説明

金属酸化物含有微細材料から高炉装入原料用凝集物を製造する方法

本発明は、金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料と、鉱物原材料及び石灰系材料を含む鉱物結合剤と、場合により他の添加剤とを混合して塊を形成する工程、そして、前記塊を固化させて凝集物を形成する工程によって、高炉装入原料として用いられる凝集物を製造する方法であって、
前記鉱物原材料として、酸化ケイ素の割合が少なくとも40重量%であり、4μm未満の微細粒子の割合が少なくとも20重量%であり、1μm未満の粒度の割合が少なくとも10重量%である原材料を用いる前記方法に関する。本発明は、更に、本発明に係る方法によって製造することができる高炉装入原料、及び前記高炉装入原料を製造するためのプレミックスにも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料(Feingut)と、鉱物結合剤とを含む凝集物(Agglomerats)を製造する方法に関する。本発明は、本発明に係る方法によって製造することができる高炉装入原料と、前記高炉装入原料を製造するためのプレミックスとにも関する。
【0002】
高炉装入原料の製造では、塊鉱石の他に、微細粒子状の鉄鉱石を含有する物質を用いることが公知である。微細粒子状の鉄鉱石を含有する物質は、例えば、塊鉱石の篩分けの際に又は他の製造方法から生じる。これらの微細粒子状の鉄鉱石の使用は、これらの鉱石が入手容易でありかつコスト効果があるという利点を有している。微細粒子状の鉱石は、通常、使用前に凝集化される。このようにして、高炉内のダストの形成を低く維持することができる。凝集化は、形成された凝集物が容易に溶融されることができかつ良好なガス透過性を有するという利点も有している。従って、大きな力をかけずに鉱石を通じて還元ガスを引くことができる。最終的に、凝集物を用いることによって、火格子から落ちる材料の量を低減することができる。
【0003】
微細粒子状鉱石の凝集化の一般的な形態はペレット化である。しかしながら、炉(例えば、高炉)においてペレットを用いることに問題がないわけではなく、それはペレットが充分な機械的強度を有していないことが多いからである。このことは、特に、ペレットの輸送及び取扱いの間に不都合な影響を及ぼす。更に、公知のペレットは、高炉において生じるように、熱還元ガスに対して充分には透過性でないことが多く、このことはこれらのペレットの溶融を更に困難にしている。
【0004】
即時には使用することができない微細鉱石(Feinerzen)を処理する更に一般的な形態は焼結である。このように、その粒度及び特性のためにそれだけでは凝集化することが困難な微細鉱石も用いることができる。即時に使用することができずかつ凝集化することが難しい微細鉱石は、典型的には2mmまでの平均粒径、より典型的には0.2〜0.7mm、特に、0.2mm〜0.5mmの平均粒径(中間粒度;Zwischenkorngroessen)を有する。結合剤として、石灰系の製品が通常用いられる。石灰系の製品は、微細鉱石の凝集力を高める。それにもかかわらず、凝集化することが難しい微細鉱石の部分は限定的に残るが、それはこれらの粒度のより高い割合が焼結製品の凝集力を弱め、そして焼結ベルトから多量のダスト排出を惹起することもあるからである。更に、中間粒度の高い割合は焼結製品のガス透過性を損ない、そして焼結処理の間に高い割合の返鉱(Rueckgut)を生ずる。
【0005】
しかしながら、焼結段階で中間粒度を高い割合で用いることが望ましく、それは中間粒度を含む鉱石は特に入手が容易でありかつコスト効果があるからである。微細鉱石において中間粒度の量を増やすために、従来技術においては、結合剤として粘土鉱物含有製品と一緒に石灰系の製品を用いることが提案されている。このように、公開された出願第1029568号には、焼結前に、結合剤としてベントナイト又は別の粘土を用いて凝集化することによって、焼結すべき鉱石を格子(Rosten)上で前処理する方法が記載されている。凝集化後に、生成物へ石灰含有粉末を添加する。しかしながら、この方法によっても、出発材料中の中間粒度の割合は最大で30重量%に限定される。
【0006】
酸化ケイ素の割合が少なくとも60重量%、好ましくは、75重量%であり、凝集物の2μm未満の最も微細な粒子の割合が少なくとも40重量%である鉱物充填剤を含む、オートクレーブ硬化性の(autoklavgehaerteten)建築材料用凝集物が、EP1359129A2から公知である。
【0007】
本発明の目的は、高炉装入原料として用いることができる凝集物であって、それによって従来技術の前記問題を克服することができる前記凝集物の製造方法を提供することである。
【0008】
特に、高い割合の中間粒度を有する微細鉱石を用いることができ、そして、それにもかかわらず高い凝集力及び良好なガス透過性を有する焼結製品を得ることができる方法を提供する。更に、前記焼結製品は低いダスト排出量を有する。最終的に、焼結処理の間に得られる返鉱は低い割合となる。
