタンパク質と同様に高次βシートコンホメーションをとる。これらの試片を、STERIS 444TM洗浄機/消毒機中でその機器サイクルを用いて洗浄するが、ただし種々の洗浄組成物を用いる。この機器サイクルは、2分間の前洗浄、65℃で2分間の洗浄、リンス、熱リンス、および乾燥サイクルを包含する。このサイクルに続いて、これらの試片を洗浄機から取り出し、冷却し、そして秤量した。図1は、この洗浄サイクルで除去された物質の量を示し、ここで、組成物A、B、CおよびDはA〜Dへとアルカリ度が低下するアルカリ性洗浄剤であり、組成物Eは中性洗浄剤(Renu−KlenzTM、STERIS Corp.、Mentor Ohioから入手可能)であり、組成物Fは酸性洗浄剤(CIP220TM、STERIS Corp.から入手可能)であり、そして組成物Gは淡水コントロールである。図2は、除去された物質
対 総アルカリ度(ppm)のグラフである。図2に示すように、除去される物質の量とアルカリ度との間に強い相関があり、この量は洗浄剤組成物の総アルカリ度とともに増加する。
【0033】
記載のように用いられた洗浄組成物は、タンパク質の凝集塊を含む固定したタンパク質性物質を除去する。残存するタンパク質性物質はいずれも、引き続く不活性化工程において不活性化剤によってより容易に浸透される薄いフィルムの形をとる。さらに、好ましいアルカリ洗性浄剤は、洗浄工程中に除去されない残渣フィルム中のプリオンの約50%破壊をもたらす。
【0034】
表1に基づいて最適化したアルカリ洗浄処方物を作製し、そして以下の結果に関して上記のように分析した:
【0035】
【表3】

最も有効な処方物(AおよびBで標識)の組成物は、上記の表2に特定される。
【0036】
このタンパク質除去効力は、これらの最適化した処方物のアルカリ度の作用だけでなく、組成物のその他の成分にも基づく効力である。これを図3に示す。これらの処方物は、主に3つの成分(アルカリ性成分、水コントロール成分、および界面活性剤)からなる。これらのアルカリ性成分はまた、水コントロール剤としても作用し得る。例えば、EDTAは、アルカリ度特性と水コントロール特性の両方を処方物にもたらす。水コントロール剤は、好ましくは含まれる。なぜなら、表面の洗浄に使用される水の質がかなり変動し、さもなければ、所定の処方物の効力に影響し得るためである。1つの例は、水の硬度であり、これは逆溶解性を示し、温度が高いほど、水に硬度を与える塩の溶解性は低下する。水に硬度を与える塩はまた、pH値が高いほど溶解性が低下する。したがって、EDTAまたは他のキレート剤は、好ましくは、硬度を与える塩を溶液中に保持するために使用される。上記の3つの成分全ては、処方物が表面を洗浄するのを可能にするために、相乗的に機能すると考えられる。これは、図3に示され、9つの処方物のアルカリ当量をアルカリ度源としてKOH単独のアルカリ当量と比較している。
【0037】
アルカリ度単独の効果を、それぞれの比率の水酸化カリウム(KOH)を洗浄機に加え、そして上記のように試験することによって、評価した。アルカリ度(KOHのモル濃度として表される)の影響は、有意(下側曲線に示されるように)であるが、試験した処方物(表3の例1〜9)は、タンパク質除去の効力を高めたことが実証された。
【0038】
本発明者らは、洗浄組成物の適切な選択は、プリオンおよび他のタンパク質性物質を除去するだけでなく、少なくとも部分的にはプリオンを不活性化することも見出した。特にアルカリ性洗浄剤は、酵素洗浄剤、中性洗浄剤、または酸性洗浄剤よりも、プリオンの不活性化に有意に効果的である。
【0039】
種々の洗浄剤を、プリオンモデルに対して試験し、回腸流体依存生物(ileal fluid dependent organism)(IFDO)を、改変されたマイコプラスマベースの培養液中で人工的に培養し、段階希釈によって定量し、そして類似の寒天上にプレートした)に対して試験した。処方物を水で調製し、各々へIFDOのアリコートを直接的に懸濁した。試験溶液を40℃で30分間インキュベートし、アリコートをサンプリングして段階希釈によって定量し、そして改変されたマイコプラスマ寒天にプレーティングした。37℃で48時間インキュベーションに続いて、これらのプレートをカウントし、存在するIFDOおける対数減少を得た。これらの試験結果を図4に示し、ここで、洗浄剤Aは淡水のコントロール、洗浄剤Bはアルカリ性洗浄剤(CIP150TM)、洗浄剤Cは、2番目の、若干低いアルカリ性の洗浄剤(CIP100TM)、洗浄剤D(KlenzymeTM)および洗浄剤E(Enzycare 2TM)は、酵素洗浄剤であり、洗浄剤F(Renu−KlenzTM)および洗浄剤G(NpH−KlenzTM)は、中性洗浄剤であり、ならびに洗浄剤H(CIP 220TM)は、酸性洗浄剤(試験した洗浄剤の各々は、STERIS Corp.から得られた)である。
