説明

金属コアプリント配線板およびその製造方法

【課題】金属コア板の貫通穴にプリプレグの樹脂が充填されるときのボイドの発生を抑制することが、工程数を増やさずに容易に行え、製造コストの低減も図ることができるようにする。
【解決手段】金属コア板の両面に、金属コア板側から順に樹脂からなる絶縁層と金属箔を有する金属張積層板を用いて構成された金属コアプリント配線板において、前記金属コア板11の厚さ方向に貫通する貫通穴21のうち、一方向の長さがこれと直交する方向の長さよりも長い部分を有する長穴23が、前記長い部分の穴内面24に、その長手方向と直交する内方に向けて部分的に突出して積層されたプリプレグの樹脂を長穴の内方に向けて導く樹脂導入突部25を備え、前記樹脂を長穴23の内方に導いて樹脂の充填が行えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属コアプリント配線板に関し、より詳しくは、ボイドの発生を抑制できるような金属コアプリント配線板とその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属コアプリント配線板は、次のように製造されている。
【0003】
まず、金属コア板を得るため、所定厚の銅板を裁断して素材を得て、図9に示したように、素材の所定位置に、貫通穴101,102をドリルやエッチングなどであけて金属コア板103を得る。このあと、金属コア板103の表面に、樹脂のくっつきをよくするための粗化処理を施す。
【0004】
次に、粗化処理後の金属コア板103の両面に、金属コア板103側から順に図示しないプリプレグと銅箔を重ねて加熱プレスし、前記の金属コア板103とプリプレグと銅箔を積層一体化させる。この一体化のときに、図10において一部を破断して示したように、プリプレグの樹脂が金属コア板103の貫通穴101,102の中に充填される。
【0005】
積層一体化により、金属コア板103の両面に絶縁層104aを介して銅箔104bが存在することになる(図11参照)。この一体化したものが金属張積層板としての銅張積層板104である。
【0006】
つづいて、所定位置にスルーホール用の穴をあけ、この後、スルーホールメッキ、パターン形成、ソルダレジスト形成などの必要な処理を行うと、金属コアプリント配線板が得られる。
【0007】
しかし、上記の加熱プレスによる積層一体化では、プリプレグの溶けた樹脂を貫通穴101,102に流し込むため、成形中にプリプレグから出てきた空気やドラフトチャンバ内に残存している空気が、図11に示したように貫通穴101,102に充填された樹脂に残存し、ボイド105が発生することが多々ある。図11中(a)は図10のA−A断面図(長穴からなる貫通穴102の長手方向と直交する方向の断面図)、(b)は図10のB−B断面図(長穴からなる貫通穴102の長手方向の断面図)である。
【0008】
ボイド105があると、配線板としての電気的特性を満足させることができなかったり、ドリルで貫通穴をあける際の衝撃によるクラックの起点となったり、ハンダ耐熱試験や信頼性試験での冷熱サイクルでボイドが膨張収縮してクラックを発生させたりすることがある。このため、ボイドの発生を極力抑制することが必要である。
【0009】
しかし、加工条件やプリプレグの性能を適正に管理してボイドの発生を抑制するように努めても、ボイドの発生を回避しにくい場合があった。
【0010】
すなわち、基板の設計上、貫通穴が狭ピッチで多数並ぶ部分には、貫通穴を円形の貫通穴101ではなく、図9に示したように長穴からなる貫通穴102で構成することが行われているが、このような長穴からなる貫通穴102が多数並設された場合(図9のA部分参照)には、内側に位置する貫通穴102ほど、ボイドが発生しやすい傾向にある。これは、プリプレグに含浸できる樹脂量には限度があって、集中して存在する貫通穴を十分にかつ均等に埋めるほどの樹脂量を確保できないことも一因であると考えられる。
【0011】
下記特許文献1に開示された金属コアプリント配線板のように、金属コア板の貫通穴に樹脂からなる閉塞部をあらかじめ保持して、その金属コア板に絶縁層を形成すれば、ボイドの発生を回避でき、樹脂量の不足も起こらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−200299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1の金属コアプリント回路板においては、製造において貫通穴を塞ぐ工程が必要であり、手間と製造コストがかかる。
