説明

金属酸化物含有多孔性ナノ繊維を用いたガスセンサー及びその製造方法

【課題】金属酸化物を含有した多孔性ナノ繊維を用いてガスセンサーを製造する方法及びこれによって製造されたガスセンサーを提供する。
【解決手段】(1)ポリマー前駆体と溶媒とを混合するステップと、(2)上記第1ステップの過程を通じて得られた混合物に金属酸化物を分散させるステップと、(3)上記第2ステップの過程を通じて得られた混合物を電気放射してナノ繊維を製造するステップと、(4)上記第3ステップの過程を通じて得られたナノ繊維を酸化させるステップと、(5)上記第4ステップの過程を通じて酸化されたナノ繊維を炭化させるステップと、(6)上記第5ステップの過程を通じて炭化されたナノ繊維を活性化させるステップと、(7)上記第6ステップの過程を通じて活性化されたナノ繊維をシリコンウエーハ電極の間に蒸着させてガスセンサーを製造するステップと、を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスセンサーに関し、より詳しくは、金属酸化物を含有した多孔性ナノ繊維を用いて常温でも非常に高い感度を有する信頼性のあるガスセンサーを製造する方法及び上記方法により製造されるガスセンサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスセンサーはガス分子の吸着によって電気伝導度が変化する特性を用いて有害ガスの量を測定する原理により作動される。ガスセンサーにたくさん使用されてきた物質には、SnOのような金属酸化物半導体、固体電解質物質、多様な有機物質、そしてカーボンブラック(carbon black)と有機物の複合体などがある。上記のような物質を用いて製造したガスセンサーは制限的に使われる等、種々の問題点を有している。即ち、金属酸化物半導体や固体電解質を用いて製造したガスセンサーの場合には、200乃至600℃またはその以上の温度で加熱しなければセンサーの動作が正常に行われず、有機物質を用いた場合には電気伝導度が非常に低く、カーボンブラックと有機物の複合体を用いた場合には、非常に低い感度(sensitivity)を有するという問題がある。また、上記物質を用いて製造した従来のガスセンサーは、感応時間が遅く、回復速度も非常に遅く、価格も高くいので、一般的な使用には適合しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前述した問題点を解決するために案出したものであって、電気放射を通じて金属酸化物を含有したナノ繊維を形成し、これをまた酸化、炭化、及び活性化させた後、シリコンウエーハ電極の間に蒸着させることによって、常温でも非常に高い感度を有するガスセンサー及びその製造方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述した目的を達成するために、本発明は金属酸化物を含有したナノ繊維を用いてガスセンサーを製造する方法を提供するが、本発明に従うガスセンサーの製造紡法は、
(1)ポリマー前駆体と溶媒とを混合するステップと、
(2)上記第1ステップの過程を通じて得られた混合物に金属酸化物を分散させるステップと、
(3)上記第2ステップの過程を通じて得られた混合物を電気放射してナノ繊維を製造するステップと、
(4)上記第3ステップの過程を通じて得られたナノ繊維を酸化させるステップと、
(5)上記第4ステップの過程を通じて酸化されたナノ繊維を炭化させるステップと、
(6)上記第5ステップの過程を通じて炭化されたナノ繊維を活性化させるステップと、
(7)上記第6ステップの過程を通じて活性化されたナノ繊維をシリコンウエーハ電極の間に蒸着させてガスセンサーを製造するステップと、を含んでなる。
【0005】
また、本発明は上記第7ステップの以後に、上記第7ステップの過程を通じて得られたガスセンサーを熱処理するステップをさらに含むことができる。上記熱処理は30乃至80℃の温度範囲で、0.1乃至1時間の間なされることが好ましい。
【0006】
上記第2ステップの過程を通じて得られる混合物の粘度は100乃至500cPであることが好ましい。
【0007】
