説明

重合ゲルシートの製造方法及び粉末状重合体の製造方法並びに光重合用反応装置

【課題】水溶性単量体の光重合反応において冷却廃水を発生させることなく単量体溶液上面を充分に冷却することができ、水不溶解性成分が少なく、かつ高分子量の重合ゲルシートが得られる製造方法、及び該製造方法の光重合反応に用いる光重合用反応装置を目的とする。
【解決手段】水溶性単量体を含む単量体溶液Xに光照射して光重合反応を行う重合工程において、流動性が低下した単量体溶液Xの上面に冷媒を供給し、該冷媒を気化させることで単量体溶液Xを冷却しながら光重合反応を行うことを特徴とする重合ゲルシートの製造方法。単量体溶液Xの幅を規制する堰10が設けられた支持体12と、支持体12上に単量体溶液Xを供給する単量体供給手段24と、単量体溶液Xに光を照射する光照射手段34と、流動性が低下した単量体水溶液Xに冷媒を供給する冷媒供給手段40とを具備する光重合用反応装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合ゲルシートの製造方法及び粉末状重合体の製造方法並びに光重合用反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性のアクリルアミド系もしくは(メタ)アクリレート系の重合体、又はそれらの共重合体は、優れた凝集性能を有することから汚泥処理、紙用薬剤、土壌改良剤として広く使用されている。これらの用途に使用される水溶性重合体の多くは、一般的に高分子量のものほど優れた凝集性能を示す。
アクリルアミド系重合体の工業的製造方法としては、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、及び水溶液重合法等の溶液重合法が挙げられるが、高分子量の重合体が得られやすい点から水溶液重合法が用いられる場合が多い。このような水溶性重合体は粉末状重合体として用いられることが多い。粉末状重合体の製造方法としては、多くの場合は水溶液重合法により水を含む重合体ゲルを製造した後に、該重合体ゲルに対して粗砕、解砕、乾燥、粉砕等の工程を行い、粉末状重合体とする方法が用いられる。
【0003】
水溶液重合法では、光重合法が広く用いられており、アクリルアミド系もしくは(メタ)アクリレート系の水溶性単量体の光重合法として、シート型反応槽の下面を冷水で冷却しながら光重合反応を行う方法(特許文献1)、可動支持体又は可動ベルト上で移動する単量体溶液層の上面及び下面を冷水で冷却しながら光重合反応を行う方法(特許文献2、特許文献3)が知られている。
【特許文献1】特開2003−82596号公報
【特許文献2】特開2002−348303号公報
【特許文献3】特許第3964348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法は、光重合反応における反応液pH、反応温度を一定範囲に制御しながら光重合反応を行っている。そのため、この方法は重合体ゲルの水溶性や生産性に優れ、かつアクリルアミド単量体(単位)の加水分解が抑制された高分子量の重合体を得ることができる点で、優れた水溶性単量体の光重合技術である。しかし、シート型反応槽の下面のみを冷水で冷却しながら光重合反応を行っているため、重合反応における単量体溶液の表層上面部分の除熱効率が低く、得られる重合体ゲルにおけるその表層上面部分の水溶性が低くなることがあった。
【0005】
特許文献2の方法は、可動支持体上で移動する流動性が低下した単量体溶液の上面及び下面を冷水で冷却しながら光重合反応を行うことで重合ゲルシート(シート状の重合体ゲル)を得ている。そのため、この方法は重合反応における単量体溶液全体の除熱効率は良好であり、品質を低下させることなく高い生産性で重合ゲルシートを製造することができる点で、非常に優れた水溶性単量体の光重合技術である。しかし、この方法は大量の冷却液を単量体溶液の上面に供給して冷却する方法であるため、単量体溶液の表面温度測定等により重合状態を監視することが困難であり、また可動支持体に設置した排出口から排出される冷却廃液を廃棄処理又は回収処理する必要があった。
【0006】
また、特許文献3の方法は、可動ベルト上で移動する単量体溶液の上面及び下面を冷水で冷却しながら光重合反応を行っているため、重合反応における単量体溶液全体の除熱効率は比較的良好である。しかし、単量体溶液上面と紫外線照射ランプ間に設置した冷却水供給管から大量の冷却液を単量体溶液上面に供給し、単量体溶液上面と紫外線照射ランプ間に設置した冷却廃水排出用吸引管から冷却廃水を吸引・排出している。そのため、冷却水供給管及び冷却廃水排出用吸引管の真下部分への紫外線光量が低くなって光重合反応にムラが生じる上、冷却廃水排出用吸引管から吸引・排出された冷却廃液を廃棄処理又は回収処理する必要があった。
【0007】
以上のように、特許文献1〜3のような方法は、光重合反応における単量体溶液表層上面部分の除熱を、冷却廃水を発生させることなく効率的に行うことができない点で、工業上の技術的課題を残していた。このことは、従来の方法に用いる光重合用反応装置のユーティリティーコストを大幅に圧迫している。そのため、単量体溶液の上面部分の除熱に際して冷却廃水を発生させることなく、従来の光重合用反応装置のユーティリティーコストを大幅に低減することができる重合ゲルシートの製造方法及びその光重合用反応装置が望まれている。
【0008】
そこで本発明では、水溶性単量体の光重合反応において冷却廃水を発生させることなく単量体溶液上面を充分に冷却することができ、水不溶解性成分が少なく、かつ高分子量の重合ゲルシートが得られる製造方法、及び該製造方法の光重合反応に用いる光重合用反応装置を目的とする。また、前記重合ゲルシートを用いた粉末状重合体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の重合ゲルシートの製造方法は、水溶性単量体を含む単量体溶液に光照射を行うことで該水溶性単量体の光重合反応を行う重合工程を含む重合ゲルシートの製造方法であって、前記重合工程では、流動性が低下した前記単量体溶液の上面に冷媒を供給し、該冷媒を気化させることで前記単量体溶液を冷却しながら光重合反応を行うことを特徴とする方法である。
【0010】
また、本発明の重合ゲルシートの製造方法は、前記単量体溶液が、前記水溶性単量体としてアクリルアミド系単量体及び/又は(メタ)アクリルアミド系単量体を含む水溶液であることが好ましい。
また、前記冷媒が水及び/又は揮発性有機溶媒を含み、かつ前記単量体溶液の上面に該冷媒をミスト状に噴霧吐出して供給することが好ましい。
また、前記水及び/又は揮発性有機溶媒と、空気及び/又は不活性気体との二流体混合物からなる冷媒をミスト状に噴霧吐出することが好ましい。
また、前記冷媒を粒子径が3〜5000μmのミスト状に噴霧吐出することが好ましい。
また、前記冷媒をミスト状に噴霧吐出して供給する範囲を、円形、扇形、線形、スリット形、多角形からなる群から選ばれる1種以上の形状とすることが好ましい。
【0011】
