金属帯板に部品を一体化した複合部品及びその製造方法
【課題】金属帯板をかしめて形成した突起を部品に食い込ませて固定すると、部品へのダメージが大きい。
【解決手段】金属帯板2の、部品1の取付孔3への差込部位の一側部より内方へ2本のスリット7、7aを形成してその間の部位8を、上記部品1の側面に開口して上記取付孔3に連通する窓部4内に露出させ、金属帯板2のスリット間部位8を窓部4より奥側へ折曲してストッパー10とし、部品1における取付孔3に対し窓部4の反対側の部位に上記ストッパー10の収容凹部5を形成する。そして、金属帯板2の一端を取付孔3に挿入し、窓部4に工具Tを挿入して上記スリット間部位8を折曲して、収容凹部5の内壁面に当接させるストッパー10する様にして製造するため、金属帯板2を加工したストッパー10による部品1へのダメージが皆無になる。
【解決手段】金属帯板2の、部品1の取付孔3への差込部位の一側部より内方へ2本のスリット7、7aを形成してその間の部位8を、上記部品1の側面に開口して上記取付孔3に連通する窓部4内に露出させ、金属帯板2のスリット間部位8を窓部4より奥側へ折曲してストッパー10とし、部品1における取付孔3に対し窓部4の反対側の部位に上記ストッパー10の収容凹部5を形成する。そして、金属帯板2の一端を取付孔3に挿入し、窓部4に工具Tを挿入して上記スリット間部位8を折曲して、収容凹部5の内壁面に当接させるストッパー10する様にして製造するため、金属帯板2を加工したストッパー10による部品1へのダメージが皆無になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばオイルレベルゲージの様な、金属帯板に部品を一体化した複合部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属帯板の端部に部品を一体化した複合部品、具体的にはオイルレベルゲージにあっては、樹脂製の把手部及び金属製のゲージ本体を備え、把手部に、ゲージ本体の一端が圧入される取付孔と、周壁に開口して取付孔に連通する窓部とが設けられ、ゲージ本体は、窓部から露出した部分をかしめることによって形成された突起を有し、この突起が把手部の樹脂に食い込んで、前記ゲージ本体が抜け止め固定されているものが見受けられ、このオイルレベルゲージは、前記ゲージ本体の一端を前記把手部及び前記ゲージ部の取付け孔に圧入し、前記窓部に工具を挿入して前記ゲージ本体をかしめ、これによって前記ゲージ本体に、把手部の樹脂に食い込ませる突起を形成し、該突起により、ゲージ本体の一端を前記把手部に抜け止め固定する様にして製造されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−91233号公報(特許請求の範囲、図3〜5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術にあっては、ゲージ本体をかしめて形成した突起を把手部の樹脂に食い込ませていることから、把手部へのダメージが大きいため、把手部が破損してしまう可能性を否定できないなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく、把手部の破損などの課題に鑑み、把手部となる部品の側面に、ゲージ本体となる金属帯板の取付孔に連通する窓部を開口形成すると共に、金属帯板に折曲可能に形成した舌片部位を、上記窓部内に露出させ折曲してストッパーを形成し、該ストッパーを、部品における取付孔に対し窓部の反対側の部位に形成した収容凹部内に収容させ、金属帯板を部品の取付孔に挿入し、窓部に工具を挿入して前記金属帯板における舌片部位を折曲して、収容凹部の内壁面に当接させるストッパーとし、該ストッパーによって金属帯板に対し前記部品が抜け止め固定される様にした複合部品であるオイルレベルゲージを製造することによって、金属帯板を加工したストッパーによる部品へのダメージ付与を皆無にして製造可能にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、部品の側面に取付孔に連通する窓部を開口形成すると共に、金属帯板に折曲可能に形成した舌片部位を、上記窓部内に露出させ折曲してストッパーを形成し、該ストッパーを、上記部品における取付孔に対し窓部の反対側の部位に形成した収容凹部内に収容させたので、単に金属帯板の一部を折り曲げて収容凹部内に収容されるストッパーとするだけであるため、該ストッパーによる部品へのダメージが皆無であり、よって部品の変形、亀裂の発生などの不具合を解消することが出来、例え部品に対し金属帯板が引抜き方向へ動いたとしても、ストッパーが収容凹部の内壁面に当たるため、部品及び金属帯板間の離脱分離を完全に防止することが出来る。
