説明

重合した成形品

本発明は重合性組成物に関し、該重合性組成物はアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体系の10〜80重量%の反応性希釈剤、および液体であるか、もしくは製剤中で溶解しうる、10〜50重量%の示された化学式のモノマーを含む。該式はアミノ酸残基もしくはペプチド配列、特にコラーゲンに特有である該残基もしくは該配列を含み得る。これらの構造要素は本発明の組成物のポリマーの酵素による分解を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線硬化性、生体適合性、かつ生体吸収性の組成物、および骨置換用ポリマー支持材製造のための成形方法におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
かなり長い間、ねじ、ピン、くぎ又はプレートの形状での金属インプラントは、これらの固定部分を除くために第2の手術が必要であるという不利な点を伴って、骨折の治療のために使用されてきた。その後、ポリグリコール酸、ポリ乳酸及びこれらのコポリマーから作られているねじ、ピン及び釘が、一方でこれらの機械的な性質が骨の機械的な性質に近く、また他方ではこれらのインプラントが体内で分解し、第2の手術を避けることができるので、骨折を修復するために使用されてきた。
【0003】
しかしながら、骨腫瘍が除かれなければならない場合、充填し(ausgefuellt)なければならないより広範な損傷が残る。このため短い期間(すなわち、生体が骨の再建のために要する時間)支持体としてはたらく材料が要求される。加えて、該材料はまた自然治癒過程を支持するべきであり、かつ、ある期間の後、体によって完全に吸収される(resorbiert)べきである。それゆえ、該材料は生体適合性及び生分解性であるのみではなく、骨細胞(骨芽細胞)の付着及び増殖に特に適していなければならない。さらに、そのような置換材料は自然骨と同様の構造を有するべきである(すなわち、できるならば、細胞状(zellular)構造を具備する多孔性の複合体であるべきである)。
【0004】
多孔性の骨の構造を創出するのに2つの基本的な可能性がある。一方では、硬化の際、細孔を生じる物質は液体モノマー製剤へ導入することができる。これは後で溶出されうる発泡剤若しくは固体物質であり得る(例えば、塩化ナトリウムもしくは砂糖など)。
【0005】
WO98/20893において、例えば、モノマーの混合物をシリコーン金型中において角砂糖の存在下で硬化させ、その後、砂糖を水で溶出させる方法が記載されている。このような方法において、細孔のサイズ及び内部の形状はある統計的限界以内で制御されうるだけであって、明確な細胞状構造を創出することはできない。
【0006】
インプラントを製造するためのより有用な方法はラピッドプロトタイピング(Rapid-Prototyping (RP))法であって、モノマー製剤は所望の「テーラーメイド(nach Mass)」3D細胞構造を達成するために層を成して光重合する。これは、骨の欠損において通常見出されるような任意の不規則な形状の製造を可能にするだけでなく、また骨の細孔の直径(100〜500μm)に近い分離度(Aufloesungen)をもたらす。しかしながら、ポリ(α−ヒドロキシ酸)のような医学的応用のために用いられていたような従来の生体高分子はRP法を用いて製造されることができず、それは、前記生体高分子は光重合可能なモノマーからアクセスすることができないからである。生分解性、かつ生体適合性のポリマーをもたらす光架橋可能な製剤は時折文献中で説明されてきた。
【0007】
WO03/002490 A2において、フマル酸ジエチル(Diethylfumarat)と架橋可能なポリ(プロピレンフマラート)(Poly(propylenfumarat))を基にした生体材料の特許請求がなされている。これらの混合物は成形方法を用いた既成インプラントの製造のためか、または光重合によってインビボで硬化する注射製剤として、いずれかに使われうる。
【0008】
そのような製剤は常に既成のポリマー(すなわち、ポリ(プロピレンフマラート))を包含するので、適切な粘度の調整はフマル酸ジエチルの高い含有量について可能であるにすぎず、フマル酸ジエチルの高い含有量は弱く架橋され、したがって機械的にかなり不安定な成形品を導く。多孔性の構造の目的とする製造はこのようにして可能ではなく、光重合によって引き起こされる温度の上昇はまたインビボの応用に対する問題の構成要素となる。
【0009】
該ポリ(プロピレンフマラート)/フマル酸ジエチル系はまたステレオリソグラフィー法(stereolithographicmethod)(M. Cooke, J.P. Fisher, D. Dean, C. Rimnac, A. Mikos, Journal of Biomedical Materials Research - Part B Applied Biomaterials, vol. 64, no. 2, pp. 65-69 (Feb 15, 2003))において使用されてきた。この方法を用いれば、試作品の成形品の製造は可能であったが、試作品の成形品は多孔性ではなかった。さらに、約200MPaの弾性率を有する成形品の機械的安定性は、自然骨は2000MPaよりも大きい弾性率を有するので、骨置換材料のための機械的要求を満たさなかった。ここでもまた、著者はポリマー/モノマー混合物の粘度に関する問題に言及し、前記問題はCADモデルと正確に一致しない成形品の製造を導く。フマル酸ジエチルの高い含有量は粘度の減少をもたらすが、また架橋手順を阻害する。低い含有量は高い架橋を導くが、しかしながら、それは生体吸収能力の減少を伴う。該系は、したがって、たとえステレオリソグラフィーを用いるとしても、インプラントの外側の形態及び内側の形態の限られた制御のみを可能にする。別の問題はよく知られたフマラートの低い重合速度である。
【0010】
W. Matsudaらはポリ(ε−カプロラクトン−コ−トリメチレンカーボネート)(Poly(ε-caprolacton-co-trimethylencarbonat))に基づく光硬化性(photohaertbaren)生分解性のポリマーについて説明している(T. Matsuda, M. Mizutani, S. Arnold, Macromolecules 2000, 33, 795-800, M. Mizutani, T. Matsuda, Journal of Biomedical Materials Research, vol. 61, no. 1, pp. 53-60 (2002))。トリメチレンカーボネートとε−カプロラクトンの開環共重合を用いて、分枝した脂肪族ポリエステルが製造され、前記脂肪族ポリエステルの末端にクマリン基が次いで導入された。紫外線による照射は末端基の光二量化を導き、ポリエステルを架橋する。また、この場合においても直面する粘度の調整に関する問題に加えて、架橋が末端基を経由してのみ起こる。これはとても低い架橋速度をもたらすのみでなく、また低い架橋密度のポリマーをもたらし、多くても40MPaの低い弾性率によって示されるように成形品の機械的性質について好ましくない。
【0011】
重合速度は同一の分枝したポリエステルへ末端アクリレート基を導入することによって上昇させることができるが、これは言及した他の問題を解決するものではない(M. Mizutani, T. Matsuda, Journal of Biomedical Materials Research, 62, 387 (2002), T. Matsuda, M. Mizutani, Journal of Biomedical Materials Research, 62, 395 (2002))。
【0012】
US 6,083,524はポリエチレングリコールの中心の部分がポリ(乳酸)(Poly(milchsaeure))若しくはポリ(グリコール酸)(Poly(glykolsaeure))のブロックで延長されたアクリレート(Acrylat)末端基を具備するマクロモノマーの特許請求をしている。これらは光重合を経由して生分解性のヒドロゲルを製造するのに使用された。これらの製品の不利な点はこれらの低い機械的強度及び特にこれらの乏しい細胞付着である。これはタンパク質吸着及び細胞付着への抵抗を示すことで知られているポリエチレングリコールの高い含有量に起因する(A.S. Sawhney, C.P. Pathak, J.A. Hubbell, Macromolecules 26, 581-587 (1993))。ジエチレングリコールの中心ユニットおよびオリゴ(乳酸)もしくはオリゴ(カプロラクトン)のブロックをもつ類似したマクロモノマーは幾分良い骨芽細胞の付着性を有する材料をもたらす(K.A. Davis, J.A. Burdick, K.S. Anseth, Biomaterials 24, 2485-2495 (2003))。しかしながら、両方の場合において、高い粘度若しくは硬質の(festen)モノマーはラピッドプロトタイピング法においては有用ではない。
【0013】
グリコール酸に若しくはラクトンに基づくこのような脂肪族ポリエステルの一般的な不利な点はその結合は比較的加水分解しやすい、すなわち、水性の環境において比較的速く分解されることである。この分解は加水分解であり、かつ自己触媒の特徴によって制御することができない。さらに、この骨置換材料は新しい骨組織が形成され得るより速く分解する。加えて、高い酸濃度が生じることがあり、高い酸濃度は制御されない細胞死、したがって壊死性組織変化をもたらし得る環境を創出する。それゆえ、純粋に酵素による分解が好ましく(vorzuziehen)、すなわち生体材料に骨細胞の成長を促進させ(骨伝導性(osteokonduktiv))、これらの細胞はまたポリマー分解のための酵素を産生する。このようにして、体自身の細胞は移植されたプラスチックの分解をある程度制限し得る。基本的に、加水分解により安定なアミド結合によってつくられたポリマーはより有用である。
【0014】
このように、生体材料としてのゼラチン及びポリエチレングリコールからなるヒドロゲルの使用は公知であり、ヒドロゲルはメタクリルアミド置換されたゼラチンとJeffamine(登録商標)ビス−メタクリルアミドのラジカル共重合によって製造される(J. Zimmermann, K. Bittner, B. Stark, R. Muelhaupt, Biomaterials 23, 2127-2134 (2002))。これらのヒドロゲルは良い細胞付着及び増殖の特徴がある。しかしながら、ポリマーユニット(例えば、約2000のMnを有するJeffamine(登録商標)ビス−メタクリルアミド、約3000のMnを具備するゼラチンなど)の使用のために、これらのヒドロゲルは、とても低い機械的強度を有し、係数は、ゲルの水分含有量によるが、240から480kPaの範囲であり、すなわち、骨置換材料に要求されるオーダーよりも数オーダー低い。さらに、これらの粘性のある製剤は水溶性であるだけであり、ラピッドプロトタイピング法には適さない。
【0015】
特定のヒドロゲル組成物が、EP 1,142,596 A1において、架橋可能なプレポリマー(Praepolymeren)(マクロマー(Makromeren))及び生物学的に活性なペプチドまたはタンパク質からなる治療効果のあるインプラントの製造について、特許請求されている。さらに言及された任意的な添加剤は無機材料及び/又はビニルモノマーである。使用の間の重大な要因は、手によって、注射器を用いて又は他の外科用器具を用いて成形することを可能にする混合物の適切な粘性である。柔軟な脂肪族骨格鎖からなるプレポリマーはこの目的のために使用され、重合の後にプレポリマーの広い網目の網状組織を形成する。成形の後、糊状材料が対応する欠損部位へ導入され、レドックス開始剤または光開始剤を用いて40℃より低い温度でインサイチュで硬化される。
【0016】
WO 98/55161 A1は架橋メタクリルアミド修飾された(methacrylmodifizierter)ゼラチン又はそのメタクリル修飾された多糖(例えば、デキストラン(Dextran)もしくはキサンタンなど)とのコポリマーに基づく創傷包帯材を記載している。これらのヒドロゲルフィルムは、本来、水性媒体に対する良好な吸収能力を備えた軟らかい材料である。これは創傷被覆材および創傷包帯材の必要条件であるからである。
【0017】
US 2004/110439は、医療応用のための生体適合性タンパク質の繊維及び架橋した繊維若しくは織物を記載しており、それらは任意に生細胞を含む。繊維はタンパク質の重合可能な誘導体(例えばエラスチン、コラーゲン若しくはゼラチンなど)又はこれらのタンパク質に特徴的なペプチド配列の重合可能な誘導体から製造される。該繊維はエレクトロスピニング(Elektrospinnen)によって製造され、続いて光開始剤の補助により重合可能な基を介して光化学架橋がなされる。必要であれば、例えば、コラーゲンを紡績する場合、水溶性ポリマー(ポリエチレンオキシド)が加えられる。かなり限られた程度だけであるが、これは繊維の機械的剛性を増加させる。コラーゲンPEO繊維について、例えば、8から12MPaの範囲の弾性係数が報告されている。
【0018】
WO 91/08242 A1において、ガンマ線照射を用いて、不溶性仕上げの(fertige)ポリマー(例えば、セロファン若しくはポリエチレンテレフタレートなど)にペプチド、タンパク質、ビニルモノマー及び架橋剤の混合物をグラフトすることによって製造されるグラフト共重合体が記載されている。この手順は生体適合性の表面を具備する柔軟性のあるフィルムをもたらし、それは血管置換のためのインプラントへ成形され得る。
【0019】
より良好な機械的性質がリジン-ウレタンジメタクリラート系(Lysinurethandimethacrylat-Basis)生体材料で達成され、前記生体材料はカルシウムヒドロキシアパタイト(Calcium-Hydroxylapatit)の存在下で光重合によって得られた(E. Mueh, J. Zimmermann, U. Kneser, J. Marquardt, R. Muelhaupt, B. Stark, Biomaterials 23, 2849-2854 (2002))。これらの材料は良好な細胞適合性及び細胞付着を示すが、モノマー混合物は固体であり、溶融後に重合され得るだけであり、結果としてラピッドプロトタイピング法には適していない。機械的に安定な成形品、任意の幾何学的な立体配置及び細胞状構造を製造することは不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、放射線硬化性組成物を提供することを目標とし、前記組成物はラピッドプロトタイピング法を用いて天然骨の強度と類似し、高い機械的強度を具備する、特に細胞状又は多孔性の成形品を製造するために使用することができ、かつ骨置換のための生体吸収可能な(bioresorbierbare)支持材料として使用されうる。該組成物は液体、生体適合性、無毒かつ高い反応性でなければならない。生体適合性、生体吸収性(Bioresorbierbarkeit)及び十分な機械的安定性を示すことに加えて、PR手順によって製造されるポリマーは、骨形成細胞とも呼ばれる骨芽細胞の良好な付着を保証する構造の成分を含まなければならない。さらに、十分な加水分解安定性が必要であり、従って骨細胞によって誘導される酵素による分解が有利になる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的は反応性希釈剤(reaktiven Verduennern)、光開始剤及び充てん剤のみでなく、それぞれ、特にコラーゲンに対して特有であるような、アミノ酸ラジカル及びペプチド配列を備えるモノマーもまた含む、液体で、放射線硬化性の製剤によって達成することができることを見出した。一方で、これらの構造成分は骨芽細胞の良好な付着を提供し、もう一方で、それらは細胞の酵素器官(enzymatischen Apparat)に対して基質としてはたらくので、ポリマーを切断する酵素はますます産生される。生体吸収はこのようにして主として酵素による分解を経由して起こる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の対象物は、
a)アクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体系の10から80重量%の反応性希釈剤、
b)一般式
【0023】
【化1】

