説明

金銭処理機

【課題】各金銭収容装置の配置や構造または収容すべき金銭の種類等が異なっても、管理者等が管理作業を円滑に行うことができるようにする。
【解決手段】駐車料金精算機において、管理モード時に、筐体内におけるコインホッパー、硬貨払出装置、紙幣払出装置等の複数の金銭収容装置間の相対的な位置関係を示す案内画像を生成し、当該案内画像を表示装置の表示画面21Aに表示させる。また、案内画像には、コインホッパーや硬貨払出装置が有する各収容部に収容される硬貨の種類および複数の収容部間の相対的な位置関係をも表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金銭挿入口から挿入された金銭を内部に収容し、または内部に収容された金銭を金銭排出口から排出することによって物品の販売またはサービス料金の精算に係る金銭の受け渡しを自動的に行う、例えば、駐車料金精算機、自動販売機等の金銭処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
有料の駐車場で使用される駐車料金精算機等では、車両が出庫しない間に料金回収やつり銭補充を行うことが必要であり、それらの管理作業がどのような係員においても円滑に実施されることが望まれる。また、金銭を回収したり補充したりする管理作業を狙っての犯罪を未然に防ぐためにも、防犯上の配慮が十分なされていて、扉をこじ開けただけでは容易に金庫などが持ち出せないように構成されている必要がある。さらには、係員による不正をも防止して管理できるようなシステムが望ましいが、特にネットワーク化されていない駐車料金精算機では、管理センターで監視するような対策が実施できず、金銭回収や補充の係員の報告を信用するしかないのが現状であった。
【0003】
この点、例えば特許文献1には、売上金の入金額や、釣銭の支払額とその補充金額等からなる入出金額情報を、係員等による入力作業を行うことなく、自動的にかつ正確に集計できるように工夫した自動料金精算機を提供するため、売上金の支払いによる入金と、釣銭の支払いによる出金を、その都度メモリに記憶させて紙幣と硬貨の各金庫、並びに、つり銭用の各金庫の収納金額を記録し、これら各金庫が引抜かれると各金庫の収納金額を呼出して出力する技術が開示されている。
【0004】
また、例えば特許文献2では、売上金やつり銭等の現金を入れた金庫が収められている装置本体の扉を開けなくても、また、管理上不都合な鍵等を使用しなくても、各種のメンテナンス処理を安全に、かつ、簡単に行うことができると共に、各メンテナンス処理ごとに、予めその操作を許された特定の係員や管理者だけが操作できるように規制することを可能にした自動料金精算機に言及しており、具体的には外部から操作困難な装置本体の内部、または、装置本体とは別の所に、各種メンテナンス処理を可能にするためのメンテナンス許可情報を入力設定するメンテナンス入力装置を設け、装置本体の外側部には、許可されたメンテナンス処理の内容を案内表示する表示器と、表示器の案内表示に従ってメンテナンス処理を入力操作できる外部入力装置としてのタッチプレート式入力部を設けた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−307179号公報
【特許文献2】特開2005−44151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、駐車料金精算機の筐体内には、利用者から支払われた駐車料金としての金銭(硬貨および紙幣)を保管するために当該金銭を収容する金銭収容装置(例えば金庫)や、つり銭として用いる金銭を収容する金銭収容装置(例えばコインホッパー、硬貨払出装置)等、複数の金銭収容装置が設けられている。しかも、これらの金銭収容装置はそれぞれ、硬貨用の金銭収容装置と紙幣用の金銭収容装置とに分かれている。筐体内におけるこれら複数の金銭収容装置の配置は、駐車料金精算機の型式によって、あるいは、同じ型式であっても設置する駐車場の状況に合わせた設定によって異なる。
【0007】
また、つり銭として用いる硬貨を収容する金銭収容装置は、複数の収容部を有し、これら複数の収容部に複数種類の硬貨(10円、50円、100円、500円)を当該種類ごとに分けて収容する構造となっている。このような金銭収容装置においては、収容すべき金銭の種類、収容部の個数、収容部の配置等が駐車料金精算機の型式や設定によって異なる。例えば、駐車料金が100円単位で設定されている駐車場に設定された駐車料金精算機では、10円硬貨を取り扱う必要がないので、当該駐車料金精算機に設けられた金銭収容装置には、10円を収容すべき収容部がない。また、紙幣についても、1000円紙幣、2000円紙幣、5000円紙幣および10000円紙幣を扱う場合に限らず、1000円紙幣だけを扱う場合等もあり、扱う紙幣の種類によって、紙幣用の金銭収容装置の構造が異なる。
【0008】
このように、各金銭収容装置の配置や構造、収容すべき金銭の種類等は、駐車料金精算機の型式や設定、あるいは駐車場によって異なる。このため、駐車場を巡回して料金回収やつり銭補充等の管理作業を行う駐車場係員や代行管理会社の係員は、個々の駐車場に訪れて管理作業を行う度に、その駐車場に設置されている駐車料金精算機における各金銭収容装置の配置や構造、収容すべき金銭の種類等を把握しなければならない。この結果、管理作業を円滑に行うことが難しいという問題がある。
【0009】
例えば、予備知識のないまま個々の駐車場に出向き、駐車料金精算機の扉を開けて内部を確認し、金銭補充をすべき金銭収容装置を探し、補充する金銭の種類を確認するなどといった作業を行っていたのでは、作業時間が長くなり、出庫車両を待たせることになったり、犯罪を企てる者に駐車料金精算機の内部を観察する機会を与えることとなってしまう。
【0010】
以上の問題は、駐車料金精算機に限らず、他のサービスの料金の精算を自動的に行う料金精算機、物品の販売を自動的に行う自動販売機等といった他の金銭処理機においても生じ得る。
【0011】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みされたものであり、本発明の課題は、各金銭収容装置の配置や構造または収容すべき金銭の種類等が異なっても、管理者等が管理作業を円滑に行うことができる金銭処理機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の金銭処理機は、金銭挿入口から挿入された金銭を内部に収容し、または内部に収容された金銭を金銭排出口から排出することによって物品の販売またはサービス料金の精算に係る金銭の受け渡しを自動的に行う金銭処理機であって、前記金銭挿入口および前記金銭排出口を備えた筐体と、前記筐体内の所定の位置にそれぞれ配置され、前記金銭をそれぞれ収容する複数の金銭収容装置と、表示画面を有する表示装置と、画像を生成し、当該画像を前記表示装置の表示画面に表示させる表示制御手段と、一般利用者との間で物品の販売またはサービス料金の精算に係る金銭の受け渡しを行うための一般利用モードと、管理者が管理作業を行うための管理モードとを切り換えるモード切換手段とを備え、前記表示制御手段は、前記管理モード時に、前記筐体内における前記複数の金銭収容装置間の相対的な位置関係を示す案内画像を生成し、当該案内画像を前記表示装置の表示画面に表示させることを特徴とする。
