金属薄膜形成装置、金属薄膜形成方法及び無電解めっき法
【課題】被処理基板へのめっき膜の形成に当たり、被処理基板が大型のものであっても所望する領域に均一にめっき膜が形成され、まためっき液の省資源化に資する金属薄膜形成装置および金属薄膜形成方法を提供すること。
【解決手段】無電解めっき法により金属薄膜が形成される被処理基板12の被処理面にめっき処理用の薬液からなる層を形成すべく、前記被処理基板12の被処理面の下方にこれと間隔をおいてかつ対向して配置される前記薬液のための吐出手段26を具備する。
【解決手段】無電解めっき法により金属薄膜が形成される被処理基板12の被処理面にめっき処理用の薬液からなる層を形成すべく、前記被処理基板12の被処理面の下方にこれと間隔をおいてかつ対向して配置される前記薬液のための吐出手段26を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板に無電解めっき法により例えば銅または銅合金のような金属薄膜からなる配線を形成するための装置、方法及び無電解めっき法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、LSI、ULSIに代表される半導体分野においては、集積度の向上に伴う配線の微細化(線幅の縮小化)の進展や動作スピードの向上に伴い、信号遅延等の問題を解決するために、より低抵抗な配線材料や配線技術が求められている。また、液晶表示装置(LCD)に代表されるフラットパネル表示装置の分野においても、大画面化による配線長の増加や、高精細化による微細化、多機能化による周辺回路、付加機能のモノリシック化等によって、より低抵抗な配線材料や配線技術が求められている。
【0003】
従来、低抵抗な配線材料としてはアルミニウムまたはアルミニウム系合金が多く用いられている。この理由は、アルミニウムは薄膜での抵抗率が5μΩcm程度であり、微細加工も容易であるからである。
【0004】
しかしながら、配線の微細化に伴い、アルミニウムは高温下でエレクトロマイグレーションによる配線の短絡を生じやすく、高ストレス下でストレスマイグレーションによる配線の断線を生じやすいという問題点がある。また、近年の素子特性、表示性能の向上によって、配線材料の抵抗に起因する信号遅延等の問題は、もはやアルミニウムの持つ抵抗値では解決が困難になってきている。
【0005】
このため、アルミニウムに代わる低抵抗配線材料として、銅又は銅合金が注目されている。銅は薄膜での抵抗率が2μΩcm程度とアルミニウムの半分以下であり、同一の膜厚、線幅であればアルミニウムより更に低い配線抵抗を実現できる。また、銅はアルミニウムに比較して耐マイグレーション性に優れていることから、この点についてもアルミニウムに代わる低抵抗配線材料として注目されている。
【0006】
配線を形成するための銅薄膜の形成方法としては、古くより用いられているめっき法の他、PVD(Physical Vapor Deposition)法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法が用いられている。特に半導体装置(LSI)製造の分野では、PVD法によるシード層の形成と、このシード層を用いた電解めっき法の組合せによる銅薄膜の形成技術が広く用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、半導体装置の製造に用いられている銅薄膜の形成方法を、液晶表示装置に代表される表示装置の製造に適用しようとすると、以下のような種々の問題点を生じる。
【0008】
第1に、大きな問題点として、製造に使用される基板寸法の違いがある。LSI等の半導体装置の製造には現状では直径300mm(約12インチ)の円形のシリコン基板が用いられ、これが最大である。これに対して、表示装置の製造には、例えば1500mm×1200mmのような角型の大型基板が用いられている。このような大型基板に銅薄膜を形成するには、成膜装置の大型化が避けられない。
【0009】
第2に、成膜装置の大型化に伴い、使用される成膜材料およびめっき浴の薬液使用量が増大するとともに、装置の床占有面積(フットプリント)の増大に伴うクリーンルームの床面積の増大を生じるので、トータルプロセスでみた場合にコストアップとなる。
【0010】
第3に、LSI等の製造で用いられている電解めっき法を表示装置の大型基板の製造に適用しようとする場合、基板上に配置された配線部分の導電材料に電流を流すために基板の周辺部分から給電を行う必要があるが、給電点から基板の中心方向へ向かって距離が離れるにつれて導電経路の持つ抵抗成分が増大し、電圧降下が増大する。その結果、給電点から離れた部位では給電点近傍部位に比べてめっき処理に供される電流量が減少し、めっき付着量にばらつきが生じる。
【0011】
図12に従来方式の電解めっき処理装置を示す。また、図13に給電点と被処理基板との位置関係を示す。
【0012】
図12に示すように、大型基板に対する従来の電解めっき処理は、めっき処理槽100内にめっき処理溶液102を入れ、溶液102中に被処理基板104および対向電極106をそれぞれ浸漬し、被処理基板104と対向電極106との間に直流電源108を接続して通電する。
【0013】
めっき処理槽100は、大型の被処理基板104が装入されるために、少なくとも基板サイズよりも余裕をもった大きなサイズとする必要がある。また、被処理基板104が浸漬する深さが必要である。このため、処理槽100が大型化し、このなかに導入されるめっき処理溶液102は多量となり、その結果、めっき処理溶液181の消費量が増加する。
【0014】
また、図13に示すように、従来の電解めっき法では、単一の給電点110をめっき処理溶液内に浸漬されない基板周縁部の一辺の中央に接続しているので、給電点110から基板104上の各成膜領域104a〜104fへの距離がそれぞれ異なる。このため、給電点110から離れた領域104bや領域104aでは給電点110の近傍の領域104dに比べて電圧が低下し、これに起因して領域104a〜104f間で薄膜の厚さ(膜厚)に大きなばらつきが生じる。この電圧降下による膜厚のムラは基板サイズの大型化が進むにつれて顕著になることから、めっき処理を大型基板に適用する際の阻害要因となる。
【0015】
第4に、電解めっき法を表示装置の大型基板に適用しようとする場合に、処理槽の大型化に伴って処理槽内に薬液が滞留して劣化しやすくなるので、新鮮な薬液に入れ替える必要があるが、処理槽内の薬液を迅速に入れ替えることが難しく、また、廃液量が増加するという問題がある。
【0016】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、被処理基板へのめっき膜の形成に当たり、被処理基板が大型のものであっても所望する領域に均一にめっき膜が形成され、まためっき液の省資源化に資する金属薄膜形成装置、金属薄膜形成方法及び無電解めっき法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、無電解めっき法により金属薄膜が形成される被処理基板の被処理面にめっき処理用の薬液からなる層を形成すべく、前記被処理基板の被処理面の下方にこれと間隔をおいてかつ対向して配置される前記薬液を吐出するための吐出手段を具備することを特徴とする。
【0018】
さらに、前記吐出手段に前記薬液を供給するための薬液供給源と、前記被処理基板の被処理面に対して前記吐出手段を相対的に移動させるための移動手段とを具備するものとすることができる。
【0019】
前記吐出手段が細長い吐出口を有するものとすることができる。この例において、前記吐出手段の吐出口が前記被処理基板の幅寸法より大きい長さ寸法を有するものとすることができる。前記吐出手段の吐出口はその長手方向に2以上に分割されているものとすることができる。
【0020】
さらに、前記被処理基板の被処理面に対する前記薬液以外の薬液、洗浄液および気体の吐出のためにそれぞれ用いられる複数の他の吐出手段を有するものとすることができる。
【0021】
前記供給源は、異なる薬液をそれぞれ貯留するための複数のタンクと、前記タンクからの薬液の供給を切り替えるための切替手段とを具備するものとすることができる。
【0022】
