説明

金属製保温容器

【課題】保温容器の外形寸法に対して保温空間を大きくし、高い保温性を確保しつつ、金属製保温容器の全高を抑え、食事の行い易い金属製保温容器を提供する。
【解決手段】金属製保温容器1は上部開口の金属製真空二重容器2と、該真空二重容器2を被覆する金属製真空二重容蓋3からなり、金属製真空二重蓋3の開口部端面28が金属製二重容器上部開口部9より下方で被覆し、真空二重容器外壁15または真空二重蓋内壁25にシール部材24を配設し、さらに、樹脂製内容器4を真空二重容器2の内面に配設し、開口部フランジ径W2を真空二重容器開口部の径W7と同等以上、かつ真空二重蓋3の内径W1よりも小径としたことにより、高い保温性を確保しつつ、容器1全体の全高H1を抑え、金属製保温容器1の内容物である食品を食べ易い形状とすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にランチジャーと称される携帯用の保温弁当箱に係る金属製保温容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ランチジャーに用いられる金属製保温容器では、保温したい御飯、惣菜、味噌汁や熱湯等の高温液体を内容器に入れ、この内容器を断熱材あるいは真空断熱による断熱層を備えた断熱容器に入れて、前記断熱容器と同様の構造、すなわち断熱材あるいは真空断熱による断熱層を備えた蓋体を被せて内容器の内容物を保温する金属製保温容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、このような構成の金属製保温容器の一例を図2に示す。金属製保温容器101は、断熱空間102を有する真空二重容器103と、該真空二重容器103内に出し入れ自在に収容される蓋付きの内容器104とを備えている。
【0004】
真空二重容器103は、口縁部103aで接合された内ケース103bと外ケース103cとの間に、真空の断熱空間102を形成したステンレス製の二重構造で、有底円筒状に形成されている。断熱空間102は、真空二重容器103の周壁及び底部に形成され、口縁部103aが、内容器104を出し入れする上部収容口となる。
【0005】
内容器104は、合成樹脂で形成されるもので、真空二重容器103の内ケース103bの内径より小径の有底円筒状の内容器本体106と、該内容器本体106の上部開口に装着され、内部空間に断熱材107を充填した蓋部材108とを備えている。内ケース103bの内底面に形成された円弧状の膨出部103dに沿うように、同一形状の円弧状の膨出部106aが内容器本体106の内底面にも形成されている。さらに、内容器本体106の内側面には内容器本体106と同心円状の段部106cが形成されている。内容器本体106の上縁には、真空二重容器103の口縁部103aの径よりも大径のフランジ部106bが形成される。
【0006】
蓋部材108は、内容器104の内径よりも小さい外径を有した有底円筒状の栓体部108aと、該栓体部108aの上面を覆う天板108bとを有し、栓体部108aの上方側端部分を下方に折り返して形成するとともに、この折り返された側端部分の内側を突出して形成し、内容器104のフランジ部106bに係合可能に設けられた係合部たるリブ108cを備える。栓体部108aの内部には、断熱材107が充填され、断熱材107の上部を天板108bで覆うことにより、蓋部材108が断熱構造となる。この蓋部材108は、栓体部108aを内容器104の上部開口から内容器104内部に挿入し、係合部108cをフランジ部106bに係合させることにより、内容器104に装着可能に設けている。
【0007】
このような金属製保温容器101では、内容器104に保温したい御飯や惣菜を入れ、蓋部材108の栓体部108aを内容器104内に挿入し、係合部108cを内容器104に形成されたフランジ部106bに係合させて、内容器104に蓋部材108を装着する。蓋部材108を装着した内容器104を、真空二重容器103に挿入し、真空二重容器103の口縁部103aと、内容器本体106のフランジ部106b底面とを密着させ、内容器104を、真空二重容器103と蓋部材108とによって保温する。