【0009】
更に、高い割合の中間粒度を有する微細鉱石を用いることができ、そして、それにもかかわらず高い機械的強度を有するペレットを得ることができる方法が提供される。
【0010】
この目的は、本発明によると、金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料と、鉱物原材料及び石灰系材料を含む鉱物結合剤と、場合により通常の添加剤とを混合して塊を形成する工程、並びに、前記塊を固化させて(Verfestigen)凝集物を形成する工程によって、高炉装入原料として用いられる凝集物を製造する方法であって、
前記鉱物原材料として、酸化ケイ素の割合が少なくとも40重量%であり、4μm未満の最も微細な粒子の割合が少なくとも20重量%であり、そして、1μm未満の粒度の割合が少なくとも10重量%である原材料を用いる、前記方法によって達成される。
【0011】
意外なことに、上記した種類の凝集物を製造する場合に、酸化ケイ素の割合が少なくとも40重量%であり、4μm未満の最も微細な粒子の割合が少なくとも20重量%であり、1μm未満の粒度の割合が少なくとも10重量%である鉱物原材料と一緒に、結合剤として石灰系材料を用いた場合に、意外なほど高い割合の中間粒度を有する金属及び/又は金属酸化物含有微細材料を用いることができることが見出された。
【0012】
本発明に係る方法を用いれば、高い割合の中間粒度を有する微細鉱石を用いることができ、そして、それにもかかわらず、高い凝集力及び良好なガス透過性を有する焼結製品を得ることができる。更に、低いダスト排出量を有する焼結製品を得ることができ、前記焼結製品が有する返鉱も低い割合となる。本発明に係る方法の更なる利点は、焼結処理を優れた動態(Kinetik)で実施できることである。
【0013】
本発明によれば、用語「中間粒度を含む鉱石」は、平均粒径1mm未満、好ましくは、0.05mm〜1mm、より好ましくは、0.2〜0.7mm、特に、0.1〜0.5mmを有する金属及び/又は金属酸化物含有微細材料を意味する。
【0014】
本発明に係る方法を用いて焼結製品の形態の凝集物を製造しようとする場合、本発明によると、中間粒度の割合が30重量%を超える鉱石を有する微細材料を用いることができ、そして、それにもかかわらず、優れた凝集力を有する焼結製品を得ることができる。
【0015】
本発明に係る方法を用いてペレットの形態の凝集物を製造しようとする場合、本発明によると、中間粒度の割合が30重量%を超える鉱石を有する微細材料を用いることができ、そして、それにもかかわらず高い機械的強度を有するペレットを得ることができる。
【0016】
本発明の方法における重要な方法的手段は、結合剤として鉱物原材料と一緒に石灰系材料を用いることである。
【0017】
鉱物原材料として、基本的には、酸化ケイ素の割合が少なくとも40重量%であり、4μm未満の最も微細な粒子の割合が少なくとも20重量%であり、そして、1μm未満の粒度の割合が少なくとも10重量%である種々の物質を用いることができる。
【0018】
粘土鉱物含有原材料を用いた場合、本発明に係る方法では、中間粒度の割合を特に高めることができ、そして、それにもかかわらず、高い凝集力を有する焼結製品及び/又は良好な機械的強度を有するペレットを得ることができることが実用試験で示された。
【0019】
酸化ケイ素の割合が少なくとも60重量%、好ましくは、少なくとも75重量%であり、2μm未満の最も微細な粒子の割合が少なくとも40重量%であり、そして、0.5μm未満の粒度の割合が少なくとも25重量%である鉱物原材料を用いることによって、優れた結果が達成される。
【0020】
粘土鉱物含有原材料、好ましくは、2層及び/又は3層の粘土鉱物を含有する非焼成の原材料を用いることが特に有利であることが分かった。
【0021】
微細石英少なくとも60重量%と、カオリナイト20〜40重量%と、場合により二次雲母(untergeordneten Glimmern)とからなるショートクレイ(Magerton)を含む粘土鉱物を含有する原材料を用いることが特に有利であることがわかった。
【0022】
70〜90重量%、好ましくは、約83重量%の酸化ケイ素、5〜20重量%、好ましくは、約13重量%の酸化アルミニウム、0.2〜1.5重量%、好ましくは、約0.7重量%のFe、及び0.1〜1重量%、好ましくは、約0.4重量%の酸化カリウムを含む鉱物原材料が格別に適している。鉱物結合剤としてCalexor(商標)Q HPを用いることが特に適している。
【0023】
或る場合には、実質的に連続的な粒度分布を有する鉱物原材料を用いることが好都合である。
【0024】
本発明に係る方法の第一工程において、金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料と鉱物結合剤とを一緒に混合する。微細材料と結合剤との混合は当業者に公知の種々の方法によって実施することができる。混合ユニット内で微細材料と結合剤とを混合することが特に容易である。