又、金属帯板に2本のスリットを形成してその間の部分を金属帯板における舌片部位としたので、簡単な構成で舌片部位を形成することが出来る。
而も、部品に貫通孔を、取付孔に対し直角に貫通する様に形成して、該貫通孔における取付孔より一端側部位を窓部とし、他端側部位を収容凹部としたので、貫通孔のどちらからでも金属帯板のスリット間部位を加工することが出来る。
そして、請求項1、2又は3に記載の複合部品の製造方法であって、金属帯板を部品の取付孔に挿入し、窓部に工具を挿入して前記金属帯板における舌片部位を折曲して、収容凹部の内壁面に当接させるストッパーとし、該ストッパーによって金属帯板に対し前記部品が抜け止め固定される様にしたので、複雑な金型が不要で、簡単な装置で一体化することが出来る。
【0007】
部品に対し取付孔を未貫通とし、該取付孔の奥部に、金属帯板の先端の位置規制部を設けたので、該位置規制部により金属帯板の先端を位置決めしているため、装着状態における部品の金属帯板の長手方向の微動を防止又は極めて微量に抑止出来、よって金属帯板及び部品の一体性に優れた製品にすることが出来、而も而も位置規制部を、圧縮弾性体である押圧部材としたので、かかる押圧部材は弾性変形可能であり、金属帯板の先端を押圧部材との当接位置より更に奥に差し込むことが出来、而も押圧部材と金属帯板の先端面及びストッパーと収容凹部の内壁面との密着度が押圧部材の弾性復元力により大きくなるため、金属帯板に対する部品の一体性を更に向上させることが出来る。
そして、 請求項5又は6に記載の複合部品の製造方法であって、金属帯板の一端を部品の取付孔に、金属帯板の先端が位置規制部に当接するまで挿入し、窓部に工具を挿入して前記金属帯板における舌片部位を折曲して、収容凹部の内壁面に当接させるストッパーとし、該ストッパーによって金属帯板の一端に対し前記部品が抜け止めすると共に、位置規制部によってストッパーの当接状態を維持させる様にしたので、複雑な金型が不要で、簡単な装置でガタつかない様に一体化することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係る金属帯板に部品を一体化した複合部品にあっては、合成樹脂製の部品1の側面に、金属帯板2の取付孔3に連通する窓部4を開口形成すると共に、金属帯板2における上記窓部4内に露出した部分を折曲してストッパー10を形成し、該ストッパー10を、上記部品1における取付孔3に対し窓部4の反対側の部位に形成した収容凹部5内に収容させて、該収容凹部5における取付孔3の開口部側の内壁面5aに当接することで、金属帯板2に対し部品1が抜け止め固定されている。
【0009】
以下、複合部品の一例であるオイルレベルゲージの一実施例を図面に基づき説明する。
図1は、オイルレベルゲージの正面図の要部拡大図、図2は、図1の側面図であり、
合成樹脂製の部品である把手部1と、先端部にゲージ部(図示せず)を有した金属帯板であるゲージ本体2とで構成されている。
【0010】
上記把手部1にあっては、把手部本体1aと、ガイドパイプ(図示せず)への嵌挿部位1bとで構成され、該嵌挿部位1bの先端面にゲージ本体2の基端側部位2aの取付孔3を形成すると共に、嵌挿部位1bの側面で開口して上記取付孔3に連通する窓部4を形成し、嵌挿部位1bにおける取付孔3に対し窓部4の反対側の部位に、後述するストッパー8の収容凹部5を形成している。
又、嵌挿部位1bに取付孔3対し直角な貫通孔6を形成して、該該貫通孔6における取付孔3より一端側部位を窓部4とし、他端側部位を収容凹部5としいる。
【0011】
上記ゲージ本体2にあっては、図5(A)に示す様に、基端側部位2aに、一側部より内方へ2本のスリット7、7aを形成してその間に、基端部がゲージ本体2と連結状態の折曲可能な舌片部位8が形成され、該舌片部位8を上記把手部1の嵌挿部位1bにおける窓部4内に露出させると共に、上記舌片部位8を窓部4より収容凹部5側へ折曲して、該収容凹部5内に収容状態のストッパー10を形成している。
【0012】
