説明

金属含有要素の密度を決定するための方法と装置

【課題】金属含有要素の密度を決定するための改良された装置と方法を提供する。
【解決手段】金属含有要素(C)用の密度評価装置(10)は、シミュレータ(14)とメータ(16)を含む。シミュレータ(14)は、金属含有要素(C)の少なくとも一部の受け入れ部を含む。メータ(16)は、シミュレータ(14)と動作可能に接続される。メータ(14)によって、金属含有要素(C)に関するインダクタンス値(Lm)を得て、このインダクタンス値(Lm)を用いて、密度値(Dm)を決定する。また、金属含有要素(C)の密度を評価するための方法とシステムにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、金属含有要素に関する密度を決定するための方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属含有要素(例えば、磁気特性を有する金属粉末要素)は、特に、アッセンブリ(例えば、ソレノイド操作弁)内で磁性効果を生じさせるため、金属材料成分を含むことがある。金属材料成分の量、又は分散は、前記要素の密度に影響を及ぼすことがある。例えば、金属含有要素の密度は、アッセンブリが所望の磁性効果を得ることや、関連するアッセンブリの操作性能にしばしば関係している。通常、金属含有要素は、大容量のバッチで製造されるので、各金属含有要素の密度の変化は、各金属含有要素が製造される時のバッチごとに変わることがある。
【0003】
多くの分野では、アッセンブリ内に組み込まれる前に、アッセンブリの製造者により各金属含有要素の密度が決定されることがある。しばしば、このことは、比較的に遅い試験手順によって行われているが、この試験では、アッセンブリ内に要素を組み込むのに先立って、所望の磁性効果の何らかの変化(例えば、劣っている等)を識別している。しかし、金属含有要素の大容量のバッチの密度を試験しなければならない場合があり、また、通常の密度の試験手順は入り組んでいて、集中的に行われることがあるため、アッセンブリの製造者にとって、試験手順は、時間がかかり、コスト高になることがあった。このため、特に、金属含有要素の密度を決定するための改良された装置と方法が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は、金属含有要素の密度を決定するための改良された装置と方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、金属含有要素の密度評価装置に関する。この評価装置には、シミュレータとメータとが含まれる。シミュレータは、金属含有要素の少なくとも一部分を受けるための受入れ部を含む。メータは、シミュレータに対して動作可能に接続される。そして、メータにより、金属含有要素に関するインダクタンス値を得て、このインダクタンス値を用いて、密度値を決定する。
また、本発明は、金属含有要素の密度を評価するための方法とシステムにも関する。
以下、本発明に関する実施形態について、添付した図に示した具体例を参照しながら説明するが、これらは例示的に示されたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1−3を参照すると、本発明の実施形態に係る密度評価装置10が例示されている。この密度評価装置は、特に、インダクタンス値Lmを測定することで、金属含有要素Cの評価密度値Dmを決定する。図4には、密度−インダクタンスの相互関係のチャートが例示されている。尚、本明細書で使われる用語“金属含有要素”は、金属、金属要素、合金、及び/又は、金属粉末からなる要素を含むことを意味し、この要素の有する磁気特性によって、例えば、アッセンブリ内で磁性効果を生じさせている。このようなアッセンブリには、ソレノイド操作機構(電磁機構)や同様の装置が含まれるが、本発明はこれらに限定されない。
【0007】
金属含有要素Cは、幅広く、様々な応用に用いることができる。例えば、実施形態によると、ソレノイド操作弁を含むソレノイド操作機構に応用できるが、本発明はこれに限定されない。また、例えば、金属含有要素は、例えば、ソレノイド操作機構と合わせて用いることができるフラックスコレクタやポールピースでもよいが、本発明はこれらに限定されない。具体例として、図8と9に例示したものがある。さらに、ソレノイド操作弁の例として、コーエニング(Koenings)による米国特許第6,386,220号に開示されたものがある。
【0008】
続けて図1−3を参照すると、密度評価装置10は、一般に、固定部12、シミュレータ14、及びメータ16を含むことが示されている。シミュレータ14は、金属含有要素Cの構造や操作上の使用に関して、構造や操作上の非試験環境を模擬するように、構成されたり、形成されていてもよい。
