説明

金属ポルフィリンによるC型肝炎感染症の治療

本発明は、金属ポルフィリンによるC型肝炎感染症の治療に関する。特に、本発明は、NS5Aタンパク質が、ポリタンパク質切断、インターフェロン応答及び細胞内シグナル伝達経路に関与することにより、HCVのRNAの複製において重要な役割を果たすという発見に基づく。金属ポルフィリン、例えば亜鉛ポルフィリンが、ユビキチン−プロテアソーム分解経路におけるHCVのNS5Aタンパク質の翻訳後のダウンレギュレーションを誘導することが見出されている。すなわち、金属ポルフィリンを使用して、NS5Aタンパク質の異化に関するユビキチン−プロテアソーム経路を活性化することができる。その結果、金属ポルフィリンを使用して、HCVに感染した細胞におけるHCVのウイルス複製を顕著に抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎感染症の治療のための方法及び製剤に関する。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発
本発明は、NIH/NIDDKにより与えられたRO1−DK38825の下で米国政府の支援を受けてなされたものである。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)により引き起こされる肝臓の血液感染性の感染性疾患である。HCVは、肝硬変及び肝癌を含む急性肝炎及び慢性肝疾患の主因である。C型肝炎は、世界で1億8000万人を超える人々に感染しており、米国で400万人の人々に感染していると推定されている。C型肝炎は、米国における肝臓移植の主要な原因であり、米国において1年に約10000人〜20000人の死亡はHCV感染症に起因する。
【0004】
HCVは、長さおよそ9.6kbのプラス鎖RNAウイルスであり、フラビウイルス科におけるヘパシウイルス属の唯一の既知のメンバーである。HCVは、後に構造タンパク質(C、E1、E2)及び非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A及びNS5B)にプロセシングされる、およそ3010個のアミノ酸を有する単一のポリタンパク質をコードする。非構造ウイルスタンパク質は、新たなプラス鎖ウイルスゲノムの生成のための複製鋳型として働くマイナス鎖RNAの合成を開始する。非構造5A(NS5A)タンパク質は、HCVタンパク質の重要な構成要素であり、機能がほとんど未知の447アミノ酸のリン酸化亜鉛−金属タンパク質である。最近の研究により、NS5Aが、ウイルスのRNA複製に関しては直接的に、並びにウイルスに有利なように宿主細胞環境を調整すること、及びJFH1に感染した細胞におけるC型肝炎ウイルス粒子の集合により間接的に、HCVの複製において重要な役割を果たすことが示されている。
【0005】
HCV感染症に対する治療の最も一般的な形態は、ペグ化インターフェロンα及び抗ウイルス薬リバビリンの組合せである。治療期間は、遺伝子型にもよるが、一般的に24週間又は48週間である。治療の適応は、確定診断されたC型肝炎ウイルス感染症及び持続的な肝機能検査異常を有する患者を含む。しかしながらこの治療は、治療された者のうち46%もの者には持続的なウイルス学的応答をもたらすことができない。該治療は、「インフルエンザ様」症候群から重度の有害事象(貧血、循環器系の事象、及び精神医学的な問題、例えば自殺又は自殺念慮を含む)までにわたる好ましくない副作用も有する。またペグ化インターフェロンα及びリバビリンの組合せに基づく現在の治療は高価であり、一般的に発展途上国の患者には費用がかかりすぎる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、HCV感染症の治療のための新たな治療に対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、感染した細胞におけるNS5A細胞のレベルを低減させることによってHCV感染症に罹患している細胞又は哺乳動物を治療する方法及び製剤を提供することにより、上述の必要性の少なくとも幾つかを満たす。NS5Aタンパク質レベルの低減は、本発明に従って、金属ポルフィリンを用いてC型肝炎感染症を治療することにより達成される。特に、本発明は、NS5Aタンパク質が、ポリタンパク質切断、インターフェロン応答及び細胞内シグナル伝達経路に関与することによりHCVのRNA複製において主要な役割を果たすという発見に基づく。金属ポルフィリン、例えば亜鉛ポルフィリンが、ユビキチン−プロテアソーム分解経路においてHCVのNS5Aタンパク質の翻訳後のダウンレギュレーションを誘導することが見出されている。すなわち、金属ポルフィリンを使用して、NS5Aタンパク質異化に関するユビキチン−プロテアソーム経路を活性化することができる。結果として、金属ポルフィリンを使用して、HCVに感染した細胞におけるHCVのウイルス複製を顕著に抑制することができる。
【0008】
本発明では、金属ポルフィリンが、約19.8時間から約1.2時間までNS5Aタンパク質の半減期を減少させること、及びNS5Aのポリユビキチン化を顕著に誘導することにより、NS5Aタンパク質の安定性を低減させることが見出されている。結果として、HCVのRNA複製を顕著に低減させることができる。ユビキチン(Ub)は初めに、8.5kDの推定分子量を有し、76アミノ酸から構成される、真核生物細胞において高度に保存された低分子タンパク質として同定された。ユビキチン−プロテアソーム分解経路は、多くの細胞プロセス、例えば細胞周期、DNA修復、胚発生、転写及びアポトーシスの制御における重要な制御システムとして一般に認められている。ユビキチン−プロテアソーム経路では、タンパク質基質は初めに、複数のユビキチン分子との共有結合により分解のために標識され(ポリユビキチン化)、その後26Sプロテアソーム(2000kDaのATP依存性タンパク質分解複合体)により加水分解される。したがって、NS5Aタンパク質のポリユビキチン化の誘導は、HCVのRNA複製の低減をもたらし得る。金属ポルフィリンを使用して、HCVタンパク質を安定に発現するヒトヘパトーマ細胞においてNS5Aタンパク質レベルを用量依存的にダウンレギュレートすることができることがさらに見出されている。
【0009】
1つの好ましい実施形態では、HCV感染症を治療する方法は、亜鉛ポルフィリン、例えば亜鉛メソポルフィリン(ZnMP)又は亜鉛プロトポルフィリンで、感染した細胞を処理する工程を含む。ZnMP及びZnPPの両方が、NS5Aのポリユビキチン化を誘導し、抗ウイルス活性を示すことが見出されている。亜鉛ポルフィリンは、概して無傷肝細胞によって容易に取り込まれるため、HCV感染症の治療において特に有用であることが見出されている。
【0010】
1つの実施形態では、本発明は、HCV感染症の治療のための製剤にも関する。1つの特定の実施の形態では、本発明は、亜鉛ポルフィリンとアルブミンとを含む製剤を提供する。亜鉛ポルフィリンは、アルブミン複合体として投与された場合、非毒性であり、肝臓及び脾臓により優先的に取り込まれる。
【0011】
さらなる1つの実施形態では、金属ポルフィリンを他の抗ウイルス治療薬と組み合わせて使用して、相加効果又は相乗効果をもたらすことができることが発見されている。例えば、本発明による製剤は、金属ポルフィリンと1つ以上のインターフェロン、例えばα−インターフェロン、β−インターフェロン及び/又はγ−インターフェロンとの組合せを含み得る。
【0012】
したがって、本発明は、HCV感染症の治療のための方法及び製剤を提供する。
【0013】
