説明

金属薄板加工機械のための工具収容部を備える金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット

本発明は、第1の工具収容部(10,39)を備える金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット(1)に関する。これにより、工具(11)を第1の工具マガジン(13)から、金属薄板加工機械(21,33)に組み込まれた第2の工具収容部(15)又は金属薄板加工機械(21,33)の工具収容部(24,25,34,35)に受け渡すことができ、これにより、自動的に金属薄板加工機械(21,33)に交換可能な工具(11)の数を低コストかつ省スペースに増加させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属薄板加工機械のための工具収容部を備える金属薄板供給兼金属薄板排出ユニットに関する。
【0002】
金属薄板加工機械の1つのタイプ、すなわち打抜き加工機械は、一般に、打抜き工具を保管するための組み込まれたマガジンを有している。打抜き工具は、金属薄板パーツの製造時の所定の加工工程を果たすために設けられている。製品を完成させるにあたって行われる多数の種々異なる作業工程があるとき、例えば種々異なる成形、ニブリング、ねじ山形成及び変形加工を伴う打抜き工程があるとき、多数の種々異なる工具が必要である。この理由から、打抜き加工機械に組み込まれている工具マガジンの収容容量は、往々にして不十分である。
【0003】
この組み込まれた工具マガジンに収容することができるよりも多くの工具を使用する様々な可能性がある。
【0004】
1つには、工具を加工休止中に手動で工具マガジンに交換する可能性がある。しかし、この交換は、再三の加工の停止と手作業の手間を意味し、これにより非経済的である。
【0005】
別の択一的な可能性は、打抜き加工機械に組み込まれている工具マガジンへ自動的に交換がなされるように、打抜き工具が保管され、そこから加工のために工具収容部へと収容されるようにした付加的な別体の工具マガジンを設けることである。しかし、付加的な別体の工具マガジンを設けることは、付加的な機械要素を必要とする。付加的な機械要素は、相応のコスト及び所要スペースの増大に結び付く。多数の種々異なる加工工程により、標準的な別体の工具マガジンを使用しても、保管し得る工具の数は、往々にして、経済的な製造を保証するためにはもはや不十分であって、その結果、付加的な準備容量が必要である。
【0006】
金属薄板加工機械の別のタイプ、すなわち曲げ加工機械においても、工具の自動的な交換が可能である。曲げ工具も、曲げ加工機械に設けられた工具マガジンに保管され、自動的に曲げ加工ステーションに提供される。しかし、曲げ工具の往々にして大きな寸法によって、機械内部又は機械の傍での必要な数の曲げ工具の予備は、打抜き工具におけるよりも一層高い要求を課す。
【0007】
自動的な工具交換が原則可能な金属薄板加工機械の別のタイプは、複合機械、例えば打抜き兼曲げ加工機械又は打抜き兼レーザ加工機械である。
【0008】
本発明の課題は、付加的な所要スペース及びより大きな投資コストを必要とすることなく、自動的に工具を金属薄板加工機械に出し入れするハンドリングシステム、及び工具を出し入れする方法を提供することである。
【0009】
この課題は、請求項1記載の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット、請求項7記載の金属薄板加工機械、及び請求項11又は12記載の方法により解決される。本発明の別の態様は、それぞれの従属請求項に係る発明である。すなわち、本発明に係る金属薄板加工機械のための金属薄板供給兼金属薄板排出ユニットは、定置のユニットと、金属薄板を収容するための少なくとも1つの装置を備える金属薄板収容ユニットと、該金属薄板収容ユニットを少なくとも1つの水平の軸線方向で運動させる少なくとも1つの駆動装置とを備える、金属薄板加工機械のための金属薄板供給兼金属薄板排出ユニットにおいて、前記金属薄板収容ユニットが、金属薄板加工工具を収容するための少なくとも1つの工具収容部を備えることを特徴とし、好ましくは、前記定置のユニットが、少なくとも1つの第2の工具収容部を備える第1の工具マガジンを備える。また、好ましくは、前記金属薄板収容ユニットが、少なくとも2つの工具収容部を備える。また、好ましくは、第1の工具収容部が、前記金属薄板収容ユニットに対して相対的に可動に配置されている。また、好ましくは、複数の前記第1の工具収容部が、互いに相対的に固定に配置されている。また、好ましくは、前記第1の工具収容部が、前記金属薄板収容ユニットに対して相対的に回転可能である。