説明

酸素濃淡電池

【課題】ステンレス鋼の製造途中で生成するスラグ含有溶鋼中の酸素活量に応じた起電力を安定して測定できる酸素濃淡電池を提供する。
【解決手段】酸素濃淡電池10は、基準極12と、金属モリブデン製の正極14とを有する。基準極12と正極14との間隔X(mm)は、溶鋼温度T(℃)と、溶鋼1tあたりのスラグ質量(kg)に応じた式(1):X≧0.03×W+2を満たす。また、正極14の直径D(mm)は、式(2):D≧0.01×T−14.0を満たす。この酸素濃淡電池10は、両極の間隔Xと正極14の直径Dが適正に調整されているため、両極間でのスラグの噛み込みやステンレス溶鋼中への正極14の溶出が抑制されるから、高温のスラグ含有溶鋼中でも酸素活量に応じた正確な起電力を安定して測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステンレス鋼の製造途中で生成するスラグ含有溶鋼中の酸素活量に応じた起電力を測定する酸素濃淡電池に関する。
【背景技術】
【0002】
ステンレス鋼は、自動車用部材や建築・住宅材料、家電用部材など、幅広い分野で利用されているが、近年、フラットパネルディスプレイ(FPD)や燃料電池のセパレータのような従来のステンレス鋼では使われにくかった電子部品としての用途展開が期待されている。そこで、現在、ステンレス鋼には、当該用途展開が可能な高機能化・高品質化が強く求められている。
【0003】
ステンレス鋼の特性を変える有用な方法としては、ステンレス溶鋼中に微量の金属元素を添加し、ステンレス鋼の金属組織を制御する方法がある。ステンレス鋼の特性を変える添加元素としては、Al、Si、Mg、Tiなどが知られており、例えば、AlまたはSiは、ステンレス鋼の溶接性を向上させる。
【0004】
ところで、固体の鋼に酸素は溶けないが、鋼が溶解した溶鋼には酸素が非常に溶けやすいため、ステンレス溶鋼中には酸素が多量に存在する。当該酸素としては、例えば、O2−のようにイオンで存在するものもあれば、Crのように酸化物として存在するものもある。前記Al、Si、およびMgのような金属元素はいずれも酸素との親和力が強いため、溶鋼中の酸素と反応して酸化物を形成しやすい。上記反応が起こるほど、AlやSiによるステンレス鋼の組成設計が阻害されるため、所望の特性をステンレス鋼に付与することが困難となる。
【0005】
また、ステンレス溶鋼中の酸素量は、成形品であるステンレス鋼板の電気的・機械的特性、また加工性にも大きく影響する。よって、ステンレス鋼の高機能化・高品質化を行うためには、高精度の組成設計を実現させる観点から、ステンレス溶鋼中の酸素量、すなわち酸素活量を正確に知ることが非常に重要となる。実際、特許文献1には、ステンレス溶鋼中の酸素活量を測定し、その測定値から見積もられるAlやSiの必要量に応じて組成設計を適宜行うことにより、高品質のステンレス鋼を製造し得る方法が記載されている。
【0006】
ステンレス溶鋼中の酸素活量の測定には、酸素濃淡電池の原理を利用した酸素センサが主に使われている。酸素センサは、酸素濃淡電池と、溶鋼温度を測定する温度センサとを具備する形態が一般的である。この酸素濃淡電池としては、例えば、特許文献2で開示されているような、酸素イオン導電性を有する固体電解質で覆われた基準極、およびこの基準極と対をなす正極とで構成されたものが典型である。また、酸素センサは、酸素センサを溶鋼に浸漬させた際に酸素濃淡電池で検出される起電力E(V)と、温度センサで測定される溶鋼温度T(℃)とに基づき、下記ネルンストの式にしたがって算出される酸素分圧から溶鋼中の酸素活量を得る。
E=(RT/nF)In(P/P
本式中において、
Rは、気体定数であり、
nは、反応に含まれる電子数、すなわちn=4であり、
Fは、ファラデー定数であり、
は、ステンレス溶鋼中の酸素分圧であり、
は、基準の酸素分圧である。
【0007】
酸素濃淡電池によりステンレス溶鋼中の起電力が検出される原理は以下の通りである。酸素イオンが存在するステンレス溶鋼中に酸素濃淡電池を浸漬すると、当該酸素イオンは酸素イオン導電性を有する固体電解質を通過して、固体電解質で覆われた基準極に達する。その結果、基準極と正極との間には、酸素分圧の差が生じる。この際、基準極では2O2−→2O+4e(酸化反応)が起こるとともに、正極ではO+4e→2O2−(還元反応)が起こるため、両極間には酸素分圧の差に応じた起電力E(V)が発生する。最後に、当該起電力E(V)が電圧計などで読み取られる。以上より、酸素濃淡電池によってステンレス溶鋼中の起電力が検出される。
【特許文献1】特許第3993032号公報
