説明

酸素吸収性包装体およびその製造方法

【課題】酸素吸収性フィルムが内部に固定された酸素吸収性包装体を提供する。
【解決手段】少なくとも最内層にヒートシール層を有する多層フィルムAの前記ヒートシール層を対向させ、開口部以外の端縁部がヒートシールされてなる包装体であって、最外層が酸素透過性ヒートシール層であり少なくとも酸素吸収層が積層された酸素吸収性フィルムBを、前記酸素透過性ヒートシール層が外側となるように二つ折りし、前記二つ折りした酸素吸収性フィルムBの切断端面が前記包装体の内部に露出しないように、前記包装体の前記端縁部でヒートシールされていることを特徴とする、酸素吸収性包装体100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素吸収性フィルムを内包した酸素吸収性包装体であり、より詳細には、多層フィルムを製袋してなる包装体の内部に、酸素吸収性フィルムの切断端面が、前記包装体の内側に露出しないように包装体の端縁部でヒートシールされてなる酸素吸収性包装体、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラスチックフィルムを成形してなるフレキシブルなプラスチック包装体が、食品、飲料、調味料、薬剤、化粧品などの収納に多用され、内容物が酸素によって変質しやすい場合に脱酸素剤が同封される場合が多い。しかしながら、脱酸素剤は、雰囲気中の酸素を吸収するものであるため、内容物が液体や半液体の場合に脱酸素剤を同封することは困難である。
【0003】
このような液体を内容物とするものとして、包装体をガスバリア性の低い内側フィルムとヒートシール性を有し、ガスバリア性の高い外側フィルムの二重構造とし、周辺をヒートシールしてなり、前記内側フィルムと外側フィルムとの間に脱酸素剤を挿入した液体用収納体がある(特許文献1)。製袋時に、内側フィルムと外側フィルムとの間に脱酸素剤を挿入した袋とし、内側フィルムのガスバリア性が低く、かつ外側フィルムのガスバリア性が高いため、内容物を前記袋に充填する前に脱酸素剤によって酸素が吸収され、内容物を充填する際には袋内を無酸素状態とすることができる、という。
【0004】
また、未貫通微多孔が穿孔され非貫通の膜部を残したフィルムであって、所定の酸素透過度を有する品質保持剤隔離用の耐液通気性包装材料を使用し、物品を収納したガスバリア性容器の一部に前記耐液通気性包装材料で品質保持剤等を覆う形で接着固定する方法もある(特許文献2)。上記によれば、耐液通気性包装材料を使用するため、液状物品や多水分物品に適用した場合に液体が品質保持剤を濡らしたり、品質保持剤が染みだしたりすることがなく、かつ未貫通微多孔が穿孔され非貫通の膜部を残したフィルムを使用するため、品質保持剤の隔離包装材として十分な通気性を有する、という。
【0005】
また、酸素吸収性の多層フィルムからなる注ぎ口付き脱酸素性容器を使用する方法もある(特許文献3)。特許文献3は、20℃、100%RHにおける酸素透過度が1.0cc・mm/m2・day・atm以下であるガスバリア層と、熱可塑性樹脂中に脱酸素剤組成物を分散してなる酸素吸収樹脂層と、酸素透過性樹脂層とを備えた酸素吸収性多層材料を、酸素透過性樹脂層を最内面にして成形した容器本体に、注ぎ口を備えてなる容器を開示する。この容器は、注ぎ口を容器本体の最内面に直接接着することで、液状又は半液状の内容物を収納しても多層材料の断面に接触することがない構造となっている。すなわち、単に、酸素吸収性樹脂層を備えた多層材料からなる包装体の場合には、開口部に包装体の端面が露出していると内容物の排出時に内容物と前記端面とが接触して酸素吸収樹脂層に含まれる脱酸素剤組成物と接触し、内容物を汚染するなどの問題を鑑みてなされたものである。注ぎ口を包装体に配設することで当該注ぎ口から内容物を注ぎ出すことができ、脱酸素剤組成物との接触による汚染を回避できるという。
【0006】
また、ガスバリア層、酸素吸収層及びシーラント層の少なくとも3層を備えた脱酸素性多層体と、ナイロンMXD6樹脂からなるガスバリア層及びシーラント層の少なくとも2層を備えた透明ガスバリア性多層体とを、シーラント層同士が対面するように合わせてヒートシールしてなる密封包装容器もある(特許文献4)。透明ガスバリア性多層体を使用するため包装容器を開封せずに内容物を確認でき、また脱酸素性多層体を使用するため加熱処理によらず包装容器のガスバリア性を保持できるという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−319454号公報
【特許文献2】特開平6−40464号公報
【特許文献3】特開平9−328142号公報
【特許文献4】特開2000−142815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
食品は、包装体の中の雰囲気中の酸素によって酸化される場合があり、このような酸化はレトルト食品やジャムなどの液体、半固形食品であっても同様である。特に、包装体の上部に空気が残留すると、空気に含まれる残存酸素によって内容物が酸化したり変色する場合がある。これを防止するために、脱酸素剤を同封して雰囲気中の酸素濃度を低減することは有効である。
【0009】
しかしながら、上記特許文献1記載の方法は、包装材料を構成する内側フィルムと外側フィルムとの間に方形の脱酸素剤を挿入し、上記包装体に内容物を充填する前に、前記脱酸素剤によって包装体内の酸素を吸収するものである。脱酸素剤の効力が内側フィルムを経て発揮されるため、脱酸素能が十分に発揮されない場合があり、また、脱酸素能が十分に発揮されないと脱酸素に長時間を必要とし内容物の保持性能が十分に発揮されない場合がある。従って、より酸素吸収性能が速やかに発揮される包装体が望まれる。
【0010】
また、特許文献2記載の方法は、脱酸素剤を特定の耐液通気性包装材料を使用して包装体に固定するものである。脱酸素剤は、製造後、直ちに雰囲気中の酸素の吸収を開始するため、容器に固定する作業中にも脱酸素剤の活性が低下する。一般には、食品などの内容物と共に脱酸素剤が同封かつ密封されるが、脱酸素剤の充填作業には迅速性が要求され、別個に脱酸素剤を接着固定する場合にはなおさらである。従って、包装体の製袋時に、同時に脱酸素剤が固定接着される、酸素吸収性包装体の開発が望まれる。
【0011】
また、特許文献3に記載する酸素吸収性多層材料は、高価である。このため、安価な提供が望まれる調味料、食料品などの包装体として使用すると、製品単価が高くなり、需要者へ安価に供給することが困難となる。しかも、特許文献3では、液状又は半液状の内容物を収納した場合に多層材料の断面に内容物が接触しないように、注ぎ口を配設することも必須である。このため、包装体を製造する際に注ぎ口を装着する工程を含めなければ成らず、製造が複雑となるばかりでなく、更に製品単価も高くなる。しかも、粘度の高い流動物を充填した場合には、内容物の注ぎだしに時間がかかり操作性が低下する場合がある。従って、安価に製造でき、注ぎ口が無くても内容物の変質を回避でき、操作性に優れる酸素吸収性包装体の開発が望まれる。
【0012】
一方、特許文献4に示すように、酸素吸収性を有する脱酸素性多層体を一部に使用し、透明ガスバリア性多層体とを対向して貼り合わせて包装体を製造することもできる。脱酸素性多層体が高価であっても、一部に使用する場合には全体として価格を低減することができる。しかしながら、層構成の異なるフィルムを積層してその端縁部をヒートシールすると、フィルムの伸び率などが異なるため、予め形成した印刷層が徐々にずれるなどの問題が発生する。このような印刷層のずれが生じると、包装体として使用することができず、廃棄率が高くなる。従って、安定かつ簡便に製造できる酸素吸収性包装体およびその製造方法の開発が望まれる。