【0014】
そこで、この発明は、ボイドの発生を抑制することが工程数を増やさずに容易に行えるとともに、製造コストの低減も図ることができるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのための手段は、金属コア板の両面に、金属コア板側から順に樹脂からなる絶縁層と金属箔を有する金属張積層板を用いて構成された金属コアプリント配線板であって、前記金属コア板の厚さ方向に貫通する貫通穴のうち、一方向の長さがこれと直交する方向の長さよりも長い部分を有する長穴が、前記長い部分の穴内面に、その長手方向と直交する内方に向けて部分的に突出して積層されたプリプレグの樹脂を長穴の内方に向けて導く樹脂導入突部を備えた金属コアプリント配線板である。前記「貫通穴」は、コア分割のためのスリット(貫通穴)を含む。前記樹脂導入突部を有する貫通穴の形成はプレスによる打ち抜きで行える。
【0016】
この金属コアプリント配線板では、金属コア板の長穴における樹脂導入突部が、長穴の穴内面から長穴の幅方向の中心までの距離を部分的に短くし、その中心部分に樹脂を円滑に導く。また長穴の一部を占有し、長穴の容積を小さくして必要な樹脂の量を抑えて、その他の貫通穴への樹脂供給量を確保する。
【0017】
前記樹脂導入突部は、先端側ほど幅狭となる略三角形状であるとよい。樹脂導入突部の内面から長穴の幅方向の中心のうち最も遠い部分までの距離の均等化を可能にして、充填時間の差を小さくし、円滑な充填を促す。なお、前記「略三角形状」とは、三角形を含む意味である。
【0018】
前記樹脂導入突部の先端は角アール部を有するものであるとよい。バリの発生が抑えられ、樹脂充填の円滑さを確保できる。
【0019】
別の手段は、厚さ方向に貫通する貫通穴を有し金属コアプリント配線板を構成する金属コア板であって、前記貫通穴のうち、一方向の長さがこれと直交する方向の長さよりも長い部分を有する長穴が、前記長い部分の穴内面に、その長手方向と直交する内方に向けて部分的に突出して積層されたプリプレグの樹脂を長穴の内方に向けて導く樹脂導入突部を備えた金属コア板である。
【0020】
また別の手段は、この金属コア板を用いた金属張積層板である。
【0021】
さらに別の手段は、金属コア板の両面に、金属コア板側から順に樹脂からなる絶縁層と金属箔を有する金属張積層板を用いて構成された金属コアプリント配線板の製造方法であって、前記金属コア板の厚さ方向に貫通する貫通穴のうち、一方向の長さがこれと直交する方向の長さよりも長い部分を有する長穴が、前記長い部分の穴内面に、その長手方向と直交する内方に向けて部分的に突出する樹脂導入突部を有するようにプレスで打ち抜き形成され、後段の、前記金属コア板とプリプレグと金属箔を積層して加熱プレスによる積層工程で、前記プリプレグの樹脂を前記長穴の内方に導いて前記長穴に樹脂を充填する金属コアプリント配線板の製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、この発明によれば、金属コア板の樹脂導入突部が、長穴の穴内面から長穴の幅方向の中心までの距離を部分的に短くして、穴内面から遠い部分への樹脂の流動を促すので、長穴での樹脂の充填が円滑に行え、ボイドの発生を抑制することができる。また、充填に必要な樹脂の量を抑制し、複数の長穴が密に配設された部分においても、長穴に充填される樹脂の量を確保するので、この部分においてもボイドの発生を抑制できる。この結果、良質の製品を安定して得られる。
【0023】
しかも、金属コア板の貫通穴に樹脂導入突部を形成するだけでよく、その上、樹脂導入突部の形成は貫通穴形成と同時に行えるので、工程数を増やさずにすみ、生産性が良い。このため、製造コストの低減も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】金属コア板の平面図。
【図2】金属張積層板及び金属コアプリント配線板の製造工程の説明図。
【図3】長穴の平面図。
【図4】長穴の平面図。
【図5】長穴の平面図。
【図6】長穴の平面図。
【図7】積層一体化工程の説明図。
【図8】金属張積層板の断面図。
【図9】従来の金属コア板の平面図。
【図10】従来の金属張積層板の一部破断平面図。
【図11】図10のA−A断面図とB−B断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0026】