上記第2ステップの上記第1ステップの過程を通じて得られた混合物に金属酸化物を分散させるステップで、上記混合物と金属酸化物との混合比は上記混合物100重量部を基準として2乃至10重量部であることが好ましい。上記のように一種の触媒役割をする金属酸化物を添加することによって、ナノ繊維の活性が増加して、敏感度が大きく、応答性の速いガスセンサーを製造できるようになる。
【0008】
上記第4ステップの酸化させる過程は、1乃至5℃/minの速度で昇温させ、最終的に200乃至300℃の温度範囲で2乃至5時間の間なされることが好ましい。
【0009】
上記第5ステップの炭化させる過程は、5乃至10℃/minの速度で昇温させ、最終的に800乃至1,200℃の温度範囲で、0.5乃至2時間の間なされることが好ましい。
【0010】
上記第6ステップの活性化させる過程は、水酸化カリウム溶液を加えてなされて、上記水酸化カリウム溶液の濃度は5乃至10M範囲であることが好ましい。
【0011】
上記第7ステップのガスセンサーを製造するステップは、分散溶液に上記第6ステップの過程を通じて得られたナノ繊維を分散させ、これをシリコンウエーハ電極の間に蒸着させなされて、上記分散溶液に分散されるナノ繊維は分散溶液100重量部を基準として0.1乃至3重量部であることが好ましい。
【0012】
また、本発明は上記の方法により製造されたガスセンサーを提供する。
【発明の効果】
【0013】
前述したような本発明による場合、電気放射を通じて金属酸化物を含有したナノ繊維を形成し、これをまた酸化、炭化、及び活性化させた後、シリコンウエーハ電極の間に蒸着させることによって、常温でも非常に高い感度を有する信頼性のあるガスセンサーを製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態により製造されたガスセンサーの模式図である。
【図2】ナノ繊維を製造するための電気放射装置の模式図である。
【図3】本発明の実施形態1及び比較例1により製造されたナノ繊維の気孔度を確認するための窒素吸着等温線である。
【図4】本発明の実施形態により製造されたガスセンサーの表面特性を調べるために撮影した走査電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)イメージである。
【図5】ガス感応特性を測定するための装置の概略図である。
【図6】本発明の実施形態2及び比較例2により製造されたガスセンサーのNOガスに対する感応特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、金属酸化物を含有したナノ繊維を用いて製造されたガスセンサー及びその製造方法を提供する。図1は、本発明の実施形態により製造されたガスセンサーの模式図である。図示したように、本発明に従うガスセンサーはシリコンウエーハ電極の間に金属酸化物を含有した多孔性ナノ繊維が均等に分布する形状を有する。
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
まず、本発明は金属酸化物を含有している多孔性ナノ繊維を用いてガスセンサーを製造する方法を提供するが、本発明に従うガスセンサーの製造方法は、
(1)ポリマー前駆体と溶媒とを混合するステップと、
(2)上記第1ステップの過程を通じて得られた混合物に金属酸化物を分散させるステップと、
(3)上記第2ステップの過程を通じて得られた混合物を電気放射してナノ繊維を製造するステップと、
(4)上記第3ステップの過程を通じて得られたナノ繊維を酸化させるステップと、
(5)上記第4ステップの過程を通じて酸化されたナノ繊維を炭化させるステップと、
(6)上記第5ステップの過程を通じて炭化されたナノ繊維を活性化させるステップと、
(7)上記第6ステップの過程を通じて活性化されたナノ繊維をシリコンウエーハ電極の間に蒸着させてガスセンサーを製造するステップと、を含んでなる。
【0018】
上記第1ステップで使われるポリマー前駆体は、炭素に変換可能な材料であればいずれを使用してもよい。具体的な例を挙げれば、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリロニトリル、ポリアラミド、ポリアニリン、メゾフェースピッチ、フルフリルアルコール、フェノール、セルロース、スクローズ、ポリビニルクロライド、及びこれらの混合物から構成される群から選択できる。
