説明

重合可能な界面活性剤、および器具形成コモノマーとしてのその利用

本発明は、コンタクトレンズ、眼内レンズ、角膜のインプラントなどの眼科用器具を形成するコモノマーとしての重合可能な界面活性剤の利用について述べる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトレンズ、眼内レンズおよびバイオフィルターなどの重合体の器具を形成するコモノマーとしての、重合可能なポロキサマーおよびポロキサミンの利用について述べる。
【背景技術】
【0002】
ポロキサマーのブロック共重合体は、既知の化合物であり、一般に、プルロニック(登録商標)として市販されている。ポロキサマーは一般に、下記の一般式を持つ:
【化1】

【0003】
逆(reverse)ポロキサマーもまた、ブロック共重合体として知られており、一般に、下記の一般式を持つ:
【化2】

【0004】
ここで、aおよびbは可変の鎖長である。
【0005】
ポロキサマーおよび逆ポロキサマーは、官能基となるヒドロキシル基末端を有する。末端官能性ポロキサマーの例としては、Cellesiらによる特許文献1に開示されているとおり、ポロキサマー・ジメタクリレート(「プルロニック」F−127ジメタクリレート)が挙げられる。特許文献2では、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのグリシジル基末端共重合体について開示されている。
【0006】
ポロキサマーおよび逆ポロキサマーは、aおよびbの様々な値に基づく可変のHLB値(親水親油バランス)をもつ界面活性剤であり、aは分子中に存在する親水性のポリ(エチレンオキシド)単位(PEO)の数を表し、bは分子中に存在する疎水性のポリ(プロピレンオキシド)単位(PPO)の数を表している。ポロキサマーおよび逆ポロキサマーが(ヒドロキシル基末端に基づいて)ニ官能性の分子であるとみなされている一方で、ポロキサミン、すなわちテトロニック(登録商標)として知られる四官能性の形態でも市販されている。ポロキサミンは、分子が第一級のヒドロキシル基末端を有し、中心のジアミンと結合している、四官能性のブロック共重合体である。ポロキサミンは、下記の一般式を有する:
【化3】