【0024】
[式中、nは1〜100の整数であり、
Xは、水素もしくはR3または(C=O)-R3を表し、R3は、任意にひとつもしくはそれ以上の介在する酸素原子もしくはエステル基を有する1から20の炭素原子の直鎖もしくは分枝アルキル基であるか、又は基
【0025】
【化2】

【0026】
であり(R2はHもしくは-CH3である)
式中Z1は-O-(CH2)X-CO-、-O-(CH2-CH2-O)X-CH2-CO-、-O-(CH2-CH2-O)X-CO-CH2-CH2-CO-、-O-(CH2-CH2-O)X-OC-CH=CH-CO-、-O-CH2-CH(OH)-CH2-もしくは-O-(CH2-CH2-O)X-CH2-CH(OH)-CH2-であり(xは1から20である)、
基Yは独立して水素、-CH3、-CH2-CH(CH3)2、-CH(CH3)-CH2-CH3、-CH2-COT、-CH2-CH2-COT、-CH2-OX、-(CH2)4-NHX、-(CH2)3-NH-C(=NH)-NH2、-CH2SX、-CH(OX)-CH3、-CH2-CH2-S-CH3、-CH2-C6H5、-CH2-C6H4-OX、-CH2-CONH2、-CH2-CH2-CONH2
【0027】
【化3】

【0028】
を表し(Xは前記と同様の意味を有する)、
R1は水素もしくはR3又は(C=O)-R3を表すか(R3は前記と同様の意味を有する)、又はR1はYと一緒に、基-(CH2)3-もしくは-CH2-CH(OX)-CH2-を表し(Xは前記と同様の意味を有する)、
【0029】
Tは基-OHもしくはOR3または基
【0030】
【化4】

【0031】
を表し(R2はHまたは-CH3である)
式中Z2は-O-(CH2)x-O-、-O-(CH2-CH2-O)x-、-O-CH2-CH(OH)-CH2-O-、もしくは-O-CH2-CH(OH)-CH2-O-(CH2-CH2-O)x-であり(xは1から20である)
ただし少なくとも1つの基X、YもしくはTは基
【0032】
【化5】

【0033】
を含むものとする]
の10から50重量%の液体モノマー、もしくは製剤(組成物)に可溶性のモノマー
を含む重合硬化性組成物である。
【0034】
好ましい実施態様において、該組成物は紫外線もしくは可視光によって硬化し得る(重合性)組成物であって、成分b)として一般式
【0035】
【化6】

