説明

金属光沢布帛およびその製造方法

【課題】金属箔などを用いたものは風合が硬く、揉み、洗濯、ドライクリーニングにより光沢を失うもという問題があったが、着用時の揉み、洗濯による揉み、ドライクリ−ニング溶剤への耐久性を有し、かつ、風合も柔らかいシルバ−やゴ−ルドの金属光沢を有する金属光沢布帛を提供することを課題としている。
【解決手段】ナイロンのモノフィラメントとポリエステルのマルチフィラメントまたは/および紡績糸からなる繊維布帛であって、ポリエステルが分散染料で着色されている金属光沢布帛。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属光沢を有する布帛に関するものである。また、本発明は、金属光沢を有する布帛の製造方法に関するものである。さらに詳しく述べるならば、本発明は、シルバ−やゴ−ルドの金属光沢を有する金属光沢布帛およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の金属光沢布帛は、紙や繊維、フィルムなどに金属を蒸着させ、それをスリットしたものを糸として用いた織物や編物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、金属光沢を有する転写箔を用い、織物、編物などに小さな点状にて箔を転写したラメ調の金属光沢布帛も知られている。
さらにまた、お互い補色の関係に着色された2種類の糸を用い得られた玉虫調の金属光沢を有する布帛も知られている。
【特許文献1】特開2002−307602
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の方法にて金属光沢を付与したものは、その布帛を衣服等に用いると着用時の摩擦等により金属箔が剥れてしまい、金属光沢を失うといった問題があった。
また、洗濯やドライクリ−ニングを行なった場合においても、洗濯では揉みの作用により、ドライクリ−ニングでは、その溶剤の溶解力により、箔の部分が剥れてしまい金属光沢を失うといった問題もあった。
【0004】
また、金属箔をスリットしたものは、風合いが硬く、この点においても改善が望まれていた。
さらに、金属光沢としては、シルバ−やゴ−ルドの要望が多く、上記のような金属箔を用いたものであれば、シルバ−若しくはゴ−ルドの金属光沢を繊維布帛に付与することができるが、補色の関係を利用した玉虫効果での金属光沢布帛では、風合は柔らかいが、補色色の関係上、必ずしもシルバ−やゴ−ルドの金属光沢が表現できるものではなく、この点においても改善が望まれていた。
【0005】
したがって、本発明は、着用時の揉み、洗濯による揉み、ドライクリ−ニング溶剤への耐久性を有し、かつ、風合も柔らかいシルバ−やゴ−ルドを中心とした金属光沢布帛を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、ナイロンのモノフィラメントとポリエステルのマルチフィラメントまたは/および紡績糸からなる繊維布帛であって、ポリエステルが分散染料で着色されている金属光沢布帛を提供する。
また、本発明の金属光沢布帛は、ナイロンのモノフィラメントが、ポリエステルマルチフィラメントまたは/および紡績糸に比べ淡色に着色されており、シルバ−の金属光沢を有する。
【0007】
また、本発明の金属光沢布帛は、ナイロンのモノフィラメントが、黄色系または/および橙色系酸性染料にて着色されており、ゴ−ルドの金属光沢を有する。
また、繊維布帛が、ナイロンのモノフィラメントとポリエステルのマルチフィラメントまたは/および紡績糸の交織織物であるとよい。
また、繊維布帛に含まれるナイロンとポリエステルの質量比が、0.1:99.9〜30:70であるとよい。
【0008】
本発明は、また、ナイロンのモノフィラメントとポリエステルのマルチフィラメントまたは/および紡績糸からなる繊維布帛を分散染料で染色する前または/および染色と同時にスルホン基含有化合物を含む処理液にて処理をおこなう金属光沢布帛の製造方法を提供する。
【0009】
また、スルホン基含有化合物を含む処理液にて処理を行なった後、洗浄処理を行い、洗浄処理液に還元剤、アルカリ剤、アミン系化合物を含むとよい。