【特許文献2】特開昭58−014052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の通り、酸素濃淡電池を利用した酸素センサを使ってステンレス溶鋼中の酸素活量を正確に測定するためには、ステンレス溶鋼中の正確な起電力および溶鋼温度を知る必要がある。酸素濃淡電池で測定される「正確な起電力」とは、酸素濃淡電池を溶鋼中に浸漬させてから一定時間、継続的に安定した波形として測定される起電力をいう。
【0009】
しかしながら、ステンレス鋼の製造工程において、ステンレス溶鋼の表面には、CaO、TiO、Cr、MgO、Al、FeO、SiOのような酸化物を含むスラグ相が形成される。このようなスラグ相を含有するステンレス溶鋼(「スラグ含有溶鋼」ともいう)中の起電力を従来の酸素濃淡電池を使って測定すると、例えば、図6に示すように、起電力の波形が時間を経ても安定しないため、正確な起電力を測定することができないことがあった。この原因として、基準極と正極との間にスラグの噛み込みが発生することによって両極間に発生する起電力の測定が困難になることが考えられる。
【0010】
また、1600℃以上のような高温のステンレス溶鋼を測定対象とする従来の酸素濃淡電池には、耐熱性の観点から高融点材料である金属モリブデン製の正極が一般的に使われている。しかしながら、溶鋼温度が1600〜1750℃程度の場合、起電力の測定中に金属モリブデン製の正極がステンレス溶鋼に溶け出し、正確な起電力を検出することが難しいという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、溶鋼温度が1600℃以上の高温なスラグ含有溶鋼であっても、当該溶鋼中の酸素活量に応じた起電力を正確かつ安定して測定することができる酸素濃淡電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題に鑑見て、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、酸素濃淡電池の基準極と正極との間隔および、正極の直径を最適化することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、上記課題は、本発明の酸素濃淡電池によって解決される。
[1] ステンレス鋼の製造途中で生成するスラグ含有溶鋼中の酸素活量に応じた起電力を測定する酸素濃淡電池であって、
基準極と、金属モリブデン製の正極と、を有し、
前記基準極と前記正極との間隔Xと、前記正極の直径Dとは、下記の式(1)、(2)を満たす、酸素濃淡電池。
X≧0.03×W+2 ・・・・(1)
前記式(1)中の、
Xは、前記基準極と正極との間隔[mm]を表し、
Wは、前記スラグ含有溶鋼1tにあたりに含有するスラグ質量(10≦W[kg]≦100)を表す。
D≧0.01×T−14.0 ・・・・(2)
前記式(2)中の、
Dは、正極の直径[mm]を表し、
Tは、溶鋼温度(1600≦T[℃]≦1750)を表す。
[2] 前記スラグは、その総質量あたり10質量%以下のCrおよび、3〜30質量%のMgOを含む、[1]に記載の酸素濃淡電池。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、溶鋼温度が1600℃以上の高温なスラグ含有溶鋼であっても、当該溶鋼中の酸素活量に応じた起電力を正確かつ安定して測定することができる酸素濃淡電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の酸素濃淡電池の実施形態について、図面を示しながら具体的に説明する。
【0016】
1.酸素濃淡電池
本発明の酸素濃淡電池は、基準極と、金属モリブデン製の正極とを有し、前記基準極と正極との間隔X、および正極の直径Dが、上記式(1)、(2)を満たすことを特徴とする。
【0017】
図1は、本発明の酸素濃淡電池10の一例の概略図である。図1に示すように、本発明の酸素濃淡電池10は、支持体16の上に所定の間隔Xを設けて基準極12と正極14とが固定された構造を有する。
【0018】
基準極12は、通常、酸素分圧が既知の物質で構成された電極である。基準極12の材質は特に限定されないが、CrとCrとの混合物が好ましい。
【0019】
また、基準極12は、その外周が底部を有する筒状の固体電解質(図示しない)で覆われている。基準極12を覆う筒状の固体電解質は、溶鋼中の酸素イオンが透過しやすい酸素イオン導電性を有する導電体で作られる。固体電解質は、酸素濃淡電池への使用が知られている公知のものを使うことができ、例えば、酸化ジルコニウム(ジルコニア)や酸化トリウムを主体とし、必要に応じて、二酸化珪素、アルミナ、酸化チタン若しくは酸化鉄などを所定量(数モル程度)固溶して部分安定化された焼結体が使われる。中でも、特に部分安定化ジルコニアは、優れた耐熱衝撃性を有するとともに、酸素活量に対する応答速度が速いため好ましい。基準極12と固体電解質との間には、基準極12を筒状の固体電解質に保持するための充填材が充填されていてもよい。
