説明

金具

【課題】 墜落防止用ワイヤーに安全器が装着された状態で、かつ、安全器にフック付支持ロープが連結された状態で、安全器を通過させることができるように構成する。
【解決手段】 鉄塔の上下方向に沿うように設けられるとともに、作業者にフック付支持ロープ40を介して連結される安全器30が昇降自在に装着される墜落防止用ワイヤー25の中間部を前記鉄塔に沿った状態に案内する金具4であって、前記墜落防止用ワイヤー25の前記中間部を挿通させた状態で案内するとともに、前記墜落防止用ワイヤー25の前記中間部に前記安全器30を装着させた状態で、かつ、前記安全器30に前記フック付支持ロープ40を連結した状態で、前記安全器30を通過させる案内孔6を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金具に関し、特に、送電線等を支持する鉄塔の上部及び下部に上下端が固定される墜落防止用ワイヤーの中間部を案内するのに有効な金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送電線等を支持する鉄塔上で各種の作業を行う場合、作業者の墜落事故を防止するために、各種の安全対策が実施されている。例えば、鉄塔の上下方向に沿うように墜落防止用ワイヤーを取り付け、墜落防止用ワイヤーに安全器を装着し、作業者の安全帯をフック付支持ロープを介して安全器に連結する方法が採られている。
【0003】
このような方法によれば、作業者が誤って鉄塔から手足を滑らしても、作業者は、安全帯、フック付支持ロープ、及び安全器を介して墜落防止用ワイヤーに連結されているので、作業者が鉄塔から墜落するのを防止することができる。
【0004】
ところで、上記のような構成の墜落防止用ワイヤーは、上端が上部固定金具により鉄塔の上部に固定され、下端が下部固定金具により鉄塔の下部に固定され、中間部の複数箇所が複数の中間固定金具と中間支持金具とにより鉄塔に沿うように案内されているが、各中間固定金具では、墜落防止ワイヤーを把持し、ボルトナットやピンで固定されているため、安全器が中間固定金具を通過することができない。
【0005】
このため、作業者が鉄塔を昇って中間固定金具の位置に達した場合には、その位置で作業者が中間固定金具を越えた上方の位置に装着し直す必要がある。無胴綱状態を防止するためには、装着し直す前後に安全帯の本胴綱を鉄塔側部材に掛け・外しする必要があり、鉄塔上における各種の作業の効率が低下する。
【0006】
上記のような問題に対処するため、特許文献1には、上下一対の揺動アームと、各揺動アームの先端にそれぞれ回転自在に設けられた転動ローラとを有する保持金具を用い、この保持金具により、ガイド用線状体(墜落防止用ワイヤー)を鉄塔の上下方向に沿うように案内した例が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、一対の溝車と、両溝車を互いに接近する方向に付勢する一対の板ばねとを有する中間支持装置を用い、この中間支持装置の両溝車間で墜落防止用ワイヤーを支持することにより、墜落防止用ワイヤーを鉄塔の上下方向に沿うように案内した例が記載されている。
【0008】
特許文献1に記載の保持金具によれば、作業者が鉄塔を昇って保持金具の位置に達したときに、作業者が下側の揺動アームを揺動させて、下側の揺動アームの転動ローラとガイド用線状体との間に隙間を形成し、この隙間を介して安全器を下側の揺動アームの転動ローラとの間を通過させ、この後に、上側の揺動アームを揺動させて、上側の揺動アームの転動ローラとガイド用線状体との間に隙間を形成し、この隙間を介して安全器を上側の揺動アームの転動ローラとガイド用線状体との間を通過させる。
【0009】
そして、このような作業を作業者が各保持金具に対して行うことにより、ガイド用線状体から安全器を外すことなく、作業者が鉄塔を昇るのに追従して、安全器をガイド用線状体に沿って上昇させることができる。
【0010】
また、特許文献2に記載の中間支持装置によれば、墜落防止用ワイヤーに装着されている安全クリップ(安全器)が両溝車間を通過する際には、両溝車が回転しながら互いに離反する方向に移動することにより、安全クリップの通過が許容され、安全クリップが両滑車間を通過した後には、両板ばねによって両溝車が互いに接近する方向に付勢されることにより、両溝車間で墜落防止用ワイヤーが支持された状態に復帰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−125201号公報