【0036】
[式中、nは1と100との間の整数であって、
Xは水素、基
【0037】
【化7】

【0038】
を表し(R2はH又は-CH3である)、
式中、Z1は-O-(CH2)x-CO-、-O-(CH2-CH2-O)x-CH2-CO-、-O-CH2-CH(OH)-CH2-もしくは-O-(CH2-CH2-O)x-CH2-CH(OH)-CH2-であり(xは1から20である)、
基Yは独立して水素、-CH3、-CH2-CH(CH3)2、-CH(CH3)-CH2-CH3、-CH2-COT、-CH2-CH2-COT、-CH2-OX、-(CH2)4-NHX、-(CH2)3-NH-C(=NH)-NH2、-CH2SX、-CH(OX)-CH3、-CH2-CH2-S-CH3、-CH2-C6H5、-CH2-C6H4-OX、-CH2-CONH2、-CH2-CH2-CONH2
【0039】
【化8】

【0040】
を表し、
式中、Xは前記と同様の意味を有し、
R1は水素を表すか、もしくはR1はYとともに基-(CH2)3-又は-CH2-CH(OX)-CH2-を表し(式中Xは前記と同様の意味を有する)、
Tは-OH基もしくは基
【0041】
【化9】

【0042】
(R2はHもしくは-CH3である)
を表し、
式中、Z2は-O-(CH2)x-O-、-O-(CH2-CH2-O)x-、-O-CH2-CH(OH)-CH2-O-もしくは-O-CH2-CH(OH)-CH2-O-(CH2-CH2-O)x-であり(xは1から20である)、
ただし、少なくとも1つの基X、YもしくはTは基
【0043】
【化10】