【0013】
上述した本発明の第1の金銭処理機によれば、管理者等は、料金回収、つり銭補充、メンテナンス等の管理作業を行う際に、表示画面を見ることにより、当該金銭処理機の筐体内における複数の金銭収容装置の位置を知ることができる。したがって、管理者等は、筐体内における金銭収容装置の配置が金銭処理機の型式や設定等によって異なる場合でも、管理作業を行うべき金銭収容装置を容易にかつ確実に特定することができ、管理作業を円滑に行うことができる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第2の金銭処理機は、上述した本発明の第1の金銭処理機において、前記複数の金銭収容装置のうちの少なくとも1つは、複数種類の金銭を当該種類ごとに分けて収容する複数の収容部を有し、前記表示制御手段は、前記各収容部に収容される金銭の種類および前記複数の収容部間の相対的な位置関係を示す案内画像を生成し、当該案内画像を前記表示装置の表示画面に表示させることを特徴とする。
【0015】
上述した本発明の第2の金銭処理機によれば、管理者等は、管理作業を行う際に、表示画面を見ることにより、金銭収容装置が有する複数の収容部のうち、どの収容部にどの種類の金銭を収容すべきかを知ることができる。したがって、管理者等は、金銭収容装置が有する複数の収容部の個数や、複数の収容部にそれぞれ収容すべき金銭の種類が金銭処理機の型式や設定等によって異なる場合でも、収容部に収容すべき金銭の種類を間違えるといったミス等を減らすことができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第3の金銭処理機は、上述した本発明の第1または第2の金銭処理機において、前記筐体は、閉時に当該筐体の内部と外部との間を遮断し、開時に当該筐体の内部と外部との間を連通させる複数の扉を有し、前記表示制御手段は、前記複数の扉のうちの一の扉が開き他の扉が閉じているときに、前記案内画像において、前記複数の金銭収容装置のうち、前記一の扉が開いた状態で操作することができる位置に配置されている金銭収容装置の位置を示す画像と、他の金銭収容装置の位置を示す画像との表示態様を相互に異ならせることを特徴とする。
【0017】
上述した本発明の第3の金銭処理機によれば、管理者等は、管理作業を行う際に、表示画面を見ることにより、複数の金銭収容装置のうち、一の扉を開いた状態で操作することができる金銭収容装置を知ることができる。したがって、管理者等は、管理作業を行うべき金銭収容装置を探すために、異なる扉の開け閉めを何度も繰り返したり、全ての扉を開けたりすることがなくなるので、管理作業を円滑に行うことができる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の第4の金銭処理機は、上述した本発明の第3の金銭処理機において、前記表示制御手段は、前記複数の扉のうちの一の扉が開き他の扉が閉じているときに、前記案内画像において、前記複数の金銭収容装置のうち、前記一の扉が開いた状態で操作することができる位置に配置されている金銭収容装置の位置を示す画像と、他の金銭収容装置の位置を示す画像との鮮明さ、色合いまたは色の明度を相互に異ならせることを特徴とする。
【0019】
上述した本発明の第4の金銭処理機によれば、管理者等は、管理作業を行う際に、表示画面を見ることにより、複数の金銭収容装置のうち、一の扉を開いた状態で操作することができる金銭収容装置を容易かつ確実に知ることができる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の第5の金銭処理機は、上述した本発明の第1ないし第4のいずれかの金銭処理機において、前記複数の金銭収容装置のうちの少なくとも1つは、閉時に当該金銭収容装置の内部と外部との間を遮断し、開時に当該金銭収容装置の内部と外部との間を連通させる扉を有する扉付き金銭収容装置であり、前記表示制御手段は、前記扉付き金銭収容装置の扉が閉じているときと開いているときとで、前記案内画像において当該扉付き金銭収容装置の位置を示す画像の表示態様を変化させることを特徴とする。
【0021】
上述した本発明の第5の金銭処理機によれば、管理者等は、管理作業を行う際に、表示画面を見ることにより、扉付き金銭収容装置の扉の開閉状態を知ることができる。したがって、管理者等は、管理作業を行うべき扉付き金銭収容装置の扉の開閉状態を知ることによって、当該管理作業を行うべき扉付き金銭収容装置を容易に特定することができ、管理作業を円滑に行うことができる。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の第6の金銭処理機は、上述した本発明の第5の金銭処理機において、前記表示制御手段は、前記扉付き金銭収容装置の扉が閉じているときと開いているときとで、前記案内画像において当該扉付き金銭収容装置の位置を示す画像の鮮明さ、色合いまたは色の明度を変化させることを特徴とする。
【0023】
上述した本発明の第6の金銭処理機によれば、管理者等は、管理作業を行う際に、表示画面を見ることにより、扉付き金銭収容装置の扉の開閉状態を容易かつ確実に知ることができる。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明の第7の金銭処理機は、上述した本発明の第2の金銭処理機において、前記表示制御手段は、前記案内画像において、前記各収容部に収容されている金銭の枚数を示す数値を当該収容部の位置を示す画像と対応する位置に表示させることを特徴とする。
【0025】
上述した本発明の第7の金銭処理機によれば、管理者等は、金銭収容装置の各収容部に収容されている金銭の枚数を、収容部ごとに容易かつ正確に知ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、金銭処理機内に設けられた各金銭収容装置の配置や構造または収容すべき金銭の種類等が金銭処理機ごとに異なっても、管理者等は、料金回収、つり銭補充、メンテナンス等といった金銭処理機に係る管理作業を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態による駐車料金精算機を示す斜視図である。
