説明

金属溶融物又はスラグ溶融物における測定のための測定プローブ

【課題】特に簡易で低コストの組立ての点で既知の測定プローブを改良する。
【解決手段】本発明は、浸漬端部及び後方端部を有し、かつセンサー(3)が浸漬端部に配置される測定ヘッド(1)を有する金属溶融物又はスラグ溶融物における測定のための測定プローブに関する。本発明はまた、測定ヘッドが浸漬端部及び後方端部を有し、センサーが浸漬端部に配置され、それらの信号線(11)がチャネル(2)により測定ヘッドを通って案内され、かつ、別個のチャネルが各センサーに対して設けられる測定プローブに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定ヘッドを有する金属溶融物又はスラグ溶融物における測定のための測定プローブに関し、測定ヘッドは浸漬端部と後端部を有し、センサーが浸漬端部に配置される。
【背景技術】
【0002】
このような測定プローブは、冶金において一般的であり、例えば、DE 35 41 806 C1により知られている。この刊行物において、いくつかのセンサー及びサンプルチャンバを測定ヘッド内又は該ヘッド上に配置することが開示されている。DE 8317643 U1において、類似の測定プローブが開示される。ここでも、種々のセンサー及び随意的なサンプルチャンバが測定ヘッド内又は該ヘッド上に配置される。該センサーは測定ヘッドの浸漬側内に挿入され、信号線は別個の内腔内に通され、これらの内腔により、キャリア管を通って評価ユニットへと後方に案内される。別の測定プローブは、DE 7925016 U1により知られている。ここでは、いくつかのセンサーは、測定ヘッド上に配置され、耐火セメントを用いたこの測定ヘッドに固定される。
【特許文献1】DE 35 41 806 C1
【特許文献2】DE 8317643 U1
【特許文献3】DE 7925016 U1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、特に簡易で低コストの組立ての点で既知の測定プローブを改良する課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
該課題は、独立請求項に従う測定プローブによって解決される。好ましい実施形態は従属請求項において与えられる。
【0005】
浸漬端部及び後方端部を有し、かつセンサーが浸漬端部に配置される測定ヘッドを有する測定プローブは、本発明によれば、その後方端部の前に側方凹部を有する。特に、該測定ヘッドは、側方周囲カラーと、該カラーの直径よりも小さい直径の、浸漬端部から離れる方を向く端部とを有し得る。キャリア管は、この端部に配置され得る。センサーのための接続部は、簡易な態様で上記凹部に配置され得、該凹部は、浸漬端部から離れる方を向く上記カラーの側部(該カラー付近)において測定ヘッドに配置される。該凹部は、好ましくは、少なくとも一つのチャネルによって測定ヘッドの浸漬側端部にそれぞれ連通され得る。測定ヘッドの浸漬側におけるセンサーの取付けは、チャネルを通じて行われ得、これにより、信号線は凹部を通って案内される。凹部及び後方に至る信号チャネルは、キャリア管内に配置される。このように、測定ヘッドの一方側のみからのセンサーの非常に簡易な取付けが可能である。
【0006】
本発明に従う測定プローブの別の実施形態において、測定ヘッドは、浸漬端部及び後方端部を有し、センサーは浸漬端部に配置され、それらの信号線はチャネルにより測定ヘッドを通って案内され、別個のチャネルが各センサーに対して設けられる。測定プローブは、浸漬端部から離れる方を向くチャネルの端部において、チャネルに関連するセンサーのそれぞれの信号線が接点部(品)(接触部(品)(contact piece))に接続されることにより特徴付けられる。接点部は、今度は、他の信号線に接続され、該信号線は、測定プローブのキャリア管を通って測定装置に案内される。組立ては、測定ヘッドの後方側から行われ、そのため、取付け中に測定ヘッドの回転は必要ない。各チャネルにおいて、固有のセンサーが配置され、そのため、個々のセンサーは互いに十分な間隔をあけて配置され、これにより、それらは、測定中、実際的に互いに相互作用しない。センサーはまた、固有の測定に個々に適合され得、これにより、全体の測定ヘッドには、必要に応じて及び用途の状態に従って、異なるセンサーが装備され得る。組立て中、簡易化のため、すべての測定ヘッドには、まず、すべての用途に対して同じ態様で使用されるセンサーが装備され得、次に、特定の用途のためのそれぞれ固有のセンサーがグループ毎に装備され得る。このようなモジュール構成は、組立コストをかなり削減することができる。接点部を用いることにより、チャンネルが最初に閉じられ得、次に、これらチャンネルに構成要素が装備された後にチャネルが浸漬側からのセメント又は他の耐火材料で共に満たされ、これによりセンサーが固定される前に、それぞれのセンサーがそのチャネル内に保持され得る。一つのそのようなチャネルにおいて、測定ヘッドの後方端部に配置されるサンプリング装置又はサンプリング装置の入口チャネルも配置され得る。