この発明では、ボイドの発生を抑制することが工程数を増やさずに容易に行えるとともに、製造コストの低減も図ることができるようにするという目的を、図1、図2に示したように、金属コア板11の厚さ方向に貫通する貫通穴21のうち、一方向の長さがこれと直交する方向の長さよりも長い部分を有する長穴23の前記長い部分の穴内面24に、その長手方向と直交する内方に向けて部分的に突出して積層されたプリプレグ14の樹脂を長穴23の内方に向けて導く樹脂導入突部25を備えるという構成にて実現した。
【0027】
図1は、金属コア板11の一部の平面図であり、図2は、その金属コア板11を用いた銅張積層板12および金属コアプリント配線板13の製造工程の説明図である。
【0028】
まず、金属コアプリント配線板13の製造工程について、図2を用いて簡単に説明する。
【0029】
所定厚の銅板を所定大所定形状に裁断して、金属コア板11の素材11aを得る(図2(a)参照)。そして、この素材11aの所定位置に対して、基板の設計に基づいて厚み方向に貫通する貫通穴21をあける(図2(b)参照)。この穴あけ工程では、図1に示したように平面視円形をなす円形の(点状の)貫通穴22と、平面視線状をなす長穴様の(線状の)貫通穴23(以下、「長穴」という)など、必要な形状寸法の貫通穴21を形成する。
【0030】
このあと、必要な貫通穴21を有した金属コア板11の表面に、樹脂のくっつきをよくするための粗化処理を施し、続いて積層一体化工程(図2(c)参照)に移行する。
【0031】
積層一体化工程では、金属コア板11の両面に、金属コア板11側から順にプリプレグ14と銅箔15を重ね、圧板(図示せず)で挟んで真空環境下で加熱プレスをする。加熱プレスにより、プリプレグ14の溶けた樹脂が金属コア板11の貫通穴21に充填されるとともに、金属コア板11の両面を覆う。これによって金属コア板11とプリプレグ14の樹脂と銅箔15が一体化し、樹脂からなる絶縁層14aが形成された金属張積層板としての前記銅張積層板12が得られる(図2(d)参照)。
【0032】
続いて、所定位置にスルーホール用の穴16を開け(図2(e)参照)、スルーホールめっき17(図2(f)参照)、パターン18形成(図2(g)参照)、ソルダレジスト19形成(図2(h)参照)などの必要な処理を行うと前記金属コアプリント配線板13となる。
【0033】
次に、前記金属コア板11について説明する。
金属コア板11は、図1に示したように、少なくとも前記円形の貫通穴22と前記長穴23を有する。円形の貫通穴22は、所定大で所定の配置に形成される。長穴23は、一方向の長さがこれと直交する方向の長さよりも長い部分を有し、例えば図3(a)に示したように一直線状にのびる形状である。円形の貫通穴22と同様に所定大で所定の配置に形成される。長穴23は前記のような一直線状にのびる形状のほか、屈曲部分を有する形状の長穴や、一部または全体が湾曲した形状の長穴であってもよく、長穴は配線のためのもののほか、コア分割のためのスリット状の貫通穴であってもよい。
【0034】
図3(a)に示した長穴23は、前記一方向の長さがこれと直交する方向の長さよりも長い部分、すなわち長手方向全体の穴内面24に、その長手方向と直交する方向に向けて部分的に突出する複数の樹脂導入突部25を有する。この樹脂導入突部25は、前記積層一体化工程において前記プリプレグ14の樹脂を長穴23の内方に向けて導くものである。
【0035】
図3(a)の前記樹脂導入突部25は、円弧状の2辺で挟まれて先端側ほど幅狭となる略三角形状に形成され、長穴23の長手方向と直交する方向に相対向させた状態で等間隔に配設されている。この配設間隔wは適宜設定されるが、長穴23の長手方向と直交する方向(以下「幅方向」という)の長さaよりも短く、前記長さaの半分の長さよりも長い間隔wであるとよい。好ましくは、前記長さaよりも若干短い間隔であるとよい。このような間隔wであると、長穴23の両端を図示のように同一曲率の円形に形成した場合のそれと同一曲率の円弧で前記樹脂導入突部25を形成したときに、長穴23の長手方向における樹脂導入突部25間の中心点と幅方向の中心との交点pに対する円弧状をなす穴内面24からの距離を略均等にすることがきる。
【0036】
