説明

重合体粉体の製造方法、重合体粉体、熱可塑性樹脂組成物及び成形品

【課題】熱可塑性樹脂中での分散性に優れ、熱可塑性樹脂の耐熱性を損なうことのない、PTFE含有重合体粉体の製造方法を提供する。
【解決手段】スルホン酸系乳化剤の存在下でビニル単量体成分を重合して得られたビニル重合体(A)ラテックスと、ポリテトラフルオロエチレン(B)ラテックスを混合した後に、アルカリ土類金属塩を用いて凝析する、ポリテトラフルオロエチレン含有重合体粉体の製造方法であって、ポリテトラフルオロエチレン含有重合体が、ビニル重合体(A)40〜60質量部及びポリテトラフルオロエチレン(B)40〜60質量部から構成され、特定量のスルホン酸系乳化剤の用いる、ポリテトラフルオロエチレン含有重合体粉体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレンを含有する重合体粉体の製造方法、該製造方法により得られるポリテトラフルオロエチレンを含有する重合体粉体、これを含有する熱可塑性樹脂組成物、及び成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリテトラフルオロエチレン(以下「PTFE」という。)は、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性に優れ、撥水撥油性、非粘着性、自己潤滑性等の特異な表面特性を有する。また、高結晶性で分子間力が弱いため、僅かな応力で繊維化する性質を有する。このため、PTFEを熱可塑性樹脂に配合することによって、熱可塑性樹脂の成形加工性、機械的特性等を改良することができる。よって、PTFEは熱可塑性樹脂用の添加剤として使用されている。
PTFEを用いた熱可塑性樹脂用の添加剤としては、熱可塑性樹脂中でのPTFEの分散性を向上させるために、ビニル重合体及びPTFEから構成されるPTFE含有重合体粉体が提案されている。
【0003】
例えば、PTFEラテックスの存在下でビニル単量体を重合することにより、PTFEを完全又は部分的にビニル重合体で被覆して、粉体として回収する方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1で提案されている方法では、熱可塑性樹脂中でのPTFEの分散性は向上する。しかしながら、ビニル単量体の重合工程で乳化剤として牛脂脂肪酸塩を用い、ラテックスの凝析工程で凝析剤として硫酸を用いているため、過剰な硫酸成分がPTFE含有重合体粉体中に残留する可能性がある。これを熱可塑性樹脂に配合した場合に、熱可塑性樹脂の耐熱性を損なうおそれがある。
【0004】
また、ビニル重合体ラテックスとPTFEラテックスを混合して、粉体として回収する方法が提案されている(特許文献2)。
特許文献2で提案されている方法では、熱可塑性樹脂中でのPTFEの分散性は向上する。しかしながら、ビニル単量体の重合工程で乳化剤としてアルケニルコハク酸ジカリウム又はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用い、ラテックスの凝析工程で凝析剤として酢酸カルシウムを用いているため、乳化剤のカルシウム塩がPTFE含有重合体粉体中に残留する可能性がある。
アルケニルコハク酸カルシウムが粉体中に残留すると、これを熱可塑性樹脂に配合した場合に、熱可塑性樹脂の耐熱性を損なうおそれがある。ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムが粉体中に多量に残留すると、これを熱可塑性樹脂に配合した場合に、熱可塑性樹脂の耐熱性を損なうおそれがある。
【特許文献1】特開2003−246937号公報
【特許文献2】国際公開第2002/090440号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、熱可塑性樹脂中での分散性に優れ、熱可塑性樹脂の耐熱性を損なうことのない、PTFE含有重合体粉体の製造方法、及び該製造方法により得られるPTFE含有重合体粉体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定量のビニル重合体、PTFE、及びスルホン酸系乳化剤を用いてPTFE含有重合体ラテックスを得て、これをアルカリ土類金属塩で凝析することによって、上記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は、スルホン酸系乳化剤の存在下でビニル単量体成分を重合して得られたビニル重合体(A)ラテックスと、ポリテトラフルオロエチレン(B)ラテックスを混合して、ポリテトラフルオロエチレン含有重合体(X)ラテックスとした後に、アルカリ土類金属塩を用いて凝析する、ポリテトラフルオロエチレン含有重合体(X)粉体の製造方法であって、ポリテトラフルオロエチレン含有重合体(X)が、ビニル重合体(A)40〜60質量部及びポリテトラフルオロエチレン(B)40〜60質量部から構成され((A)と(B)の合計が100質量部)、スルホン酸系乳化剤の使用量が、ポリテトラフルオロエチレン含有重合体(X)100質量部に対して0.3〜0.9質量部である。