又、ストッパー10を形成する舌片部位8の他の実施例にあっては、図5(B)に示す様に、ゲージ本体2に略U字状のスリット7を形成してその内側を舌片部位8としたり、或いは図5(C)に示す様に、一側部より内方へ1本のスリット7を形成すると共に、該スリット7の先端より直角に連続形成したスリット7aを形成してその内側を舌片部位8とするなど、要するにゲージ本体2の一部を舌片部位として折曲可能な様に、且つ舌片部位の先端がゲージ本体2の側方又はゲージ本体2の先端側に位置する様にスリットが形成されていれば良い。
【0013】
次に、本発明の係る金属帯板の端部に部品を一体化した複合部品の製造方法について説明する。
図3、4に示す様に、先ず金属帯板であるゲージ本体2を治具Aにセットした後(図4(a)参照)、部品である把手部1を、上記ゲージ本体2の基端側部位2aを把手部1の取付孔3内に挿入する様に取り付け(図4(a)及び図4(b)参照)、次に窓部4に工具Tを挿入して上記ゲージ本体2における舌片部位8を5、収容凹部5内に収容する様に折曲してストッパー10を形成し(図3(b)及び図4(c)参照)、最後に窓部4より工具Tを引き抜くと(図3(c)参照)、複合部品であるオイルレベルゲージとなる。
【0014】
金属帯板2の先端に部品1を取り付ける場合、取付孔3内の奥部に、金属帯板2の先端の位置規制部12を形成し、該位置規制部12は、図6に示す様に、取付孔3内の奥部に設けた、圧縮弾性体である押圧部材12a とし、該押圧部材12a は取付孔3の入口側に湾曲した円弧板状に形成している。
具体的には、部品1(把手部本体1a)に、円弧側を取付孔3の入口側に位置させた半円穴13を形成し、取付孔3を、その奥部を凸円弧状に形成して半円穴13に近接位置に配置する様に形成し、半円穴13及び取付孔3間に形成した円弧板状の部位を押圧部材12a としている。
尚、上記実施例における押圧部材12a にあっては、図6に示す様に、取付孔3の入口側向きの凸円弧状の板材12b で圧縮弾性体であるが、かかる形態に限定せず、例えば、図示しないが、取付孔3内の奥部に設けた屈曲板状の圧縮弾性体であったり、支承部材3aとは別体の、例えば圧縮バネの様な圧縮弾性体であったり、或いは取付孔3の奥部に一体突設した単なる突部であっても良い。
【0015】
又、図6、7、8(A)〜(B)に示す複合部品の製造方法は、図1、2に示す複合部品の製造方法と略同一であるが、部品1の取付孔3に金属帯板2の先端を差し込む過程において、金属帯板2の先端が押圧部材12a に当接し該押圧部材12a を変形させ、
窓部4より工具Tを引き抜くと、変形状態の押圧部材12a の復元力によりストッパー10が収容凹部5の内壁面に当接した、金属帯板2に対し部品1がガタつかない複合部品であるオイルレベルゲージとなる。
【0016】
尚、本発明に係る複合部品がオイルレベルゲージの場合、把手部1(部品1)における取付孔2は、図1、2に示す様に、把手部本体1aに至らない様に形成したり、或いは図6、7に示す様に、把手部本体1aに至らない様に形成してもどちらでも良く、特に後者の場合、ゲージ本体2(金属帯板2)が嵌挿部位1bを貫通して把手部本体1aに達しているため、ゲージ本体2(金属帯板2)が把手部1(部品1)の補強材となる。
【0017】
又、図面上、取付孔3は未貫通状態であるが、図示しないが、貫通状態として金属帯板2の中間部に部品3を取り付ける様にしても良く、この場合、当然ではあるが、部品3に金属帯板2の先端の位置規制部12は設けられない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例であるオイルレベルゲージの正面図の要部拡大図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1のオイルレベルゲージの製造過程を示す断面図である。
【図4】図1のオイルレベルゲージの製造過程を示す側面図である。
【図5(A)】図1のオイルレベルゲージにおけるゲージ本体の部分拡大図である。
【図5(B)】図5(A)の他の実施例を示すゲージ本体の部分拡大図である。
【図5(C)】図5(A)の他の実施例を示すゲージ本体の部分拡大図である。
【図6】位置規制部を設けたオイルレベルゲージの正面図の要部拡大図である。
【図7】図6の側面図である。
【図8(A)】図6のオイルレベルゲージの縦断面図である。
【図8(B)】図5(B)又は図5(C)のゲージ本体を使用したオイルレベルゲージの縦断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 部品