【0013】
更に、酸素吸収剤や酸素吸収性フィルムは、品質保持剤として使用されるものであり、食品に同封されることで消費者に安心感を与えることができる。内容物は、包装体内の残存酸素によって酸化されまたは変色するため、残存酸素が存在する側に酸素吸収剤や酸素吸収性フィルムが配設される事が好ましく、このような配設が外部から目視できれば安心である。従って、酸素吸収性フィルムなどの配設が外部から目視しうる酸素吸収性包装体およびその製造方法の開発が望まれる。
【0014】
一方、酸素吸収性フィルムは、包装体の開封後にはその使命を終了するため包装体内に残存する必要がない。このため、開封時に、配設した酸素吸収性フィルムが簡便に除去しうる、酸素吸収性包装体の開発が望まれる。
【0015】
更に、内容物によっては、包装体の上部に注出口を配設することが便宜な場合がある。しかしながら、包装体の開口部に保形性がないと、注出の途中で開口部が閉塞しやすく、パウチを圧迫して無理に押し出すと、瞬間的に内容物が勢いよく飛び出して外にこぼす場場合がある。従って、注ぎ口を配設する場合でも、開口部の保形性に優れる、酸素吸収性包装体の開発が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、酸素吸収性包装体について詳細に検討した結果、包装体の内部に酸素吸収性フィルムを配設することで、酸素吸収性に優れる酸素吸収性包装体を製造しうること、前記酸素吸収性フィルムの端面は、酸素吸収性フィルムに積層される金属などの酸素吸収剤用組成物が露出するが、この端面を包装体の内側に露出させずに製袋できれば、酸素吸収剤用組成物による内容物の汚染を回避できること、包装体の開口部に二つ折りにした酸素吸収性フィルムを挿入し、製袋の際に前記酸素吸収性フィルムの端部も合わせてヒートシールすれば、酸素吸収剤用組成物を包装体の内部に露出させず、かつ内容物充填後に残存酸素が多い箇所に酸素吸収性フィルムを配設しうること、包装体を透明フィルムで構成すれば、開口部の近傍に酸素吸収性フィルムが配設されることが目視によって確認できること、このような開口部に注出口を配設すれば、開口部の保形性に優れるため、注ぎだし時の操作性に優れることなどを見出し、本発明を完成させた。
【0017】
すなわち本発明は、少なくとも最内層にヒートシール層を有する多層フィルムの前記ヒートシール層を対向させ、開口部以外の端縁部がヒートシールされてなる包装体であって、最外層が酸素透過性ヒートシール層であり少なくとも酸素吸収層が積層された酸素吸収性フィルムを、前記酸素透過性ヒートシール層が外側となるように二つ折りし、
前記二つ折りした酸素吸収性フィルムの切断端面が前記包装体の内部に露出しないように、前記包装体の前記端縁部でヒートシールされていることを特徴とする、酸素吸収性包装体を提供するものである。
【0018】
本発明は、前記端縁部の一部に注出口が備えられたことを特徴とする、上記酸素吸収性包装体を提供するものである。
本発明は、前記多層フィルムが透明であることを特徴とする、上記酸素吸収性包装体を提供するものである。
【0019】
本発明は、前記二つ折りした酸素吸収性フィルムが除去されるように、前記端縁部に易開封性手段が形成されることを特徴とする、上記酸素吸収性包装体を提供するものである。
【0020】
本発明は、前記酸素吸収性フィルムの酸素吸収層が、熱可塑性樹脂に鉄粉を主剤とする酸素吸収剤組成物であることを特徴とする、上記酸素吸収性包装体を提供するものである。
【0021】
本発明は、前記酸素吸収性フィルムの酸素吸収層が、熱可塑性樹脂に、アスコルビン酸および/またはその塩、イソアスコルビン酸および/またはその塩、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ピロガロール、没食子酸、ロンガリットを主剤とする酸素吸収剤組成物であることを特徴とする、上記酸素吸収性包装体を提供するものである。
【0022】
本発明は、上記酸素吸収性包装体からなる、流動性物品収納用の酸素吸収性包装体を提供するものである。
本発明は、上記酸素吸収性包装体に内容物が充填され、前記開口部がヒートシールされた製品を提供するものである。
【0023】
本発明は、上記製品が、前記内容物としてレトルト食品を充填したものであることを特徴とする、レトルト製品を提供するものである。
本発明は、少なくとも最内層にヒートシール層を有する多層フィルムの前記ヒートシール層を対向させ、前記対向するヒートシール層とヒートシール層の間に、最外層が酸素透過性ヒートシール層であって、少なくとも酸素吸収層が積層された酸素吸収性フィルムを前記酸素透過性ヒートシール層が外側となるように二つ折りし、前記前記二つ折りした酸素吸収性フィルムの切断端面が前記包装体の内部に露出しないように、前記多層フィルムの端縁部を袋状にヒートシールすることを特徴とする、酸素吸収性包装体の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、多層フィルムからなる包装体に酸素吸収性フィルムを併用することで、酸素吸収性に優れる酸素吸収性包装体を製造することができる。
本発明によれば、使用する酸素吸収性フィルムの酸素吸収活性に応じて酸素吸収性フィルムの二つ折り幅を調整することで、簡便に酸素吸収活性を調整することができる。
【0025】
本発明によれば、透明な多層フィルムを使用することで酸素吸収性フィルムの配設位置が外側から目視によって確認できるため、需要者に安心感を付与することができる。
本発明によれば、酸素吸収性フィルムを二つ折りにして包装体の開放端に挿入することで、左右対照、表裏対照の酸素吸収性包装体を製造できるため、安定した製造が可能であり、製造工程における廃棄率を低く抑えることができる。
【0026】
本発明の酸素吸収性包装体において、開口部に注出口を配設したものは、開口部の保形性に優れ、注ぎだし時の操作性に優れる。
本発明によれば、酸素吸収性フィルムが、鉄剤を主成分とする場合には加熱によって酸素吸収活性が増加するため、レトルト食品などに好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の酸素吸収性包装体の好適な態様の一例を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示す本発明の酸素吸収性包装体の側面図(a)、図1のX−X線断面図(b)、開口部(40)の平面図である。
【図3】図3は、本発明の酸素吸収性包装体の好適な態様の一例を示す正面図であり、図1に示す酸素吸収性包装体に注出口が配設された態様を示す正面図である。
【図4】図4は、本発明の酸素吸収性包装体の好適な態様の一例を示す正面図(a)と側面図(b)であり、底部に底部フィルムが挿入されたスタンドパウチ型を説明する図である。
【図5】図5は、本発明の酸素吸収性包装体の好適な態様の一例を示す正面図であり、図4に示す酸素吸収性包装体に注出口が配設された態様を示す正面図である。
【図6】図6は、本発明の酸素吸収性包装体の好適な態様の一例を示す正面図であり、ピロー型を説明する図である。
【図7】図7は、本発明の酸素吸収性包装体の好適な態様の一例を示す正面図であり、図6に示す酸素吸収性包装体に注出口が配設された態様を示す正面図である。
【図8】図8は、本発明の酸素吸収性包装体の好適な態様の一例を示す正面図であり、ガゼットピロー型を説明する図である。