このように本発明を包括的な用語で説明したが、添付の図面(必ずしも正確な縮尺で描かれていない)を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】9−13細胞におけるNS5Aに対する様々な濃度の亜鉛メソポルフィリンの効果を示すウエスタンブロット及び付随する棒グラフである。
【図1B】Con1細胞におけるNS5Aに対する様々な濃度の亜鉛メソポルフィリンの効果を示すウエスタンブロット及び付随する棒グラフである。
【図1C】CNS3細胞におけるコアタンパク質レベルに対する様々な濃度の亜鉛メソポルフィリンの効果を示すウエスタンブロット及び付随する棒グラフである。
【図1D】pFK−Con1/GNDをトランスフェクトしたHuh−7/T7細胞におけるNS5A及びコアタンパク質レベルに対する様々な濃度の亜鉛メソポルフィリンの効果を示すウエスタンブロット及び付随する棒グラフである。
【図2A】DMSO、メソポルフィリン及び塩化亜鉛と比較して、NS5Aタンパク質レベルに対する亜鉛メソポルフィリンの効果を示すウエスタンブロット及び付随する棒グラフである。
【図2B】スズメソポルフィリンと比較して、NS5Aタンパク質レベルに対する亜鉛メソポルフィリンの効果を示すウエスタンブロット及び付随する棒グラフである。
【図3】NS5Aタンパク質レベルに対する亜鉛キレート剤N,N,N,N−テトラキス−(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン(TEPN)の効果を示すウエスタンブロット及び付随する棒グラフである。
【図4A】亜鉛メソポルフィリンで処理した肝細胞においてNS5Aタンパク質のおおよその半減期を決定するための、シクロヘキシミド[CHX](タンパク質合成の阻害剤)の存在下におけるNS5Aのタンパク質レベルに対する亜鉛メソポルフィリンの効果を示すウエスタンブロットである。
【図4B】パネルAにおけるバンドの強度を示す棒グラフである。
【図4C】NS5Aタンパク質の半減期に対する亜鉛メソポルフィリンの効果を示すグラフである。
【図5A】ZnMP、及び種々の濃度のエポキソミシン又はMG132で処理した9−13細胞におけるNS5Aタンパク質レベルに対する効果を示すウエスタンブロットである。
【図5B】ZnMP、及び種々の濃度のエポキソミシン又はMG132で処理した9−13細胞におけるNS5Aタンパク質レベルに対する効果を示す正規化した棒グラフである。
【図5C】ZnMPの非存在下でエポキソミシン又はMG132で処理した9−13細胞におけるNS5Aタンパク質レベルに対する効果を示すウエスタンブロットである。
【図6A】ZnMP処理後、免疫沈降(IP)の前のNS5Aの分解を示すウエスタンブロット分析を示す図であり、ZnMPによるNS5Aのダウンレギュレーションを示す。
【図6B】ZnMP処理後のNS5Aのポリユビキチン化を対照と比較して示す、免疫沈降及びイムノブロッティング(IB)分析を示す図である。
【図6C】パネルBにおいてNS5Aタンパク質が免疫沈降したことを示すイムノブロッティング(IB)分析を示す図である。
【図7A】Con1細胞におけるHCVのRNAに対するZnMPの用量効果を示す棒グラフである。
【図7B】Con1細胞におけるHCVタンパク質レベルに対する亜鉛メソポルフィリンの効果を示すウエスタンブロット及び付随する棒グラフである。
【図7C】pFK−Con1/GNDをトランスフェクトしたHuh−7/T7細胞におけるNS5A及びコアタンパク質レベルに対する様々な濃度の亜鉛メソポルフィリンの効果を示すウエスタンブロット及び付随する棒グラフである。
【図7D】pFK−Con1/GDDをトランスフェクトしたHuh−7/T7細胞におけるNS5A及びコアタンパク質レベルに対する様々な濃度の亜鉛メソポルフィリンの効果を示すウエスタンブロット及び付随する棒グラフである。
【図8A】JFH1ベースの細胞培養系における4時間の処理後のNS5A及びコアタンパク質レベルに対するZnMPの効果を示すウエスタンブロット分析を示す図である。
【図8B】JFH1ベースの細胞培養系における4時間の処理後のNS5A及びコアタンパク質レベルに対するZnMPの効果を示す棒グラフである。
【図8C】JFH1ベースの細胞培養系における24時間の処理後のNS5A及びコアタンパク質レベルに対するZnMPの効果を示すウエスタンブロット分析を示す図である。
【図8D】JFH1ベースの細胞培養系における24時間の処理後のNS5A及びコアタンパク質レベルに対するZnMPの効果を示す棒グラフである。
【図8E】J6/JFH1のRNAをトランスフェクトしたHuh−7.5細胞におけるHCVのRNA複製に対するZnMPの効果を示す棒グラフである。
【図8F】J6/JFH1 HCVに感染したHuh−7.5細胞におけるHCVのRNA複製に対するZnMPの効果を示す棒グラフである。
【図9A】9−13細胞におけるNS5Aタンパク質レベルに対するα−インターフェロンの効果を示すウエスタンブロット及び付随する棒グラフである。
【図9B】9−13細胞におけるNS5Aタンパク質レベルに対する亜鉛メソポルフィリンの効果を示すウエスタンブロット及び付随する棒グラフである。
【図9C】9−13細胞におけるNS5Aタンパク質レベルに対するα−インターフェロン及び亜鉛メソポルフィリンの組合せの効果を示すウエスタンブロット及び付随する棒グラフである。
【図10】細胞毒性に対するZnMPの用量効果及び経時効果を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を以下に、全てではないが幾つかの本発明の実施形態を示す添付の図面を参照してより十分に説明する。実際に、これらの発明は多くの様々な形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定するものと解釈すべきではない。むしろこれらの実施形態は、本開示が、適用される法的要件を満たすように提示されるものである。全体を通じて、類似の番号は類似の要素を表す。
【0016】
本発明は、金属ポルフィリンによりC型肝炎ウイルス感染症を治療する方法に関する。一実施形態では、本発明は、HCVに感染した細胞を処理する方法、特に金属ポルフィリンにより患者におけるC型肝炎ウイルス感染症を治療する方法に関する。本発明の実施形態は、C型肝炎ウイルス感染症の治療のための金属ポルフィリンを含む医薬製剤にも関する。好ましい一実施形態では、本発明は、亜鉛ポルフィリンによりC型肝炎ウイルス感染症を治療する方法に関する。
【0017】
本発明の発明者らは、金属ポルフィリンを使用して、HCV複製を阻害することによりHCV感染症を治療することができることを発見した。NS5Aは、ポリタンパク質切断、インターフェロン応答及び細胞内シグナル伝達経路に関与することによりHCVの複製において重大な役割を果たす。本発明では、金属ポルフィリンによって宿主細胞におけるHCVのNS5Aタンパク質の量を制御することにより、HCV複製が低減すると考えられている。理論に拘束されることを望むものではないが、金属ポルフィリンが、NS5Aタンパク質のユビキチン−プロテアソーム分解経路を媒介することにより、HCVに感染した細胞におけるHCVのウイルス複製を抑制すると考えられている。結果として、感染した細胞におけるNS5Aタンパク質の量を顕著に低減させることにより、HCVのRNAの複製を低減させることができる。
【0018】