【0044】
を含むものとする]
の10重量%から50重量%の液体モノマーもしくは製剤中で可溶性のモノマーを含む組成物である。
【0045】
好ましくは、組成物は0%から60%の充てん剤もしくは溶媒を含む。
【0046】
好ましくは、0.01重量%から5重量%の少なくとも1つの開始剤、任意で0重量%から5重量%の共開始剤、及び/または0重量%から10重量%の1つもしくはそれ以上の添加物(例えば、安定剤、UV吸収剤、粘性改良剤、溶媒など)が加えられる。
【0047】
本発明によれば、反応性希釈剤として、任意の公知の単官能性、二官能性もしくは多官能性のアクリル酸のもしくはメタクリル酸のエステル及びアミド、ならびに/またはそれらの任意の混合物が使用され得る(例えばアクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ポリ乳酸ブロック−ポリエチレングリコールブロック−ポリ乳酸ジアクリレート(Polymilchsaeure-block-polyethylenglykol-block-polymilchsaeure-diacrylat)など)。
【0048】
液体誘導体(例えば、N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、アクリル酸2−(ブチルカルバモイルオキシ)エチルエステル、ポリエチレングリコールジアクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレートなど)が好ましい。
【0049】
b)として列挙されるモノマーは特定の(メタ)アクリロイル化されたアミノ酸、ペプチドもしくはタンパク質である。本発明によると、これらは一方もしくは両方の末端基及び/またはそれぞれの反応性のアミノ酸のユニットのペンダント基(例えば、リジン、セリン、チロシン、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸のラジカルなど)で置換され得る。このようなモノマーは文献によって知られているが(E. Schacht, WO 98/55161 (1998) (J. Zimmermann, K. Bittner, B. Stark, R. Muelhaupt, Biomaterials 23, 2127-2134 (2002))、このようなモノマーはまたペプチドと反応性の(メタ)アクリル酸誘導体(例えば、(メタ)アクリル酸の塩化物、無水物もしくはグリシジルエステルなど)とを反応させることによって製造され得る。これらの反応に使われるペプチドは天然由来のタンパク質、例えばゼラチン、ケラチン、フィブリンもしくはカゼインの加水分解によって得られた混合物、又は米、大豆、小麦、ジャガイモ、鶏卵、肉もしくは魚由来のペプチド混合物であってもよい。本発明によると、コラーゲンに特異的なアミノ酸ユニット(例えば、グリシン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、プロリン、ヒドロキシリジンもしくはヒドロキシプロリンなど)を含む(メタ)アクリロイル化ペプチドならびに分子量が10.000までの(メタ)アクリロイル化ゼラチン加水分解物が好ましい。本発明によると、細胞付着のための特別な受容体を含む配列を含む(メタ)アクリロイル化ペプチドが特に好ましい(例えば、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸、いわゆるRGD配列など、参照:D.L. Hern, J.A. Hubbell, Journal of Biomedical Materials, Research Part A 39, 266-276 (1998))。
【0050】
本発明によると、重合性の(メタ)アクリロイルラジカルはまたスペーサーを経由してペプチドへ結合されうる。反応のために適切な試薬は:12−メタクリロイルオキシドデカン酸無水物、(14−メチル−13−オキソ−3,6,9,12−テトラオキサペンタデカ−14−エン−1−イル)ブタン−1,4−二酸モノエステル(EP 324,455 A2)もしくは市販のアクリルオキシポリエチレングリコール−N−ヒドロキシスクシンイミドである。
【0051】
従来の熱開始剤に加えて、光開始剤は特に好ましい。有用な光開始剤は任意のラジカル形成I型及びII型開始剤である(J. Crivello及びK. Dietliker, Wiley/SITA London による「Photoinitiators for free radical polymerization」参照)。例としては、ベンジルケタール、ベンゾイン、ヒドロキシアルキルフェノン(Hydroxalkylphenone)、アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、チタノセンが挙げられる。II型開始剤(例えば、ベンゾフェノン、ジケトン、チオキサントン、およびケトクマリンなど)は適切な共開始剤とともに使われる。これらは一般に、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル(DMAB)、トリエタノールアミンもしくはジメチルエタノールアミンのような第3級アミンである。
【0052】
本発明によると、カンファーキノン/DMAB、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン(Irgacure2959)もしくはフェニル−ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Irgacure819)は特に有用である。
【0053】
使用される充てん剤は任意の公知の生体適合性及び生体不活性の有機ポリマーもしくは無機材料であり得る。これらは粉末、繊維などの形態で、液体モノマー混合物に、溶解性にしてもよく、もしくは分散させてもよい。例としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ケラチン、ゼラチン、セルロースエステル及びセルロースエーテル、キトサン、デンプン誘導体、ヒアルロン酸誘導体、ポリ−α−ヒドロキシ酸系ポリエステル、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ(プロピレンフマラート)、ポリカーボネート、ポリアンヒドリド(Polyanhydride)、ポリホスファゼン(Polyphosphazene)、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムもしくはTi(Ta、Nb)合金が挙げられる。本発明によると、ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、骨粉、Algipore(Algipor)、ポリエチレングリコール、乳酸系及びグリコール酸系ポリエステル、ケラチン繊維、ならびにフィブリン接着剤が特に好ましい。
【0054】
さらなる態様において、本発明はポリマー(Polymerisaten)を製造するための組成物の使用、および組成物の重合によってポリマー(Polymerisate)を製造する方法に関する。熱開始剤もしくは光開始剤を重合のために使用することができる。
【0055】
好ましくは、ポリマー(Polymerisat)は成形品であり、詳しくは、金型中での組成物の重合かまたは、「ラピッドプロトタイピング」(リソグラフィー的もしくはステレオリソグラフィー的ラピッドプロトタイピング)のいずれかによって形成された成形品である。
【0056】
好ましくは、組成物の成分は10%未満、好ましくは1%未満、最も好ましくは0.1%未満の含有量の水分を含む有機溶媒に溶解する(重量%で、流動体の成分が溶媒としてはたらく場合もあり得る)。
【0057】
さらなる態様において、本発明は500MPaを超えるE係数(E-Modulus)を有する重合性組成物からなる成形品に関する。このような成形品は記載された方法で得ることができる。
【0058】
好ましくは、成形品は500MPaよりも大きいE係数を有し、より好ましくは1000MPaよりも大きい、さらに好ましくは1500MPaよりも大きい、いっそうさらに好ましくは2000MPaよりも大きい、最も好ましくは5000MPaよりも大きい、もしくは10000MPaよりも大きいE係数を有する。
【0059】
弾性率(ヤング率とも呼ばれる)は、線形弾性挙動を有する固形物の変形の間の応力とひずみとの相互関係を説明する物質の特有の値である。弾性率はE係数と略される。物質が変形に対して抵抗を示すほど、弾性率値は高くなる。したがって、高い弾性率を有する物質は硬く、一方、低い弾性率を有する物質は形状が変わりやすい。弾性率は直線的な弾性の部分の内部で単一の軸方向の応力を加えた際の応力−ひずみ線図における曲線の傾きとして定義される。
【0060】