【0007】
逆ポロキサマーもまた知られており、bに対するaの相対比率に基づく可変のHLB値を有する。
【0008】
基質の表面に存在するポリエーテルは、細菌付着を阻害し、脂質および蛋白質の付着量を減じること(吸着抑制表面)が、以前から知られている。本発明では、我々は、ポロキサマーとポロキサミンのブロック共重合体(BASF社(ドイツ、ルートヴィヒスハーフェン)製)を化学的に修飾し、眼科用器具を形成する組成物にそれらを含める。
【0009】
眼用レンズなどの医療器具は、一般に、2つの主要な部類、すなわち、ハイドロゲルと非ハイドロゲルに分けることができる。非ハイドロゲルは、水分を多量には吸収しないのに対し、ハイドロゲルは水分を吸収し、平衡状態で水分を保持することが可能である。
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0044468号明細書
【特許文献2】米国特許第6,517,933号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ハイドロゲルは、ソフトコンタクトレンズの材料として幅広く利用されている。コンタクトレンズの表面の親水性が増加すると、コンタクトレンズの湿潤性が向上することが知られている。このことは、すなわち、コンタクトレンズの改善された装着快適性に関連する。さらには、レンズの表面では、レンズを装着している間の涙液に由来する蛋白質および脂質の付着がレンズ全体に起こりやすくなる。堆積した付着物のために、眼に不快感が生じ、もしくは、炎症さえも生じうる。長時間装着されるレンズ(すなわち、就寝前にレンズを毎日取り外さずに用いられるレンズ)の場合は、長時間装着されるレンズが高水準の快適性および長期間の生体適合性を有するように設計されなければならないため、表面は、特に重要である。したがって、本技術分野では、表面特性の改質の可能性のある新しい組成物が依然として望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
コモノマーおよびオリゴマー
本発明において有用な生体適合材料の例は、Kunzlerらの米国特許第5,908,906号明細書; Kunzlerらの同第5,714,557号明細書;Kunzlerらの同第5,710,302号明細書;Laiらの米国特許第5,708,094号明細書;Bamburyらの同第5,616,757号明細書;Bamburyらの同第5,610,252号明細書;Laiらの同第5,512,205号明細書;Laiらの同第5,449,729号明細書;Kunzlerらの同第5,387,662号明細書およびLaiらの同第5,310,779号明細書に教示され、これらの特許を参照することにより、詳細に説明されるかのごとく、本明細書中に取り込まれる。
【0012】
硬質ガス透過性(RGP)材料は、典型的には、含水量5重量%未満の疎水性架橋ポリマー系からなる。本発明に従った有用なRGP材料には、Ellisらの米国特許第4,826,936号明細書;Ellisらの同第4,463,149号明細書;Ellisらの同第4,604,479号明細書;Ellisらの同第4,686,267号明細書;Ellisらの同第4,826,936号明細書;Ellisらの同第4,996,275号明細書;Baronらの同第5,032,658号明細書;Bamburyらの同第5,070,215号明細書;Valintらの同第5,177,165号明細書;Baronらの同第5,177,168号明細書;Valintらの同第5,219,965号明細書;McGeeおよびValintの同第5,336,797号明細書;Laiらの同第5,358,995号明細書;Valintらの同第5,364,918号明細書;Bamburyらの同第5,610,252号明細書;Laiらの同第5,708,094号明細書;およびValintらの同第5,981,669号明細書において教示される材料が挙げられる。Ellisらの米国特許第5,346,976号明細書には、RGP材料を作製する好ましい方法が教示されている。
【0013】
本発明は、硬質または軟質の様々な重合体材料のいずれにも、幅広く適用可能である。生体適合材料を含むすべての重合体材料を本発明の範囲に含むことを意図しているが、特に好ましい重合体材料には、コンタクトレンズ、有水晶および無水晶体の眼内レンズ (phakic and aphakic intraocular lenses)、および人工角膜などのレンズが含まれる。ハイドロゲルは、水分を平衡状態で含む、水和し、架橋した重合系からなる。これらのハイドロゲルとしては、シリコーンハイドロゲルが考えられ、一般に、水分含量が5重量%よりも多く、通常は、約10〜約80重量%の間である。これらの材料は、通常は、少なくとも1種類のシロキサン含有モノマーと少なくとも1種類の親水性モノマーを含む混合物を重合することによって調製される。シリコーンハイドロゲルの形成に用いられる適用可能なシロキサン含有のモノマー単位は、本技術分野で周知であり、非常に多くの実施例が、米国特許第4,136,250号;同第4,153,641号;同第4,740,533号;同第5,034,461号;同第5,070,215号;同第5,260,000号;同第5,310,779号および同第5,358,995号の各明細書中で提供されている。さらには、例えば−(CF)−Hなどの特定のフッ素化された側基を持つシロキサン含有モノマーの利用については、米国特許第5,387,662号および同第5,321,108号の各明細書で述べられているように、親水性およびシロキサン含有モノマー単位の間の相溶性を向上させることが分かっている。
【0014】
官能性界面活性剤
ポロキサマーおよび/またはポロキサミンは官能性であり、分子の末端で所望の反応性を提供する。その官能性は、様々に変更可能であり、官能性のPEOおよびPPO含有ブロック共重合体の目的用途に基づいて決定される。言い換えると、PEOおよびPPO含有ブロック共重合体は、反応によって、目的の器具を形成するモノマー混合物と相補的な関係にある末端官能性を提供する。ブロック共重合体に関しては、我々は、ポロキサマーおよび/またはポロキサミンを、重合体の骨格中に2以上のブロックを持つものとして定義する。
【0015】
官能末端基の選択は、モノマー混合物中の反応性の分子の官能基によって決定される。例えば、反応性の分子がカルボン酸基を含む場合は、メタクリル酸グリシジルがメタクリレート末端基を提供することが可能である。反応性の分子がヒドロキシル基もしくはアミノ基の官能性を含む場合は、イソシアナトエチルメタクリレートまたは(メタ)アクリロイルクロリドがメタクリレート末端基を提供可能であり、また、ビニルクロロホルメートは、ビニル末端基を提供可能である。エチレン性不飽和末端基および反応性の分子の様々な適切な組合せは、当業者にとって明白であろう。例えば、官能基は、アミン、ヒドラジン、ヒドラジド、チオール(親水性基)、カルボン酸、カルボン酸エステル、イミドエステル、オルトエステルカーボネート、イソシアネート、イソチオシアネート、アルデヒド、ケトン、チオン、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、スルホン、マレイミド、ジスルフィド、ヨウ素、エポキシ、スルフォネート、チオスルフォネート、シラン、アルコキシシラン、ハロシラン、およびホスホロアミデートから選択される部分を含んで構わない。これらの基のさらなる具体例としては、スクシニミジル・エステルまたはカーボネート、イミダゾリル・エステルまたはカーボネート、ベンゾトリアゾール・エステルまたはカーボネート、p−ニトロフェニル・カーボネート、ビニルスルホン、クロロエチルスルホン、ビニルピリジン、ピリジルジスルフィド、ヨードアセトアミド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレートおよびトレシレート(tresylate)が挙げられる。他の活性化されたカルボン酸誘導体も、水和物および上記の部位が保護された誘導体(例えば、アルデヒド水和物、ヘミアセタール、アセタール、水和物ケトン、ヘミケタール、ケタール、チオケタール、チオアセタールなど)と同様に、含まれる。好ましい求電子基には、スクシニミジル・カーボネート、スクシニミジル・エステル、マレイミド、ベンゾトリアゾール・カーボネート、グリシジル・エステル、イミダゾイル・エステル、p−ニトロフェニル・カーボネート、アクリレート、トレシレート、アルデヒド、およびオルトピリジルジスルフィドが挙げられる。
【0016】
上述の反応順序は、説明する目的であって、限定するものではない。PEOおよびPPO含有ブロック共重合体が末端官能基となりうる反応順序の例を以下に提供する:

本明細書がさらに提供するのは、いくつかの典型例であり、限定はしないが、PEOおよびPPO含有ブロック共重合体の官能性末端を提供するための反応の例である。当業者が必要以上の量の実験をせずに、他の反応方法を見つけうるであろうことは、理解されるべきである。また、ここで用いる特定のブロック共重合体は、参照した材料の非常に大きい母体数のうちのわずか1種類の鎖長であることも、理解されるべきである。
【0017】
PEOおよびPPO含有ブロック共重合体が、現在のところは、好ましい。本発明にかかる方法に利用可能な、これら共重合体の1つは、「プルロニック」F127であり、[(ポリエチレンオキシド)99−(ポリプロピレンオキシド)66−(ポリエチレンオキシド)99]の構造を持つ共重合体である。共重合体の末端のヒドロキシル基は官能性であり、共重合体と他の器具形成用モノマーとの反応を可能にする。
【0018】
器具形成用添加剤およびコモノマー
重合可能な組成物に、さらに必要に応じて、および、本発明の目的および効果を害さない程度を限界として、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤および潤滑剤など、様々な添加剤を含めてもよい。
【0019】
本発明では、重合可能な組成物は、得られる重合体成型品の末端利用者およびその類の人々に従い、1種類または少なくとも2種類以上の前述のコモノマーおよびオリゴマーおよび官能性界面活性剤を用いて、また、必要な場合は、1種類以上の架橋剤を用いて調製して構わない。
【0020】
重合体の成型品は、例えば、医療品、具体的にはコンタクトレンズであり、重合可能な組成物を、1種類以上のケイ素化合物、例えば、シロキサニル(メタ)アクリレート、シロキサニル(メタ)アクリルアミド、およびシリコーンオリゴマーから適切に調製し、高酸素透過性のコンタクトレンズを得る。
【0021】
本発明にかかるモノマー混合物には、架橋剤、内部湿潤剤、親水性のモノマー単位、強化剤、および本技術分野で周知の他の成分などの付加的な成分を含めてもよい。
【0022】
必須ではないが、本発明の範囲に含まれる組成物には、好ましくは約80重量%より少ない量、例えば、約5〜約80重量%、さらに典型的には約20〜約60重量%の量の強化剤を含めてもよい。適切な強化剤の例は、米国特許第4,327,203号明細書に記載されている。これらの薬剤としては、メチルアクリレートおよびメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、イソプロピルシクロペンチルアクリレート、t−ペンチルシクロ‐ヘプチルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、イソヘキシルシクロペンチルアクリレートおよびメチルイソペンチルシクロオクチルアクリレートなどのシクロアルキルアクリレートまたはメタクリレートが挙げられる。適切な強化剤のさらなる例は、米国特許第4,355,147号明細書中に記載されている。この引例では、イソボルニルアクリレートおよびメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレートおよびメタクリレート、アダマンチルアクリレートおよびメタクリレート、ならびにイソピノカンフィル(isopinocamphyl)アクリレートおよびメタクリレートなどの多環式のアクリレートもしくはメタクリレートについて記載されている。強化剤の例は、さらに、米国特許第5,270,418号明細書内で提供されている。この引例では、分岐鎖アルキルヒドロキシルシクロアルキルアクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、およびメタクリルアミドが記載されている。代表的な例としては、4‐t‐ブチル‐2‐ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート(TBE);4‐t‐ブチル‐2‐ヒドロキシシクロペンチルメタクリレート;メタクリルオキシアミノ‐4‐t‐ブチル‐2‐ヒドロキシシクロヘキサン;6‐イソペンチル‐3‐ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート;およびメタクリルオキシアミノ‐2‐イソヘキシル‐5‐ヒドロキシシクロペンタンが挙げられる。
【0023】
内部湿潤剤もまた、これらハイドロゲル組成物の湿潤性の向上に利用して構わない。適切な内部湿潤剤の例としては、米国特許第4,652,622号明細書中に記載されているとおり、N−アルキエノイル・トリアルキルシリル・アミナート(alkyenoyl trialkylsilyl aminate)が挙げられる。これらの薬剤は、以下の一般式で表すことができる:
【化4】