【図2】横扉が開いた状態の本発明の第1の実施形態による駐車料金精算機を示す斜視図である。
【図3】横扉および前扉が開いた状態の本発明の第1の実施形態による駐車料金精算機を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による駐車料金精算機の筐体内におけるコインホッパー、硬貨払出装置、硬貨金庫、紙幣払出装置、紙幣金庫等間の相対的な位置関係を示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態による駐車料金精算機の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による駐車料金精算機の表示画面に表示された案内画像を示す説明図である。
【図7】横扉および前扉が開いた状態の本発明の第2の実施形態による駐車料金精算機を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態による駐車料金精算機の表示画面に表示された案内画像を示す説明図である。
【図9】横扉が開いたときの本発明の第2の実施形態による駐車料金精算機の表示画面に表示された案内画像を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態による駐車料金精算機を示し、図2は当該駐車料金精算機の横扉が開いた状態を示し、図3は当該駐車料金精算機の横扉および前扉が開いた状態を示す。図1において、駐車料金精算機1は、本発明の金銭処理機の第1の実施形態である。すなわち、駐車料金精算機1は、硬貨投入口23または紙幣挿入口24から挿入された金銭を内部に収容し、または内部に収容された金銭を紙幣払出口25またはつり銭/領収証取出口26に排出することによって駐車料金の精算に係る金銭の受け渡しを自動的に行う金銭処理機である。一般に駐車料金精算機には、車両の退場に際して料金の決済を行う出口精算機、駐車場内や近隣に設置されて事前の料金精算を行う事前精算機等があるが、駐車料金精算機1は例えば出口精算機である。駐車料金精算機1は、駐車場の出口近傍の車路2の傍らに設置されている。駐車料金精算機1は、車路2に埋設された1対のループコイルおよび出口精算機の近傍に設置された出口ゲート開閉機と埋設配線を介して電気的に接続されており、駐車料金の精算を行うと共に、出口ゲート開閉機のゲートバーの開閉制御を行う。
【0030】
駐車料金精算機1は筐体11を有している。筐体11において、車路2に対向する前面部には前扉12が設けられている。前扉12は図3に示すように筐体11の前方向に開閉するように筐体11に取り付けられている。前扉12は、閉時に筐体11の前面部において筐体11の内部と外部との間を遮断し、開時に筐体11の前面部において筐体11の内部と外部との間を連通させる。前扉12の開時には筐体11の前面部には前面開口部16が形成される。また、筐体11の側面部(本実施形態では左面部だが、右面部でもよい)には横扉13が設けられている。横扉13は筐体11の横方向に開閉するように筐体11に取り付けられている。横扉13は、閉時に筐体11の側面部において筐体11の内部と外部との間を遮断し、開時に筐体11の側面部において筐体11の内部と外部との間を連通させる。横扉13の開時には筐体11の側面部には側面開口部17が形成される。横扉13には錠ハンドル14が設けられている。前扉12および横扉13は、一般利用時にはいずれも施錠されており開くことができないが、管理作業時には管理者等が合鍵を用いて解錠することにより開くことができる。
【0031】
前扉12の上部の裏側には表示装置21が取り付けられている。表示装置21は表示画面21Aを有している。表示画面21Aは、前扉12に形成された表示開口部12Aを介して前扉12の表側から視認可能に配置されている。また、前扉12において、表示装置21の下側には、精算時に駐車券を挿入する駐車券挿入口22、精算時に硬貨を投入する金銭挿入口としての硬貨投入口23、精算時に紙幣を挿入する金銭挿入口としての紙幣挿入口24、精算時につり札を排出する金銭排出口としての紙幣払出口25、および精算時につり銭および領収証を排出する金銭排出口としてのつり銭/領収証取出口26が設けられている。さらに、前扉12には、取消釦27、領収証発行釦28、スピーカ29およびインターホン30が設けられている。
【0032】
図2に示すように、駐車料金精算機1の横扉13の裏側には、横扉13を開いたときに横扉13の裏側から視認可能な表示画面および設定用のキーが設けられた設定装置41が取り付けられている。また、図3に示すように、筐体11内には、コインホッパー42、硬貨払出装置44、硬貨金庫45、紙幣払出装置47および紙幣金庫48が設けられている。コインホッパー42、硬貨払出装置44、硬貨金庫45、紙幣払出装置47および紙幣金庫48はそれぞれ、金銭を収容する金銭収容装置である。
【0033】
コインホッパー42には、つり銭として用いるための硬貨を収容する。コインホッパー42は、例えば2種類の金銭(10円硬貨および100円硬貨)を当該種類ごとに分けて収容する2つの収容部42A、42Bを有している(図4参照)。また、コインホッパー42は強固なケーシングに収容されており、当該ケーシングに設けられた扉43を開けなければ収容部42A、42Bに触れることができない。さらに、扉43には鍵部(図示せず)が設けられている。当該鍵部により扉43は横扉13を開けただけでは施錠されていて開けることができないが、管理作業時に管理者等が合鍵を用いて鍵部を解錠し、扉43を開けることができる。一方、硬貨払出装置44には、硬貨投入口23から投入された硬貨を種類ごとに分けて収容する。硬貨払出装置44に収容された硬貨もつり銭として用いることができる。硬貨払出装置44は、例えば4種類の金銭(10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、および500円硬貨)を当該種類ごとに分けて収容する4つの収容部44A、44B、44C、44Dを有している(図4参照)。さらに、硬貨払出装置44は、予備用の100円硬貨を収容する収容部44Eを有している。なお、硬貨投入口23と硬貨払出装置44の間には硬貨選別機56(図5参照)が備えられている。他方、硬貨金庫45には、硬貨払出装置44が満杯になったときに、硬貨払出装置44に収容された硬貨の一部を入れて保管する。硬貨金庫45には、硬貨払出装置44に収容されるすべての種類の硬貨を保管することができる。また、硬貨金庫45は、コインホッパー42とほぼ同様に、鍵部(図示せず)が設けられた扉46を有する強固なケーシングに収容されている。また、紙幣払出装置47には、つり札として用いるための紙幣(例えば1000円紙幣のみ)を収容する。紙幣金庫48には、紙幣挿入口24から挿入された紙幣を保管する。この紙幣には、例えば1000円紙幣、2000円紙幣、5000円紙幣、10000紙幣がある。紙幣金庫48もコインホッパー42や硬貨金庫45とほぼ同様に、鍵部が設けられた扉(いずれも図示せず)を有する強固なケーシングに収容されている。なお、紙幣挿入口24と紙幣金庫48の間には紙幣選別機57(図5参照)が備えられている。