硬度は、他の要因の中でも、組成物によって決定され、前記組成物は好ましくは、水によって膨張もしくは収縮させない無水有機溶媒中に含まれる。また選択された組成物の成分の重合の間になんらの水も生じない。(所望の硬度によるが、水分は少量においては許容され得る。)詳細には、組成物は10%未満、好ましくは1%未満、最も好ましくは0.1%未満の水(重量%において)を含有する。詳細には、成分b)は水中に溶解しないが(いくつかの場合において不均一な分散は許容される)、有機溶媒中に(均一に)溶解する。
【0061】
骨置換としての使用のための成形品を製造することによって、骨の素材と驚くほど類似している機械的性質を有する製品を製造することが可能である。500MPaよりも小さい成形品のE係数は好ましくない。なぜならそのような製品は(骨と比べて)あまりにもゴムのようであるからである。良好な値は1500MPaと5000MPaとの間であって、最良の値は、天然の骨の値と一致する10000MPaの周辺であろう。このような高い値は好ましくは充填剤をさらに使用することによって達成される。
【0062】
Anseth(Biomaterials 2003: 2485)によって説明された、もしくはEP1,142,596 A1において公開されたようなマクロマー(Makromere)構造は500MPaの係数を達成したのみである。ポリオルトエステルのビスメタクリラートは単に約40MPaの係数を有しているだけであり(M. Kellomaki, J. Heller, P. Tormala, Processing and properties of two different poly(ortho esters), Journal of Materials Science: Materials in Medicine 11(6), 345-355 (2000))、PEG−ラクチド−ビスメタクリラートは約8から17MPaの係数を有している(D. Cohn, A. Hotovely-Salomon, Biodegradable multiblock PEO/PLA thermoplastic elastomers: molecular design and properties, Polymer 46(7), 2068-2075 (2005))。本発明は、ここで、重合してはるかに有利な成形品になる組成物を提供する(下記実施例参照)。
【0063】
成形品の表面が改変されていることが特に好ましい。例えば、無水メタクリル酸が製剤に含まれる場合、表面はアミノ分解によって容易に改変することができる。このようにして(組成物から)利用可能になる、あるいは取り付けられる、適切な物質は、骨芽細胞もしくは骨芽細胞の前駆体の付着を向上させるペプチドを含む。これらはRGD配列を具備するペプチドを含み、好ましくは、コラーゲンIもしくはコラーゲンIVに類似しているペプチドを含む。表面は好ましくは共有結合しているタンパク質、ペプチド、アミノ酸もしくはオリゴヌクレオチドによって修飾される。
【0064】
成形品が細胞状もしくは多孔質構造を有することが特に好ましい。好ましくは、該細胞は150μmから500μm、特に約200μmの壁の厚さ、もしくは細孔の大きさを有する。200μmは骨梁(trabekulaeren Knochen)の平均ロッド直径と一致している。150μmと500μmとの間の(特に350μmから500μm)細孔の直径は、骨芽細胞の付着に理想的である。これは、内部で組成物を重合させる特別な型、特に溶解性の物質から成る型を用いて達成され得、成形品は適切な溶媒に型を溶解させた後に得られる。一方で、そのような構造はラピッドプロトタイピング法で創出され得る。ラピッドプロトタイピング法において、固体成形品は、出発原料(モノマー)の溶液もしくは流動体の組成物を積層することによって、例えば、出発組成物を収容している容器内でリフトプレートをわずかに底から上昇させ、容器の半透明な(もしくはUV透過性の)底を通して目的の光で容器を下から照射することによって(重合させるそれぞれの層の特定の像について)構築される。さらにプレートを上昇させ、照射することによって、次の層が構築される。ラピッドプロトタイピング法の利点は、所望の形状を備えた成形品を製造することができ、これはちょうどそれぞれの医療の要求に適合し得、例えば、骨腫瘍の除去後、骨の穴は正確に(トモグラフィー)測定され得、正確に前記穴に適合する成形品がイメージング法を用いて製造され得るということである。
【0065】
細胞状構造を達成するためのさらなる可能な方法としては以下が挙げられる(L.J. Gibson, T.M. Freyman, I.V. Yannas, Cellular Materials as porous scaffolds for tissue engineering, Progress in Materials Science 46, 273-282 (2001)を参照):
塩の浸出:NaCl粒子及びポリマーを溶液中で混合する。該溶媒を蒸発させ、ポリマーを融点よりも上の温度に加熱し(より良好な粒子の分布)、冷却し、水中に置くと、塩が溶解する。ここで、細孔の大きさは30μmから120μmの範囲であり、20%から93%の多孔度が達成されうる。
発泡:ポリマー(組成物)中にCOを加圧下(800psi、25℃)で溶解させ、圧力を減少させる。気体は膨張し、細孔を形成する;一般的に93%の多孔度、細孔の大きさ100μmである。
繊維結合:ポリグリコール酸(PGA)繊維をポリ乳酸(PLA)溶液中に浸す。溶媒を蒸発させ、得られる網状組織をPGAの融点よりも高温に加熱し(網状組織は溶融する)、PLAを溶解させ、PGA網状組織を得る。
ポロゲンによる3D複写(3D-printing):NaClを伴うPGA、PLA粉末、上記参照、95%の多孔度、100μmの細孔の大きさ。
【0066】
好ましくは、成形品は結合されたタンパク質、ペプチド、アミノ酸もしくはオリゴヌクレオチドによって改変される。最も好ましくは、これらは骨形態形成タンパク質(BMP)、サイトカイン、成長因子(例えば、TGF−β、PTHなど)、細胞分化因子、コラーゲンもしくはコラーゲン断片であって、好ましくは、BMPおよびコラーゲンであり、特にII型コラーゲンである。BMPの例、特にBMP−1(US 5,108,922)、BMP−2及びBMP−3(US 5,116,738 及び US 5,013,649)、BMP−4(US 5,013,649)、BMP−5(US 5,106,748)、BMP−6(US 5,187,076)、ならびにBMP−7(US 5,108,753)は文献から知られている。骨の成長を促進する核酸、またはオリゴヌクレオチドの例は、例えばEP 741 785に開示されている。医療的応用において、これらのタンパク質、またはオリゴヌクレオチドはまた、別々に投与され得る。好ましくは、表面はハイドロキシアパタイトで被覆されることによって改変される。
【0067】
さらなる態様において、本発明は医学的応用のための成形品に関し、特に骨置換物質もしくは骨置換部品、特にインプラントとしての成形品に関する。これは特に骨の損傷(例えば、腫瘍に関する骨の空洞など)の治療のために有利である。体内において、成形品はある一定の期間の後分解し得、これは、なんら特定の理論に拘束されないが、ポリマーへの水の遅い浸透によって引き起こされる。
【0068】
関連する態様において、本発明はまた骨の損傷を治療するためのインプラントを製造するための本発明の成形品の使用とも関係する。
【0069】
以下の実施例において、機械的に安定な骨置換材料の製造のためのラピッドプロトタイピング法で使われうる本発明の組成物が示され、先行技術のポリマーと比較される。
【実施例】
【0070】
実施例1
ゼラチン加水分解物メタクリルアミド GM1、GM2及びGM3の調製:
穏やかに加熱しながら(50℃を超えない)1g(0.4mmol)のゼラチン加水分解物(M<6000 g/mol, 0.63 mmol リジン/g)を水に溶解した。1g(6.7mmol)の無水メタクリル酸(MAA)の添加後、該混合物を、異なる程度の置換を得るため、それぞれ、0.25時間(GM1)、4時間(GM2)及び5時間(GM3)激しく撹拌した。余剰のメタクリル酸及び無水メタクリル酸をそれから真空中で除いた。メタクリロイル置換リジンユニットの平均の置換度(DS)をNMRによって測定した:
GM1:1.03gの黄色い固体、DS=5%
GM2:1.27gの黄色い油状物、DS=47%
GM3:1.18gの黄色い油状物、DS=52%
1H-NMR(DMSO δ (ppm): 7.19(m,芳香族のH); 5.39(s, HCH=C); 5.62(s, HCH=C); 4.70-0.75(m,脂肪族のH); 1.5(s, CH3)
【0071】
比較例1
メタクリロイル化オリゴエチレングリコール/乳酸ブロック共重合体の調製
(E2-L20-M及びE8-L20-MをA. Davis Kellyら, Biomaterials 24(14), 2485-95 (2003)に記載されたように調製した)
【0072】
【表1】