【0025】
金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料と鉱物結合剤との混合比は、広範囲に変化することができ、用いられる微細材料及び結合剤の性質及び粒度構成に応じて有利に適合される。通常、金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料対鉱物結合剤の比が5:1〜1000:1、好ましくは、10:1〜100:1の場合に、特に良好な強度特性を有する凝集物を得られることが実用試験で示された。
【0026】
場合によっては、微細材料及び結合剤を含む塊が所定の塊湿分(Massefeuchte)を有している場合に、凝集物形成をより容易に行うことができることが明らかとなっている。微細材料及び結合剤の固有の湿分に応じて、水を引き出すか又は添加することによって塊湿分を調整することができる。種々の要因、例えば、用いられる微細材料及び結合剤の組成及び粒度分布に応じて、塊湿分レベルを好都合に調整することができる。更に重要な要因は、凝集化の実施方法である。通常、2〜20重量%、好ましくは、4〜10重量%の範囲内の塊湿分が良好な結果を達成する。
【0027】
金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料として、最も多種多様な微細材料を用いることができる。本発明によれば、用語「金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料」とは粉状から微細粒子状の材料を意味する。これらは、好ましくは、平均粒度0.01〜10mmを有している。平均粒度0.05〜3mm、特に、0.1〜2mmを有する材料を用いることが特に適当であることが分かっている。微細材料の50重量%までの粒度が、0.1〜2mmの粒度範囲内に入ることが好ましい。
【0028】
金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料として、微細鉱石、特に微細鉄鉱石、点火材料(Zundermaterial)、特に、ミルスケール、炉頂粉塵(Gichtstaeuben)、焼結処理からの返鉱、金属の研磨屑及び/又は金属のヤスリ屑を用いることが特に好都合である。
【0029】
本発明によれば、結合剤は石灰系材料を含む。本発明に係る特に適切な石灰系材料は、石灰、石灰石、生石灰、消石灰(geloeschter Kalk)、水和石灰(Kalkhydrat)、ドロマイト、ドロマイト石灰、ドロマイト生石灰、ドロマイト水和石灰及びそれらの混合物である。
【0030】
或る場合には、結合剤に加えて、追加の固化材料(Verfestigungsstoffe)、好ましくは、無機増粘剤、特に、水ガラス、糖溶液、クロム酸アルミニウム及び/又はリン酸アルミニウムを添加することが有利であることが分かっている。このようにして、凝集物の強度を更に高めることができる。
【0031】
追加の固化材料の量は、達成すべき固化の程度に依存している。通常、微細材料と結合剤との混合物に対して追加の固化材料0.3〜1.5重量%を添加することにより良好な結果が得られる。
【0032】
硬化温度を低下させるために、前記混合物に充填添加剤(Versatzzusaetze)、例えば、低融点の珪質材料、特に、ガラス粉末及び/又はフォノライトなどを添加することもできる。
【0033】
微細材料についての本発明の特に好ましい実施態様によれば、焼結原材料(Sinter Feed)との混合物中に中間粒度を含む鉱石を用いる。特に好ましくは、微細材料中の中間粒度を含む鉱石の割合は、それぞれの場合に微細材料の総量に対して、30重量%より多く、好ましくは、50重量%より多く、より好ましくは、70重量%より多く、そして特に、90重量%より多い。
【0034】
焼結処理によって製造された凝集物は高炉に用いるのに特に適していることがわかっている。従って、焼結製品の製造は本発明の特に好ましい実施態様を構成する。焼結の利点は、特に、凝集物を予備還元することができ、そして、高炉における点火のロスを回避できることである。
【0035】
焼結処理の過程は当業者に周知であり、そして、例えば以下の形態を取ることができる。最初に、微細鉱石、循環材料、燃料(特に、コークブリーズ)、鉱物結合剤及びシンタースクリーニング(Sintereigenabsiebung)を含む混合物を作る。この混合物を水と混合して、焼結ベルト上で層にする。混合物中に含まれる燃料は、例えば、天然ガス及び/又は上部ガス炎(Gichtgasflammen)によって点火される。焼結ベルトの下に配置された誘引通風機は混合物を通して燃焼物の前面を引くので、焼結ケーキはベルトの排出末端に到達するときは充分に溶かされている。この過程で生成される熱は微細鉱石をその表面において溶融するので、粒子は堅固に結合される。焼結ケーキを冷却して破砕した後に分級する。いわゆる火格子被覆物(Rostbelag)及び焼結返鉱は焼結プラント内に残ることがある。次いで、仕上げされた焼結製品を高炉内に装入する。
