説明

重合性化合物含有液晶組成物及びそれを使用した液晶表示素子

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、高速応答性を有し、広い温度範囲において析出することなく、重合速度が速く、重合後の液晶配向規制力が高く、焼き付き等の表示特性に不具合を生じない重合性化合物含有液晶組成物を提供することにある。更には、この重合性化合物含有液晶組成物を用いることで表示ムラ等のない表示品位に優れた液晶表示素子を提供することにある。
【解決手段】 第一成分として、一般式(I)
【化1】


で表される重合性化合物を一種又は二種以上含有し、第二成分として、アルケニル基を有する非重合性液晶化合物を一種又は二種以上含有することを特徴とする重合性化合物含有液晶組成物を提供し、更に、当該液晶組成物を用いた液晶表示素子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合性化合物含有液晶組成物及びそれを使用した液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
PSA(Polymer Sustained Alignment)型液晶表示装置は、液晶分子のプレチルト角を制御するためにセル内にポリマー構造物を形成した構造を有するものであり、高速応答性や高いコントラストから液晶表示素子として開発が進められている。
【0003】
PSA型液晶表示素子の製造は、液晶性化合物及び重合性化合物からなる重合性組成物を基板間に注入し、電圧を印加し液晶分子を配向させた状態で重合性化合物を重合させて液晶分子の配向を固定することにより行われる。このPSA型液晶表示素子の表示不良である焼き付きの原因としては、不純物によるもの及び液晶分子の配向の変化(プレチルト角の変化)が知られている。
【0004】
不純物による焼き付きは、重合が不完全で残存した重合性化合物及び重合の進行を促進するために添加する重合開始剤により起こる。このため重合終了後の重合性化合物の残存量は最小限に抑え、添加する重合開始剤の量を抑える必要がある。例えば、重合を完全に進行させるために多量の重合開始剤を添加すると、残留した重合開始剤により表示素子の電圧保持率が低下し表示品位に悪影響を及ぼしてしまう。また電圧保持率の低下を抑えるために重合する際に使用する重合開始剤の量を減らしてしまうと、重合が完全に進行しないため重合性化合物が残存し、残存した重合性化合物による焼き付きの発生が避けらない。また、少ない重合開始剤の添加量で重合性化合物を完全に硬化させ、重合性化合物の残留を抑えるためには、重合において強い紫外線を長時間照射する等により、多量のエネルギーを加える方法もある。しかしこの場合、製造装置の大型化、製造効率の低下を招くこととなるとともに、液晶材料の紫外線による劣化等が生じてしまう。従って、従来の重合性化合物を含有する液晶組成物においては、未硬化の重合性化合物及び重合開始剤の両方の残存量を同時に低減することは困難であった。このため重合開始剤を用いることなく重合が完結するような重合性化合物を含有する液晶組成物が求められていた。
【0005】
一方、焼き付きの発生には、重合性化合物を含有する液晶組成物における、液晶分子のプレチルト角の変化に起因するものも知られている。すなわち、重合性化合物の硬化物であるポリマーが柔軟であると、表示素子を構成した場合において同一のパターンを長時間表示し続けたときにポリマーの構造が変化し、その結果としてプレチルト角が変化してしまう。プレチルト角の変化は焼き付きの原因となるため、ポリマー構造が変化しない剛直な構造を持つポリマーを形成する重合性化合物が必要となる。
【0006】
従来、ポリマーの剛直性を向上させることにより焼き付きを防止するために、環構造と重合性官能基のみを持つ1,4−フェニレン基等の構造を有する重合性化合物を用いて表示素子を構成すること(特許文献1参照)や、ビアリール構造を有する重合性化合物を用いて表示素子を構成すること(特許文献2参照)が検討されてきた。しかし、これらの重合性化合物は液晶化合物に対する相溶性が低いため、液晶組成物を調製した際に、該重合性化合物の析出が発生する問題があった。
【0007】
又、ポリマーの剛直性を向上させることにより焼き付きを防止するため、2官能性の重合性化合物と、ジペンタエリスリトールペンタアクリレイト、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレイト等の3官能以上の重合性化合物の混合液晶組成物を用いて表示素子を構成すること(特許文献3参照)が提案されている。しかし、ジペンタエリスリトールペンタアクリレイト及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレイトは、分子内に環構造を持たないため、液晶化合物との親和力が弱く、配向を規制する力が弱いことから、十分な配向安定性が得られない問題があった。また、これらの重合性化合物は重合において重合開始剤の添加が必須であり、重合開始剤を添加しないと重合後に重合性化合物が残存してしまう。
【0008】
また、PSA型液晶表示素子は液晶テレビ等へ使用されるため、動画表示性能をより改善するため高速応答化への要求が強い。応答速度の改良方法として、アルケニル基を有した非重合性液晶化合物を含有した重合性化合物含有液晶組成物(特許文献4及び特許文献5)が種々開示されているが、非重合性液晶化合物にのみ着目した検討が行われているに過ぎず、非重合性液晶化合物と重合性化合物の組み合わせについての検討はなされていなかった。このため、該重合性化合物の析出が発生する等の問題が生じていた。