【0019】
上記第1ステップで使われる溶媒は、上記ポリマー前駆体を溶解させるものであれば、いずれを使用してもよいし、例えば、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、N−メチルピロリドンテトラハイドロフラン、硫酸、窒酸、アセト酸、塩酸、アンモニア、蒸留水、及びこれらの混合物から構成される群から選択できる。
【0020】
上記第2ステップで使われる金属酸化物には特別な制限がないし、一般的に知られた金属酸化物が全て使用可能である。
【0021】
上記第2ステップの過程を通じて得られる混合物の粘度は、100乃至500cPであることが好ましい。第2ステップの過程を通じて得られた混合物は、次のステップで、図2に模式図を表した電気放射装置を用いて電気放射を行うようになる。図示した電気放射装置は一般的に使われるものであって、その動作を簡略に説明すると、次の通りである。図2に示すように、電気放射装置は、定量ポンプ1、電圧発生装置2、集束器3、及び放射器4を含んでなる。まず、定量ポンプ1を通じて溶液が放射器4に注入され、放射器4を通じて放射された溶液は回転する集束器3により集束される。電圧発生装置2は必要とされる電圧を印加するようになる。即ち、上記第2ステップを通じて得られた混合物は放射器を通じて放射されるが、混合物の粘度が500cPを超過する場合には高分子相互間の凝集力によって放射器のノズルが塞がって円滑な放射がなされないという問題が発生することがある。また、混合物の粘度が100cP未満の場合には、粘度が低過ぎて一定の形状を有することができないという問題点があるので好ましくない。
【0022】
上記第2ステップの上記第1ステップの過程を通じて得られた混合物に金属酸化物を分散させるステップで、上記混合物と金属酸化物との混合比は、上記混合物100重量部を基準として金属酸化物2乃至10重量部が混合されることが好ましい。金属酸化物の混合比が2重量部未満の場合には、製造されたナノ繊維の活性が金属酸化物を混合しない場合と特別な差がないので好ましくないし、金属酸化物が10重量部を超過する場合には、上記第1ステップの過程を通じて得られた混合物に金属酸化物を分散することが困難であるので好ましくない。
【0023】
上記第3ステップでなされる混合物を電気放射してナノ繊維を製造することは、図2に模式図として表したような装置を用いて通常の電気放射法によりなされる。
【0024】
上記第4ステップの酸化させる過程は、1乃至5℃/minの速度で昇温させ、最終的に200乃至300℃の温度範囲で2乃至5時間の間なされることが好ましい。上記酸化させる過程で、昇温速度を1℃/minより遅くする場合には、遅い反応速度によって酸素と炭素が反応して起こる環化反応が円滑になされないようになり、また繊維歩留まりを落とすようになる。昇温速度を5℃/minより速くする場合には、速い反応速度によって繊維形成が不安定になされて、次のステップの炭化時にナノ繊維が溶けるか、遊離転移されて繊維形態を維持できなくなる。最終的に、酸化させる温度が200℃未満の場合には、酸化反応が不完全になされて、次のステップの炭化時にナノ繊維が溶けるか、遊離転移されて繊維形態を維持することができず、炭素原子の間の縮合反応も円滑になされなくなる。酸化させる温度が300℃を超過する場合には、高い酸化温度によって速い速度の反応が誘発され、これによって過酸素状態の炭素−酸素結合反応により環化反応が円滑になされない。酸化させる時間が2時間未満の場合には、上記最終的に酸化させる温度が200℃未満の場合と同一な現象が発生し、酸化させる時間が5時間を超過する場合には、酸化させる時間が5時間の場合と異なる点がないし、不要な反応が起こるようになる。
【0025】