本発明では、金属ポルフィリンが、約19.8時間から約1.2時間にNS5Aタンパク質の半減期を減少させることによりNS5Aタンパク質の安定性を低減させること、及びNS5Aのポリユビキチン化を顕著に誘導することが見出されている。結果として、HCVのRNAの複製を顕著に低減させることができる。ユビキチン(Ub)は初めに、8.5kDの推定分子量を有し、76アミノ酸から構成される、真核生物細胞において高度に保存された低分子タンパク質として同定された。ユビキチン−プロテアソーム分解経路は、多くの細胞プロセス、例えば細胞周期、DNA修復、胚発生、転写及びアポトーシスの制御における重要な制御システムとして一般に認められている。ユビキチン−プロテアソーム経路では、タンパク質基質は初めに、複数のユビキチン分子との共有結合により分解のために標識され(ポリユビキチン化)、その後26Sプロテアソーム(2000kDaのATP依存性タンパク質分解複合体)により加水分解される。したがって、NS5Aタンパク質のポリユビキチン化の誘導は、HCVのRNAの複製の低減をもたらし得る。亜鉛ポルフィリンを使用して、HCVタンパク質を安定に発現するヒトヘパトーマ細胞においてNS5Aタンパク質レベルを用量依存的にダウンレギュレートすることができることがさらに見出されている。
【0019】
一実施形態では、NS5Aタンパク質の半減期を、約0.5〜3時間に低減させ、好ましくは約0.8〜1.5時間、より好ましくは約1〜1.2時間に低減させる。上述したように、NS5Aタンパク質の半減期の低減は、HCVの複製能力に対する顕著な効果を有する。
【0020】
金属ポルフィリンは、1つの炭素原子又は1つの窒素原子の架橋がそれぞれピロールを連結して特徴的なテトラピロール環構造(該テトラピロール環には金属イオンが挿入されている)を形成する大環状化合物である。ポルフィリン構造は、それと結合した様々なリガンド及び部分も含み得る。好適な金属の例は、Fe、Co、Zn、Mn、Cr、Ni、Mg及びCuを含み得るがこれらに限定されない。好ましい一実施形態では、本発明における使用のための金属ポルフィリンは、亜鉛メソポルフィリン、亜鉛プロトポルフィリン、ヘム及びコバルトプロトポルフィリン、並びにそれらの組合せからなる群から選択される。本発明において使用することができる金属ポルフィリンの他の有機金属誘導体は、例えば、亜鉛ジュウテロポルフィリン、亜鉛ジュウテロポルフィリンビスグリコール、コバルトプロトポルフィリン、コバルトメソポルフィリン、コバルトジュウテロポルフィリン、コバルトジュウテロポルフィリンビスグリコール、ヘム、鉄メソポルフィリン、鉄ジュウテロポルフィリン及び鉄ジュウテロポルフィリンビスグリコールを含む。
【0021】
本発明は、治療的に有効な量及び/又は予防的な量の、金属ポルフィリン又はその製薬学的に許容可能な塩を含有する製剤を、治療を必要とする患者に投与することにより、HCV感染症を治療及び/又は改善する方法を提供する。「治療的に有効な量」は、或る哺乳動物に対する活性成分(例えば金属ポルフィリン又はその製薬学的に許容可能な塩)の量が、HCV感染症を治療及び/又は改善するのに効果的であることを意味する。好ましい一実施形態では、本発明は、ヒト患者におけるHCV感染症を治療及び/又は改善する方法に関する。
【0022】
一実施形態では、本発明の金属ポルフィリン製剤の剤形(組成物)は、1単位当たり約0.1〜20mg/kg体重/日の活性成分、特に1単位当たり約10〜80ミリグラムの活性成分、例えば1単位当たり約14〜75ミリグラム、20〜70ミリグラム、35〜65ミリグラム、40〜50ミリグラム、又は約40〜45ミリグラムの活性成分を含有し得る。一実施形態では、金属ポルフィリンの単位用量は、一般的に5〜1000mgを含有し、好ましくは30〜500mg、特に50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg又は500mgを含有する。
【0023】
一実施形態では、金属ポルフィリンを含有する製剤を1日1回以上、例えば1日2回、3回又は4回投与することができ、70kgの成体に対する総1日量は通常100〜3000mgの範囲である。代替的には単位用量は、2〜20mgの金属ポルフィリンを含有していてもよく、上述の1日量を与えるために必要に応じて複数回に分けて投与してもよい。これらの医薬組成物では、活性成分は通常、製剤の総重量に基づき約0.5〜95重量%の量で存在する。
【0024】
様々な実施形態によれば、本発明の製剤を様々な方法で(例えば経腸的に及び静脈内に)、それを必要とする患者に投与することができる。例えば、本発明による製剤を、液体、固体、ゲル、又はそれらの組合せの形態で調製することができる。好ましい一実施形態では、本発明による製剤は、固体用量形態、例えば錠剤又はカプセルで提供される。
【0025】
HCV感染症の治療に使用するために、一般的な指針として、金属ポルフィリンの1日当たりの経口投与量は、一般的に約0.1〜1000mg/kg体重の範囲であり得る。
【0026】
例えば、錠剤又はカプセルの形態での経口投与のために、活性成分を、ラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール等を含むがこれらに限定されない経口用、非毒性の製薬学的に許容可能な不活性担体と組み合わせることができる。さらに、望ましい又は必要な場合には、好適な結合剤、滑剤、崩壊剤及び着色剤を、混合物中に組み込むこともできる。好適な結合剤は、デンプン、ゼラチン、天然の糖(例えばグルコース又はβ−ラクトース)、コーン甘味剤、天然及び合成のガム(例えばアカシア、トラガカント又はアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス等を含み得る。これらの剤形において使用される滑剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等を含み得る。崩壊剤は、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等を含むがこれらに限定されない。
【0027】
一実施形態では、金属ポルフィリンが約10:1〜1:1のモル比でヒト血清アルブミン(HAS)と結合した製剤において金属ポルフィリンを投与する。ヒト血清アルブミンの使用は、金属ポルフィリンの肝細胞中への取り込みを増強するのを助ける。さらに、アルブミン複合体として投与した場合、該製剤は非毒性であり、肝臓及び脾臓によって優先的に取り込まれる。
【0028】
幾つかの実施形態では、本発明の金属ポルフィリンを含有する製剤を、標的指向性(targetable)の薬剤担体である可溶性ポリマーと結合させることもできる。このようなポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド−ポリリジンを含み得る。一実施形態では、本発明の製剤を、薬剤の制御放出を達成するのに有用な種類の生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸及びポリグリコール酸のコポリマー、ポリεカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアシレート、並びに架橋された又は両親媒性のヒドロゲルのブロックコポリマーと結合させることができる。
【0029】
本発明の特定の実施形態では、本発明の金属ポルフィリン及び/又はその組成物を、少なくとも1つの他の治療剤との併用療法に使用することができる。本発明の化合物及び/又はその組成物並びに治療剤は、相加的に、又はより好ましくは相乗的に作用し得る。本発明の化合物及び/又はその組成物を、他の治療剤(複数可)の投与と同時に投与してもよく、又は他の治療剤(複数可)の投与の前に若しくはその後に投与してもよい。
【0030】
一実施形態では、本発明の化合物及び/又はその組成物は、HCVの治療又は予防に効果的であることが知られている他の抗ウイルス剤又は他の治療法との併用療法に使用される。具体的な例として、本発明は、既知の抗ウイルス剤、例えばインターフェロン−α、リバビリン(例えば米国特許第4,530,901号を参照されたい)、テラプレビル、HCVプロテアーゼ及びポリメラーゼ阻害剤と、組み合わせて使用することができる本発明の金属ポルフィリン化合物及び/又はその組成物の組合せを投与することによりHCV感染症を治療する方法を提供する。