【0020】
正極14は、略円形または略多角形の断面形状を有しており、基準極12と対となって酸素濃淡電池を構成する電極である。本発明の正極14は、1600℃以上と高温のステンレス溶鋼中であっても耐熱性に優れるという観点から、金属モリブデン製のものが使われる。
【0021】
ステンレス溶鋼のような高温の溶鋼を起電力の測定対象とする酸素濃淡電池の電極としては、金属元素の中で最も融点が高く、かつ電気抵抗も高いタングステンが有用とされている。しかしながら、タングステンは非常に高価であるため、酸素濃淡電池のように使い捨てが主流とされる装置には経済的に不向きである。その点、金属モリブデンは、融点が2600℃以上と高温であり、かつ比較的大きな電気抵抗を持ちながら安価であるためコストが抑えられるという利点がある。また、金属モリブデンは、ステンレス鋼の機械的特性を向上させる金属元素でもあるため、酸素濃淡電池を使用中に、仮に正極の一部が溶鋼中に溶け出しても、ステンレス鋼板の品質を低下させる可能性が低い。
【0022】
また、本発明の基準極12と正極14との間隔Xは下記の式(1)を満たす。
X≧0.03×W+2 ・・・・(1)
前記式(1)中の、
Xは、前記基準極と正極との間隔[mm]を表し、
Wは、前記溶鋼1tあたりに含有するスラグ質量(10≦W[kg]≦100)を表す。
【0023】
本発明の「基準極と正極との間隔X」は、基準極12および正極14の側面上または一辺上の任意の点同士を結んだ最短距離をいう。当該任意の点が存在する位置は、両極の形状や近接状態などに応じて異なる。
【0024】
基準極と正極との間隔Xの求め方を、図2を用いて具体的に説明する。図2は、本発明の酸素濃淡電池の一例を上部からみた概略図である。図2中の符号は、図1と同じ部材を意味する。図2に示すように、両極の断面形状が円形である酸素濃淡電池10の場合、円柱状の両極12、14の側面上の任意の点同士を結んだ最短距離が上記間隔Xとなる。
【0025】
式(1)中のWは、ステンレス鋼の製造途中で生成するスラグであって、酸素濃淡電池によって酸素活量を測定する対象となるステンレス溶鋼1tあたりに含有するスラグの質量を表す。ステンレス鋼の製造途中とは、取鍋に仕込んだステンレス鋼の原料を溶解させてステンレス溶鋼としてから、これを連続鋳造し、取鍋内よりCCスラブとして回収するまでの間をいう。また、本発明では、酸素濃淡電池による酸素活量測定時のステンレス溶鋼1tあたりに含有するスラグを「測定時スラグ」ともいう。
【0026】
酸素濃淡電池で酸素活量を測定する段階は、当該製造途中の任意の段階であればよく特に限定されないが、ステンレス鋼の適確な組成設計を目的として、仕上げに脱酸剤を添加する直前であることが好ましい。ステンレス溶鋼の酸素活量の測定値に応じて、ステンレス鋼の組成設計を適正に行うために必要な脱酸剤の添加量を決定することができるためである。また、通常、仕上げに脱酸剤が添加される直前のスラグ含有溶鋼のスラグ質量Wは、10≦W[kg]≦100の範囲である。
【0027】
上記スラグ質量Wを求める方法は特に限定されないが、以下2つの方法のいずれかに準じて測定することが好ましい。具体的には、1)ステンレス溶鋼に通常添加される元素などからスラグ主成分を推定し、化学量論的に求められる各主成分量の総計を測定時スラグ質量として求める方法、2)CCスラブを製造した後の取鍋内に残留したスラグ質量から求める方法、の2つである。以下、各方法について説明する。
【0028】
1)の方法
1)の方法は、ステンレス鋼を製造する際に生成するスラグ主成分を推定し、化学量論的に見積もられる各主成分の生成量の総計を「みなしのスラグ質量」とし、さらに、当該みなしのスラグ質量をスラグ含有溶鋼1tあたりに換算することによって得られる値を、「測定時スラグ質量W」として求める方法である。スラグ主成分の推定は、製造するステンレス鋼の組成と、脱酸や脱硫の促進などを目的としてステンレス溶鋼に添加される金属元素の種類や添加量などにより化学量論的に見積もることで行うことができる。
【0029】