また、洗浄処理を行なった後、黄色系または/および橙色系酸性染料を用いて染色を行うとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の金属光沢布帛は、金属蒸着層を用いずに金属光沢を繊維布帛に付与しているため、着用や洗濯時の揉みが加えられても、金属光沢が消失することがなく、また、ドライクリ−ニングをおこなっても、その溶剤にて、金属光沢を失うことがない。また、フィルムや紙に対する金属蒸着層を用いていないため、風合も柔らかい。
【0011】
したがって、衣服やカ−テン、家具などに本発明の金属光沢布帛をもちれば、風合が柔らかいため、肌当りが柔らかく、また、柔らかいシルエットが出せるなど意匠性にも優れており、かつ、着用、洗濯、ドライクリ−ニングを行なっても金属光沢を失わない優れた耐久性を有する金属光沢を有する製品が提供できる。
また、任意の色の繊維布帛に、シルバ−やゴ−ルドの金属光沢を付与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のナイロンのモノフィラメントに用いられるナイロンのとは、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10などを挙げることができ、アミド結合を有するポリマ−であれば特に限定されるものではない。好ましくは、ナイロン6、ナイロン6,6がよい。
【0013】
また、モノフィラメントとは、1本の繊維でありながら単独で使用できる長繊維のことをいい、その断面形状は、丸断面であっても、また、三角断面等の異型断面であってもよく特に限定されるものではない。
また、太さは、特に限定されるものではないが、本発明で共に用いられるポリエステルのマルチフィラメントを構成する1本のフィラメントよりも太いものが好ましい。
【0014】
また、本発明のポリエステルのマルチフィラメントに用いられるポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリプロピレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリブチレンナフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレ−ト/イソフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレ−ト/5−ソジオスルホイソフタレ−トなどを挙げることができるが特に限定されるものではない。好ましくは、ポリエチレンテレフタレ−トがよい。
【0015】
また、ポリエステルのマルチフィラメントとは、複数の細いフィラメントから構成された糸であり、その断面形状は、丸断面であっても、また、三角断面等であってもよく特に限定されるものではない。また、酸化チタンなどを添加したフルダル糸、セミダル糸、ブライト糸であってもよく特に限定されるものではない。
また、ポリエステルの紡績糸とは、先のポリエステルを紡績して得られる糸をいう。
【0016】
また、ナイロンのモノフィラメントとポリエステルのマルチフィラメントまたは/および紡績糸からなる繊維布帛とは、ナイロンのモノフィラメントとポリエステルのマルチフィラメントまたは/および紡績糸から構成された織物、編物、不織布からなるものをいう。好ましくは、織物、編物がよく、特に好ましくは織物がよい。
また、好ましい織物としては、ナイロンのモノフィラメントとポリエステルのマルチフィラメントまたは/および紡績糸からなる交織織物が金属光沢の発現性の観点よりよい。
また、交織品としては、たて糸若しくはよこ糸のいずれか一方をナイロンのモノフィラメントとポリエステルのマルチフィラメントまたは/および紡績糸とを交互に配置したものが好ましい。
【0017】
この際、ナイロンのモノフィラメントを1本打ち込んだ後、ポリエステルのマルチフィラメントまたは紡績糸を1本打ち込んだもの、ナイロンのモノフィラメントを2本打ち込んだ後、ポリエステルのマルチフィラメントまたは/および紡績糸を2本打ち込んだもの、ナイロンモノフィラメントを1本打ち込んだ後、ポリエステルのマルチフィラメントまたは/および紡績糸を2本以上打ち込んだものなどを挙げることができる。
【0018】
また、繊維布帛に含まれるナイロンとポリエステルの質量比がナイロン:ポリエステルで0.1:99.9〜30:70であるとよい。ナイロンの量が0.1:99.9を下回ると、金属光沢がほとんど発現しなくなってしまうことがある。また、ナイロンの量が30:70を上まった場合においても金属光沢が発現しなくなってしまうことがある。
【0019】