【0009】
以上より、重合性化合物含有液晶組成物において求められる、高速応答特性、表示素子の焼き付き特性、配向安定性、析出が発生しない組成物としての安定性及びPSA型液晶表示素子作製の際の製造効率等の特性を充足することは困難であり、更なる改善の必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−307720号公報
【特許文献2】特開2008−116931号公報
【特許文献3】特開2004−302096号公報
【特許文献4】特開2009−102639号公報
【特許文献5】WO2010/084823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、高速応答性を有し、広い温度範囲において析出することなく、重合速度が速く、重合後の液晶配向規制力が高く、焼き付き等の表示特性に不具合を生じない重合性化合物含有液晶組成物を提供することにある。更には、この重合性化合物含有液晶組成物を用いることで表示ムラ等のない表示品位に優れた液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者らは種々の重合性化合物及び種々の非重合性の液晶化合物の検討を行った結果、特定の構造を有する重合性化合物及び非重合性の液晶化合物を含有する重合性化合物含有液晶組成物が前述の課題を解決できることを見出し、本願発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、第一成分として、一般式(I)
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、S11及びS12はお互い独立して、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は単結合を表し、該アルキレン基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−又は−OCOO−に置き換えられても良く、
11及びL12はお互い独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
mは0又は1を表し、
11からX22はお互い独立して炭素原子数1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、フッ素原子、塩素原子又は水素原子を表す。)で表される重合性化合物からなる群から選ばれる化合物を一種又は二種以上含有し、
第二成分として、アルケニル基を有する非重合性液晶化合物を一種又は二種以上含有することを特徴とする重合性化合物含有液晶組成物を提供し、更に、当該液晶組成物を用いた液晶表示素子を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本願発明の必須成分である重合性化合物及び非重合性液晶化合物は相溶性が優れるため、低い温度でもネマチック状態を維持するような安定した重合性化合物含有液晶組成物を得ることができる。また、非重合性液晶化合物は、高速応答性を示すことに加え、重合性化合物の重合速度が速いため、重合に使用するエネルギー量を抑えることができ非重合性液晶化合物への悪影響が大幅に軽減される。これにより液晶組成物中の重合性化合物を重合することで配向付与する液晶表示素子の表示不具合が大幅に軽減され、また、製造時の歩留まりを向上できるため、該液晶表示素子用の液晶組成物として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<重合性化合物>
本願発明で用いられる重合性化合物である一般式(I)において、S11及びS12はお互い独立して、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は単結合を表し、該アルキレン基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−又は−OCOO−に置き換えられても良いが、−CH−が酸素原子同士が直接結合しないものとして酸素原子、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−に置き換えられても良い炭素原子数1〜6のアルキレン基又は単結合が好ましく、炭素原子数1〜4のアルキレン基又は単結合がより好ましい。
11及びL12はお互い独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表すが、単結合が好ましい。
mは0又は1を表し、X11からX22はお互い独立して炭素原子数1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、フッ素原子、塩素原子又は水素原子を表すが、メチル基、トリフルオロメチル基、フッ素原子又は水素原子が好ましく、X11からX22の何れか一つがメチル基又はフッ素原子であることがより好ましく、X11からX22の何れか一つがメチル基又はフッ素原子であり、他は全て水素原子であることがより好ましい。
【0018】
一般式(I)で表される重合性化合物における骨格部分(メソゲン部分、L11及びL12で挟まれた部分)の好ましい例は、一般式(I−1)から一般式(I−24)である。
【0019】
【化2】