【0040】
従って、アルカリ性洗浄剤は、プリオン物質の除去においてより効果的であるだけでなく、残存しているかもしれないプリオン物質の不活性化、ならびに溶液中にまだ存在するプリオンの除去においても、有意により効果的である。
【0041】
洗浄工程後、機器または他のアイテムをプリオン不活性化工程にかける。プリオン不活性化工程の間、これらのアイテムを、液体、またはガス状の酸化剤に接触させる。好ましくは、アイテムは、液体酸化剤(表面全体、および任意の内部通路またはキャビティーを通って循環する)に浸される。あるいは、液体酸化剤は、プリオンを不活性化するように、アイテムの表面全てに噴霧される。なお別の代替として、酸化剤は、ガス状形態または蒸気形態で送達される。好ましい実施形態において、酸化剤としては、過酸(例えば、過酢酸)が挙げられる。しかし、他の強力な酸化剤(例えば、次亜塩素酸塩または過酸化水素)もまた企図される。
【0042】
好ましい実施形態において、過酢酸および他の酸化剤、キレート剤または金属イオン封鎖剤、界面活性剤(ねじれたプリオン鎖をほどくのに有効である)、およびpH緩衝液を分解する傾向がある重金属を含まない抗腐食剤の水ベースの溶液が、アイテムの表面全てにわたって循環される。次いで、過酸が、液体形態または試薬の形態(反応して過酸を形成する)のいずれかで、溶液に添加される。過酸は、1,000〜3,000ppm、より好ましくは、2,000〜2,500ppmまでの溶液中の濃度になるのに十分な量で添加される。
【0043】
好ましい処方物をより詳細に見ると、腐食防止剤は、モリブデン、クロム、コバルト、バナジウム、および鉄のような重金属(これらは、優れた腐食防止剤であるが、過酸を分解する傾向がある)を含まない。好ましい腐食防止剤としては、腐食に対して、アルミニウムおよび鋼(ステンレス鋼を含む)を保護するための硫酸塩およびホウ酸塩が挙げられる。8−ヒドロキシキノリンおよびオルト−フェニルフェノールもまた、好ましいアルミニウム腐食防止剤である。有機腐食防止剤(例えば、アゾール、安息香酸塩、トリトリアゾール、およびメルカプトベンゾチアゾール)は、好ましい銅および真鍮の腐食防止剤である。ゼオライトおよびリン酸塩(緩衝系とともに以下に詳細に考察される)もまた、特に、鉄の金属において腐食を防止する。
【0044】
緩衝系は、溶液のpHを、中性近くのpH、好ましくは、6.5〜8、より好ましくは、6.5〜6.6に緩衝する。
【0045】
好ましい実施形態において、緩衝系としては、リン酸塩、特に、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、およびそれらのカリウム等価物が挙げられる。最も好ましくは、緩衝系は、2つ以上のリン酸塩(例えば、リン酸一ナトリウム(比較的酸性である)およびリン酸二ナトリウム(より高いpHを有する))の混合物を含む。比率は、選択されたpHを達成するように決定される。
【0046】
別の実施形態において、緩衝系は、一種のリン酸塩または全てのリン酸塩の代わりに、一種以上のケイ酸ナトリウムまたはゼオライトを含む。ゼオライトは、また、溶液を選択されたpHに緩衝するために使用される。ゼオライトは、汚染された溶液の表面張力を減少させて、汚れ(soil)除去を増加し、そしてプリオン分子をほどくことを補助する界面活性剤として機能するというさらなる利点を有する。ゼオライトは、表面に対するアルカリ攻撃に対して腐食防止を提供するというさらなる利点を有する。ゼオライトは、一般式NaO.(SiOを有し、ここで、xは、シリカ対アルカリの比であり、0.4:1〜4.0:1の範囲であり、好ましくは、1.60:1〜3.25:1の範囲である。適切なゼオライトとしては、商品名AD40NXおよびMETSO(Valley
Forge,PennsylvaniaのPQ Corporationから入手可能)の下で販売されるゼオライトが挙げられる。好ましい組成物は、10〜90重量%のゼオライト、より好ましくは、約20〜50重量%のゼオライトを含む。