【0008】
そして、従来の金属製保温容器101においてこの蓋部材108に断熱性を持たせる構造としては、天板108bと栓体部108aの2パーツからなる蓋部材108の間に空間を設け、その空間に発泡スチロール等の断熱材107を充填して断熱層Dを備えて断熱性を持たせるものであった。また、金属製保温容器101の断熱長さL2を真空二重容器103の高さ方向における口縁端103aを基準とし、その基準から下方に至る栓体部108aまでの距離とした。
【特許文献1】特開2005−110734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来の保温容器では、真空二重容器の内ケースの内径が同一の場合、より高い保温性能を確保するためには、断熱長さを長くする必要があった。そのためには、蓋部材の栓体部の下端を内容器本体内側へと落し込む必要があるため、内容器の実容量が減るという問題があった。逆に、実容量を保持したいときには、必要な断熱長さの分だけ内容器本体を延長する必要があるため、保温容器の全長を大きくする必要があった。そのために、内容器の深さが深くなり、弁当箱として食する際に食べにくい形状となるという問題があった。
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、保温容器の外形寸法に対して保温空間を大きくし、高い保温性を確保しつつ、金属製保温容器の全高を抑え、食事の行い易い金属製保温容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、上部開口の金属製真空二重容器と、該真空二重容器を被覆する金属製真空二重蓋からなり、該金属製真空二重蓋の開口部端面が前記金属製真空二重容器上部開口部より下方で被覆するものである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の金属製保温容器において、前記真空二重容器外壁または前記真空二重蓋内壁にシール部材を配設するものである。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の金属製保温容器において、樹脂製内容器を前記真空二重容器内面に配設し、開口部フランジ部の径を前記真空二重容器開口部径と同等以上かつ前記真空二重蓋内径よりも小径とするものである。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3に記載の金属製保温容器において、前記樹脂製内容器の前記開口部フランジ部を前記真空二重容器に載置し、前記樹脂製内容器を吊り下げて、前記樹脂製内容器外面と前記真空二重容器内面を離間させ、密閉した第1の断熱空間層を形成するものである。
【0015】
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載の金属製保温容器において、前記樹脂製内容器の開口部を被覆する前記樹脂製内容器蓋の外縁に前記真空二重容器蓋の内面を接して載置させ、前記樹脂製内容器蓋外面と前記真空二重容器蓋内面を離間させ、密閉した第2の断熱空間層を形成するものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、保温容器の外形寸法に対して保温空間を大きくできるため、高い保温性を確保しつつ、容器全体の全高を抑えることができる。また、内容器の底の深さが大きくなることを防ぐことにより、保温容器の内容物である食品を食べ易い形状とすることが可能となる。
【0017】
請求項2の発明によれば、真空二重容器外壁と真空二重蓋との間にシール部材を設けたことにより保温容器内の保温効果の向上を図るとともに、内容物の水分の漏洩を防ぐ止水効果を向上させることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、真空二重容器の開口部に樹脂製内容器を載置させることが可能となり、内容器の自重により内容器の開口部フランジと真空二重容器の上部開口部分とを密着させて、保温容器の断熱性を向上させることが可能となる。
【0019】