2 金属帯板
3 取付孔
4 窓部
5 収容凹部
6 貫通孔
7、7a スリット
8 舌片部位
10 ストッパー
12 位置規制部
12a 押圧部材
T 工具
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばオイルレベルゲージの様な、金属帯板に部品を一体化した複合部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属帯板の端部に部品を一体化した複合部品、具体的にはオイルレベルゲージにあっては、樹脂製の把手部及び金属製のゲージ本体を備え、把手部に、ゲージ本体の一端が圧入される取付孔と、周壁に開口して取付孔に連通する窓部とが設けられ、ゲージ本体は、窓部から露出した部分をかしめることによって形成された突起を有し、この突起が把手部の樹脂に食い込んで、前記ゲージ本体が抜け止め固定されているものが見受けられ、このオイルレベルゲージは、前記ゲージ本体の一端を前記把手部及び前記ゲージ部の取付け孔に圧入し、前記窓部に工具を挿入して前記ゲージ本体をかしめ、これによって前記ゲージ本体に、把手部の樹脂に食い込ませる突起を形成し、該突起により、ゲージ本体の一端を前記把手部に抜け止め固定する様にして製造されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−91233号公報(特許請求の範囲、図3〜5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術にあっては、ゲージ本体をかしめて形成した突起を把手部の樹脂に食い込ませていることから、把手部へのダメージが大きいため、把手部が破損してしまう可能性を否定できないなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく、把手部の破損などの課題に鑑み、把手部となる部品の側面に、ゲージ本体となる金属帯板の取付孔に連通する窓部を開口形成すると共に、金属帯板に折曲可能に形成した舌片部位を、上記窓部内に露出させ折曲してストッパーを形成し、該ストッパーを、部品における取付孔に対し窓部の反対側の部位に形成した収容凹部内に収容させ、金属帯板を部品の取付孔に挿入し、窓部に工具を挿入して前記金属帯板における舌片部位を折曲して、収容凹部の内壁面に当接させるストッパーとし、該ストッパーによって金属帯板に対し前記部品が抜け止め固定される様にした複合部品であるオイルレベルゲージを製造することによって、金属帯板を加工したストッパーによる部品へのダメージ付与を皆無にして製造可能にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、部品の側面に取付孔に連通する窓部を開口形成すると共に、金属帯板に折曲可能に形成した舌片部位を、上記窓部内に露出させ折曲してストッパーを形成し、該ストッパーを、上記部品における取付孔に対し窓部の反対側の部位に形成した収容凹部内に収容させたので、単に金属帯板の一部を折り曲げて収容凹部内に収容されるストッパーとするだけであるため、該ストッパーによる部品へのダメージが皆無であり、よって部品の変形、亀裂の発生などの不具合を解消することが出来、例え部品に対し金属帯板が引抜き方向へ動いたとしても、ストッパーが収容凹部の内壁面に当たるため、部品及び金属帯板間の離脱分離を完全に防止することが出来る。
又、金属帯板に2本のスリットを形成してその間の部分を金属帯板における舌片部位としたので、簡単な構成で舌片部位を形成することが出来る。
而も、部品に貫通孔を、取付孔に対し直角に貫通する様に形成して、該貫通孔における取付孔より一端側部位を窓部とし、他端側部位を収容凹部としたので、貫通孔のどちらからでも金属帯板のスリット間部位を加工することが出来る。
そして、請求項1、2又は3に記載の複合部品の製造方法であって、金属帯板を部品の取付孔に挿入し、窓部に工具を挿入して前記金属帯板における舌片部位を折曲して、収容凹部の内壁面に当接させるストッパーとし、該ストッパーによって金属帯板に対し前記部品が抜け止め固定される様にしたので、複雑な金型が不要で、簡単な装置で一体化することが出来る。
【0007】