また、本発明に係る金属薄膜の形成方法は、無電解めっき法により金属薄膜が形成される被処理基板の被処理面の下方にこれと間隔をおいてかつ対向するように配置された吐出手段の細長い吐出口からめっき処理用の薬液を吐出させ、前記薬液を前記吐出口に溜める工程と、前記吐出手段の吐出口に溜められた薬液を前記被処理基板の表面に接触させる工程と、前記被処理基板の表面に前記薬液を接触させる間に、前記被処理基板又は前記吐出手段を移動させ、これにより前記被処理基板の表面に前記薬液からなる層を形成する工程とを具備する。
【0023】
前記被処理基板の表面に前記薬液の層を形成するに先立つ前処理又はその後の後処理のため、前記被処理基板の表面に向けて前記吐出手段から前記薬液以外の液体を吐出し、あるいは前記被処理基板の表面に向けて前記吐出手段以外の吐出手段から前記薬液以外の液体を吐出することとすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、被処理基板へのめっき膜の形成に当たり、被処理基板が大型のものであっても所望する領域に均一にめっき膜が形成され、まためっき液の省資源化に資することができる。
金属薄膜形成のために用いられる薬液は薬液を上方に吐出する吐出手段より被処理面が下方に向けて設置された被処理基板の被処理面に付着する薬液層のみが消費されることから、薬液の使用量を最小限に抑制することができる。
【0025】
また、本発明によれば、液晶表示装置等に用いられる大型基板に対しても、配線用の銅薄膜をむらなく、すなわち均一性良く形成することができる。
【0026】
また、本発明によれば、細長い吐出口を有する吐出手段を被処理基板の表面に沿って走査する間に薬液を吐出することにより、基板の大型化に対応しためっき処理が容易となる。
【0027】
さらに、供給薬液の切替手段、または複数の吐出手段を使用することにより、被処理基板に対する異なった処理を連続して行うことが可能となり、処理工程の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して本発明の種々の好ましい実施の形態について説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る金属薄膜形成装置の実施形態である無電解めっき法による金属薄膜形成装置を説明するための斜視図である。
この金属薄膜形成装置10は、金属薄膜、例えば無電解めっき法により配線用の銅薄膜を被処理面が下方に向けて設けられた被処理基板12の被処理面に形成する装置である。
【0030】
無電解めっき法により金属薄膜(本実施の形態では銅薄膜)が形成される被処理基板12は、例えば図2に示すような構造である。すなわち、被処理基板12は、例えば基板本体14と、バリアメタル層16と、シード層(本実施の形態では銅薄膜)18と、保護膜20とが順次積層された構造である。
基板本体14は、例えば液晶表示装置(LCD)のような表示装置に用いられるガラス又はプラスチック製の基板である。この基板本体14の被処理面上には、配線形成のための下地膜となるバリアメタル層16が形成されている。このバリアメタル層16上には、シード層(本実施の形態では銅薄膜)18が積層されている。さらに、このシード層18上には、保護膜20が積層されている。保護膜20は所望の配線形状を呈する複数の開口部22を有する。
【0031】
本実施の形態では、基板本体14は厚さが0.7〜1.0mm、長辺が650mm、短辺が550mmの矩形状の透明ガラス板からなる。また、バリアメタル層16は、例えば窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)等の金属膜が好適に用いられる。本実施の形態ではバリアメタル層16として窒化タンタル膜を用いた。また、バリアメタル層16と基板本体14との密着性を高める目的で、TiやTaのような金属をバリアメタル層16と基板本体14の間に設けてもよい。
【0032】
シード層18上の保護膜20は、一般的なフォトレジスト膜または酸化シリコン膜、窒化シリコン膜といった種々の絶縁膜等からなるものとすることができる。本実施の形態では、保護膜20はフォトレジスト膜からなる。
【0033】
前記金属薄膜としての銅薄膜は、被処理基板12の保護膜20の開口部22内に露出したシード層18に後述のめっき処理用の薬液を接触させることにより、形成される。
【0034】
前記銅薄膜を配線層として形成するためのめっき処理用の薬液としては、無電解銅めっき用薬液を用いることができる。この無電解銅めっき用薬液は、例えば、コバルト塩(還元剤)と、エチレンジアミン(錯化剤)と、硝酸または硫酸(pH調整剤)と、2,2−ビピリジル(安定剤)と、アスコルビン酸および塩酸(添加剤)とを含む、pH6.8の液体からなる。
【0035】
前記無電解銅めっき用薬液がシード層18に接触すると、次の反応式で示す化学反応が生じ、シード層18上に前記配線層となる銅薄膜が形成される。
【0036】
【数1】
【0037】
再び図1を参照すると、被処理基板12が保持機構24によって、保護膜22の開口面(被処理面)を下面とするように水平に保持され、被処理基板12の下方に金属薄膜形成装置10が配置されている。
【0038】
金属薄膜形成装置10は、被処理基板12の表面、すなわち保護膜20の開口部内22に露出するシード層18と保護膜20とが規定する被処理基板12の下面又は表面(被処理面)の下方にこれと間隔をおいてかつ対向して配置された、前記めっき処理用の薬液を吐出するための吐出手段26を備える。吐出手段26は全体に細長いブロックからなる。このブロックはその長手方向へ伸びかつ上方に向けて開放する前記全体に矩形状の吐出口(吐出ノズル)を有する細長い溝28を備える。被処理面と吐出手段26の吐出ノズル先端部との前記間隔は、吐出ノズルからの薬液の吐出距離以内に設定される。
【0039】
図示の吐出手段26の吐出ノズルの長さは、例えば被処理面の幅又は長さ方向の少なくとも一方の長さ、又は吐出ノズルからの薬液の拡散範囲に被処理面が位置するように短い長さである。
【0040】
このブロックの細長い溝28は、配管30を介して、薬液供給源(タンク)に接続されている。前記薬液供給源は、前記めっき処理用の薬液が収容されたタンク32と、このタンク32内の薬液36を配管30を通して溝28内に送り出すためのポンプ34とからなる。タンク32内には前記めっき処理用の薬液36を所定の温度に保つためのヒータ(図示せず)が設置されている。
【0041】
ポンプ34の作動により、無電解めっき処理用の薬液36が前記ブロックの溝28内に溜まり、さらに薬液36の粘性、これに働く表面張力等により、薬液36の一部が溝28の上方空間を規定する被処理基板12と前記ブロックとの間に張り出す。
【0042】
ポンプ34の作動の間、吐出手段26を被処理基板12の被処理面(表面又は下面)と平行に移動(走査)させると、吐出手段26の溝28の上方に張り出して被処理基板12の被処理面に接触した薬液36が被処理基板12の被処理面に塗布される。その結果、被処理基板12の被処理面が薬液36の層38で覆われ、薬液36は被処理基板12のシード層18に接触する。このシード層18に接触する薬液36は、通常のめっき浴のように、常に長期間空気に触れている貯液でなく、密閉された薬液タンク32から送出される新たな薬液36が被処理面に接触する。
【0043】
また、被処理面を下向きに配置して処理を行うことにより、プロセス中の被処理面へのパーティクル等の付着・堆積を抑制することが可能となる。この結果として、パーティクル等の付着に起因する断線等の不具合を抑制することが可能となる。なお、吐出手段26の吐出ノズル先端と被処理基板12の被処理面との間の間隔の大きさは、吐出ノズルからの薬液36の吐出距離以内に選択される。吐出ノズル先端と被処理面との間の間隔の大きさは、前記薬液36の粘度等を考慮して、被処理基板12の下面である被処理面の全面に接するように定める。
【0044】
吐出手段26は、被処理基板12の長手方向へ伸びる二条の平行なレール(図示せず)に該レール上を滑動または転動可能に支持された適当な支持装置(図示せず)を介して、吐出手段26の溝28の長手方向と直交する方向へ移動可能に支持することができる。
【0045】