【0031】
さらに別の具体的な例では、本発明の化合物及び/又はその組成物を、インターフェロン、例えばα−インターフェロン、β−インターフェロン及び/又はγ−インターフェロンと組み合わせて使用することができる。インターフェロンは修飾されていなくてもよく、又はポリエチレングリコールのような部分で修飾されていてもよい(ペグ化インターフェロン)。多くの好適な非ペグ化インターフェロン及びペグ化インターフェロンが市販されており、例えば組換えインターフェロンアルファ−2b、例えばIntron−Aインターフェロン(Schering Corporation、ケニルワース、ニュージャージー州から入手可能)、組換えインターフェロンアルファ−2a、例えばRoferonインターフェロン(Hoffmann−La Roche、ナットレー、ニュージャージー州から入手可能)、組換えインターフェロンアルファ−2C、例えばBeroforアルファ2インターフェロン(Boehringer Ingelheim Pharmaceutical, Inc.、リッジフィールド、コネティカット州から入手可能)、インターフェロンアルファ−n1、天然アルファインターフェロンの精製混合物、例えばSumiferon(大日本住友製薬株式会社、日本から入手可能)若しくはWellferonインターフェロンアルファ−n1(INS)(Glaxo−Wellcome Ltd.、ロンドン、英国から入手可能)、又はコンセンサスアルファインターフェロン、例えば米国特許第4,897,471号及び同4,695,623号(特にその実施例7、実施例8又は実施例9)に記載されているもの、並びに特定の製品(Three Rivers Pharmaceuticals、クランベリー・タウンシップ、ペンシルバニア州から入手可能)、又はインターフェロンアルファ−n3、天然アルファインターフェロンの混合物、(Interferon Sciencesにより製造され、商品名AlferonでPurdue Frederick Co.、ノーウォーク、コネティカット州から入手可能)、ペグ化インターフェロン−2b(商品名PEG−Intron Aで、Schering Corporation、ケニルワース、ニュージャージー州から入手可能)、並びにペグ化インターフェロン−2a(商品名PegasysでHoffmann−LaRoche、ナットレー、ニュージャージー州から入手可能)を含むがこれらに限定されない。
【0032】
特定の一実施形態では、本発明は、金属ポルフィリンとインターフェロンとの組合せを含むHCV感染症の治療のための医薬製剤を提供する。一実施形態では、該製剤は、1単位当たり約0.1〜20mg/kg(BW)の金属ポルフィリン、及び1単位当たり約0.5〜5mcg/kg(BW)のインターフェロンを含む。
【0033】
以下の実施例は例示のみのために示すものであり、本発明を限定するものとは決して解釈すべきでない。
【実施例】
【0034】
以下の記載は、HCV感染症の治療における金属ポルフィリンの使用を評価するために使用した試薬及び手順の簡単な説明である。
【0035】
[試薬及び抗体]
亜鉛メソポルフィリン(ZnMP)を、Frontier Scientific(ローガン、ユタ州)から購入した。
亜鉛プロトポルフィリン(ZnPP)を、Frontier Scientific(ローガン、ユタ州)から購入した。
スズメソポルフィリン(SnMP)メソポルフィリンを、Frontier Scientific(ローガン、ユタ州)から購入した。
ジメチルスルホキシド(DMSO)を、Fisher Biotech(フェアローン、ニュージャージー州)から購入した。
マウス抗HCV NS5Aモノクローナル抗体を、Virogen(ウォータータウン、マサチューセッツ州)から取得した。
ウサギ抗HCV NS5Aポリクローナル抗体を、Virogen(ウォータータウン、マサチューセッツ州)から取得した。
マウス抗HCVコアモノクローナル抗体を、Affinity BioReagent(ゴールデン、コロラド州)から取得した。
ヤギ抗ヒトGAPDHポリクローナル抗体を、Santa Cruz(サンタクルーズ、カリフォルニア州)から購入した。
ECL−Plusを、Amersham(ピスカタウェイ、ニュージャージー州)から取得した。
エポキソミシン及びMG132を、Sigma−Aldrich(セントルイス、ミズーリ州)から取得した。
BCAタンパク質アッセイ試薬を、Pierce(ロックフォード、イリノイ州)から取得した。
ダルベッコ修正イーグル培地(DMEM)及びウシ胎仔血清(FBS)を、HyClone(ローガン、ユタ州)から取得した。
TRIzol及びzeocinを、Invitrogen(カールズバッド、カリフォルニア州)から購入した。
G418を、Gibco(グランドアイランド、ニューヨーク州)から取得した。
CellTiter−Glo(登録商標)試薬を、Promega(マディソン、ウィスコンシン州)から取得した。
プライマーは、Integrated DNA Technologies(コーラルヴィル、アイオワ州)により合成されたものとした。
勾配4〜15%のSDS−PAGEゲル及びImmunBlot PVDF膜を、Bio−Rad(ハーキュリーズ、カリフォルニア州)から購入した。
【0036】
[細胞培養]
細胞株9−13、CNS3及びHuh−7/T7は、Dr.Ralf.Bartenschlager(ハイデルベルグ大学(ハイデルベルグ、独国))から提供を受けた。複製HCV非構造領域を含有する9−13細胞は、HCVのNS3からNS5Bを安定に発現する。CNS3細胞は、HCVのコアからNS3(Con1単離体の1位〜1233位のアミノ酸残基、Gene Bankアクセッション番号AJ238799)を安定に発現する。Huh−7/T7細胞は、バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼを構成的に発現する。細胞を、10%(v/v)FBS、及び9−13細胞に関しては500μg/mLのG418、CNS3細胞に関しては10μg/mLのzeocin、又はHuh−7/T7細胞に関しては5μg/mLのzeocinを添加したDMEMにおいて維持した。Con1(サブタイプ1b)全長レプリコンHuh−7.5細胞(Con1細胞)は、Dr.Charles M.Rice(ロックフェラー大学、ニューヨーク、ニューヨーク州)から提供を受けた。Con1細胞株は、ポリペプチドの2204位のアミノ酸において高度に適応的なセリンからイソロイシンへの置換を有する全長HCV遺伝子型1bレプリコンを含有するHuh−7.5細胞集団である。Con1細胞を、10%(v/v)FBS、並びに0.1mMの非必須アミノ酸、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、及び選択抗生物質として750μg/mLのG418を添加したDMEMにおいて維持した。
【0037】
[ウエスタンブロット]