【0034】
図4は、硬貨投入口23、紙幣挿入口24、紙幣払出口25、コインホッパー42、硬貨払出装置44、硬貨金庫45、紙幣払出装置47および紙幣金庫48間の相対的な位置関係を示している。図4では、横扉13が開いた状態の側面部(左面部)の正面に立って筐体11の内部を見た図(図4中の左側)と、前扉12が開いた状態の前面部の正面に立って筐体11の内部を見た図(図4中の右側)とを並べて示している。図4に示すように、コインホッパー42、硬貨払出装置44および硬貨金庫45は、横扉13が開いた状態で操作することができる位置に配置されている。すなわち、コインホッパー42は筐体11の上部に配置され、コインホッパー42を収容するケーシングの扉43は筐体11の側面開口部17近傍に配置され、横方向に開閉する。管理者等は、横扉13を開けて、側面開口部17から手を差し入れ、扉43を解錠して扉43を開き、コインホッパー42内の収容部42Aおよび42Bを点検することができ、または収容部42Aおよび42Bから硬貨を回収することができる。一方、硬貨払出装置44は筐体11の中間部に配置されている。管理者等は、横扉13を開けて、側面開口部17から手を差し入れ、硬貨払出装置44内の収容部44Aないし44Eを点検することができる。他方、硬貨金庫45は筐体11の下部に配置され、硬貨金庫45を収容するケーシングの扉46は筐体11の側面開口部17近傍に配置され、横方向に開閉する。管理者等は、横扉13を開けて、側面開口部17から手を差し入れ、扉46を解錠して扉46を開き、硬貨金庫45に保管された硬貨を回収することができる。
【0035】
一方、図4に示すように、紙幣払出装置47および紙幣金庫48は、前扉12が開いた状態で操作することができる位置に配置されている。すなわち、紙幣払出装置47は筐体11の中間部に配置されている。管理者等は、前扉12を開けて、前面開口部16から手を差し入れ、紙幣払出装置47の点検を行うことができる。一方、紙幣金庫48は筐体11の中間部であって紙幣払出装置47よりも奥側に配置され、紙幣金庫48を収容するケーシングの扉は筐体11の前面開口部16近傍に配置されている。管理者等は、前扉12を開けて、前面開口部16から手を差し入れ、紙幣金庫48を収容するケーシングの扉を解錠して当該扉を開き、紙幣金庫48に保管された紙幣を回収することができる。また、硬貨投入口23、紙幣挿入口24および紙幣払出口25は、筐体11の前面部の上部に配置されている。
【0036】
図4を全体的に見ると、筐体11の、連続的に連なる側面部と前面部とを合わせた領域において、紙幣払出口25は右上側に配置され、硬貨投入口23は中央上側に配置され、コインホッパー42は左上側に配置され、硬貨払出装置44は中央部に配置され、硬貨金庫45は左下側に配置され、紙幣払出装置47は右手前側に配置され、紙幣金庫48は右奥側に配置されている。
【0037】
図5は駐車料金精算機1の電気的構成を示している。図5に示すように、駐車料金精算機1は、CPU(Central Processing Unit)51およびメモリ52を有している。CPU51およびメモリ52は相互にバス53を介して接続されていると共に、バス53を介してインターフェース54に接続されている。インターフェース54には、上述した表示装置21、取消釦27、領収証発行釦28、スピーカ29、インターホン30、設定装置41、硬貨払出装置44(収容部44Aないし44E)および紙幣払出装置47が接続されている。さらに、インターフェース54には、カードリーダ/ライタ55、硬貨選別機56、紙幣選別機57、車両センサ58、ゲート開閉機制御部59、領収証プリンタ60、前扉センサ61、横扉センサ62、通信制御部63、ホッパー扉センサ65、硬貨金庫扉センサ66および紙幣金庫扉センサ67が接続されている。CPU51は、メモリ52に記憶されたコンピュータプログラムを読み取ってこれを実行することにより、インタ−フェース54に接続された各部品および各装置を制御することができる。また、CPU51は、後述するように駐車料金精算機1の動作モードを一般利用モードと管理モードとの間で切り換える処理を行う。また、CPU51は、表示装置21の表示画面21Aに表示するための画像を生成し、この画像を表示画面21Aに表示させる処理を行う。なお、CPU51は、モード切換手段および表示制御手段の具体例である。
【0038】
車両センサ58は、車路2に埋設された一対のループコイルに埋設配線を介して接続され、駐車料金精算機1の前に車両が来たことを検出するセンサである。CPU51は、車両センサ58の検出結果に基づいて、精算処理を開始するタイミングや、ゲートバーを開閉するタイミングを決める。ゲート開閉機制御部59は出口ゲート開閉機に埋設配線を介して接続されている。通信制御部63は専用通信回線(例えばLAN(Local Area Network))に接続されている。インターホン30は外部通信線に接続されている。
【0039】
前扉センサ61は、例えば筐体11の前面開口部16近傍に取り付けられ、前扉12の開閉(開いているか閉じているか)を検出するセンサである。横扉センサ62は、例えば筐体11の側面開口部17近傍に取り付けられ、横扉13の開閉を検出するセンサである。ホッパー扉センサ65は、例えばコインホッパー42を収容するケーシングの扉43近傍に取り付けられ、扉43の開閉を検出するセンサである。硬貨金庫扉センサ66は、例えば硬貨金庫45を収容するケーシングの扉46近傍に取り付けられ、扉46の開閉を検出するセンサである。紙幣金庫扉センサ67は、例えば紙幣金庫48を収容するケーシングの扉近傍に取り付けられ、当該扉の開閉を検出するセンサである。
【0040】
ここで、駐車料金精算機1は、駐車場利用者に対して駐車料金の精算に係る金銭の受け渡しを行うための一般利用モードと、管理者が、料金回収、つり銭補充、メンテナンス等の管理作業を行うための管理モードとを切り換えるモード切換機能を備えている。管理者等により駐車券挿入口22に管理カードが挿入されると、カードリーダ/ライタ55が管理カードに記録された管理作業許可情報(メンテナンス特定コード)を読み取る。CPU51は、カードリーダ/ライタ55により読み取られた管理作業許可情報を認識し、適正な管理作業許可情報である場合に限り、駐車料金精算機1の動作モードを一般利用モードから管理モードに切り換える。