また、本発明の粉末状重合体の製造方法は、前記重合ゲルシートの製造方法により得られた重合ゲルシートを乾燥粉末状にして粉末状重合体を得る粉末化工程を含む方法である。
【0012】
また、本発明の光重合用反応装置は、前記いずれかの重合ゲルシートの製造方法の重合工程に用いる光重合用反応装置であって、前記単量体溶液の幅を規制する堰が設けられた支持体と、該支持体上に前記単量体溶液を供給する単量体供給手段と、前記単量体溶液に光を照射する光照射手段と、流動性が低下した前記単量体水溶液に、該単量体水溶液の上面で冷媒が気化するように冷媒を供給する冷媒供給手段とを具備する装置である。
また、本発明の光重合用反応装置は、さらに、前記支持体上に2枚のフィルムを供給するフィルム供給手段を具備し、該支持体上に供給された2枚のフィルムの間に前記単量体供給手段から単量体溶液が供給される装置であることが好ましい。
また、前記冷媒供給手段が、前記冷媒を噴霧吐出する噴霧吐出ノズルを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の重合ゲルシートの製造方法によれば、水溶性単量体の光重合反応において冷却廃水を発生させることなく単量体溶液上面を充分に冷却することができ、水不溶解性成分が少なく、かつ高分子量の重合ゲルシートを得ることができる。
また、本発明の粉末状重合体の製造方法によれば、前記重合ゲルシートを用いることで、水不溶解性成分が少なく、かつ高分子量の粉末状重合体を得ることができる。
また、本発明の光重合用反応装置は、水溶性単量体の光重合反応において冷却廃水を発生させることなく単量体溶液上面を充分に冷却することができる。そのため、該光重合用反応装置を用いた重合ゲルシートの製造により、水不溶解性成分が少なく、かつ高分子量の重合ゲルシートを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[光重合用反応装置]
本発明の光重合用反応装置は、重合ゲルシートの製造における水溶性単量体の光重合反応に用いることができる。図1は、本発明の光重合用反応装置の実施形態の一例を示した概略構成図である。また、図2は、図1における光重合用反応装置をV−V断面において切断した断面図である。
本実施形態の光重合用反応装置1は、図1及び2に示すように、進行方向に沿った両端に可撓性の堰10が設けられたベルト状の可動式の支持体12(以下、可動支持体12という。)と、プーリー14及びプーリー16に掛けられた可動支持体12を循環させるベルトコンベア18と、可動支持体12の進行方向と同じ方向に移動する下面フィルム20を可動支持体12上に供給するフィルム供給手段22と、可動支持体12上に設置された下面フィルム20上に、単量体溶液を供給する単量体溶液供給手段24と、単量体溶液供給手段24の先端の単量体溶液供給口を覆うように設けられ、内部に不活性ガス供給管26の不活性ガス供給口から窒素ガスが供給される窒素箱28と、下面フィルム20上に供給された単量体溶液Xの液面を覆いながら可動支持体12の進行方向と同じ方向に移動する上面フィルム30を供給するフィルム供給手段32と、可動支持体12と共に移動する単量体溶液Xに光を照射する光照射手段34と、冷却水を可動支持体12の下面に散水する下面散布ノズル36及び下面冷却水用配管38と、単量体水溶液の上面で冷媒が気化するように冷媒を供給する冷媒供給手段40及び上面冷媒用配管42と、下面フィルム20及び上面フィルム30をそれぞれ回収するフィルム巻取りロール44、46と、下面フィルム20及び上面フィルム30を緊張させるテンションローラー48とを具備している。
【0015】
可動支持体12としては、通常、エンドレスの金属ベルトが用いられるが、これには限定されず、プラスチックベルト、ゴムベルト等を用いても構わない。特に、熱伝導性に優れる点から、ステンレスベルトであることが好ましい。
【0016】
堰10は、下面フィルム20と上面フィルム30との間に供給された単量体溶液Xが可動支持体12の進行方向に沿った両端から流出しないように幅を規制する堰の役割を果たす。
堰10の材質としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム等の各種ゴム、シリコンゴム、クロロプレンゴム等が挙げられる。なかでも、下面フィルム20及び上面フィルム30に使用するフィルムとの密着性が高い点から、シリコンゴム、クロロプレンゴムであることが好ましい。
【0017】
下面フィルム20及び上面フィルム30は、光重合反応中の単量体溶液Xへの酸素の混入を抑制し、得られる重合ゲルシートYの分子量及び重合度を高めるものである。下面フィルム20は、下面からの除熱効率を高め、単量体溶液Xの厚さを均一にするために、可動支持体12及びベルトコンベア18に密着されていることが好ましい。
【0018】
下面フィルム20及び上面フィルム30の材質としては、単量体溶液Xとの接触によって溶解又は変質することがなく、酸素透過性が低いものが好ましい。また、これらフィルムは、耐熱温度も考慮して選択されることが好ましい。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリエステル、延伸ナイロン、ポリスチレン、軟質塩化ビニル等が挙げられる。また、上面フィルム30は、酸素透過を抑制する観点から、ポリ塩化ビニリデン等をコーティングしたフィルムであることが好ましい。また、上面フィルム30は、光照射の効率が向上する点から、光透過性が高い材質であることが好ましい。また、可動支持体12が光を反射する材質からできている場合には、可動支持体12と単量体溶液Xの間の下面フィルム20も光透過性を有していることが好ましい。
【0019】
単量体溶液供給手段24は、下面フィルム20と上面フィルム30との間に単量体溶液を所望の速度で供給できるものであれば特に限定されず、ポンプ等により供給管を通じて単量体溶液を供給する手段等が挙げられる。
【0020】
光照射手段34としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカル蛍光ランプ等、300〜500nmの間に主波長を有する光を照射するものであることが好ましい。
光照射手段34の数及び設置位置は、所望の速度で水溶性単量体の光重合反応を行えるように適宜選択することができる。例えば、図1に示すように、光重合反応により単量体溶液の流動性が低下していく領域である第一重合域L及び更に光重合反応が進む領域である第二重合域Lでは複数の光照射手段34を等間隔に配置し、光重合反応を完結させる領域である第三重合域Lでは、第一重合域L及び第二重合域Lに比べて狭い間隔で複数の光照射手段34を配置する方法等が挙げられる。
【0021】
下面散布ノズル36は、単量体溶液Xの下面の冷却に用いる冷却水(冷却液)を供給するノズルであり、可動支持体12の下面に冷却液を散布又は噴霧できるものであればよく、その形状等は特に限定されない。また、単量体溶液Xの下面の冷却手段として、下面散布ノズル36の代わりに空冷方式の冷却手段を用いても構わない。ただし、冷却効率が良好である点から、冷却液の散布又は噴霧による下面散布ノズル36を用いることが好ましい。