【0007】
本発明のポリテトラフルオロエチレン含有重合体(X)粉体は、上記の製造方法により得られ、スルホン酸金属塩として、二価の金属イオンを150〜500ppm含有し、且つ、三価の金属イオンを30ppm以下含有する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100質量部と、上記のポリテトラフルオロエチレン含有重合体(X)粉体0.1〜2質量部(熱可塑性樹脂100質量部に対して)を含有する。
本発明の成形品は、上記の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、熱可塑性樹脂中での分散性に優れ、熱可塑性樹脂の耐熱性を損なうことのない、PTFE含有重合体粉体を得ることができる。
本発明のPTFE含有重合体粉体は、熱可塑性樹脂中での分散性が良好であり、熱可塑性樹脂の耐熱性を損なわない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形加工性が改良され、耐熱性が損なわれない。
本発明の成形品は、熱可塑性樹脂の本来の特性を有し、耐熱性が損なわれていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明にかかる実施形態について例示して説明する。
尚、本発明書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0010】
本発明のビニル重合体(A)は、乳化重合でビニル単量体成分を重合して得られる。
本発明のビニル単量体成分は、単官能ビニル単量体を含有する。単官能ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノクロルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物;マレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;グリシジルメタクリレート等の官能基含有ビニル単量体が挙げられる。
【0011】
ビニル単量体成分は、これらの単官能ビニル単量体の1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて多官能ビニル単量体を併用してもよい。
ビニル単量体成分は、メチルメタクリレートとn−ブチルアクリレートの併用、スチレンとn−ブチルアクリレートの併用が好ましい。
【0012】
ビニル単量体成分を乳化重合してビニル重合体(A)を得る方法としては、公知の乳化重合法を用いることができる。
例えば、ビニル単量体成分、連鎖移動剤、重合開始剤、乳化剤、及び水を加えた乳化混合物を、50〜98℃に加熱して重合を行なう。また、乳化重合は、ビニル単量体成分を一括添加、多段階添加、又は連続添加する等の方法を用いることができる。乳化剤も同様にして添加することができる。
【0013】
連鎖移動剤としては、例えば、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン類;α−メチルスチレンダイマー、9,10−ジヒドロアントラセン、1,4−シクロヘキサジエンが挙げられる。
【0014】
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;上記過硫酸塩とロンガリット等の還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤;上記有機過酸化物還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が挙げられる。
これらの中では、PTFE含有重合体(X)粉体を配合した熱可塑性樹脂の耐熱性が損なわれないことから、過硫酸カリウムが好ましい。
【0015】
本発明では、乳化剤として、スルホン酸系乳化剤を用いる。スルホン酸系乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
これらの乳化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中では、PTFE含有重合体(X)粉体を配合した熱可塑性樹脂の耐熱性が損なわれないことから、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0016】
本発明のビニル重合体(A)のガラス転移温度は50〜98℃が好ましく、60〜90℃がより好ましい。
ビニル重合体(A)のガラス転移温度が50℃以上であれば、PTFE含有重合体(X)粉体の貯蔵時のブロッキングが抑制されるため好ましい。ビニル重合体(A)のガラス転移温度が98℃以下であれば、PTFE含有重合体(X)粉体の微粉が減少し、粉体としての取扱い性が良好となる。