本発明では、マルチフィラメントまたは/および紡績糸を構成しているポリエステルが分散染料で染色されているものであるが、分散染料としては、公知の分散染料をもちいることができる。
好ましくは、ナイロンに対する親和性が低く、染着量が少なく、また、染着してもソ−ピングによって容易に除去できる分散染料が好ましい。例えば、ブラック染料で言われているソフトアゾタイプのごとき染料が好ましい。また、低温〜中温に染着傾向を有し、かつ、アルカリ可抜型染料も好ましい染料である。
【0020】
本発明において、ナイロンのモノフィラメントがポリエステルマルチフィラメントまたは/および紡績糸に比べ淡色に着色されているとシルバ−の金属光沢を有する。
ナイロンのモノフィラメントがポリエステルマルチフィラメントまたは/および紡績糸に比べ淡色に着色されているとは、ナイロンのモノフィラメントが染料で染まっていないか、若しくはポリエステル側の染色濃度に比べ淡い色に着色されていることをいう。
ナイロン側の着色はできる限りうすいものが好ましいが、ナイロンのモノフィラメントが多少着色されている場合においても、ポリエステル側の着色と同系色に染まっているとシルバ−の金属光沢が得られやすい。
【0021】
本発明において、ナイロンのモノフィラメントが黄色系または/および橙色系酸性染料にて着色されており、ゴ−ルドの金属光沢を有する。
ここで用いられる黄色系黄色系または/および橙色系酸性染料酸性染料とは、公知の黄色や橙色の酸性染料にて着色されていればよく、均染型、ハ−フミ−リング型、ミ−リング型、金属錯塩型、媒染型など公知の酸性染料が使用できる。
例えば、Sandolan Yellow E−2GL(クラリアントジャパン製)、Aminyl Yellow E−RL(住化ケムテックス製)、Nylosan Yellow N−3RL(クラリアントジャパン製)等が挙げられる。
【0022】
この際、ポリエステルのマルチフィラメントは、何色に着色されていてもよく、アイボリ−やベ−ジュをはじめ、黒色であってもよい。従来は補色の関係を利用し玉虫色の効果を出すものはあったため、色制限がいろいろとあったが、本発明では、同系色や黒であってもゴ−ルドの金属光沢布帛を提供できる。
また、本発明の金属光沢は、糸使いと繊維布帛の構成、着色を調整することにより、シルバ−やゴ−ルドの金属光沢を、玉虫のように布帛全面やラメ糸を用いて得られた布帛のような金属を散りばめたような金属光沢を有する金属光沢布帛も提供できる。
【0023】
以下に、本発明の製造方法に従い更に説明を行う。
ナイロンのモノフィラメントとポリエステルのマルチフィラメントまたは/および紡績糸を用い公知の織機や編機などを用い、織物、編物、不織布などの繊維布帛を製造する。
次に、繊維布帛を公知の方法により精練、必要に応じ減量加工や熱セット、さらに、シワ加工などをおこなってもよい。
次に、繊維布帛を分散染料にて着色するのであるが、着色は分散染料を用い染色を行う。この染色の前または/および染色と同時にスルホン基含有化合物を含む処理液により処理を行う。
【0024】
この処理を染色を行う前に行なう場合には、例えば、水やメタノ−ル、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、メチルエチルケトン等の有機溶媒を溶媒としたスルホン基含有化合物を含む処理液にて処理するとよい。スルホン基含有化合物を用いることにより分散染料のナイロン側への染着を防ぎ、染着した場合においても、後の洗浄処理での分散染料の除去性を向上させることができる。
【0025】
繊維布帛への処理方法として、パッドキュア−法やグラビア法、スプレ−法により行なう場合には、スルホン基含有化合物の0.01〜500g/lの量にて処理するとよい。0.01g/l未満では、ナイロン側への分散染料の着色が多くなる可能性がある。また、100g/lを超えてもあまり効果が変わらないため、経済的に不利である。
処理条件としては、溶媒の種類などにより適切な方法を選択すればよいが、処理液を繊維布帛に付与した後、室温または40℃〜200℃の熱処理を行なうとよい。
【0026】
また、繊維布帛への処理方法として、ビ−ム型染色機、ジッカ−、ウインス、液流染色機、ロ−タリ−ワッシャ−等を用いる浸漬法により処理する場合には、スルホン基含有化合物を繊維布帛の質量に対し0.01%omf〜10%omfの量にて処理するとよい。0.01%omf未満では、ナイロン側への分散染料の着色が多くなる可能性がある。また、10%omfを超えてもあまり効果が変わらないため、経済的に不利である。