請求項4の発明によれば、保温容器の断熱性、特に、保温容器の真空二重容器側の断熱性をさらに向上させることが可能となる。
【0020】
請求項5の発明によれば、保温容器の断熱性、特に、保温容器の真空二重蓋側の断熱性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の保温容器の一実施例について図1を参照して詳細に説明する。本実施例の金属製保温容器1は、上部に開口を有する真空二重容器2と、真空二重容器2を上方より被覆可能に形成された下部に開口を有する真空二重蓋3と、真空二重容器2内に収容される内容器4とから構成される。
【0023】
前記真空二重容器2は、底部を有する断面凹字状で上方開放・下方閉塞の円筒状の容器側内ケース5と、容器側内ケース5と略同形状で僅かに大きく形成された容器側外ケース6とからなる。容器側内ケース5と容器側外ケース6は、容器側内ケース5の側面部7上端を拡径させて段部8を形成し、容器側内ケース5と容器側外ケース6とを容器側開口縁端9で気密に接合されたステンレス製の二重構造を有している。そして、容器側外ケース6と容器側内ケース5との間に間隙部11を形成し、この間隙部11を真空の容器側断熱層14とする。
【0024】
また、真空二重容器2の容器側外ケース6の側面部15と底面部16との境界に形成された隅部17は、円弧状に角取り形成される。前記隅部17の前記側面部15側付近には、真空二重容器2の高さ方向に所望の間隔部分18を設けて連設された第1の環状突出部19と第2の環状突出部20が形成されている。間隔部分18には、第1のシール用環状リップ21と第2のシール用環状リップ22を有する外周部23を備え、環状で断面略コ字形状のシール部材たるシールパッキン24が嵌合されている。この第1及び第2のシール用環状リップ21,22は共に、後述する真空二重蓋3における蓋側内ケース25の内径W1より大径に形成されている。さらに、このシールパッキン24はシリコンゴム等の耐熱性に優れた材料で形成するのが望ましい。
【0025】
前記真空二重蓋3は、天面を有する断面逆凹字状で下端開放・上端閉塞の円筒状の蓋側内ケース25と、蓋側内ケース25と略同形状で僅かに大きく形成された蓋側外ケース26とからなる。蓋側内ケース25と蓋側外ケース26とは、蓋側内ケース25の側面部下端を拡径させて段部27を形成し、蓋側内ケース25と蓋側外ケース26とを蓋側開口縁端28で気密に接合されたステンレス製の二重構造を有している。そして、蓋側外ケース26と蓋側内ケース25との間に間隙部30を形成し、この間隙部30を真空の蓋側断熱層33とする。また、蓋側内ケース25の内径W1は、後述する内容器4における内容器側フランジ部42の直径W2より大径に形成される。さらに、真空二重蓋3の高さ方向における蓋側内ケース25の側面部34の高さ距離N1は、真空二重容器2の高さ方向における容器側断熱層14の側面側間隙37の高さ距離N2より同等またはそれ以上に形成されたことによって、前記真空二重蓋3は、蓋側断熱層33により真空二重容器2の容器側開口縁端9から前記隅部17における側面側端17aまでを被覆可能に形成されたものである。なお、側面部34の高さ方向の距離N1は、真空二重蓋3における蓋側内ケース25の天面部35と側面部34との境界に形成される天面部側隅部36における側面側端36aから蓋側開口縁端28までの真空二重蓋3の高さ方向における距離とする。また、側面側間隙37の高さ方向の距離N2は、真空二重容器2における容器側外ケース6の側面部15と底面部16との境界に形成され円弧状に角取り形成された隅部17における側面側部分17aから容器側開口縁端9までの真空二重容器2の高さ方向における距離とする。
【0026】
前記内容器4は、合成樹脂で形成されるもので、真空二重容器2の容器側内ケース5の内径W3より小径の有底円筒状の内容器本体38と、該内容器本体38の上部開口に装着される蓋部材39とを備えている。ここで、容器側内ケース5の底面部46に形成された円弧状の膨出部40に沿うように、同一形状の円弧状の膨出部41が内容器4の底面部47にも形成されている。
【0027】