【0022】
冷媒供給手段40は、流動性が低下した単量体溶液Xの上面に冷媒を供給し、該冷媒を単量体溶液Xの上面で気化させることにより単量体溶液Xの上面を冷却する手段である。これにより、冷却廃水を発生させることなく、単量体溶液Xの上面を効率的に冷却することができる。
【0023】
冷媒供給手段40は、冷却廃水を発生させることなく単量体溶液Xの上面を冷却する効率が高い点から、単量体溶液Xの上面にミスト状の冷媒を噴霧吐出するものであることが特に好ましい。噴霧吐出された微細なミスト状の冷媒(以下、ミスト状冷媒という。)は、光重合反応による重合熱により単量体溶液X上面で気化されやすいため、冷却廃水を発生することなく単量体溶液X上面が効率的にミスト冷却される。以下、ミスト状冷媒を噴霧吐出する冷媒供給手段40について説明する。
【0024】
ミスト状冷媒を噴霧吐出する冷媒供給手段40としては、噴霧吐出ノズルを有するものが好ましい。噴霧吐出ノズルとしては、ミスト状冷媒を所望の流量、ミスト形状(噴霧吐出する範囲の形状)、かつミスト粒径で単量体溶液X上面に噴霧吐出できるものであればよく、噴霧吐出ノズル先端部分の形状は特に限定されない。噴霧吐出ノズルとしては、例えば、図3(a)〜(e)記載のような管状ノズルヘッダー型、スリットノズルヘッダー型等を例示することができる。
【0025】
噴霧吐出ノズル先端部分の開口形状としては、スリットタイプ、丸孔偏向タイプ等を例示することができる。また、噴霧吐出ノズル先端部分の開口径は、噴霧吐出ノズル先端部分から噴霧吐出されるミスト状冷媒の粒径が3〜5000μmの範囲となるような開口径であることが好ましい。このような粒径のミスト状冷媒の噴霧は、開口径が3〜5000μmの噴霧吐出ノズルにより実施することができる。噴霧吐出ノズル先端部分の具体例としては、インターネットホームページhttp://www.spray.co.jp/know/03.htmlに記載されているような一般的に使用される液滴スプレー用のノズル先端部分や、簡易型の家庭用霧吹き機等を例示することができる。
【0026】
冷媒供給手段40による冷媒の供給は、光重合反応で単量体溶液Xの流動性が低下した段階、即ち、第一重合域L後半及び第二重合域Lにおいて行う。噴霧吐出ノズルによるミスト状冷媒の噴霧は、ある程度流動性が低下すれば第一重合域L初期でも行うことはできるが、第一重合域L初期では単量体溶液Xの流動性が充分に低下しておらず、かつその温度が低いことから行わないことが好ましい。第一重合域L初期において単量体溶液X上面にミスト状冷媒を噴霧吐出すると、単量体溶液X上面が流動してしまい、単量体溶液X厚さが不均一となって、重合斑(ムラ)を生じ易くなる。
一方、第一重合域L後半以降においては、単量体溶液Xは、水溶性単量体の重合が進み流動性が低くなっているため、ミスト状冷媒の噴霧吐出によって単量体溶液Xの厚さが不均一となることが抑制される。ここで、流動性が低下した単量体溶液Xとは、単量体溶液Xが重合によりゲル化したシート状のゲル化物(重合ゲルシートY)、又は単量体溶液Xの粘度が第一重合域L入口部より高くなった単量体溶液Xのことである。
【0027】
冷媒供給手段40の設置位置は、単量体溶液X上面に冷媒を供給できる位置であれば、特に限定されないが、光照射中、光照射手段34からの照射光を遮らないようにする観点から、図1に示すように隣接する光照射手段34の間に設置することが好ましい。
また、冷媒供給手段40の数は、単量体溶液X上面を充分に冷却できれば特に限定されない。
本実施形態の光重合用反応装置1は、第二重合域Lの終端部において、単量体溶液X上面に気体を送風することにより、ミスト状冷媒の単量体溶液X上面への付着及び気化を促進する送風手段を併用することもできる。
【0028】
以下、上記光重合用反応装置1の作用について説明する。
予め窒素バブリングによって溶存酸素濃度を低下させた単量体溶液を、窒素箱28内に窒素ガスを吹き込みながらベルトコンベア18の可動支持体12上に設置された下面フィルム17に供給する。供給された単量体溶液Xは、堰10と堰10との間の可動支持体12上に下面フィルム20が介在した状態で拡がり、均一な厚さとなる(図2)。次いで、この単量体溶液Xの液面を覆うように上面フィルム30を設置する。
【0029】
可動支持体12はベルトコンベア18により一定方向に移動しており(図1では右方向)、堰10と堰10との間の可動支持体12上において下面フィルム20と上面フィルム30とに挟まれた状態の単量体溶液Xは、光照射手段34から光を照射されながら、可動支持体12と共に移動する。光が照射されている間、単量体溶液X中の水溶性単量体の光重合反応が行われ、単量体溶液Xは重合ゲルシートYとなる。ここで、単量体溶液Xが供給されてから単量体溶液Xへの光照射が行われるまでの間、可動支持体12下面は、下面散布ノズル36から散水された冷却水によって冷却される。また、冷媒供給手段40から噴霧吐出されるミスト状冷媒が光重合反応による重合熱により単量体溶液X上面で気化することによって、単量体溶液X上面がミスト冷却される。このため、単量体溶液Xの上面を、冷却廃水を発生させることなくミスト冷却することができる。水溶性単量体の光重合反応が完了した後、下面フィルム20及び上面フィルム30が剥がされることによって重合ゲルシートY(含水ゲル状重合体)が得られる。
得られたシート状の含水ゲル状重合体は、通常、一般的に用いられる回転刃付押出成形機等の解砕機による粗砕・解砕により細粒状重合体ゲルとされた後に、乾燥、粉砕され、水不溶解分が少なく、且つ、高分子量の水溶性の粉末状重合体とされる。
【0030】
以上説明した光重合用反応装置1では、可動支持体12の両端に堰10が設けられているので、単量体溶液Xが可動支持体12の進行方向に沿った両端から流出することがない。また、単量体溶液Xの厚さを均一にした状態でムラなく光重合反応を行うことができるため、得られる粉末状重合体の品質の低下を抑制できる。
【0031】
また、光重合用反応装置1は、第一重合域Lの後半以降、即ち流動性が低下した単量体溶液Xの上面にミスト状冷媒を噴霧吐出するように冷媒供給手段40を設けているので、単量体溶液Xの上面における冷却後の冷却廃水を発生させることなく、単量体溶液X上面を効率良く冷却することができる。そのため、水不溶解分を発生し易い水溶性単量体であっても、水不溶解分が少なく、且つ、高分子量の重合ゲルシートを得ることができる。
【0032】
尚、本発明の光重合用反応装置は、図1〜3に例示した光重合用反応装置1に限定されるものではなく、四方を堰で囲んだ平板形の支持体からなる重合容器等を用いたバッチ式の装置であってもよい。バッチ式の光重合用反応装置としては、単量体溶液の流動性が低下した際に、単量体溶液の上面にミスト状冷媒を噴霧吐出すると同時に、重合熱によって単量体溶液の上面で該ミスト状冷媒を気化させることができる装置等が例示できる。尚、光重合用反応装置は、重合ゲルシートを連続的に得ることができ、高い生産性で重合ゲルシートを製造できることから図1〜3に例示した可動支持体を有する装置であることが好ましい。
【0033】
[重合ゲルシートの製造方法]