1)の方法により、測定時スラグ質量Wを求める手順を具体的に説明する。例えば、鋼に11〜30質量%のCrを含有させたステンレス鋼を80t/1チャージ製造する場合、酸素活量を測定する前のステンレス溶鋼に対して、ステンレス溶鋼中の炭素量の低減を目的として酸素を吹き付けた後(酸素吹精)、脱酸や脱硫を目的とするCaOの添加(約600kg)、および予備脱酸を目的とするSi、Al元素の添加が適宜行われる。酸素吹精によりステンレス溶鋼中のCrが酸化されてCrが生成し、また、Si、Alとステンレス溶鋼中の酸素とが反応してSiO、Alが生成する。そのため、ステンレス溶鋼の表面には、CaO、Cr、SiO、Alを主成分とするスラグ相が形成される。この状態でステンレス溶鋼中の酸素活量を求める場合、このステンレス溶鋼1tあたりに含まれるスラグ量が測定時スラグの量である。
【0030】
ただし、Cr、SiO、Alを主成分とする測定時スラグの質量を実測することは難しい。ただし、当該酸化物量は、酸素の吹き付け量やステンレス溶鋼の組成などに応じて化学量論的に算出することができる。例えば、通常、酸素吹精では、ステンレス溶鋼中の炭素濃度を約0.3%から0.01%以下まで低減するようにステンレス溶鋼に対して酸素が吹き付けられる。ステンレス溶鋼中の炭素濃度が約0.02%程度まで低くなると、ステンレス溶鋼中のCrは酸化するためCrが生成する。よって、ステンレス溶鋼の組成に基づくCr量などから、Crは化学量論的に約300kgと見積もることができる。
【0031】
一方、SiO、Alについて、通常、予備脱酸では、Si、Alの添加量は、いずれもステンレス溶鋼1tあたり1〜3kg程度である。よって、本例のように80tのステンレス鋼を製造する場合、各酸化物の生成量は、化学量論的に約300kgと見積もることができる。よって、スラグの主成分であるCaO、Cr、SiO、Alの総計は約1200kgと概算される。この概算値は80tのステンレス溶鋼を製造する場合のみなしスラグ質量に値するから、これをスラグ含有溶鋼1tあたりに換算することにより、当該事例における測定時スラグ質量Wは15kgと求めることができる。
【0032】
なお、上述した1)の方法で求められる測定時スラグ質量Wは、ステンレス溶鋼の組成や酸素吹き付け量、および脱酸剤の添加量のようなステンレス溶鋼の製造条件に応じて変動するが、上記方法と同様に適宜算出すればよい。また、ラボスケールにより、これらの反応を予備的に行い、実際に生成したスラグ量を分析して、測定時スラグ質量Wを求める際の参考にしてもよい。
【0033】
2)の方法
2)の方法は、連続鋳造(continuous casting)後に得られるCCスラブを製造した後の取鍋内に残留したスラグ(残留スラグともいう)から測定時スラグを見積もる方法である。具体的には、精錬前(ステンレス鋼成分を仕込む前)の取鍋のみの質量をa(kg)とし、残留スラグと取鍋の総質量をa(kg)とするとき、aからaを単に引いた値を測定時スラグ質量Wとして求める方法である。なお、aおよびaは、ラボスケールでステンレス鋼を製造したときに実測される値でもよい。
【0034】
ところで、測定時スラグの組成と残留スラグの組成とが同一である場合は、上記のように、単にaからaを引くことでスラグ質量Wを求めることができるものの、その一方で、ステンレス溶鋼中の酸素活量を求めてから残留スラグを得るまでの間にステンレス溶鋼中に脱酸剤を添加した場合などにおいては、測定時スラグと残留スラグとの組成が異なることがある。この場合、酸素濃淡電池における基準極と正極との間隔Xを適正に見積もることができないおそれがあるが、以下の手順にしたがって当該組成の違いを補正すると、脱酸剤を添加する前のスラグ(元スラグともいう)量を正確に求めることができる。そこで、例えば、CrとSiOとを含むスラグが存在するスラグ含有溶鋼に対し、仕上脱酸工程において脱酸剤としてAlを添加する際のAl添加量を適正に把握するために酸素活量を測定する場合における当該補正の仕方を説明する。
【0035】
この場合、以下の2つの反応が起こり、(i)は完結するが、(ii)は途中で反応が停止することが知られている。
Cr+2Al→2Cr+Al ・・・・(i)
3SiO+4Al→3Si+4Al ・・・・(ii)
そこで、先ず、単位質量当たりの元スラグに含まれるSiOの量と、単位質量当たりの残留スラグに含まれるSiOの量を測定する。測定手段は、後述するような公知の湿式化学分析方法などを用いればよい。上記SiOの差から、(ii)の反応で生成したアルミナ量(x)が求まる。単位質量当たりの残留スラグに含まれるアルミナ量(y)から(x)を引けば、(i)の反応で生成したアルミナの量が求まる。よって、このアルミナの量から、単位質量当たりの元スラグに存在したCr量を見積もることができる。
以上から、残留スラグから脱酸剤としてAlを添加する前のスラグ含有溶鋼中に存在するスラグ(元スラグ)の量が正確に求められる。
【0036】