【0036】
本発明の特に好ましい実施態様によれば、塊を固化させて凝集物を形成する工程は焼結処理によって実施される。この目的に対して、好ましくは、微細材料及び鉱物結合剤を含む混合物を、水、通常の高炉循環材料(好ましくは、取鍋残留物(Pfannenausbruch)及び/又はスラグ)、燃料(好ましくは、コークブリーズ)と混合し、そして場合により密にする。次いで、このようにして得られた混合物を、前記混合物の溶融温度未満である温度の熱処理に付して、焼結ケーキの形成をもたらす。この焼結ケーキを破砕することによって、本発明に係る凝集物を得ることができる。
【0037】
個々の粒子が少なくとも最小の凝集力を備えるように、焼結の際の出発材料を選択することが好都合であることが、実用試験により示されている。この理由から、本発明に従って用いられる微細材料が、粒度2mm未満の割合を、好ましくは、粒度0.05mm〜1mmの割合を、少なくとも30重量%の量で含んでいることが好ましい。
【0038】
焼結において重要な処理工程は、出発材料の熱処理である。これは微細材料と結合剤との塊を硬化する。好ましくは、硬化は、ガラス相及び場合により結晶相(特に、ムライト相)を含む珪質焼結マトリックスの形成を伴う焼結処理に基づく。珪質焼結マトリックスは、好ましくは、結晶粒子が蓄えられるガラス状マトリックスである。これについて、一次ムライト(Primaermullit)の場合が好ましい。
【0039】
好ましくは、温度800〜1200℃の熱処理によって硬化処理を行う。保持時間は、好ましくは、90分間未満の範囲内で変動する。このようにして、鉱物原材料は溶融相を形成して、好ましくは、金属又は金属酸化物を含有する微細材料が埋め込まれた結晶質部分(特に、粒状ムライト又は一次ムライト)を有するガラス状硬化焼結マトリックスを生じることができる。高い多孔性の焼結製品が望ましい場合には、より高い含水量を有する塊を焼結処理に付すことにより簡単な方法でこれをもたらすことができる。
【0040】
本発明の方法を用いて製造された焼結物は、高炉装入原料として用いるのに非常によく適している。
【0041】
本発明に係る方法により製造された凝集物を、ペレット、ブリケット及び/又は顆粒の形態で用いても良好な結果が達成される。
【0042】
ペレットの製造について、微細材料と結合剤との混合物を、水及び通常のペレット化集合体(Pelletisierungszuschlagstoffen)と混合することができ、得られた混合物を未焼結ペレットに形成し、そして、この未焼結ペレットを燃焼処理によって硬化する。
【0043】
ペレットの硬化は水圧により(hydraulische)実施することもできる。本発明の好ましい実施態様において、微細材料、結合剤及び水の混合物に、水圧固化材料(hydraulischer Verfestigungsstoff)も添加し、得られた混合物を未焼結ペレットに形成し、そして、この未焼結ペレットを硬化する。もちろん、焼結製品の製造に水圧固化材料も用いることができる。
【0044】
水圧結合剤(hydraulisches Bindemittel)として、セメント、特に、ポルトランドセメント、ポルトランドセメントクリンカー、酸化アルミニウムセメント、酸化アルミニウムセメントクリンカー、高炉スラグとの混合セメント、フライアッシュとの混合セメント、ボラゾン及び/又はベントナイトとの混合セメントを用いる。水圧結合剤と一緒に種々の添加剤も混合することができる。
【0045】
水圧結合剤を用いることにおける利点は、未焼結ペレットの燃焼を省略することができることである。このようにして、高炉装入原料の製造コストを低減することができ、そして、燃焼処理の間の有害ガス、例えば、SO及びNOなどの放出を回避することができる。
【0046】
当業者に公知の方法により、シャフト炉、移動火格子炉又は移動火格子/回転炉においてペレットの製造を行うことができる。
【0047】
ペレットが、特に湿った状態で、一緒に粘着するのを防止するために、硬化前にペレットにコーティングを施すことができる。適切なコーティング材料は、好ましくは、無機物質、例えば、鉄鉱石粉である。コーティングの厚さは、好ましくは、0.5mm以下である。
【0048】
塊中の水の存在はペレット形成を容易にする。しかしながら、塊の湿分は高すぎるべきでなく、そうでないとペレットの表面が湿って粘着性を帯びるようになるからである。湿って粘着性を帯びたペレットは、特に、不充分な強度を有しペレット自体の重量の下に崩壊する傾向を示すことが多く、その結果としてペレットのガス透過性が低下する。
【0049】
ペレットの大きさは広範囲に変化することができる。直径1〜20mm、好ましくは、3〜10mmを有するペレットは、高炉処理に特に適切であることがわかっている。
【0050】
本発明は、更に、本発明に係る方法を用いて製造することができる高炉装入原料に関する。
【0051】