【0007】
測定ヘッドの後方端部におけるいわゆる接点部の配置により、測定ヘッドの組立てのための長い信号線の取扱いが回避され、これにより、一つのそれぞれのチャネルに一つのそれぞれの接点部を配置して、これらの接点部を、浸漬端部から離れる方を向くチャネルの端部に固定することが特に有利である。従って、より遠くに至る信号線の後の組立ては、より簡易で誤りがない。これは、例えば適切なカラーマーキングによる、関連する接点部に対するそれぞれの信号ケーブルの唯一の割り当てが、いかなるエラーをもほぼ除外するためである。浸漬端部から離れる方を向くチャネルの端部は、測定ヘッドにおいて側方(横向き)に配置される凹部内へと開放することが有利である。これにより、測定ヘッドの外側輪郭から突出する構造が実質的に回避され、その結果、組立て中の損傷が防止される。該凹部は、測定ヘッド上へのキャリア管の組付けにより、このキャリア管によってカバーされ得る。
【0008】
有利には、チャネルは内腔として形成され、関連するセンサーの直径よりも大きい直径を有する。該内腔の直径はまた標準化(画一化)され得、これにより、センサーの挿入の柔軟性が高まる。センサーは、比較的短い信号ケーブルを介してセンサに接続される接点部がチャネル端部に接するまで、浸漬端部から離れる方を向くチャネルの端部からチャネル内に挿入され得る。該接点部は、一つのチャネル端部に有利にセットされ得る。ここで、接点部が、浸漬端部から離れる方を向くそれらの端部において、それぞれ関連するチャネル端部の直径よりも大きい直径を有することが特に有利である。これは、止めがそれにより形成され、接点部が該止めまでチャネル内に挿入され得るからである。
【0009】
測定ヘッドはカラーを有し得、浸漬端部から離れる方を向く該カラーの端部は、キャリア管に対する止めを有する。一般に、そのような測定ヘッドは、本質的に円筒構成を有するか、又は軸方向に互いに一直線に配置され、かつ直径が後方に向かって(浸漬端部から離れる方を向く側に向かって)小さくなる複数の円筒から成る。このような場合、環状段部が作り出される。このような段付き構成を用いる場合、別の支持管がキャリア管内部の測定ヘッドに配置されることが有利である。これは、サンプリング装置にとって有利であり得る。その理由は、溶融金属中において、キャリア管は実質的に燃焼されて、その安定性を失い、その結果、そこに配置された支持管が、サンプルチャンバに対する付加的なキャリア機能を発揮するからである。溶融金属から測定プローブを取り出した後、及び、キャリア管の残りを取り去った後、この内部支持管が測定ヘッドから取り外され、これにより、サンプルチャンバは容易にアクセス可能で、また、簡易な態様で取り外され得る。
【0010】
有利には、サンプルチャンバ及び/又は好都合には浴接点が測定ヘッドに配置される。浴接点は、測定ヘッドの浸漬側端部から突出する。
【0011】
接点部の接点は、プラグ端子として有利に構成され得る。
【0012】
以下に、本発明の実施形態が図面を参照して記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1において、測定プローブの測定ヘッド1が示される。該測定プローブは、例えば、液状鋼溶融物又は液状スラグ溶融物の固有値を測定するために製鋼所において使用される。該測定ヘッドは、いくつかのチャネル2を有する。これらのチャネルは、測定ヘッド1の長手軸線の周りに配置される。センサー3(電気化学センサー、温度センサー、又は他の一般的なセンサー)は、これらのチャネル内に配置される。中心に配置されたチャネル4は、サンプルチャンバ6に対する入口管5を保持する。サンプルチャンバ6は、浸漬端部から離れる方を向く(浸漬端部とは反対側を向く)測定ヘッド1の端部に固定される。図1において、一般的な半殻サンプリング装置が示され、それらの後端部は、クランプ7により共に保持される。チャネル2、4は耐火セメントで満たされ、これにより、入口管5及びセンサー3が固定される。測定ヘッド1の浸漬端部を越えて突出するセンサー3又は入口管5の端部は、特定の目的に適合された別個の保護キャップ8でそれぞれカバーされる。保護キャップ8は、スラグ溶融物に突っ込むやいなや、センサー3及び入口管5を保護する。測定ヘッド1全体は、その浸漬端部が単一の追加キャップ9によりカバーされる。該キャップ9は安定性があり、移送中又は凝り固まった(表面が硬い)スラグに押し込む際、その下にある保護キャップ8を保護する。
【0014】
センサー3は、それぞれの接点部10に直接又は信号線11を介して接続される。図1において、酸素センサーが左側に示され、熱電対が右側に示される。接点部10はチャネル2の後端部を閉じる。それらの後端部において、接点部10はプラグ端子12を有し、プラグ端子12は、測定ヘッド1の後端部の凹部13内に配置される。凹部13は、成形品の一部として(チャネルと同時に)測定ヘッド1の製造中に既知の態様で形成されたが、これらはまた、後に機械にかけて作られ得る。