浸漬法による処理条件としては、室温〜140℃程度で処理することができる。
【0027】
この際、処理液には、スルホン基含有化合物の作用を阻害しない範囲で、分散剤、精練剤等の界面活性剤やトリポリン酸ソ−ダ、ソ−ダ灰、苛性ソ−ダ、キレ−ト剤などを併用し、精練と同時に処理してもよい。
【0028】
次に、染色する前にスルホン基含有化合物を含む処理液にて処理を行なったものは、その繊維布帛を分散染料にて染色する。染色条件は、公知の方法で行なえばよく、通常染色時に用いられる分散剤、均染剤、酸などの染色助剤を用い、110〜140℃にて染色を行なえばよい。
また、染色と同時に処理する場合には、分散染料を用い繊維布帛を染める染液の中にスルホン基含有化合物を繊維布帛の質量に対し0.01%omf〜10%omfとなるように添加する以外は、通常染色時に用いられる分散剤、均染剤、酸などの染色助剤を用い、110〜140℃にて染色を行なえばよい。
0.01%omf未満では、ナイロン側への分散染料の着色が多くなる可能性がある。また、10%omfを超えてもあまり効果が変わらないため、経済的に不利である。
なお、シルバ−の金属光沢を得る場合は、スルホン基含有化合物の他に無水酢酸などの酸無水物、合成タンニンなどの多価フェノ−ル系化合物を用いてもよい。
【0029】
上記のようにして、スルホン基含有化合物を含む処理液にて処理した後、洗浄処理を行う。洗浄処理は、水洗い、湯洗いを挙げることができるが、洗浄処理液には、還元剤、アルカリ剤、アミン化合物を含むとよい。
【0030】
還元剤としては、ハイドロサルファイト、二酸化チオ尿素などを、0.1〜10g/l、アルカリ剤としては、ソ−ダ灰、苛性ソ−ダ等のアルカリ剤を0.1〜10g/l、アミン系化合物としては、アルキルアミンのエチレンオキサイド(以下、EOという)付加物等の分散染料に対し親和性を有するアミン系化合物を0.1〜10g/l含む処理液を用いるとよい。
還元剤、アルカリ剤、アミン系化合物の処理液中の濃度が、0.1g/lを下回ると十分な洗浄効果が得ることができないことがあり、10g/lを超えても洗浄効果はさほどかわらない。
洗浄処理は、60〜95℃にて行なわれるとよい。より好ましくは、85℃〜95℃がよい。
【0031】
上記のようなスルホン基含有化合物を含む処理液を用いた処理と還元剤、アルカリ剤、アミン化合物を含む処理液にて処理することにより、ポリエステルのマルチフィラメントは染色され、また、ナイロンモノフィラメントは、ポリエステルのマルチフィラメントに比べ淡色に着色されるため、シルバ−の金属光沢を有する金属光沢布帛が得られる。
【0032】
洗浄処理をおこなったシルバ−の金属光沢を有する金属光沢布帛に対しさらに、黄色系または/および橙色系酸性染料を用い、液流染色機やジッカ−等にて、酸、pHスライド剤、公知の各種均染剤等を用い60〜105℃にて公知の方法にて染色を行う。
また、必要に応じ合成タンニンやタンニン酸、吐酒石にてフィックス処理もおこなってもよい。
このようにして得られた布帛は、ゴ−ルドの金属光沢を有する金属光沢布帛が得られる。
次いで、撥水処理、帯電防止処理、消臭処理、防水処理など公知の仕上げ加工をおこなてもよい。
【実施例】
【0033】
(実施例1)
たて糸として、130デシテックス/48フィラメントの丸断面のポリエステルマルチフィラメント(撚数SZ1800T/M)、よこ糸として130デシテックス/48フィラメントの丸断面のポリエステルマルチフィラメント(撚数SZ1800T/M)と33デシテックスの三角断面のナイロンモノフィラメントを一本ずつ交互に打ち込んだ平織物を繊維布帛としてもちいた。ナイロンとポリエステルの質量比8:92。
【0034】
この平織物を精練、セットした後、液流染色機にて、染色と同時にスルホン基含有化合物を含む下記処理液にて120℃、30分間処理をおこなった。
Sumikaron Yellow E−RPD 0.4%owf
Sumikaron Red E−RPD 0.28%omf
Sumikaron Blue E−RPD 0.15%omf
α−オレフィンスルホン化ナトリウム塩 3.0%omf
酢酸 0.5g/l
レベノ−ルV−700(北広ケミカル製) 0.3g/l
【0035】
次に、一度水洗した後、液流染色機を用いアミン系化合物を含む下記洗浄処理液にて90℃、20分間洗浄処理をおこなった。