【0017】
本発明のPTFE(B)は、テトラフルオロエチレン単量体の単独重合、又は、テトラフルオロエチレン単量体と他の単量体との共重合により得られる。
テトラフルオロエチレンと共重合する他の単量体としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン等の含フッ素オレフィン;パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
テトラフルオロエチレンと共重合する他の単量体は、ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範囲で用いることができ、ポリテトラフルオロエチレン100質量%中、10質量%以下であることが好ましい。
【0018】
PTFE(B)は、ラテックスとして入手可能であり、このようなPTFE(B)ラテックスとしては、例えば、旭硝子(株)製のフルオンAD−911、AD−938:ダイキン工業(株)製のポリフロンD−1、D−2が挙げられる。
【0019】
PTFE(B)の数平均分子量は100万〜500万が好ましく、100万〜300万がより好ましい。
PTFE(B)の数平均分子量が100万〜500万であれば、PTFE含有重合体(X)粉体を熱可塑性樹脂に配合した場合の分散性が良好となり、且つ、溶融張力の向上効果が十分となる。
【0020】
PTFE(B)の数平均分子量は、示差走査熱量計(DSC)を用いて結晶化熱を測定し、下式に基づいて算出したもので示される。
Mn=2.1×1010△Hc−5.16
(△Hc:DSC結晶化熱(cal/g))
尚、測定試料がPTFE(B)ラテックスである場合には、120℃でラテックスを乾燥させた後に測定する。
【0021】
本発明のPTFE含有重合体(X)は、ビニル重合体(A)40〜60質量部、及びPTFE(B)40〜60質量部から構成される((A)と(B)の合計が100質量部)。PTFE含有重合体(X)100質量部中の、ビニル重合体(A)の含有量は45〜55質量部が好ましい。
PTFE含有重合体(X)100質量部中の、ビニル重合体(A)の含有量が40〜60質量部であれば、粉体としての取扱い性が良好となり、且つ、PTFE含有重合体(X)粉体を熱可塑性樹脂に配合した場合の溶融張力の向上効果が十分となる。
【0022】
本発明のPTFE含有重合体(X)は、ビニル重合体(A)ラテックスとPTFE(B)ラテックスを混合して、PTFE含有重合体(X)ラテックスとして得られる。ビニル重合体(A)ラテックスとPTFE(B)ラテックスの混合には、公知の方法を用いることができる。
例えば、所定量のビニル重合体(A)ラテックスと、PTFE(B)ラテックスを容器に仕込み、室温で攪拌する方法が挙げられる。ビニル重合体(A)ラテックスと、PTFE(B)ラテックスの混合は、一括混合でもよいし、分割混合、または連続滴下による混合でもよい。また、混合は加熱条件下で行なってもよい。
【0023】
ビニル単量体成分を乳化重合してビニル重合体(A)を得る際に用いるスルホン酸系乳化剤は、ビニル重合体(A)とPTFE(B)から構成されるPTFE含有重合体(X)100質量部に対して、0.3〜0.9質量部である。
スルホン酸系乳化剤の使用量が、PTFE含有重合体(X)100質量部に対して0.3質量部以上であれば、ビニル重合体(A)ラテックス及びPTFE含有重合体(X)ラテックスの、乳化安定性が良好となる。スルホン酸系乳化剤の使用量が、PTFE含有重合体(X)100質量部に対して0.9質量部以下であれば、PTFE含有重合体(X)ラテックスを、生産性よく凝析することができる。
【0024】
ビニル重合体(A)ラテックスとPTFE(B)ラテックスを混合して得られた、PTFE含有重合体(X)ラテックスは、凝析剤を用いてラテックスを凝析し、スラリーとした後に、粉体として回収する。
本発明では、凝析剤としてアルカリ土類金属塩を用いる。アルカリ土類金属塩を用いることで、ラテックスを生産性よく凝析することができ、且つ、PTFE含有重合体(X)粉体を配合した熱可塑性樹脂の耐熱性を損なうことがない。
アルカリ土類金属塩としては、例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウムが挙げられる。これらの凝析剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
凝析剤は水溶液にして、PTFE含有重合体(X)ラテックスを十分に凝析させられる量を使用すればよい。
ラテックスを凝析してスラリーとした後は、スラリーの温度を昇温させてスラリーを凝固させ、これを濾過、洗浄、乾燥すればよい。このような操作によって、ラテックスから粉体を回収することができる。
【0026】
本発明のPTFE含有重合体(X)粉体は、スルホン酸金属塩を含有することが好ましい。このスルホン酸金属塩は、ビニル単量体成分を乳化重合してビニル重合体(A)を得る際に用いるスルホン酸系乳化剤、及びPTFE含有重合体(X)ラテックスを凝析する際に用いる凝析剤に由来する。