上記第5ステップの炭化させる過程は、5乃至10℃/minの速度で昇温させ、最終的に800乃至1,200℃の温度範囲で、0.5乃至2時間の間なされることが好ましい。上記炭化させる過程を5℃/minより遅く昇温させて進行する場合と、1,200℃を超過する高い温度で進行する場合には、反応時間が長くなると共に、エネルギー消耗が多くなる短所がある。昇温速度を10℃/minより速くする場合には、揮発がたくさん起こる問題点があるので、ナノ繊維の歩留まりが低くなる。また、800℃未満の温度で炭化させる場合には、炭化が完全になされない可能性があるので好ましくない。炭化させる時間が0.5時間未満の場合には炭化が十分になされないようになり、炭化させる時間が5時間を超過する場合には5時間の場合と異なる点がないし、不要な反応が発生するようになって好ましくない。
【0026】
上記第6ステップの活性化させる過程は、水酸化カリウム溶液を加えてなされて、上記水酸化カリウム溶液の濃度は5乃至10M範囲であることが好ましい。水酸化カリウム溶液の濃度が5M未満の場合には活性化が十分になされず、10Mを超過する場合には10Mの場合と大差がないので実益がない。
【0027】
上記第7ステップのガスセンサーを製造するステップは、分散溶液に上記第6ステップの過程を通じて得られたナノ繊維を分散させ、これをシリコンウエーハ電極の間に蒸着させてなされる。上記分散溶液には多様な溶液が選択されることができ、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択できる。上記分散溶液に分散されるナノ繊維の割合は、分散溶液100重量部を基準として0.1乃至3重量部であることが好ましい。ナノ繊維の割合が0.1重量部未満の場合にはシリコンウエーハ電極の間にナノ繊維が均一に分布しない虞があり、3重量部を超過する場合には分散が困難であることがあるので好ましくない。ガスセンサーを製造する本ステップの一例をさらに説明すれば、下記の通りである。上記第6ステップの過程を通じて得られたナノ繊維を細かくグラインディングして意図する割合の分散溶液に均等に分散させる。次に、ナノ繊維が分散された溶液をワイヤ連結部分にパラフィルムなどが付着されたシリコンウエーハの上に蒸着させるようになる。蒸着は、真空蒸着法、スピンコーティング法、スプレー噴射法等、多様な方法によりなされることができる。
【0028】
また、本発明は上記第7ステップの以後に、上記第7ステップの過程を通じて得られたガスセンサーを熱処理するステップをさらに含むことができる。上記熱処理は30乃至80℃の温度範囲で0.1乃至1時間の間なされることが好ましい。上記熱処理温度が30℃未満の場合には分散溶液が容易に蒸発されない虞があり、80℃を超過する場合にはワイヤ連結部分などを保護するために使われたパラフィルムなどが溶ける等の問題が発生することがあるので好ましくない。また、熱処理時間が0.1時間未満の場合には分散溶液が容易に蒸発されない虞があり、1時間を超過する場合には1時間の場合と大差がない。
【0029】
また、本発明は上記方法により製造されたガスセンサーを提供する。
【0030】
以下、実施形態により本発明をより詳細に説明する。
【0031】
実施形態1:金属酸化物(酸化亜鉛)を含有した多孔性ナノ繊維の製造
ポリアクリロニトリルをジメチルホルムアミドに溶解させて混合液を製造し、上記混合液に上記混合液100重量部を基準として6.7重量部の酸化亜鉛(ZnO)を分散させた。上記過程により製造された酸化亜鉛が分散された混合液の粘度は160cPに合せた。
【0032】
上記混合液を電気放射してナノ繊維を製造した。電気放射条件は、電圧17kV、集束器と走査器チップとの距離(TCD)12cm、ポンプ流速2.0ml/h、集束器回転速度200rpmであった。
【0033】
上記のように電気放射を通じて製造されたナノ繊維を2℃/minの速度で昇温させて最終的に250℃で3時間の間酸化させた。
【0034】
上記酸化過程を経たナノ繊維を7℃/minの速度で昇温させて最終的に1,050℃で1時間の間炭化した。炭化時に不活性気体として窒素ガスを20cc/minの速度で注入した。
【0035】
上記のように炭化過程を経たナノ繊維を8Mの水酸化カリウム溶液に浸して1時間の間シェーキングした後、活性化させた。活性化は750℃で3時間の間行われた。
【0036】
比較例1:ナノ繊維の製造
ポリアクリロニトリルを粘度が160cPになるまでジメチルホルムアミドに溶解して混合液を製造した。以下の過程は上記実施形態1と同様にしてナノ繊維を製造した。
【0037】
比表面積特性分析