本発明の重合ゲルシートの製造方法は、水溶性単量体を含む単量体溶液に光照射を行うことで該水溶性単量体の光重合反応を行う重合工程を含む方法である。また、重合工程において、流動性が低下した前記単量体溶液の上面に冷媒を供給し、該冷媒を気化させることで前記単量体溶液を冷却しながら光重合反応を行うことを特徴とする方法である。
【0034】
(重合工程)
本発明における重合ゲルシートは、アクリルアミド系単量体及び/又は(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位を主成分とする水溶性重合体であることが好ましい。
アクリルアミド系単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルメタクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N’−ジエチルアクリルアミド、N,N’−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N’−ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド等のN,N’−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド及びそれらの塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアクリルアミドアルカンスルホン酸、N−モノメチルアクリルアミド、N−モノエチルアクリルアミド等が挙げられる。
【0035】
(メタ)アクリレート系単量体としては、例えば、N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N’−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N’−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N’−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N’−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N’−ジエチルアミノプロピルアクリレート、N,N’−ジエチルアミノプロピルメタクリレート等のN,N’−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及びそれらの塩、ジエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0036】
重合ゲルシートは、1種のみの水溶性単量体からなる単独重合体であってもよく、2種以上の水溶性単量体からなる共重合体であってもよい。また、アクリルアミド系単量体及び/又は(メタ)アクリレート系単量体と、アクリルアミド系単量体、(メタ)アクリレート系単量体以外の共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。
アクリルアミド系単量体及び(メタ)アクリレート系単量体以外の共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等やそれらの塩、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0037】
また、本発明における重合ゲルシートは、水溶性単量体としてアクリルアミド系単量体を用いる場合、重合中、又は重合後に、メチロール化反応、マンニッヒ反応等により一部が変性されたアクリルアミド系重合体であってもよい。
【0038】
単量体溶液は、前記水溶性単量体及び光開始剤を溶媒に添加することにより調製される。
光開始剤は、光の照射によってラジカルを生じ、水溶性単量体の重合を開始させることのできる化合物であれば特に限定されない。
光開始剤としては、例えば、ベンゾイン及びそのアルキルエーテル、ベンジルケタール類、ベンゾフェノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、アシルホスフィンオキサイド類等が挙げられる。水溶性単量体が水溶性ビニル単量体の場合は、ベンゾフェノン、アシルホスフィンオキサイド類が好ましい。具体的には、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン等のアセトフェノン系開始剤、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系開始剤、前記アセトフェノン系開始剤と前記アシルフォスフィンオキサイド系開始剤との併用開始剤等の、光で開始ラジカルを生成する光重合開始剤等の公知の開始剤が挙げられる。
溶媒としては、水、トルエン、アルコール類等が挙げられ、水溶性ビニル単量体の場合には、水が好適に用いられる。
また、単量体溶液には、連鎖移動剤、界面活性剤等の添加剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、亜リン酸、次亜リン酸、ホスホン酸及びそれらの塩等が挙げられる。
【0039】
水溶液中の水溶性単量体の濃度は、5〜85質量%とすることが好ましく、35〜65質量%とすることがより好ましい。水溶性単量体の濃度が5質量%以上であれば、充分な生産性で重合ゲルシート(含水ゲル状重合体)を製造すること、及び得られた重合ゲルシートの付着性が高くなりすぎるのを抑制することが容易になる。また、水溶性単量体の濃度が85質量%以下であれば、重合ゲルシートが硬くなりすぎて後の工程で粗砕し難くなることを抑制しやすい。
【0040】
重合反応におけるpH調整は、モノマー組成によって異なるので一概には特定し難いが、一般的にはpH2.0〜10.0の範囲に調整される。
【0041】
光重合反応は、水溶液重合、乳化重合、分散重合いずれの場合でも実施することが可能であり、水溶性単量体純分に対して0.0001〜0.4質量%程度の開始剤を添加し、−10〜100℃の温度範囲で実施することができる。開始剤が少なすぎると、重合速度及び重合率の低下を招き、生産性及び品質低下を引き起こしやすい。一方、開始剤が多すぎると、重合反応の暴走、重合体の着色、及び分子量低下等による品質低下を引き起しやすい。
【0042】
以下、本発明の製造方法の一実施形態例として、前記光重合用反応装置1を用いる方法について説明する。
本実施形態の光重合用反応装置1を用いる重合工程では、予め窒素ガスのバブリングによって溶存酸素濃度を低下させた単量体溶液を、窒素箱28に窒素を吹き込みながらベルトコンベア18の可動支持体12上に設置された下面フィルム20上に供給する。このように、単量体溶液は予め不活性ガスのバブリングによって溶液中の溶存酸素濃度が低くされていることが好ましい。
本発明の重合ゲルシートの製造方法においては、不活性ガスとして、窒素ガス以外に、例えば、アルゴン、キセノン等を用いることもできるが、工業的には窒素を用いることが好ましい。不活性ガス中における酸素濃度は、容量比で1%以下であり、好ましくは0.4%以下である。