【図9】図9は、図1に示す本発明の酸素吸収性包装体の製造工程を説明する図である。
【図10】図10は、図8に示す本発明の酸素吸収性包装体の製造工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の第一は、少なくとも最内層にヒートシール層を有する多層フィルムの前記ヒートシール層を対向させ、開口部以外の端縁部がヒートシールされてなる包装体であって、最外層が酸素透過性ヒートシール層であり少なくとも酸素吸収層が積層された酸素吸収性フィルムを、前記酸素透過性ヒートシール層が外側となるように二つ折りし、前記二つ折りした酸素吸収性フィルムの切断端面が前記包装体の内部に露出しないように、前記包装体の前記端縁部でヒートシールされていることを特徴とする、酸素吸収性包装体である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0029】
(1)酸素吸収性包装体
本発明の酸素吸収性包装体は、少なくとも最内層にヒートシール層を有する多層フィルムの前記ヒートシール層を対向させ、開口部以外の端縁部がヒートシールされてなる包装体であって、最外層が酸素透過性ヒートシール層であり少なくとも酸素吸収層が積層された酸素吸収性フィルムを、前記酸素透過性ヒートシール層が外側となるように二つ折りし、この二つ折りした酸素吸収性フィルムの切断端面が前記包装体の内部に露出しないように、前記包装体の前記端縁部でヒートシールされたものである。図1に本発明の酸素吸収性包装体の好適な態様の一例の平面図を示す。
【0030】
図1は、平パウチ型の酸素吸収性包装体(100)である。少なくとも最内層にヒートシール層を有する多層フィルム(A)を2枚、前記ヒートシール層を対向させて積層し、開口部(40)以外の二つの側部(20)および底部(30)の3方をヒートシールしてなる本体(10)と、前記開口部(40)に挿入および固定された二つ折りした酸素吸収性フィルム(B)とからなり、前記酸素吸収性フィルム(B)の切断端面が本体(10)の内部に露出しないように、その端部が、開口部(40)、側部(20)でそれぞれヒートシールされている。本発明の酸素吸収性包装体(100)は、ノッチなどによって、側部などのいずれかの包装体の端縁部に、易開封性手段(50)が形成されるものであってもよい。
【0031】
図1に示す包装体(100)の開口部(40)は、内容物を充填できるように、開放されている。図2に、図1に示す包装体(100)の側面図(a)、開口部(40)を少し開いた場合の図1のX−X線断面図(b)、図2(b)の平面図(c)を示す。図2(a)に示すように、本発明の包装体(100)は、2枚の多層フィルム(A)の間に、幅(Bw)で二つ折りした酸素吸収性フィルム(B)が、前記二つ折りの折山(b)が本体(10)の内部に入るように挿入され、かつ本体(10)と前記酸素吸収性フィルム(B)とが、本体(10)の側方(20)でヒートシールされたものである。この際、包装体(100)の開口部(40)は、2枚の多層フィルム(A)のいずれか一方と、前記二つ折りした酸素吸収性フィルム(B)との積層部分と本体(10)の上端でヒートシールされ、前記酸素吸収性フィルム(B)を本体(10)に固定している。従って、図2(b)に示すように、2枚の多層フィルム(A)は側部(20)、底部(30)以外ではヒートシールされておらず、図2(c)に示すように、開口部(40)から内容物を充填することができる。
【0032】
本発明の酸素吸収性包装体は、図3に示すように、図1に示す包装体(100)の開口部(40)に注出口(60)が配設されるものであってもよい。前記酸素吸収性フィルム(B)と共に注出口(60)が熱融着されるため、開口部(40)の保形性に優れ、注出口(60)から内容物を取り出す際の安定性、操作性に優れる。
【0033】
一方、本発明の酸素吸収性包装体は、図4に示すように、開口部(40)に酸素吸収性フィルム(B)が挿入され、かつ底部(30)に底部フィルムを挿入してマチ(33)を形成したスタンドパウチ型であってもよい。図4(a)に平面図を、図4(b)に側面図を示す。符号31は、マチ山である。前記マチが開いて幅広の底部(30)を形成することができ、内容物を収納した後に自立することができる。スタンドパウチ型の場合、パウチ上部に内容物のないデッドスペースが形成され、デッドスペースに残存する酸素によってデッドスペース付近の内容物が酸化されやすい。このため、酸化によって変色しやすい内容物を密封包装すると、デットスペース付近の内容物が他の部分よりも特に変色しやすい。しかしながら、スタンドパウチ型の場合は、デッドスペースの酸素を効率よく吸収できるため、デッドスペース付近の内容物の変色や、味の劣化などを効率的に防止することができる。本発明では、更に、このようなスタンドパウチ型に注出口(60)が配設されるものであってもよい。この態様を図5に示す。
【0034】
更に、本発明では、図6に示すように、二つ折りした酸素吸収性フィルム(B)と共に多層フィルム(A)を背シール(70)したピロー型であってもよい。図6(a)の平面図に示すように、上端を開口部(40)、下端を底部(30)とすれば、前記酸素吸収性フィルム(B)は、二つ折りした酸素吸収性フィルム(B)の折山(b)が本体(10)の内部に挿入され、背シール(70)によって本体(10)内に固定される態様となっている。前記開口部(40)から内容物を充填した後に、前記酸素吸収性フィルム(B)の切断端面が前記包装体の内部に露出しないようにヒートシールして内容物を密封することができる。図6(b)に図6(a)の底面図を示す。本発明では、このようなピロー型に更に注出口(60)を配設することもできる。この態様の平面図を図7に示す。
【0035】
更に、ピロー型として、図8の説明図に示すように、側部(20)をW型に折り込んだ後に、背シール(70)を形成するピローガゼット型であってもよい。
本発明の酸素吸収性包装体(100)は、図1〜図8を用いて説明したように、包装体の端縁部のいずれかに二つ折りした酸素吸収性フィルム(B)が挿入され、酸素吸収性フィルム(B)の端部が包装体(100)の内部に露出しないようにして固定されているため、酸素吸収性フィルム(B)の端部から遺漏しやすい酸素吸収剤による汚染を回避することができる。
【0036】
酸素吸収性フィルムの酸素吸収活性は、使用する酸素吸収性フィルム(B)によって相違する。従って、例えば、図2(b)に示すように、包装体(100)の充填量や残存酸素量を勘案して、酸素吸収性フィルム(B)の二つ折り幅(Bw)を調整することで、好適な酸素吸収活性を確保することができる。
【0037】
本発明の包装体(100)は、内部の残存酸素を効率的に吸収することができる。特に、内容物が液体の場合には、雰囲気と接触する部分で酸化が発生しやすいが、本発明によれば雰囲気部に酸素吸収性フィルム(B)を固定することで雰囲気との接触部分の酸化を効率的に防止することができる。
【0038】
また、本発明の酸素吸収性包装体(100)を構成する多層フィルム(A)が透明であれば、内部に配設した酸素吸収性フィルム(B)を外部から目視することができ、需要者に安心感を与える事ができる。
【0039】
(2)多層フィルム
本発明の酸素吸収性包装体を構成する多層フィルムは、少なくとも最内層にヒートシール層を有する多層フィルムである。最内層にヒートシール層を有すことで、熱融着による製袋を可能にできるからである。なお、内包する酸素吸収性フィルムの性能を効率的に発揮させるため、多層フィルムは、更にガスバリア層が積層されることが好ましく、更に機械的強度を確保するために基材樹脂層を積層するものであってもよい。ガスバリア層や機材樹脂層は、2以上を積層するものであってもよい。なお、ガスバリア層と基材樹脂層との積層順は特に限定されるものではない。