唯一の金属及び/又は金属酸化物を含有する材料として、高炉装入原料を高炉に装入することができる。本発明によれば、高炉装入原料を、更なる金属及び/又は金属酸化物を含有する材料と一緒に高炉に装入することが好ましい。本発明に係る高炉装入原料が高炉運転に対する鉄担体の総量の30〜80重量%、好ましくは、40〜70重量%、そして特に、55〜65重量%の割合を占めることが特に好都合である。
【0052】
本発明の更なる主題は、金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料と、鉱物原材料及び石灰系材料を含む鉱物結合剤とを含有する、本発明に係る高炉装入原料を製造するためのプレミックスであって、前記金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料が、それぞれの場合において、前記微細材料の総量に対して30重量%より多い割合の平均粒径1mm未満、好ましくは、0.05mm〜0.9mm、そして特に、0.1mm〜0.5mmを有する微細材料を有する前記プレミックスである。
【0053】
鉱物原材料として、好ましくは、本発明に係る方法に関して記載した原材料を用いる。
【0054】
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明によるプレミックスにおける、平均粒径1mm未満、好ましくは0.05mm〜0.9mm、そして特に、0.1〜0.5mmを有する微細材料の割合は、それぞれの場合に微細材料の総量に対して、50重量%より多く、好ましくは、70重量%〜100重量%、より好ましくは、80重量%〜100重量%、そして特に、90重量%〜100重量%である。
【0055】
本発明の更に好ましい実施態様によれば、本発明によるプレミックスにおける、平均粒径1mm超、好ましくは、1mm超〜3mm、そして特に、1mm超〜2mmを有する微細材料の割合は、それぞれの場合に微細材料の総量に対して、50重量%未満、好ましくは、0〜30重量%、より好ましくは、0〜20重量%、そして特に、0〜10重量%である。
【0056】
本発明の更に好ましい実施態様によれば、前記プレミックスは、50〜99重量%、好ましくは、60〜90重量%、特に、70〜85重量%の金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料と、1〜20重量%、好ましくは、1〜15重量%の通常の添加剤及び鉱物結合剤を含む。
【0057】
好ましくは、前記プレミックス中の鉱物結合剤の割合は15重量%を超えるべきではない。このようにして、高炉において生ずるスラグの量を低く保つことができる。
【0058】
本発明の更に好ましい実施態様によれば、鉱物結合剤は、30〜98重量%の石灰系材料と、2〜70重量%、好ましくは、10〜60重量%の鉱物原材料とを有する。
【0059】
本発明の更に好ましい実施態様によれば、プレミックスは0〜30重量%の添加剤、好ましくは、コークブリーズ、取鍋残留物及び/又はスラグを含む。
【0060】
本発明の更なる主題は、金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料と、鉱物原材料及び石灰系材料を含む鉱物結合剤とを含有する、本発明に係る高炉装入原料を製造するためのプレミックスであって、
前記鉱物原材料として、酸化ケイ素の割合が少なくとも40重量%であり、4μm未満の最も微細な粒子の割合が少なくとも20重量%であり、1μm未満の粒度の割合が少なくとも10重量%である原料を用いる、前記プレミックスである。
【0061】
本発明に係るプレミックスの更に好ましい実施態様に関しては、本発明に係る方法の実施態様を参照されたい。
【0062】
本発明は、更に、鉱物原材料、石灰系材料、及び場合により通常の添加剤を含む鉱物結合剤の、高炉装入原料として用いられる凝集物を製造するための使用であって、
前記鉱物原材料として、酸化ケイ素の割合が少なくとも40重量%であり、4μm未満の最も微細な粒子の割合が少なくとも20重量%であり、1μm未満の粒度の割合が少なくとも10重量%である原材料を用いる、前記使用に関する。
【0063】
本発明に係る使用は、鉱物原材料及び石灰系材料を一緒に添加すること、及び別々に添加することの両方を含む。
【0064】
本発明に係る使用の更に好ましい実施態様に関しては、本発明に係る方法の実施態様を参照されたい。
【0065】
以下で、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0066】
5種類の異なる焼結ベルト混合物(混合物1、2、3、3a、3b)を製造する。混合物3a及び3bを製造するために、規定された割合の中間粒度を含む微細材料を、各結合剤及び通常の焼結賦形剤と混合し、その塊の湿分を調整する。本発明に係る混合物3bについては、結合剤として、酸化ケイ素の割合が少なくとも40重量%であり、4μm未満の最も微細な粒子の割合が少なくとも20重量%であり、1μm未満の粒度の割合が少なくとも10重量%である鉱物原材料を用いる。
【0067】