【特許文献2】特開2010−269084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献1に記載の例では、鉄塔上の各保持金具の位置において、作業者が下側及び上側の揺動アームを揺動させる作業が必要になるため、その作業に非常に手間がかかり、鉄塔上における各種の作業の効率が低下する。また、各揺動アームを元の状態に復帰させたときに、各揺動アームの先端の転動ローラとガイド用線状体との間に胴綱や工具類等が引っ掛かるおそれがある。
【0013】
また、特許文献2に記載の例では、安全クリップを墜落防止用ワイヤーに装着したままの状態で中間支持装置を通過させることができるが、中間支持装置の構造上、通過時に安全クリップが金具から外れてしまうため、安全クリップを慎重に通過させる必要が生じ、また中間固定金具としての効果は期待できない。
【0014】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、鉄塔上における各種の作業を効率良く行うことができる金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、鉄塔の上下方向に沿うように設けられるとともに、作業者にフック付支持ロープを介して連結される安全器が昇降自在に装着される墜落防止用ワイヤーの中間部を前記鉄塔に沿った状態に案内する金具であって、前記墜落防止用ワイヤーの前記中間部を挿通させた状態で案内するとともに、前記墜落防止用ワイヤーの前記中間部に前記安全器を装着させた状態で、かつ、前記安全器に前記フック付支持ロープを連結した状態で、前記安全器を通過させる案内孔を有していることを特徴とする。
【0016】
本発明の金具によれば、墜落防止用ワイヤーの中間部を挿通させた状態で案内するとともに、墜落防止用ワイヤーの中間部に安全器を装着した状態で、かつ安全器にフック付支持ロープを取り付けた状態で、安全器を通過させ得る案内孔を有しているので、作業者が鉄塔を昇る際に、安全帯の本胴綱を鉄塔に掛け、安全器を墜落防止用ワイヤーから外して、金具を越えた位置に装着し直す必要がなく、安全器にフック付支持ロープを連結し、安全器を墜落防止用ワイヤーに装着した状態で、安全器を金具を通過させることができるので、鉄塔上における各種の作業を効率良く行うことができる。
【0017】
また、本発明において、前記安全器には、前記フック付支持ロープを前記安全器に連結する作動レバーが設けられ、該作動レバーを通過させるスリットが前記案内孔の一部に設けられていることとしてもよい。
【0018】
本発明の金具によれば、案内孔内を安全器が通過する際に、安全器にフック付支持ロープを連結する作動レバーがスリット内を通過することになるので、フック付支持ロープを作動レバーに連結した状態で、安全器及び作動レバーを金具を通過させることができる。
【0019】
さらに、本発明において、前記案内孔の一部を開閉する開閉部材を有し、該開閉部材で前記案内孔の一部を閉じることにより、前記案内孔と前記開閉部材との間で前記墜落防止用ワイヤーが案内され、前記開閉部材で前記案内孔の一部を開くことにより、該案内孔内を前記安全器が通過可能な状態となることとしてもよい。
【0020】
本発明の金具によれば、開閉部材で案内孔の一部を閉じることにより、案内孔と開閉部材との間で墜落防止用ワイヤーを案内することができるので、風等によって墜落防止用ワイヤーが振れるのを防止できる。
【0021】
さらに、本発明において、前記案内孔内に前記安全器を導く案内部材が設けられていることとしてもよい。
【0022】
本発明の金具によれば、安全器は、案内部材によって案内された状態で案内孔に導かれることになるので、安全器を案内孔の位置に合わせる作業が不要となる。
【0023】
さらに、本発明において、前記墜落防止用ワイヤーを前記鉄塔に向けて押圧する第1金具と、前記墜落防止用ワイヤーを前記第1金具と逆方向に向けて押圧する第2金具とを備え、前記第1金具と前記第2金具とが、前記鉄塔の上下方向に交互に設けられていることとしてもよい。