上記例では、(i)、(ii)の反応が起きるが、ステンレス溶鋼中で生じる反応は、元スラグに存在する酸化物や脱酸剤として添加される金属の種類により種々である。その点においては、種々のケースにおいて同様に補正すればよい。また、仮にスラグが脱酸剤(Alなど)により還元されにくい酸化物(MgOなど)を含んでいる場合、当該酸化物の量は、残留スラグと元スラグとで変わらないので補正は不要である。このような酸化物の質量は、残留スラグの質量から、(i)、(ii)の反応で生成したアルミナ量を引けば求められる。
【0037】
上記式(1)を満たす間隔Xの酸素濃淡電池は、スラグ含有溶鋼中の正確な起電力を安定して測定することができる。その理由として、通常、両極間でのスラグの噛み込みは、ステンレス溶鋼中のスラグ量が増えるほど多くなる。その点、本発明者らは、スラグ含有溶鋼1tあたりに含有するスラグ質量Wとの関係において、最適な係数があることを見出した。すなわち、式(1)におけるWの係数0.03は、スラグ質量の増加に比例して増大し得るスラグ噛み込み量に対応するために決定された値である。
【0038】
また、ステンレス溶鋼の溶鋼温度Tが上がると、ステンレス溶鋼中のスラグ質量が増大し、これに比例してスラグ噛み込み量も増加する傾向にある。その点、本発明者らは、式(1)において、+2を補正値として用いることにより、溶鋼温度Tの上昇に比例して増大し得るスラグ噛み込み量に対応し得ることを見出した。
【0039】
また、本発明の酸素濃淡電池は、溶鋼温度T(℃)が1600≦T≦1750のときに、スラグの噛み込みや正極の溶出などをより顕著に抑制しながら、スラグ含有溶鋼中の起電力を正確に測定することができる。本発明の溶鋼温度Tは、酸素活量測定の際の温度をいう。
【0040】
また、本発明の金属モリブデン製の正極14の直径Dは、下記の式(2)を満たす。
D≧0.01×T−14.0 ・・・・(2)
前記式(2)中の、
Dは、正極の直径[mm]を表し、
Tは、溶鋼温度(1600≦T[℃]≦1750)を表す。
【0041】
本発明の正極14の断面形状は、前述の通り、略円形または略多角形、すなわち直線または曲線の組み合わせにより構成される。具体的には、直線同士の組み合わせにより構成された多角形や、曲線による円形または楕円形が挙げられる。また、当該断面形状は、直線と曲線との組み合わせにより構成されたものでもよい。正極14の断面形状が多角形の場合、その直径Dは当該多角形の外接円の直径とする。
【0042】
その中でも、本発明の正極14の断面形状は円形が好ましい。その理由として、断面が円形の正極はその表面積が小さいため、ステンレス溶鋼中に浸漬させても熱エネルギーの影響を受けにくいから、正極の溶出が抑えられるためである。また、スラグの付着量が少なく抑えられるため、起電力の測定精度が向上するという利点もある。
【0043】
上記式(2)によって得られる金属モリブデン製の正極14の直径Dは、酸素濃淡電池を使ってスラグ含有溶鋼中の正確な起電力を安定して測定できるよう、正極が溶鋼中へ溶け出すことを抑制するという理由から決定される。
【0044】
次に、上記式(2)をどのようにして求めたかを説明する。本発明者らは、製鋼中に酸素濃淡電池を浸漬させた場合、金属モリブデン製の正極の直径がどのように変化するかについて調べたところ、溶鋼温度の違いに応じて正極の径の最適値があることを見出した。そこで、1600〜1750℃程度の非常に高温なステンレス溶鋼中において、融点が2600℃金属モリブデン製の正極を使用する場合、起電力の測定が困難となるまで正極がステンレス溶鋼中に溶出する前に起電力を速やかに検出し得るために溶鋼温度Tと正極の直径Dとの間に成り立つ好ましい関係として見出したものが、前記式(2)である。
【0045】
このように本発明の酸素濃淡電池10は、正極14の直径Dが適正な範囲内で調節されているため、高温のステンレス溶鋼中に浸漬させても、ステンレス溶鋼中への正極の溶出が抑制される。そのため、両電極を覆うようなカバー部材などを使わずに正極などの溶出を抑えて測定精度を上げることができるから、酸素濃淡電池10のコストを低く抑えることができるなどの利点もある。
【0046】
また、基準極12の長さL1、および正極14の長さL2は特に限定されないが、一般的には10〜20mmの範囲内である。上記いずれの長さも、測定対象である溶鋼に対して支持体16から伸びた各極の長さをいう。ただし、各極の長さを必要以上に長くすると、両極間でのスラグの噛み込みが生じやすく、また両極に付着するスラグ量が多くなるため、注意が必要である。
【0047】
本発明の酸素濃淡電池は、上記基準極などとともに熱電対が併置されていてもよい。熱電対を併置した酸素濃淡電池は、酸素活量とともにステンレス溶鋼の温度を同時に測定することができるという利点から、酸素濃淡電池の構成として主流とされる。
【0048】
2.起電力の検出方法