【0024】
ここで、
Eは水素またはメチルであり、
Gは(CH)C(O)OSi(V)または水素であり、
Vはメチル、エチル、またはプロピルであり、
qは1〜15の整数であり、
rは1〜10の整数であり、
q+rは1〜15の整数であり、以下、NATAと表記する。
【0025】
アクリルオキシ基およびメタクリルオキシ基、1〜2個のカルボキシル基を有するアミノ酸(以下、NAAと表記)は、ポリシロキサン重合体に所望の表面湿潤特性を与えるが、重合が完了する前に、シロキサンモノマーを含まないモノマーの混合物は沈殿してしまう。NAAを修飾し、ポリシロキサン重合体に取り込んで、さらに容易にトリアルキルシリルエステルを形成することが可能である。NATAとしては、トリメチルシリル‐N‐メタクリルオキシグルタメート、トリエチルシリル‐N‐メタクリルオキシグルタメート、トリエチル‐N‐メタクリルオキシ‐6‐アミノヘキサノエート、トリメチルシリル‐N‐メタクリルオキシ‐アミノドデカノエート、およびbis‐トリメチルシリル‐メタクリルオキシアスパラギン酸が好ましい。
【0026】
好ましい湿潤剤には、アクリルおよびメタクリル酸、ならびにそれらの誘導体もまた含まれる。典型的には、これら湿潤剤は、組成物の5重量%未満で含まれる。
【0027】
他の好ましい内部湿潤剤には、引用することによりその内容が本明細書中に包含される、1989年3月7日に特許が発行されたFriendsらの米国特許第4,810,764号明細書中に記載されるオキサゾロンが含まれる。これらの好ましい内部湿潤剤としては、具体的には、2‐イソプロピル‐4,4‐ジメチル‐2‐オキサゾリン‐5‐オン(IPDMO)、2‐ビニル‐4,4‐ジメチル‐2‐オキサゾリン‐5‐オン(VDMO)、シクロヘキサン‐スピロ‐4’‐(2’‐イソプロペニル‐2’‐オキサゾル‐5’‐オン)(IPCO)、シクロヘキサン‐スピロ‐4’‐(2’‐ビニル‐2’‐オキサゾル‐5’‐オン)(VCO)、および2‐(1‐イソプロペニル)‐4,4‐ジメチル‐2‐オキサゾル‐5‐オン(PDMO)が挙げられる。これらのオキサゾロンの調製は、当技術分野で知られており、米国特許第4,810,764号明細書に記載されている。
【0028】
これらの好ましい内部湿潤剤は、特に所望の湿潤剤となる、2つの重要な特徴を有している:(1)比較的、無極性であり、疎水性のモノマー(ポリシロキサンおよび強化剤)と相性が良く、また、(2)穏やかな加水分解によって、実質的に湿潤特性を与える高極性のアミノ酸へと変化する。他の成分の存在下で重合させると、共重合体が形成される。これらの内部湿潤剤は、ポリシロキサンモノマーのエンドキャップおよび強化剤と、炭素−炭素間二重結合を介して重合し、生物医学的器具、特にコンタクトレンズにとって、特に有用な共重合材料を形成する。
【0029】
上記のとおり、本課題のハイドロゲル組成物は、親水性のモノマー単位を含む。適切な親水性のモノマー単位の例としては、米国特許第4,259,467号;同第4,260,725号;同第4,440,918号;同第4,910,277号;同第4,954,587号;同第4,990,582号;同第5,010,141号;同第5,079,319号;同第5,310,779号;同第5,321,108号;同第5,358,995号;同第5,387,662号の各明細書に記載されているものが挙げられ、ここに引用することにより、それらのすべてが本明細書中に包含される。好ましい親水性モノマーの例としては、親水性のアクリル‐、メタクリル‐、イタコン‐、スチリル‐、アクリルアミド‐、メタクリルアミド‐、またはビニル基含有モノマーなどのアクリル‐およびビニル‐含有モノマーが挙げられる。
【0030】
好ましい親水性のモノマーは、アクリル‐もしくはビニル‐含有のいずれかである。これら親水性のモノマーは、それら自身が架橋剤として用いられても構わない。「ビニル型」または「ビニル基含有」モノマーという語句は、ビニル系の基(CH=CQH)を含むモノマーのことをいい、一般的に反応性が高い。これら親水性のビニル基含有モノマーは、比較的容易に重合されることが知られている。「アクリル型」または「アクリル基含有」モノマーは、以下の一般式で表されるアクリル基を含むモノマーである:
【化5】