さらに本発明に係る制御装置を備える金属薄板加工機械は、該金属薄板加工機械が、上記の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニットを備えることを特徴とし、好ましくは、前記金属薄板加工機械が、上側の工具収容部及び下側の工具収容部を備える打抜き加工機械として形成されている。また、好ましくは、前記金属薄板加工機械が、上側の工具収容部及び下側の工具収容部を備える曲げ加工機械として形成されている。また、好ましくは、前記制御装置が、信号を出力するように形成されており、前記工具の少なくとも1つが、第1の工具マガジンから第2の工具マガジン又は工具収容部に受け渡され、かつ前記工具が前記第2の工具マガジン又は前記工具収容部から受け取られる。さらに、本発明に係る工具を交換する方法は、工具を上記の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニットにより第1の工具マガジンから第2の工具マガジンに受け渡すステップと、上記の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニットにより第2の工具マガジンから第1の工具マガジンに受け取る別のステップとを有することを特徴とするか、又は工具を上記の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニットにより第1の工具マガジンから工具収容部に受け渡すステップと、上記の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニットにより工具を工具収容部から受け取る別のステップとを有することを特徴とし、好ましくは、工具を受け渡す前記ステップの少なくとも1つを、金属薄板パネルの供給に重畳させるか、又は工具を受け取る前記ステップの1つを、製造された金属薄板パーツの排出に重畳させる。また、好ましくは、金属薄板加工機械で金属薄板を加工している間に、前記工具を第1の工具マガジンから取り外すか、又は第1の工具マガジン内に格納する。また、好ましくは、前記工具が工具下側部分及び工具上側部分を有しており、前記工具上側部分を上側の工具収容部により前記工具下側部分上に降ろすステップと、金属薄板収容ユニットにより収容する次のステップとを有する。また、好ましくは、前記工具が工具下側部分及び工具上側部分を有しており、前記工具上側部分を金属薄板収容ユニットにより前記工具下側部分上に降ろすステップと、前記上側の工具収容部により収容する次のステップとを有する。
【0010】
特許請求の範囲に記載の物及び方法は、同一の構成群を異なる役割を果たすために使用する可能性、本発明では金属薄板供給兼金属薄板排出ユニットの金属薄板収容ユニットを工具ハンドリングシステムとして使用する可能性を提供する。
【0011】
本発明について添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】打抜き工具及び変形加工工具のための工具マガジンと、工具収容部を備える金属薄板収容ユニットとを備える金属薄板供給兼金属薄板排出ユニットの側面図である。
【図1a】2つの第1の工具収容部を備える回転可能なホルダの拡大平面図である。
【図1b】曲げ工具のための工具マガジン及び曲げ工具のための工具収容部を備える金属薄板収容ユニットの原理図である。
【図2】打抜き加工機械の斜視図である。
【図3】曲げ加工機械の斜視図である。
【図4】図4a乃至cは、曲げ加工機械における工具交換の経過を示す図である。
【0013】
図1は、金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット1の側面図である。金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット1は、定置のユニット2を有している。定置のユニット2のために、2つの鉛直の脚3を備えるフレームと、水平のリニアユニット4とが設けられている。水平のリニアユニット4の可動の部材には、鉛直のリニアユニット5が設けられている。鉛直のリニアユニット5は、鉛直方向で可動である。鉛直のリニアユニット5は、下端に金属薄板収容ユニット6を有している。金属薄板収容ユニット6の下面には、金属薄板を収容するための図示しない装置、例えば後述する金属薄板パネルを収容するための把持装置、吸着装置又は磁石が設けられている。
【0014】
鉛直のリニアユニット5には、それぞれ1つの駆動装置7が、金属薄板収容ユニット6を備える鉛直のリニアユニット5の、水平のリニアユニット4に沿った第1の水平方向(X方向)での運動及び第2の水平方向(Y方向)での運動のために設けられており、かつ駆動装置8が、金属薄板収容ユニット6の、鉛直方向での運動のために設けられている。
【0015】
択一的には、唯一の駆動装置が設けられていてもよい。
【0016】