本発明の酸素濃淡電池によるステンレス溶鋼中の酸素活量に応じた起電力の検出は、以下の手順にしたがって行えばよい。
【0049】
図3に示すように、先ず、表面にスラグ相30が形成されたステンレス溶鋼31中に酸素濃淡電池10を浸漬し、所定の深さ(測定位置)で停止させる。酸素濃淡電池10の停止状態は、ステンレス溶鋼31中の起電力の検出が終了するまでの数秒間、維持される。
【0050】
起電力を測定するタイミングは、ステンレス鋼の製造途中の任意の段階でよい。ただし、ステンレス鋼の高品質化を目的とした組成設計を適確に行うためには、仕上脱酸工程の直前において起電力を測定することが好ましい。これにより、Alのような仕上脱酸工程に必要となる脱酸剤などの添加量を正確に見積もることができる。仕上脱酸工程の直前における測定時スラグは、通常、CrおよびMgOを主成分とし、またその割合は、スラグの総質量あたり、Crが10質量%以下、MgOが3〜30質量%である。本発明の酸素濃淡電池は、このような組成のスラグ相が存在するステンレス溶鋼に浸漬させても、両極間でのスラグの噛み込みが抑制されるよう設計されているので、正確かつ安定して起電力が測定できる。
【0051】
スラグ相中のCrおよびMgOの含有量を測定する方法は、短時間で高精度の元素分析を実現し得る観点から、湿式化学分析を用いることが好ましい。湿式化学分析は公知の方法を用いればよく特に限定されない。湿式化学分析方法によって当該含有量を測定する基本操作の一例を以下に示す。
【0052】
先ず、測定対象となるスラグを使って試料を調製する。試料の調製は、スラグを粉砕または切断することにより行われる。次に、調製した試料を酸(例えば、HCl、HF、HNOなど)などに溶解させて溶液化する。溶液化の方法は特に限定されず、酸のほかにもアルカリ融解などが含まれる。続けて、溶液化により得た溶液を元素分析し、金属Cr、Mgを測定する。元素分析の方法はICP質量分析や重量法のような公知の方法が用いられる。そして、上記元素分析結果から化学量論的にCrおよびMgOの量を算出する。当該算出された値が、スラグ相中に含有するCrおよびMgO量である。
【0053】
酸素濃淡電池10を構成する基準極12と正極14との間には、各極における酸素分圧の差に応じた起電力が発生する。発生した起電力は、酸素濃淡電池10に具備された電圧測定器(図示しない)によって検出される。
【0054】
上記電圧測定器において、ステンレス溶鋼31中の起電力が適正に算出されたことを確認した後、酸素濃淡電池10はスラグ含有溶鋼中から引き抜かれる。起電力が適正に算出されたかどうかは、前述の通り、起電力による経時的な波形の変化が、波形のブレが小さく安定している状態が約2〜5秒間保持されることで確認することができる。より適正な起電力は、上記波形が安定している状態が約5秒間保持されることをいう。
【0055】
本発明の酸素濃淡電池10を使ってステンレス溶鋼中の起電力を測定すると、図4に示されるように、起電力は浸漬開始から約2秒ほどで速やかに安定するとともに、約5秒間、起電力の波形が安定することが分かる。この原因として、前述の通り、本発明の酸素濃淡電池10は、基準極12と正極14との間隔Xが、溶鋼温度とステンレス溶鋼に含有するスラグ量に応じて決定されているため、スラグ含有溶鋼中に浸漬させても、両極間でのスラグの噛み込みが抑制される。また、正極14の直径Dが、ステンレス溶鋼の溶鋼温度に応じて決定されているため、溶鋼中への溶出が低減されるためである。
【0056】
以上より、本発明の酸素濃淡電池10によれば、正確な起電力を安定して測定することができるので、測定精度を高めることができ、ひいては、酸素センサの性能を高めて、製鋼の品質を高めることができる。また、本発明の酸素濃淡電池10によると、従来よりも浸漬時間を短縮することができるから、電極が溶出する可能性も低減することができるとともに、両電極表面でのスラグの付着や、両極間でのスラグの噛み込みが抑えられる。そのため、電極の径や長さを必要以上に大きくする必要がないので、装置の低コスト化にもつながる。
【0057】
3.酸素センサへの応用
本発明の酸素濃淡電池は、ステンレス溶鋼中の酸素活量を測定するための酸素センサに応用することができる。本発明の「酸素センサ」は、酸素濃淡電池の原理を利用して、酸素濃淡電池で検出される起電力と、温度センサなどで測定される溶鋼温度に基づき酸素活量を算出しうるセンサをいう。酸素センサの形態は特に限定されず、ひとつの筐体に酸素濃淡電池と温度センサとを兼備した一体型でもよいし、酸素濃淡電池と温度センサとがそれぞれ独立した形態でもよい。
【0058】