上記実施形態1及び比較例1に従うナノ繊維の比表面積特性を分析して、その結果を図3に表した。本実施形態1によるナノ繊維は、1,305m/gの比表面積を有しており、その中で、微細気孔(micropore)による表面積は全体比表面積対比62%であった。比較例1によるナノ繊維は、1,741m/gの比表面積を有しており、その中で、微細気孔(micropore)による表面積は全体比表面積対比各々64%であった。即ち、本実施形態によるナノ繊維は比較例と比較した時、全体比表面積は約25%、微細気孔による表面積は3%が減少したことが分かった。
【0038】
実施形態2:金属酸化物(酸化亜鉛)含有多孔性ナノ繊維を用いたガスセンサーの製造
上記実施形態1により製造されたナノ繊維を乳鉢に細かく粉砕してジメチルホルムアミドに分散させた。分散は、ジメチルホルムアミド100重量部を基準としてナノ繊維2重量部の割合で行った。
【0039】
上記過程を経て形成された混合液をシリコンウエーハの上に落として、900rpmの回転速度で4分間スピンコーティングしてガスセンサーを製造した。
【0040】
最終的に、上記過程を経て製造されたナノ繊維が蒸着されたガスセンサーをホットプレートの上に載置し、40℃で0.5時間の間熱処理した。
【0041】
比較例2:ナノ繊維を用いたガスセンサーの製造
上記比較例1により製造されたナノ繊維を乳鉢に細かく粉砕してジメチルホルムアミドに分散させた。分散は、ジメチルホルムアミド100重量部を基準としてナノ繊維2重量部の割合で行ったし、以下の過程は上記実施形態2と同様にしてガスセンサーを製造した。
【0042】
表面特性
上記実施形態2により製造されたガスセンサーの表面特性を調べるために走査電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)イメージを撮影して図4に示した。図面に示すように、酸化亜鉛を含有した多孔性ナノ繊維がシリコンウエーハの上に均等に蒸着されたことを確認することができた。
【0043】
ガス感応特性
次に、上記実施形態2及び比較例2により製造されたガスセンサーのガス感応特性を測定し、これを評価した。ガス感応特性を評価するための装置の模式図を図5に示した。ガス感応特性を評価する前に、各々80℃で0.5時間の間水分を蒸発させるための前処理を行った。ガス感応特性は、図5に図示した装置を用いて25℃の温度(常温)でNOガスを50ppmの濃度で注入して測定したし、測定された結果値を図6に表した。図示したように、実施形態2によるNOガスの感応特性に従うガスセンサーの敏感度を表す抵抗変化率は約−13.5%で、比較例2によるNOガスの感応特性に従うガスセンサーの敏感度を表す抵抗変化率は約−9%であった。
【0044】
図6に図示されたグラフのX軸は測定時間を表し、Y軸は抵抗変化率を表すが、図示したように、実施形態2によるガスセンサーはNガス雰囲気で抵抗が安定化するには約4.5乃至5分がかかり、50ppmのNOガスに対して抵抗変化率が限界値に到達するには約4.5乃至5分がかかる。一方、比較例2によるガスセンサーはNガス雰囲気で抵抗が安定化するには約5乃至6分がかかり、50ppmのNOガスに対して抵抗変化率が限界値に到達するには約6乃至7分がかかることが分かる。
【0045】
本発明の実施形態によるガスセンサーは、比較例によるガスセンサーに比べて比表面積が小さくにもかかわらず、常温でより高い抵抗変化率とより短い応答時間を表すことが分かる。これは、本発明の実施形態により製造されたガスセンサーに含まれた金属酸化物が一種の触媒役割をしてナノ繊維の活性を増加させることによることと判断される。
【0046】
これから本発明によるガスセンサーは常温で応答時間が短く、かつ高い抵抗変化率を見せることを確認することができた。即ち、本発明によるガスセンサーは常温で高い感度を有することを確認することができた。
【0047】
本発明は、前述した実施形態と添付の図面を参照して説明されたが、本発明の概念及び範囲内で相異する実施形態を構成することもできる。したがって、本発明の範囲は添付の請求範囲及びこれの均等物により定まり、本明細書に記載された特定の実施形態により限定されるのではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ポリマー前駆体と溶媒とを混合するステップと、