【0020】
【化3】

【0021】
これらの一般式(I−1)から一般式(I−10)で表される骨格を含む重合性化合物は非重合性液晶化合物との相溶性が良好であり、低い温度でもネマチック状態を維持するような安定な液晶組成物を得ることができるため、好ましい。また、一般式(I−11)から一般式(I−24)で表される骨格を含む重合性化合物はより重合速度が速く、重合後の配向規制力が適度であり、液晶の良好な配向状態が得られるため好ましい。
【0022】
本願発明の重合性化合物含有液晶組成物では、一般式(I)で表される重合性化合物を少なくとも1種を含有するが、1種から5種含有することが好ましく、1種から3種含有することがより好ましい。
【0023】
一般式(I)で表される重合性化合物の含有率が少ない場合、液晶組成物に対する配向規制力が弱くなる。逆に、一般式(I)で表される重合性化合物の含有率が多すぎる場合、重合時の必要エネルギーが上昇し、重合せず残存してしまう重合性化合物の量が増加し、表示不良の原因となるため、重合性化合物含有液晶組成物中の重合性化合物の含有量の下限値は0.01質量%であることが好ましく、0.03質量%であることがより好ましく、0.05質量%であることがより好ましく、上限値は2.0質量%であることが好ましく、1.0質量%であることがより好ましく、0.5質量%であることが特に好ましい。
<液晶化合物>
第二成分として用いるアルケニル基を有する非重合性液晶化合物としては、一般式(II)で表される化合物が好ましい。
【0024】
【化4】

【0025】
(式中、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表し、少なくとも一方が炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表し、R21及びR22の基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置換されても良く、またR21及びR22の基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
21及びZ22はお互い独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−CH=CH−又は−C≡C−を表し、
21、B21及びC21はお互い独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,4−シクロヘキシレン基を表し、A21、B21及びC21はお互い独立して、無置換であるか又はこれらの基中に含まれる水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又はニトロ基に置換されていても良く、mは0又は1を表す。)
式中、R21及びR22はお互い独立して、炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基、炭素原子数2から7のアルケニル基又は炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基が好ましく、直鎖状であることが好ましい。またR21及びR22の少なくとも一方がアルケニル基又はアルケニルオキシ基が好ましい。
【0026】
21及びZ22はお互い独立して単結合、−CHCH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−CH=CH−又は−C≡C−が好ましく、単結合、−CHCH−、−OCH−又は−CHO−が好ましい。
21、B21及びC21はお互い独立して、1,4−フェニレン基、1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基が好ましい。また、A21、B21及びC21はお互い独立して、無置換であるか又はこれらの基中に含まれる水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基で置換されていることが好ましく、無置換であるか又はこれらの基中に含まれる水素原子がお互い独立して無置換であるか又はこれらの基中に含まれる水素原子がフッ素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜3のハロゲン化アルコキシ基又は炭素原子数1〜3のアルコキシ基で置換されていることが好ましい。
mは0又は1を表す。
【0027】
更に詳述すると、使用される一般式(II)は、一般式(II−1)から一般式(II−4)
【0028】
【化5】

【0029】
(式中、R21及びR22は上述のR21及びR22と同じ意味を表す。)で表される化合物及び、一般式(II−5)から一般式(II−10)
【0030】
【化6】