【0043】
供給された単量体溶液Xは、ベルトコンベア18の可動支持体12上に、下面フィルム20が介在した状態で拡がり、均一な厚さとなる。次いで、この単量体溶液Xの液面を覆うように上面フィルム30を設置する。同時に下面フィルム20及び上面フィルム30の進行方向に沿った両端をテンションローラー48で堰10の上面に押し付け、下面フィルム20及び上面フィルム30の進行方向に沿った両端をシールする(図1及び図2)。
【0044】
第一重合域Lにおいて、堰10、10間の可動支持体12上の下面フィルム20と上面フィルム30に挟まれた状態の単量体溶液Xは、光照射手段34から光を照射されながら可動支持体12と共に移動する。そして、光が照射される間に、単量体溶液X中の水溶性単量体の光重合反応が行われる。単量体溶液Xが供給されてから単量体溶液Xへの光の照射が行われているまでの間は、可動支持体12下面を下面散布ノズル36から散布される冷却液によって冷却する。
【0045】
第一重合域Lにおいて、単量体溶液X中の水溶性単量体の光重合反応が進行することにより、単量体溶液Xの流動性が低下して半重合体となる。第一重合域L後半以降の段階では、単量体溶液X(半重合体)上面に光照射手段34から光を照射しながら、冷媒供給手段40からミスト状冷媒を噴霧吐出する。単量体溶液X(半重合体)上面は、噴霧吐出されたミスト状冷媒が重合熱によって気化することによりミスト冷却される。そのため、第一重合域L後半以降の段階では、単量体溶液X(半重合体)の上面の冷却操作による冷却廃水は実質的には発生しない。
【0046】
ここで、単量体溶液Xの流動性の低下は単量体溶液Xがゲル化することを意味しており、粘度測定を行うことで判断することができる。本発明における単量体溶液Xの粘度とは、B型粘度計で測定したブルックフィールド粘度である。
単量体溶液Xが第一重合域Lから第二重合域Lに移る際の単量体溶液Xの流動性は、例えば、第一重合域Lを長くしたり、第一重合域Lにおける光照射強度を強くしたりする等の方法により低下させることができる。逆に、第一重合域Lを短くしたり、第一重合域Lにおける光照射強度を弱くしたりする等の方法により単量体溶液Xの流動性を高く維持することができる。
【0047】
単量体溶液Xの上面の冷却に使用する冷媒は、水及び/又は揮発性有機溶媒を含むミスト状冷媒であることが好ましい。ミスト状冷媒を用いることにより、冷媒の使用量を低減することができ、光重合反応の重合熱の除去効率を大幅に向上させることができる。また、冷却廃水を発生させずに単量体溶液Xの上面を容易に冷却できるため、光重合用反応装置のユーティリティーコストを容易に低減することができる。
【0048】
ミスト状冷媒としては、水及び/又は揮発性有機溶媒を含むものであれば特に限定されず、例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類及びその水溶液、トルエン、含水トルエン、エーテル、含水エーテル、アセトン及びアセトン水溶液等が挙げられる。ミスト状冷媒は、単量体溶液X上面で気化した際の蒸気ガス成分による悪影響が低いことから水であることが好ましい。
【0049】
また、単量体溶液Xの上面の冷却に使用する冷媒は、前記水及び/又は揮発性有機溶媒と、空気及び/又は不活性気体との二流体混合物としてミスト状に噴霧吐出することがより好ましい。すなわち、前記水及び/又は揮発性有機溶媒と空気との二流体混合物、前記水及び/又は揮発性有機溶媒と不活性気体との二流体混合物、前記水及び/又は揮発性有機溶媒と空気及び不活性気体の混合ガスとの二流体混合物のいずれかをミスト状に噴霧吐出することがより好ましい。このようなミスト状冷媒を冷媒供給手段40から単量体溶液Xの上面に供給することで、単量体溶液X上面への冷媒の付着及び該冷媒の気化を促進することができる。
また、冷媒供給手段40の噴霧吐出ノズルから水及び/又は揮発性有機溶媒からなる冷媒を噴霧吐出し、ノズル先端部分で別配管から吐出された空気、不活性気体、又は、空気及び不活性気体の混合ガスと接触させてミスト状冷媒を形成してもよい。
【0050】
冷媒供給手段40からの冷媒の供給は、粒径が3〜5000μmのミスト状に噴霧吐出することにより行うことが好ましく、10〜2000μmのミスト状に噴霧吐出することにより行うことがより好ましい。前記粒径が3μm以上であれば、ミスト状冷媒が単量体溶液X上面に接触した際に表面に付着しやすく所望の冷却効率が得られやすい。また、前記粒径が5000μm以下であれば、光重合反応の重合熱により単量体溶液X上面でミスト状冷媒が完全に気化しやすくなり、冷却廃水を発生させずに単量体溶液X上面を冷却することが容易になる。そのため、煩雑な余剰の冷却廃水処理操作を必要とせず、余剰の冷媒使用によるユーティリティーコスト上昇を引き起こすことを防止しやすい。
【0051】
冷媒供給手段40から噴霧吐出されるミスト状冷媒の総使用量は、単量体溶液Xの組成、水溶性単量体純分濃度、単量体溶液Xの厚さ等によって異なるため、一概には限定し得ないが、水溶性単量体純分質量に対して0.05〜5.0質量%であることが好ましく、0.1〜3.0質量%であることがより好ましい。ミスト状冷媒の総使用量が0.05質量%以上であれば、その総使用量の増加に比例して単量体溶液X上面の冷却効率を向上させることができる。また、ミスト状冷媒の総使用量が5.0質量%以下であれば、その総使用量の減少に比例して、単量体溶液X上面を冷却するための冷媒コストを削減することが可能となり、更には、単量体溶液X上面で冷媒が気化しきれないで冷却廃水が発生することを防止しやすい。
【0052】
冷媒供給手段40から噴霧吐出されるミスト状冷媒の噴霧吐出速度は、冷媒を粒径が3〜5000μmのミスト状に噴霧吐出することができ、且つ、単量体溶液X上面でミスト状冷媒が完全に気化することで単量体溶液X上面を効率よくミスト冷却できる範囲であれば特に限定されない。
ミスト状冷媒の噴霧吐出速度は、0.01〜1.2kg/分であることが好ましく、0.02〜0.7kg/分であることがより好ましく、前記範囲内となるように間歇的又は連続的に噴霧吐出することがさらに好ましい。ミスト状冷媒の噴霧吐出速度が0.01kg/分以上であれば、噴霧吐出速度の増大に伴って冷媒のミスト粒径を大きくすることができ、単量体溶液X上面の冷却効率を向上させることができる。また、ミスト状冷媒の噴霧吐出速度が1.2kg/分以下であれば、噴霧吐出速度の減少に伴って冷媒のミスト粒径を小さくすることができ、単量体溶液X上面における冷媒の気化を促進することができるため、冷却廃水の発生を防止しやすい。
【0053】
単量体溶液X上面にミスト状冷媒を噴霧吐出する際は、第三重合域L終了時点で、噴霧吐出されたミスト状冷媒が実質的に全量気化するような冷媒使用条件とするため、冷媒のミスト粒径と冷媒使用量を調節して上面フィルム30上に冷媒をできるだけ均一に噴霧吐出することが好ましい。例えば、冷媒のミスト粒径を小さくしたり、冷媒使用量を減少させたりすることで、単量体溶液X上面におけるミスト状冷媒の全量気化を速くすることができる。逆に、冷媒のミスト粒径を大きくしたり、冷媒使用量を増加させたりすることで、単量体溶液X上面におけるミスト状冷媒の全量気化を遅くすることができる。前記ミスト状冷媒の粒径調節は、冷媒供給手段40(噴霧吐出ノズル)の開口径を調節することによって調節することができる。