好ましくは、溝28は被処理基板12の幅寸法より大きい長さ寸法Wを有する。これによれば、吐出手段26を被処理基板12の一端側からその他端側に向けて移動させることにより、被処理基板12の被処理面の全部に、一時に、薬液36の層38を形成することができる。なお、吐出手段26の自由な移動を保証すべく、これに連なる配管30は比較的大きい長さ寸法を有する可撓性のホースとすることができる。
【0046】
また、図示の例に代えて、溝28の長さは、被処理基板12被処理面に等しいか幅寸法より小さい長さ寸法を有するものとし、あるいは矩形以外の他の平面形状を有するものとすることも可能である。これらの例によれば、前記溝を有する吐出手段26の溝28の長手方向に直交して被処理基板12を走査した後、溝28の長手方向に平行に位置をずらして、再度走査することにより、被処理基板12の被処理面の全面に薬液の層38を形成または塗布することができる。また、吐出手段26の溝28はその長手方向に2以上に分割されたものとすることができる。
このような塗布法において、例えば1枚の被処理基板中に複数の種類の処理領域がある少量多品種生産のような場合には、被処理基板上に銅金属膜の形成が必要な部分にのみ、選択的に薬液層を形成することが可能となり、薬液36の使用量を減少させることができると共に、金属膜の不要な部分への塗布による汚染等の影響を防ぐことが出来る。
【0047】
さらに、前記した薬液36の層38の形成のために吐出手段26を移動させる方法に代えて、吐出手段26に対して被処理基板12を移動可能とすることができる。
【0048】
被処理基板12は、前記被処理面を下方にして前記被処理基板を保持、操作する図3に示すような例えばバキュームチャック40を有する保持機構(ハンドリング機構)24により支持される。
被処理基板12を仮固定するための保持機構24は、これに被処理基板12をその上面において真空吸着することにより保持することができる。
【0049】
バキュームチャック40は、図3に示すように剛性を有する全体に矩形状を呈する板状の本体42と、本体42に形成された格子状の溝44と、溝44の各交差箇所に設けられ開口する複数の吸引口46とを備える。
【0050】
各吸引口46は、図4に示すように本体42の内部に設けられた管状の連通路48を介して排気管50に連通している。排気管50は真空ポンプ(図示せず)の吸込口に接続されている。これによれば、吸引口46を被処理基板12の上面に向けて該上面に本体42を当て、前記真空ポンプを作動させることにより、被処理基板12を本体42に真空吸着することができる。バキュームチャック40は被処理基板12を加熱するための機構を内蔵しており、該機構によって被処理基板12を所定の温度に保つことができる。
【0051】
好ましくは、バキュームチャック40をその上方から覆うカーテン型のカバー(図示せず)によりバキュームチャック40と、被処理基板12と、吐出手段26とが取り囲まれ、前記カバーの内部の空気が窒素等のガスで置換される構造とされる。これにより、例えば酸素雰囲気に曝されることによって成膜特性が劣化するようなめっき処理用の薬液を選択した場合における酸素の影響を除去した処理が可能である。
【0052】
前記したように、被処理基板12に対する吐出手段26の移動により、被処理基板12の下面の全部に薬液の層38が形成される(図5)。
【0053】
その結果、無電解銅めっき反応により、保護膜20の開口部22内に露出するシード層18上のみに銅薄膜が形成される。保護膜20の表面には無電解銅めっき反応を開始するための触媒となる銅が存在しないことから銅薄膜は形成されない。
【0054】
薬液の層38が形成され、これにより前記銅薄膜が形成された後、純水等により被処理基板12の被処理面の薬液36の層38を洗浄して除去する(図6)。その結果、保護膜20の開口部22内に形成された銅薄膜52が露出する。
【0055】
次に、前記フォトレジストからなる保護膜20をレジストリムーバのような処理薬液で除去する。その結果、基板本体14上、より詳細には被処理基板12のシード層18の表面に銅薄膜52からなる配線パターンが残る(図7)。
【0056】
続いて、この銅薄膜52からなる配線パターンをマスクとして、配線パターンの形成領域以外のシード層18及びバリアメタル層16をエッチング処理により除去する(図8)。
【0057】
銅シード層18のエッチング処理は、例えば市販の銅エッチング薬液(メック社製:マイクロエッチング剤CF6000)を用いたウエットエッチング法により行うことができる。また、引き続くTaNからなるバリアメタル層16の除去のためのエッチング処理は、CF4ガスを用いたドライエッチング法を用いて行うことができる。その結果、銅薄膜52からなる配線パターンが、基板本体14の表面上に形成される。
【0058】
バリアメタル層16エッチングについては、エッチング時に無電解めっき法により形成された銅配線パターン及び銅シード層18を保護する目的で、フォトレジスト等からなる保護層を再度フォトリソグラフィー工程等により、配線パターン上に形成してエッチングを行ってもよい。
【0059】
(第2の実施形態)
次に、図9を参照して第2の実施形態について説明する。前述の第1の実施形態と同一部分については、同一符号を付与し、その詳細な説明は重複するので、省略する。
【0060】
本実施の形態は、複数の吐出手段を用いて銅配線形成プロセスのためのめっき処理に必要となる前後の処理を連続して行う事によりめっき処理工程の効率化を図る例である。
【0061】
図9に示すように、本実施の形態に係る金属薄膜形成装置は、前処理用薬液(脱脂、酸化物除去のための有機溶剤)のための吐出手段54、第1の洗浄液(例えば水洗用純水)のための吐出手段56、乾燥用エアのための吐出手段58、めっき処理用薬液のための吐出手段26、第2の洗浄液(例えば水洗用純水)のための吐出手段60、および乾燥用エアのための吐出手段62を備える。
【0062】
各吐出手段54,56,58,60および62は、めっき処理用薬液のための吐出手段26と同様の構造を有する。
【0063】
本装置による銅配線形成プロセスは以下の工程によって行われる。
【0064】
まず、第1の工程として前処理用薬液の吐出手段54より前処理用薬液64を吐出しながら被処理基板12の下面(被処理面)を規定するシード層18の一部と保護膜20とを走査し、前処理用薬液64による薬液層を前記被処理面上に形成する。前処理用薬液64はこれを貯留するタンク66からポンプ34の作動により吐出手段54に供給される。
【0065】
続いて被処理基板12の被処理面上の前処理用薬液64の層を除去するため、第1の洗浄液のための吐出手段56から洗浄液68を前記被処理面に吐出しながらこれを走査する。洗浄液68はこれを貯留するタンク70からポンプ34の作動により吐出手段54に供給される。
【0066】
次いで、乾燥用エアのための吐出手段58を前記被処理面に温風を吐出しながらこれを走査する。これにより、前記被処理面に残っている洗浄液68を除去、乾燥し、銅めっき処理のための前処理工程を終了する。
【0067】
次に、めっき処理用薬液のための吐出手段26を前記被処理面に向けてこれを走査し、前記被処理面に無電解めっき用薬液36の層を形成する。これにより、第1の実施形態におけると同様に前記被処理面上(より正確にはシード層18上)に銅薄膜からなる配線層を形成する。
【0068】
前記銅薄膜を形成した後、後処理を行うべく、第2の水洗用純水72のための吐出手段60を前記被処理面に向けてこれを走査し、次いで乾燥用エアのための吐出手段62を前記被処理面に向けてこれを走査する。これにより、前記被処理面に形成されためっき処理薬液を水洗し、前記被処理面を乾燥する。
【0069】
なお、例えば洗浄液用吐出手段56と乾燥用エア用吐出手段58とを別体のものとする図示の例に代えて、洗浄液と温風とを別々に吐出する2つの吐出口を有する一体型の吐出手段とし、これを前記被処理面に走査するようにしてもよい。
【0070】
また、各吐出手段はそれぞれの処理毎に被処理基板12を走査するのではなく、適宜、時間間隔を設けて同時に走査するようにしてもよい。
【0071】
各吐出手段54,56,58,60および62は、めっき処理用薬液のための吐出手段26の前記支持装置を利用して、吐出手段26と同様に被処理基板12の一端から他端まで移動させることができる。
【0072】
(第3の実施の形態)