【0009】
メータ16は、金属含有要素Cに関するインダクタンス値を測定できる任意のタイプのメータでもよい。必要に応じて、メータ16は、一般に得られるインダクタンスメータ(インダクタンス計)でもよい。
【0010】
評価装置10は、さらに固定部12を有することができ、これは、シミュレータ14及び/又は金属含有要素Cの一部を保持したり、固定するために用いることができる。実施形態では、固定部12は、基部18と立ち上がり部20を含むことが例示されている。尚、図では、基部18と立ち上がり部20は別体であり、機械的に接続されることが示されているが、本発明はこれに限定されず、基部18と立ち上がり部20はさらなる部品を含んでいてもよく、あるいは、これらは一体に形成されていてもよい(例えば、成形されたり、溶着される)。必要に応じて、基部18及び/又は立ち上がり部20は、適当なプラスチックや金属(例えば、アルミニウム)を用いて構成することができる。
【0011】
密度評価装置10は、必要に応じて、締め付け機構(クランピングアッセンブリ)22を含むことができる。この締め付け機構22は、立ち上がり部20に取付けることができる。特に、締め付け機構22は、シミュレータ14に対して金属含有要素Cの少なくとも一部を固定したり、保持する機能を有することができる。
【0012】
実施形態では、基部18に対して直接的にシミュレータ14を取付けることができる。さらに、必要に応じて、基部18の一部を、シミュレータ14の少なくとも一部に取付けてもよく(必要に応じて、保持したり、固定する)、又はこの逆でもよい。
【0013】
例示した実施形態では、オプションとしてスペーサ25を用いており、このスペーサ25の少なくとも一部を、基部18とシミュレータ14の間に設置している。この場合、スペーサ25は、シミュレータ14の少なくとも一部と接続されていてもよく(さらに、必要に応じて、保持されたり、固定される)、または、シミュレータ14はスペーサ25の少なくとも一部と接続されていてもよい。スペーサ25は、ナイロンや、他の適当な材料から構成することができる。実施形態では、基部18は、実質的に交換可能なタイプのスペーサ25の1つ又は複数を、固定させたり、保持させるように用いたり、構成することができる。必要に応じて、スペーサ25は交換可能なタイプのシミュレータ14の1つ又は複数を、保持させるように用いたり、構成することができる。上述した可能な適用性は、例えば、様々な大きさやタイプの要素を試験することに合わせて、容易性や交換性をより向上することができるが、本発明はこれらに限定されない。
【0014】
図1−3に示した実施形態では、スペーサ25は、第1接続要素24aを用いて、シミュレータ14に接続又は固定されることが概略的に示されている。また、スペーサ25は、第2接続要素24bを用いて、基部18に接続又は固定されることが概略的に示されている。また、基部18は、第3接続要素26を介して、立ち上がり部20に接続又は固定されることが概略的に示されている。しかしながら、本発明は、例示した接続要素の数、形態、及び種類によって限定されない。むしろ、必要に応じて、様々な関連する構成部を一体形成したり、あるいは、接続してもよく(例えば、圧入させたり、接着させる)、また、関連する接続要素は概略的に示されたものであって、これらの数を減らしたり、さらには除くことは可能である。
【0015】
固定部12は、立ち上がり部20を含むことができ、これによって、締め付け機構22を保持してもよい。図示した実施形態では、基部18は、少なくとも1つの第3接続要素26を用いて、立ち上がり部20と固定しているが、(上述のように)このことは概略的に示されている。基部18と立ち上がり部20は、任意の所望の材料から製造でき、例えば、アルミニウムから製造してもよい。
【0016】
実施形態に示すように、締め付け機構22は、ハンドル部30とプランジャ部32を含むことができる。さらに、締め付け機構22は、垂直線状に作用するトグルクランプとして、またはこれとほぼ同様に、作用するように構成されていてもよい。締め付け機構22とこの構成部は、様々な一般に入手できるアッセンブリやアッセンブリの構成部から構成できる。
【0017】
図1を参照すると、シミュレータ14の受入れ部28の上方またはこの上に金属含有要素Cを配置すること(この概略的な移動は、矢印A1によって示されている)に先立ち、締め付け機構22を解放位置(または非係合位置)に移動できることが示されている(例えば、プランジャ部32を“上方”位置にする)。
【0018】