【0054】
また、ミスト状冷媒を供給する範囲は、円形(図3(a))、扇形(図3(b))、線形(図3(c))、スリット形(図3(d))、多角形(図3(e))からなる群から選ばれる1種以上のミスト形状とすることが好ましい。多角形としては、例えば、正方形、ひし形等が挙げられる。ミスト状冷媒を供給する範囲の形状としては、必要最小限のミスト状冷媒使用量で噴霧斑なく単量体溶液X(半重合体)の上面を冷却することができるため、正方形とスリット形がより好ましい。
【0055】
単量体溶液X(半重合体)は、上面をミスト冷却、下面を散水冷却によって冷却されながら、第一重合域L後半から第二重合域Lへと移るに従って水溶性単量体の光重合反応が更に進行し、ほぼゲル状の単量体溶液X(重合体)となる。第三重合域Lでは、単量体溶液X(重合体)の光重合反応を完結させるため、強度の高い光を照射する。これにより水溶性単量体の光重合反応が完了した後、下面フィルム20と上面フィルム30が剥がされ、シート状の重合体として重合ゲルシートY(含水ゲル状重合体)がベルトコンベア18終端から送り出される。
【0056】
以上説明した重合ゲルシートの製造方法では、重合工程において、単量体溶液Xの流動性が高く粘度が低い間は、ベルトコンベア18の堰10によって可動支持体12の進行方向に沿った両端で単量体溶液Xが堰き止められているので、単量体溶液Xが可動支持体12の進行方向に沿った両端から流出することがない。また、単量体溶液Xの厚さを均一にした状態でムラなく光重合反応を行うことができるため、得られる重合ゲルシートの品質の低下を抑制できる。
【0057】
また、第一重合域L後半以降、単量体溶液Xの流動性が低く粘度が高くなった際、好ましくは単量体溶液Xがゲル化してから、単量体溶液X上面にミスト状冷媒を噴霧吐出している上、ミスト状冷媒を単量体溶液X上面で重合熱により気化させているため、単量体溶液Xの上面冷却において冷却廃水を実質的に発生させることなく、単量体溶液Xを効率良く冷却できる。従って、重合ゲルシートの品質を低下させることなく、生産性を向上させることができる。
【0058】
尚、本発明の重合ゲルシートの製造方法は、前記光重合用反応装置1を用いた方法には限定されない。例えば、図示例の光重合用反応装置1を用いた光重合反応では、第一重合域L後半以降において、ベルトコンベア18の両側に堰10が有る状態でミスト状冷媒を単量体溶液Xの上面に噴霧吐出しているが、単量体溶液Xの流動性が充分に低下した状態であれば、ベルトコンベア18の長さを短くして、単量体溶液Xの両側又は片側に堰10がない状態でミスト状冷媒の噴霧吐出を行っても構わない。
【0059】
また、ミスト状冷媒による上面噴霧冷却は、ミスト状冷媒を上面噴霧中又は上面噴霧後に、単量体溶液Xの上面を送風冷却する方法と併用することで、ミスト状冷媒の気化を促進させながら単量体溶液Xの上面の冷却効率を向上させることもできる。ミスト状冷媒による単量体溶液Xの上面の冷却に噴霧冷却と送風冷却を併用する場合の気体の種類としては空気、不活性気体、空気と不活性気体の混合ガスが挙げられる。なかでも作業環境の点から、空気による送風冷却が好ましい。
また、重合工程において四方を堰で囲んだ平板形の重合容器等を用いたバッチ式の装置を用いる方法であってもよい。
【0060】
[粉末状重合体の製造方法]
本発明の粉末状重合体の製造方法は、前述の重合ゲルシートの製造方法により得られた重合ゲルシートを乾燥粉末状にする粉末化工程を含む方法である。すなわち、前記水溶性単量体の光重合反応により重合ゲルシートを得る重合工程と、該重合ゲルシートを乾燥粉末状にして粉末状重合体を得る粉末化工程とを含む方法である。
【0061】
(粉末化工程)
重合工程により得られた重合ゲルシート(含水ゲル状重合体)は、通常、粗砕、解砕することにより細粒状重合体ゲルとされる。粗砕・解砕には、一般的に用いられる回転刃付押出成形機等の解砕機を用いることができる。
また、得られた細粒状重合体ゲルは、乾燥、粉砕を行うことで水不溶解分が少なく、且つ、高分子量で水溶性の粉末状重合体となる。細粒状重合体ゲルの乾燥方法は特に限定されず、例えば、回転乾燥機、バンド乾燥機、流動乾燥機等の粉末状重合体の製造に通常使用される乾燥機により熱風乾燥する方法が挙げられる。この乾燥により、細粒状重合体ゲルの水分量を10%以下にすることが好ましい。
乾燥条件は、50〜150℃で、30〜90分程度であることが好ましい。この条件であれば、細粒状重合体ゲルが容易に水分量10%以下まで乾燥される。
また、乾燥後の粉砕方法は、粉末状重合体の製造に通常用いられる方法を用いることができ、例えば、粉砕機等で粉末化する方法が挙げられる。
【0062】
本発明の粉末状重合体の製造方法によれば、前述の重合ゲルシートの製造方法により得られた重合ゲルシートを用いているため、水不溶解性成分が少なく高分子量の高品質な粉末状重合体を低コストかつ高い生産性で得ることができる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。本実施例における実施例及び比較例で得られた粉末状重合体の評価は、以下の物性測定により行った。
[水分量の測定]
得られた粉末状重合体5.0gをアルミ皿に秤量後、105℃、90分間、送風乾燥した後に再度秤量することで、送風乾燥前後の質量測定による乾燥減量法で粉末状重合体に含まれる水分量の測定を行った。
尚、以下の重合体有効成分の質量は、粉末状重合体の質量から水分量を差し引いて求めたものである。
【0064】
[水不溶解性成分量の測定]
得られた粉末状重合体を重合体有効成分が0.5質量%となるように4.0質量%の塩化ナトリウム水溶液に溶解したポリマー水溶液、又は0.1質量%となるようにイオン交換水に溶解したポリマー水溶液500gを、直径20cm、目開き180μmの篩で濾過し、水分を拭き取り、篩の上に残った水不溶解性成分を集めてその質量を測定した。
【0065】
[塩粘度測定]
4.0%の塩化ナトリウム水溶液に、得られた粉末状重合体を重合体有効成分が0.5質量%又は1.0質量%となるように溶解してポリマー水溶液を調製し、B型粘度計(東機産業社製)を用い、温度25℃にて攪拌して5分後のポリマー水溶液の塩粘度を測定した。攪拌は、0.5質量%の場合はロータ回転速度60rpm、1.0質量%の場合は6rpmの条件で行った。
【0066】
[実施例1]
光重合用反応装置として、図1に例示した光重合用反応装置1を使用した。光重合用反応装置における各構成の詳細を以下に示す。
ベルトコンベア18:厚さ0.3mm、幅約85cmのステンレス製ベルト(可動支持体12)を有する、プーリースパン(プーリー14とプーリー16の距離)300cmのベルトコンベア。
下面フィルム20:厚さ25μmのPETフィルム。
上面フィルム30:ポリ塩化ビニリデンをコーティングした厚さ15μmのPETフィルム。