PTFE含有重合体(X)粉体は、用いる乳化剤の種類によって、カルボン酸金属塩や、硫酸エステルの金属塩等を含有する場合もあるが、これらの金属塩はスルホン酸の金属塩に比較して熱安定性に劣る。カルボン酸金属塩や、硫酸エステルの金属塩等を含有するPTFE含有重合体(X)粉体を熱可塑性樹脂に配合した場合には、熱可塑性樹脂の耐熱性を損なうおそれがある。
【0027】
本発明のPTFE含有重合体(X)粉体は、二価の金属イオンを150〜500ppm含有することが好ましい。PTFE含有重合体(X)粉体中の、二価の金属イオンの含有量は、400ppm以下がより好ましく、350ppm以下がさらに好ましい。
PTFE含有重合体(X)粉体中の、二価の金属イオンの含有量が150ppm以上であれば、PTFE含有重合体(X)を、生産性よく粉体として回収することができる。PTFE含有重合体(X)粉体中の、二価の金属イオンの含有量が500ppm以下であれば、PTFE含有重合体(X)粉体を配合した熱可塑性樹脂の耐熱性が損なわれない。
二価の金属イオンとしては、カルシウムイオンが挙げられる。
【0028】
本発明のPTFE含有重合体(X)粉体は、三価の金属イオンを30ppm以下含有することが好ましい。PTFE含有重合体(X)粉体中の、三価の金属イオンの含有量は、10ppm以下がより好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
PTFE含有重合体(X)粉体中の、三価の金属イオンの含有量が30ppm以下であれば、PTFE含有重合体(X)粉体を配合した熱可塑性樹脂の耐熱性が損なわれない。
三価の金属イオンとしては、アルミニウムイオンが挙げられる。
【0029】
PTFE含有重合体(X)粉体中の一価の金属イオンについては、特にその含有量を定めないが、30ppm以下が好ましく、10ppm以下がより好ましい。
PTFE含有重合体(X)粉体中の、一価の金属イオンの含有量が30ppm以下であれば、PTFE含有重合体(X)粉体を配合した熱可塑性樹脂の耐熱性が損なわれない。
一価の金属イオンは、スルホン酸系乳化剤の塩としてPTFE含有重合体(X)ラテックス中に存在するが、アルカリ土類金属塩を用いてラテックスを凝析した後では、乳化剤から遊離しているため、容易に洗浄されて除去されるものである。
【0030】
本発明のPTFE含有重合体(X)粉体の質量平均粒子径は、50〜1000μmが好ましく、100〜800μmがより好ましく、200〜600μmがさらに好ましい。
PTFE含有重合体(X)粉体の質量平均粒子径が50〜1000μmであれば、粉体として取扱い性が良好となる。
PTFE含有重合体(X)粉体の質量平均粒子径は、標準篩を用いて、PTFE含有重合体(X)粉体20gを5分間振とうさせて分級して求めた値である。
【0031】
本発明で用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂(以下「PC」という。);ポリスチレン、ABS等のスチレン系樹脂;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;ポリスルフォン系樹脂;ポリ乳酸が挙げられる。
熱可塑性樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合した樹脂アロイとして用いてもよい。
【0032】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100質量部と、本発明のPTFE含有重合体(X)粉体0.1〜2質量部(熱可塑性樹脂100質量部に対して)を含有する。PTFE含有重合体(X)粉体の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.2質量部以上が好ましく、0.4質量部以上がより好ましい。また、PTFE含有重合体(X)粉体の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して1.5質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましい。
PTFE含有重合体(X)粉体の含有量が、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1質量部以上であれば、熱可塑性樹脂に対する溶融張力の向上効果が十分となる。PTFE含有重合体(X)粉体の含有量が、熱可塑性樹脂100質量部に対して2質量部以下であれば、PTFE含有重合体(X)粉体を配合した熱可塑性樹脂の表面外観を損なうことがない。