また、内容器本体38の上縁には、真空二重容器2の容器側開口縁端9の内径W4と同等か又はそれよりも大径、且つ真空二重蓋3の内径W1より小径な直径W2を有する内容器側フランジ部42が形成される。
【0028】
前記内容器側フランジ部42は、内容器4を真空二重容器2内に収容した際に、真空二重容器2の容器側開口縁端9と、内容器4の内容器側フランジ部42の下面とが密着するように形成されている。
【0029】
さらに、前記蓋部材39には、内容器4の内径W5よりも小さい外径W6を有した有底円筒状の栓体部43が形成されている。栓体部43の上端部には、内容器4の内容器側フランジ部42上面に懸架可能な蓋部材側フランジ部44が形成される。この蓋部材39は、栓体部43を内容器本体38の上部開口から内容器本体38内部に挿入し、蓋部材側フランジ部44を内容器側フランジ部42に懸架させることにより、内容器本体38に装着される。
【0030】
以上の構成について、真空二重容器2、真空二重蓋3及び内容器4を一体に組み立てて、金属製保温容器1をランチジャーとして使用する状態について説明する。内容器本体38に保温したい御飯や惣菜を入れ、蓋部材39の栓体部43を内容器本体38内に挿入し、蓋部材側フランジ部44を内容器本体38に形成された内容器側フランジ部42の上面に懸架させて、内容器本体38に蓋部材39を装着する。このように、内容器本体38に蓋部材39を装着させた内容器4を真空二重容器2に挿入し、真空二重容器2の容器側開口縁端9と内容器4の内容器側フランジ部42の底面とを密着させている。このように、この容器側開口縁端9に内容器側フランジ部42を懸架させた状態で密着させたことで、内容器本体38は、容器用内ケース5の内部で、内容器本体38の側面部48及び底面部47がそれぞれ、容器用内ケース5の側面部7及び底面部46と離間した状態で吊下げ保持されている。ここで、内容器本体38の側面部48の外径W8は、容器用内ケース5の側面部7の内径W9より小さく、又、内容器本体38における内容器側フランジ部42の下面から底面部47の最下端外面までの高さ方向の距離N3は、容器用内ケース5における容器側開口縁端9から底面部46の最下端内面までの高さ方向の距離N4より小さく、さらに、膨出部41を含め内容器本体38の底面部47の形状は、膨出部40を含めた容器側内ケース5の底面部46の形状より、小なる相似形としており、内容器本体38の底面部47と容器側内ケース5の底面部46の間には一定の離間が設けられている。この場合、内容器本体38と容器用内ケース5の間には、内容器4の自重により内容器側フランジ部42と容器側開口縁端9とが密閉、つまり、空気の流れが遮断された第1の断熱空間層たる第1の空気断熱層49が形成される。そして、内容器4に温かい食べ物を入れた場合に、この食べ物の熱は内容器4の内容器本体38の側面部48及び底面部47へと伝わることとなる。この内容器本体38に伝わった熱については、この内容器本体38と容器用内ケース5との間を密閉することによって第1の空気断熱層49が形成され、この内容器本体38と容器用内ケース5との間における各側面部48,7間及び各底面部47,46間での空気中での熱交換が遮断される。これによって、内容器本体38と容器用内ケース5との熱交換についても、容器用内ケース5が内容器本体38を吊下げ保持し、内容器本体38と容器用内ケース5との間を密閉している、内容器側フランジ部42と容器側開口縁端9との当接部分のみに限られる。このように、内容器本体38の熱が、真空二重容器2に伝わり難い構造となっている。よって、内容器4内の食べ物の熱が、この内容器本体38から外部へと逃げることを防ぎ、保温容器1の保温効果を向上させる。
【0031】