シミュレータ14に合わせて金属含有要素Cを配置した後、図2の実施形態で概略的に例示したように、オペレーターOは、例えば、矢印A2の示す方向で、締め付け機構22のハンドル30を掴んで、移動させることで、矢印A3の示す方向で、締め付け機構22のプランジャ部32を移動させて、これによって、プランジャ部32をより締め付け位置に向って、つまり、より“下方”位置に移動させる。
【0019】
図3に例示した実施形態を参照すると、プランジャ32を“下方”位置で金属含有要素Cの一部(例えば、要素Cの上部34)と実質的に完全に係合させた後、プランジャ32によって負荷を及ぼすことができることが示されている(概略的に、矢印Lで示す方向を参照されたい)。例えば、金属含有要素Cの上部34にこのような負荷が加わると、シミュレータ14と、これに関する受入れ部28に対して、要素Cを定位置に保つことができる。このように定位置に保つことで、特に、多くの要素が大容量のバッチで得られる場合、より確かに要素の試験及び/又は評価を行うことができる。
【0020】
必要に応じて、プランジャ部32は適合端部(取付け部)36を含んでいてもよく、これはさらに頭部(作用部)42を含んでいてもよい。実施形態では、適合端部36はボア38(例えば、めねじを付けたボア)を含むことができ、これによって、適合端部36から延びるように頭部42を有する、ねじを付けたプラグ40を取付けてもよい。但し、本発明は、これに限定されない。操作上、頭部42は、特に、プランジャ部32の適合端部36と、シミュレータ14内に置かれた金属含有要素Cの一部(例えば、上部34)との間で、緩衝部(バッファー)として作用する。ねじを付けたプラグ40と頭部42は、任意の所望の材料から構成することができ、例えば、これには熱可塑性プラスチックが含まれる。
【0021】
図3に示すように、金属含有要素Cが接続されて、固定されると、インダクタンスメータ16を用いてインダクタンス値Lmを測定することで、金属含有要素Cに関する磁束の経路Fが許容できるか、否かを決定する(または、条件を満たしているか、否かを決定する)ことができる。例示した実施形態では、インダクタンスメータ16は、2つのリード線44を含むことができ、これらはシミュレータ14と受入れ部28に関する銅製のコイル46と接続されている。銅製のコイル46の囲むシミュレータ14の受入れ部28は、任意の所望の材料から構成されていてもよく、例えば、これにはスチールが含まれる。
【0022】
実施形態では、受入れ部28と銅製のコイル46を含む、シミュレータ14の構成や構造は、金属含有要素Cが通常の又は意図された操作で、関連する又は測定されたインダクタンスLmに関して起こり得るタイプの磁束の経路Fを実質的にシミュレートしたり、再生できる。例えばソレノイド操作弁500の受入れ部502とコイル504を再生したり、模擬するように、例えばシミュレータ14を構成したり構造してもよい。このように、場の中でソレノイド操作弁500の部位がどのように振舞うのかを模擬するように、シミュレータ14を構成したり、構造できることを理解されたい。従って、受入れ部28の形状とコイル46の曲げと巻きつけの数は、特定のソレノイド操作弁のアッセンブリや、他の応用のために、金属含有要素Cを評価することに鑑みて変えることができる。
【0023】
尚、任意の数のシミュレータ14を、大きさ、形状、材料構成、又は同様物に関して構成したり、構造することができ、さらに基部18及び/又はスペーサ25(用いられる場合)と交換可能なように接続させて、アッセンブリや応用のために様々な特定の金属含有要素の評価を行えるようにしてもよい。
【0024】
さらに、例示した実施形態を参照すると、金属含有要素Cと、ねじを付けたプラグ40の頭部42との間の、垂直方向の間隔を調整できるようにしてもよく、例えば、めねじを付けたボア38内で、おねじを付けたプラグ40を上下方向に移動させてもよい。このような調整は、特に、様々な高さ、幅又は厚さを有する金属含有要素に合わせて、補助するようにしてもよい。さらに、密度評価装置10は、モジュール式の装置でもよく、これは、特定の金属含有要素を評価することに限定されない。
【0025】
図4を参照すると、与えられた金属含有要素又はこの部位に関する、測定されたインダクタンス値(Lm軸)と、評価された密度(Dm軸)との相互関係のサンプルチャートが示されている。測定されたインダクタンス値Lmは、例えば、インダクタンスメータから得ることができる。そして、測定されたインダクタンス値Lmを、基準インダクタンス値Lrefに対して直接的に比較することができるが、これは次に、許容できる密度を有していることが解かっている、基準(または、“標準”)金属含有要素用に、許容できる高い又は低い密度の基準値Drefと相互に関係されてもよい。この結果、上記相互関係に基づいて、測定されたインダクタンス値Lmが、関連する“許容できる”基準インダクタンス値Lrefと合致したり、超える場合、試験を受けた要素は、許容できる密度と対応する磁性効果を有することになる。