【0040】
本発明で使用する多層フィルムは、従来公知のものを使用してもよい。なお、製造する際には、ガスバリア層や基材樹脂層にヒートシール層を構成する樹脂を溶融押出によって積層し、または、各層を構成するフィルムをラミネート用接着剤を介して接着して製造することができる。
【0041】
(i)ヒートシール層
ヒートシール層としては、熱によって溶融し相互に融着し得る各種のヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂等を使用することができる。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の樹脂からなる1種以上のフィルムもしくはシートまたは塗布膜などを使用することができる。
【0042】
更に、好ましくは、エチレン−メタクリル酸共重合体や、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、メタロセン触媒を使用して重合したエチレンとα−オレフィンとの共重合で得られる直鎖状低密度ポリエチレン(L・LDPE)、超低密度ポリエチレンなどの樹脂である。
【0043】
ヒートシール層は、ガスバリア層にヒートシール性樹脂を溶融押出などによって積層することができるが、ヒートシール性フィルムをラミネート用接着剤などで接着したものであってもよい。
【0044】
上記のヒートシール層は、厚さ5〜60μm、好ましくは10〜30μmが望ましい。この範囲で十分なヒートシール性を確保することができる。
(ii)ガスバリア層
本発明で使用する多層フィルム構成するガスバリア層としては、酸素ガスあるいは水蒸気等の透過を遮断ないし阻止する性質を有する樹脂であり、23℃、60%RHでの酸素透過度が、加熱処理の有無に係らず20cc/m2/atm/day以下、好ましくは10cc/m2/atm/day以下の層である。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ガスバリア性蒸着フィルム、その他を使用することができる。ガスバリア層は、溶融樹脂層であってもよく、予めフィルム状に成形されたガスバリア性フィルムやシートなどであってもよい。
【0045】
(a) ポリビニルアルコール
本発明では、ガスバリア層として、ポリビニルアルコールを好適に使用することができる。ポリビニルアルコールからなるガスバリア層の厚さに制限はないが、好ましくは15〜25μmである。
【0046】
一方、ポリビニルアルコールは単層フィルムとして使用することができるが、水溶性高分子であるため、耐水性に優れる基材フィルムにポリビニルアルコールからなる塗布膜を形成した積層フィルムであってもよい。このような基材フィルムは、後記するガスバリア性積層フィルムの項で記載する基材フィルムを好適に使用することができる。これにより、耐水性を確保することができる。このようなポリビニルアルコール系樹脂としては、株式会社クラレ製のRSポリマーである「RS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)」、同社製の「クラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)」、日本合成化学工業株式会社製の「ゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)」等を例示することができる。
【0047】
(b) エチレン・ビニルアルコール共重合体
本発明では、ガスバリア層として、エチレン・ビニルアルコール共重合体も好適に使用することができる。エチレン・ビニルアルコール共重合体からなるガスバリア層の厚さに制限はないが、好ましくは10〜30μmである。
【0048】
一方、エチレン・ビニルアルコール共重合体は単層フィルムとして使用することができるが、基材フィルムにエチレン・ビニルアルコール共重合体からなる塗布膜を形成した積層フィルムであってもよい。このような基材フィルムは、後記するガスバリア性積層フィルムの項で記載する基材フィルムを好適に使用することができる。これにより、機械的特性など基材フィルムに応じた各種の特性を向上させることができる。このようなエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、株式会社クラレ製、「エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)」、日本合成化学工業株式会社製、「ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)」等を例示することができる。
【0049】
(c) ガスバリア性蒸着フィルム
本発明で使用するガスバリア層として、基材フィルムの一方の面に有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜を設けたガスバリア性蒸着フィルムを使用することができる。
【0050】
前記基材フィルムとしては、ポリエステル系樹脂、またはポリアミド系樹脂を好適に使用することができる。基材フィルムの膜厚としては、6〜100μm、より好ましくは、9〜50μmである。前記基材フィルムには、コロナ放電処理などの表面処理がなされていてもよい。
【0051】
また、前記有機珪素化合物、金属または金属酸化物としては、化学気相成長法、物理気相成長法またはこれらを複合して、有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができる。化学気相成長法による蒸着膜の膜厚は、50Å〜4000Åが好適である。なお、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスとしては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。また、物理気相成長法による場合、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。好ましくは、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物を蒸着することが好ましい。
【0052】
また、ガスバリア性蒸着フィルムとして、基材フィルムの一方の面に有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜を設け、前記蒸着膜上に、更に、一般式R1nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を設けたものを使用することもできる。ガスバリア性塗布膜をポリビニルアルコール系樹脂またはエチレン・ビニルアルコール共重合体と1種以上のアルコキシドとが相互に化学的に反応して強固な三次元網目状複合ポリマー層を形成しており、前記蒸着膜とが相乗的に作用し、酸素、水蒸気などの透過を阻止するガスバリア性に優れ、耐熱水性にも優れる。
【0053】
前記ガスバリア性塗布膜は、一般式R1nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合してなるガスバリア性組成物からなる塗布膜であり、該組成物を上記基材フィルム上の蒸着膜の上に塗工して塗布膜を設け、20℃〜180℃、かつ上記の基材フィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理して形成することができる。