(2)前記第1ステップの過程を通じて得られた混合物に金属酸化物を分散させるステップと、
(3)前記第2ステップの過程を通じて得られた混合物を電気放射してナノ繊維を製造するステップと、
(4)前記第3ステップの過程を通じて得られたナノ繊維を酸化させるステップと、
(5)前記第4ステップの過程を通じて酸化されたナノ繊維を炭化させるステップと、
(6)前記第5ステップの過程を通じて炭化されたナノ繊維を活性化させるステップと、
(7)前記第6ステップの過程を通じて活性化されたナノ繊維をシリコンウエーハ電極の間に蒸着させてガスセンサーを製造するステップと、
を含んでなることを特徴とする、ナノ繊維を用いたガスセンサーの製造方法。
【請求項2】
前記第7ステップの以後に前記第7ステップの過程を通じて得られたガスセンサーを熱処理するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のナノ繊維を用いたガスセンサーの製造方法。
【請求項3】
前記第2ステップの過程を通じて得られる混合物の粘度は、100乃至500cP範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のナノ繊維を用いたガスセンサーの製造方法。
【請求項4】
前記第2ステップの前記第1ステップの過程を通じて得られた混合物に金属酸化物を分散させるステップで、前記混合物と金属酸化物との混合比は、前記混合物100重量部を基準として金属酸化物2乃至10重量部であることを特徴とする、請求項1に記載のナノ繊維を用いたガスセンサーの製造方法。
【請求項5】
前記第4ステップの酸化させる過程は、1乃至5℃/minの速度で昇温させ、最終的に200乃至300℃の温度範囲で2乃至5時間の間なされることを特徴とする、請求項1に記載のナノ繊維を用いたガスセンサーの製造方法。
【請求項6】
前記第5ステップの炭化させる過程は、5乃至10℃/minの速度で昇温させ、最終的に800乃至1,200℃の温度範囲で、0.5乃至2時間の間なされることを特徴とする、請求項1に記載のナノ繊維を用いたガスセンサーの製造方法。
【請求項7】
前記第6ステップの活性化させる過程は、水酸化カリウム溶液を加えてなされることを特徴とする、請求項1に記載のナノ繊維を用いたガスセンサーの製造方法。
【請求項8】
前記水酸化カリウム溶液の濃度は、5乃至10M範囲であることを特徴とする、請求項7に記載のナノ繊維を用いたガスセンサーの製造方法。
【請求項9】
前記第7ステップのガスセンサーを製造するステップは、分散溶液に前記第6ステップの過程を通じて得られたナノ繊維を分散させ、これをシリコンウエーハ電極の間に蒸着させてなされることを特徴とする、請求項1に記載のナノ繊維を用いたガスセンサーの製造方法。
【請求項10】
前記分散溶液は、エタノール、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載のナノ繊維を用いたガスセンサーの製造方法。
【請求項11】
前記分散溶液に分散されるナノ繊維の割合は、分散溶液100重量部を基準として0.1乃至3重量部であることを特徴とする、請求項9に記載のナノ繊維を用いたガスセンサーの製造方法。
【請求項12】
前記熱処理は、30乃至80℃の温度範囲で0.1乃至1時間の間なされることを特徴とする、請求項2に記載のナノ繊維を用いたガスセンサーの製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のうち、いずれか1つの方法により製造されたことを特徴とする、ガスセンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−128154(P2011−128154A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279523(P2010−279523)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(510330563)チュンナム ナショナル ユニバーシティ インダストリー コラボレーション ファウンデーション (3)
【Fターム(参考)】