結合剤を添加しないで混合物1、2及び3を製造する。次いで、混合物を水と混合して焼結ベルト上で層にする。混合物は特定のガス透過性を有しており、これは、前記混合物を通る強制気流における圧力損失を用いて測定することができる。低い圧力損失は、良好なガス透過性を示す。焼結処理においては良好なガス透過性が望ましく、それは焼結ケーキの全体にわたる良好な燃焼がもたらされるからである。
【0068】
以下の表に、混合物1、2、3、3a、3bの圧力損失を示す。混合物1、2、3の比較は、中間粒度の割合の増加が、圧力損失の増加及びガス透過性の低下を惹き起こすことを示している。混合物3、3aの比較は、結合剤としてCaOを添加することにより改善されたガス透過性を達成することができることを示している。
【0069】
本発明に係る実施例3bを用いて、特別の鉱物結合剤を使用することによって特に良好なガス透過性を有する混合物を得ることができることを証明することができた。
《表》


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料と、鉱物原材料及び石灰系材料を含む鉱物結合剤と、場合により通常の添加剤とを混合して塊を形成する工程、並びに、前記塊を固化させて凝集物を形成する工程よって、高炉装入原料として用いられる凝集物を製造する方法であって、
前記鉱物原材料として、酸化ケイ素の割合が少なくとも40重量%であり、4μm未満の最も微細な粒子の割合が少なくとも20重量%であり、1μm未満の粒度の割合が少なくとも10重量%である原材料を用いることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
鉱物原材料として、粘土鉱物含有原材料を用いることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
微細石英少なくとも60重量%と、カオリナイト20〜40重量%と、場合により二次雲母とからなるショートクレイを含む鉱物原材料を用いることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
70〜90重量%、好ましくは、約83重量%の酸化ケイ素、5〜20重量%、好ましくは、約13重量%の酸化アルミニウム、0.2〜1.5重量%、好ましくは、約0.7重量%のFe、及び0.1〜1重量%、好ましくは、約0.4重量%の酸化カリウムを含む鉱物原材料を用いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
微細材料と結合剤との混合を混合ユニット内で行うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料と鉱物結合剤とを、5:1〜1000:1の割合で一緒に混合することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
微細材料と結合剤との混合に際してその塊の湿分を2〜20重量%の値に設定することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
石灰系材料として、石灰石、生石灰、消石灰、水和石灰、ドロマイト、ドロマイト石灰、ドロマイト生石灰及び/又はドロマイト水和石灰を用いることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料として、微細鉱石、特に、微細鉄鉱石、点火材料、特に、ミルスケール、炉頂粉塵、焼結処理からの返鉱、金属の研磨屑及び/又は金属のヤスリ屑を用いることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
中間粒度の割合が30重量%を超える、金属及び/又は金属酸化物含有微細材料を用いることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
塊を固化させて凝集物を形成する工程を、焼結処理によって実施することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
微細材料と結合剤との混合物に、通常の焼結添加剤、特に、コークブリーズ、取鍋残留物及び/又はスラグを添加することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
焼結処理が以下の工程:
−微細材料、鉱物結合剤、水、通常の高炉循環材料及び燃料を混合して混合物を形成する工程;及び
−前記混合物の溶融温度より低い温度で前記混合物を熱処理して、焼結ケーキの形態の凝集物を製造する、熱処理工程;
を含むことを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
焼結ケーキを破砕して、完成した焼結物の形態の凝集物を得ることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
2mm未満、好ましくは0.05mm〜1mmの粒度の割合を少なくとも30重量%の量で含有する微細材料を用いることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