そして、真空二重容器2に内容器4を配置した後、真空二重容器2の上方から真空二重蓋3を被せる。この場合、真空二重蓋3の内面たる蓋側内ケース25の天面側隅部36と内容器4の外縁たる蓋部材39の蓋部材側フランジ部44とは、真空二重蓋3の自重が蓋部材39にかかることで、天面側隅部36が蓋部材39の蓋部材側フランジ部44によって、真空二重蓋3の内面たる天面部35と蓋部材39の外面たる栓体部43の上面との間に一定の離間を形成した状態で当接支持されるように、押接状態で密着している。そのため、天面側隅部36が蓋部材側フランジ部44によって当接支持された状態での天面部35と栓体部43との前記離間には、密閉された、つまり、空気の流れが遮断された第2の断熱空間層たる第2の空気断熱層50が形成される。この場合、内容器4に温かい食べ物を入れた場合に、この食べ物の熱は内容器4の内部の上方に篭り、この内容器4の内部に篭った食べ物の熱が蓋部材39へと伝わることとなる。この蓋部材39に伝わった熱については、この蓋部材39の栓体部43と真空二重蓋3の天面部35との間に密閉することによって第2の空気断熱層50が形成され、この蓋部材39の栓体部43と真空二重蓋3の天面部35との間の空気中での熱交換が遮断される。これによって、蓋部材39と真空二重蓋3との熱交換についても、蓋部材39が真空二重蓋3を当接支持し、蓋部材39の栓体部43と真空二重蓋3の天面部35との間を密閉している、蓋部材側フランジ部42と天面側隅部36のとの当接部分のみに限られている。このように、蓋部材39の熱が、真空二重蓋3に伝わり難い構造となっている。よって、内容器4内の食べ物の熱が、この蓋部材39から外部へと逃げることを防ぎ、保温容器1の保温効果を向上させる。
【0032】
更にこの場合、蓋側内ケース25の側面の下方に形成された段部27が真空二重容器2に設けられたシールパッキン24の第2のシール用環状リップ22より下側に位置するまで真空二重蓋3を真空二重容器2の外側側面に外嵌させて、真空二重容器2と真空二重蓋3との間をシールパッキン24により水密及び気密状態にシールする。真空二重容器2と真空二重蓋3とをシールすることにより、真空二重容器2の外側側面と真空二重蓋3の内側側面との間には、真空二重容器2の高さ方向に対し真空二重容器2の容器側開口縁端9から隅部17における側面側部分17aまでの断熱長さL1を有する第3の空気断熱層45が形成される。さらに、金属製保温容器1内部において蓋部材39が内容器本体38から離脱することが回避され、内容器4内部に収められた食べ物が内容器4の内容器側フランジ部42から金属製保温容器1内部へと飛び出すことが防止され、内容器4は、真空二重容器3の内部でガタつくことなく安定的に収容される。
【0033】
これにより、内容器4は、上部を真空二重蓋3の天面により被覆されたことにより、上から蓋側断熱層33、第2の空気断熱層50からなる二重の断熱層によって被覆され、また、底側を真空二重容器2の底面により被覆されたことにより、下から容器側断熱層14、第1の空気断熱層49からなる二重の断熱層によって被覆され、さらに、側面部分を外側から蓋側断熱層33、第3の空気断熱層45、容器側断熱層14、そして第1の空気断熱層49からなる四重の断熱層によって被覆される構造となる。
【0034】
さらに、真空二重容器2の側面部15と底面部16との境界に形成される隅部17は、円弧状に角取り形成されており、前記側面側部分17aにシールパッキン24が装着されていることにより、真空二重容器2の側面15と真空二重蓋3の側面との間が水密及び気密状態に保持され、真空二重容器2内部の内容物の水分が外部に漏洩することを防ぐ。
【0035】
以上のように、前記実施例では請求項1に対応して、上部に開口を有する金属製真空二重容器2と、該真空二重容器2を被覆する下部に開口を有する金属製真空二重蓋3からなり、該金属製真空二重蓋3の開口部端面28が前記金属製二重容器2の開口部端面9より下方で被覆することにより、金属製保温容器1の外形寸法に対して保温空間を大きくできるため、高い保温性を確保しつつ、容器1全体の全高を抑えることができる。また、内容器4の底の深さが大きくなることを防ぐことにより、保温容器1の内容物を食する際にあたっての利便性が向上する。
【0036】
また、前記実施例では請求項2に対応して、前記真空二重容器外壁15または前記真空二重蓋内壁25にシール部材24を配設することにより、金属製保温容器1内の保温効果の向上を図るとともに、内容物の水分の漏洩を防ぐ止水効果を向上させる。
【0037】