【0031】
ここで、Xは水素またはメチルであることが好ましく、Yは、--O--、--OQ--、--NH--、--NQ--および--NH(Q)--であることが好ましく、ここでQは、典型的にはアルキルまたは置換されたアルキル基である。これらモノマーは、容易に重合されることが知られている。
【0032】
本発明にかかるハイドロゲルに取り込んでもよい好ましい親水性のビニル基含有モノマーとしては、N−ビニルラクタム(例えば、N−ビニルピロリドン(NVP))、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルホルムアミドなどのモノマーが挙げられ、NVPが最も好ましい。
【0033】
本発明にかかるハイドロゲルに取り込んでもよい好ましい親水性のアクリル基含有モノマーの例としては、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、メタクリル酸およびアクリル酸などの親水性のモノマーが挙げられ、DMAが最も好ましい。
【0034】
適切なエチレン性の不飽和親水性モノマーとしては、エチレン性の不飽和ポリオキシアルキレン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)もしくはポリ(HEMA)、およびN−アルキル−N−ビニルアセトアミドが挙げられる。エチレン性の不飽和は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチレニル、アルケニル、ビニルカーボネートおよびビニルカーバメート基によって提供可能である。好ましい親水性のマクロモノマーとしては、分子量が200〜10,000のメトキシポリオキシエチレンメタクリレートが挙げられ、分子量が200〜5000のメトキシポリオキシエチレンメタクリレートがさらに好ましく、分子量が400〜5000のメトキシポリオキシエチレンメタクリレートが最も好ましい。付加的な好ましい親水性のマクロモノマーとしては、分子量が500〜10,000のポリ(N−ビニルピロリドン)メタクリレートが挙げられる。分子量が500〜5,000のポリ(N−ビニルピロリドン)メタクリレートがさらに好ましく、分子量が1,000〜5,000のポリ(N−ビニルピロリドン)メタクリレートが最も好ましい。他の好ましい親水性のマクロモノマーとしては、分子量が500〜10,000のポリ(N,N−ジメチルアクリルアミドメタクリレート)が挙げられる。さらに好ましいのは、分子量が500〜5,000のポリ(N,N−ジメチルアクリルアミドメタクリレート)であり、分子量が1,000〜5,000のポリ(N,N−ジメチルアクリルアミドメタクリレート)が最も好ましい。
【0035】
適切なエチレン性の不飽和の疎水性モノマーには、アルキル(メタ)アクリレート、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキルビニルカーボネート、アルキルビニルカーバメート、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、N−フルオロアルキル(メタ)アクリルアミド、N−フルオロアルキルビニルカーボネート、N−フルオロアルキルビニルカーバネート、シリコーン含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルカーボネート、ビニルカーバメート、スチレンモノマー(スチレン、α‐メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t-ブチルモノクロロスチレン、およびp−t-ブチルジクロロスチレンからなる群より選択される)、およびポリ[オキシプロピレン(メタ)アクリレート]が挙げられる。好ましい疎水性モノマーとしては、メチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、ペルフルオロオクチルメタクリレート、メタクリオイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)が挙げられる。
【0036】
アクリル基含有モノマーおよびビニル基含有モノマーの両方を本発明に取り込む場合は、ビニルおよびアクリルの重合可能基の両方を有するさらなる架橋剤を、ここに引用することによりその内容が本明細書中に包含される1994年5月10日に特許発行された米国特許第5,310,779号明細書の課題となっている架橋剤として用いてもよい。これら架橋剤は、得られる共重合体を全体的にUV硬化可能にする補助をする。しかしながら、共重合体は、単に加熱のみ、もしくはUVおよび熱処理の組合せによっても硬化可能である。共重合体を硬化させるのに必要な光および/または熱開始剤は、本技術分野において周知であるように、モノマー混合物中に含めてもよい。それらを含めた、シリコーン含有ハイドロゲルと組み合わせてよい他の架橋剤に関しては、すでに述べた。組成物の湿潤性を高めるための他の技術もまた、例えば、当技術分野において周知のプラズマ表面処理技術など、本発明の範囲内で利用して差し支えない。
【0037】
特に好ましいハイドロゲル組成物は、約0.1〜約50重量%の官能性のポロキサマーおよび/またはポロキサミンを含み、約0.1〜約30重量%の官能性のポロキサマーおよび/またはポロキサミンを含むのがさらに好ましく、約0.1〜約4.9重量%の官能性のポロキサマーおよび/またはポロキサミンを含むのがさらにもっと好ましい。官能性のポロキサマーおよび/またはポロキサミンを5%未満の量で用いることの利点は、官能性のポロキサマーおよび/またはポロキサミンが、高濃度では、器具の光透過性を減少させる傾向にあることである。
【0038】
本発明で用いられるモノマー混合物は、一般にエチレン性の不飽和化合物の重合に用いられる、UV重合、または熱重合、もしくはそれらの組合せなどの従来の方法で所望の形態へと容易に硬化可能である。代表的なフリーラジカルの熱重合開始剤は、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、過酸化ステアロイル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシピバレート(t-butyl peroxypivalate)、パーオキシジカーボネートおよび同種のものなどの有機過酸化物であり、モノマー混合物全体に対して約0.01〜1重量%で用いられる。代表的なUV開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、DAROCUR(登録商標)1173、1164、2273、1116、2959、3331(EM Industries社(アメリカ合衆国、ニューヨーク州)製)、ならびにIGRACUR(登録商標)651および184(日本チバ・ガイギー株式会社製)などが当技術分野で知られている。
【0039】
末端官能性ポロキサマーおよび/またはポロキサミンと他のコモノマーとの重合は、一般に、希釈剤の存在下で(架橋剤と共に)行われる。その結果、重合生成物は、ゲル状になる。希釈剤が非水系の場合は、希釈剤をゲルから取り除き、当業者に周知の抽出および水和処理を行い、水と置換しなければならない。希釈剤を使わずに重合を行い、キセロゲルを生成することも可能である。これらのキセロゲルを次に水和して、当技術分野で周知のハイドロゲルを形成しても構わない。
【0040】
上述の重合開始剤に加えて、本発明にかかる共重合体に、当業者にとって明白であろう他のモノマーも含めて差し支えない。例えば、モノマー混合物に、コンタクトレンズの技術分野で知られているような着色料、またはUV吸収剤を含めてもよい。
【0041】
本発明は、心臓弁および眼内レンズなどの人工器官、被膜、外科用器具、心臓弁、体内管代替物、子宮内器具、細胞膜および他の膜、隔膜、外科的インプラント、血管、人工尿管、人工乳房組織、および、例えば、腎臓透析および人工心肺装置用の膜、カテーテル、マウス・ガード、義歯ライナー、眼科用器具、および、特に、コンタクトレンズなどの、体外で体液と接触する膜の製造用途に有用となりうる材料を提供する。
【0042】
本発明にかかる重合体は、スピン成形処理(米国特許第3,408,429号、および同第 3,496,254号の各明細書で開示されている)、キャスト成形、旋盤切削、もしくは器具を作るための他の既知の方法によって、眼科用器具を形成可能である。重合は、所望の形態に応じて、スピン成形もしくは静的成形のいずれかで行って構わない。眼科用器具は、必要に応じて、さらに機械的表面処理を行ってもよい。また、重合を適切な鋳型または容器内で行い、ボタン状、板状、または棒状に成形してもよく、続いて、それらを処理(例えば、旋盤またはレーザーでの切削)することにより、所望の形態の眼科用器具を得てもよい。
【0043】
ハイドロゲル(ソフト)コンタクトレンズの生成に利用する場合は、本課題のハイドロゲルは、含水量が約20〜約90重量%であることが好ましい。さらには、これらハイドロゲルのモジュラスは約20g/mm〜約150g/mmであり、約30g/mm〜約100g/mmであることがさらに好ましい。本発明の説明として、いくつかの実施例を以下に提供する。これらの実施例は、本発明の特定の態様をさらに詳細に説明するためのものであり、本発明は限定的に解釈されるべきではない。
【実施例】
【0044】
実施例1 官能性界面活性剤の合成
6.00gの「プルロニック」F127を丸底フラスコに入れ、トルエン(100ml)と共沸蒸留し、完全に乾燥させた。次に、丸底フラスコに還流冷却器を取り付け、窒素ガス雰囲気下で反応を行った。無水テトラヒドロフラン(THF)(60ml)をフラスコに加え、5℃まで冷却し、15当量(ヒドロキシ末端に基づく)のトリエチルアミン(TEA)(2.0ml)を加え、反応を行った。1.4mlのメタクリロイルクロリド(15当量)を、滴下ロートを通じて反応混合物に滴下し、反応混合物を室温まで戻し、次に、一晩攪拌した。反応混合物を次に65℃まで、3時間加熱した。沈殿した塩(TEA-HCl)を濾過し、反応混合物と分け、濾液をおよそ355mlの量まで濃縮し、冷ヘプタン中で沈殿させた。さらに2回、再沈殿させ、TEA−HCl塩の量を0.2重量%未満に減らした。最終の重合体のNMR分析では、90%よりも多い割合で、ヒドロキシ末端基がメタクリレート末端基に変化したことを示した。
【0045】