【0031】
(式中、R21及びR22は上述のR21及びR22と同じ意味を表す。)で表される化合物が好ましい。
【0032】
本願発明の重合性化合物含有液晶組成物では、一般式(II)で表される化合物を1種又は2種以上含有するが、1種から6種含有することが好ましく、1種から5種含有することがより好ましい。また、一般式(II)で表される化合物の含有率は、下限値としては5質量%が好ましく、8質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、上限値としては40質量%が好ましく、35質量%が好ましく、25質量%がより好ましい。
【0033】
本願発明の重合性化合物含有液晶組成物には、追加的にアルケニル基を有さない非重合性液晶化合物を含有することができる。
【0034】
具体的には、例えば、一般式(III−1)〜一般式(III−40)
【0035】
【化7】

【0036】
【化8】

【0037】
【化9】

【0038】
【化10】

【0039】
【化11】

【0040】
【化12】

【0041】
(式中、R31及びR32はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数1から10のアルコキシ基を表し、これらの基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置換されても良く、またR31及びR32の基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良い。)で表される化合物が挙げられる。
<液晶組成物及び液晶表示素子>
本願発明の液晶組成物において、ネマチック相-等方性液体相転移温度(Tni)は60から120℃であることが好ましく、下限値としては65℃がより好ましく、70℃が特に好ましい。上限値としては100℃がより好ましく、90℃が特に好ましい。
【0042】
25℃における誘電率異方性(Δε)が−2.0から−6.0であることが好ましく、−2.5から−5.0であることがより好ましく、−2.5から−3.5であることが特に好ましい。
【0043】
25℃における屈折率異方性(Δn)は、0.08から0.13であることが好ましいが、0.09から0.12であることがより好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.12であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.10であることが好ましい。
【0044】
20℃における粘度(η)は10から30mPa・sであることが好ましいが、10から25mPa・sであることがより好ましく、10から20mPa・sであることが特に好ましい。
【0045】
本願発明の液晶組成物は、上記の化合物以外に、通常のネマチック液晶材料、スメクチック液晶材料、コレステリック液晶材料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合開始剤又は重合禁止剤などを含有していてもよい。
【0046】
本願発明の重合性化合物含有液晶組成物は、重合開始剤が存在しない場合でも重合は進行するが、重合を促進するために重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。
【0047】
本願発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して0.005〜1質量%の範囲が好ましく、0.02〜0.5質量%が更に好ましく、0.03〜0.1質量%が特に好ましい。
【0048】
本願発明の液晶組成物は、液晶組成物中の重合性化合物が重合することにより液晶配向能が付与され、液晶組成物の複屈折を利用して光の透過光量を制御する液晶表示素子に使用される。液晶表示素子として、AM−LCD(アクティブマトリックス液晶表示素子)、TN(ネマチック液晶表示素子)、STN−LCD(超ねじれネマチック液晶表示素子)、OCB−LCD及びIPS−LCD(インプレーンスイッチング液晶表示素子)に有用であるが、AM−LCDに特に有用であり、透過型あるいは反射型の液晶表示素子に用いることができる。
【0049】
液晶表示素子に使用される液晶セルの2枚の基板はガラス又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
【0050】
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
【0051】
前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
【0052】
2枚の基板間に重合性化合物含有液晶組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又はODF法などを用いることができる。
【0053】
重合性化合物を重合させる方法としては、液晶の良好な配向性能を得るために適度な重合速度が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、重合性化合物含有液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。特に紫外線露光する際には、重合性化合物含有液晶組成物に交流電界を印加しながら紫外線露光することが好ましい。印加する交流電界は、周波数10Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数60Hzから10kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度から89.9度に制御することが好ましい。
【0054】
照射時の温度は、本願発明の液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。室温に近い温度、即ち、典型的には15〜35℃での温度で重合させることが好ましい。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm〜100W/cmが好ましく、2mW/cm〜80W/cmがより好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cmから500J/cmが好ましく、100mJ/cmから200J/cmがより好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させても良い。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒から3600秒が好ましく、10秒から600秒がより好ましい。
【実施例】
【0055】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
【0056】
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
【0057】
ni :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Δn :25℃における屈折率異方性
Δε :25℃における誘電率異方性
η :20℃における粘度(mPa・s)
(応答速度の測定方法)
重合性化合物含有液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子に5V印加し、その電圧をオフにした時の立ち下がりの時間(ミリ秒)を応答速度とした。
(UV硬化後のモノマー残存量の測定方法)
液晶セルに液晶組成物を注入後、UVを照射し重合性化合物を重合させる。その後、液晶セルを分解し、液晶材料、重合物、未重合の重合性化合物を含む溶出成分のアセトニトリル溶液を得る。これを高速液体クロマトグラフィー(カラム:逆相非極性カラム、展開溶媒:アセトニトリル又はアセトニトリル/水、検出器:UV検出器)により、各成分のピーク面積を測定する。指標とする液晶材料のピーク面積と未重合の重合性化合物のピーク面積比から、残存する重合性化合物の量を決定した。この値と当初添加した重合性化合物の量からモノマー残存量を決定した。なお、重合性化合物の残存量の検出限界は500ppmであった。
(焼き付き評価方法)
重合後の液晶表示素子を白黒のチェッカーパターンになるように電圧印加し、経過時間ごとに中間調の表示をした時の輝度変化状態を目視観察した。
(実施例1)
一般式(II)から選ばれる化合物及び一般式(III)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−1
【0058】
【化13】