【0041】
また、管理モードにもいくつか種類がある。すなわち、管理作業には、料金回収、つり銭補充、売上高集計、つり銭残高照会、その他のメンテナンス等がある。これらの作業のうち、料金回収および売上高集計は、特別な権限を有する管理者だけが行うことのできる作業である。一方、つり銭残高照会およびつり銭補充は、通常の権限を有する管理者等が行うことができる作業である。特別な権限を有する管理者は、すべての管理作業を許可するための管理作業許可情報が記録された特別な管理カードを持っている。この管理カードが駐車券挿入口22に挿入されると、駐車料金精算機1は特別な管理モードとなる。この特別な管理モードでは、管理者は、すべての管理作業を行うことができる。一方、通常の権限を有する管理者は、つり銭残高照会およびつり銭補充だけを許可するための管理作業許可情報が記録された通常の管理カードを持っている。この管理カードが駐車券挿入口22に挿入されると、駐車料金精算機1は通常の管理モードとなる。この通常の管理モードでは、つり銭残高照会およびつり銭補充を行うことができる。また、その他のメンテナンスを許可するための管理作業許可情報が記録された管理カードもあり、この管理カードが駐車券挿入口22に挿入されると、駐車料金精算機1はその他のメンテナンスのみを許可するメンテナンス管理モードとなる。
【0042】
駐車料金精算機1が管理モードに切り換えられると、硬貨投入口23は、つり銭補充のために硬貨を投入する投入口として機能する。また、紙幣払出口25は、つり札補充のために紙幣を挿入する挿入口として機能する。また、つり銭/領収証取出口26は、イベントリ処理において、硬貨払出装置44等に収容された硬貨を排出する排出口として機能する。
【0043】
図6は、駐車料金精算機1の表示画面21Aに表示された管理作業の案内画像を示している。駐車料金精算機1が一般利用モードのときには、表示装置21の表示画面21Aには、年月日、時刻、営業中である旨のメッセージ等が表示されている。そして、精算時には、駐車券の挿入、駐車料金の額、硬貨の投入、紙幣の挿入、つり銭の排出等を案内する画像が表示画面21Aに表示される。一方、駐車料金精算機1が管理モード(具体的には上記特別な管理モードまたは通常の管理モード)のときには、表示画面21Aには、図6に示すような、管理作業の案内画像が表示される。このような案内画像等の生成および案内画像等の表示画面21Aへの表示制御は、CPU51の制御のもとで行われる。
【0044】
図6中の管理作業の案内画像において、その上部はメッセージ表示エリア71が形成されており、メッセージ表示エリア71には、管理作業に関する様々なメッセージ(例えば「補充する硬貨または紙幣を投入してください」)が表示される。
【0045】
また、管理作業の案内画像の中間部から下部にかけての領域には、つり銭補充のための硬貨を投入する硬貨投入口23、つり札補充のための紙幣を挿入する紙幣払出口25、コインホッパー42、硬貨払出装置44、硬貨金庫45、紙幣払出装置47および紙幣金庫48間の相対的な位置関係が示される。具体的には、案内画像の右上側には紙幣挿入アニメーション表示エリア72が形成され、案内画像の中央上側には硬貨投入アニメーション表示エリア73が形成され、案内画像の左上側にはコインホッパー状態表示エリア74が形成される。また、案内画像の右側であって紙幣挿入アニメーション表示エリア72の下側には紙幣払出装置状態表示エリア75が形成され、案内画像の右下側には紙幣金庫状態表示エリア76が形成され、案内画像の中央下側には硬貨払出装置状態表示エリア77が形成され、案内画像の左下側には硬貨金庫状態表示エリア78が形成される。
【0046】
図4と図6とを比較するとわかるとおり、図4に示す紙幣払出口25、硬貨投入口23、コインホッパー42、紙幣払出装置47、紙幣金庫48、硬貨払出装置44および硬貨金庫45間の相対的な位置関係と、図6に示す紙幣挿入アニメーション表示エリア72、硬貨投入アニメーション表示エリア73、コインホッパー状態表示エリア74、紙幣払出装置状態表示エリア75、紙幣金庫状態表示エリア76、硬貨払出装置状態表示エリア77および硬貨金庫状態表示エリア78間の相対的な位置関係とは、相互に対応している。すなわち、紙幣払出口25は筐体11の側面部と前面部とを合わせた領域において右上側に位置し、紙幣挿入アニメーション表示エリア72は案内画面において右上側に位置する。また、硬貨投入口23は筐体11の側面部と前面部とを合わせた領域において中央上側に位置し、硬貨投入アニメーション表示エリア73は案内画面において中央上側に位置する。また、コインホッパー42は筐体11の側面部と前面部とを合わせた領域において左上側に位置し、コインホッパー状態表示エリア74は案内画面において左上側に位置する。また、紙幣払出装置47および紙幣金庫48は筐体11の側面部と前面部とを合わせた領域において右側に位置し、紙幣払出装置状態表示エリア75および紙幣金庫状態表示エリア76は案内画面において右側に位置する。また、硬貨払出装置44は筐体11の側面部と前面部とを合わせた領域において中央部に位置し、硬貨払出装置状態表示エリア77は案内画面において中央下側に位置する。また、硬貨金庫45は筐体11の側面部と前面部とを合わせた領域において左下側に位置し、硬貨金庫状態表示エリア78は案内画面において左下側に位置する。
【0047】
また、図6に示す管理作業の案内画面において、紙幣挿入アニメーション表示エリア72には、紙幣払出口25に紙幣が実際に挿入されたときに、紙幣払出口25内へ紙幣が取り込まれていく状態を示すアニメーション(動画)72Aが表示され、紙幣払出口25の上側に設けられた表示ランプが点滅している状態を示す動画72Bが表示される。
【0048】
硬貨投入アニメーション表示エリア73には、硬貨投入口23に硬貨が実際に挿入されたときに、硬貨投入口23内へ硬貨が取り込まれていく状態を示すアニメーション(動画)73Aが表示され、硬貨投入口23の上側に設けられた表示ランプが点滅している状態を示す動画73Bが表示される。
【0049】
コインホッパー状態表示エリア74には、10円硬貨の収容部42Aを示す画像74Aおよび100円硬貨の収容部42Bを示す画像74Bが表示される。画像74A、74Bは、各収容部42A、42Bに収容される硬貨の種類および収容部42A、42B間の相対的な位置関係を示している。また、コインホッパー状態表示エリア74には、現時点において各収容部42A、42Bに収容されている硬貨の枚数を硬貨の種類ごとに示す数値74C(10円硬貨収容数:300枚、100円硬貨収容数:200枚)が当該収容部42A、42Bの位置関係を示す画像74A、74Bと対応する位置に表示される。
