説明

重合抑制方法

【課題】水溶性で、かつ、経時変化又は熱による着色を起こすことがなく、また安全性に優れた重合抑制方法、および、潤滑油の酸化防止方法を提供する。
【解決手段】下記式:


で表されるサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体を、単量体又はその部分重合体に対し5〜1000ppm添加することにより達成。酸化防止には上記サリチル酸ヒドラジド又はその誘導体を、潤滑油に対して質量換算で0.01〜3%添加することにより達成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性、低着色性でかつ安全性に優れたサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体の用途に関する。更に詳しくは、水溶性、低着色性でかつ安全性に優れたサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体の各種単量体などの重合抑制に使用する方法、及び各種潤滑油の酸化防止に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水溶性の重合抑制剤、酸化防止剤として、フェノール系化合物、アミン系化合物が広く用いられる。例えば、ハイドロキノン、メトキノン等が汎用されている。また、水溶性の重合抑制剤として、クエン酸、アスコルビン酸等の天然物由来のものや、亜硝酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム等の無機塩も使用されている。
【0003】
特許文献1には、例えば、水に可溶性のラジカル捕捉剤である、亜硫酸塩等の無機塩類や、アスコルビン酸、クエン酸等の金属塩類等を(メタ)アクリル酸エステルに水溶性重合抑制剤として添加することが提案されている。また、特許文献2には、メタクリル酸グリシジルに添加する水溶性の重合抑制剤としてアスコルビン酸、ヨウ化ナトリウム等の使用が提案されている。一方、特許文献3には、油脂又は油脂含有食品の酸化防止剤として、アスコルビン酸又はその塩、クエン酸又はその塩の使用が開示されている。しかし、いずれの文献においても、低着色性ということに関しては全く注目していない。
【0004】
ところで、天然物由来の重合抑制剤や無機塩類は、重合抑制効果が必ずしも十分とは言えず、所望とする効果が発揮できないことが多い。また、フェノール系化合物、アミン系化合物を重合抑制剤として用いる場合、これら添加剤はその効果を発現する際に発色現象を伴う場合が多く、この発色が添加した基材の着色をしばしば引き起こすなどの問題があった。例えば、高度の透明性が要求される車両用透明部材や透明シート用部材等では、着色は絶対に回避しなければならないものであり、また、光学機器部材であるレンズ、プリズム、光ディスク、シートにおいては色相安定性を有することが要求される。同様に半導体用部材、電子材料、粘着剤、接着材、紙おむつや吸収パッドなどに使用される高吸水性樹脂、防水や錆防止スプレー材、インク、水性ペイント等の塗料、繊維、又は塗料、樹脂、繊維の改質剤などにおいても、低着色性重合抑制剤の出現に対する要望は高い。現在は、重合抑制剤に加え、着色防止剤を別途添加することで、着色を防止しているのが現状である。
【0005】
水溶性で低着色性の重合抑制剤としてN−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩(クペロン)が挙げられる。しかしながら、自己反応性、爆発性があり低温での保存を必要とする。また、発ガン性を疑われているため使用には制限がある。従って、水溶性で低着色性かつ安全性に優れた重合抑制剤が待望されている。特に、有機溶媒の使用が好まれない又は制限されている各種塗料、特に家庭用塗料には、現在水をベースとしたものが広く使用されているが、有効な重合抑制剤がないのが現状である。
【0006】
【特許文献1】特開2007−70624号公報
【特許文献2】特開2006−151975号公報
【特許文献3】特開2007−185138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、経時的にも着色現象を実質的に起こすことが無く、水溶性で、かつ安全性に優れた重合抑制剤、及び同重合抑制剤を使用した重合抑制方法を提供することである。さらに、上記サリチル酸ヒドラジド又はその誘導体は、潤滑油の酸化防止の用途にも好適に使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、潤滑油の安定剤として使用されることもある特定のサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体が、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0009】
すなわち本発明は、下記式:
【化1】