【0033】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、その特性を損なわない範囲で、必要に応じて、難燃剤、可塑剤、安定剤、充填剤、耐衝撃改質剤、滑剤、加工助剤、発泡剤、顔料、防曇剤、抗菌剤、帯電防止剤、導電性付与剤、結晶核剤、耐熱性向上剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0034】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、PTFE含有重合体(X)粉体、及び必要に応じて各種添加剤を、公知の方法で溶融混練することにより得られる。溶融混練の方法としては、例えば、同方向二軸押出機、異方向二軸押出機、単軸押出機が挙げられる。この中では、混合性が良好であることから、同方向二軸押出機が好ましい。
【0035】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形方法としては、例えば、射出成形、カレンダー成形、熱成形、押出成形、発泡成形が挙げられる。
また、本発明の成形品としては、例えば、射出成形による中空成形品、射出成形品;押出成形によるシート、フィルム及び異型成形品が挙げられる。具体的には、OA機器用部品;自動車用部品;内装材、窓枠、床材等の建材関連製品が挙げられる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各記載中、「部」は質量部を、「%」は質量%を示す。
実施例中での諸物性の測定は、下記の方法による。
【0037】
(1)金属イオン含有量
PTFE含有重合体粉体2gを乾式灰化した。灰分を濃塩酸5mlで溶解し、精製水で50mlにメスアップして試料とし、ICP発光分光分析装置(IRIS Intrepid II XSP:Thermo社製)を用いて測定した。
二価の金属イオンであるカルシウムイオン、及び三価の金属イオンであるアルミニウムイオンの含有量を求めた。
【0038】
(2)溶融張力
熱可塑性樹脂組成物のペレットを試料とし、キャピラリーレオメーター(RH−7型:Rosand社製)を用いて、バレル温度280℃、20m/分の速度で溶融張力の測定を行なった。
溶融張力の値が高いほど、熱可塑性樹脂組成物の加工性が高く、燃焼試験においてドリップ防止効果の高いことが期待される。
【0039】
(3)分散性
熱可塑性樹脂組成物のペレットを、60t縦型射出成形機を用い、シリンダー温度280℃、金型温度80℃で射出成形し、厚さ3mm×幅60mm×長さ40mmの試験片を作成した。試験片を光源に翳し、目視で分散性の評価を行なった。PTFE含有重合体粉体の分散性は、以下の基準で判定した。
○:試験片中に白点を確認できず、分散性が良好である。
△:試験片中に白点を2つ以下確認でき、分散性がやや劣る。
×:試験片中に白点を3つ以上確認でき、分散性が劣る。
【0040】
(4)色調
分散性の評価と同じ条件で、試験片を作成した。試験片を目視で確認し、色調の評価を行なった。色調は以下の基準で判定した。
○:試験片には黄変が認められず、色調が良好である。
△:試験片には若干の黄変が認められる。
×:試験片には黄変が認められる。
【0041】
(5)熱安定性(TGA 5%重量減少温度)
熱可塑性樹脂組成物のペレットを粉砕して、試料とした。試料約10mgを、TG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置:セイコーインスツル(株)製)を用いて、20℃/分の昇温速度で加熱し、5%重量減少温度を求めた。
この温度が高いほど、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が良好である。
【0042】
(実施例1:PTFE含有重合体(X−1)粉体の製造)
攪拌翼、冷却管、熱電対、窒素導入口を備えた5Lのセパラブルフラスコに、下記の単量体混合物を仕込み、窒素気流下で内温を60℃に昇温させた。
単量体混合物:
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム (有効分として)0.34部
(ネオペレックスG−15(有効分16%):花王(株)製)
脱イオン水(乳化剤水溶液の水分を含む) 144.66部
メチルメタクリレート 40部
n−ブチルアクリレート 10部
次いで、下記の開始剤水溶液を添加し、重合を開始した。
開始剤水溶液:
過硫酸カリウム 0.1部
脱イオン水 4.9部
重合発熱が終了した後、内温を60℃で1時間保持し、ビニル重合体ラテックスを得た。
【0043】
得られたビニル重合体ラテックスに、下記のPTFEラテックスを添加し、60℃で30分間攪拌して、PTFE含有重合体(X−1)ラテックスを得た。
PTFEラテックス:
PTFEラテックス「フルオンAD911」 83.3部
(旭硝子(株)製:PTFEの数平均分子量280万、PTFEの濃度
60%、PTFEに対して5%の界面活性剤を含む)
(PTFEとして50部)
脱イオン水 16.7部
【0044】
次いで、1%酢酸カルシウム水溶液500部を20Lの容器に仕込んだ後、80℃に加熱・攪拌し、温度を保ちながら、得られたPTFE含有重合体(X−1)ラテックスを徐々に滴下した。