【0047】
別の好ましい緩衝液としては、クエン酸またはその塩が挙げられる。
【0048】
希釈水が比較的硬度が高い場合、カルシウム塩およびマグネシウム塩を含み、これは、システムの機器および部品上に沈殿し、堆積物を残す傾向にある。このような沈殿を防ぐために、1種以上のキレーターまたは金属封鎖剤(本明細書中において、キレート剤と一般的に呼ばれる)が、これらの塩において金属を錯体化するために含まれる。適切なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩、ニトリロ三酢酸、およびその塩、ポリアクリル酸ナトリウム、ならびにこれらの組合せが挙げられる。キレート剤(例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム)もまた好ましい。もちろん、溶液が脱イオン水を用いて形成される場合、キレート剤は、排除され得る。種々の水道システムに適合するように、組成物は、好ましくは、合計約1〜30重量%のキレート剤、より好ましくは、10〜15重量%のキレート剤を含む。
【0049】
表面張力低下剤(すなわち、湿潤剤または界面活性剤)は、組成物に添加されて、間隙への浸透を増加し、そしてプリオンフィラメントをほどき、そして開く。種々の表面エネルギー低下剤が企図され、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、および/または双性イオン界面活性剤が挙げられる。好ましい非イオン性湿潤剤としては、脂肪アルコールポリグリコールエステル、ノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、およびエトキシ化ポリオキシプロピレンのような界面活性剤、および他の非イオン界面活性剤が挙げられる。特定の例としては、Genapol、UD−50TM、IGEPALTM、FLUOWETTM、ANTAROXTM、およびPEGOLTMが挙げられる。
【0050】
界面活性剤は、好ましくは、0.01重量%〜約8重量%の量で存在する。
【0051】
10〜20g/リットルの上記の腐食防止剤、緩衝剤、キレート剤、および界面活性剤混合物が、水(好ましくは、脱イオン水または軟水)と混合されて、条件を整える溶液(preconditioning solution)を形成し、これは、45〜60℃、より好ましくは、53〜57℃に加熱され、表面上のタンパク質性物質の条件を整えるために、1〜2分間機器上を循環する。その後、液体過酢酸または反応して過酢酸を形成する試薬を溶液に添加する。例えば、5〜8g/リットルの35%過酢酸により、適切な2,000〜2,500ppmを達成する。あるいは、アセチルサリチル酸およびペルボレートは、溶液に添加されて、反応し、この濃度の過酢酸を生成し得る。
【0052】
過酢酸溶液は、8〜20分、好ましくは、10〜12分間、機器上を循環する。
【0053】
過酢酸溶液での処理後、過酢酸溶液は、排出され、そして機器が、好ましくは、滅菌または微生物を含まないリンス水でリンスされる。リンス後、機器が乾燥される。
【0054】
従って、好ましい処理方法は、以下を含む:プリオン汚染(またはプリオン汚染が疑われる)物質またはデバイスをアルカリ洗浄溶液で処理し、続いて、水でリンスする。次いで、この物質またはデバイスを、前処理溶液(キレート剤、界面活性剤、緩衝系、および腐食防止剤の一つ以上を含む)で処理する。次いで、物質またはデバイスを、前処理溶液に、酸化剤(好ましい実施形態において過酢酸)を添加することによって容易に形成される液体酸化剤で処理する。一回以上のリンス工程が続く。洗浄溶液、水によるリンス、前処理溶液、および液体酸化剤は、好ましくは、それぞれの液体の流れに、汚染された物質またはデバイスを浸すことによって、デバイスまたは物質、あるいは両方の組合せの表面上に液体を噴霧することによって、適用される。
【0055】
次いで、ステンレス鋼器具(例えば、外科用器具)は、微生物が侵入不可能な包装で包装され得、そして表面上の任意の微生物を殺菌するために最終的な滅菌プロセスに供され得る。ステンレス鋼器具について適切な最終滅菌プロセスは、水蒸気滅菌および過酸化水素蒸気処理が挙げられる。水蒸気滅菌を受けられない器具は包装され得、過酸化水素蒸気を使用して最終的に滅菌され得る。
【実施例】
【0056】