【0026】
一例を示すと、基準の金属含有要素用の、基準インダクタンス値Lrefは、例えば、約38mHから約41mHまでの範囲にあり、これは次に、例えば、約5グラム/立方センチメートルから約7グラム/立方センチメートルまでの範囲にある、密度の基準値Drefと相互に関係してもよい。但し、本発明はこの例に限定されない。
【0027】
上述した金属含有要素Cのインダクタンスと密度の値の関係は、数学的又はグラフを用いて決定することができる。実施形態では、金属含有要素用のインダクタンスと密度の関係は、関数を用いて決定することができ、これは例えば、符合200で概略的に示されている。この結果、本発明の実施形態では、測定されたインダクタンス値Lmが、基準インダクタンス値Lrefと等しいか、越える場合、金属含有要素Cの測定されたインダクタンス値Lmと相互に関係する評価密度Dmは、許容できると判断されるが、この理由は、評価密度Dmが、密度の基準値Drefと等しいか、越えるためである。一方、測定されたインダクタンス値Lmが、基準インダクタンス値Lrefよりも低い場合、金属含有要素Cの測定されたインダクタンス値Lmと相互に関係する評価密度Dmは、許容できないと判断されるが、この理由は、評価密度Dmが、密度の基準値Drefよりも低いためである。
【0028】
但し、当該技術分野における当業者ならば、上記関数200は、線形の関係に限定されず、この関数200は、様々な他の方法や適当な式を用いて決定されてもよいことを理解するであろう。また、関数200のプロットは、評価対象である金属含有要素Cの形状、大きさ、及び密度に従って変化してもよい。例えば、評価対象である金属含有要素CがフラックスコレクタC1又はポールピースC2の場合、関数200のプロットは、異なる曲線を有することがある。
【0029】
図1−3を再度参照すると、評価密度値Dmが許容できるか/許容できないかを決定するために、測定されたインダクタンス値Lmを基準インダクタンス値Lrefと比較するロジックは、マイクロプロセッサ48を用いて実行できることが理解できる。必要に応じて、マイクロプロセッサ48は、インダクタンスメータ16内に置くことができる。あるいは、用いられるロジックは、インダクタンスメータ16から離間して置かれてもよく、この場合、この運用は、例えば、コンピューター/マイクロプロセッサとともにワークステーション50を用いて行ってもよく、これはインダクタンスメータ16と接続又は、通信されて、測定されたインダクタンス値Lmを受信して、評価密度値Dmを決定する。さらに、インダクタンスメータ16から離間してロジックが置かれる場合、このロジックは、自動化されたキャリヤ402内に置くことができるが、これは、以下において、図6と7を用いて概略的に説明される。
【0030】
図5を参照すると、符合300を用いて、金属含有要素Cの密度を決定するための方法が概略的に示されているが、この方法は、ステップS.1からステップS.6aまたはS.6bまでを含む。ステップS.1では、要素Cが得られる。ステップS.2では、シミュレータ14内で(又はこれとともに)要素Cを適当に固定する。ステップS.3とS.4では、要素Cに関するインダクタンスLmを測定し、この測定を用いて、要素Cに関する密度を決定する。
【0031】
さらにステップS.5では、査定/評価が行われる。要素Cの評価密度Dmが許容できると決定された場合、例えば、関係するチャート(例えば、図4に示したチャートを参照されたい)に従って、要素Cは“合格”とされ、ステップS.6aに移動できる。このような要素Cは、適合しているとされて、この後、アッセンブリ、例えば、ソレノイド操作弁500内の製造用に分類されてもよい。これとは逆に、要素Cの評価密度Dmが許容できないと決定された場合、要素Cは、次にステップS.6bに移動して、廃棄及び/又は再加工用に分類されてもよい。このような廃棄及び/又は再加工は、例えば、要素の処分、リサイクル、又は返却を含む(例えば、供給者に戻す)。一度、ステップS.6a又はS.6bが完了すると、望ましくは、この方法はS.1に戻って、さらに他の金属含有要素Cの評価を行うが、このことは、与えられた集団、つまりバッチの全ての要素Cが評価されるまで繰返されてもよい。
【0032】