可動支持体12上で単量体溶液が満たされる範囲は、幅約70cm、可動支持体12の進行方向の長さ約300cmである。また、第一重合域Lの長さは37.5cm、第二重合域Lの長さは187.5cm、第三重合域Lの長さは75cmとした。
【0067】
第一重合域Lの可動支持体12表面での光強度が0.6W/m、第二重合域Lの可動支持体12表面での光強度が0.3W/m、第三重合域Lの可動支持体12表面での光強度が50W/mとなるようにケミカル蛍光ランプ(光照射手段34)を設置した。単量体溶液の調製は以下方法で行った。50質量%アクリルアミド水溶液(280kg)、80質量%アクリル酸水溶液(25kg)、ベンゾインイソプロピルエーテル2質量%メタノール溶液(2kg)、亜リン酸水素二ナトリウム2質量%水溶液(7.2kg)、水酸化ナトリウム30質量%水溶液(3.2kg)及び純水(82.6kg)を混合し、水酸化ナトリウム30質量%水溶液でpHを6.5とした後、窒素吹き込みによって窒素置換し、温度を10℃に調整した。
【0068】
可動支持体12を7.5cm/分の速度で駆動させ、窒素ガスを窒素箱28に流量2L/分で吹き込みながら、単量体溶液Xの厚さが31mmになるように単量体溶液を定量ポンプで供給した。第一重合域L終盤までは、単量体溶液X上面の冷却は行わず、可動支持体12下面は10℃の冷却水で冷却した。第二重合域Lの5cm手前で単量体溶液Xがゲル状になった時点及び第三重合域Lの95cm手前の時点の2箇所で、各々冷媒供給手段40としてフラットノズルヘッダーQVVA型(スリット開口径280μm、スプレーイング システムズ ジャパン株式会社製)を使用して、ミスト状冷媒を噴霧吐出により単量体溶液X上面に供給した。ミスト状冷媒は、ミスト粒径400μmで10℃のミスト状の純水であり、噴霧吐出速度50ml/分で2.5分間噴霧吐出を行うことで単量体溶液X上面の冷却を行った。
また、第二重合域Lでは扇風機を用いて単量体溶液X上面を25℃の空気で送風しながら冷却を行った。第三重合域Lでは、単量体溶液X上面の冷却は行わず、また、可動支持体12下面の冷却も行わなかった。上記光重合反応が終了した第三重合域終了末端の段階において単量体溶液X上面に噴霧吐出したミスト状冷媒である純水は実質的に全量気化しており、冷却後の上面冷却廃水は全く発生しなかった。尚、光照射中の単量体溶液Xの表面温度は、表面温度計を用いて測定を行った。
フィルムが剥離された重合ゲルシートを、数ミリ角に粗砕後、60℃にて熱風乾燥し、ウィレー式粉砕機で粉砕することで粉末状重合体(A−1)を得た。
【0069】
[実施例2]
実施例1と同様に光重合用反応装置1を用い、第一重合域L及び第二重合域Lの可動支持体12表面での光強度が4.0W/m、第三重合域Lの可動支持体12表面での光強度が50W/mとなるようにケミカル蛍光ランプ(光照射手段34)を設置した。単量体溶液の調製は以下方法で行った。80.5質量%N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル四級塩水溶液(399kg)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(200g)、次亜リン酸2質量%水溶液(1.1kg)を混合した。この時の単量体溶液のpHは4.5であった。次いで、窒素吹き込みによって窒素置換し、温度を25℃に調整した。
【0070】
可動支持体12を9.0cm/分の速度で駆動させ、窒素ガスを窒素箱28に流量2L/分で吹き込みながら、単量体溶液Xの厚さが24mmになるように単量体溶液を定量ポンプで供給した。第一重合域L終盤までは、単量体溶液X上面の冷却は行わず、可動支持体12下面は17℃の冷却水で冷却した。第二重合域Lの5cm手前で単量体溶液Xがゲル状になった時点及び第三重合域Lの95cm手前の時点の2箇所で、各々冷媒供給手段40としてフラットノズルヘッダーQVVA型(スリット開口径280μm、スプレーイング システムズ ジャパン株式会社製)を使用して、ミスト状冷媒を噴霧吐出により単量体溶液X上面に供給した。ミスト状冷媒は、ミスト粒径400μmで10℃のミスト状の純水であり、噴霧吐出速度50ml/分で2.5分間噴霧吐出を行うことで単量体上面の冷却を行った。
また、第二重合域Lでは扇風機を用いて単量体溶液X上面を25℃の空気で送風しながら冷却を行った。第三重合域Lでは、単量体溶液X上面の冷却は行わず、また、可動支持体12下面の冷却も行わなかった。上記光重合反応が終了した第三重合域L終了末端の段階において、単量体溶液X上面に噴霧吐出したミスト状冷媒である純水は実質的に全量気化しており、冷却後の上面冷却廃水は全く発生しなかった。尚、光照射中の単量体溶液Xの表面温度は、表面温度計で測定を行った。
フィルムが剥離された重合ゲルシートを、数ミリ角に粗砕後、60℃にて熱風乾燥し、ウィレー式粉砕機で粉砕することで粉末状重合体(A−2)を得た。
【0071】
[実施例3]
実施例1と同様に光重合用反応装置1を用い、第一重合域Lの可動支持体12表面での光強度が5.0W/m、第二重合域Lの可動支持体12表面での光強度が0.8W/m、第三重合域Lの可動支持体12表面での光強度が50W/mとなるようにケミカル蛍光ランプ(光照射手段34)を設置した。単量体溶液の調製は以下方法で行った。50質量%アクリルアミド水溶液(195.2kg)、79質量%N,N’−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル四級塩水溶液(92.7kg)、80.5質量%N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル四級塩水溶液(60.6kg)、50質量%アクリル酸水溶液(48.8kg)、2質量%2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン水溶液(1.6kg)、次亜リン酸2質量%水溶液(1.1kg)を混合した。この時の単量体溶液のpHは2.9であった。次いで、窒素吹き込みによって窒素置換し、温度を16℃に調整した。
【0072】
可動支持体12を6.5cm/分の速度で駆動させ、窒素ガスを窒素箱28に流量2L/分で吹き込みながら、単量体溶液Xの厚さが22mmになるように単量体溶液を定量ポンプで供給した。第一重合域L終盤までは、単量体溶液X上面の冷却は行わず、可動支持体12下面は17℃の冷却水で冷却した。第二重合域Lの5cm手前で単量体溶液Xがゲル状になった時点及び第三重合域Lの95cm手前の時点の2箇所から各々、冷媒供給手段40としてフラットノズルヘッダーQVVA型(スリット開口径280μm、スプレーイング システムズ ジャパン株式会社製)を使用して、ミスト粒径400μmで10℃のミスト状の純水を噴霧吐出速度50ml/分で2.5分間噴霧吐出を行うことで単量体溶液X上面の冷却を行った。また、第二重合域Lでは扇風機を用いて単量体溶液X上面を25℃の空気で送風しながら冷却を行った。第三重合域Lでは、単量体溶液X上面の冷却は行わず、また、可動支持体12下面の冷却も行わなかった。上記光重合反応が終了した第三重合域L終了末端の段階で単量体溶液X上面に噴霧吐出したミスト状冷媒である純水は実質的に全量気化しており、冷却後の上面冷却廃水は全く発生しなかった。尚、光照射中の単量体溶液Xの表面温度は、表面温度計で測定を行った。