部品に対し取付孔を未貫通とし、該取付孔の奥部に、金属帯板の先端の位置規制部を設けたので、該位置規制部により金属帯板の先端を位置決めしているため、装着状態における部品の金属帯板の長手方向の微動を防止又は極めて微量に抑止出来、よって金属帯板及び部品の一体性に優れた製品にすることが出来、而も而も位置規制部を、圧縮弾性体である押圧部材としたので、かかる押圧部材は弾性変形可能であり、金属帯板の先端を押圧部材との当接位置より更に奥に差し込むことが出来、而も押圧部材と金属帯板の先端面及びストッパーと収容凹部の内壁面との密着度が押圧部材の弾性復元力により大きくなるため、金属帯板に対する部品の一体性を更に向上させることが出来る。
そして、 請求項5又は6に記載の複合部品の製造方法であって、金属帯板の一端を部品の取付孔に、金属帯板の先端が位置規制部に当接するまで挿入し、窓部に工具を挿入して前記金属帯板における舌片部位を折曲して、収容凹部の内壁面に当接させるストッパーとし、該ストッパーによって金属帯板の一端に対し前記部品が抜け止めすると共に、位置規制部によってストッパーの当接状態を維持させる様にしたので、複雑な金型が不要で、簡単な装置でガタつかない様に一体化することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係る金属帯板に部品を一体化した複合部品にあっては、合成樹脂製の部品1の側面に、金属帯板2の取付孔3に連通する窓部4を開口形成すると共に、金属帯板2における上記窓部4内に露出した部分を折曲してストッパー10を形成し、該ストッパー10を、上記部品1における取付孔3に対し窓部4の反対側の部位に形成した収容凹部5内に収容させて、該収容凹部5における取付孔3の開口部側の内壁面5aに当接することで、金属帯板2に対し部品1が抜け止め固定されている。
【0009】
以下、複合部品の一例であるオイルレベルゲージの一実施例を図面に基づき説明する。
図1は、オイルレベルゲージの正面図の要部拡大図、図2は、図1の側面図であり、
合成樹脂製の部品である把手部1と、先端部にゲージ部(図示せず)を有した金属帯板であるゲージ本体2とで構成されている。
【0010】
上記把手部1にあっては、把手部本体1aと、ガイドパイプ(図示せず)への嵌挿部位1bとで構成され、該嵌挿部位1bの先端面にゲージ本体2の基端側部位2aの取付孔3を形成すると共に、嵌挿部位1bの側面で開口して上記取付孔3に連通する窓部4を形成し、嵌挿部位1bにおける取付孔3に対し窓部4の反対側の部位に、後述するストッパー8の収容凹部5を形成している。
又、嵌挿部位1bに取付孔3対し直角な貫通孔6を形成して、該該貫通孔6における取付孔3より一端側部位を窓部4とし、他端側部位を収容凹部5としいる。
【0011】
上記ゲージ本体2にあっては、図5(A)に示す様に、基端側部位2aに、一側部より内方へ2本のスリット7、7aを形成してその間に、基端部がゲージ本体2と連結状態の折曲可能な舌片部位8が形成され、該舌片部位8を上記把手部1の嵌挿部位1bにおける窓部4内に露出させると共に、上記舌片部位8を窓部4より収容凹部5側へ折曲して、該収容凹部5内に収容状態のストッパー10を形成している。
【0012】
又、ストッパー10を形成する舌片部位8の他の実施例にあっては、図5(B)に示す様に、ゲージ本体2に略U字状のスリット7を形成してその内側を舌片部位8としたり、或いは図5(C)に示す様に、一側部より内方へ1本のスリット7を形成すると共に、該スリット7の先端より直角に連続形成したスリット7aを形成してその内側を舌片部位8とするなど、要するにゲージ本体2の一部を舌片部位として折曲可能な様に、且つ舌片部位の先端がゲージ本体2の側方又はゲージ本体2の先端側に位置する様にスリットが形成されていれば良い。
【0013】
次に、本発明の係る金属帯板の端部に部品を一体化した複合部品の製造方法について説明する。
図3、4に示す様に、先ず金属帯板であるゲージ本体2を治具Aにセットした後(図4(a)参照)、部品である把手部1を、上記ゲージ本体2の基端側部位2aを把手部1の取付孔3内に挿入する様に取り付け(図4(a)及び図4(b)参照)、次に窓部4に工具Tを挿入して上記ゲージ本体2における舌片部位8を5、収容凹部5内に収容する様に折曲してストッパー10を形成し(図3(b)及び図4(c)参照)、最後に窓部4より工具Tを引き抜くと(図3(c)参照)、複合部品であるオイルレベルゲージとなる。
【0014】
金属帯板2の先端に部品1を取り付ける場合、取付孔3内の奥部に、金属帯板2の先端の位置規制部12を形成し、該位置規制部12は、図6に示す様に、取付孔3内の奥部に設けた、圧縮弾性体である押圧部材12a とし、該押圧部材12a は取付孔3の入口側に湾曲した円弧板状に形成している。