本発明の範囲を制限する意図はなく、以下の実施例は、プリオン不活性化および/または除去に対する組成物および条件の効果を示す。
【0057】
(実施例1)
試験片を、プリオンモデル(BSA変性タンパク質)で処理することによって調製した。次いで、この試験片を、1リットルあたり1,000mgの濃度の過酢酸を含む組成物で40〜60℃の温度で処理した。この組成物はまた、界面活性剤系、リン酸緩衝剤系、有機腐食防止剤、およびキレート剤を含んだ。この組成物は、重金属を含まなかった。
【0058】
表4に、この組成物に12分間暴露する間に分解したBSAの量をまとめる。
【0059】
【表4】

結果は、40℃および45℃ではほとんどタンパク質分解が生じなかった(生じてもごく少量)ことを示す。50℃および55℃では、タンパク質は、有効に分解された。60℃では、凝集を示唆する幾らかのタンパク質残基が残っていた。すなわち、約60℃以上の温度では、タンパク質は凝集し、そして過酢酸または他の強酸化剤による攻撃に対して高い抵抗性でもってそれ自体を保護する。
【0060】
過酢酸濃度の同じBSAモデルに対する効果もまた、試験した。BSAモデルにより処理した試験片を、種々の濃度の過酢酸を用い50℃で12分間処理した。結果を表5にまとめる:
【0061】
【表5】

表5の結果は、過酢酸濃度の増加は、モデルの分解を増加させ、そして実際のプリオン分解と類似の相関を有すると予測されることを示す。従って、プリオンの迅速な分解のために、過酢酸濃度は、少なくとも2000ppmで維持されることが示唆される。
【0062】
(実施例2)
回腸液依存生物(IFDO)の形態のプリオンモデルの試験片を、1リットルあたり0〜2,000mgの過酢酸濃度を有する、実施例1に記載の過酢酸処方物で約50℃で処理し、次いで、改変されたマイコプラズマベースの培養液中で培養した。IFDO懸濁物のアリコートを、50℃で、過酢酸溶液1リットルあたり1,000mg、1,500mg、2,000mg、そして2,500mgまで直接加えた。次いで、このモデルを、改変されたマイコプラズマ培養液中で、37℃で48時間インキュベートした。図5は、プリオンモデルの対数 対 時間を、溶液1リットルあたり、0mg; 1,000mg;
1,500mg; 2,000mg;および2,500mgについて示す。実際の機器に対してより高いレベルの物質が、過酢酸を分解し得たので、過酢酸1リットルあたり2,500mgの初期濃度が、好ましい。
【0063】
(実施例3)
回腸液依存生物(IFDO)の形態のプリオンモデルの試験片を、1リットルあたり1,500mgの過酢酸処方物で、種々の温度(25〜60℃の範囲)で処理し、次いで、実施例2に記載のように、改変されたマイコプラズマベースの寒天中で培養した。図6は、それぞれ25℃、30℃、40℃、45℃、50℃、55℃および60℃でのプリオンモデルの対数減少 対 時間を示す。処方物は、50℃より高い温度が最適であったと考えられる。しかし、約60℃より高い温度でのタンパク質凝固の可能性(表4に実証されるように)に起因して、プリオン変性のための最適温度は、50〜60℃、より具体的には、53〜57℃である。
【0064】
(実施例4)
全体の汚染除去プロセスを試験するために、試験片あたり10単位の回腸液依存生物(IFDO)の形態のプリオンモデルの試験片を、水で調製したアルカリ洗浄剤(処方物AおよびB)に直接暴露し、そして30分間ゆっくりと攪拌した。試験片を取り出し、過酢酸1リットルあたり2500mgそして55℃で、過酢酸処方物(実施例1に記載のように)直接暴露し、次いで、実施例2に記載のように、改変されたマイコプラズマベースの寒天中で培養した。
【0065】
結果を表6にまとめる。
【0066】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−203481(P2009−203481A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139622(P2009−139622)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【分割の表示】特願2003−534523(P2003−534523)の分割
【原出願日】平成14年10月4日(2002.10.4)
【出願人】(502042506)ステリス インコーポレイテッド (22)
【Fターム(参考)】