第3の実施形態では、前記第1の実施形態におけると同様に同一の吐出手段26を用いて複数の薬液を切り替えることにより、被処理基板12に対する処理を行う。
【0073】
図10および図11を参照すると、前記第1の実施形態におけると同様の吐出手段26と、配管30を介して吐出手段26に接続され、また互いに接続されたポンプ34およびめっき処理用薬液が収容された薬液タンク(第1の薬液タンク)32とが設置されている。配管30には、吐出手段26と第1の薬液タンクとの接続を開閉するためのバルブのような切り替え手段76が取り付けられている。
【0074】
この実施形態においては、さらに、配管78を介して吐出手段26に接続され、また互いに接続された他のポンプ34および他の薬液が収容された薬液タンク(第2の薬液タンク)80が設置されている。配管78は、バルブのような切り替え手段82を介して、配管30に接続されている。
【0075】
この実施の態様によれば、まず、切り替え手段76を開きかつ切り替え手段82を閉じた状態にした後、第1の薬液タンク32からポンプ34の作動により吐出手段26にめっき処理薬液36を供給し、被処理基板12の下面となる被処理面に第1の薬液層38を形成する。これにより前記第1の実施の形態におけると同様に被処理基板12の銅シード層18上に銅薄膜が形成される。
【0076】
次に、切り替え手段76を閉じかつ切り替え手段82を開いて、吐出手段26に供給される薬液の経路を第2の薬液タンク80に切り替える。次いで、ポンプ34を作動させることにより、第2の薬液タンク80から洗浄用薬液を吐出手段26に供給し、同様に前記被処理面に対して吐出手段26を走査することにより、前記被処理基板面の洗浄を行う。この時、吐出手段26の走査方向はめっき処理薬液36による走査時と同じ方向および逆方向のどちらでもよい。
【0077】
このように、吐出手段26に供給される薬液を順次切り替えることにより、同一の装置内で複数の薬液処理を行うことができる。
【0078】
本発明は、液晶表示装置に代表される大型のフラットパネル表示装置の分野において、大画面化による配線長の増加や高精細化による微細化、多機能化による周辺回路、付加機能のモノリシック化等に対応する銅配線の形成に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】第1の実施の態様に係る金属薄膜形成装置を示す概略図である。
【図2】金属薄膜形成装置による処理に供される被処理基板を示す断面図である。
【図3】被処理基板を吸引保持するためのバキュームチャックを示す平面図である。
【図4】バキュームチャックの側面図である。
【図5】めっき処理用薬液の層が形成された状態における被処理基板の断面図である。
【図6】めっき処理用薬液の層が除去された状態における被処理基板の断面図である。
【図7】保護層が除去された状態における被処理基板の断面図である。
【図8】金属薄膜が形成された被処理基板の逆様にした状態における断面図である。
【図9】第2の実施の態様に係る金属薄膜形成装置を示す概略図である。
【図10】第3の実施の態様に係る金属薄膜形成装置を示す概略図である。
【図11】第3の実施の態様に係る金属薄膜形成装置を示す概略図である。
【図12】従来のめっき装置の概要図である。
【図13】従来における電解めっき時の給電点から被処理基板内の各薄膜形成部までの距離との関係を模式的に示す平面図。
【符号の説明】
【0080】
10 金属薄膜形成装置
12 被処理基板
26 吐出手段
28 溝
36 めっき処理用の薬液
38 めっき処理用薬液からなる層
52 銅薄膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板に無電解めっき法により例えば銅または銅合金のような金属薄膜からなる配線を形成するための装置、方法及び無電解めっき法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、LSI、ULSIに代表される半導体分野においては、集積度の向上に伴う配線の微細化(線幅の縮小化)の進展や動作スピードの向上に伴い、信号遅延等の問題を解決するために、より低抵抗な配線材料や配線技術が求められている。また、液晶表示装置(LCD)に代表されるフラットパネル表示装置の分野においても、大画面化による配線長の増加や、高精細化による微細化、多機能化による周辺回路、付加機能のモノリシック化等によって、より低抵抗な配線材料や配線技術が求められている。
【0003】
従来、低抵抗な配線材料としてはアルミニウムまたはアルミニウム系合金が多く用いられている。この理由は、アルミニウムは薄膜での抵抗率が5μΩcm程度であり、微細加工も容易であるからである。
【0004】
しかしながら、配線の微細化に伴い、アルミニウムは高温下でエレクトロマイグレーションによる配線の短絡を生じやすく、高ストレス下でストレスマイグレーションによる配線の断線を生じやすいという問題点がある。また、近年の素子特性、表示性能の向上によって、配線材料の抵抗に起因する信号遅延等の問題は、もはやアルミニウムの持つ抵抗値では解決が困難になってきている。
【0005】
このため、アルミニウムに代わる低抵抗配線材料として、銅又は銅合金が注目されている。銅は薄膜での抵抗率が2μΩcm程度とアルミニウムの半分以下であり、同一の膜厚、線幅であればアルミニウムより更に低い配線抵抗を実現できる。また、銅はアルミニウムに比較して耐マイグレーション性に優れていることから、この点についてもアルミニウムに代わる低抵抗配線材料として注目されている。
【0006】
配線を形成するための銅薄膜の形成方法としては、古くより用いられているめっき法の他、PVD(Physical Vapor Deposition)法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法が用いられている。特に半導体装置(LSI)製造の分野では、PVD法によるシード層の形成と、このシード層を用いた電解めっき法の組合せによる銅薄膜の形成技術が広く用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、半導体装置の製造に用いられている銅薄膜の形成方法を、液晶表示装置に代表される表示装置の製造に適用しようとすると、以下のような種々の問題点を生じる。
【0008】
第1に、大きな問題点として、製造に使用される基板寸法の違いがある。LSI等の半導体装置の製造には現状では直径300mm(約12インチ)の円形のシリコン基板が用いられ、これが最大である。これに対して、表示装置の製造には、例えば1500mm×1200mmのような角型の大型基板が用いられている。このような大型基板に銅薄膜を形成するには、成膜装置の大型化が避けられない。
【0009】
第2に、成膜装置の大型化に伴い、使用される成膜材料およびめっき浴の薬液使用量が増大するとともに、装置の床占有面積(フットプリント)の増大に伴うクリーンルームの床面積の増大を生じるので、トータルプロセスでみた場合にコストアップとなる。
【0010】
第3に、LSI等の製造で用いられている電解めっき法を表示装置の大型基板の製造に適用しようとする場合、基板上に配置された配線部分の導電材料に電流を流すために基板の周辺部分から給電を行う必要があるが、給電点から基板の中心方向へ向かって距離が離れるにつれて導電経路の持つ抵抗成分が増大し、電圧降下が増大する。その結果、給電点から離れた部位では給電点近傍部位に比べてめっき処理に供される電流量が減少し、めっき付着量にばらつきが生じる。
【0011】
図12に従来方式の電解めっき処理装置を示す。また、図13に給電点と被処理基板との位置関係を示す。
【0012】
図12に示すように、大型基板に対する従来の電解めっき処理は、めっき処理槽100内にめっき処理溶液102を入れ、溶液102中に被処理基板104および対向電極106をそれぞれ浸漬し、被処理基板104と対向電極106との間に直流電源108を接続して通電する。
【0013】
めっき処理槽100は、大型の被処理基板104が装入されるために、少なくとも基板サイズよりも余裕をもった大きなサイズとする必要がある。また、被処理基板104が浸漬する深さが必要である。このため、処理槽100が大型化し、このなかに導入されるめっき処理溶液102は多量となり、その結果、めっき処理溶液181の消費量が増加する。