上述し、図示した実施形態は、一般に手動に基く密度評価装置に関する。このような装置は、多くの他の方法と比べて、比較的に正確で、短時間で、低コストだが、本発明は、このような手動操作による密度評価システムに限定されないことを理解されたい。むしろ、本発明のコンセプトは、関連する装置とシステムを自動化させることにも適用できる。例えば、図6を参照すると、符号400aを用いて、本発明に係る自動化された密度評価システムについて例示している。但し、本発明はこれに限定されない。同図に示すように、概略的に示されたシミュレータ14は、同じく概略的に示されたインダクタンスメータ16と通信している。また、自動化されたキャリヤ(搬送手段)402が概略的に示されている。但し、このシステムは、図示した実施形態に限定されず、例えば、自動化されたキャリヤ402は、ロボットアームや、磁石を用いた検索装置や、他の公知な部品を備えることができ、一群(例えば、大容量のバッチの箱425)から要素Cを検索して、評価用のシミュレータ14内に続いて置いたり、または操作上、接続させてもよい。さらに、必要であれば、自動化されたキャリヤ402は、金属含有要素Cの上部34に負荷や力を加えるように、制御可能に構成されたり、操作されてもよい(例えば、キャリヤは、図3に示したプランジャ32と同様に、全体で、または部分的に、負荷や力を及ぼしてもよい)。
【0033】
例えば、図6に示すように、直接的に接続された実施形態では、(金属含有要素Cのインダクタンス値Lmを決定するため)インダクタンスメータ16からシミュレータ14まで延びるリード線44に加えて、インダクタンスメータ16から自動化されたキャリヤ402までフィードバック用のリード線404を備えてもよく、これによって自動化されたキャリヤ402に信号(例えば、“分類”用の信号)を伝えてもよい。そして、要素Cがアッセンブリ内の製造用に許容できると判断された場合、要素は箱(例えば、箱450、475を参照されたい)内に製造用に分類されてもよく、または、廃棄及び/又は再加工用に分類されてもよく、これらは夫々、インダクタンスメータ16から、フィードバック用リード線404を介して、自動化されたキャリヤ402まで伝えられる信号に鑑みてなされてもよい。尚、上述したリード線と信号は、必要があれば、ワイヤレスに伝送されるように構成できることを理解されたい。
【0034】
実施形態では、フィードバック用リード線404を介して送られる信号は、例えば、許容可能な部品には“1”の形態で、許容不可の部品には“0”の形態で送られてもよい。例えば、(許容可能な部品を示す)“1”の信号は、マイクロプロセッサ48(又はインダクタンスメータ16内に置かれたコンパレーター)によって送られて、測定されたインダクタンスLmが関連する基準インダクタンス値Lrefに合致するか、超えることを示すようにしてもよい。一方、(許容不可の部品を示す)“0”の信号は、マイクロプロセッサ48(又はインダクタンスメータ16内に置かれたコンパレーター)によって送られて、測定されたインダクタンス値Lmが関連する基準インダクタンスLrefに合致するか、超えることに失敗したことを示すようにしてもよい。
【0035】
さらに、自動化されたキャリヤ402は、これ自身で、ロジック装置や、マイクロプロセッサや、コンパレーターや、他のロジック手段を含むことができ、これによって、測定されたインダクタンス値Lmの、許容できる評価密度Dmとの対応について決定してもよいことを理解されたい。
【0036】
図7では、符号400bを用いて、自動化された密度評価システムの他の実施形態を示している。図示するように、シミュレータ14は、インダクタンスメータ16と接続されたり、通信できることが概略的に示されている。自動化されたキャリヤ402と搬送システム406(複数の要素Cを搬送する搬送用ベルトシステムとして例示されている)は、双方とも概略的に示されているが、本発明は、例示した機構とシステムに限定されない。
【0037】
必要に応じて、搬送システム406は、シミュレータ14と直接的に動作接続されて、要素Cを置いたり、降ろすように構成されていてもよい。または、自動化されたキャリヤ402は、搬送システム406から要素Cを検索して、シミュレータ14に合わせて、降ろしたり/置くように構成されていてもよい。
【0038】
上述したように、自動化されたキャリヤ402は、要素Cの上部に負荷や力を及ぼすように構成することができ、またインダクタンスメータ16と通信して、例えば、様々な箱の中に要素Cを適当に分類するように構成されてもよい。さらに、符合408を用いて概略的に示した通信ライン(ワイヤを組み込んだものや、ワイヤレスにかかわらず)を備えて、搬送システム406と関係した制御機構410を用いて、自動化されたキャリヤ402の通信を可能にしてもよい。
【0039】