【0054】
上記したガスバリア性蒸着フィルムは、厚さ10〜100μmであることが好ましい。なお、このようなガスバリア性積層フィルムは、市販品を使用してもよい。例えば、大日本印刷株式会社製、商品名「IB−PET−PUB」や、商品名「IB−PET−PC」などの「IBPET」シリーズがある。
【0055】
(d)その他
上記以外のガスバリア層としては、ナイロンMXD6樹脂、金属箔がある。ナイロンMXD6樹脂は、他のポリアミドとの混合樹脂であってよい。ナイロンMXD6樹脂は、透明であるため、内容物を外観から判断できる点で好ましい。また、金属箔としては、アルミニウムなどがある。アルミニウム箔であれば、酸素ガスバリア性と共に遮光性も確保することができる。
【0056】
(iii)基材樹脂層
本発明では、更に、機械的強度を確保するため、基材樹脂層を更に積層するものであってもよい。基材樹脂層は、溶融樹脂層であってもよく、予めフィルム状に成形されたガスバリア性フィルムやシートなどであってもよい。基材樹脂層は、多層フィルムに2以上が積層されるものであってもよい。
【0057】
基材樹脂層としては、ポリアミド系樹脂またはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂を使用することができる。
ポリアミド系樹脂としては、脂肪族ポリアミドであっても、芳香族ポリアミドであっても、これらを混合した組成物であってもよい。好ましいポリアミドの具体例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリ‐ε‐アミノへプタン酸(ナイロン7)、ポリ‐ε‐アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2・6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4・6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6・6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6・10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6・12)、ポリオクタメチレンドデカミド(ナイロン8・12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8・6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10・6)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン10・10)、ポリドデカメチレンドデカミド(ナイロン12・12)、メタキシレンジアミン‐6ナイロン(MXD6)などを挙げることができ、これらを主成分とする共重合体であってもよく、その例としては、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジぺート共重合体、ラウリンラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジぺート共重合体、ヘキサメチレンジアンモニウムアジぺート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体、エチレンジアンモニウムアジぺート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジぺート共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジぺート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体などを挙げることができる。これらのポリアミドには、フィルムの柔軟性改質成分として、芳香族スルホンアミド類、p‐ヒドロキシ安息香酸、エステル類などの可塑剤や低弾性率のエラストマー成分やラクタム類を配合することも有効である。ポリアミド系樹脂は、比重1.14〜1.22g/m3であることが好ましい。
【0058】
また、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートを好適に使用することができる。ポリエステル系樹脂は、比重1.00〜1.41g/m3であることが好ましい。
【0059】
本発明において、上記基材樹脂層の膜厚としては、5〜25μm、より好ましくは、5〜15μmが望ましい。
なお、上記基材樹脂層の製膜化に際して、例えば、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、離形性、難燃性、抗カビ性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
【0060】
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0061】
(iv)印刷層
本発明では、多層フィルムを構成するいずれかの層に印刷層を形成してもよく、好ましくは上記基材樹脂層に印刷層を形成することである。裏印刷によれば印刷層を保護することができる。
【0062】
印刷層としては、通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整して得たインキ組成物を使用することができる。このようなインキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他などの1種または2種以上を併用することができる。
【0063】
印刷方法は、グラビア印刷のほか、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式であってもよい。
(v)ラミネート用接着剤
上記において、基材樹脂層、ガスバリア層、ヒートシール層とを積層するためにラミネート用接着剤を使用してもよい。ラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルへキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンーブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他等の接着剤を使用することができる。
【0064】
上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。
【0065】
上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法、あるいは、印刷法等によって施すことができ、そのコーティング量としては、0.1〜10.0g/m2(乾爆状態)位が望ましい。
【0066】
(vi)層構成
本発明で使用する多層フィルムとしては、上記ヒートシール層、ガスバリア層、基材樹脂層とを積層したものを好適に使用することができ、積層に際してはアンカーコート剤などを使用してもよい。好ましい層構成として以下がある。ただし、これらに限定されるものではない。なお、IBPETは、大日本印刷株式会社製のガスバリア性フィルムであり、アルミナ蒸着またはシリカ蒸着されたPETであり、IBONは、大日本印刷株式会社製のガスバリア性フィルムであり、アルミナ蒸着またはシリカ蒸着されたONであり、ONは二軸延伸ナイロン、PEはポリエチレン、PPはポリプロピレン、PETはポリエチレンテレフタレート、EVOHはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物である。以下は、外層から内層に向かう積層順を示す。