金属薄板収容ユニット6の上面には、図1aに示す回転可能なホルダ9が設けられている。この回転可能なホルダ9は、金属薄板加工工具11、本実施の形態では打抜き工具を収容するための2つの第1の工具収容部10を有している。ホルダ9は、鉛直の軸線12周りに回転可能に支承されている。軸線12方向で見て、工具収容部10は、所定の角度で固定に互いに位置決めされて配置されている。この角度は、本実施の形態では90°であるが、別の値、例えば180°であってもよい。
【0017】
択一的な実施の形態では、唯一の工具収容部10が、又は複数の工具収容部10がX方向で相並んで、固定に金属薄板収容ユニット6に設けられていてもよい。さらに、別の実施の形態では、レボルバ状に軸線12周りに配置されている2つより多くの工具収容部10が設けられていてもよい。軸線12周りの回転運動に対して付加的に、回転可能なホルダ9のY方向での並進運動及び/又はホルダ9に設けられた第1の工具収容部10の軸線12に対して半径方向での並進運動が、特別な実施の形態において可能である。相並んで金属薄板収容ユニット6に設けられた工具収容部10も、ある実施の形態においてY方向の並進運動を実施可能である。
【0018】
第1の工具収容部10の開閉運動は、空気圧式に駆動される。回転可能なホルダ9の回転運動も、図示しない空気圧式の回転駆動装置により実施される。択一的には、特に回転可能なホルダ9に2つより多くの第1の工具収容部10が設けられている場合、駆動は電気的な駆動装置、例えばステッピングモータにより実施されてもよい。
【0019】
金属薄板収容ユニット6に収容され連行される工具収容部10に基づく付加的な重量を常に搬送することのないように、別の択一的な実施の形態では、インターフェースが設けられている。このインターフェースは、金属薄板収容ユニット6と、工具収容部10の1つ、又は工具収容部10が配置されている回転可能なホルダ9との間の接続箇所であってよい。複数のインターフェースが設けられていてもよい。インターフェースがY方向に並進運動可能であってもよいし、又は並進運動が、並進運動のための装置を備える、インターフェース又は回転可能なホルダに固定される工具収容部により実施されてもよい。
【0020】
回転可能なホルダ又は工具収容部の、インターフェースへの固定は、磁力、形状結合(formschluessig:形状による束縛)式の収容その他の方式によって可能である。
【0021】
両鉛直の脚3の間には、本実施の形態では、打抜き工具のための第1の工具マガジン13が設けられている。この工具マガジン13内には、複数の、本実施の形態では6つの、打抜き工具のための第2の工具収容部14が設けられている。第2の工具収容部14は水平に、X方向に相並んで配置されている。この第2の工具収容部14内には、本実施の形態では、それぞれ1つの打抜き工具11が収容されている。
【0022】
より多くの第2の工具収容部14を設けるために、工具マガジン13の択一的な態様では、第2の工具収容部14が、複数の水平の平面内に配置されていてもよい。別の可能性は、一水平面内での工具収容部14の配置であって、工具収容部14は、Y軸方向で相前後して配置されている。X方向及びY方向での相並んだ工具収容部14の配置も、別の実施の形態において可能である。
【0023】
曲げ加工機械のための用途において、曲げ工具のために適した第2の工具収容部が設けられている。第2の工具収容部は、やはり、両脚間に配置されている。
【0024】
別の択一的な実施の形態では、打抜き工具のための第1の工具マガジン13又は曲げ工具のためのマガジンが、定置のユニット2に組み込まれているのではなく、金属薄板収容ユニット6の動作領域に配置されている別体の機械要素に組み込まれている。
【0025】
さらに、第1の工具マガジン13が金属薄板収容ユニット6に設けられている択一的な態様も可能である。
【0026】
図1には、さらに、第2の工具マガジン15が示されている。第2の工具マガジン15については、図2を参照しながら詳説する。
【0027】
図1bは、下面に配置された図示の唯一の第4の工具収容部39、本実施の形態では吸着装置を備える金属薄板収容ユニット6の原理図を示している。さらに、第2の工具収容部14を備える第1の工具マガジン13と、曲げ工具11とが示されている。択一的な実施の形態では、複数の第4の工具収容部39、例えば吸着装置、又は択一的には把持装置又は磁石が設けられている。第4の工具収容部39は、金属薄板パネルを収容するためにも、適当に形成された工具を収容するためにも使用可能である。工具収容部としての吸着装置又は磁石の使用のために、少なくとも1つの比較的大きな面区分を備える工具の形態が好ましい。これは、特に曲げ工具11について言える。
【0028】
図2には、金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット1との関連で使用される金属薄板加工機械の一実施の形態、例えば打抜き加工機械21が示されている。打抜き加工機械21の主要な構成要素はC型フレーム22である。C型フレーム22は、鋼からなるねじり剛性の高い溶接構造からなっている。