実施例2 界面活性剤エポキシドの合成
10.00mgの「プルロニック」F38(2.13×10−3mol)を丸底フラスコに入れ、トルエンと共沸蒸留し、完全に乾燥させ、次に、100mlのTHFに溶解させた。10当量の固体のNaHをフラスコに加えた(0.51g、2.13×10−2mol)。次に、1.67mlのエピクロルヒドリン(2.13×10−3mol)を反応混合物に加え、よく混合し、その反応混合物を24時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、1さじの硫酸マグネシウムとシリカゲルを加え、水を除去した。5分間、よく混合し、次に、不溶性の物質を濾過により除去した。濾液を最終的な量がおよそ30mlになるまで濃縮し、生成物をヘプタンに入れて沈殿させ、濾過により単離した。NMRによって重合体末端にエポキシド基の存在を確認した。
【0046】

実施例3 官能性界面活性剤の精製
性質の異なる「プルロニック」および「テトロニック」は、その沈殿能および水への溶解性に応じて、異なる方法で精製しなくてはならない。各実施例に用いた精製法を以下の表に示す:
【表1】

【0047】

実施例4〜13 官能性ポロキサマーおよびポロキサミン含有重合体材料の合成
【表2】

【0048】
上記の実施例で用いられる略語を以下に示す。他に指定されていない限り、すべての数値は重量部で表されている:
Tint(着色): 視認性の着色剤
「DAROCUR」1173: UV 開始剤
【化6】

【0049】
ビナール酸(vinal acid): 湿潤剤
【化7】

【0050】
ノナノール: 希釈剤
【化8】

【0051】
V2D25: シリコンマクロモノマー
【化9】

【0052】
M2D25: シリコンマクロモノマー
【化10】

【0053】
NVP: 親水性のゲルを生じる
【化11】

【0054】
TRIS−VC: シリコンモノマー
【化12】

【0055】
IMVT: レンズに用いられる視認性の着色剤
【化13】

【0056】
グリセリン: 希釈剤
【化14】

【0057】
EGDMA: 架橋剤
【化15】

【0058】
HEMA: 親水性のゲルを生じる
【化16】

【0059】
HEMA VC: 架橋剤
【化17】

【0060】
TBE: 引裂き強度を増加させる
【化18】

【0061】
実施例4〜13で述べたとおり、数種類の組成物を調製した。試料の成形は、ポリプロピレンの鋳型の間に流し込むか、または、重合してボタン型に作製して行い、次に、旋盤切削し、試料レンズを提供した。
【0062】

実施例14 処理前および後に滅菌した試料の表面分析
上記の表の実施例4〜13に開示された組成で調製されたコンタクトレンズ表面について、X線光電子分光法(XPS)および二次イオン質量分析法(SIMS)を用いて調査した。オートクレーブ滅菌前および数回の滅菌サイクル後の両方について、レンズの測定を行った。図1A(上部)に示すとおり、滅菌前3%F127および2回の滅菌サイクル後1%F127−DMと表示された試料においてXPSスペクトルのC1sピークが広がっているので(C−Oの寄与の増加)、「プルロニック」F127の存在が実証される。重合されていないF127が用いられる場合は、C1sスペクトルにおけるC−Oの寄与が減少し、元の基質に戻ることもまた、示されている。図1b(下部)では、SIMSスペクトルの59ダルトンのピークが示されており、これによっても、材料中の官能性「プルロニック」の存在を確認することができる。
【0063】
これらの研究のさらなる主要結果を以下に示す:
1) 乾燥状態では、処理前に滅菌したすべてのレンズにおいて、C−Oがスペクトルの炭素1s部分を占めており、「プルロニック」または「テトロニック」がXPSで検出されることを示している。
【0064】
2) 添加剤として、非修飾の「プルロニック」F127を用いた場合は、XPSスペクトルでC−Oの寄与が見られないことから、オートクレーブ滅菌後は、F127が存在していないことを示している。(スペクトルはF127を加えていない、元々のハイドロゲルの組成物に戻っている(図1A参照)。
【0065】
3) 複数回の滅菌サイクル後(オートクレーブ×2)においても、ジメタクリル化された「プルロニック」(F127−DM)は、なお、レンズの表面に存在していた(XPSおよびSIMSによって確認された)。(図1A参照)