【0073】
ジエチレングリコールもしくはポリエチレングリコール400をCaCl2とともに終夜撹拌し、次いで濾取した。メタクリル酸クロリドは使用前に新たに蒸留した。
【0074】
D,L−ラクチド及びそれぞれのエチレングリコールを三つ口フラスコ中に入れ(vorgelegt)、130℃に加熱した。D,L−ラクチドが溶融したとき、触媒を添加し、真空にし、混合物を6時間、130℃で撹拌した。冷却後、油状固形物を無水CHClに溶解させ、トリエチルアミンを窒素雰囲気下で添加した。反応混合物を0℃まで冷却し、CHClで希釈した30mlのメタクリル酸クロリドをゆっくり滴下した。反応混合物をさらに一晩室温で撹拌した。
【0075】
最後に、塩類をろ別し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。残渣をトルエンに溶かし、再度ろ過し、冷PE中へ注いだ。生成物を再度再沈殿させ、それからCHClに溶解させ、NaHCO溶液及び食塩水で数回洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、蒸発させた。
【0076】
E2−L20−M:9.0gの粘着性の固体(理論値の66%)
1H-NMR (DMSO): 6.18 (s, 2H, HCH=C); 5.62 (s, 2H, HCH=C); 5.13 (m, 20H, CH-CO); 4.25 (m, 4H, CH2-O); 3.65 (m, 4H, CH2-O); 1.94 (s, 6H, CH3-C=C); 1.58-1.46 (m, 60H, CH3-C-O)。
【0077】
E8−L20−M:4.5gの黄色い固体(理論値の33%)
1H-NMR (DMSO): 6.20 (s, 2H, HCH=C); 5.60 (s, 2H, HCH=C); 5.13 (m, 20H, CH-CO); 4.25 (m, 4H, CH2-O); 3.70-3.60 (m, 28H, CH2-O); 1.97 (s, 6H, CH3-C=C); 1.60-1.48 (m, 60H, CH3-C-O)。
【0078】
試験片の調製
試験片を生体適合性を評価するために製造した。混合物を表1で示されたように調製した。混合物1から4は文献で記載されたように調製した。すべての場合において光開始剤は1%の1:1のモル濃度のカンファーキノン、ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルの混合物であった。
【0079】
【表2】