【0029】
C型フレーム22の後端には、液圧ユニット23が設けられている。液圧ユニット23により、ラム25が、図示しないラム駆動装置を介して液圧式に駆動される。
【0030】
C型フレーム22の下内面には、打抜き工具11の工具下側部分を収容するための下側の工具収容部24が設けられている。工具下側部分は、回転駆動装置を介して360°回転可能であり、あらゆる任意の角度位置で固定可能である。
【0031】
C型フレーム22の上内面には、ラム25が設けられている。上側の工具収容部を備えるラム25は、打抜き工具11の工具上側部分を形状結合式にかつ遊びなしに収容する。ラム25も、360°回転可能であり、あらゆる任意の角度位置で固定可能である。このために、第2の回転駆動装置が設けられている。
【0032】
回転駆動装置、及び金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット1の駆動装置7,8は、図示しない機械制御装置により制御される。機械制御装置は、別体のエンクロージャ内に設けられている。さらに、ラム制御装置並びに金属薄板プレート26を運動させるすべてのリニア駆動装置及び特別な機能、例えばパーツ用フラップ27の下方旋回及び上方旋回のためのアクチュエータも、機械制御装置によって制御される。制御装置は、入出力手段としてキーボード及びモニタを有している。制御機能は、マイクロコントローラにより実行される。加工プログラム及び運転パラメータは、制御装置の記憶領域に格納されている。
【0033】
C型フレーム22の下内面には、機械テーブル28が配置されている。機械テーブル28は、リニアマガジン、つまり第2の工具マガジン15を備えるクロスレール29を有している。クロスレール29には、金属薄板プレート26を固定するためのクランプ30が配置されている。クランプ30は、クロスレール29の適当な箇所に固定可能であり、かつ金属薄板26が確実に保持されるが、金属薄板26が加工したい面で把持されることのないように移動可能である。リニアマガジン15には、複数の、本実施の形態では2つの打抜き工具11のための、複数の、本実施の形態では3つの第3の工具収容部31が設けられている。下側の工具収容部24の手前には、比較的小さな金属薄板パーツを排出するためのパーツ用フラップ27が中央に配置されている。
【0034】
運転中、機械テーブル28は打抜きのために、Y方向で、金属薄板26を保持するクランプ30が固定されているクロスレール29とともに、プログラムされた位置へと走行し、クロスレール29は、X方向で、プログラムされた位置へと走行する。このとき、金属薄板26は、機械テーブル28上を滑動する。その後、ラム25は打抜き行程を実施する。続いて、同じ原理で次の打抜き位置へと移動される。
【0035】
打抜き工具11は、自動的に、機械制御装置により制御されて交換される。このために、第2の工具マガジン15から工具11を交換するために、クロスレール29は、図示しないリニア駆動装置により駆動されてX方向で所定位置に走行して、交換したい工具11のX位置と下側の工具収容部24のX位置とを一致させる。クロスレール29は、その後、機械テーブル28とともに、別のリニア駆動装置により駆動されて、Y方向で、打抜き工具11の軸線が下側の工具収容部24及びラム25の中心軸線と一致する所定位置に走行する。その結果、打抜き工具11は、下側の工具収容部24及びラム25内に収容可能である。ラム25及び下側の工具収容部24内に工具がある場合は、この工具を予めリニアマガジン15内の空いたスペースに排出する。
【0036】
図1に示した第1の工具マガジン13から上側及び下側の工具収容部24,25に工具11を交換するためには、まず、必要な打抜き工具11が第1の工具マガジン13から取り出される。このために、金属薄板収容ユニット6をX方向で、図1で見て回転可能なホルダ9の軸線12がX方向で、所望の打抜き工具11の中心軸線17と一致するように走行させる。次に、金属薄板収容ユニット6をY方向で、第1の工具収容部10が打抜き工具11を把持する、すなわち、第1の工具収容部10の開口16が打抜き工具11を形状結合式に把持することができるようになるまで、図平面に関して奥行き方向に走行させる。その後、第1の工具収容部10の閉鎖運動を実施し、打抜き工具を、Y方向で逆向きの、手前方向への運動により、第1の工具マガジン13の第2の工具収容部14から取り出す。金属薄板収容ユニット6を、その後、X方向で、打抜き加工機械21に向かって、打抜き工具の中心軸線17が上側及び下側の工具収容部24,25の中心軸線と一致するまで走行させ、続いて、金属薄板収容ユニット6を同様にY方向で走行させる。その後、打抜き工具11を従来慣用の形式で工具収容部24,25に受け渡す。このためには、交換時の出し入れの運動が水平であるが故に、空いたスペースが下側の工具収容部25の前に形成されることが必要である。下側の工具収容部の前にフリースペースを形成するために、パーツ用フラップ27を鉛直方向に下方に走行させる。旋回だけでは不十分である。それというのも、この場合、パーツ用フラップ27の旋回軸線は、変わらず、交換したい工具との衝突領域にあるからである。