実施例15 レンズ組成物における修飾された「プルロニック」および「テトロニック」の種類全てのXPS分析
修飾された「プルロニック」および「テトロニック」を組成物中に含んだハイドロゲルレンズ(上記表の実施例6に示す)を、XPSを用いて分析した。前表面(空気と接触する側)および後表面(眼と接触する側)の両方について、3箇所の分析を行った。光電子スペクトルにおける炭素1s(C1s)領域の結果を図2〜5にまとめた。各界面活性剤のHLB値を、特定のスペクトルの横にカッコつきの数字で示す。
【0066】
C1s領域における一般的傾向の証拠として、C−Oの寄与が促進されたことより「プルロニック」/「テトロニック」の存在を明示するピークの拡大がみられる。HLB比が低い場合に、官能性界面活性剤の表面活性における増加(濃度の増加)がみられる。測定データから、加えられた「プルロニック」または「テトロニック」」のHLB比が低い場合、対応するC/N比の増加と共に、表面における窒素の含有量が非常に低下する(および、時には、隠れてしまう)。総合的に勘案すると、このことから、表面は「プルロニック」/「テトロニック」が非常に豊富であることを明示している(図2〜5参照)。
【0067】

実施例16 光透過性の研究
ハイドロゲルのコンタクトレンズ組成物を用いる場合に、非修飾の「プルロニック」および「テトロニック」が重合の間にレンズに混じると、水和の際にレンズに曇りが生じることがわかった。これは、メタクリル化された対応物が、水和後も、光学上透明を維持したのとは異なる結果であった。非修飾および修飾した「プルロニック」および「テトロニック」の両方のレンズについて、紫外線可視分光光度計を用いて、500nm(スリット幅4nm)における光透過性を測定した結果を図6および7に示す。「プルロニック」および「テトロニック」は0.5%、1.0%、5.0%、および10%(重量%)の割合で混ぜた。図6〜8に示すように、いずれの場合も、メタクリル化されたもの(棒グラフの暗色部分)は光学的な透明を維持する一方、非修飾の重合体では、すぐにレンズに曇りが生じた(棒グラフの明色部分)。
【0068】

実施例17 官能性界面活性剤を加えることによる力学的性質上の効果
得られたレンズのモジュラスまたは引裂き強度における、レンズ組成物に官能性界面活性剤を加えた効果について確認するため、5組のレンズについて分析を行った。これらは、1組の比較対照(control)と4組の1重量%の官能性界面活性剤を加えたレンズである(F127−DM;T904−TM;P123−DM;およびL121−DM)。引裂き強度およびモジュラスについて、各組毎に10回ずつの測定を行った。結果を以下に示す。図9に見られるように、1重量%の官能性界面活性剤を加えたレンズのモジュラスまたは引裂き強度は、統計誤差の範囲内であり、実質的な変化はなかった。
【0069】
上記の実施例は、例示を意図するものであり、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載のとおり、本発明にかかる特定の実施例に限定するものではない。例えば、重合可能な界面活性剤コモノマー混合物に加えることができる他のコモノマーは、当業者にとって明白であろう。同様に、付加的な眼科用器具が発展するにつれて、重合可能な界面活性剤も他の眼科用器具に有用となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1AおよびBは、本発明に従って調製した試料材料のX線光電子分光法(XPS)のスペクトルである。
【図2】本発明に従って調製した試料材料のXPSスペクトルの炭素1s軌道(C1s)の光電子領域を示す。
【図3】本発明に従って調製した試料材料のXPSスペクトルの炭素1s軌道(C1s)の光電子領域を示す。
【図4】本発明に従って調製した試料材料のXPSスペクトルの炭素1s軌道(C1s)の光電子領域を示す。
【図5】本発明に従って調製した試料材料のXPSスペクトルの炭素1s軌道(C1s)の光電子領域を示す。
【図6】非修飾および修飾の両方を含むレンズのUV可視分光光度計における500nm(スリット幅4nm)で測定された光透過性を示す。
【図7】非修飾および修飾の両方を含むレンズのUV可視分光光度計における500nm(スリット幅4nm)で測定された光透過性を示す。
【図8】非修飾および修飾された「プルロニック」および「テトロニック」の両方を含むレンズのUV可視分光光度計における500nm(スリット幅4nm)で測定された光透過性を示す。
【図9】得られたレンズのモジュラスもしくは引裂き強度における、レンズに官能性界面活性剤を加えた効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの官能性末端を有するポロキサマー、少なくとも1つの官能性末端を有する逆ポロキサマー、少なくとも1つの官能性末端を有するポロキサミン、少なくとも1つの官能性末端を有する逆ポロキサミンおよびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種類の重合可能な界面活性剤を含む、重合されたコモノマー混合物、
を有してなる眼科用器具。
【請求項2】
前記眼科用器具がコンタクトレンズであることを特徴とする請求項1記載の眼科用器具。
【請求項3】
前記コンタクトレンズが硬質ガス透過性コンタクトレンズであることを特徴とする請求項2記載の眼科用器具
【請求項4】
前記レンズがソフトコンタクトレンズであることを特徴とする請求項2記載の眼科用器具。
【請求項5】
前記レンズがハイドロゲルコンタクトレンズであることを特徴とする請求項2記載の眼科用器具。
【請求項6】
前記レンズが眼内レンズであることを特徴とする請求項1記載の眼科用器具。
【請求項7】
前記レンズが有水晶体眼内レンズであることを特徴とする請求項6記載の眼科用器具。
【請求項8】
前記レンズが無水晶体眼内レンズであることを特徴とする請求項6記載の眼科用器具。
【請求項9】
前記器具が人工角膜であることを特徴とする請求項1記載の眼科用器具。
【請求項10】
前記コモノマー混合物の一部として、有機ケイ素化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の眼科用器具。
【請求項11】
前記ケイ素化合物が、シロキサニル(メタ)アクリレート、シロキサニル(メタ)アクリルアミド、シロキシニルビニルカーバメート、重合可能なシロキサンオリゴマーおよびマクロモノマー、ならびにそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項10記載の眼科用装置。
【請求項12】
前記モノマー混合物の一部として、架橋剤、内部湿潤剤、親水性モノマーおよび強化剤からなる群より選択される少なくとも1種類の材料をさらに含むことを特徴とする請求項10記載の眼科用器具。
【請求項13】
前記親水性のモノマーが、親水性のアクリル‐、メタクリル‐、イタコン‐、スチレン‐、アクリルアミド‐、メタクリルアミド‐、またはビニル基含有モノマー、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項12記載の眼科用器具。
【請求項14】
前記親水性のモノマーが、以下の化学式で表されるアクリル基を含有するモノマーからなる群より選択されることを特徴とする請求項13記載の眼科用器具:
【化1】