ウエスタンブロットを、Hou et al.の「亜鉛メソポルフィリンが転写因子Bach1の迅速かつ顕著な分解を誘導し、HO−1をアップレギュレートする(Zinc mesoporphyrin induces rapid and marked degradation of the transcription factor Bach1 and up−regulates HO−1)」、Biochim Biophys Acta 2008;1779:195−203に記載のように、本発明者らの研究室の標準的なプロトコルを使用して行った。簡潔に述べると、全タンパク質(30〜50μg)を勾配4〜15%のSDS−PAGEゲル上で分離した。ImmunBlot PVDF膜上への電気泳動転写の後、膜を、5%脱脂粉乳及び0.1%Tween−20を含有するPBS中で1時間ブロッキングし、その後一次抗体と共に4℃で一晩インキュベートした。一次抗体の希釈倍率は以下の通りとした。抗HCV NS5A抗体及び抗GAPDH抗体については1:2000、並びに抗HCVコア抗体については1:5000。その後膜を、セイヨウワサビペルオキシダーゼ結合二次抗体(希釈倍率1:10000)と共に1時間インキュベートした。最後に、結合した抗体を、製造業者のプロトコルに従ってECL−Plus化学発光システムにより可視化した。Kodakの1DV3.6コンピュータ式画像化システム(ロチェスター、ニューヨーク州)を使用して、ウエスタンブロッティング後に得られた各特異的バンドの相対的な光学密度を測定した。データを、1の値を割り当てられた対照(ビヒクルで処理した細胞により得られた値に対応する)に対する百分率として表す。
【0038】
[pFK−Con1/GDD又はpFK−Con1/GNDのトランスフェクション]
pFK−Con1/GDD構築物及びpFK−Con1/GND構築物(遺伝子型1b)は、Dr.R.Bartenschlager(ハイデルベルグ大学、ハイデルベルグ、独国)から贈呈された。pFK−Con1/GND構築物は、NS5Bポリメラーゼ活性部位のGDDモチーフをGNDへと変化させる1アミノ置換を有するpFK−Con1/GDDの複製欠損変異体であった。pFK−Con1/GDD又はpFK−Con1/GNDのトランスフェクションを、以下の手順に記載したように行った。簡潔に述べると、T7 RNAポリメラーゼを安定に発現するHuh−7/T7細胞を、トランスフェクションの1日前に24ウェルプレートに播種し、80%コンフルエンスまで増殖させた。製造業者の取扱説明書に従って、Lipofectamine及びPlus Reagent(Invitrogen、カールズバッド、カリフォルニア州)により、細胞を、0.8μg/ウェルのpFK−Con1/GDD又はpFK−Con1/GNDを48時間トランスフェクトした。
【0039】
[in vitro転写、HCVのRNAのトランスフェクション及び感染]
HCV感染性クローンpJ6/JFH1は、Dr.C.Rice(ロックフェラー大学、ニューヨーク、ニューヨーク州)から提供を受けた。全長キメラゲノムを、Lindenbach et alにより記載されたように、感染性J6(遺伝子型2a)由来のコア−NS2遺伝子領域、及び感染性JFH1(遺伝子型2a)由来のNS3−NS5B遺伝子領域を使用して構築した。HCV J6/JFH1のRNAを生成するために、pJ6/JFH1プラスミドを、XbaIで直線化し、エタノール沈殿、プロテイナーゼKでの消化、フェノール−クロロホルム抽出により精製した。直線化したプラスミドを、MEGAscript T7キット(Ambion、オースティン、テキサス州)を使用するin vitro転写のための鋳型として使用した。HCVのRNAのトランスフェクションのために、Huh−7.5細胞を、トランスフェクションの1日前に24ウェルプレートに播き、70〜80%コンフルエンスをトランスフェクトした。2μg/ウェルのHCVのRNA及び4μL/ウェルのLipofectamine2000(Invitrogen、カールズバッド、カリフォルニア州)を使用することにより、1:2のRNA/lipofectamine比率で、細胞を48時間トランスフェクトした。HCV感染のために、HCVのRNAを48時間トランスフェクトした細胞からの細胞培養上清を収集し、0.20μmフィルターを通して濾過し、24ウェルプレートにおいてナイーブHuh−7.5細胞を72時間感染させた。
【0040】
[免疫沈降(IP)]
免疫沈降を、製造業者のプロトコルに従って実施した。簡潔に述べると、細胞を、低温の放射免疫沈降アッセイ(RIPA)緩衝液(50mMのTris−HCl[pH7.4]、150mMのNaCl、1mMのEDTA、0.25%のデオキシコール酸ナトリウム、1%のIGEPAL CA−630、1mMのPMSF、1mMのNaF、1mMのNaVO、並びに各々1μg/mlのアプロチニン、ロイペプチン及びペプスタチン)中に回収した。試料を、プロテインA/Gアガロースにより4℃で10分間予め清掃し(pre−cleared)、その後一次抗体と共に4℃で一晩穏やかに回転させながらインキュベートし、その後プロテインA/Gビーズで4℃で1時間インキュベートした。ビーズを遠沈させ、RIPA緩衝液で2回洗浄した。タンパク質試料を、4〜15%SDS−PAGEゲル上における電気泳動により分離し、PVDF膜に移し、ウエスタンブロット分析に関して記載したように、結合したユビキチンを抗ユビキチン抗体を使用して検出した。
【0041】
[定量的RT−PCR]
処理した細胞からの全RNAを抽出し、Hou et alに記載されるようにcDNAを合成した。リアルタイム定量的RT−PCRを、Bio−Rad(ハーキュリーズ、カリフォルニア州)のMyiQ(商標)単色リアルタイムPCR検出システム、及びiQ(商標)SYBR Green SupermixリアルタイムPCRキット(Bio−Rad)を使用して行った。鋳型を含まずかつ逆転写酵素を含まない試料を陰性対照として含むものとし、該試料は予想通り無視できる程度のシグナルしか産生しなかった(Ct値>35)。倍率の変化値を、同じ試料中のGAPDHの量に対して正規化した後で比較Ct分析により算出した。
【0042】
[タンパク質半減期の決定]
9−13細胞を、10μMのZnMPの存在下又は非存在下において100μg/mLのシクロヘキシミド(CHX)と共にインキュベートした。ウエスタンブロットを、抗HCV NS5A抗体及び抗GAPDH抗体を使用して行った。ウエスタンブロットのバンド強度を、デンシトメトリー分析により測定した。GAPDHのバンドを、タンパク質負荷量に関して補正するための内部標準として使用した。
【0043】
[細胞生存度アッセイ]
処理した細胞の細胞毒性に対するZnMPの効果を、CellTiter−Glo(登録商標)試薬を使用して、代謝的に活性な細胞の存在を示すATPの存在の定量化に基づいて生細胞の数を決定することにより測定した。細胞を、処理の24時間前に2500〜5000細胞/ウェルで96ウェルプレート中に播いた。細胞を、表示した濃度のZnMPで、2時間、6時間及び24時間、三連で(in triplicate)処理し、等容量のCellTiter−Glo(登録商標)試薬を各ウェルの細胞培養培地に添加した。発光を、積分時間が0.25〜1秒間に設定されたBio−Tek(ウィヌースキ、バーモント州)のSynergy HTマイクロプレートリーダーにおいて読み取った。発光の減少を、細胞の細胞毒性の指標とした。
【0044】
[統計解析]
初期の解析により、結果が正規分布していることが示された。したがって、パラメトリックな統計手法を使用した。スチューデントのt検定又はANOVAを使用して(必要に応じて)、試料間の差異を解析した。P<0.05の値を統計的に有意とみなした。実験を少なくとも3回繰り返して、同様の結果を得た。全ての実験が、各処理群に関して少なくとも三連の試料を含むものとした。単一の実験からの代表的な結果を示す。統計解析を、SAS研究所(カリー、ノースカロライナ州)のJMP4.0.4ソフトウェアにより行った。
【0045】
[実施例1]