【0037】
Y方向での金属薄板収容ユニット6の運動に対して択一的に、択一的な態様では、第1の工具収容部10又は回転可能なホルダ9だけがY方向で走行してもよい。
【0038】
第1の工具収容部10の運動は、本実施の形態ではY方向で実施されているが、原則、第2の工具収容部14に対して相対的な運動が実施されて、打抜き工具11が工具収容部14から取り出されるか、又は工具収容部14に引き渡されることができるように選択されていなければならない。
【0039】
第1の工具マガジン13及び第2の工具マガジン15から工具収容部24,25への打抜き工具11の交換及び工具収容部24,25から第1の工具マガジン13及び第2の工具マガジン15への打抜き工具11の交換のためのそれぞれ説明した方法の他に、打抜き工具11を交換するためのさらに別の方法も可能である。
【0040】
第2の工具マガジン15へと交換したい打抜き工具11は、第1の工具収容部10のうちの1つにより第1の工具マガジン13から公知の形式で取り出され、その後、上側及び下側の工具収容部24,25への受け渡しと同様の形式で、第2の工具マガジン15内の所定の第3の工具収容部31に受け渡される。第1の工具収容部10が打抜き工具11を受け渡すべきこの第3の工具収容部31内に打抜き工具11がある場合には、回転可能なホルダ9を本実施の形態では90°回転させるか、又は金属薄板収容ユニット6をX方向で走行させて、第1の工具収容部10の2番目の工具収容部を、上述の第3の工具収容部31内の打抜き工具11がこれにより取り出し可能となるように位置決めする。次に、回転可能なホルダ9を再び逆方向に、本実施の形態では90°回転させるか、又は金属薄板収容ユニット6をX方向で逆向きに走行させて、交換したい打抜き工具11を上記の第3の工具収容部31に受け渡す。第2の工具マガジン15から取り出された打抜き工具11は、その後、第1の工具マガジン13に受け渡されてもよいし、上側及び下側の工具収容部24,25に装着されてもよい。
【0041】
同様に、打抜き工具11は、第2の工具マガジン15から第1の工具マガジン13に受け渡されてもよい。
【0042】
第1の工具収容部10の2つ又は複数の工具収容部が相並んで金属薄板収容ユニット6に配置されている択一的な態様では、同時に複数の打抜き工具11を第1の工具マガジン13から第2の工具マガジン15に、かつ第2の工具マガジン15から第1の工具マガジン13に受け渡し可能である。
【0043】
さらに、相並んで金属薄板収容ユニット6に配置されるか、又は回転可能なホルダに存在する第1の工具収容部10の数に応じて、複数の打抜き工具11が、第1又は第2の工具マガジン内で分類される、すなわち他の工具収容部に受け渡し可能である。
【0044】
第1の工具マガジン13から打抜き工具を交換する方法は、打抜き加工機械21への金属薄板パネル26の供給に重畳させて行うことができる。この場合、まず、必要な打抜き工具11を第1の工具マガジン13から取り出し、次に、金属薄板パネル26を対応する把持装置若しくはグリッパ又は吸着装置若しくはサッカを介してマガジンから定置のユニット2の領域に取り出し、取り出した打抜き工具11を金属薄板パネル26とともに打抜き加工機械21に向かって移動させる。打抜き加工機械21において、打抜き工具1を第2の工具マガジン15又は上側及び下側の工具収容部24,25に受け渡す。金属薄板パネル26を機械テーブル28上に降ろし、クランプ30に受け渡す。製造された金属薄板パーツの排出は、やはり、第1の工具マガジン13への打抜き工具11の交換に重畳させて行うことができる。
【0045】
図3は、曲げ加工機械33の原理図である。曲げ加工機械33の基本的な構造は、図2を参照しながら説明した打抜き加工機械21と比較可能である。曲げ加工機械33は、特に、駆動装置36を備える上側の工具収容部34と、下側の工具収容部35と、図示しない制御装置とを有している。幾つかの機械コンポーネント、例えば工具収容部34,35及び駆動装置36は、曲げ工具による曲げ加工プロセスのために最適化されている。図3には、ここではどのように金属薄板26に打抜き部37が設けられているかが示されている。打抜き部37は、その後、上方に曲げられた金属薄板片38へと変形させられる。
【0046】
別の金属薄板加工工具11、本実施の形態では曲げ工具の、第1の工具マガジンから曲げ加工機械への交換又は曲げ加工機械から第1の工具マガジン13への交換は、本実施の形態でも、曲げ加工機械の第2のマガジンへと行われてもよいし、直接工具収容部34,35へと行われてもよい。