フィルムが剥離された重合ゲルシートを、数ミリ角に粗砕後、60℃にて熱風乾燥し、ウィレー式粉砕機で粉砕することで、粉末状重合体(A−3)を得た。
【0073】
[比較例1]
第一重合域L終盤及び第二重合域Lにおけるミスト状冷媒の上面噴霧を行わなかった以外は実施例1と同様の操作を行うことで粉末状重合体(R−1)を得た。
【0074】
[比較例2]
第一重合域L終盤及び第二重合域Lにおけるミスト状冷媒の上面噴霧を行わなかった以外は実施例2と同様の操作を行うことで粉末状重合体(R−2)を得た。
【0075】
[比較例3]
第一重合域L終盤及び第二重合域Lにおけるミスト状冷媒の上面噴霧を止める以外は実施例3と同様の操作を行うことで粉末状重合体(R−3)を得た。
実施例1〜3及び比較例1〜3における光重合反応の冷却状況を表1、得られた粉末状重合体の評価結果を表2に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
表1に示すように、本発明の製造方法である実施例1〜3では、冷媒供給手段40としてフラットノズルヘッダーQVVA型を使用してミスト状冷媒を単量体溶液X上面に噴霧したことにより、単量体溶液Xの表層上面の冷却を、冷却廃水を発生させることなく効率的に行うことができ、光重合反応中の最高表面温度が低く制御されていることが確認された。
また、表2に示すように、本発明の製造方法による実施例1〜3では、水不溶解性成分量が少なく、且つ、塩粘度が高くて高分子量の粉末状重合体を得ることができた。これは、光重合反応中の最高表面温度が低く制御された結果であると考えられる。
【0079】
一方、単量体溶液Xの上面の冷却を行わなかった比較例1では、同条件の実施例1に比べて単量体溶液Xの上面の最高到達温度が高かった。また、それにより、実施例1に比べて低分子量で、水不溶解性成分が多い品質に劣る粉末状重合体が得られた。
また、比較例2でも同様に、同条件の実施例2に比べて単量体溶液Xの上面の最高到達温度が高く、実施例2に比べて低分子量で、水不溶解性成分が多い品質に劣る粉末状重合体が得られた。
また、比較例3でも同様に、同条件の実施例3に比べて単量体溶液Xの上面の最高到達温度が高く、実施例3に比べて低分子量で、水不溶解性成分が多い品質に劣る粉末状重合体が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の製造方法によれば、水不溶解性成分を発生し易い水溶性単量体であっても、流動性が低下した単量体溶液の上面で冷媒を気化させることによって、光重合反応表層上面における反応熱を効率良く容易に冷却できる。そのため、水不溶解性成分が少なく、且つ、高分子量の重合ゲルシートを得ることができるため、結果として、水不溶解性成分が少なく、且つ、高分子量の粉末状重合体を得ることができる。また、単量体溶液の表層上面の冷却をミスト状冷媒でミスト冷却していることに起因して、冷媒使用量を低減できる上、重合熱の除熱効率を大幅に向上させることができるため、単量体溶液の上面冷却操作で除熱後の冷却廃水を発生させることがなく、従来の光重合用反応装置のユーティリティーコストを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の光重合用反応装置の一実施形態例を示した概略構成図である。
【図2】図1の光重合用反応装置のV−V断面における断面図である。
【図3】図1の光重合用反応装置における冷媒供給手段から噴霧吐出される冷媒の範囲のミスト形状を示した模式図である。
【符号の説明】
【0082】
1 光重合用反応装置 10 堰 12 支持体 22、32 フィルム供給手段 24 単量体供給手段 34 光照射手段 40 冷媒供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性単量体を含む単量体溶液に光照射を行うことで該水溶性単量体の光重合反応を行う重合工程を含む重合ゲルシートの製造方法であって、
前記重合工程では、流動性が低下した前記単量体溶液の上面に冷媒を供給し、該冷媒を気化させることで前記単量体溶液を冷却しながら光重合反応を行うことを特徴とする重合ゲルシートの製造方法。
【請求項2】
前記単量体溶液が、前記水溶性単量体としてアクリルアミド系単量体及び/又は(メタ)アクリルアミド系単量体を含む水溶液である、請求項1に記載の重合ゲルシートの製造方法。
【請求項3】
前記冷媒が水及び/又は揮発性有機溶媒を含み、かつ前記単量体溶液の上面に該冷媒をミスト状に噴霧吐出して供給する、請求項1又は2に記載の重合ゲルシートの製造方法。
【請求項4】
前記水及び/又は揮発性有機溶媒と、空気及び/又は不活性気体との二流体混合物からなる冷媒をミスト状に噴霧吐出する、請求項3に記載の重合ゲルシートの製造方法。
【請求項5】
前記冷媒を粒子径が3〜5000μmのミスト状に噴霧吐出する、請求項3又は4に記載の重合ゲルシートの製造方法。
【請求項6】
前記冷媒をミスト状に噴霧吐出して供給する範囲を、円形、扇形、線形、スリット形、多角形からなる群から選ばれる1種以上の形状とする、請求項3〜5のいずれかに記載の重合ゲルシートの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6に記載の製造方法により得られた重合ゲルシートを乾燥粉末状にして粉末状重合体を得る粉末化工程を含む粉末状重合体の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の重合ゲルシートの製造方法の重合工程に用いる光重合用反応装置であって、
前記単量体溶液の幅を規制する堰が設けられた支持体と、該支持体上に前記単量体溶液を供給する単量体供給手段と、前記単量体溶液に光を照射する光照射手段と、流動性が低下した前記単量体水溶液に、該単量体水溶液の上面で冷媒が気化するように冷媒を供給する冷媒供給手段とを具備する光重合用反応装置。
【請求項9】
さらに、前記支持体上に2枚のフィルムを供給するフィルム供給手段を具備し、該支持体上に供給された2枚のフィルムの間に前記単量体供給手段から単量体溶液が供給される、請求項8に記載の光重合用反応装置。
【請求項10】
前記冷媒供給手段が、前記冷媒を噴霧吐出する噴霧吐出ノズルを有する、請求項8又は9に記載の光重合用反応装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−298903(P2009−298903A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154278(P2008−154278)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(301057923)ダイヤニトリックス株式会社 (127)
【Fターム(参考)】