【0024】
本発明の金具によれば、第1金具と第2金具とが、鉄塔の上下方向に交互に設けられていることにより、中間支持金具の支持機能と同様の作用効果を期待することができるため、墜落防止用ワイヤーが振れるのを効果的に防止できる。
【発明の効果】
【0025】
以上、説明したように、本発明の金具によれば、安全器を墜落防止用ワイヤーに装着した状態で金具を通過させることができるので、鉄塔上における各種の作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】鉄塔に沿って設けられた墜落防止用ワイヤーと本発明の金具との位置関係を示した概略正面図である。
【図2】本発明の金具の第1の実施の形態を示した正面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】図2の金具を安全器が通過している状態を示した正面図である。
【図5】図4の平面図である。
【図6】本発明による金具の第2の実施の形態を示した正面図である。
【図7】図6の平面図である。
【図8】図6のA矢視図である。
【図9】図6の金具を安全器が通過している状態を示した正面図である。
【図10】図9平面図である。
【図11】図9のB矢視図である。
【図12】本発明による金具の第3の実施の形態を示した概略図であって、鉄塔に沿って設けられた墜落防止用ワイヤーと金具との位置関係を示した概略正面図である。
【図13】図12の金具の正面図である。平面図である。
【図14】図13の平面図である。
【図15】本発明による金具の第4の実施の形態を示した正面図である。
【図16】図15の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図5には、本発明による金具の第1の実施の形態が示されている。本実施の形態の金具4は、図1に示すように、送電線等を支持する鉄塔45の上下方向に沿うように設けられた墜落防止用ワイヤー25の中間部を案内するのに有効なものである。
【0028】
墜落防止用ワイヤー25は、上端が上部固定金具2によって鉄塔45の上部に固定され、下端が下部固定金具3によって鉄塔45の下部に固定され、中間部の複数箇所が本実施の形態の金具4によって鉄塔45の上下方向に沿うように案内される。これらの上部固定金具2と下部固定金具3と金具4とにより、墜落防止用ワイヤー25を鉄塔45に固定する固定装置1が構成される。墜落防止用ワイヤー25の中間部には、後述する作業者の安全帯にフック付支持ロープ40を介して連結される安全器30が昇降自在、かつ着脱自在に装着される。
なお、本実施の形態においては、墜落防止用ワイヤー25の中間部とは、墜落防止用ワイヤー25の上下端部間に位置する部分を意味し、ベンド部(曲点部)とベンド部以外の部分の両方を含むものとする。
【0029】
安全器30は、図2〜図5に示すように、内側に墜落防止用ワイヤー25を挿通させる断面U形状の本体部31と、本体部31の内側に墜落防止用ワイヤー25を挿通させた状態にロックするロック機構32と、作業者の墜落時に本体部31の内面との間で墜落防止用ワイヤー25を押圧することにより、本体部31を墜落防止用ワイヤー25に固定する押爪等からなる固定機構33と、固定機構33を作動させる作動レバー34とから構成され、作動レバー34にフック付支持ロープ40の一端が連結される。
【0030】
本体部31の下端部には、図2及び図4に示すように、案内ローラ35が下方に突出した状態で回転可能に設けられ、この案内ローラ35を墜落防止用ワイヤー25に接触させることにより、安全器30の本体部31を墜落防止用ワイヤー25上を円滑に移動させることができる。
【0031】
安全器30としては、作業者の墜落時に、作業者を墜落防止用ワイヤー25に固定できる機能を有するものであれば制限はなく、例えば、ロリップ(藤井電工株式会社製、商品名)等を用いることができる。
【0032】
上部固定金具2は、墜落防止用ワイヤー25の上端を固定するワイヤークリップ等の部材からなるワイヤー固定部(図示せず)と、ワイヤー固定部を鉄塔45側の部材にボルト、ナット等の連結部材を介して連結する連結板(図示せず)とから構成されている。
【0033】