塊を固化させて凝集物を形成する工程を、ペレット化によって実施することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ペレット化が、以下の工程:
−微細材料と結合剤との混合物を、水及び場合により通常の凝集物と混合して混合物を形成する工程;
−得られた混合物を、熱処理をしてないペレットに形成する工程;及び
−前記熱処理をしてないペレットを燃焼処理によって硬化させて、ペレットの形態の凝集物を製造する、硬化工程;
を含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ペレットの製造をシャフト炉、移動火格子炉又は移動火格子/回転炉において実施することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ペレット化が、以下の工程:
−微細材料と結合剤との混合物を、水及び場合により通常の凝集物と混合して混合物を形成する工程;
−得られた混合物を、熱処理をしてないペレットに形成する工程;
−前記熱処理をしてないペレットを水圧によって硬化させて、凝集物を製造する、硬化工程;
を含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項又は複数項に記載の方法により製造された高炉装入原料。
【請求項21】
金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料と、鉱物原材料及び石灰系材料を含む鉱物結合剤とを含有する、請求項20に記載の高炉装入原料を製造するためのプレミックスであって、
前記金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料が、平均粒径1mm未満を有する微細材料を30重量%より多い割合で含むことを特徴とする、前記プレミックス。
【請求項22】
プレミックスが、金属及び/又は金属酸化物を含有する微細材料50〜99重量%と、通常の添加剤及び鉱物結合剤1〜20重量%とを含むことを特徴とする、請求項21に記載のプレミックス。
【請求項23】
鉱物結合剤が、石灰系材料30〜98重量%と、鉱物原材料2〜70重量%とを含むことを特徴とする、請求項21又は22に記載のプレミックス。
【請求項24】
プレミックスが、0〜30重量%の添加剤、好ましくは、コークブリーズ、取鍋残留物及び/又はスラグを含むことを特徴とする、請求項21〜23のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項25】
鉱物原材料が、酸化ケイ素の割合少なくとも60重量%、好ましくは、少なくとも75重量%と、2μm未満の最も微細な粒子の割合少なくとも約40重量%とを含み、そして、0.5μm未満の粒度の割合が、少なくとも25重量%である、請求項21〜24のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項26】
鉱物原材料が、微細石英少なくとも60重量%と、カオリナイト20〜40重量%と、場合により二次雲母とからなるショートクレイを含有することを特徴とする、請求項21〜25のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項27】
鉱物原材料が、70〜90重量%、好ましくは、約83重量%の酸化ケイ素、5〜20重量%、好ましくは、約13重量%の酸化アルミニウム、0.2〜1.5重量%、好ましくは、約0.7重量%のFe、及び0.1〜1重量%、好ましくは、約0.4重量%の酸化カリウムを含有することを特徴とする、請求項21〜25のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項28】
高炉装入原料として用いられる凝集物を製造するための、鉱物原材料及び石灰系材料を含有する鉱物結合剤と、場合により通常の添加剤とを含む混合物の使用であって、
前記鉱物原材料として、酸化ケイ素の割合が少なくとも40重量%であり、4μm未満の最も微細な粒子の割合が少なくとも20重量%であり、1μm未満の粒度の割合が少なくとも10重量%である原材料を用いることを特徴とする、前記使用。

【公表番号】特表2012−528941(P2012−528941A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513633(P2012−513633)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057842
【国際公開番号】WO2010/139789
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(511295771)ラインカルク ゲー エム ベー ハー (1)
【氏名又は名称原語表記】Rheinkalk GmbH
【Fターム(参考)】