【0014】
また、図13に示すように、従来の電解めっき法では、単一の給電点110をめっき処理溶液内に浸漬されない基板周縁部の一辺の中央に接続しているので、給電点110から基板104上の各成膜領域104a〜104fへの距離がそれぞれ異なる。このため、給電点110から離れた領域104bや領域104aでは給電点110の近傍の領域104dに比べて電圧が低下し、これに起因して領域104a〜104f間で薄膜の厚さ(膜厚)に大きなばらつきが生じる。この電圧降下による膜厚のムラは基板サイズの大型化が進むにつれて顕著になることから、めっき処理を大型基板に適用する際の阻害要因となる。
【0015】
第4に、電解めっき法を表示装置の大型基板に適用しようとする場合に、処理槽の大型化に伴って処理槽内に薬液が滞留して劣化しやすくなるので、新鮮な薬液に入れ替える必要があるが、処理槽内の薬液を迅速に入れ替えることが難しく、また、廃液量が増加するという問題がある。
【0016】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、被処理基板へのめっき膜の形成に当たり、被処理基板が大型のものであっても所望する領域に均一にめっき膜が形成され、まためっき液の省資源化に資する金属薄膜形成装置、金属薄膜形成方法及び無電解めっき法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、無電解めっき法により金属薄膜が形成される被処理基板の被処理面にめっき処理用の薬液からなる層を形成すべく、前記被処理基板の被処理面の下方にこれと間隔をおいてかつ対向して配置される前記薬液を吐出するための吐出手段を具備することを特徴とする。
【0018】
さらに、前記吐出手段に前記薬液を供給するための薬液供給源と、前記被処理基板の被処理面に対して前記吐出手段を相対的に移動させるための移動手段とを具備するものとすることができる。
【0019】
前記吐出手段が細長い吐出口を有するものとすることができる。この例において、前記吐出手段の吐出口が前記被処理基板の幅寸法より大きい長さ寸法を有するものとすることができる。前記吐出手段の吐出口はその長手方向に2以上に分割されているものとすることができる。
【0020】
さらに、前記被処理基板の被処理面に対する前記薬液以外の薬液、洗浄液および気体の吐出のためにそれぞれ用いられる複数の他の吐出手段を有するものとすることができる。
【0021】
前記供給源は、異なる薬液をそれぞれ貯留するための複数のタンクと、前記タンクからの薬液の供給を切り替えるための切替手段とを具備するものとすることができる。
【0022】
また、本発明に係る金属薄膜の形成方法は、無電解めっき法により金属薄膜が形成される被処理基板の被処理面の下方にこれと間隔をおいてかつ対向するように配置された吐出手段の細長い吐出口からめっき処理用の薬液を吐出させ、前記薬液を前記吐出口に溜める工程と、前記吐出手段の吐出口に溜められた薬液を前記被処理基板の表面に接触させる工程と、前記被処理基板の表面に前記薬液を接触させる間に、前記被処理基板又は前記吐出手段を移動させ、これにより前記被処理基板の表面に前記薬液からなる層を形成する工程とを具備する。
【0023】
前記被処理基板の表面に前記薬液の層を形成するに先立つ前処理又はその後の後処理のため、前記被処理基板の表面に向けて前記吐出手段から前記薬液以外の液体を吐出し、あるいは前記被処理基板の表面に向けて前記吐出手段以外の吐出手段から前記薬液以外の液体を吐出することとすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、被処理基板へのめっき膜の形成に当たり、被処理基板が大型のものであっても所望する領域に均一にめっき膜が形成され、まためっき液の省資源化に資することができる。
金属薄膜形成のために用いられる薬液は薬液を上方に吐出する吐出手段より被処理面が下方に向けて設置された被処理基板の被処理面に付着する薬液層のみが消費されることから、薬液の使用量を最小限に抑制することができる。
【0025】
また、本発明によれば、液晶表示装置等に用いられる大型基板に対しても、配線用の銅薄膜をむらなく、すなわち均一性良く形成することができる。
【0026】
また、本発明によれば、細長い吐出口を有する吐出手段を被処理基板の表面に沿って走査する間に薬液を吐出することにより、基板の大型化に対応しためっき処理が容易となる。
【0027】
さらに、供給薬液の切替手段、または複数の吐出手段を使用することにより、被処理基板に対する異なった処理を連続して行うことが可能となり、処理工程の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付の図面を参照して本発明の種々の好ましい実施の形態について説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る金属薄膜形成装置の実施形態である無電解めっき法による金属薄膜形成装置を説明するための斜視図である。
この金属薄膜形成装置10は、金属薄膜、例えば無電解めっき法により配線用の銅薄膜を被処理面が下方に向けて設けられた被処理基板12の被処理面に形成する装置である。
【0030】
無電解めっき法により金属薄膜(本実施の形態では銅薄膜)が形成される被処理基板12は、例えば図2に示すような構造である。すなわち、被処理基板12は、例えば基板本体14と、バリアメタル層16と、シード層(本実施の形態では銅薄膜)18と、保護膜20とが順次積層された構造である。
基板本体14は、例えば液晶表示装置(LCD)のような表示装置に用いられるガラス又はプラスチック製の基板である。この基板本体14の被処理面上には、配線形成のための下地膜となるバリアメタル層16が形成されている。このバリアメタル層16上には、シード層(本実施の形態では銅薄膜)18が積層されている。さらに、このシード層18上には、保護膜20が積層されている。保護膜20は所望の配線形状を呈する複数の開口部22を有する。
【0031】
本実施の形態では、基板本体14は厚さが0.7〜1.0mm、長辺が650mm、短辺が550mmの矩形状の透明ガラス板からなる。また、バリアメタル層16は、例えば窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)等の金属膜が好適に用いられる。本実施の形態ではバリアメタル層16として窒化タンタル膜を用いた。また、バリアメタル層16と基板本体14との密着性を高める目的で、TiやTaのような金属をバリアメタル層16と基板本体14の間に設けてもよい。
【0032】
シード層18上の保護膜20は、一般的なフォトレジスト膜または酸化シリコン膜、窒化シリコン膜といった種々の絶縁膜等からなるものとすることができる。本実施の形態では、保護膜20はフォトレジスト膜からなる。
【0033】
前記金属薄膜としての銅薄膜は、被処理基板12の保護膜20の開口部22内に露出したシード層18に後述のめっき処理用の薬液を接触させることにより、形成される。
【0034】
前記銅薄膜を配線層として形成するためのめっき処理用の薬液としては、無電解銅めっき用薬液を用いることができる。この無電解銅めっき用薬液は、例えば、コバルト塩(還元剤)と、エチレンジアミン(錯化剤)と、硝酸または硫酸(pH調整剤)と、2,2−ビピリジル(安定剤)と、アスコルビン酸および塩酸(添加剤)とを含む、pH6.8の液体からなる。
【0035】
前記無電解銅めっき用薬液がシード層18に接触すると、次の反応式で示す化学反応が生じ、シード層18上に前記配線層となる銅薄膜が形成される。
【0036】
【数1】
【0037】
再び図1を参照すると、被処理基板12が保持機構24によって、保護膜22の開口面(被処理面)を下面とするように水平に保持され、被処理基板12の下方に金属薄膜形成装置10が配置されている。
【0038】
金属薄膜形成装置10は、被処理基板12の表面、すなわち保護膜20の開口部内22に露出するシード層18と保護膜20とが規定する被処理基板12の下面又は表面(被処理面)の下方にこれと間隔をおいてかつ対向して配置された、前記めっき処理用の薬液を吐出するための吐出手段26を備える。吐出手段26は全体に細長いブロックからなる。このブロックはその長手方向へ伸びかつ上方に向けて開放する前記全体に矩形状の吐出口(吐出ノズル)を有する細長い溝28を備える。被処理面と吐出手段26の吐出ノズル先端部との前記間隔は、吐出ノズルからの薬液の吐出距離以内に設定される。