下部固定金具3は、上部固定金具2と同様の構成を有するものであって、墜落防止用ワイヤー25の下端を固定するワイヤークリップ等の部材からなるワイヤー固定部(図示せず)と、ワイヤー固定部をボルト、ナット等の連結部材を介して鉄塔45側の部材に連結する連結板(図示せず)とから構成されている。
【0034】
本実施の形態の金具4は、図2〜図5に示すように、墜落防止用ワイヤー25を挿通させた状態に案内するとともに、墜落防止用ワイヤー25に装着された状態で安全器30の本体部31を通過させる案内孔6を有する案内部5と、案内部5を鉄塔45側の部材にボルト、ナット等の連結部材17を介して連結する連結板16とから構成されている。
【0035】
案内孔6は、安全器30の本体部31の形状に応じた断面形状に形成され、本実施の形態においては、安全器30の断面U形状の本体部31に対応させて、案内孔6を安全器30の本体部31よりも大きい断面四角形状に形成している。
【0036】
本実施の形態では、安全器30として、本体部31の外面にロック機構32の構成部材が突出した状態で設けられているタイプのものを用いているので、このロック機構32の構成部材が案内孔6の内面と干渉するのを避けるために、案内孔6の内面に断面半円形状の逃し溝を7設け、この逃し溝7内にロック機構32の構成部材を逃している。
【0037】
案内孔6の一部(図中左端)には、図3及び図5に示すように、案内孔6の内外を貫通する所定の幅のスリット8が設けられ、このスリット8内を安全器30の固定機構33を作動させる作動レバー34が通過可能に構成されている。スリット8は、作動レバー34をガタが生じることなく通過させることが可能な幅に設定される。
【0038】
案内孔6の内面のスリット8に対応する部分は、図3及び図5に示すように、所定の曲率のアール面の案内面9に形成され、この案内面9と後述する開閉部材14の先端面との間で墜落防止用ワイヤー25が案内される。
【0039】
案内部5の上面の一部には、図2及び図4に示すように、上面の他の部分よりも一段低い段部が12設けられ、この段部12内に開閉部材14が回動可能に設けられ、この開閉部材14によって案内孔6の一部が開閉される。
【0040】
開閉部材14は、図2及び図3に示すように、帯板状をなすものであって、基端部が段部12の右端部に設けられた突起13に連結ピン15を介して連結され、連結ピン15を中心として図中矢印a、b方向に回動可能に構成されている。
【0041】
開閉部材14を連結ピン15を中心として、図2の矢印a方向に回動させることにより、案内孔6の一部が閉じられる。開閉部材14を連結ピン15を中心として、図2の矢印b方向に回動させることにより、図4及び図5に示すように、案内孔6の全体が開放される。
【0042】
開閉部材14は、図2の矢印a方向に回動させて案内孔6の一部を閉じたときに、先端面と案内孔6の案内面9との間で墜落防止用ワーヤ25を挟んだ状態に案内し得るように、長さが設定されている。これにより、風等によって墜落防止用ワイヤー25が振れるのを防止できる。
【0043】
なお、開閉部材14と連結ピン15との間にねじりコイルばね(図示せず)を介装させて、このねじりコイルばねにより、開閉部材14を図中矢印a方向に常時付勢し、風等が
墜落防止用ワイヤー25に作用しても、開閉部材14が案内孔6の一部を閉じたままの状態に保持するように構成してもよい。
【0044】
連結板16は、図2〜図5に示すように、平板状をなすものをく形状に屈曲させて構成したものであって、一端部が鉄塔45側の部材にボルト、ナット等の連結部材17を介して連結され、鉄塔45側の部材から水平方向に突出する他端部に案内部5の基端部がボルト、ナット等の連結部材17を介して連結されている。
【0045】
そして、上記の固定装置1の上部固定金具2及び下部固定金具3により、図1に示すように、墜落防止用ワイヤー25の上端及び下端をそれぞれ鉄塔45の上部及び下部に固定し、墜落防止用ワイヤー25の中間部の複数箇所(ベンド部及びベンド部以外の部分)を本実施の形態の複数の金具4により鉄塔45の上下方向に沿うように案内し、地上において、図2及び図3に示すように、墜落防止用ワイヤー25に安全器30の本体部31を装着し、安全器30の作動レバー34と作業者の安全帯との間をフック付支持ロープ40で連結する。
【0046】