この樹脂導入突部25により、長穴23はその長手方向において部分的に幅方向の長さが短い部分ができる。つまり、樹脂導入突部25がなく長穴23の穴内面24が長手方向全体で直線状であると想定した場合と比較して、長穴23の容積が小さくなる。また長穴23の穴内面24は、幅方向に入り組んだ平面視形状となり、長円形状の長穴の穴内面から等距離の部分を想定した場合と比較して、穴内面24から距離の長い部分は、長穴の長手方向に直線状に延びるのではなく、長手方向に点在する状態となる。このため、前記穴内面24から距離の長い部分を減らすとともに、樹脂導入突部25の略三角形状ゆえに穴孔面24からの距離のばらつきを抑えることができる。
【0037】
また、各樹脂導入突部25の先端は、図3(b)に示したように尖っていてもよいが、図3(a)に図示したように角アール部25aを備えるのが好ましい。角アール部25aを備えることによって、長穴23形成時にバリなどの不備が発生することを抑制できる。
【0038】
このような円形の貫通穴22と長穴23は、前記穴あけ工程(図2(b)参照)において、ドリル等で形成することも可能であるが、金型(図示せず)を用いたプレスによる打ち抜きで形成される。
【0039】
前記樹脂導入突部25の形状や配置、大きさなどは基板の設計に応じて適宜設定される。樹脂導入突部25の若干の例を示すと、例えば図4、図5、図6に示したように構成することができる。
【0040】
前述の図3に示した樹脂導入突部25は、換言すれば、仮想の円形穴を一部重複した状態で連続形成したような形状であるが、このような形状に形成する場合には、図4(a)、図4(b)に示したように、長穴23の長手方向と直交する方向の長さaに対する前記仮想円形穴の中心の間隔bによって、樹脂導入突部25の突出長さcが決まることになる。すなわち、仮想円形穴の中心の間隔bが長手方向と直交する方向の長さaと比較して長いほど、図4(b)に示したように樹脂導入突部25の長さcを長く形成できる。
【0041】
基板の設計によっては、図4(c)に示したように、前記仮想円形穴の中心の間隔b,dを一部違えることもできる。この場合はもちろん、樹脂導入突部25の突出長さcに違いが生じるが、角アール部25aの大きさを変えるなどして、吐出長さcを図4(c)に仮想線で示すように、短くすることも可能である。
【0042】
また、樹脂導入突部25の先端の角アール部25aを樹脂導入突部25の基部の幅に比して大きめに設定することもできる。図5(a)は、そのような大きめに設定された角アール部25aを有する樹脂導入突部25の基部同士の間を、長穴23の長手方向に直線状をなす穴内面24aを介して連続させた長穴23の形状の例である。図5(b)は、樹脂導入突部25の基部同士の間を樹脂導入突部25の角アール部25aと同一曲率の円弧状をなす穴内面24bを介して連続させた長穴23の形状の例である。
【0043】
さらに、図6(a)に示したように、樹脂導入突部25を、先端側ほど幅狭となるよう三角形状に基部から延ばして、その先端を方形状にして全体しての略櫛歯状に形成することもできる。樹脂導入突部25を単なる長方形板状に形成して、略櫛歯状に離間配設してもよい。図示は省略するが、この場合にも角アール部を形成するとよい。
【0044】
さらにまた、図6(b)に示したように、樹脂導入突部25を長手方向に直交する方向で対向させずに、千鳥状に配設することも可能である。
【0045】
以上のような構成の金属コア板11を用いて前記積層一体化工程を行うと、図7に示したように金属コア板11に対して積み重ねた状態のプリプレグ14の樹脂が溶けて、矢印で示したように長穴23をはじめとするすべての貫通穴21に樹脂が流れ込む。
【0046】
このとき、長穴23においては前記樹脂導入突部25が、前記プリプレグ14の樹脂を前記長穴23の内方に導いて前記長穴23に樹脂を充填する。
【0047】
長穴23の樹脂導入突部25が長穴23内を部分的に占有しているので、長穴23の容積が小さくなり、流れ込む樹脂の量が少なくて済む。また、樹脂導入突部25は、長穴23の穴内面24から長穴23の幅方向の中心までの距離を部分的に短くして、穴内面24からの距離が長い部分を線状に分布させるのではなく点在させる。しかも、距離の均等化も図れ、長穴23における穴内面24から離れた幅方向の中心部分に樹脂を円滑に導くので、充填にかかる時間差が小さくなる。この結果、樹脂の十分な充填が迅速に行われる。
【0048】
また、長穴23の容積を小さくして充填される樹脂の量を抑えるので、貫通穴21、特に長穴23が複数並設され密集した部位であっても、その長穴23に対しては勿論のこと、その他の貫通穴21への樹脂供給量を確保する。プリプレグの材料費を低減させることもできる。
【0049】
さらに、前記樹脂導入突部25の先端は角アール部25aを有しているので、前述のように穴あけ加工に際してバリの発生が抑えられる結果、樹脂の流動が徒に乱れることを回避して、樹脂充填時の樹脂の流動の円滑さを向上できる。