(式(1)中、Zは−NHR又は−N=CRで表され、そして、R、R、Rの何れも、水素又は炭素数1〜6の分岐していても良い飽和アルキル基を示す。)であるサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体を、各種モノマー、オリゴマー等の部分重合体の重合抑制のために用いることに関する。本発明に係るサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体は、水溶性であり、かつ基材の着色を抑制でき、加えて、安全性の面でも問題の少ない物質である。なお、Rで表される炭素数1〜6の分岐していても良い飽和アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、セカンダリーペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、セカンダリーヘキシル基が挙げられる。また、R2、R3は、何れか一方がメチル基のとき、他方の炭素数1〜4の分岐していても良い飽和アルキル基としては、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基が挙げられる。
【0010】
中でも、前記式(1)で表されるサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体において、式中のRは、水素又は炭素数1〜6の分岐していても良い飽和アルキル基、R2、R3は何れか一方がメチル基で、他方が炭素数1〜4の分岐していても良い飽和アルキル基であるサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体が望ましい。
【0011】
さらに、サリチル酸ヒドラジド又はその誘導体のうち、サリチル酸ヒドラジド(以下化合物1という)、N−(1−メチルエチリデン)サリチル酸ヒドラジド(化合物2という)、N’−(1−イソブチルエチリデン)サリチル酸ヒドラジド(化合物3という)、N’−(1−メチルエチル)サリチル酸ヒドラジド(化合物4という)、N’−(1−イソブチルエチル)サリチル酸ヒドラジド(化合物5という)が好適に使用される。勿論、これらは単独でも、或いは、混合して使用しても良い。
【0012】
サリチル酸ヒドラジド又はその誘導体を添加する単量体又はその部分重合体は(メタ)アクリル酸、そのエステル、又は、その塩であり、前記単量体又はその部分重合体に対して5〜1000ppm、好ましくは10〜500ppm添加することで低着色の重合抑制効果を得ることができる。
【0013】
さらに、下記式:
【化2】

(式中、Zは−NHR1又は−N=CRで表され、そして、R、R、Rの何れも、水素又は炭素数1〜6の分岐していても良い飽和アルキル基を示す)
で表されるサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体を潤滑油に対して0.01〜3質量%、好ましくは0.1〜1質量%添加することで、潤滑油の酸化を防止することができる。
【0014】
中でも、前記式(2)で表されるサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体において、式中のRは、水素又は炭素数1〜6の分岐していても良い飽和アルキル基、R2、R3は何れか一方がメチル基で、他方が炭素数1〜4の分岐していても良い飽和アルキル基であるサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体が好ましい。
【0015】
さらに、前記サリチル酸ヒドラジド又はその誘導体がサリチル酸ヒドラジド、N’−(1−メチルエチリデン)サリチル酸ヒドラジド、N’−(1−イソブチルエチリデン)サリチル酸ヒドラジド、N’−(1−メチルエチル)サリチル酸ヒドラジド、N’−(1−イソブチルエチル)サリチル酸ヒドラジドが好適に使用される。勿論、これらは単独でも、或いは、混合して使用しても良い。
【発明の効果】
【0016】
上記のサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体を、本発明の重合抑制方法に用いることにより、経時変化又は熱による着色が実質的に起こらないか或いは実使用面では問題ない程度の着色しか認められず、着色が好まれない用途に好適に使用することができる。さらに、上記のサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体は、潤滑油の酸化防止の用途にも好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に使用するサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体の製造は、例えば本願発明者等による特開2007−161996に開示されている方法により行うことができる。しかし、本発明に使用するサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体は、上記以外の方法でも製造可能であることは言うまでもない。
【0018】
なお、本発明に使用するサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体は、(メタ)アクリル酸、そのエステル、又は、その塩等で代表される単量体或いはその部分重合体(オリゴマー)を含む各種製品の重合抑制に使用可能である。たとえば、家庭用の水性塗料、接着剤、インク、塗料、粘着剤、水槽、自動販売機の前面板、車両用透明部材、透明シート用部材、光学機器部材であるレンズ、プリズム、光ディスク、シート、半導体用部材、電子材料、高吸水性樹脂、繊維、又は塗料、樹脂、繊維の改質剤などの原料モノマー等が挙げられる。本発明に係る重合抑制方法においては、上記のサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体を単量体又はその部分重合体に対して、5〜1000ppm、好ましくは10〜500ppm添加して使用すればよい。
【0019】
また、本発明に使用するサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体は、潤滑油の酸化防止剤としても使用可能である。酸化防止効果の得られる本発明に係るヒドラジン誘導体が添加可能な潤滑油としては、鉱油や合成油が含まれる。鉱油としては、原油を精製して得られる一般的な鉱油であればよく、例えば、60ニュートラル油、100ニュートラル油、150ニュートラル油等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。合成油としては、炭化水素系油、エステル油、及びその他の合成油などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、鉱油と合成油を混合して使用しても差し支えない。本発明に係る酸化防止方法においては、潤滑油に対して、質量換算で、0.01〜3%、好ましくは0.1〜1%添加して使用すればよい。
【実施例】
【0020】
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてより詳細に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】
本発明に使用するサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体は水溶性である。一例としてサリチル酸ヒドラジド(化合物1)の水に対する溶解度について表1に示す。なお、現在水溶性の重合抑制剤として使用されていることもある、p−メトキシフェノール(MQ)、ハイドロキノン(HQ)、メチルハイドロキノン(MH)、ターシャリーブチルハイドロキノン(TBH)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)(MBP)、2,6−ジ−t−ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)の水に対する溶解度も併せて示す。
【0022】
【表1】