【0067】
(a)アルミニウム蒸着PETまたはIBPET/接着剤/PP(またはPE)、
(b)アルミニウム蒸着PETまたはIBPET/アンカーコート剤/押出PP(または押出PE)、
(c)アルミニウム蒸着PETまたはIBPET/接着剤/ON/接着剤/PP(またはPE)、
(d)アルミニウム蒸着PETまたはIBPET/接着剤/ON/アンカーコート剤/押出PP(または押出PE)、
(e)アルミニウム蒸着ONまたはIBBON/接着剤/PP(またはPE)、
(f)アルミニウム蒸着ONまたはIBBON/アンカーコート剤/押出PP(または押出PE)、
(g)アルミニウム蒸着ONまたはIBBON/接着剤/PET/アンカーコート剤/押出PP(または押出PE)、
(h)ON/接着剤/アルミニウム蒸着PETまたはIBPET/接着剤/PP(またはPE)、
(i)ON/接着剤/アルミニウム蒸着PETまたはIBPET/アンカーコート剤/押出PP(または押出PE)、
(j)ON/接着剤/アルミニウム蒸着PETまたはIBPET/接着剤/PP(またはPE)、
(k)アルミニウム蒸着PETまたはIBPET/接着剤/PET/接着剤/PP(またはPE)、
(l)PET/接着剤/EVOH/接着剤/PP(またはPE)、
(m)PET/接着剤/EVOH/アンカーコート剤/押出PP(または押出PE)、
(n)ON/接着剤/EVOH/接着剤/PP(またはPE)、
(o)ON/接着剤/EVOH/アンカーコート剤/押出PP(または押出PE)、
(p)ON/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/PP(またはPE)、
(q)ON/接着剤/アルミニウム箔/アンカーコート剤/押出PP(または押出PE)、
(r)PET/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/PP(またはPE)、
(s)PET/接着剤/アルミニウム箔/アンカーコート剤/押出PP(または押出PE)、
(t)PET/接着剤/ON/接着剤/EVOH/接着剤/PP(またはPE)、
(u)PET/接着剤/ON/接着剤/EVOH/アンカーコート剤/押出PP(または押出PE)、
(v)PET/接着剤/ON/接着剤/アルミニウム箔/アンカーコート剤/押出PP(または押出PE)、
(w)PET/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ON/接着剤/PP(またはPE)、
(x)PET/接着剤/ON/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/PP(またはPE)、
(y)PET/接着剤/EVOH/接着剤/ON/接着剤/PP(またはPE)、
(z)PET/接着剤/ON/接着剤/EVOH/接着剤/PP(またはPE)
(3)酸素吸収性フィルム
本発明の酸素吸収性包装体で使用する酸素吸収性フィルムは、最外層が酸素透過性ヒートシール層であって、少なくとも酸素吸収層が積層された酸素吸収性フィルムである。酸素吸収性能は、0.1cc/m2以上であることが好ましい。このような酸素吸収性フィルムとしては、従来公知のものを使用することができる。また、製造する場合には、酸素透過性ヒートシール層と酸素吸収層とを、最外層を酸素透過性ヒートシール層となるように積層して製造することができる。なお、本発明で使用する酸素吸収性フィルムは、更に、上記酸素吸収性能を阻害しない範囲で、他の層を積層するものであってもよい。
【0068】
(i)酸素透過性ヒートシール層
本発明で使用する酸素透過性ヒートシール層としては、従来公知のヒートシール層を使用することができる。一般に、ヒートシール層はガスバリア性がなく、酸素透過性に優れる。前記酸素吸収性フィルムで好適に使用できる酸素透過性ヒートシール層としては、上記多層フィルムの項で記載したヒートシール層を同様に使用することができる。ヒートシール層は、酸素吸収層にヒートシール性樹脂を溶融押出などによって積層することができるが、ヒートシール性フィルムをラミネート用接着剤などで接着したものであってもよい。
【0069】
上記のヒートシール層は、厚さ5〜60μm、好ましくは10〜30μmが望ましい。この範囲で十分なヒートシール性を確保することができる。
(ii)酸素吸収層
本発明では、酸素吸収性フィルムを構成する酸素吸収層は、上記した酸素吸収性能を有するものを広く使用することができる。例えば、鉄系酸素吸収剤を好適に使用することができる。酸素吸収層は、各成分の組成や酸素吸収層の厚さを選択することで、上記した酸素吸収性能を発揮することができる。
【0070】
前記酸素吸収層として、熱可塑性樹脂に鉄系酸素吸収剤を配合した酸素吸収剤を好適に使用することができる。この酸素吸収剤は、鉄粉を主剤とし、酸素吸収促進剤としてハロゲン化金属を配合した酸素吸収剤組成物が好ましい。
【0071】
前記金属粉として鉄粉が好ましく、金属鉄としては、還元鉄粉、海面鉄粉、噴霧鉄粉、鉄研削粉、電解鉄粉、粉砕鉄等に代表される鉄粉を用いることができ、不純物としての酸素および珪素等の含量が少なく、金属鉄含量95質量%以上の鉄粉が特に好ましい。粒子の大きさは、平均粒径が200μm以下のものが好ましく、50μm以下が特に好ましい。
【0072】
ハロゲン化金属は、熱可塑性樹脂中で金属鉄の酸素吸収反応に触媒的に作用するものであり、金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、銅、亜鉛、アルミニウム、スズ、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。特に、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉄が好ましい。また、ハロゲン化物としては、塩素化物、臭素化物、ヨウ素化物があり、特に塩素化物が好ましい。本発明では鉄粉にハロゲン化金属水溶液を混合した後、乾燥して水分を除去して調整される、ハロゲン化アルキル金属またはハロゲン化アルキル土類金属を被覆した鉄粉組成物を好適に使用することができる。
【0073】
ハロゲン化金属の量は、金属鉄100質量部あたり、0.1〜20質量部が好ましい。ハロゲン化金属の実質的に全量が金属鉄に付着して、熱可塑性樹脂中に遊離しているハロゲン化金属が殆どなく、ハロゲン化金属が有効に作用する際には、0.1〜5質量部で十分である。
【0074】
上記ハロゲン化金属は、熱可塑性樹脂中で金属鉄と容易に分離しない方法で添加することが好ましく、例えば、ボールミル、スピードミル等を用いて、粉砕かつ混合し、金属鉄表面の凹部にハロゲン化金属微粒子を埋め込む方法や、バインダーを用いて金属鉄表面にハロゲン化金属微粒子を付着させる方法、ハロゲン化金属水溶液と金属鉄とを混合乾燥して金属鉄表面にハロゲン化金属微粒子を付着させる方法が好ましい。好ましい酸素吸収剤は、鉄粉とハロゲン化金属を含む鉄粉系組成物であり、特に好ましくは、鉄粉にハロゲン化金属を付着させたハロゲン化金属被覆鉄粉系組成物である。
【0075】