酸素センサに具備する温度センサは、ステンレス溶鋼中の温度を測定する装置として公知のものを使えばよい。例えば、石英などからなるチューブ状保護管の内部に熱電対を具備した温度センサが挙げられる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例などを参照して本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明の形態は、ここに示す実施例などに限定されない。
【0060】
1.ステンレス鋼の製造
以下の実施例および比較例では、後述の酸素濃淡電池によって起電力を測定するサンプルとして、鋼に11〜30質量%のCrを含有させたステンレス鋼を製造した。先ず、当該ステンレス鋼の製造方法を説明する。
【0061】
1)脱酸処理
先ず、電気炉によって原料を溶解することにより80tのステンレス溶鋼を製造した後、転炉を使って当該ステンレス溶鋼の粗脱炭を行った(図5の脱炭工程50)。次に、このステンレス溶鋼16チャージを、図5に示すVOD工程40に移し、圧延工程52までの脱酸処理を行った。
【0062】
VOD工程40では、先ず、脱炭処理したステンレス溶鋼を予備脱酸工程42に供した。予備脱酸工程42では、炭素含有量が0.01質量%以下になるまでステンレス溶鋼表面に酸素ガスを吹き付けて脱炭精錬を行った後、ステンレス溶鋼中に生成したCrを6質量%以下まで還元するため、AlあるいはSiを所定量添加して予備脱酸を行った。ここで、AlあるいはSiの添加量は、ステンレス溶鋼1tあたり1〜3kgの範囲内で適宜調整した。
【0063】
2)酸素活量の測定
次に、酸素活量測定工程43において、予備脱酸したステンレス溶鋼中の酸素活量を、後述する通りに作製した酸素濃淡電池を有する酸素センサにより測定した。また、このとき、酸素濃淡電池に併置された熱電対によりステンレス溶鋼の溶鋼温度を測定した。
【0064】
3)仕上げ脱酸
そして、仕上脱酸工程44において、測定される酸素活量に応じて、ステンレス溶鋼中のAl濃度が0.0005〜0.05質量%の範囲になるようにAlを添加し、ステンレス溶鋼の脱酸を十分に進めた。
【0065】
仕上脱酸工程44では、各ステンレス溶鋼に対するAlの添加量について、酸素活量が測定できたチャージでは、あらかじめ後述する方法で作成しておいた検量線を用いて必要なAlの添加量を求めた。Al添加量は、そもそも酸素濃淡電池で測定される酸素活量に基づいて決まるが、Alはスラグ相に存在するCrの還元などにより消費されてしまうおそれがあるため、より正確なAlの添加量を決定することを目的として、Alの検量線を利用した。一方、酸素活量が測定できなかったチャージでは、一定量のAlを添加した。
【0066】
4)連続鋳造
最後に、連続鋳造工程45において、Alを適宜添加したステンレス溶鋼を連続鋳造し、CCスラブを得た。また、連続鋳造工程では、タンディッシュより溶鋼をサンプリングして得られた試料のAl濃度を測定した。当該Al濃度の測定は、湿式化学分析方法により行った。具体的には、採取した試料の一部を硝酸と塩酸の混酸液で溶解して溶液化した後、この溶液中のAlをICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析法によって測定し、CCスラブ中のAl濃度を求めた。
【0067】
2.酸素濃淡電池
各実施例および比較例で使った酸素センサは、酸素濃淡電池の原理を利用して測定される起電力に基づき、酸素活量を検出するものである。当該酸素センサに利用した酸素濃淡電池は、Cr/Cr混合物製の基準極と、金属モリブデン製の正極とを有し、両極の間隔Xおよび正極の直径Dが適宜調整されたものを使用した。各実施例および比較例において使った酸素濃淡電池における両極の間隔Xおよび正極の直径Dは、後述の表1、2に纏めて示す。
【0068】
3.評価結果
実施例および比較例において、ステンレス鋼の製造中に測定したスラグ中の元素濃度(質量%)、ステンレス溶鋼1tあたりのスラグ質量(kg)、溶鋼温度、ステンレス溶鋼中の酸素活量(ppm)および、CCスラブのAl濃度(質量%)について、実施例1〜10の値を表1に示すとともに、比較例1〜7の値を表2に示す。また、各表に付した酸素濃淡電池の理論値は、溶鋼温度などの実測値を使って式(1)、(2)に則り求めた値である。また、溶鋼温度および酸素活量は酸素活量測定工程で測定した値である。
【0069】
上記スラグ中のCrおよびMgO濃度の測定方法について説明する。当該測定は、予備脱酸工程におけるステンレス溶鋼中のスラグをサンプルとし、当該サンプル中のCr、Mg量を湿式化学分析によって測定した。具体的には、先ず、予備脱酸工程で採取したステンレス溶鋼中のスラグを硝酸、塩酸、硫酸などの混酸に溶解して溶液化した。次に、得られた溶液中の金属Cr、MgをICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析法により測定した。そして、この測定結果から化学量論的にCr、MgOの量を算出し、これをスラグ相中の含有量とした。