具体的には、部品1(把手部本体1a)に、円弧側を取付孔3の入口側に位置させた半円穴13を形成し、取付孔3を、その奥部を凸円弧状に形成して半円穴13に近接位置に配置する様に形成し、半円穴13及び取付孔3間に形成した円弧板状の部位を押圧部材12a としている。
尚、上記実施例における押圧部材12a にあっては、図6に示す様に、取付孔3の入口側向きの凸円弧状の板材12b で圧縮弾性体であるが、かかる形態に限定せず、例えば、図示しないが、取付孔3内の奥部に設けた屈曲板状の圧縮弾性体であったり、支承部材3aとは別体の、例えば圧縮バネの様な圧縮弾性体であったり、或いは取付孔3の奥部に一体突設した単なる突部であっても良い。
【0015】
又、図6、7、8(A)〜(B)に示す複合部品の製造方法は、図1、2に示す複合部品の製造方法と略同一であるが、部品1の取付孔3に金属帯板2の先端を差し込む過程において、金属帯板2の先端が押圧部材12a に当接し該押圧部材12a を変形させ、
窓部4より工具Tを引き抜くと、変形状態の押圧部材12a の復元力によりストッパー10が収容凹部5の内壁面に当接した、金属帯板2に対し部品1がガタつかない複合部品であるオイルレベルゲージとなる。
【0016】
尚、本発明に係る複合部品がオイルレベルゲージの場合、把手部1(部品1)における取付孔2は、図1、2に示す様に、把手部本体1aに至らない様に形成したり、或いは図6、7に示す様に、把手部本体1aに至らない様に形成してもどちらでも良く、特に後者の場合、ゲージ本体2(金属帯板2)が嵌挿部位1bを貫通して把手部本体1aに達しているため、ゲージ本体2(金属帯板2)が把手部1(部品1)の補強材となる。
【0017】
又、図面上、取付孔3は未貫通状態であるが、図示しないが、貫通状態として金属帯板2の中間部に部品3を取り付ける様にしても良く、この場合、当然ではあるが、部品3に金属帯板2の先端の位置規制部12は設けられない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例であるオイルレベルゲージの正面図の要部拡大図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1のオイルレベルゲージの製造過程を示す断面図である。
【図4】図1のオイルレベルゲージの製造過程を示す側面図である。
【図5(A)】図1のオイルレベルゲージにおけるゲージ本体の部分拡大図である。
【図5(B)】図5(A)の他の実施例を示すゲージ本体の部分拡大図である。
【図5(C)】図5(A)の他の実施例を示すゲージ本体の部分拡大図である。
【図6】位置規制部を設けたオイルレベルゲージの正面図の要部拡大図である。
【図7】図6の側面図である。
【図8(A)】図6のオイルレベルゲージの縦断面図である。
【図8(B)】図5(B)又は図5(C)のゲージ本体を使用したオイルレベルゲージの縦断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 部品
2 金属帯板
3 取付孔
4 窓部
5 収容凹部
6 貫通孔
7、7a スリット
8 舌片部位
10 ストッパー
12 位置規制部
12a 押圧部材
T 工具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属帯板と、該金属帯板の取付孔を形成した部品とを備えた複合部品であって、
上記部品の側面に上記取付孔に連通する窓部を開口形成すると共に、上記金属帯板に折曲可能に形成した舌片部位を、上記窓部内に露出させ折曲してストッパーを形成し、該ストッパーを、上記部品における取付孔に対し窓部の反対側の部位に形成した収容凹部内に収容させたことを特徴とする複合部品。
【請求項2】
金属帯板に2本のスリットを形成してその間の部分を舌片部位としたことを特徴とする請求項1記載の複合部品。
【請求項3】
部品に貫通孔を、取付孔に対し直角に形成して、該貫通孔における取付孔より一端側部位を窓部とし、他端側部位を収容凹部としたことを特徴とする請求項1又は2記載の複合部品。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の複合部品の製造方法であって、