酸素吸収層に用いられる熱可塑性樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン類、ポリスチレン等のポリスチレン類およびこれらの変性物、EVA、EMMA、EAA等の各種エチレン類共重合体、エラストマー類等の熱可塑性樹脂、シリコン樹脂とのグラフト重合物、アイオノマー、エラストマー、ポリカーボネート、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が好ましく、これらの混合樹脂であってもよい。
【0076】
酸素吸収剤の配合率は、10〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜60質量%である。配合率が低すぎると、酸素吸収性能が低下し、また高すぎると加工性が低下する。膜厚は、20〜100μmの範囲とすることが好ましく、特に好ましくは30〜80μmの範囲である。
【0077】
これらの樹脂は単独または適宜ブレンドして用いられる。また酸素吸収層には上記鉄系酸素吸収剤に、必要に応じて酸化チタン等の着色顔料、酸化防止剤、スリップ剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、安定剤などの各種添加剤、クレー、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ等の充填剤、消臭剤、活性炭やゼオライト等の吸着剤を添加してもよい。
【0078】
(4)易開封性手段
本発明の酸素吸収性包装体には、側部や開口部などの端縁部に易開封性手段を形成することができる。
【0079】
このような易開封性手段は、図1に示すように、本体(10)に挿入および固着させた二つ折りした酸素吸収性フィルム(B)より下方に形成することが好ましい。開封の際に二つ折りした酸素吸収性フィルム(B)を容易に除去することができる。これにより、前記酸素吸収性フィルム(B)に邪魔されることなく、内容物の取り出しを行うことができる。
【0080】
易開封性手段は、端縁部に形成したノッチなどであればよい。その他、レーザー光照射などによるハーフカット線、或いは、カットテープの貼着などがある。
ハーフカット線を設ける場合、直線状のハーフカット線に限らず、ミシン目状など断続的なハーフカット線で設けることもできる。なお、前記ノッチは、通常、一字形やV字形のノッチが利用されているが、形状は特に限定されず、切り取り方向に尖った部分を有する形状であれば何でも使用することができる。
【0081】
(5)注出口
本発明の酸素吸収性包装体(100)としては、本体(10)に注出口を配設するものであってもよい。本発明の酸素吸収性包装体(100)は、内容物としてスープや調味料などの液体に好適に使用できるため、注出口を配設することで、前記注出口から内容物を取り出すことができる。
【0082】
このような注出口の形状は特に限定されず、従来公知の注出口を好適に使用することができる。本発明において、注出口(60)の配設位置は特に限定されず、図3に示す平パウチや図5に示すスタンドパウチの場合には、酸素吸収性包装体(100)の開口部(40)に配設される事が好ましい。開口部(40)には、二つ折りした酸素吸収性フィルム(B)が挿入されており、開口部(40)が肉厚に構成され、注出口が開口部(40)に安定して固着される。同様に、図7に示すピロー型の場合にも、開口部(40)に注出口(60)を装着することができる。なお、本発明の酸素吸収性包装体(100)において、注出口が配設される場合には、易開封性手段(50)は、不要である。
【0083】
(6)包装体の製造方法
本発明の酸素吸収性包装体(100)は、上記構成であれば特に製造方法に限定はない。しかしながら、前記多層フィルムのヒートシール層を対向させ、前記対向するヒートシール層とヒートシール層の間に、前記酸素吸収性フィルムの酸素透過性ヒートシール層が外側となるように二つ折りし、この二つ折りした酸素吸収性フィルムを挿入し、酸素吸収性フィルムの切断端面が前記包装体の内部に露出しないように、前記多層フィルムの端縁部を袋状にヒートシールすれば、三方シール型、四方シール型、スタンディング型、ピロー型、ピローガセット型も連続的に製造することができる。これに注出口部やその側部の切り欠き部、ノッチ、ハーフカット線などの易開封性手段の加工工程を更に含めることができる。
【0084】
たとえば、図1に示す酸素吸収性包装体(100)が連設される態様を図9に示す。例えば、シール装置に、酸素吸収性包装体(100)の縦方向の長さの2倍の幅の多層フィルム(A)の原反ロールを装着し、原反ロールの多層フィルム(A)を幅方向が同じ幅になるように半裁し、片方の多層フィルム(A)を反転させ、前記2枚の多層フィルム(A)のヒートシール層が対向するよう供給する。更に、この2枚の多層フィルム(A)の間の開口部(40)となる部分に酸素吸収性フィルム(B)を半折板などの折り返し機構によって二つ折りしたのちに挿入し、一対のシールロールによって底部(30)と開口部(40)とをシールする。開口部(40)を形成するシールの際には、前記した二つ折りした酸素吸収性フィルム(B)と一枚の多層フィルム(A)のみが接着するよう、一方の多層フィルム(A)と酸素吸収性フィルム(B)との間に邪魔板を挿入する。ついで、得られた筒状フィルムの幅方向にシールして側部(20)を形成する。その後、側部(20)間を切断すれば、個別の酸素吸収性包装体(100)を製造することができる。
【0085】
上記方法によれば、酸素吸収性フィルム(B)の切断端を、包装体の内部に開放することなく連続的に酸素吸収性包装体(100)を製造することができる。しかも、供給する酸素吸収性フィルム(B)の幅を変更することで、得られる酸素吸収性包装体(100)の酸素吸収性能を容易に変更することができる。なお、挿入する酸素吸収性フィルム(B)の幅は、酸素吸収性フィルム(B)の酸素吸収性能や酸素吸収性包装体(100)の充填量によって適宜選択することができる。また、一つのロールで半裁しながら供給するインライン方式のため、二つのロールから別々に供給するとピッチがずれて印刷柄が合わなくなる場合があるが、このような不都合を回避することができる。
【0086】
また、図4に示すスタンドパウチの場合は、シール装置に、酸素吸収性包装体(100)の縦方向の長さの2倍の幅の多層フィルム(A)の原反ロールを装着し、原反ロールの多層フィルム(A)を幅方向が同じ幅になるように半裁し、片方の多層フィルム(A)を反転させ、前記2枚の多層フィルム(A)のヒートシール層が対向するよう供給する。更に、この2枚の多層フィルム(A)の間の開口部(40)となる部分に酸素吸収性フィルム(B)を半折板などの折り返し機構によって二つ折りしたのちに挿入し、底部(30)となる部分に、前記多層フィルム(A)からなる底部フィルムを挿入し、一対のシールロールによって底部(30)と開口部(40)とをシールする。なお、開口部(40)を形成するシールの際には、前記した二つ折りした酸素吸収性フィルム(B)と一枚の多層フィルム(A)のみが接着するよう、一方の多層フィルム(A)と酸素吸収性フィルム(B)との間に邪魔板を挿入する。ついで、得られた筒状フィルムの幅方向にシールして側部(20)を形成する。その後、側部(20)間を切断すれば、個別の酸素吸収性包装体(100)を製造することができる。また、図1に示す平パウチと同様に、一つのロールで半裁しながら供給するインライン方式のため、二つのロールから別々に供給するとピッチがずれて印刷柄が合わなくなる場合があるが、このような不都合を回避することができる。
【0087】