【0070】
酸素活量測定時のスラグ質量(kg)は、前述した測定時スラグ質量の求め方のうち、2)の方法により求めた。すなわち、精錬前の取鍋のみの質量をa(kg)、仕上脱酸工程を経て連続鋳造工程後に得られる残留スラグと取鍋の総質量をa(kg)とするとき、aからaを引いた値を酸素活量測定時のスラグ質量Wとして求めた。ただし、酸素活量を測定した後のスラグ含有溶鋼にはAlが添加されているので、測定時スラグの組成と残留スラグの組成とが異なる。そこで、本実施例では、先に説明した方法に基づき、CrおよびSiOとAlとの還元反応に基づく反応変化分に応じてスラグ組成の違いを補正した。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
実施例1〜10の結果から、先ず、本発明の酸素濃淡電池を利用した酸素センサを使うと、ステンレス溶鋼中の正確な酸素活量を安定して測定することができることが明らかである。また、この測定結果に基づいて算出された量に応じてステンレス溶鋼へのAl添加量を調整した結果、CCスラブのAl濃度を所望の範囲内(0.005〜0.05質量%)に制御することができた。
【0074】
一方、比較例1〜7では、酸素センサを構成する酸素濃淡電池において、基準極と正極との間にスラグの噛み込みが生じたり、ステンレス溶鋼中に正極が溶け出したりしたため、正確な起電力を測定することができず、結果として、酸素活量も正確に測定することができなかった。そこで、ステンレス溶鋼中に止むを得ず一定量のAlを添加したが、Alが過不足となり、結果として、CCスラブのAl濃度を0.005〜0.05質量%の範囲に制御することができなかった。よって、各比較例の結果から明らかな通り、酸素濃淡電池における基準極と正極との間隔Xと正極の直径Dとが、所定の条件を満たす場合に限り、正確な起電力を安定して測定することができることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の酸素濃淡電池は、酸素イオン導電性を有する筒状の固体電解質で覆われた基準極と、高融点材料である金属モリブデン製の正極とを兼備し、両極間の間隔と正極の直径とが適正に調整されているため、CrやMgOのようなスラグが存在するスラグ含有溶鋼中でも、基準極と正極との間におけるスラグの噛み込みや、ステンレス溶鋼中への正極の溶け出しが抑制される。そのため、ステンレス溶鋼中の酸素活量に応じた正確な起電力を速やかに安定して測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の酸素濃淡電池の一例の概略図
【図2】本発明の酸素濃淡電池の一例を上部から見た概略図
【図3】本発明の酸素濃淡電池でステンレス溶鋼中の酸素活量に応じた起電力を測定する際の概略図
【図4】本発明の酸素濃淡電池で測定される起電力の経時変化を表す図
【図5】実施例・比較例で実施したVOD工程の流れを示す図
【図6】従来の酸素濃淡電池で測定される起電力の経時変化を表す図
【符号の説明】
【0077】
10 酸素濃淡電池
12 基準極
14 正極
30 スラグ相
31 ステンレス溶鋼
40 VOD工程
42 予備脱酸工程
43 酸素活量測定工程
44 仕上脱酸工程
45 連続鋳造工程
50 脱炭工程
52 圧延工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス鋼の製造途中で生成するスラグ含有溶鋼中の酸素活量に応じた起電力を測定する酸素濃淡電池であって、
基準極と、金属モリブデン製の正極と、を有し、
前記基準極と前記正極との間隔Xと、前記正極の直径Dとは、下記の式(1)、(2)を満たす、酸素濃淡電池。
X≧0.03×W+2 ・・・・(1)
[前記式(1)中の、
Xは、前記基準極と正極との間隔[mm]を表し、
Wは、前記スラグ含有溶鋼1tにあたりに含有するスラグ質量(10≦W[kg]≦100)を表す]
D≧0.01×T−14.0 ・・・・(2)
[前記式(2)中の、
Dは、正極の直径[mm]を表し、
Tは、溶鋼温度(1600≦T[℃]≦1750)を表す]
【請求項2】
前記スラグは、その総質量あたり10質量%以下のCrおよび、3〜30質量%のMgOを含む、請求項1に記載の酸素濃淡電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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