【0023】
(重合抑制試験)
試験はTG−DTA装置を用いた(リガク社 TG 8120)。市販のアクリル酸に含まれるMQを蒸留によって取り除き、この試験に使用するアクリル酸を調製した。かくして調製したMQを含まないアクリル酸と水とを2:1で混合したものを試験液として使用する。各種重合抑制剤として本発明に係る代表的なサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体である上記化合物1〜5の5つの化合物、比較例としてメチルハイドロキノン、p−メトキシフェノール10ppmをそれぞれ試験液に加え、TG−DTA装置測定用試料容器に入れる。このものを試験温度70℃、空気雰囲気で10℃/minの速度で昇温させる。アクリル酸水溶液の重合が開始した時点において認められる発熱ピークの立ち上がりを観察・記録し、この発熱ピークが現れるまでを誘導時間とする。誘導時間が長いほど、重合抑制剤の効果があることを示す。重合抑制試験の結果を図1に示す。なお、対照(ブランク)として、重合抑制剤を使用しないものについても試験に供した。
【0024】
上記の結果から、本発明に係る代表的なサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体である上記5つの化合物は、比較例として使用したメチルハイドロキノン又はp−メトキシフェノールと同等、或いは、それよりも長い重合抑制誘導時間を示した。具体的には試験温度70℃において、本発明に係る化合物1において85分以上の顕著な重合抑制効果が得られた。化合物2と化合物3については、通常用いられる重合抑制剤であるメトキシフェノールと同等の80分以上の重合抑制効果が得られ、実用可能であると判断された。また、化合物4と化合物5は、メチルハイドロキノンよりも長い誘導時間が得られた。
【0025】
本発明に使用するサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体は、アクリル酸製造時のアルデヒド処理剤として、アクリル酸と副生産物であるアルデヒド類とを効率よく分離するためにも用いることができる。従来用いられているアルデヒド処理剤は、過剰に添加すると重合を促進してしまう性質があるが、本発明に使用するサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体は重合抑制効果を示すため、その心配がなく、アルデヒド処理剤として有効である。
【0026】
(色相安定性試験)
本発明に係る代表的なサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体のうち、最も重合抑制効果の高かったサリチル酸ヒドラジド(化合物1)について、色相安定性試験を実施した。重合抑制剤としての使用にあたって発生してくる着色は、多くの場合これに加えている添加剤の着色に起因するものであると考えられている。そのため、経時変化又は熱による着色を起こしにくい添加剤を使用すれば、着色することが少ない重合体を得ることができるといえる。
【0027】
以下のような手順でNOx処理試験を行ない、着色防止性能について調べた。先ず、50質量%のアクリル酸水溶液20gに対し、アクリル酸の0.1質量%にあたる20mgの各種重合抑制剤を添加し、栓をして、超音波洗浄機にかけて溶解させる。次いで、完全に溶解させたサンプル液を30mLバイアルびんに10gを秤取り、ゴムキャップ、アルミホルダーを使用して密栓する。JIS L0855(酸化窒素ガスに対する染色堅ろう度試験方法)に準じる酸化窒素ガス発生装置で発生させたNOxガスを、シリンジを使って0.1mlとり、サンプル液を入れたバイアルびんに注入し、よく振ってNOxガスとサンプル液を混ぜる。このものを、室温にて1時間放置後、ガードナー比色計で標準液と比較し、色数を求める。これをNOx処理前のサンプルのガードナー数と比較し、変化量Δを求める。結果を表2に示す。なお、この試験例で用いたガードナー比色計による色数は、JIS K−0071−2に準じた。
【0028】
【表2】