PTFE含有重合体(X−1)ラテックスを凝析させてスラリーとした後、5分間攪拌を続けた。その後、スラリーの温度を95℃まで昇温して、凝固を行なった。
凝固物を濾過、洗浄、乾燥して、PTFE含有重合体(X−1)粉体100部を得た。
【0045】
(実施例2:PTFE含有重合体(X−2)粉体の製造)
乳化剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックスG−15)を有効分として0.5部用いること以外は、実施例1と同様にして、PTFE含有重合体(X−2)粉体100部を得た。
【0046】
(実施例3:PTFE含有重合体(X−3)粉体の製造)
乳化剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックスG−15)を有効分として0.6部用いること以外は、実施例1と同様にして、PTFE含有重合体(X−3)粉体100部を得た。
【0047】
(実施例4:PTFE含有重合体(X−4)粉体の製造)
乳化剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックスG−15)を有効分として0.68部用いること以外は、実施例1と同様にして、PTFE含有重合体(X−4)粉体100部を得た。
【0048】
(実施例5:PTFE含有重合体(X−5)粉体の製造)
攪拌翼、冷却管、熱電対、窒素導入口を備えた5Lのセパラブルフラスコに、下記の単量体混合物を仕込み、窒素気流下で内温を60℃に昇温させた。
単量体混合物:
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム (有効分として)0.5部
(ネオペレックスG−15(有効分16%):花王(株)製)
脱イオン水(乳化剤水溶液の水分を含む) 144.5部
メチルメタクリレート 40部
n−ブチルアクリレート 10部
t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.2部
次いで、下記の還元剤水溶液を添加し、重合を開始した。
還元剤水溶液:
硫酸第一鉄 0.0002部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.0006部
ロンガリット 0.2部
脱イオン水 4.5992部
重合発熱が終了した後、内温を60℃で1時間保持し、ビニル重合体ラテックスを得た。ここで得たビニル重合体ラテックスを用いること以外は、実施例1と同様にして、PTFE含有重合体(X−5)粉体100部を得た。
【0049】
(実施例6:PTFE含有重合体(X−6)粉体の製造)
PTFEラテックスとして、「フルオンAD938」(旭硝子(株)製:PTFEの数平均分子量1500万、PTFEの濃度60%、PTFEに対して5%の界面活性剤を含む)83.3部(PTFEとして50部)を用いること以外は、実施例2と同様にして、PTFE含有重合体(X−6)粉体100部を得た。
【0050】
(実施例7:PTFE含有重合体(X−7)粉体の製造)
ビニル重合体の重合に用いるビニル単量体成分を、メチルメタクリレート40部及びn−ブチルアクリレート10部から、スチレン40部及びアクリロニトリル10部に変更し、PTFE含有重合体ラテックスを滴下する際の1%酢酸カルシウム水溶液の温度を、80℃から95℃に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、PTFE含有重合体(X−7)粉体100部を得た。
【0051】
(実施例8:PTFE含有重合体(X−8)粉体の製造)
乳化剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(ペレックスSS−L(有効分50%):花王(株)製)を有効分として0.5部用いること以外は、実施例1と同様にしてPTFE含有重合体(X−8)粉体100部を得た。
【0052】
(比較例1:PTFE含有重合体(Y−1)粉体の製造
乳化剤としてアルケニルコハク酸ジカリウム(ラテムルASK(有効分28%):花王(株)製)を有効分として0.5部用いること以外は、実施例1と同様にしてPTFE含有重合体(Y−1)粉体100部を得た。
【0053】
(比較例2:PTFE含有重合体(Y−2)粉体の製造)
乳化剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックスG−15)を有効分として1.07部用いること以外は、実施例1と同様にして、PTFE含有重合体(Y−2)粉体100部を得た。
【0054】
(比較例3:PTFE含有重合体(Y−3)粉体の製造)
攪拌翼、冷却管、熱電対、窒素導入口を備えた5Lのセパラブルフラスコに、下記の単量体混合物を仕込み、窒素気流下で内温を60℃に昇温させた。
単量体混合物:
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム (有効分として)0.7部
(ネオペレックスG−15)
脱イオン水(乳化剤水溶液の水分を含む) 172.3部
メチルメタクリレート 56部
n−ブチルアクリレート 14部
次いで、下記の開始剤水溶液を添加し、重合を開始した。
開始剤水溶液:
過硫酸カリウム 0.14部
脱イオン水 6.86部
重合発熱が終了した後、内温を60℃で1時間保持し、ビニル重合体ラテックスを得た。
【0055】
得られたビニル重合体ラテックスに、下記のPTFEラテックスを添加し、60℃で30分間攪拌して、PTFE含有重合体(Y−3)ラテックスを得た。
PTFEラテックス:
PTFEラテックス「フルオンAD911」 50部
(PTFEとして30部)
【0056】
実施例1と同様にしてPTFE含有重合体(Y−3)ラテックスの固化を行ない、PTFE含有重合体(Y−3)粉体100部を得た。
【0057】
(比較例4:PTFE含有重合体(Y−4)粉体の製造)
攪拌翼、冷却管、熱電対、窒素導入口を備えた5Lのセパラブルフラスコに、下記の単量体混合物を仕込み、窒素気流下で内温を60℃に昇温させた。
単量体混合物:
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム (有効分として)0.3部
(ネオペレックスG−15)
脱イオン水(乳化剤水溶液の水分を含む) 147.7部
メチルメタクリレート 24部
n−ブチルアクリレート 6部
次いで、下記の開始剤水溶液を添加し、重合を開始した。
開始剤水溶液:
過硫酸カリウム 0.06部
脱イオン水 4.94部
重合発熱が終了した後、内温を60℃で1時間保持し、ビニル重合体ラテックスを得た。
【0058】
得られたビニル重合体ラテックスに、下記のPTFEラテックスを添加し、60℃で30分間攪拌して、PTFE含有重合体(Y−4)ラテックスを得た。
PTFEラテックス:
PTFEラテックス「フルオンAD911」 117部
(PTFEとして70部)
【0059】
実施例1と同様にしてPTFE含有重合体(Y−4)ラテックスの固化を行ない、PTFE含有重合体(Y−4)粉体98部を得た。
【0060】
(比較例5:PTFE含有重合体(Y−5)粉体の製造)
PTFE含有重合体ラテックスを滴下する1%酢酸カルシウム水溶液500部を、1%硫酸アルミニウム水溶液500部に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、PTFE含有重合体(Y−5)粉体100部を得た。
【0061】
(比較例6:ビニル重合体(Y−6)粉体の製造)
PTFEラテックスを用いないこと以外は、実施例2と同様にして、ビニル重合体(Y−6)粉体50部を得た。
【0062】
実施例1〜8、比較例1〜6で得られたPTFE含有重合体粉体中の金属イオン含有量を、表1に示した。
【0063】
【表1】

【0064】
(実施例9〜16、比較例7〜12)
PCとしてユーピロンS2000F(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)を用いた。
PC100部に対して、実施例1〜8及び比較例1〜6で得られたPTFE含有重合体粉体0.6部を配合した。この配合物を、280℃に設定した30φ二軸押出機(TEX−30α:(株)日本製鋼所製)を用いて溶融混練して、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いて諸物性の評価を行なった。評価結果を表2に示した。
【0065】
(比較例13及び14)
比較例13では、PC100部に対して、市販のPTFEファインパウダー(フルオンCD1:旭硝子(株)製)0.6部を配合し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
比較例14は、PCのみでペレットを得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを用いて諸物性の評価を行なった。評価結果を表2に示した。
【0066】
【表2】

【0067】
表1から明らかなように、PTFE含有重合体(ビニル重合体とPTFEから構成される)100部に対して、スルホン酸系乳化剤を0.34〜0.68部用いた実施例1〜4は、PTFE含有重合体粉体中の二価の金属イオン(Ca2+)の含有量が180〜360ppmであった。スルホン酸系乳化剤の使用量が多くなるほど、Ca2+イオンの含有量が多くなる傾向が見られた。
PTFE含有重合体100部に対して、スルホン酸系乳化剤を1.07部使用した比較例2は、PTFE含有重合体粉体中のCa2+イオンの含有量が570ppmであった。
PTFE含有重合体ラテックスの凝析剤として硫酸アルミニウム水溶液を用いた比較例5は、PTFE含有重合体粉体中のCa2+イオンの含有量が10ppm未満であり、三価の金属イオン(Al3+)の含有量が120ppmであった。