【0039】
図示の吐出手段26の吐出ノズルの長さは、例えば被処理面の幅又は長さ方向の少なくとも一方の長さ、又は吐出ノズルからの薬液の拡散範囲に被処理面が位置するように短い長さである。
【0040】
このブロックの細長い溝28は、配管30を介して、薬液供給源(タンク)に接続されている。前記薬液供給源は、前記めっき処理用の薬液が収容されたタンク32と、このタンク32内の薬液36を配管30を通して溝28内に送り出すためのポンプ34とからなる。タンク32内には前記めっき処理用の薬液36を所定の温度に保つためのヒータ(図示せず)が設置されている。
【0041】
ポンプ34の作動により、無電解めっき処理用の薬液36が前記ブロックの溝28内に溜まり、さらに薬液36の粘性、これに働く表面張力等により、薬液36の一部が溝28の上方空間を規定する被処理基板12と前記ブロックとの間に張り出す。
【0042】
ポンプ34の作動の間、吐出手段26を被処理基板12の被処理面(表面又は下面)と平行に移動(走査)させると、吐出手段26の溝28の上方に張り出して被処理基板12の被処理面に接触した薬液36が被処理基板12の被処理面に塗布される。その結果、被処理基板12の被処理面が薬液36の層38で覆われ、薬液36は被処理基板12のシード層18に接触する。このシード層18に接触する薬液36は、通常のめっき浴のように、常に長期間空気に触れている貯液でなく、密閉された薬液タンク32から送出される新たな薬液36が被処理面に接触する。
【0043】
また、被処理面を下向きに配置して処理を行うことにより、プロセス中の被処理面へのパーティクル等の付着・堆積を抑制することが可能となる。この結果として、パーティクル等の付着に起因する断線等の不具合を抑制することが可能となる。なお、吐出手段26の吐出ノズル先端と被処理基板12の被処理面との間の間隔の大きさは、吐出ノズルからの薬液36の吐出距離以内に選択される。吐出ノズル先端と被処理面との間の間隔の大きさは、前記薬液36の粘度等を考慮して、被処理基板12の下面である被処理面の全面に接するように定める。
【0044】
吐出手段26は、被処理基板12の長手方向へ伸びる二条の平行なレール(図示せず)に該レール上を滑動または転動可能に支持された適当な支持装置(図示せず)を介して、吐出手段26の溝28の長手方向と直交する方向へ移動可能に支持することができる。
【0045】
好ましくは、溝28は被処理基板12の幅寸法より大きい長さ寸法Wを有する。これによれば、吐出手段26を被処理基板12の一端側からその他端側に向けて移動させることにより、被処理基板12の被処理面の全部に、一時に、薬液36の層38を形成することができる。なお、吐出手段26の自由な移動を保証すべく、これに連なる配管30は比較的大きい長さ寸法を有する可撓性のホースとすることができる。
【0046】
また、図示の例に代えて、溝28の長さは、被処理基板12被処理面に等しいか幅寸法より小さい長さ寸法を有するものとし、あるいは矩形以外の他の平面形状を有するものとすることも可能である。これらの例によれば、前記溝を有する吐出手段26の溝28の長手方向に直交して被処理基板12を走査した後、溝28の長手方向に平行に位置をずらして、再度走査することにより、被処理基板12の被処理面の全面に薬液の層38を形成または塗布することができる。また、吐出手段26の溝28はその長手方向に2以上に分割されたものとすることができる。
このような塗布法において、例えば1枚の被処理基板中に複数の種類の処理領域がある少量多品種生産のような場合には、被処理基板上に銅金属膜の形成が必要な部分にのみ、選択的に薬液層を形成することが可能となり、薬液36の使用量を減少させることができると共に、金属膜の不要な部分への塗布による汚染等の影響を防ぐことが出来る。
【0047】
さらに、前記した薬液36の層38の形成のために吐出手段26を移動させる方法に代えて、吐出手段26に対して被処理基板12を移動可能とすることができる。
【0048】
被処理基板12は、前記被処理面を下方にして前記被処理基板を保持、操作する図3に示すような例えばバキュームチャック40を有する保持機構(ハンドリング機構)24により支持される。
被処理基板12を仮固定するための保持機構24は、これに被処理基板12をその上面において真空吸着することにより保持することができる。
【0049】
バキュームチャック40は、図3に示すように剛性を有する全体に矩形状を呈する板状の本体42と、本体42に形成された格子状の溝44と、溝44の各交差箇所に設けられ開口する複数の吸引口46とを備える。
【0050】
各吸引口46は、図4に示すように本体42の内部に設けられた管状の連通路48を介して排気管50に連通している。排気管50は真空ポンプ(図示せず)の吸込口に接続されている。これによれば、吸引口46を被処理基板12の上面に向けて該上面に本体42を当て、前記真空ポンプを作動させることにより、被処理基板12を本体42に真空吸着することができる。バキュームチャック40は被処理基板12を加熱するための機構を内蔵しており、該機構によって被処理基板12を所定の温度に保つことができる。
【0051】
好ましくは、バキュームチャック40をその上方から覆うカーテン型のカバー(図示せず)によりバキュームチャック40と、被処理基板12と、吐出手段26とが取り囲まれ、前記カバーの内部の空気が窒素等のガスで置換される構造とされる。これにより、例えば酸素雰囲気に曝されることによって成膜特性が劣化するようなめっき処理用の薬液を選択した場合における酸素の影響を除去した処理が可能である。
【0052】
前記したように、被処理基板12に対する吐出手段26の移動により、被処理基板12の下面の全部に薬液の層38が形成される(図5)。
【0053】
その結果、無電解銅めっき反応により、保護膜20の開口部22内に露出するシード層18上のみに銅薄膜が形成される。保護膜20の表面には無電解銅めっき反応を開始するための触媒となる銅が存在しないことから銅薄膜は形成されない。
【0054】
薬液の層38が形成され、これにより前記銅薄膜が形成された後、純水等により被処理基板12の被処理面の薬液36の層38を洗浄して除去する(図6)。その結果、保護膜20の開口部22内に形成された銅薄膜52が露出する。
【0055】
次に、前記フォトレジストからなる保護膜20をレジストリムーバのような処理薬液で除去する。その結果、基板本体14上、より詳細には被処理基板12のシード層18の表面に銅薄膜52からなる配線パターンが残る(図7)。
【0056】
続いて、この銅薄膜52からなる配線パターンをマスクとして、配線パターンの形成領域以外のシード層18及びバリアメタル層16をエッチング処理により除去する(図8)。
【0057】
銅シード層18のエッチング処理は、例えば市販の銅エッチング薬液(メック社製:マイクロエッチング剤CF6000)を用いたウエットエッチング法により行うことができる。また、引き続くTaNからなるバリアメタル層16の除去のためのエッチング処理は、CF4ガスを用いたドライエッチング法を用いて行うことができる。その結果、銅薄膜52からなる配線パターンが、基板本体14の表面上に形成される。
【0058】
バリアメタル層16エッチングについては、エッチング時に無電解めっき法により形成された銅配線パターン及び銅シード層18を保護する目的で、フォトレジスト等からなる保護層を再度フォトリソグラフィー工程等により、配線パターン上に形成してエッチングを行ってもよい。
【0059】
(第2の実施形態)
次に、図9を参照して第2の実施形態について説明する。前述の第1の実施形態と同一部分については、同一符号を付与し、その詳細な説明は重複するので、省略する。
【0060】
本実施の形態は、複数の吐出手段を用いて銅配線形成プロセスのためのめっき処理に必要となる前後の処理を連続して行う事によりめっき処理工程の効率化を図る例である。
【0061】