ここで、Xは水素またはメチルであり、
Yは、--O--、--OQ--、--NH--、--NQ--および--NH(Q)--であり、
Qはアルキルまたは置換されたアルキル基、およびそれらの混合物である。
【請求項15】
前記ビニル基含有親水性モノマーが、N−ビニルラクタム、N-ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N-ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミドおよびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項13記載の眼科用器具。
【請求項16】
前記親水性モノマーが、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項13記載の眼科用器具。
【請求項17】
前記コモノマー混合物の一部として、エチレン性不飽和ポリオキシアルキレン、エチレン性不飽和ポリアクリルアミド、エチレン性不飽和ポリビニルピロリドン、エチレン性不飽和ポリビニルアルコール、エチレン性不飽和ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、エチレン性不飽和N-アルキル−N−ビニルアセトアミドおよびそれらの混合物からなる群より選択されるエチレン性の不飽和親水性モノマーをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の眼科用器具。
【請求項18】
前記エチレン性の不飽和が、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチレニル、アルケニル、ビニルカーボネート、ビニルカーバメート基およびそれらの混合物から選択される基によって提供されることを特徴とする請求項17記載の眼科用器具。
【請求項19】
疎水性のモノマーをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の眼科用器具。
【請求項20】
前記疎水性のモノマーが、アルキル(メタ)アクリレート、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキルビニルカーボネート、アルキルビニルカーバメート、フルオロアルキル(メタ)アクリレート、N−フルオロアルキル(メタ)アクリルアミド、N−フルオロアルキルビニルカーボネート、N−フルオロアルキルビニルカーバネート;シリコーン含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルカーボネート、ビニルカーバメート;スチレン、α‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p-t‐ブチルモノクロロスチレン、およびp‐t‐ブチルジクロロスチレンなどのスチレンモノマー;およびポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、メチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ペルフルオロオクチルメタクリレート、メタクリオイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項19記載の眼科用器具。
【請求項21】
過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、過酸化ステアロイル、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシピバレート、パーオキシジカーボネートおよびそれらの混合物などの有機過酸化物からなる群より選択されるフリーラジカル熱重合開始剤をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の眼科用器具。
【請求項22】
UV開始剤をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の眼科用器具。
【請求項23】
少なくとも1つの官能性末端を有するポロキサマー、少なくとも1つの官能性末端を有する逆ポロキサマー、少なくとも1つの官能性末端を有するポロキサミン、少なくとも1つの官能性末端を有する逆ポロキサミンおよびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種類以上の重合可能な界面活性剤を含むコモノマー混合物を有してなる重合可能な混合物を提供し、
該重合可能な混合物を重合条件下に供し、
該重合可能な混合物を所望の形態の眼科用器具に成形する、
各工程を有してなる眼科用器具の成形方法。
【請求項24】
前記成形工程が、前記重合可能な混合物を重合条件下に供した後に行われることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記形成工程が、切削、旋盤、研磨およびそれらの組合せからなることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記重合可能な混合物を重合条件下に供するより前に、
少なくとも1つの官能性末端を有するポロキサマー、少なくとも1つの官能性末端を有する逆ポロキサマー、少なくとも1つの官能性末端を有するポロキサミン、少なくとも1つの官能性末端を有する逆ポロキサミンおよびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種類の重合可能な界面活性剤を含むコモノマー混合物を含む、
重合可能な混合物を鋳型に打込みする工程をさらに含むことを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項27】
前記重合工程がスピン成形および静的成形からなる群より選択される鋳型で行われることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記重合工程が適切な鋳型もしくは容器内で行われ、ボタン状、板状もしくは棒状に成形することを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項29】
前記重合した混合物を水和する工程をさらに含むことを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項30】
前記成形された眼科用器具が、硬質ガス透過性コンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ、眼内レンズ、有水晶体眼内レンズ、無水晶体眼内レンズおよび人工角膜からなる群より選択されることを特徴とする請求項23記載の方法。

【公表番号】特表2008−525847(P2008−525847A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548214(P2007−548214)
【出願日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/039731
【国際公開番号】WO2006/068705
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(391008847)ボシュ・アンド・ロム・インコーポレイテッド (137)
【氏名又は名称原語表記】BAUSCH & LOMB INCORPORATED
【Fターム(参考)】