【0059】
を調製し、99.7%のLC−1に式(I−1−1)で表される重合性化合物
【0060】
【化14】

【0061】
を0.3%添加して、重合性化合物含有液晶組成物CLC−1を調整した。以下に、調製した重合性化合物含有液晶組成物CLC−1とその物性値を示す。
【0062】
この重合性化合物含有液晶組成物CLC−1は、Tni:74.1℃、Δn:0.101、Δε:−3.0である。
【0063】
CLC−1をセルギャップ3.5μmでホメオトロピック配向を誘起するポリイミド配向膜を塗布したITO付きセルに真空注入法で注入した。このセルのプレチルト角(クリスタルローテーション法)を測定した後、周波数1kHzで1.8Vの矩形波を印加しながら、320nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して高圧水銀灯により液晶セルに紫外線を照射した。セル表面の照射強度が15mW/cmとなるように調整して600秒間照射し、重合性化合物含有液晶組成物中の重合性化合物を重合させた垂直配向性液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の応答速度は、5.3ミリ秒であった。
【0064】
液体クロマトグラフ分析により、素子中に式(I−1−1)で示される未重合の重合性化合物の含有量を分析したが検出されなかった。これにより、式(I−1−1)で示される重合性化合物は、重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(比較例1)
99.7%の液晶組成物LC−1に式(A)で表される重合性化合物
【0065】
【化15】

【0066】
を0.3%添加して、重合性化合物含有液晶組成物CLC−Aを調整した。この化合物は実施例1で使用している重合性化合物の重合基がともにアクリレート基となった化合物である。
【0067】
以下に、調製した重合性化合物含有液晶組成物CLC−Aとその物性値を示す。
【0068】
比較例1に示す重合性化合物含有液晶組成物CLC−Aは、Tni:74.2℃、Δn:0.101、Δε:−3.0であった。CLC−Aを用いる以外は実施例1と同様にして垂直配向性液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の応答速度は、実施例1と同じ5.3ミリ秒であった。
【0069】
液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する未重合の式(A)で示される重合性化合物の含有量を分析した結果、1500ppm検出された。これにより、式(A)で示される重合性化合物は、完全には重合していないことを確認した。
(比較例2)
液晶組成物LC−B
【0070】
【化16】

【0071】
を調製し、99.7%のLC−Bに式(I−1−1)で表される重合性化合物を0.3%添加して、重合性化合物含有液晶組成物CLC−Bを調整した。以下に、調製した重合性化合物含有液晶組成物CLC−Bとその物性値を示す。
【0072】
比較例2に示す重合性化合物含有液晶組成物CLC−Bは、Tni:74.6℃、Δn:0.101、Δε:−3.1であった。CLC−Bを用いる以外は実施例1と同様にして垂直配向性液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の応答速度は、6.4ミリ秒であり、実施例1の素子と比べ、約20%程度遅いものであった。
【0073】
液体クロマトグラフ分析により、素子中に含有する未重合の式(I−1−1)で示される重合性化合物の含有量を分析した結果、重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した
実施例1比較例1および比較例2を低温保存試験したところ、−30℃及び−20℃で実施例1はネマチック状態を2週間維持したのに対し、比較例1およびは比較例2は1週間しかネマチック状態を維持せず、2週目には析出が確認された。このことから、実施例1は広い温度範囲でネマチック状態を維持する非常に有用な重合性化合物含有液晶組成物であることが確認された。