金属帯板を部品の取付孔に挿入し、窓部に工具を挿入して前記金属帯板における舌片部位を折曲して、収容凹部の内壁面に当接させるストッパーとし、該ストッパーによって金属帯板に対し前記部品が抜け止め固定される様にしたことを特徴とする複合部品の製造方法。
【請求項5】
部品に対し取付孔を未貫通とし、該取付孔の奥部に、金属帯板の先端の位置規制部を設けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の複合部品。
【請求項6】
上記位置規制部を、圧縮弾性体である押圧部材としたことを特徴とする請求項5記載の複合部品。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の複合部品の製造方法であって、
金属帯板を部品の取付孔に、金属帯板の先端が位置規制部に当接するまで挿入し、窓部に工具を挿入して前記金属帯板における舌片部位を折曲して、収容凹部の内壁面に当接させるストッパーとし、該ストッパーによって金属帯板の一端に対し前記部品が抜け止めすると共に、位置規制部によってストッパーの当接状態を維持させる様にしたことを特徴とする複合部品の製造方法。
【請求項1】
金属帯板と、該金属帯板の取付孔を形成した部品とを備えた複合部品であって、
上記部品の側面に上記取付孔に連通する窓部を開口形成すると共に、上記金属帯板に折曲可能に形成した舌片部位を、上記窓部内に露出させ折曲してストッパーを形成し、該ストッパーを、上記部品における取付孔に対し窓部の反対側の部位に形成した収容凹部内に収容させたことを特徴とする複合部品。
【請求項2】
金属帯板に2本のスリットを形成してその間の部分を舌片部位としたことを特徴とする請求項1記載の複合部品。
【請求項3】
部品に貫通孔を、取付孔に対し直角に形成して、該貫通孔における取付孔より一端側部位を窓部とし、他端側部位を収容凹部としたことを特徴とする請求項1又は2記載の複合部品。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の複合部品の製造方法であって、
金属帯板を部品の取付孔に挿入し、窓部に工具を挿入して前記金属帯板における舌片部位を折曲して、収容凹部の内壁面に当接させるストッパーとし、該ストッパーによって金属帯板に対し前記部品が抜け止め固定される様にしたことを特徴とする複合部品の製造方法。
【請求項5】
部品に対し取付孔を未貫通とし、該取付孔の奥部に、金属帯板の先端の位置規制部を設けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の複合部品。
【請求項6】
上記位置規制部を、圧縮弾性体である押圧部材としたことを特徴とする請求項5記載の複合部品。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の複合部品の製造方法であって、
金属帯板を部品の取付孔に、金属帯板の先端が位置規制部に当接するまで挿入し、窓部に工具を挿入して前記金属帯板における舌片部位を折曲して、収容凹部の内壁面に当接させるストッパーとし、該ストッパーによって金属帯板の一端に対し前記部品が抜け止めすると共に、位置規制部によってストッパーの当接状態を維持させる様にしたことを特徴とする複合部品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(A)】
【図5(B)】
【図5(C)】
【図6】
【図7】
【図8(A)】
【図8(B)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(A)】
【図5(B)】
【図5(C)】
【図6】
【図7】
【図8(A)】
【図8(B)】
【公開番号】特開2009−75051(P2009−75051A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246891(P2007−246891)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(391023172)大橋鉄工株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(391023172)大橋鉄工株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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