苛性ソ−ダ 3g/l
ハイドロサルファイト 3g/l
アルキルアミンEO付加物(EO付加モル数20、アルキル基炭素数18)
1g/l
【0036】
次に、120℃で乾燥し、ナイスポ−ルNF−20(日華化学製)0.5%水溶液にて帯電防止処理を行なった。得られた布帛は外観上はべ−ジュ色にシルバ−の光沢を有する金属光沢布帛であった。ル−ペを用い金属光沢布帛を詳細にみると、ポリエステルマルチフィラメントは、ベ−ジュ色に着色されており、ナイロンのモノフィラメントは、ほとんど色としては着色はされてはおらず、シルバ−に見えた。また、洗濯やドライクリ−ニングをおこなっても金属光沢を維持しており、風合も柔らかい金属光沢布帛をえることができた。
【0037】
また、アミン系化合物を含む処理液を用いた洗浄処理後、帯電防止処理を行なわずに、引き続き液流染色機にて下記酸性染料による染色を70℃、60分行なった。

Nylosan Yellow N−3RL 0.5%owf
メイサンPC(明成化学製、pHスライド剤) 0.5g/l
【0038】
次に、120℃で乾燥し、ナイスポ−ルNF−20(日華化学製)0.5%水溶液にて帯電防止処理を行なった。得られた布帛は外観上はべ−ジュ色にゴ−ルドの光沢を有する金属光沢布帛であった。ル−ペを用い金属光沢布帛を詳細にみると、ポリエステルマルチフィラメントは、ベ−ジュ色に着色されており、ナイロンはゴ−ルドに着色されているように見えた。また、洗濯やドライクリ−ニングをおこなっても金属光沢を維持しており、風合も柔らかい金属光沢布帛をえることができた。
【0039】
(実施例2)
たて糸として40番手の丸断面のポリエステル紡績糸、よこ糸として40番手(一本の繊維の太さ1.1デシテックス、丸断面)のポリエステル紡績糸と33デシテックスの三角断面のナイロンモノフィラメントを一本ずつ交互に打ち込んだ平織物を繊維布帛としてもちいた。ナイロンとポリエステルの質量比4:96。
【0040】
この平織物を精練、セットした後、液流染色機にて、染色と同時にスルホン基含有化合物を含む下記処理液にて120℃、30分間処理をおこなった。
Sumikaron Orenge SE−RPD 1.8%owf
Sumikaron Red E−RPD 0.6%omf
Sumikaron Blue E−RPD 0.95%omf
α−オレフィンスルホン化ナトリウム塩 3.0%omf
酢酸 0.5g/l
レベノ−ルV−700(北広ケミカル製) 0.3g/l
【0041】
次に、一度水洗した後、液流染色機を用いアミン系化合物を含む下記洗浄処理液にて90℃、20分間洗浄処理をおこなった。

苛性ソ−ダ 3g/l
ハイドロサルファイト 3g/l
アルキルアミンEO付加物(EO付加モル数20、アルキル基炭素数18)
1g/l
【0042】
次に、120℃で乾燥し、ナイスポ−ルNF−20(日華化学製)0.5%水溶液にて帯電防止処理を行なった。得られた布帛は外観上はオリ−ブ色にシルバ−の光沢を有する金属光沢布帛であった。ル−ペを用い金属光沢布帛を詳細にみると、ポリエステルマルチフィラメントは、オリ−ブ色に着色されており、ナイロンのモノフィラメントは、ほとんど色としては着色はされてはおらず、シルバ−に見えた。また、洗濯やドライクリ−ニングをおこなっても金属光沢を維持しており、風合も柔らかい金属光沢布帛をえることができた。
【0043】
また、アミン系化合物を含む処理液での洗浄処理後、帯電防止処理を行わずに、引き続き液流染色機にて下記酸性染料による染色を70℃、60分行なった。

Nylosan Yellow N−3RL 0.5%owf
メイサンPC(明成化学製、pHスライド剤) 0.5g/l
【0044】
次に、120℃で乾燥し、ナイスポ−ルNF−20(日華化学製)0.5%水溶液にて帯電防止処理を行なった。得られた布帛は外観上は茶色にゴ−ルドの光沢を有する金属光沢布帛であった。ル−ペを用い金属光沢布帛を詳細にみると、ポリエステルマルチフィラメントは、オリ−ブ色に着色されており、ナイロンはゴ−ルドに着色されているように見えた。また、洗濯やドライクリ−ニングをおこなっても金属光沢を維持しており、風合も柔らかい金属光沢布帛をえることができた。
【0045】
(実施例3)
たて糸として、130デシテックス/48フィラメントの丸断面のポリエステルマルチフィラメント(撚数SZ1800T/M)、よこ糸として130デシテックス/48フィラメントの丸断面のポリエステルマルチフィラメント(撚数SZ1800T/M)と33デシテックスの三角断面のナイロンモノフィラメントを一本ずつ交互に打ち込んだ平織物を繊維布帛としてもちいた。ナイロンとポリエステルの質量比8:92。