【0074】
(実施例2)
一般式(II)から選ばれる化合物及び一般式(III)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−2
【0075】
【化17】

【0076】
を調製し、99.7%のLC−2に式(I−6−1)で表される重合性化合物
【0077】
【化18】

【0078】
を0.3%添加して、重合性化合物含有液晶組成物CLC−2を調整した。
【0079】
重合性化合物含有液晶組成物CLC−2の物性値は、Tni:77.0℃、Δn:0.103、Δε:−3.2であった。
【0080】
CLC−2を用いる以外は実施例1と同様にして垂直配向性液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の応答速度は、4.7ミリ秒であった。
【0081】
液体クロマトグラフ分析により、素子中に式(I−6−1)で示される未重合の重合性化合物の含有量を分析したが検出されなかった。これにより、式(I−6−1)で示される重合性化合物は、重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例3)
一般式(II)から選ばれる化合物及び一般式(III)から選ばれる化合物を含有した液晶組成物LC−3
【0082】
【化19】

【0083】
を調整し、99.7%のLC−3に式(I−13−1)で表される重合性化合物

【0084】
を0.3%添加して、重合性化合物含有液晶組成物CLC−3を調整した。
【0085】
重合性化合物含有液晶組成物CLC−3の物性値は、Tni:76.4℃、Δn:0.090、Δε:−2.9であった。
【0086】
CLC−3を用いる以外は実施例1と同様にして垂直配向性液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の応答速度は、5.0ミリ秒であった。
【0087】
液体クロマトグラフ分析により、素子中に式(I−13−1)で示される未重合の重合性化合物の含有量を分析したが検出されなかった。これにより、式(I−13−1)で示される重合性化合物は、重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例4)
99.7%の液晶組成物LC−1に式(I−4−1)で表される重合性化合物
【0088】
【化20】

【0089】
を0.3%添加して重合性化合物含有液晶組成物CLC−4を調製した。
【0090】
CLC−4を用いる以外は実施例1と同様にして垂直配向性液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の応答速度は、5.1ミリ秒であった。
【0091】
液体クロマトグラフ分析により、素子中に式(I−4−1)で示される未重合の重合性化合物の含有量を分析したが検出されなかった。これにより、式(I−4−1)で示される重合性化合物は、重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例5)
99.7%の液晶組成物LC−1に式(I−13−1)で表される重合性化合物
【0092】
【化21】

【0093】
を0.3%添加して重合性化合物含有液晶組成物CLC−5を調製した。
【0094】
CLC−5を用いる以外は実施例1と同様にして垂直配向性液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の応答速度は、5.2ミリ秒であった。
【0095】
液体クロマトグラフ分析により、素子中に式(I−13−1)で示される未重合の重合性化合物の含有量を分析したが検出されなかった。これにより、式(I−13−1)で示される重合性化合物は、重合後に残存する未重合物が検出限界以下であることを確認した。
(実施例6及び比較例3)
実施例1〜5及び比較例1〜2で作成した重合後の液晶表示素子を電圧印加し、経過時間と焼き付きの様子を目視確認した。(○は変化が見られないことを表す。×は焼きつきが見られ、×の数が多いほど程度が悪いことを表す。)
【0096】
【表1】

【0097】
比較例1で作製した液晶表示素子は表示後48時間で焼き付きが発生し、168時間後には、ほぼ全面に渡り表示不良が見られた。これに対し実施例1〜5で作製した液晶表示素子では、500時間経過後でも、良好な表示状態を維持した。比較例2では作製した液晶表示素子は応答速度が遅く、重合性組成物の低温安定性が大幅に劣るが、焼き付きは発生しなかった。
【0098】
これにより、本願発明化合物に使用される非重合性液晶化合物は、紫外線や熱に対する安定性が高く、重合性材料がすべて重合し消費された液晶表示素子の高い信頼性が確認でき、また配向規制力の低下も起こらずポリマーが十分大きな剛直性を有していることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一成分として、一般式(I)
【化1】