この実施例では、ZnMPによるHCVタンパク質のダウンレギュレーションを調査した。種々の濃度のZnMP(0μM、1μM、5μM、10μM)に4時間曝露した9−13細胞及びCon1細胞におけるNS5Aタンパク質レベル、CNS3細胞におけるコアタンパク質レベル、並びにpFK−Con1/GND(Con1の複製欠損変異体をコードするプラスミド)をトランスフェクトしたHuh−7/T7細胞におけるNS5A及びコアタンパク質レベルを評価した。処理後、細胞を回収し、全タンパク質を単離した。タンパク質を、4〜15%SDS−ポリアクリルアミドゲル上で分離し、PVDF膜に移し、抗HCV NS5A抗体、抗HCVコア抗体又はGAPDH特異的抗体で探索し、NS5A、コア又はGAPDHに対応するバンドを、上で記載したようなECL−Plus化学発光により検出した。図において、NS5Aの量又はコアタンパク質レベルを、処理により変化しないGAPDHに対して正規化した。ビヒクルのみで処理した細胞についての値を1と設定した。データを、三連の試料からの平均値±SEとして示す。は、ビヒクルのみと異なる(P<0.05)。
【0046】
図1A及び図1Bのウエスタンブロットに示すように、細胞をZnMPに曝露することにより、9−13細胞及びCon1細胞におけるNS5Aタンパク質レベルの用量依存的な顕著な減少がもたらされた。さらに、亜鉛ポルフィリンの効果は選択的かつ特異的であった。すなわち、図1C及び図1Dに見ることができるように、CNS3細胞、及びpFK−Con1/GNDをトランスフェクトしたHuh−7/T7細胞におけるHCVコアタンパク質レベルに対するZnMPの効果は検出不可能であった。付随する棒グラフにより、金属ポルフィリンの投与がNS5Aタンパク質のレベルを有意に低減させることができることが示される。例えば、NS5Aタンパク質レベルは、約1μMのポルフィリンの投与に関する約60%から、約5μMのポルフィリンの投与に関する約80%〜90%まで低減した。特に、10μMの用量の亜鉛ポルフィリンの投与がNS5Aタンパク質のレベルを4時間後に約90%〜95%低減させたことを見ることができる。
【0047】
加えて、タンパク質レベルは、10μMの遊離メソポルフィリン又はZnClにより影響を受けないことが観察された。図2Aでは、DMSO、メソポルフィリン及び塩化亜鉛と比較して、NS5Aタンパク質レベルに対する亜鉛ポルフィリンの効果を比較する。この実施例では、9−13細胞をZnMP、遊離メソポルフィリン(Meso)又はZnClに4時間曝露し、その後全タンパク質の抽出を行った。ウエスタンブロットを、抗HCV NS5A抗体及びGAPDH特異的抗体を使用して行った。ZnMPはNS5Aタンパク質のレベルを減少させたが、単独でのメソポルフィリン及び亜鉛は、NS5Aタンパク質レベルに対して、もし有したとしても相対的に非常に小さい効果しか有しなかったことを見ることができる。
【0048】
別の競合的HO阻害剤であるスズメソポルフィリン(SnMP)は、NIH 3T3細胞においてBach1タンパク質レベルをダウンレギュレートし、HO−1遺伝子発現を誘導することが最近報告された。図2Bでは、9−13細胞でのNS5AのダウンレギュレーションにおけるZnMP及びSnMPの効果を比較した。9−13細胞を、10μMのZnMP又は10μMのSnMPで表示した時間(0時間、2時間、4時間、6時間)処理し、その後細胞を、プロテアーゼ阻害剤カクテルを含有する回収用緩衝液を使用して回収した。50μgの全タンパク質を、4〜15%SDS−ポリアクリルアミドゲル上にロードし、PVDF膜に移し、抗NS5A抗体及び抗GAPDH特異的抗体で検出し、その後ECL Plus化学発光により発色させた。図2Bに示すように、ZnMPは、わずか2時間のZnMPへの曝露後、NS5Aタンパク質レベルを顕著かつ迅速に減少させた。対照的に、NS5Aタンパク質レベルに対するSnMPの検出可能な効果は観察されなかった。NS5Aタンパク質の相対量を、処理により変化しないGAPDHの量に対して正規化した。ビヒクルのみで処理した細胞についての値を1と設定した。データを、三連の試料からの平均値±SEとして示す。は、ビヒクルのみと異なる(P<0.05)。
【0049】
[実施例2]
実施例2では、NS5Aタンパク質レベルに対する亜鉛キレート剤N,N,N,N−テトラキス−(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン(TEPN)の効果を調査した。9−13細胞を、ZnMP処理の30分前に、表示した濃度のTEPNで処理し、その後細胞を、ZnMP、又は対照としての単独でのビヒクル(DMSO)に4時間曝露した。全タンパク質を抽出した。NS5A及びGAPDHのタンパク質レベルを、ウエスタンブロットにより測定した。棒グラフは定量的な結果を示す。NS5Aタンパク質の相対量を、処理により変化しないGAPDHの量に対して正規化した。単独でのビヒクル由来のNS5Aのバンド強度を1に設定した。は、ビヒクルのみと異なる(P<0.05)。図3に示すように、亜鉛キレート剤TEPNは、9−13細胞におけるZnMPに媒介されるNS5Aタンパク質レベルの著しいダウンレギュレーションに影響を及ぼさなかった。
【0050】
[実施例3]
実施例3では、ZnMPによるNS5Aタンパク質のダウンレギュレーションを、該ダウンレギュレーションが翻訳後レベルで起こるか否かを決定するために調査した。9−13細胞を、10μMのZnMPの存在下又は非存在下において100μg/mLのシクロヘキシミド(CHX)で表示した期間(0時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間)処理し、その後細胞を回収し、全タンパク質を単離した。タンパク質を、4〜15%SDS−ポリアクリルアミドゲル上で分離して、PVDF膜に移し、抗HCV NS5A抗体又はGAPDH特異的抗体を使用して、ウエスタンブロットによりNS5A又はGAPDHのタンパク質レベルを検出した。図4A及び図4Bに示すように、ZnMP及びシクロヘキシミド(CHX)で処理した9−13細胞におけるNS5Aタンパク質レベルは、大きくかつ迅速に低減した。ZnMPで処理していない9−13細胞におけるNS5Aタンパク質レベルもCHXにより減少したが、その程度ははるかに低かった。10μMの濃度のZnMPが、NS5Aタンパク質の半減期(t1/2)を19.8時間から1.2時間まで減少させた(図4C)。図4B及び図4Cでは、図4Aにおけるバンドの強度を、デンシトメトリーにより定量化した。非処理の試料(0時間)由来のNS5Aのバンド強度を1と設定した。
【0051】
[実施例4]
哺乳動物において、タンパク質分解に関する2つの異なる系(リソソーム系及びユビキチン−プロテアソーム系)が見出されている。プロテアソーム依存性の分解経路は、主要なタンパク質分解経路の1つである。ZnMPによるNS5Aタンパク質の分解がプロテアソーム依存性であるか否かを理解するために、9−13細胞を、ZnMP(5μM、10μM)、並びに選択したプロテアソーム阻害剤、エポキソミシン(5μM、10μM)及びMG132(10μM、20μM)で処理した。9−13細胞を、ZnMP処理の30分前に、表示した濃度のMG132又はエポキソミシンで処理した。その後細胞を、ZnMP、又は対照としての単独でのビヒクルに4時間曝露した。全タンパク質を抽出した。NS5A及びGAPDHのタンパク質レベルを、上で記載したようにウエスタンブロットにより測定した。
【0052】