図6に示すピロー型の場合は、従来のピロー製袋機に多層フィルム(A)と酸素吸収性フィルム(B)とを供給し、背シール(70)部に酸素吸収性フィルム(B)を二つ折りして挿入し、多層フィルム(A)と酸素吸収性フィルム(B)とを一緒に背シール(70)して製造することができる。
【0088】
図10に、図8に示すピローガゼット型の製造工程を示す。ピロー製袋機に、多層フィルム(A)と酸素吸収性フィルム(B)とを供給する。図10(a)に示すように、ヒートシール層を内側にしてプレート(110)を包むように前記多層フィルム(A)を装着し、図10(b)に示すように前記プレート(110)の上部であって前記多層フィルム(A)の外側左右からプレート(120,120')を挿入して多層フィルム(A)を折り返す。ついで、図10(c)に示すように、前記多層フィルム(A)の内側であって、前記にプレート(120,120')の上方にプレート(130)を挿入し、図10(d)に示すように、前記プレート(130)の上に二つ折りした酸素吸収性フィルム(B)を載置する。ついで、図10(e)に示すように、前記フィルム(A)の両端のヒートシール層同士の間に二つ折りした酸素吸収性フィルム(B)をはさんで背シールを形成し、この背シールを一方に(外側に)倒して筒状フィルムを形成する。
【0089】
ついで、マチ部が折り込まれた筒状フィルムにおいて、その最内層のヒートシール層を利用して加熱分熱シールヘッドによる熱圧着、または超音波シール方式などで、底シール(30)および開口部(40)をシールし、ピローガゼット型の酸素吸収性包装体(100)を製造することができる。
【0090】
注出口を装着する場合には、得られた本体(10)の上部端縁部の開口部(40)に、注出口(60)の接着基部を挿入して熱融着すればよい。得られた注出口付き包装体の注出口から内容物を充填し、キャップを閉めて、内容物を充填した注出口付き充填体を製造することができる。
【0091】
本発明では、注出口としてキャップ巻締め済み品を使用する場合には、筒状フィルムの上部から内容物を充填し、その後注出口を装着することができる。
例えば、上記と同様にしてピローガゼット本体(A)を得た後に、筒状フィルムの上部開放端から内容物を充填する。ついで、注出口(B)を、前記ピローガゼット本体(A)の上部端縁部の正面部(10)と背面部(20)との間にその接着基部を挿入し、筒状フィルムの最内層のヒートシール層を利用して加熱分熱シールヘッドによる熱圧着、または超音波シール方式などで上部シールする。これにより、内容物を充填した製品を製造することができる。なお、本体(10)の底部(30)から内容物を充填し、内容物を充填した製品とすることもできる。
【0092】
(7)用途
本発明の酸素吸収性包装体は、包装体内に酸素吸収性フィルムが固定されているため、内容物の品質保持性に優れる。酸素吸収性フィルムは、従来の酸素吸収剤よりも耐水性に優れるため、液体などの流動体を内容物とする場合に好適に使用することができる。
【0093】
本発明の酸素吸収性包装体に充填する内容物としては、液体や半流動体などの充填に好適である。このような内容物として、カレーやスープなどのほか、醤油、ソース、マヨネーズ、パスタソースなどの調味料、フルーツのシロップ煮、ジャムなどを例示することができる。
【0094】
本発明では、酸素吸収性フィルムを構成する酸素吸収剤組成物が鉄などを主成分とする場合は、加熱によって酸素吸収活性を発揮するため、充填後に加熱処理が必要なカレーやスープなどのレトルト食品用の包装体として好適である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明によれば、流動性の内容物を充填する際に好適な酸素吸収性包装体であり、レトルト食品やジャム、調味料などの収納に好適であり、有用である。
【符号の説明】
【0096】
10・・・酸素吸収性包装体の本体、
20・・・酸素吸収性包装体の側部、
30・・・酸素吸収性包装体の底部、
40・・・酸素吸収性包装体の開口部、
50・・・酸素吸収性包装体の易開封性手段、
60・・・注出口、
100・・酸素吸収性包装体、
A・・・多層フィルム、
B・・・酸素吸収性フィルム、
b・・・酸素吸収性フィルムの折山

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも最内層にヒートシール層を有する多層フィルムの前記ヒートシール層を対向させ、開口部以外の端縁部がヒートシールされてなる包装体であって、
最外層が酸素透過性ヒートシール層であり少なくとも酸素吸収層が積層された酸素吸収性フィルムを、前記酸素透過性ヒートシール層が外側となるように二つ折りし、
前記二つ折りした酸素吸収性フィルムの切断端面が前記包装体の内部に露出しないように、前記包装体の前記端縁部でヒートシールされていることを特徴とする、酸素吸収性包装体。
【請求項2】
前記端縁部の一部に注出口が備えられたことを特徴とする、請求項1記載の酸素吸収性包装体。
【請求項3】
前記多層フィルムが透明であることを特徴とする、請求項1または2記載の酸素吸収性包装体。
【請求項4】
前記二つ折りした酸素吸収性フィルムが除去されるように、前記端縁部に易開封性手段が形成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の酸素吸収性包装体。
【請求項5】
前記酸素吸収性フィルムの酸素吸収層が、熱可塑性樹脂に鉄粉を主剤とする酸素吸収剤組成物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の酸素吸収性包装体。
【請求項6】
前記酸素吸収性フィルムの酸素吸収層が、熱可塑性樹脂に、アスコルビン酸および/またはその塩、イソアスコルビン酸および/またはその塩、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ピロガロール、没食子酸、ロンガリットを主剤とする酸素吸収剤組成物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の酸素吸収性包装体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の酸素吸収性包装体からなる、流動性物品収納用の酸素吸収性包装体。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかの酸素吸収性包装体に内容物が充填され、前記開口部がヒートシールされた製品。
【請求項9】
請求項8記載の製品が、前記内容物としてレトルト食品を充填したものであることを特徴とする、レトルト製品。
【請求項10】
少なくとも最内層にヒートシール層を有する多層フィルムの前記ヒートシール層を対向させ、
前記対向するヒートシール層とヒートシール層の間に、最外層が酸素透過性ヒートシール層であって、少なくとも酸素吸収層が積層された酸素吸収性フィルムを前記酸素透過性ヒートシール層が外側となるように二つ折りし、
前記前記二つ折りした酸素吸収性フィルムの切断端面が前記包装体の内部に露出しないように、前記多層フィルムの端縁部を袋状にヒートシールすることを特徴とする、酸素吸収性包装体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−66846(P2012−66846A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213467(P2010−213467)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】