【0080】
混合物をシリコーンの型に流し込み、UV装置にて窒素雰囲気下で硬化させた。得られた試験片を残留するモノマーを除くため超音波槽中で有機溶媒及び水で抽出した。抽出されたポリマー品は紫外線で滅菌した。
【0081】
生体適合性の評価
生体適合性の評価のため、骨芽細胞様細胞MC3T3−E1を使用した。第一に付着した細胞をお互いから分離し、プロナーゼを使用してペトリ皿の底からも分離した。次に前記細胞を新たに調製した培地と混合し、マルチウェルプレート中で個々の試験片上に均一に分散させた。前記培地は市販のダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、これは本来1000mg/lのグルコースを含み、4500mg/lの濃度までさらなるグルコースと合わせた)からなり、これに10%FCS(ウシ胎児血清)、30μg/mlゲンタマイシン(広域抗生物質)、L−グルタミン及びアスコルビン酸を添加した。
【0082】
細胞を有するマルチウェルプレートを37℃で培養した。顕微鏡を用いた観察は細胞が生存したかどうか、および付着することができたかを示した。2週間の培養の後生細胞が存在する場合、生細胞をPBS中の4%のパラホルムアルデヒド及び0.5%トリトンの溶液を用いて固定し、PBS緩衝液7を用いて数回洗浄し、PBS緩衝液7中の4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールの溶液(DAPI、5μg/ml)を用いて染色した。
【0083】
生分解性の研究はpH7.0、PBS緩衝液中で37℃で実施した。該PBS緩衝液は一定のpH値を保つため第1週目の間12時間毎に取替え、次に3日毎に取り替えた。試料を1、3、7、21及び30日後に採取した。材料の機械的剛性を動的機械分析にてE係数を測定することによって得た。それぞれのE係数値を次の表に示す:
【0084】
【表3】

【0085】
表から見出せるように、本発明の製剤6〜9は高く耐久性のある剛性値を提供し、同時に先行技術によって調製された1〜4の公知のポリマーと比べると優れた細胞付着を提供した。
【0086】
成形
細胞状構造は成形技術によって製造した。ワックス鋳型(Solidscape Modelmaker)および有機可溶性(organoloesliche)ポリマーの鋳型を使用した。モノマー製剤は1%ベンゾイルペルオキシド及び0.07〜0.2%の4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチルエステル(DMAB)と混合し、それぞれの鋳型へ充填し、数時間45℃〜75℃で硬化させた。ワックス鋳型はエタノール中での溶解によって取り除き、有機可溶性の鋳型はn−ブチルアミン及びテトラヒドロフランの1:4混合物中で取り除いた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)アクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体系の10から80重量%の反応性希釈剤、
b)一般式
【化1】

[式中、nは1〜100の整数であり、
Xは、水素もしくはR3または(C=O)-R3を表し、R3は、任意にひとつもしくはそれ以上の介在する酸素原子もしくはエステル基を有する1から20の炭素原子の直鎖もしくは分枝アルキル基であるか、又は基
【化2】

であり(R2はHもしくは-CH3である)
式中Z1は-O-(CH2)X-CO-、-O-(CH2-CH2-O)X-CH2-CO-、-O-(CH2-CH2-O)X-CO-CH2-CH2-CO-、-O-(CH2-CH2-O)X-OC-CH=CH-CO-、-O-CH2-CH(OH)-CH2-もしくは-O-(CH2-CH2-O)X-CH2-CH(OH)-CH2-であり(xは1から20である)、
基Yは独立して水素、-CH3、-CH2-CH(CH3)2、-CH(CH3)-CH2-CH3、-CH2-COT、-CH2-CH2-COT、-CH2-OX、-(CH2)4-NHX、-(CH2)3-NH-C(=NH)-NH2、-CH2SX、-CH(OX)-CH3、-CH2-CH2-S-CH3、-CH2-C6H5、-CH2-C6H4-OX、-CH2-CONH2、-CH2-CH2-CONH2
【化3】