例えば、キャリヤが“評価された”要素をシミュレータ14から移したことを示す信号をキャリヤ402が提供した時、例示したシステム400bでは、示されたコンベヤベルトが要素Cをシミュレータ14内に降ろしてもよい(または、要素を自動化されたキャリヤ402にわたす)。
【0040】
以上、特に、例示した実施形態を参照して、本発明について図示して、説明したが、これら実施形態は単に最良の形態、つまり本発明を実施するための形態について例示したに過ぎない。当該分野における当業者ならば、添付した特許請求の範囲に記載した本発明の技術思想と範囲から逸脱することなく、本発明を実施する上で、本明細書で説明した本発明の実施形態に対して様々な変更を行うことができることを理解されたい。即ち、特許請求の範囲は本発明の範囲について定め、これら請求項に含まれる方法と装置と、さらにこれらと等価なものをカバーしている。本発明に関する説明では、ここで説明された構成部の全ての新規で非自明なものの組合せを含み、本出願又は後における特許請求の範囲は、これら構成部の任意の新規で非自明な組合せを含むことができる。さらに、以上、説明した実施形態は例として示されたものであり、本出願又は後において請求され得る全ての可能な組合せに対して、いかなる単一な特徴または構成要素は重要とはされない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態に従う手動操作される密度評価装置の側面図であって、部分的に断面で示す図である。
【図2】本発明の実施形態に従う手動操作される密度評価装置の側面図であって、部分的に断面で示す図である。
【図3】本発明の実施形態に従う手動操作される密度評価装置の側面図であって、部分的に断面で示す図である。
【図4】基準インダクタンスと相互に関係する基準密度について示す図であり、金属含有要素の測定された又は基準のインダクタンスの評価密度に対する相互関係のサンプルチャートである。
【図5】金属含有要素を評価するためのロジックのフローチャートを例示する図である。
【図6】本発明の実施形態に従う少なくとも部分的に自動化された密度評価システムについて概略的に示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態に従う少なくとも部分的に自動化された密度評価システムについて概略的に示す図である。
【図8】ソレノイド操作弁の一例を示す分解斜視図である。
【図9】図5に示したソレノイド操作弁の断面図である。
【符号の説明】
【0042】
C 金属含有要素
C1 フラックスコレクタ
C2 ポールピース
10 密度評価装置
12 固定部
14 シミュレータ
16 メータ
18 基部
22 締め付け機構
25 スペーサ
28 受入れ部
30 ハンドル部
32 プランジャ部
42 頭部
44 リード線
46 コイル
48 マイクロプロセッサ
400a、400b 密度評価システム
402 キャリヤ
406 搬送システム
500 ソレノイド操作機構
502 受入れ部
504 コイル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属含有要素(C)の少なくとも一部分を受ける受入れ部(28)を有するシミュレータ(14)と、
前記シミュレータ(14)と動作可能に接続されるメータ(16)と、を含む密度評価装置(10)であって、
前記メータ(14)によって、前記金属含有要素(C)に関するインダクタンス値を得て、前記インダクタンス値(Lm)を用いて、密度値(Dm)を決定することを特徴とする密度評価装置(10)。
【請求項2】
前記シミュレータ(14)は、コイル(46)を含むことを特徴とする請求項1に記載の密度評価装置(10)。
【請求項3】
固定部(12)を含むことを特徴とする請求項1に記載の密度評価装置(10)。
【請求項4】
前記固定部(12)は、基部(18)と、立ち上がり部(20)とを含むことを特徴とする請求項3に記載の密度評価装置(10)。
【請求項5】
前記シミュレータ(14)の少なくとも一部分内で、前記金属含有要素(C)を固定するように構成された締め付け機構(22)を含むことを特徴とする請求項4に記載の密度評価装置(10)。
【請求項6】
前記締め付け機構(22)は、ハンドル部(30)と、前記シミュレータ(14)の一部分とかみ合うように構成されたプランジャ部(32)とを含むことを特徴とする請求項5に記載の密度評価装置(10)。
【請求項7】
前記基部(18)と前記シミュレータ(14)との間に少なくとも一部分が設置されるスペーサ(25)を含むことを特徴とする請求項4に記載の密度評価装置(10)。
【請求項8】
前記プランジャ部(32)は、頭部(42)を受け入れるように構成された適合端部(36)を含むことを特徴とする請求項6に記載の密度評価装置(10)。