図9に示すように、本実施の形態に係る金属薄膜形成装置は、前処理用薬液(脱脂、酸化物除去のための有機溶剤)のための吐出手段54、第1の洗浄液(例えば水洗用純水)のための吐出手段56、乾燥用エアのための吐出手段58、めっき処理用薬液のための吐出手段26、第2の洗浄液(例えば水洗用純水)のための吐出手段60、および乾燥用エアのための吐出手段62を備える。
【0062】
各吐出手段54,56,58,60および62は、めっき処理用薬液のための吐出手段26と同様の構造を有する。
【0063】
本装置による銅配線形成プロセスは以下の工程によって行われる。
【0064】
まず、第1の工程として前処理用薬液の吐出手段54より前処理用薬液64を吐出しながら被処理基板12の下面(被処理面)を規定するシード層18の一部と保護膜20とを走査し、前処理用薬液64による薬液層を前記被処理面上に形成する。前処理用薬液64はこれを貯留するタンク66からポンプ34の作動により吐出手段54に供給される。
【0065】
続いて被処理基板12の被処理面上の前処理用薬液64の層を除去するため、第1の洗浄液のための吐出手段56から洗浄液68を前記被処理面に吐出しながらこれを走査する。洗浄液68はこれを貯留するタンク70からポンプ34の作動により吐出手段54に供給される。
【0066】
次いで、乾燥用エアのための吐出手段58を前記被処理面に温風を吐出しながらこれを走査する。これにより、前記被処理面に残っている洗浄液68を除去、乾燥し、銅めっき処理のための前処理工程を終了する。
【0067】
次に、めっき処理用薬液のための吐出手段26を前記被処理面に向けてこれを走査し、前記被処理面に無電解めっき用薬液36の層を形成する。これにより、第1の実施形態におけると同様に前記被処理面上(より正確にはシード層18上)に銅薄膜からなる配線層を形成する。
【0068】
前記銅薄膜を形成した後、後処理を行うべく、第2の水洗用純水72のための吐出手段60を前記被処理面に向けてこれを走査し、次いで乾燥用エアのための吐出手段62を前記被処理面に向けてこれを走査する。これにより、前記被処理面に形成されためっき処理薬液を水洗し、前記被処理面を乾燥する。
【0069】
なお、例えば洗浄液用吐出手段56と乾燥用エア用吐出手段58とを別体のものとする図示の例に代えて、洗浄液と温風とを別々に吐出する2つの吐出口を有する一体型の吐出手段とし、これを前記被処理面に走査するようにしてもよい。
【0070】
また、各吐出手段はそれぞれの処理毎に被処理基板12を走査するのではなく、適宜、時間間隔を設けて同時に走査するようにしてもよい。
【0071】
各吐出手段54,56,58,60および62は、めっき処理用薬液のための吐出手段26の前記支持装置を利用して、吐出手段26と同様に被処理基板12の一端から他端まで移動させることができる。
【0072】
(第3の実施の形態)
第3の実施形態では、前記第1の実施形態におけると同様に同一の吐出手段26を用いて複数の薬液を切り替えることにより、被処理基板12に対する処理を行う。
【0073】
図10および図11を参照すると、前記第1の実施形態におけると同様の吐出手段26と、配管30を介して吐出手段26に接続され、また互いに接続されたポンプ34およびめっき処理用薬液が収容された薬液タンク(第1の薬液タンク)32とが設置されている。配管30には、吐出手段26と第1の薬液タンクとの接続を開閉するためのバルブのような切り替え手段76が取り付けられている。
【0074】
この実施形態においては、さらに、配管78を介して吐出手段26に接続され、また互いに接続された他のポンプ34および他の薬液が収容された薬液タンク(第2の薬液タンク)80が設置されている。配管78は、バルブのような切り替え手段82を介して、配管30に接続されている。
【0075】
この実施の態様によれば、まず、切り替え手段76を開きかつ切り替え手段82を閉じた状態にした後、第1の薬液タンク32からポンプ34の作動により吐出手段26にめっき処理薬液36を供給し、被処理基板12の下面となる被処理面に第1の薬液層38を形成する。これにより前記第1の実施の形態におけると同様に被処理基板12の銅シード層18上に銅薄膜が形成される。
【0076】
次に、切り替え手段76を閉じかつ切り替え手段82を開いて、吐出手段26に供給される薬液の経路を第2の薬液タンク80に切り替える。次いで、ポンプ34を作動させることにより、第2の薬液タンク80から洗浄用薬液を吐出手段26に供給し、同様に前記被処理面に対して吐出手段26を走査することにより、前記被処理基板面の洗浄を行う。この時、吐出手段26の走査方向はめっき処理薬液36による走査時と同じ方向および逆方向のどちらでもよい。
【0077】
このように、吐出手段26に供給される薬液を順次切り替えることにより、同一の装置内で複数の薬液処理を行うことができる。
【0078】
本発明は、液晶表示装置に代表される大型のフラットパネル表示装置の分野において、大画面化による配線長の増加や高精細化による微細化、多機能化による周辺回路、付加機能のモノリシック化等に対応する銅配線の形成に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】第1の実施の態様に係る金属薄膜形成装置を示す概略図である。
【図2】金属薄膜形成装置による処理に供される被処理基板を示す断面図である。
【図3】被処理基板を吸引保持するためのバキュームチャックを示す平面図である。
【図4】バキュームチャックの側面図である。
【図5】めっき処理用薬液の層が形成された状態における被処理基板の断面図である。
【図6】めっき処理用薬液の層が除去された状態における被処理基板の断面図である。
【図7】保護層が除去された状態における被処理基板の断面図である。
【図8】金属薄膜が形成された被処理基板の逆様にした状態における断面図である。
【図9】第2の実施の態様に係る金属薄膜形成装置を示す概略図である。
【図10】第3の実施の態様に係る金属薄膜形成装置を示す概略図である。
【図11】第3の実施の態様に係る金属薄膜形成装置を示す概略図である。
【図12】従来のめっき装置の概要図である。
【図13】従来における電解めっき時の給電点から被処理基板内の各薄膜形成部までの距離との関係を模式的に示す平面図。
【符号の説明】
【0080】
10 金属薄膜形成装置
12 被処理基板
26 吐出手段
28 溝
36 めっき処理用の薬液
38 めっき処理用薬液からなる層
52 銅薄膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無電解めっき法により金属薄膜が形成される被処理基板の処理面にめっき処理用の薬液からなる層を形成する金属薄膜形成装置であって前記被処理面を下方にして前記被処理基板を保持・操作するための保持機構と、前記被処理面と間隔をおいてかつ対向して配置される前記薬液を上方に吐出するための吐出手段とを具備することを特徴とする、金属薄膜形成装置。
【請求項2】
前記吐出手段に前記薬液を供給するための薬液供給源と、
前記被処理基板の被処理面に対して前記吐出手段を相対的に移動させるための移動手段とを具備することを特徴とする、請求項1に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項3】
前記吐出手段は、細長い吐出口を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項4】
前記被処理基板は幅寸法を有し、前記吐出手段の吐出口は前記被処理基板の幅寸法より大きい長さ寸法を有することを特徴とする、請求項3に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項5】
前記吐出手段の吐出口はその長手方向に2以上に分割されていることを特徴とする、請求項3又は4に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項6】
前記被処理基板の被処理面に対する前記薬液以外の薬液、洗浄液および気体の吐出のためにそれぞれ用いられる他の複数の吐出手段を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項7】
前記供給源は、
異なる薬液をそれぞれ貯留するための複数のタンクと、