【0050】
紙幣払出装置状態表示エリア75には、当該管理作業が開始されてから現時点までに紙幣払出装置44に補充された1000円紙幣の枚数を示す数値75A(1000円紙幣補充数:30枚)、および現時点において紙幣払出装置44に収容されている1000円紙幣の枚数を示す数値75B(1000円紙幣収容数:95枚)が表示される。
【0051】
紙幣金庫状態表示エリア76には、現時点において紙幣金庫48に保管されている紙幣の枚数を紙幣の種類ごとに示す数値76A(1000円紙幣保管数:30枚、2000円紙幣保管数:50枚、5000円紙幣保管数:20枚、10000円紙幣保管数:10枚)が表示される。
【0052】
硬貨払出装置状態表示エリア77には、10円硬貨の収容部44Aを示す画像77A、50円硬貨の収容部44Bを示す画像77B、100円硬貨の収容部44Cを示す画像77C、500円硬貨の収容部44Dを示す画像77D、および予備の100円硬貨の収容部44Eを示す画像77Eが表示される。画像77Aないし77Eは、各収容部44Aないし44Eに収容される硬貨の種類および収容部44Aないし44E間の相対的な位置関係を示している。また、硬貨払出装置状態表示エリア77には、当該管理作業が開始されてから現時点までに各収容部44Aないし44Eに補充された硬貨の枚数を硬貨の種類ごとに示す数値77F(10円硬貨補充数:60枚、50円硬貨補充数:15枚、100円硬貨補充数:22枚、500円硬貨補充数:20枚、予備の100円硬貨補充数:0枚)が、当該収容部44Aないし44Eの位置関係を示す画像77Aないし77Eと対応する位置に表示される。さらに、硬貨払出装置状態表示エリア77には、現時点において各収容部44Aないし44Eに収容されている硬貨の枚数を硬貨の種類ごとに示す数値77G(10円硬貨収容数:75枚、50円硬貨収容数:54枚、100円硬貨収容数:65枚、500円硬貨収容数:56枚、予備の100円硬貨収容数:48枚)が、当該収容部44Aないし44Eの位置関係を示す画像77Aないし77Eと対応する位置に表示される。
【0053】
硬貨金庫状態表示エリア78には、現時点において硬貨金庫45に保管されている硬貨の枚数を硬貨の種類ごとに示す数値78A(10円硬貨保管数:50枚、50円硬貨保管数:20枚、100円硬貨保管数:120枚、500円硬貨保管数:80枚)が表示される。
【0054】
なお、管理モードにおいては図3及び図6等で示した紙幣払出口25から紙幣を補充する例を説明したが、これは紙幣払出装置47と紙幣選別機57及び紙幣金庫48とが分割されている紙幣ユニットを採用した例である。紙幣払出装置47、紙幣選別機57、紙幣金庫48が三位一体となり、紙幣挿入口24から挿入した1000円紙幣がつり紙幣としての払出しに循環利用される循環式紙幣ユニットを採用した場合には、図6で示した紙幣払出口25は紙幣挿入口24に置き換えて表示するように設定される。
【0055】
以上、説明したとおり、料金回収、つり銭補充等の管理作業を行う管理者等は、管理作業前や管理作業中に、表示画面21Aに表示される管理作業の案内画面を見ることにより、筐体11内おけるコインホッパー42、紙幣払出装置47、紙幣金庫48、硬貨払出装置44および硬貨金庫45間の相対的な位置関係を知ることができる。また、管理者等は、管理作業の案内画面を見ることにより、コインホッパー42の収容部42A、42B間の相対的な位置関係を知ることができる。また、管理者等は、管理作業の案内画面を見ることにより、硬貨払出装置44の収容部44Aないし44E間の相対的な位置関係を知ることができる。また、管理者等は、管理作業の案内画面を見ることにより、コインホッパー42が取り扱う硬貨の種類、コインホッパー42の各収容部42A、42Bに収容されている硬貨の枚数、紙幣払出装置47に補充した紙幣の枚数、紙幣払出装置47に収容されている紙幣の枚数、硬貨払出装置44が取り扱う硬貨の種類、硬貨払出装置44の各収容部44Aないし44Eに補充した硬貨の枚数、硬貨払出装置44の各収容部44Aないし44Eに収容されている硬貨の枚数、硬貨金庫45に保管されている硬貨の枚数、および紙幣金庫48に保管されている紙幣の枚数等を容易に確認することができる。
【0056】
管理者等は、管理作業の案内画面を見て、コインホッパー42、硬貨払出装置44、または硬貨金庫45に収容・保管されている硬貨の枚数や、硬貨払出装置44に補充した硬貨の枚数、あるいは紙幣払出装置47または紙幣金庫48に収容・保管されている紙幣の枚数や、紙幣払出装置48に補充した紙幣の枚数等を確認しているうちに、自然に、コインホッパー42、硬貨払出装置44、硬貨金庫45、紙幣払出装置47および紙幣金庫48間の相対的な位置関係を記憶してしまう。そして、管理者等は、コインホッパー42、硬貨払出装置44、硬貨金庫45、紙幣払出装置47または紙幣金庫48の筐体11内における位置を、前扉12や横扉13を開ける前から概ね記憶してしまうので、補充硬貨が詰まったなどの異常事態が発生したときには、前扉12および横扉13のうちのいずれか一方の適切な扉を開け、コインホッパー42、硬貨払出装置44、硬貨金庫45、紙幣払出装置47または紙幣金庫48を素早く見つけ出し、点検等を行うことができる。また、管理者等は、コインホッパー42、硬貨払出装置44、硬貨金庫45、紙幣払出装置47または紙幣金庫48を操作・点検する際に、前扉12と横扉13とのうちいずれを開くべきかを間違えることなく迅速に決めることができる。さらに、このような駐車料金精算機が複数設置されていて、かつ、各金銭収容装置の配置や構造、収容すべき金銭の種類が、駐車料金精算機ごとに異なる場合でも、前扉12および横扉13のいずれも開かずに、筐体11内の構成の把握が可能となり、柔軟に異常事態に対して対応することが可能となる。また、管理者等は、駐車料金精算機1の内部構造等についての予備知識がなくても、駐車料金精算機1の型式や設定に応じて適切な管理作業を円滑に行うことができる。
【0057】
(第2の実施形態)
図7は本発明の第2の実施形態による駐車料金精算機を示している。図7において、駐車料金精算機81は本発明の金銭処理機の第2の実施形態である。駐車料金精算機81では、表示装置82の配置およびCPU51により生成される管理作業の案内画像が、第1の実施形態による駐車料金精算機1と異なるものの、他の部分は駐車料金精算機1と同じである。
【0058】