(式中、S11及びS12はお互い独立して、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は単結合を表し、該アルキレン基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−又は−OCOO−に置き換えられても良く、
11及びL12はお互い独立して、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
mは0又は1を表し、
11からX22はお互い独立して炭素原子数1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、フッ素原子、塩素原子又は水素原子を表す。)で表される重合性化合物からなる群から選ばれる化合物を一種又は二種以上含有し、
第二成分として、アルケニル基を有する非重合性液晶化合物を一種又は二種以上含有することを特徴とする重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項2】
第二成分として一般式(II)
【化2】

(式中、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表し、少なくとも一方が炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表し、R21及びR22の基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置換されても良く、またR21及びR22の基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、
21及びZ22はお互い独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−CH=CH−又は−C≡C−を表し、
21、B21及びC21はお互い独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,4−シクロヘキシレン基を表し、A21、B21及びC21はお互い独立して、無置換であるか又はこれらの基中に含まれる水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜8のハロゲン化アルコキシ基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又はニトロ基に置換されていても良く、mは0又は1を表す。)で表される化合物を一種又は二種以上含有する請求項1に記載の重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項3】
一般式(I)において、X11からX22の少なくとも一つがフッ素原子又はメチル基を表す請求項1又は2のいずれか一項に記載の重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項4】
第二成分として、一般式(II−1)から一般式(II−4)
【化3】

(式中、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基、炭素原子数2から10のアルケニル基、炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子を表し、少なくとも一方が炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表し、R21及びR22の基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置換されても良く、またR21及びR22の基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良い。)で表される化合物から選ばれる化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項5】
第二成分として、一般式(II−5)から一般式(II−10)
【化4】

(式中、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシ基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表し、少なくとも一方が炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表し、R21及びR22の基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置換されても良く、またR21及びR22の基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良い。)で表される化合物から選ばれる化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項6】
第三成分として、一般式(III−1)から一般式(III−4)
【化5】

(式中、R31及びR32はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数1から10のアルコキシ基を表し、R31及びR32の基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置換されても良く、またR31及びR32の基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良い。)で表される重合性化合物からなる群から選ばれる化合物を一種又は二種以上含有し、
第四成分として、一般式(III−5)から一般式(III−8)
【化6】

(式中、R31及びR32はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数1から10のアルコキシ基を表し、これらの基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置換されても良く、またこれらの基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良い。)で表される化合物から選ばれる化合物を一種又は二種以上含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項7】
一般式(I)で表される化合物の含有量が0.01質量%から2.0質量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項8】
一般式(II−1)から一般式(II−4)で表される化合物の含有量が5質量%から40質量%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項9】
25℃における誘電率異方性Δεが−2.0から−6.0の範囲であり、25℃における屈折率異方性Δnが0.08から0.13の範囲であり、ネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)が60℃から120℃の範囲である請求項1〜8のいずれか一項に記載の重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項10】
一対の基板に液晶を狭持した構造を有し、該基板は少なくとも透明電極及び偏光板を備え、液晶組成物中に含有した重合性化合物を重合することにより液晶配向能を付与した液晶表示素子に使用する請求項1〜9のいずれか一項に記載の重合性化合物含有液晶組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の重合性化合物含有液晶組成物を使用し、重合性化合物含有液晶組成物中の重合性化合物を重合することにより液晶配向能を付与したことを特徴とする液晶表示素子。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の重合性化合物含有液晶組成物を使用したアクティブマトリックス駆動用液晶表示素子。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の重合性化合物含有液晶組成物を使用したVAモード、PSVAモード、IPSモード又はECBモード用液晶表示素子。

【公開番号】特開2012−241124(P2012−241124A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113457(P2011−113457)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】