この状態で、作業者が鉄塔45を昇り、作業者に追従して安全器30を墜落防止用ワイヤー25に沿って上昇させて、安全器30が金具4の位置に達した場合には、図4及び図5に示すように、作業者が墜落防止用ワイヤー25を鉄塔45に向けて押し付けて、墜落防止用ワイヤー25で開閉部材14を鉄塔45に向けて押圧し、開閉部材14を連結ピン15を中心として図4の矢印b方向に回動させて、案内孔6の全体を開放させる。
【0047】
そして、安全器30の本体部31を金具4の案内孔6の下端開口に導き、作動レバー34をスリット8の下端開口に導き、安全器30の本体部31を案内孔6内に挿入し、作動レバー34をスリット8内に挿入し、本体部31を案内孔6内を上方に移動させ、作動レバー34をスリット8内を上方に移動させることにより、本体部31を案内孔6内を通過させ、作動レバー34をスリット8内を通過させ、安全器30の全体を金具4を越えた上方の位置に移動させる。
【0048】
この場合、作業者の安全帯と安全器30の作動レバー34との間にフック付支持ロープ40を取り付けた状態で、安全器30の本体部31を案内孔6内を通過させ、作動レバー34をスリット8内を通過させることができるので、作業者の安全を確保した状態で、安全器30の全体を金具4を通過させることができる。
【0049】
そして、上記のような作業を各金具4に対して行うことにより、安全器30と作業者の安全帯との間をフック付支持ロープ40で連結した状態で、安全器30を各金具4を通過させることができるので、鉄塔45上における各種の作業を効率良く行うことができる。
【0050】
図6〜図11には、本発明による金具の第2の実施の形態が示されている。本実施の形態の金具4は、案内部5の下部に安全器30の本体部31を案内孔6内に導く案内部材18を設けたものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0051】
案内部材18は、図6及び図8に示すように、案内孔6の下端開口の両縁部に設けられる一対の案内板19、19と、各案内板19に上下方向に所定の間隔ごとに回転可能に設けられる複数のガイドローラ20とから構成される。
【0052】
図9及び図11に示すように、案内部材18の両案内板19、19の複数のガイドローラ20により、安全器30の本体部31の一部(ロック機構32の構成部材の図9の左側の部分)を案内することにより、安全器30の本体部31を金具4の案内孔6に導くことができるとともに、本体部31と共に作動レバー34をスリット8に導くことができるので、作業者が安全器30の本体部31を案内孔6の位置に合わせ、作動レバー34をスリット8の位置に合わせる作業が不要となる。
【0053】
そして、本実施の形態の金具4にあっても、前記第1の実施の形態に示すものと同様の作用効果を奏する。
【0054】
図12〜図14には、本発明による金具の第3の実施の形態が示されている。本実施の形態の金具4は、案内孔6の内面の左端部及び右端部に、墜落防止用ワイヤー25を案内する所定の曲率のアール面からなる第1案内面10及び第2案内面11をそれぞれ設け、この金具4の第1案内面10を用いて、墜落防止用ワイヤー25を鉄塔45に向けて押圧する第1金具21と、この金具4の第2案内面11を用いて、墜落防止用ワイヤー25を鉄塔45から離れる方向(第1金具21と逆方向)に押圧する第2金具22とを構成し、これらを鉄塔45の上下方向に交互に設けたものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0055】
なお、本実施の形態においては、第1金具21の第1案内面10、及び第2金具21の第2案内面11で墜落防止用ワイヤー25を押圧した状態に案内しているので、前記第1、第2の実施の形態のような開閉部材14は設けていない。
【0056】
そして、本実施の形態の金具4にあっても、前記第1の実施の形態に示すものと同様の作用効果を奏する他、本実施の形態では、墜落防止用ワイヤー25を鉄塔45に向けて押圧する第1金具21と、墜落防止用ワイヤー25を第1金具21と逆方向に押圧する第2金具22とを、鉄塔45の上下方向に交互に設けて、両方から墜落防止用ワイヤー25を押圧しているので、墜落防止用ワイヤー25が風等によって振れるのを更に効果的に防止することができる。