【請求項9】
前記適合端部(36)に接続される頭部(42)を含み、前記頭部(42)は、前記適合端部(36)と前記金属含有要素(C)の一部分との間に介在されるように構成されることを特徴とする請求項8に記載の密度評価装置(10)。
【請求項10】
前記メータ(16)は、インダクタンスメータであることを特徴とする請求項1に記載の密度評価装置(10)。
【請求項11】
前記メータ(16)をコイル(46)に動作可能に接続するリード線(44)を含むことを特徴とする請求項10に記載の密度評価装置(10)。
【請求項12】
前記シミュレータ(14)は、ソレノイド操作機構(500)の構造又は操作特性を模擬することを特徴とする請求項1に記載の密度評価装置(10)。
【請求項13】
前記シミュレータ(14)は、ソレノイド操作機構(500)の受入れ部(502)及びコイル(504)の構造又は操作特性を模擬することを特徴とする請求項12に記載の密度評価装置(10)。
【請求項14】
前記金属含有要素(C)は、ソレノイド操作機構(500)のフラックスコレクタ(C1)又はポールピース(C2)であることを特徴とする請求項1記載の密度評価装置(10)。
【請求項15】
前記金属含有要素(C)から測定されたインダクタンス値(Lm)に基づき、密度値(Dm)を決定するためのマイクロプロセッサ(48)を含むことを特徴とする請求項1に記載の密度評価装置(10)。
【請求項16】
金属含有要素(C)を獲得し、移動するためのキャリヤ(402)と、
前記キャリヤから前記金属含有要素(C)の少なくとも一部分を受けるための受入部を有するシミュレータ(14)と、
前記シミュレータと動作可能に接続されるメータ(16)とを含む密度評価システムであって、
前記メータ(14)によって、前記金属含有要素(C)に関するインダクタンス値を得て、前記インダクタンス値(Lm)を用いて、密度値(Dm)を決定することを特徴とするシステム。
【請求項17】
前記キャリヤ(402)は、少なくとも部分的に自動化されていることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記シミュレータ(14)は、ソレノイド操作機構の受入れ部及びコイルの構造又は操作特性を模擬することを特徴とする請求項17に記載の密度評価システム
【請求項19】
測定されるインダクタンス値(Lm)に基づき、密度値(Dm)を決定するためのマイクロプロセッサ(48)を含むことを特徴とする請求項18に記載の密度評価システム。
【請求項20】
複数の金属含有要素(C)を運搬し、又は、移送するための搬送システム(406)を含むことを特徴とする請求項16に記載の密度評価システム。
【請求項21】
前記キャリヤ(402)は、前記シミュレータに前記金属含有要素(C)を移送するための手段を含むことを特徴とする請求項16に記載の密度評価システム。
【請求項22】
前記金属含有要素(C)は、ソレノイド操作機構のフラックスコレクタ(C1)又はポールピース(C2)であることを特徴とする請求項16に記載の密度評価システム。
【請求項23】
金属含有要素(C)の密度を評価するための方法であって、
シミュレータ(14)の受入部(28)に、前記金属含有要素(C)の少なくとも一部分を受け入れさせ、
前記金属含有要素(C)に関するインダクタンス値(Lm)を測定し、
前記インダクタンス値(Lm)を用いて、前記金属含有要素(C)に関する密度を決定する、ことを特徴とする方法。
【請求項24】
前記測定された前記密度が、条件を満たしているか、否かを決定する事を含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記決定に基づいて、前記金属含有要素(C)を分類、または割り当てを行うことを含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記インダクタンスは、インダクタンスメータ(16)により測定され、また、前記密度は、マイクロプロセッサ(48)を用いて決定されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記測定されたインダクタンス値(Lm)を基準インダクタンス値(Lref)と比較することを含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−155740(P2007−155740A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330653(P2006−330653)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】