前記タンクからの薬液の供給を切り替えるための切替手段とを具備することを特徴とする、請求項2に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項8】
前記被処理基板の被処理面と、この被処理面の下方に設けられる吐出手段の吐出口と間隔が、接触することなく無電解めっき用薬液の吐出距離以内となるように前記被処理基板および前記吐出手段の吐出口位置を位置合せする位置合せ機構を設けてなることを特徴とする、請求項1に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項9】
前記被処理基板の被処理面と、この被処理面の下方に設けられる吐出手段の吐出口と間隔が、接触することなく無電解めっき用薬液の吐出距離以内となるように前記吐出手段に薬液の吐出力を制御する吐出力制御機構を設けてなることを特徴とする、請求項1に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項10】
無電解めっき法により金属膜が形成される被処理基板の被処理面の下方にこれと間隔をおいてかつ対向するように配置された吐出手段の細長い吐出口からめっき処理用の薬液を吐出させ、前記薬液を前記吐出口に溜める工程と、
前記吐出手段の吐出口に溜められた薬液を前記被処理基板の表面に接触させる工程と、
前記被処理基板の被処理面に前記薬液を接触させる間に、前記被処理基板又は前記吐出手段を移動させ、これにより前記被処理基板の被処理面に前記薬液からなる層を形成する工程とを具備することを特徴とする、金属薄膜形成方法。
【請求項11】
前記被処理基板の被処理面に前記薬液層を形成するに先立つ前処理又はその後の後処理のため、前記被処理基板の被処理面に向けて前記吐出手段から前記薬液以外の液体を吐出することを特徴とする、請求項9に記載の金属薄膜形成方法。
【請求項12】
前記被処理基板の被処理面に前記薬液層を形成するに先立つ前処理又はその後の後処理のため、前記被処理基板の被処理面に向けて前記吐出手段以外の吐出手段から前記薬液以外の液体を吐出することを特徴とする、請求項9に記載の金属薄膜形成方法。
【請求項13】
被処理基板の被処理面を下方に向けて設ける工程と、
前記被処理面に塗布するための薬液を吐出する吐出ノズルと前記被処理面との距離を薬液の吐出距離以内に設定する工程と、
前記吐出ノズルから薬液を吐出させた状態で前記吐出ノズルと前記被処理面とを相対的に移動させる工程と
を具備してなることを特徴とする、金属薄膜形成方法。
【請求項14】
無電解めっき液を上方に吐出するように設けられた吐出手段の吐出口の上方でかつ吐出距離以内に被処理基板のめっき被処理面を位置合せして設ける工程と、
前記被処理基板および前記吐出手段を相対的に移動させると共に前記吐出口から無電解めっき用薬液を上方に吐出する工程と
を具備してなることを特徴とする、無電解めっき法。
【請求項1】
無電解めっき法により金属薄膜が形成される被処理基板の処理面にめっき処理用の薬液からなる層を形成する金属薄膜形成装置であって前記被処理面を下方にして前記被処理基板を保持・操作するための保持機構と、前記被処理面と間隔をおいてかつ対向して配置される前記薬液を上方に吐出するための吐出手段とを具備することを特徴とする、金属薄膜形成装置。
【請求項2】
前記吐出手段に前記薬液を供給するための薬液供給源と、
前記被処理基板の被処理面に対して前記吐出手段を相対的に移動させるための移動手段とを具備することを特徴とする、請求項1に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項3】
前記吐出手段は、細長い吐出口を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項4】
前記被処理基板は幅寸法を有し、前記吐出手段の吐出口は前記被処理基板の幅寸法より大きい長さ寸法を有することを特徴とする、請求項3に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項5】
前記吐出手段の吐出口はその長手方向に2以上に分割されていることを特徴とする、請求項3又は4に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項6】
前記被処理基板の被処理面に対する前記薬液以外の薬液、洗浄液および気体の吐出のためにそれぞれ用いられる他の複数の吐出手段を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項7】
前記供給源は、
異なる薬液をそれぞれ貯留するための複数のタンクと、
前記タンクからの薬液の供給を切り替えるための切替手段とを具備することを特徴とする、請求項2に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項8】
前記被処理基板の被処理面と、この被処理面の下方に設けられる吐出手段の吐出口と間隔が、接触することなく無電解めっき用薬液の吐出距離以内となるように前記被処理基板および前記吐出手段の吐出口位置を位置合せする位置合せ機構を設けてなることを特徴とする、請求項1に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項9】
前記被処理基板の被処理面と、この被処理面の下方に設けられる吐出手段の吐出口と間隔が、接触することなく無電解めっき用薬液の吐出距離以内となるように前記吐出手段に薬液の吐出力を制御する吐出力制御機構を設けてなることを特徴とする、請求項1に記載の金属薄膜形成装置。
【請求項10】
無電解めっき法により金属膜が形成される被処理基板の被処理面の下方にこれと間隔をおいてかつ対向するように配置された吐出手段の細長い吐出口からめっき処理用の薬液を吐出させ、前記薬液を前記吐出口に溜める工程と、
前記吐出手段の吐出口に溜められた薬液を前記被処理基板の表面に接触させる工程と、
前記被処理基板の被処理面に前記薬液を接触させる間に、前記被処理基板又は前記吐出手段を移動させ、これにより前記被処理基板の被処理面に前記薬液からなる層を形成する工程とを具備することを特徴とする、金属薄膜形成方法。
【請求項11】
前記被処理基板の被処理面に前記薬液層を形成するに先立つ前処理又はその後の後処理のため、前記被処理基板の被処理面に向けて前記吐出手段から前記薬液以外の液体を吐出することを特徴とする、請求項9に記載の金属薄膜形成方法。
【請求項12】
前記被処理基板の被処理面に前記薬液層を形成するに先立つ前処理又はその後の後処理のため、前記被処理基板の被処理面に向けて前記吐出手段以外の吐出手段から前記薬液以外の液体を吐出することを特徴とする、請求項9に記載の金属薄膜形成方法。
【請求項13】
被処理基板の被処理面を下方に向けて設ける工程と、
前記被処理面に塗布するための薬液を吐出する吐出ノズルと前記被処理面との距離を薬液の吐出距離以内に設定する工程と、
前記吐出ノズルから薬液を吐出させた状態で前記吐出ノズルと前記被処理面とを相対的に移動させる工程と
を具備してなることを特徴とする、金属薄膜形成方法。
【請求項14】
無電解めっき液を上方に吐出するように設けられた吐出手段の吐出口の上方でかつ吐出距離以内に被処理基板のめっき被処理面を位置合せして設ける工程と、
前記被処理基板および前記吐出手段を相対的に移動させると共に前記吐出口から無電解めっき用薬液を上方に吐出する工程と
を具備してなることを特徴とする、無電解めっき法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−23326(P2007−23326A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205786(P2005−205786)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(501286657)株式会社 液晶先端技術開発センター (161)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(501286657)株式会社 液晶先端技術開発センター (161)
【Fターム(参考)】
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