【0057】
なお、本実施の金具4の第1金具21を安全器30が通過する際には、墜落防止用ワイヤー25を鉄塔45に向けて(図14の矢印a方向)に押し付け、第2金具22を安全器30が通過する際には、墜落防止用ワイヤー25を第1金具21と逆方向(図14の矢印b方向)に押し付けることにより、安全器30の本体部31を案内孔6に導き、作動レバー34をスリット8に導くことができる。
【0058】
図15及び図16には、本発明による金具の第4の実施の形態が示されている。本実施の形態の金具4は、第1金具21及び第2金具22を鉄塔45に連結する連結板16を帯板状に形成し、この連結板16の先端に案内部5の側部をボルト、ナット等の連結部材17によって連結したものであって、その他の構成は前記第3の実施の形態に示すものと同様である。
【0059】
そして、本実施の形態の金具4にあっても、前記第3の実施の形態に示すものと同様の作用効果を奏する。
【0060】
なお、前記各実施の形態においては、本実施形態の金具4を墜落防止用ワイヤー25の中間部の複数箇所(ベンド部とベンド部以外の部分の両方)を案内するのに用いたが、本実施の形態の金具4を中間部のベンド部又はベンド部以外の部分の何れか一方を案内するのに用いてもよい。本実施の形態の金具4をベンド部を案内するのに用いる場合には、ベンド部以外の部分は既存の各種の中間支持金具で案内するように構成してもよい。
また、前記各実施の形態においては、墜落防止用ワイヤー25を鉄塔45の上下方向に沿うように固定する場合に本発明の金具4を適用したが、その他の各種の構造物に墜落防止用ワイヤーを固定する場合に本発明を適用してもよいものであり、その場合にも同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0061】
1 固定装置
2 上部固定金具
3 下部固定金具
4 金具
5 案内部
6 案内孔
7 逃し溝
8 スリット
9 案内面
10 第1案内面
11 第2案内面
12 段部
13 突起
14 開閉部材
15 連結ピン
16 連結板
17 連結部材
18 案内部材
19 案内板
20 ガイドローラ
21 第1金具
22 第2金具
25 墜落防止用ワイヤー
30 安全器
31 本体部
32 ロック機構
33 固定機構
34 作動レバー
35 案内ローラ
40 フック付支持ロープ
45 鉄塔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄塔の上下方向に沿うように設けられるとともに、作業者にフック付支持ロープを介して連結される安全器が昇降自在に装着される墜落防止用ワイヤーの中間部を前記鉄塔に沿った状態に案内する金具であって、
前記墜落防止用ワイヤーの前記中間部を挿通させた状態で案内するとともに、前記墜落防止用ワイヤーの前記中間部に前記安全器を装着させた状態で、かつ、前記安全器に前記フック付支持ロープを連結した状態で、前記安全器を通過させる案内孔を有していることを特徴とする金具。
【請求項2】
前記安全器には、前記フック付支持ロープを前記安全器に連結する作動レバーが設けられ、該作動レバーを通過させるスリットが前記案内孔の一部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の金具。
【請求項3】
前記案内孔の一部を開閉する開閉部材を有し、該開閉部材で前記案内孔の一部を閉じることにより、前記案内孔と前記開閉部材との間で前記墜落防止用ワイヤーが案内され、前記開閉部材で前記案内孔の一部を開くことにより、該案内孔内を前記安全器が通過可能な状態となることを特徴とする請求項2に記載の金具。
【請求項4】
前記案内孔内に前記安全器を導く案内部材が設けられていることを特徴とする請求項2〜3の何れか1項に記載の金具。
【請求項5】
前記墜落防止用ワイヤーを前記鉄塔に向けて押圧する第1金具と、前記墜落防止用ワイヤーを前記第1金具と逆方向に向けて押圧する第2金具とを備え、前記第1金具と前記第2金具とが、前記鉄塔の上下方向に交互に設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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