【0047】
図4a〜図4cには、それぞれ、曲げ工具11のための上側の工具収容部34及び下側の工具収容部35と、第4の工具収容部39を備える金属薄板収容ユニット6(図1b)とが示されている。曲げ工具11は、それぞれ、工具下側部分a1,b1と工具上側部分a2,b2とからなる。
【0048】
曲げ工具の、工具収容部34,35からの交換及び工具収容部34,35への交換は、以下のステップを有する方法において説明される。
【0049】
第1のステップ前、工具下側部分a1及び工具上側部分a2を備える曲げ工具が工具収容部34,35内に収容されている。第1のステップで、第4の工具収容部39を備える金属薄板収容ユニット6を工具下側部分a1上に移動させ、工具下側部分a1を収容する(図I参照)。工具下側部分a1を下側の工具収容部35から解離し、工具下側部分a1を下側の工具収容部35から除去する(図II参照)。
【0050】
次の第2のステップで、工具下側部分b1を第4の工具収容部39により下側の工具収容部35に装着し、下側の工具収容部35に固定する(図III参照)。
【0051】
第3のステップで、上側の工具収容部34を工具上側部分a2とともに下方に移動させ、工具上側部分a2を上側の工具収容部34から解離して、工具下側部分b1上に降ろす(図IV参照)。
【0052】
第4のステップで、金属薄板収容ユニット6の第4の工具収容部39を、工具下側部分b1上に降ろされた工具上側部分a2上に移動させて、工具上側部分a2を収容する(図V参照)。
【0053】
工具上側部分a2を、次に第5のステップで、機械から取り除く(図VI参照)。第6のステップで、工具上側部分b2を工具収容ユニット6の第4の工具収容部39により工具下側部分b1上に降ろす(図VII参照)。
【0054】
上側の工具収容部34を下方に移動させて、工具上側部分b2を収容し(図VIII参照)、その後、再び上方に移動させる(図IX参照)。これにより、曲げ工具の交換は完了する。
【0055】
工具の第1の工具マガジンからの取り外し又は第1の工具マガジンへの格納は、主時間に平行して実施可能である。「主時間に平行して」とは、金属薄板加工機械上で金属薄板を加工している間に、金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット1により、この加工の進行に影響を与えることなく、工具を第1の工具マガジンから取り出したり、第1の工具マガジンに片付けたりすることができることを意味している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板加工機械(21)のための金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット(1)であって、定置のユニット(2)と、金属薄板(39)を収容するための少なくとも1つの装置を備える金属薄板収容ユニット(6)と、該金属薄板収容ユニット(6)を少なくとも1つの水平の軸線方向で運動させる少なくとも1つの駆動装置(7)とを備える、金属薄板加工機械(21)のための金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット(1)において、前記金属薄板収容ユニット(6)が、金属薄板加工工具(11)を収容するための少なくとも1つの工具収容部(10,39)を備えることを特徴とする、金属薄板加工機械(21)のための金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット。
【請求項2】
前記定置のユニット(2)が、少なくとも1つの第2の工具収容部(14)を備える第1の工具マガジン(13)を備える、請求項1記載の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット。
【請求項3】
前記金属薄板収容ユニット(6)が、少なくとも2つの工具収容部(10,39)を備える、請求項1又は2記載の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット。
【請求項4】
第1の工具収容部(10)が、前記金属薄板収容ユニット(6)に対して相対的に可動に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット。
【請求項5】
複数の前記第1の工具収容部(10)が、互いに相対的に固定に配置されている、請求項4記載の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット。
【請求項6】
前記第1の工具収容部(10)が、前記金属薄板収容ユニット(6)に対して相対的に回転可能である、請求項4又は5記載の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット。