さらに、前記実施例では請求項3に対応して、樹脂製内容器4を前記真空二重容器2内に配設し、開口部フランジ部42の径W2を前記真空二重容器開口部の径W7と同等以上、かつ前記真空二重蓋内径W1よりも小径としたことにより、真空二重容器2の開口部9に樹脂製内容器4を載置させることが可能となり、内容器4の自重により内容器4の開口部フランジ42と真空二重容器2の上部開口部分9とを密着させて、金属製保温容器1の断熱性を向上させることが可能となる。
【0038】
また、前記実施例では請求項4に対応して、前記樹脂製内容器4の前記開口部フランジ部42を前記真空二重容器2に載置し、前記樹脂製内容器4を吊り下げて、前記樹脂製内容器4外面48,47と前記真空二重容器内面7,46を離間させ、密閉した第1の断熱空間層49を形成したことにより、保温容器1の断熱性、特に、保温容器1の真空二重容器2側の断熱性をさらに向上させることが可能となる。
【0039】
さらに、前記実施例では請求項5に対応して、前記樹脂製内容器4の開口部を被覆する前記樹脂製内容器蓋39の外縁44に前記真空二重蓋3内面を接して載置させ、前記樹脂製内容器蓋39外面と前記真空二重蓋3内面を離間させ、密閉した第2の断熱空間層50を形成したことにより、保温容器1の断熱性、特に、保温容器1の真空二重蓋3側の断熱性を向上させることが可能となる。
【0040】
尚、本実施例において、シール部材たるシールパッキン24を真空二重容器2側に装着しているが、真空二重容器2と真空二重蓋3との間に空気断熱層45が形成されるのであれば、真空二重蓋3側にシールパッキン24を配設しても構わないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施例を示す金属製保温容器の断面図である。
【図2】従来技術における金属製保温容器の断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 金属製保温容器
2 真空二重容器
3 真空二重蓋
4 内容器
9 容器側開口縁端(金属製二重容器の開口部端面)
15 真空二重容器外壁
24 シールパッキン(シール部材)
25 真空二重蓋内壁
42 内容器側フランジ部(開口部フランジ部)
44 蓋部材側フランジ部(樹脂製内容器蓋の外縁)
49 第1の空気断熱層(第1の断熱空間層)
50 第2の空気断熱層(第2の断熱空間層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口を有する金属製真空二重容器と、該真空二重容器を被覆する下部に開口を有する金属製真空二重蓋からなり、該金属製真空二重蓋の開口部端面が前記金属製真空二重容器の開口部端面より下方で被覆することを特徴とする金属製保温容器。
【請求項2】
前記真空二重容器外壁または前記真空二重蓋内壁にシール部材を配設することを特徴とする請求項1に記載の金属製保温容器。
【請求項3】
樹脂製内容器を前記真空二重容器内に配設し、前記樹脂製内容器に形成された開口部フランジ部径を前記真空二重容器開口部の径と同等以上、かつ前記真空二重蓋内径よりも小径としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属製保温容器。
【請求項4】
前記樹脂製内容器の前記開口部フランジ部を前記真空二重容器に載置し、前記樹脂製内容器を吊り下げて、前記樹脂製内容器外面と前記真空二重容器内面を離間させ、密閉した第1の断熱空間層を形成したことを特徴とする請求項3に記載の金属製保温容器。
【請求項5】
前記樹脂製内容器の開口部を被覆する前記樹脂製内容器蓋の外縁に前記真空二重蓋の内面を接して載置させ、前記樹脂製内容器蓋外面と前記真空二重蓋内面を離間させ、密閉した第2の断熱空間層を形成したことを特徴とする請求項3又は4に記載の金属製保温容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−237589(P2008−237589A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82863(P2007−82863)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(591261602)サーモス株式会社 (76)
【Fターム(参考)】