図5Aは、ZnMP(5μM、10μM)、及び種々の濃度のエポキソミシン(5μM、10μM)又はMG132(10μM、20μM)で処理した9−13細胞におけるNS5Aタンパク質レベルに対する効果を示すウエスタンブロットである。図5Bは、図5Aに示した結果に関する正規化した棒グラフである。単独でのエポキソミシン又はMG132は、9−13細胞におけるNS5Aタンパク質レベルに影響を及ぼさないことが見出された。エポキソミシン(5μM、10μM)及びMG132(10μM、20μM)は、低い方の濃度のZnMP(5μM)に曝露した細胞におけるNS5Aの分解を完全に抑制した。対照的に、ZnMP(10μM)、及びエポキソミシン(5μM、10μM)又はMG132(10μM、20μM)で処理した細胞は、ZnMPによるNS5Aの分解の有意な逆転を示し、プロテアソーム依存性の分解経路がZnMPに媒介されるNS5Aの分解に関与することが示唆された。20μMのエポキソミシンに曝露した細胞は十分に成長できず、この濃度のエポキソミシンは細胞に対して毒性を有することが示されたため、これらの実施例において使用されるエポキソミシンの最高濃度は10μMであった。図5Bでは、図5Aにおけるバンドの強度を、デンシトメトリーにより定量化し、3つの実験から相対平均強度±SEを算出し、プロットした。NS5Aタンパク質の量を、処理により変化しないGAPDHの量に対して正規化した。単独でのビヒクル由来のNS5Aのバンド強度を1に設定した。は、ビヒクルのみと異なる(P<0.05)。
【0053】
[実施例5]
この実施例は、ZnMPがNS5Aタンパク質の分解を媒介するメカニズムについての洞察を得るために、ZnMPがNS5Aのポリユビキチン化を誘導するか否かを調査する。9−13細胞を、10μMのZnMPを用いずに又は用いて4時間処理した。全タンパク質を、その後のウエスタンブロット又は免疫沈降分析のために抽出した。免疫沈降を、抗HCV NS5A抗体を使用して実施した。NS5Aのユビキチン結合[ポリユビキチン化NS5A、(Ub)n−NS5A]を、抗HCV NS5A抗体を使用する免疫沈降、及び抗ユビキチン抗体を使用するイムノブロットにより検証した。免疫沈降前のNS5Aタンパク質レベルのウエスタンブロット分析により、ZnMPによるNS5Aのダウンレギュレーションが示される(図6A)。図6Bでは、ZnMP処理又はビヒクル(DMSO)のみによる処理の後のNS5Aのユビキチン化を比較した。分子量マーカーの位置(キロダルトン)を、ゲルの左に表示する。角括弧は、ポリユビキチン化NS5Aを示す。アスタリスクは、交差反応している免疫グロブリン重鎖を示す。図6Cは、抗NS5A抗体によるイムノブロット分析を示し、これはNS5Aタンパク質がパネルBにおいて免疫沈降したことを示している。角括弧は、NS5Aを含有する移動度がより低いバンドを示す。これらのバンドは、ポリユビキチン化NS5Aを表し得る。
【0054】
この結果は、ZnMPが、亜鉛メソポルフィリンによるNS5Aの分解に寄与するNS5Aのポリユビキチン化を誘導することを示唆している。
【0055】
[実施例6]
ZnMPに媒介されるNS5Aの分解がHCV複製の阻害において役割を果たすことができるか否かを評価するために、Con1全長HCVレプリコンHuh−7.5細胞を、種々の濃度のZnMPで24時間処理した。全RNA及び全タンパク質を抽出した。HCVウイルスのRNAをqRT−PCRにより定量化し、HCVコア、NS5A及びGAPDHのタンパク質のレベルをウエスタンブロットにより測定した。データを、平均値±SEとして示す(n=3)。は、ビヒクルのみと異なる(ZnMP、0μM)(P<0.05)。対照であるビヒクル単独は、HCVレプリコンRNAの量を変化させなかったが、ZnMPでの処理は、ウイルスRNAレベル(図7A)及びHCVタンパク質レベル(図7B)の用量依存的な低減をもたらし、ZnMPに媒介されるNS5Aの迅速な分解により、HCVのRNA複製の低減、及びその後のHCVタンパク質の発現の減少がもたらされ得ることを示唆した。その後本発明者らは、NS5AがZnMPの実際の標的であり、HCVのRNA複製、及びコアタンパク質レベルに対するZnMPの効果は、ZnMPに媒介されるNS5Aの迅速な分解に対する二次的なものであるか否かについて疑問を抱いた。この目的のために、本発明者らは、Huh−7/T7細胞においてDNAプラスミドpFK−Con1/GNDから発現されるHCVタンパク質(該タンパク質の発現は、ウイルスRNAポリメラーゼと関連せず、T7 RNAポリメラーゼのみと関連すると考えられる)を用いて並列実験を行った。24時間のZnMP処理後、ZnMPは、NS5Aタンパク質レベルを用量依存的に顕著に減少させたが、HCVコアタンパク質レベルは影響を受けないままであった(図7C)。本発明者らは、ZnMPが、Huh−7/T7細胞においてpFK−Con1/GDDからHCVタンパク質が発現される系(該系では該タンパク質の発現がウイルスRNAポリメラーゼと部分的に関連すると考えられる)においてコアの低減をもたらす(図7D)が、コアの低減は、Con1レプリコン系(該系では、HCVタンパク質の発現がウイルスRNAポリメラーゼと関連していた)における効果よりはるかに小さいことをさらに観察した。
【0056】
[実施例7]
この実施例は、ZnMPが、新規なJFH1ベースの(遺伝子型2a)HCV細胞培養系においてNS5Aタンパク質をダウンレギュレートし、抗ウイルス活性を示すか否かを調査する。Huh−7.5細胞に、2μg/ウェルのJ6/JFH1 RNAをLipofectamine2000によりトランスフェクトした。48時間後、細胞を、表示した濃度のZnMP、又は対照としてのDMSOで4時間又は24時間処理し、細胞を回収し、全RNA及び全タンパク質を抽出した。HCVのRNAをqRT−PCRにより定量化し、HCVコア、NS5A及びGAPDHのタンパク質レベルをウエスタンブロットにより測定した。ZnMPにより、NS5Aタンパク質レベルの迅速かつ著しい減少がもたらされたが、コアタンパク質レベルは4時間のZnMP処理後には影響を受けず、24時間のZnMPへの曝露後に減少を示した(図8A〜図8D)。J6/JFH1をトランスフェクトした及び感染させた細胞培養系においてZnMPがHCVのRNAの複製/感染を阻害するか否かをさらに検証するために、本発明者らは、ZnMP処理後のHCVのRNAの発現を分析した。10μMのZnMPは、HCVのRNAレベルを、HCVをトランスフェクトした細胞では約70%HCVに感染した細胞では約90%、顕著に減少させた(図8E及び図8F)。
【0057】
[実施例8]
この実施例は、ZnMP単独又はIFN単独に関する結果と比較して、ZnMPと組み合わせたインターフェロン(IFN)の相加効果又は相乗効果が存在するか否かを決定するために、ZnMPをインターフェロンと組み合せることの効果を探求した。9−13細胞を、10μMのZnMP若しくはIFNα、又は両方の組合せで種々の時間(0時間、2時間、4時間、6時間、10時間、24時間)処理し、その後細胞を、プロテアーゼ阻害剤カクテルを含有する回収用緩衝液を使用して回収した。50μgのタンパク質を、4〜15%SDS−ポリアクリルアミドゲル上にロードし、PVDF膜に移し、抗NS5A抗体及び抗GAPDH特異的抗体で探索し、その後ECL Plus試薬により発色させた。NS5Aタンパク質の相対量を、処理により変化しないGAPDHの量に対して正規化した。ビヒクルのみで処理した細胞についての値を1に設定した。データを、三連の試料からの平均値±SEとして示す。はビヒクルのみと異なり(P<0.05)、#はIFN単独又はZnMP単独と異なる(P<0.05)。
【0058】
図9Aに見ることができるように、24時間のIFN処理はNS5Aタンパク質レベルを有意に減少させたが、IFNで10時間未満処理した細胞におけるNS5Aタンパク質レベルに対する効果は検出不可能であった。図9Bでは、ZnMPが、わずか2時間処理した細胞においてNS5Aタンパク質レベルの迅速かつ顕著なダウンレギュレーションを誘導したが、ZnMPでの10時間及び24時間の処理後、NS5Aタンパク質がわずかに増大したことを見ることができる。図9Cに示すように、INFとZnMPとの組合せが、24時間処理した細胞において、ZnMP単独又はIFN単独に関する結果と比較してNS5Aタンパク質発現に対する相加的な効果を示した。したがって、INFとZnMPとの組合せが、HCV感染症の治療に関して、いずれか単独での治療と比較して相加効果及び/又は相乗効果を有することを見ることができる。さらに、この効果が、わずか2時間の処理から24時間を超える処理まで、長期間にわたる試験であることを見ることができる。