駐車料金精算機81において、表示装置82は、筐体11内に取り付けられている。前扉12が閉じているときには、表示装置82の表示画面82Aは前扉12に形成された表示開口部12Aを介して筐体11の前面部表側から視認可能に配置される。また、前扉12が開いても、表示装置82の表示画面82Aの位置は変わらず、筐体11の前面部(前面開口部16内)に配置される。したがって、管理者等は、前扉12を開けた状態でも、表示画面82Aを容易に見ることができる。
【0059】
図8および図9は、管理モード時に表示画面82Aに表示される管理作業の案内画像をそれぞれ示している。図8において、管理作業の案内画像には、各エリア72ないし78間(エリア72と73との間を除く)を区切る境界線83が表示されている。これにより、各エリア74ないし78を明確に識別できるようになっている。
【0060】
また、図9に示すように、管理作業の案内画像においては、前扉12、横扉13、コインホッパー42を収容しているケーシングの扉43、硬貨金庫を収容しているケーシングの扉46、および紙幣金庫48を収容しているケーシングの扉の開閉状態に応じて、コインホッパー状態表示エリア74、紙幣払出機状態表示エリア75、紙幣金庫状態表示エリア76、硬貨払出装置状態表示エリア77、および硬貨金庫状態表示エリア78の背景色の明度が変化する。すなわち、前扉センサ61、横扉センサ62、ホッパー扉センサ65、硬貨金庫扉センサ66および紙幣金庫扉センサ67は、前扉12、横扉13、コインホッパー42を収容しているケーシングの扉43、硬貨金庫を収容しているケーシングの扉46、および紙幣金庫48を収容しているケーシングの扉の開閉状態に応じた検出信号をCPU51に出力する。CPU51はこれら検出信号に基づいて、各扉の開閉状態を認識し、各扉の開閉状態に応じて案内画像中の各エリア74ないし78の背景色の明度を変化させる。
【0061】
具体的には、すべての扉が閉じているときには、CPU51は、図8に示すように、案内画像中のエリア74ないし78の背景色の明度をすべて最も明るい第1の明度にする。すべての扉が閉じている状態から横扉13だけが開いたときには、CPU51は、横扉13が開いただけで直ちに操作することができる金銭収容装置の位置を示すエリアの背景色の明度を第1の明度にし、横扉13を開き、さらにケーシングの扉を開いたら操作することができる金銭収容装置の位置を示すエリアの背景色の明度を第1の明度よりも暗い第2の明度にし、前扉12を開かなければ操作することができない金銭収容装置の位置を示すエリアの背景色の明度を第2の明度よりも暗い第3の明度にする。具体的には、すべての扉が閉じている状態から横扉13だけが開いたときには、CPU51は、図9に示すように、硬貨払出装置44の位置を示す硬貨払出装置状態表示エリア77の背景色の明度を上記第1の明度にし、コインホッパー42および硬貨金庫45の位置をそれぞれ示すコインホッパー状態表示エリア74および硬貨金庫状態表示エリア78の背景色の明度を上記第2の明度(ハッチングにより表示)にし、紙幣払出装置47および紙幣金庫48の位置を示す紙幣払出機状態表示エリア75および紙幣金庫状態表示エリア76の背景の明度を上記第3の明度(黒く塗りつぶして表示)にする。横扉13が開き、さらに、コインホッパー42を収容するケーシングの扉43が開いたときには、CPU51は、コインホッパー状態表示エリア74の背景色の明度を上記第1の明度にする。硬貨金庫状態表示エリア78についても同様である。
【0062】
また、すべての扉が閉じている状態から前扉12だけが開いたときには、CPU51は、前扉12が開いただけで直ちに操作することができる金銭収容装置の位置を示すエリアの背景色の明度を上記第1の明度に設定し、前扉12を開き、さらにケーシングの扉を開いたら操作することができる金銭収容装置の位置を示すエリアの背景色の明度を上記第2の明度に設定し、横扉13を開かなければ操作することができない金銭収容装置の位置を示すエリアの背景色の明度を上記第3の明度に設定する。具体的には、すべての扉が閉じている状態から前扉12だけが開いたときには、CPU51は、紙幣払出装置47の位置を示す紙幣払出機状態表示エリア75の背景の明度を上記第1に明度に設定し、紙幣金庫48の位置を示す紙幣金庫状態表示エリア76の背景の明度を上記第2の明度に設定し、コインホッパー42、硬貨払出装置44および硬貨金庫45の位置をそれぞれ示すコインホッパー状態表示エリア74、硬貨払出装置状態表示エリア77および硬貨金庫状態表示エリア78の背景色の明度を上記第3の明度に設定する。前扉12が開き、さらに、紙幣金庫48を収容するケーシングの扉が開いたときには、CPU51は、紙幣金庫状態表示エリア76の背景色の明度を上記第1の明度にする。
【0063】
なお、エリア74ないし78の背景色の明度を変化させても、コインホッパー状態表示エリア74における硬貨の収容数を示す数値、紙幣払出機状態表示エリア75における紙幣の補充数および収容数を示す数値、紙幣金庫状態表示エリア76における紙幣の保管数を示す数値、硬貨払出装置状態表示エリア77における硬貨の補充数および収容数を示す数値、および硬貨金庫状態表示エリア78における硬貨の保管数を示す数値は、明るい状態で明確に表示する。
【0064】
このような構成を有する駐車料金精算機81によっても、上述した第1の実施形態による駐車料金精算機1とほぼ同様の作用効果を得ることができる。さらに、駐車料金精算機81によれば、管理者等による各扉の開閉操作に応じて、操作可能な金銭収容装置を案内画像において明示することができる。したがって、管理者等は、各扉の開閉状態や、その時点で直ちに操作可能な金銭収容装置、またはその時点で直ちに操作することができない金銭収容装置等を容易に認識することができ、管理作業をより一層円滑に行うことができる。
【0065】
なお、上述した第2の実施形態では、各扉の開閉状態に応じて、各エリア74ないし78の背景色の明度を変化させる場合を例に挙げたが、本発明はこれに限らず、各扉の開閉状態に応じて、各エリア74ないし78の表示の鮮明さまたは色合い等を変化させてもよい。
【0066】
また、本発明の技術内容からはさらに様々な金銭処理機の操作性や視認性を改善する応用技術が想達され、例えば補充する硬貨や紙幣の投入枚数などの状況がすぐに把握できるように、各収納部に「満タン」、「近満タン」などを文字フラッシュするような表示方法を採用することで、連続して硬貨を投入する場合などは、あとどのくらい入れれば良いのかの判断がつき易く、入れすぎてしまって再度回収するといった無駄な作業が発生しにくくなる。また、収納枚数をバーメータ上の表示を兼用することでわりやすくすることも容易である。
【0067】