【0046】
この平織物を精練、セットした後、液流染色機にて、染色と同時にスルホン基含有化合物を含む下記処理液にて125℃、60分間処理をおこなった。

Kayalon Polyester Black EX−SF 150 liq
9%owf
α−オレフィンスルホン化ナトリウム塩 3.0%omf
酢酸 0.5g/l
レベノ−ルV−700(北広ケミカル製) 0.3g/l
【0047】
次に、一度水洗した後、液流染色機を用いアミン系化合物を含む下記洗浄処理液にて90℃、20分間洗浄処理をおこなった。

苛性ソ−ダ 3g/l
ハイドロサルファイト 3g/l
アルキルアミンEO付加物(EO付加モル数20、アルキル基炭素数18)
1g/l
【0048】
次に、120℃で乾燥し、ナイスポ−ルNF−20(日華化学製)0.5%水溶液にて帯電防止処理を行なった。得られた布帛は外観上は黒色にシルバ−の光沢を有する金属光沢布帛であった。ル−ペを用い金属光沢布帛を詳細にみると、ポリエステルマルチフィラメントは、黒色に着色されており、ナイロンのモノフィラメントは、ほとんど色としては着色はされてはおらず、シルバ−に見えた。また、洗濯やドライクリ−ニングをおこなっても金属光沢を維持しており、風合も柔らかい金属光沢布帛をえることができた。
【0049】
また、アミン系化合物を含む処理液を用いた洗浄処理後、帯電防止処理を行なわずに、引き続き液流染色機にて下記酸性染料による染色を70℃、60分行なった。

Nylosan Yellow N−3RL 0.5%owf
メイサンPC(明成化学製、pHスライド剤) 0.5g/l
【0050】
次に、120℃で乾燥し、ナイスポ−ルNF−20(日華化学製)0.5%水溶液にて帯電防止処理を行なった。得られた布帛は外観上は黒色にゴ−ルドの光沢を有する金属光沢布帛であった。ル−ペを用い金属光沢布帛を詳細にみると、ポリエステルマルチフィラメントは、黒色に着色されており、ナイロンはゴ−ルドに着色されているように見えた。また、洗濯やドライクリ−ニングをおこなっても金属光沢を維持しており、風合も柔らかい金属光沢布帛をえることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナイロンのモノフィラメントとポリエステルのマルチフィラメントまたは/および紡績糸からなる繊維布帛であって、ポリエステルが分散染料で着色されている金属光沢布帛。
【請求項2】
ナイロンのモノフィラメントが、ポリエステルマルチフィラメントまたは/および紡績糸に比べ淡色に着色されており、シルバ−の金属光沢を有する、請求項1に記載の金属光沢布帛。
【請求項3】
ナイロンのモノフィラメントが、黄色系または/および橙色系酸性染料にて着色されており、ゴ−ルドの金属光沢を有する、請求項1に記載の金属光沢布帛。
【請求項4】
繊維布帛が、ナイロンのモノフィラメントとポリエステルのマルチフィラメントまたは/および紡績糸の交織織物である、請求項1〜3のずれかに記載の金属光沢繊維。
【請求項5】
繊維布帛に含まれるナイロンとポリエステルの質量比が、0.1:99.9〜30:70である、請求項1〜5のいずれかに記載の金属光沢繊維。
【請求項6】
ナイロンのモノフィラメントとポリエステルのマルチフィラメントまたは/および紡績糸からなる繊維布帛を分散染料で染色する前または/および染色と同時にスルホン基含有化合物を含む処理液にて処理をおこなう金属光沢繊維の製造方法。
【請求項7】
スルホン基含有化合物を含む処理液にて処理を行なった後、洗浄処理を行い、洗浄処理液に還元剤、アルカリ剤、アミン系化合物を含む請求項6に記載の金属光沢繊維の製造方法。
【請求項8】
洗浄処理を行なった後、黄色系または/および橙色系酸性染料を用いて染色を行う請求項7に記載の金属光沢繊維の製造方法。

【公開番号】特開2007−146339(P2007−146339A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344762(P2005−344762)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000184687)小松精練株式会社 (110)
【Fターム(参考)】