を表し(Xは前記と同様の意味を有する)、
R1は水素もしくはR3又は(C=O)-R3を表すか(R3は前記と同様の意味を有する)、又はR1はYと一緒に、基-(CH2)3-もしくは-CH2-CH(OX)-CH2-を表し(Xは前記と同様の意味を有する)、
Tは基-OHもしくはOR3または基
【化4】

を表し(R2はHまたは-CH3である)
式中Z2は-O-(CH2)x-O-、-O-(CH2-CH2-O)x-、-O-CH2-CH(OH)-CH2-O-、もしくは-O-CH2-CH(OH)-CH2-O-(CH2-CH2-O)x-であり(xは1から20である)
ただし少なくとも1つの基X、YもしくはTは基
【化5】

を含むものとする]
の10から50重量%の液体モノマー、もしくは製剤に可溶性のモノマー
を含む重合硬化性組成物。
【請求項2】
紫外線もしくは可視光によって硬化し得る組成物であって、成分b)として一般式
【化6】

[式中、nは1と100との間の整数であって、
Xは水素、基
【化7】

を表し(R2はH又は-CH3である)、
式中、Z1は-O-(CH2)x-CO-、-O-(CH2-CH2-O)x-CH2-CO-、-O-CH2-CH(OH)-CH2-もしくは-O-(CH2-CH2-O)x-CH2-CH(OH)-CH2-であり(xは1から20である)、
基Yは独立して水素、-CH3、-CH2-CH(CH3)2、-CH(CH3)-CH2-CH3、-CH2-COT、-CH2-CH2-COT、-CH2-OX、-(CH2)4-NHX、-(CH2)3-NH-C(=NH)-NH2、-CH2SX、-CH(OX)-CH3、-CH2-CH2-S-CH3、-CH2-C6H5、-CH2-C6H4-OX、-CH2-CONH2、-CH2-CH2-CONH2
【化8】

を表し、
式中、Xは前記と同様の意味を有し、
R1は水素を表すか、もしくはR1はYとともに基-(CH2)3-又は-CH2-CH(OX)-CH2-を表し(式中Xは前記と同様の意味を有する)、
Tは-OH基もしくは基
【化9】

(R2はHもしくは-CH3である)
を表し、
式中、Z2は-O-(CH2)x-O-、-O-(CH2-CH2-O)x-、-O-CH2-CH(OH)-CH2-O-もしくは-O-CH2-CH(OH)-CH2-O-(CH2-CH2-O)x-であり(xは1から20である)、
ただし、少なくとも1つの基X、YもしくはTは基
【化10】

を含むものとする]
の10重量%から50重量%の液体モノマーもしくは製剤中で可溶性のモノマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分a)がアクリル酸(2−(2−エトキシ)エトキシ)エチルエステル、ジイソプロピルアクリルアミド、ジイソブチルアクリルアミド、アクリル酸2−(ブチルカルバモイルオキシ)エチルエステル、ヒドロキシエチルメタクリラート、ポリエチレングリコールジアクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレート、またはそれらの混合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
成分b)がグリシン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニンもしくはプロリンから選択されるアミノ酸を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項5】
成分b)がメタクリロイル化ゼラチン加水分解物を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項6】
成分b)がアルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)配列を含むペプチドを含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項7】
開始剤として2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノンもしくはフェニル−ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項8】
開始剤としてのカンファーキノン、ならびに共開始剤としてのジメチルアニリン、トリエタノールアミンおよび/もしくはメチルジエタノールアミンを含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項9】
充填剤としてヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、骨粉もしくはケラチン繊維を含む、請求項1から8のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項10】
組成物の成分が、10%未満、好ましくは1%未満、最も好ましくは0.1%未満の含量の水を含む有機溶媒に溶解することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに記載の組成物を重合させることを含むポリマー(Polymerisats)の製造方法。
【請求項12】
ポリマー(Polymerisat)が、好ましくは鋳型中での組成物の重合か、もしくはラピッドプロトタイピングのいずれかによって成形された成形品であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
500MPaよりも大きいE係数を有し、請求項1から10のいずれか1つに記載の重合性の組成物より製造される成形品。
【請求項14】
1000MPaよりも大きい、好ましくは1500MPaよりも大きい、より好ましくは2000MPaよりも大きい、さらにより好ましくは5000MPaよりも大きい、および最も好ましくは10000MPaよりも大きいE係数を有することを特徴とする、請求項13に記載の成形品。
【請求項15】
150μmと500μmとの間の細孔の直径を有する細胞状構造を有することを特徴とする、請求項13または14に記載の成形品。
【請求項16】
表面がヒドロキシアパタイトの被覆によって改変されていることを特徴とする、請求項13から15のいずれか1つに記載の成形品。
【請求項17】
表面が共有結合しているタンパク質、ペプチド、アミノ酸もしくはオリゴヌクレオチドによって改変されていることを特徴とする、請求項13から15のいずれか1つに記載の成形品。
【請求項18】
タンパク質が骨形態形成タンパク質(BMP)、サイトカイン、成長因子及び細胞分化因子、コラーゲンもしくはコラーゲン断片であることを特徴とする、請求項17に記載の成形品。
【請求項19】
特に骨置換物質としての、医療用途のための請求項13から18のいずれか1つに記載の成形品。
【請求項20】
医療用途が、骨の損傷、特に腫瘍に関する骨の空洞の治療であることを特徴とする、請求項19に記載の成形品。
【請求項21】
骨の損傷の治療のためのインプラントを製造するための請求項13から20のいずれか1つに記載の成形品の使用。

【公表番号】特表2008−535979(P2008−535979A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505690(P2008−505690)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【国際出願番号】PCT/AT2006/000143
【国際公開番号】WO2006/108202
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(507000729)テヒニーシェ ウニヴェルジテート ウィーン (6)
【Fターム(参考)】