【0029】
以上の結果から、試験例1に示される本発明に係るサリチル酸ヒドラジド(化合物1)は、試験例2及び3のハイドロキノン、p−メトキシフェノールに代表されるフェノール系重合抑制剤と比較して着色の度合いが極めて少ないので、色相安定性の高い重合体が求められる分野において優れた効果が期待できる。
【0030】
次に、本発明に係る代表的なサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体である上記化合物1〜5の5つの化合物と、比較例として、4,4’−ジクミルジフェニルアミン(DCD)、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)を使用し、鉱油の酸化防止効果試験を行なった。なお、対照(ブランク)として、酸化防止剤を使用しない場合についても試験に供した。
【0031】
(酸化防止効果試験)
上記化合物0.2質量%と、150ニュートラル油99.8質量%からなる鉱油組成物を、JIS K2514 回転ボンベ式酸化安定度試験(RBOT)に供し、得られた酸素吸収誘導時間の結果を図2に示した。試験温度は150℃とした。酸素吸収誘導時間は、酸化安定性の尺度として測定され、その時間が長ければ長いほど酸化安定性が良いことを示す。なお対照(ブランク)として、150ニュートラル油のみからなるものも試験に供した。本発明に係るサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体である5つの化合物はいずれも酸化防止効果を有していることがわかった。特に本発明に係るサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体のうち化合物1、化合物2及び化合物4で酸化防止効果が顕著であった。化合物3と化合物5においても、酸化防止剤を添加しないブランクと比べ酸化防止効果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係るサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体を重合抑制剤として用いる方法においては、経時変化又は熱による着色を起こしにくいことから、着色化した基材の使用が好まれない用途での使用に好適である。また、水溶性にも優れているため、環境に対する負荷を軽減することが期待できる。さらに、潤滑油の酸化防止の用途にも好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】重合抑制試験の結果を示すグラフである。
【図2】酸化防止効果試験の結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式
【化1】

(式(1)中、Zは−NHR1又は−N=CRで表され、R、R、Rの何れも、水素又は炭素数1〜6の分岐していても良い飽和アルキル基を示す)
で表されるサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体を、単量体又はその部分重合体に対して5〜1000ppmで添加する重合抑制方法。
【請求項2】
前記式(1)で表されるサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体において、式中のRは、水素又は炭素数1〜6の分岐していても良い飽和アルキル基、R2、R3は何れか一方がメチル基で、他方が炭素数1〜4の分岐していても良い飽和アルキル基である請求項1に記載の重合抑制方法。
【請求項3】
前記サリチル酸ヒドラジド又はその誘導体がサリチル酸ヒドラジド、N’−(1−メチルエチリデン)サリチル酸ヒドラジド、N’−(1−イソブチルエチリデン)サリチル酸ヒドラジド、N’−(1−メチルエチル)サリチル酸ヒドラジド、N’−(1−イソブチルエチル)サリチル酸ヒドラジドから選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の重合抑制方法。
【請求項4】
前記サリチル酸ヒドラジド又はその誘導体を単量体又はその部分重合体に対して10〜500ppmで添加する請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合抑制方法。
【請求項5】
前記単量体が(メタ)アクリル酸、そのエステル、又は、その塩である請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合抑制方法。
【請求項6】
下記式
【化2】

(式中、Zは−NHR1又は−N=CRで表され、そして、R、R、Rの何れも、水素又は炭素数1〜6の分岐していても良い飽和アルキル基を示す)
で表されるサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体を潤滑油に対して0.01〜3質量%添加する酸化防止方法。
【請求項7】
前記式(2)で表されるサリチル酸ヒドラジド又はその誘導体において、式中のRは、水素又は炭素数1〜6の分岐していても良い飽和アルキル基、R2、R3は何れか一方がメチル基で、他方が炭素数1〜4の分岐していても良い飽和アルキル基である請求項6に記載の酸化防止方法。
【請求項8】
前記サリチル酸ヒドラジド又はその誘導体がサリチル酸ヒドラジド、N’−(1−メチルエチリデン)サリチル酸ヒドラジド、N’−(1−イソブチルエチリデン)サリチル酸ヒドラジド、N’−(1−メチルエチル)サリチル酸ヒドラジド、N’−(1−イソブチルエチル)サリチル酸ヒドラジドから選ばれた少なくとも1種である請求項6に記載の酸化防止方法。
【請求項9】
前記サリチル酸ヒドラジド又はその誘導体を潤滑油に対して0.1〜1質量%添加する請求項6〜8のいずれか1項に記載の酸化防止方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−53256(P2010−53256A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220247(P2008−220247)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000195616)精工化学株式会社 (28)
【Fターム(参考)】