【0050】
このため、図8(a)、図8(b)に示したように、ボイドのない銅張積層板12が得られる。図8(a)は長穴の長手方向と直交する方向の断面図であり、図8(b)は長穴の長手方向に沿った方向の断面図である。
【0051】
したがって、ボイドない銅張積層板12を得ることができ、品質の向上を図れ、その品質も安定したものとなる。しかも、工程の増加を伴わないため、良品質化とその安定性と相俟って、コストを抑えつつ、生産性の大幅な向上が図れる。
【0052】
また、長穴23はプレスによる打ち抜きで形成されるが、その穴内面24に長手方向に沿って複数の樹脂導入突部25を有するので、穴あけ加工時のプレスによる応力が緩和され、長穴23を挟む対向部分における面剛性が高まるので、反りを抑制でき、品質の向上に資するという利点も有する。しかも、ドリル加工等行う場合に比べて、ワンアクションで前記のような穴あけができるため、安定した品質の金属コア板を量産できる。
【0053】
さらに、樹脂導入突部25は前記のように角アール部25aを有するので、プレス加工中に発生する集中応力を緩和させることができるとともに、先端を尖らせたときよりもクリアランスを確保できるので、金型の耐久性を得られる。この点からも、量産が可能で、コストの低減が図れる。
【0054】
この発明の構成と、前記一形態の構成との対応において、
この発明の金属箔は、前記銅箔15に対応し、
同様に、
金属張積層板は、前記銅張積層板12に対応するも、
この発明は前記構成に限定されるものではなく、その他の形態を採用することができる。
【0055】
例えば、金属箔には銅箔以外のものを使用してもよい。
【0056】
また、長穴のすべての部分が、一方向の長さがこれと直交する方向の長さよりも長い部分からなるものではなく、一部に前記長い部分を有する長穴であってよく、この場合には、樹脂導入突部は、長穴の全体にわたって形成されるのではなく、前記長い部分に形成される。
【符号の説明】
【0057】
11…金属コア板
12…銅張積層板
13…金属コアプリント配線板
14…プリプレグ
14a…絶縁層
15…銅箔
21…貫通穴
23…長穴
24…穴内面
25…樹脂導入部
25a…角アール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属コア板の両面に、金属コア板側から順に樹脂からなる絶縁層と金属箔を有する金属張積層板を用いて構成された金属コアプリント配線板であって、
前記金属コア板の厚さ方向に貫通する貫通穴のうち、一方向の長さがこれと直交する方向の長さよりも長い部分を有する長穴が、前記長い部分の穴内面に、その長手方向と直交する内方に向けて部分的に突出して積層されたプリプレグの樹脂を長穴の内方に向けて導く樹脂導入突部を備えた
金属コアプリント配線板。
【請求項2】
前記樹脂導入突部が、先端側ほど幅狭となる略三角形状である
請求項1に記載の金属コアプリント配線板。
【請求項3】
前記樹脂導入突部の先端が角アール部を有する
請求項1または請求項2に記載の金属コアプリント配線板。
【請求項4】
厚さ方向に貫通する貫通穴を有し金属コアプリント配線板を構成する金属コア板であって、
前記貫通穴のうち、一方向の長さがこれと直交する方向の長さよりも長い部分を有する長穴が、前記長い部分の穴内面に、その長手方向と直交する内方に向けて部分的に突出して積層されたプリプレグの樹脂を長穴の内方に向けて導く樹脂導入突部を備えた
金属コア板。
【請求項5】
請求項4に記載の金属コア板を用いた
金属張積層板。
【請求項6】
金属コア板の両面に、金属コア板側から順に樹脂からなる絶縁層と金属箔を有する金属張積層板を用いて構成された金属コアプリント配線板の製造方法であって、
前記金属コア板の厚さ方向に貫通する貫通穴のうち、一方向の長さがこれと直交する方向の長さよりも長い部分を有する長穴が、前記長い部分の穴内面に、その長手方向と直交する内方に向けて部分的に突出する樹脂導入突部を有するようにプレスで打ち抜き形成され、
後段の、前記金属コア板とプリプレグと金属箔を積層して加熱プレスによる積層工程で、前記プリプレグの樹脂を前記長穴の内方に導いて前記長穴に樹脂を充填する
金属コアプリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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