【0059】
[実施例9]
この実施例では、金属ポルフィリンの細胞毒性を評価した。9−13細胞を、処理の24時間前に96ウェルプレート中に播種した。細胞を、表示した濃度のZnMPと共に0時間、2時間、6時間、24時間インキュベートし、CellTiter−Glo(登録商標)試薬を、積分時間を0.25〜1秒間に設定したSynergy HTマイクロプレートリーダーにおけるCellTiter−Glo発光細胞生存度アッセイのために添加した。発光の減少を、細胞の細胞毒性の指標とした。は、ビヒクルと異なり(P<0.05)、データは三連の測定値の平均値±SEを表す。図10に見ることができるように、2〜24時間のZnMP(1〜10μM)、又は2〜6時間のZnMP(20μM)は、細胞生存度に対して有意な効果を有しなかったが、24時間の20μMの濃度のZnMPは、9−13細胞において有意な細胞毒性を引き起こした(p<0.05)。したがって、6時間までについては20μMを超えないZnMP濃度、又は24時間までについては最大10μMのZnMP濃度を使用した。
【0060】
本明細書に記載の本発明の多くの変更及び他の実施形態が、前述の明細書及び添付の図面に提示される教示の利益を有する、本発明が関連する当業者の頭に浮かぶことだろう。したがって、本発明が、開示される特定の実施形態に限定されるものではないこと、並びに変更及び他の実施形態が、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されることが理解されるべきである。特定の用語を本明細書中において用いているが、これらは包括的かつ説明的な意味においてのみ使用しており、限定目的で使用するものではない。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
C型肝炎ウイルス(HCV)に感染した細胞におけるNS5Aタンパク質レベルを低減させる工程を含むC型肝炎ウイルス感染症に罹患している哺乳動物を治療する方法。
【請求項2】
前記NS5Aタンパク質のポリユビキチン化を増強する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記感染した細胞を金属ポルフィリンで処理することによりHCVを抑制する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属ポルフィリンが、亜鉛メソポルフィリン、亜鉛プロトポルフィリン、コバルトメソポルフィリン、コバルトメソポルフィリン、及びそれらの組合せからなる群から選択される請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記NS5Aタンパク質が、約0.5〜3時間に低減した半減期を有する請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記NS5Aタンパク質が、約1〜1.2時間に低減した半減期を有する請求項3に記載の方法。
【請求項7】
治療を必要とする宿主におけるC型肝炎ウイルス感染症の治療のための方法であって、治療的に有効な量の金属ポルフィリンを前記宿主に投与する工程を含む方法。
【請求項8】
前記金属ポルフィリンが、亜鉛メソポルフィリン、亜鉛プロトポルフィリン、ヘム、亜鉛ジュウテロポルフィリン、亜鉛ジュウテロポルフィリンビスグリコール、コバルトプロトポルフィリン、コバルトメソポルフィリン、コバルトジュウテロポルフィリン、コバルトジュウテロポルフィリンビスグリコール、ヘム、鉄メソポルフィリン、鉄ジュウテロポルフィリン及び鉄ジュウテロポルフィリンビスグリコールからなる群から選択される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
HCVに感染した細胞におけるNS5Aタンパク質の量を約60〜95%低減させる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記金属ポルフィリンがアルブミン複合体を含む請求項7に記載の方法。
【請求項11】
インターフェロンを投与する工程をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項12】
HCVに感染した細胞におけるNS5Aタンパク質の半減期を約1〜1.2時間に低減させる工程をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項13】
投与される前記金属ポルフィリンの量が、前記宿主の体重1キログラム当たり約0.1〜20ミリグラムである請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記金属ポルフィリンを経口投与する工程をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項15】
治療を必要とする患者におけるHCV感染症を治療するための方法であって、亜鉛メソポルフィリン、亜鉛プロトポルフィリン、ヘム、亜鉛ジュウテロポルフィリン、亜鉛ジュウテロポルフィリンビスグリコール、コバルトプロトポルフィリン、コバルトメソポルフィリン、コバルトジュウテロポルフィリン、コバルトジュウテロポルフィリンビスグリコール、ヘム、鉄メソポルフィリン、鉄ジュウテロポルフィリン及び鉄ジュウテロポルフィリンビスグリコールからなる群から選択される活性成分の治療的に有効な量を前記宿主に投与する工程を含む方法。
【請求項16】
インターフェロンを投与する工程をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
HCVに感染した細胞におけるNS5Aタンパク質の半減期を約1〜1.2時間に低減させる工程をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
投与される前記金属ポルフィリンの量が、前記患者の体重1キログラム当たり約0.1〜20ミリグラムである請求項15に記載の方法。
【請求項19】
約10:1〜1:1のモル比でヒト血清アルブミンと結合した亜鉛プロトポルフィリンを約10〜80ミリグラム含むHCV感染症の治療のための医薬製剤。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A−7B】
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【図7C−7D】
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【図8A−8D】
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【図8E−8F】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−504653(P2012−504653A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530270(P2011−530270)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/059395
【国際公開番号】WO2010/040063
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(511085002)ザ・シャーロット‐メクレンバーグ・ホスピタル・オーソリティ,ドゥーイング・ビジネス・アズ・キャロライナズ・メディカル・センター (2)
【Fターム(参考)】