【0068】
表2から明らかなように、PTFE含有重合体(X−1〜4)粉体を配合した実施例9〜12は、熱安定性が507〜493℃であった。PTFE含有重合体粉体中のCa2+イオンの含有量が多くなるほど、熱安定性が低下する傾向が見られた。
レドックス系開始剤を用いてビニル単量体成分を重合した(X−5)粉体を配合した実施例13は、過硫酸塩を用いてビニル単量体成分を重合した(X−2)粉体を配合した実施例10に比較して、熱安定性が若干低下した。
数平均分子量1500万のPTFEを用いた(X−6)粉体を配合した実施例14は、数平均分子量280万のPTFEを用いた(X−2)粉体を配合した実施例10に比較して、溶融張力が向上し、分散性がやや劣った。
【0069】
ビニル重合体としてスチレン/アクリロニトリル共重合体を用いた(X−7)粉体を配合した実施例15は、ビニル重合体としてメチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート共重合体を用いた(X−2)粉体を配合した実施例10に比較して、若干の黄変が認められた。
乳化剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムを用いた(X−8)粉体を配合した実施例16は、乳化剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いた(X−2)粉体を配合した実施例10に比較して、熱安定性が若干低下した。
【0070】
乳化剤としてアルケニルコハク酸ジカリウムを用いた(Y−1)粉体を配合した比較例7は、熱安定性が大きく低下した。
PTFE含有重合体100部に対して、スルホン酸系乳化剤を1.07部使用した(Y−2)粉体を配合した比較例8は、熱安定性が大きく低下した。
PTFE含有重合体100部に対する、PTFEの含有量が30部である(Y−3)粉体を配合した比較例9は、溶融張力の向上効果が不十分であった。
【0071】
PTFE含有重合体100部に対する、PTFEの含有量が70部である(Y−4)粉体を配合した比較例10は、分散性が劣った。
PTFE含有重合体ラテックスの凝析剤として硫酸アルミニウム水溶液を用いた(Y−5)粉体を配合した比較例11は、黄変が認められ、熱安定性が大きく低下した。
PTFEを含まない(Y−6)粉体を配合した比較例12は、溶融張力が向上しなかった。
PTFEファインパウダーを配合した比較例13は、分散性が劣った。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のポリテトラフルオロエチレン含有重合体粉体の製造方法は、熱可塑性樹脂中での分散性に優れ、熱可塑性樹脂の成形加工性を改良し、且つ、耐熱性を損なうことのない、ポリテトラフルオロエチレン含有重合体粉体を提供できる。
本発明のポリテトラフルオロエチレン含有重合体粉体を配合した熱可塑性樹脂は、成形加工性が改良され、且つ、耐熱性が損なわれていない。
本発明の成形品は、OA機器用部品;自動車用部品;内装材、窓枠、床材等の建材関連製品として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルホン酸系乳化剤の存在下でビニル単量体成分を重合して得られたビニル重合体(A)ラテックスと、ポリテトラフルオロエチレン(B)ラテックスを混合して、ポリテトラフルオロエチレン含有重合体(X)ラテックスとした後に、アルカリ土類金属塩を用いて凝析する、ポリテトラフルオロエチレン含有重合体(X)粉体の製造方法であって、
ポリテトラフルオロエチレン含有重合体(X)が、ビニル重合体(A)40〜60質量部及びポリテトラフルオロエチレン(B)40〜60質量部から構成され((A)と(B)の合計が100質量部)、
スルホン酸系乳化剤の使用量が、ポリテトラフルオロエチレン含有重合体(X)100質量部に対して0.3〜0.9質量部である、ポリテトラフルオロエチレン含有重合体(X)粉体の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の製造方法により得られ、
スルホン酸金属塩として、二価の金属イオンを150〜500ppm含有し、且つ、三価の金属イオンを30ppm以下含有する、ポリテトラフルオロエチレン含有重合体(X)粉体。
【請求項3】
熱可塑性樹脂100質量部と、請求項2記載のポリテトラフルオロエチレン含有重合体(X)粉体0.1〜2質量部(熱可塑性樹脂100質量部に対して)を含有する、熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品。

【公開番号】特開2008−303353(P2008−303353A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153910(P2007−153910)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】