【請求項7】
制御装置を備える金属薄板加工機械において、該金属薄板加工機械が、請求項1から6までのいずれか1項記載の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニット(1)を備えることを特徴とする、金属薄板加工機械。
【請求項8】
前記金属薄板加工機械が、上側の工具収容部(25)及び下側の工具収容部(24)を備える打抜き加工機械(21)として形成されている、請求項7記載の金属薄板加工機械。
【請求項9】
前記金属薄板加工機械が、上側の工具収容部(34)及び下側の工具収容部(35)を備える曲げ加工機械として形成されている、請求項7記載の金属薄板加工機械。
【請求項10】
前記制御装置が、信号を出力するように形成されており、前記工具(11)の少なくとも1つが、第1の工具マガジン(13)から第2の工具マガジン(15)又は工具収容部(24,25)に受け渡され、かつ前記工具(11)が前記第2の工具マガジン(15)又は前記工具収容部(24,25)から受け取られる、請求項7から9までのいずれか1項記載の金属薄板加工機械。
【請求項11】
工具(11)を交換する方法において、工具(11)を請求項1から7までのいずれか1項記載の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニットにより第1の工具マガジン(13)から第2の工具マガジン(15)に受け渡すステップと、請求項1から7までのいずれか1項記載の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニットにより第2の工具マガジン(15)から第1の工具マガジン(13)に受け取る別のステップとを有することを特徴とする、工具を交換する方法。
【請求項12】
工具(11)を交換する方法において、工具(11)を請求項1から7までのいずれか1項記載の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニットにより第1の工具マガジン(13)から工具収容部(24,25)に受け渡すステップと、請求項1から7までのいずれか1項記載の金属薄板供給兼金属薄板排出ユニットにより工具(11)を工具収容部(24,25)から受け取る別のステップとを有することを特徴とする、工具を交換する方法。
【請求項13】
工具(11)を受け渡す前記ステップの少なくとも1つを、金属薄板パネル(26)の供給に重畳させるか、又は工具(11)を受け取る前記ステップの1つを、製造された金属薄板パーツの排出に重畳させる、請求項11又は12記載の方法。
【請求項14】
金属薄板加工機械(21)で金属薄板(26)を加工している間に、前記工具(11)を第1の工具マガジン(13)から取り外すか、又は第1の工具マガジン(13)内に格納する、請求項11から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記工具(11)が工具下側部分(a1,b1)及び工具上側部分(a2,b2)を有しており、前記工具上側部分(a2,b2)を上側の工具収容部(34)により前記工具下側部分(a1,b1)上に降ろすステップと、金属薄板収容ユニット(6)により収容する次のステップとを有する、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記工具(11)が工具下側部分(a1,b1)及び工具上側部分(a2,b2)を有しており、前記工具上側部分(a2,b2)を金属薄板収容ユニット(6)により前記工具下側部分(a1,b1)上に降ろすステップと、前記上側の工具収容部(34)により収容する次のステップとを有する、請求項12から15までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【公表番号】特表2012−513308(P2012−513308A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542717(P2011−542717)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2009/009253
【国際公開番号】WO2010/072411
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(502300646)トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (76)
【氏名又は名称原語表記】Trumpf Werkzeugmaschinen GmbH + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johann−Maus−Strasse 2,D−71254 Ditzingen,Germany
【Fターム(参考)】