【0015】
図2は、外部キャップ9でカバーされた測定ヘッド1を示す。プラグ端子12は、該測定ヘッドの後端部における凹部13内に配置される。プラグ端子12は信号線14に接続され、信号線14はキャリア管15を通って案内され、測定電子機器に接続される。測定ヘッド1の後端部の第2の縮径部に支持管16が配置され、支持管16は、サンプルチャンバ6を付加的に保護し、また、サンプル採取後のサンプルチャンバ6の簡易な取出しを保証する。個々に取り付けられたセンサー3は、実際的に互いに影響を及ぼさず、用途の特定の目的に適合され得る。入口管5の入口が溶鋼中で初めて開放されるように上記保護キャップの寸法が設定され得るため、上記サンプリング装置は、スラグの侵入から効果的に保護される。測定ヘッド1の追加構成要素(センサー3、サンプルチャンバ6)の組立ては、測定ヘッド1の一方の側から行われる。耐火セメントの注入は他方の側から行われ、これにより、該組立て中に測定ヘッド1が容易に扱われ得、また、しきりに回転させられる必要がない。接続部のすべては容易に目視でき、そのため、製造中に監視され得る。測定ヘッド1の組立て中、干渉を引き起こし得る長いワイヤーが存在せず、また、耐火セメントを焼成するための必要な焼成操作の数が最小化される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】測定ヘッドの断面である。
【図2】キャリア管付き測定プローブの概略図である。
【符号の説明】
【0017】
1 測定ヘッド
2 チャネル
3 センサー
4 チャネル
5 入口管
6 サンプルチャンバ
7 クランプ
8 保護キャップ
9 追加キャップ
10 接点部
11 信号線
12 プラグ端子
13 凹部
14 信号線
15 キャリア管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸漬端部及び後方端部を有する測定ヘッドを有する金属溶融物又はスラグ溶融物における測定のための測定プローブであって、チャネルによって該測定ヘッドを通って案内される信号線を有するセンサーが浸漬端部に配置され、別個のチャネルが各センサーに対して設けられ、浸漬端部から離れる方を向くチャネルの端部において、関連するセンサーの信号線が接点部に接続され、各接点部はそれぞれ一つのチャネルに配置され、かつ浸漬端部から離れる方を向く該チャネルの端部に固定されることを特徴とする測定プローブ。
【請求項2】
前記浸漬端部から離れる方を向くチャネルの端部は、測定ヘッドにおいて側方に配置される凹部へと開放することを特徴とする請求項1に従う測定プローブ。
【請求項3】
前記チャネルは、関連するセンサーの直径よりも大きい直径を有する内腔として形成されることを特徴とする請求項1又は2に従う測定プローブ。
【請求項4】
前記接点部は、一のチャネル端部内にそれぞれ挿入されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に従う測定プローブ。
【請求項5】
前記接点部は、浸漬端部から離れる方を向くそられの端部において、それぞれに関連するチャネル端部の直径よりも大きい直径を有することを特徴とする請求項4に従う測定プローブ。
【請求項6】
前記測定ヘッドは、キャリア管の開放部に配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に従う測定プローブ。
【請求項7】
前記キャリア管内の前記測定ヘッドに別の支持管が配置されることを特徴とする請求項6に従う測定プローブ。
【請求項8】
浴接点及び/又はサンプルチャンバも測定ヘッドに配置されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一に従う測定プローブ。
【請求項9】
前記接点部の接点はプラグ端子として構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一に従う測定プローブ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−163495(P2007−163495A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335770(P2006−335770)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(598083577)ヘレーウス エレクトロ−ナイト インターナシヨナル エヌ ヴイ (37)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Electro−Nite International N.V.
【住所又は居所原語表記】Centrum Zuid 1105, B−3530 Houthalen,Belgium
【Fターム(参考)】