また、上述したようにアニメーションや内部状態のリアルタイムな変化で表示した画面状態の推移を、例えば通信制御部63を介して中央監視装置に送信することで、管理者が係員の金銭処理に掛かる作業の実態を把握でき、作業者によって予想よりも時間長く掛かるとかの何が原因を突き止めることも可能であり、作業者の不正も未然に防止することができる。
【0068】
また、このような動画による作業内容のデータ送信に際しては、実際に表示した内容の動画データを送信する必要がない。動画データを送信する場合にはネットワークに相当な負荷を与えるとともに、送信中の駐車料金精算機の他の動作が緩慢になる可能性がある。そこで本発明の駐車料金精算機では、表示内容の履歴データを逐次保管し、その履歴データのみ送信すれば、中央の管理装置において容易に表示画面状態を再生(再現)することができる。また、他の精算機や汎用のPCにおいても動画再生することも容易に可能であり、データの送受信にはUSB(Universal Serial Bus)メモリ等を使用することも有効であり、データを容易に持ち運びすることも可能となる。
【0069】
また、本発明は、駐車料金精算機に限らず、他のサービスの料金の精算を自動的に行う料金精算機、物品の販売を自動的に行う自動販売機等といった他の金銭処理機にも適用することができる。
【0070】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う金銭処理機もまた本発明の技術思想に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、例えば駐車料金精算機や自動券売機等として利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1、81 駐車料金精算機(金銭処理機)
11 筐体
12 前扉
13 横扉
21、82 表示装置
21A、82A 表示画面
23 硬貨投入口(金銭挿入口)
24 紙幣挿入口(金銭挿入口)
25 紙幣払出口(金銭排出口)
26 つり銭/領収証取出口(金銭排出口)
42 コインホッパー
42A、42B 収容部
43 扉
44 硬貨払出装置
44A〜44E 収容部
45 硬貨金庫
46 扉
47 紙幣払出装置
48 紙幣金庫
51 CPU
74 コインホッパー状態表示エリア
74A、74B 収容部
75 紙幣払出機状態表示エリア
76 紙幣金庫状態表示エリア
77 硬貨払出装置状態表示エリア
77A〜77E 収容部
78 硬貨金庫状態表示エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金銭挿入口から挿入された金銭を内部に収容し、または内部に収容された金銭を金銭排出口から排出することによって物品の販売またはサービス料金の精算に係る金銭の受け渡しを自動的に行う金銭処理機であって、
前記金銭挿入口および前記金銭排出口を備えた筐体と、
前記筐体内の所定の位置にそれぞれ配置され、前記金銭をそれぞれ収容する複数の金銭収容装置と、
表示画面を有する表示装置と、
画像を生成し、当該画像を前記表示装置の表示画面に表示させる表示制御手段と、
一般利用者との間で物品の販売またはサービス料金の精算に係る金銭の受け渡しを行うための一般利用モードと、管理者が管理作業を行うための管理モードとを切り換えるモード切換手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記管理モード時に、前記筐体内における前記複数の金銭収容装置間の相対的な位置関係を示す案内画像を生成し、当該案内画像を前記表示装置の表示画面に表示させることを特徴とする金銭処理機。
【請求項2】
前記複数の金銭収容装置のうちの少なくとも1つは、複数種類の金銭を当該種類ごとに分けて収容する複数の収容部を有し、
前記表示制御手段は、前記各収容部に収容される金銭の種類および前記複数の収容部間の相対的な位置関係を示す案内画像を生成し、当該案内画像を前記表示装置の表示画面に表示させることを特徴とする請求項1に記載の金銭処理機。
【請求項3】
前記筐体は、閉時に当該筐体の内部と外部との間を遮断し、開時に当該筐体の内部と外部との間を連通させる複数の扉を有し、
前記表示制御手段は、前記複数の扉のうちの一の扉が開き他の扉が閉じているときに、前記案内画像において、前記複数の金銭収容装置のうち、前記一の扉が開いた状態で操作することができる位置に配置されている金銭収容装置の位置を示す画像と、他の金銭収容装置の位置を示す画像との表示態様を相互に異ならせることを特徴とする請求項1または2に記載の金銭処理機。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記複数の扉のうちの一の扉が開き他の扉が閉じているときに、前記案内画像において、前記複数の金銭収容装置のうち、前記一の扉が開いた状態で操作することができる位置に配置されている金銭収容装置の位置を示す画像と、他の金銭収容装置の位置を示す画像との鮮明さ、色合いまたは色の明度を相互に異ならせることを特徴とする請求項3に記載の金銭処理機。
【請求項5】
前記複数の金銭収容装置のうちの少なくとも1つは、閉時に当該金銭収容装置の内部と外部との間を遮断し、開時に当該金銭収容装置の内部と外部との間を連通させる扉を有する扉付き金銭収容装置であり、
前記表示制御手段は、前記扉付き金銭収容装置の扉が閉じているときと開いているときとで、前記案内画像において当該扉付き金銭収容装置の位置を示す画像の表示態様を変化させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の金銭処理機。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記扉付き金銭収容装置の扉が閉じているときと開いているときとで、前記案内画像において当該扉付き金銭収容装置の位置を示す画像の鮮明さ、色合いまたは色の明度を変化させることを特徴とする請求項5に記載の金銭処理機。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記案内画像において、前記各収容部に収容されている金銭の枚数を示す数値を当該収容部の位置を示す画像と対応する位置に表示させることを特徴とする請求項2に記載の金銭処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−37983(P2012−37983A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175700(P2010−175700)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】