説明

針交換装置

【課題】使用の前後に複数の針を格納する、針の供給/格納装置を提供する。
【解決手段】薬物送達デバイスと連結する、針を格納および交換するための装置であって、内側ハウジング108と、内側ハウジング内に配置されたリザーバ148と、薬物送達デバイスの薬物容器をリザーバ148と流体連結するための、内側ハウジング108内に配置された針用ホルダ124とを備える装置を開示する。その装置はまた、針用ホルダ124に移動可能に配置された複数の患者用の針128と、複数の患者用の針128のうちの1つを個別に選択し、選択した針をリザーバ148と連結し、選択した針を注射のために装置の外側に露出し、選択した針を格納するようにユーザインターフェースを提供するための、内側ハウジング108の周りに移動可能に配置された外側ハウジング104も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペン型注射デバイスまたはシリンジなどの薬物送達デバイス用の針に関し、より詳細には、薬物送達デバイス用の複数の針を交換する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、35USC§119(e)の下で2010年8月16日出願の米国仮特許出願第61/344,525号の優先権を主張するものであり、その文献の全体が参照により本明細書に援用される。
【0003】
薬物送達デバイスは、正確に測定した投与量の薬を自己注射するために使用される。ペン型注射デバイスは、例えば、糖尿病患者がインシュリンを自己注射するために広く使用されている。典型的な薬物送達ペンは、数回分の投与量に十分な量の液体の薬を収容するカートリッジを含む。ペン型注射デバイスに取り付けられたペン用の針を使用すると、筋肉内組織の層、皮下組織の層、または皮内組織の層などの組織領域にその投与量が注射される。
【0004】
典型的なペン型注射デバイスの組み立ておよび動作は、本発明の譲受人に譲渡された2006年10月12日公開の特許文献1に記載されており、その文献の全体が参照により本明細書に援用される。
【0005】
図1および図2に示す例示的なペン型注射器50などのペン型注射デバイスは、典型的には、投与ノブ/ボタン24、外側スリーブ13、およびキャップ21を備える。投与ノブ/ボタン24により、ユーザは注射する薬の投与量をセットすることができる。外側スリーブ13は、薬を注射するときにユーザによって把持される。キャップ21は、ペン型注射器50をシャツのポケット、バッグ、または他の適切な位置に安全に保持するためにユーザによって用いられる。
【0006】
図2は、図1に示す例示的なドラッグ送達ペン50の分解図である。投与ノブ/ボタン24には、2つの用途があり、注射する薬の投与量をセットすると共に、下側ハウジング17を介してドラッグ送達ペンに取り付けられた薬物カートリッジ12から、親ねじ7およびストッパ15によって投与する薬物を注射するために使用される。薬物カートリッジ12は、典型的には、一端が隔壁16でシールされ、他端がストッパ15でシールされたガラス管である。標準的なドラッグ送達ペンでは、投与機構および送達機構は全て外側スリーブ13内にある。これらの機構は、当業者によって理解されているのでここではさらに詳細には説明しない。
【0007】
ペン/針アセンブリ10が、ハブ20と、ペン/針アセンブリの患者側の端部から延びる患者用の針11と、ペン/針アセンブリの患者側ではない側でハブ20内に配置された隔壁−貫通針カニューレ18とを含む。隔壁−貫通針カニューレ18は、患者用の針11と流体連絡している。ハブ20は、好ましくは、下側ハウジング17にねじ込まれるが、薬物カートリッジ12に直接取り付けるなど、他の取り付け手段を使用することができる。ハブ20を下側ハウジング17または薬物カートリッジ12に取り付ける際に、隔壁−貫通カニューレ18は隔壁16を穿刺するが、隔壁16は、薬物カートリッジ12に対して動かない。しかし、ストッパ15は、流体密封シールを維持しながら薬物カートリッジ12内で軸方向に移動可能である。プランジャすなわちストッパ15が薬物カートリッジ12内で(親ねじ7の前進により)遠位に移動すると、薬がハブ20の患者用の針11の中に押しやられる。
【0008】
ユーザまたはペン型注射器50を扱う人を保護するには、ハブ20に取り付けられた外側シールド29がハブ20をカバーする。外側シールド29をハンドルまたはグリップとして使用して、ハブ20をねじってペン型注射器50に留めるか、またはそれから外すこともできる。内側シールド28が、外側シールド29内で患者用の針11をカバーする。締まり嵌めまたはスナップ嵌めなど、任意の適切な手段によって患者用の針11をカバーするように、内側シールド28をハブ20に固定することができる。図2に示すように、ハブ20は、外側シールド29に係合するためのリブ64も含む。外側シールド29および内側シールド28は使用前に取り外される。キャップ21は、ユーザがペン型注射デバイス50を安全に運ぶことができるように、外側スリーブ13にぴったり嵌まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0229562号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ペン/針アセンブリ10を使用するには、ユーザは、外側シールド29上の無菌カバーを取り外し、ペン/針アセンブリ10をペン型注射器50上でひねり、外側シールド29を取り外し、次いで、最後に内側シールド28を取り外す。ペン/針アセンブリ10をペン型注射器50上に配置するのを助ける針格納デバイスがいくつかあるが、ユーザは、なお、針/ハブをペン型注射器上に配置し注射のためにデバイスを準備するために、内側および外側のシールド28および29を含む針/ハブの包装を取り除かなければならない。このプロセスを注射のたびに繰り返さなければならない。
【0011】
ペン/針アセンブリは、通常、ラベル付きの(外側シールド29など)プラスチックのカバー内に個別に包装されて販売されており、そのカバーは、無菌バリアを設けるようにカバー内で開口部をカバーしている。使用の前後に複数の針を格納する、針の供給/格納装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、針を交換するための装置を提供することである。また、本発明の一態様は、針の使用前ならびに使用後にそれらの針を格納するための装置を提供することである。さらに、本発明の一態様は、薬物送達デバイスと連結する、針を交換するための装置を提供することである。
【0013】
本発明の前述の態様および/または他の態様は、薬物送達デバイスと連結する、針を格納および交換するための装置であって、内側ハウジングと、内側ハウジング内に配置されたリザーバと、薬物送達デバイスの薬物容器をリザーバと流体連結するための、内側ハウジング内に配置された針用ホルダとを含む装置を提供することによって実現される。その装置はまた、針用ホルダに移動可能に配置された複数の患者用の針と、複数の患者用の針のうちの1つを個別に選択し、選択した針をリザーバと連結し、選択した針を注射のために装置の外側に露出し、選択した針を格納するようにユーザインターフェースを提供するための、内側ハウジングの周りに移動可能に配置された外側ハウジングも含む。
【0014】
本発明の前述の態様および/または他の態様はやはり、薬物容器を有する薬物送達デバイス用の針を選択する方法であって、薬物送達デバイスを、針を格納および交換するための装置に連結する動作と、薬物容器と装置の内側ハウジング内のリザーバとの間に流体連絡を設ける動作と、装置の外側ハウジングを内側ハウジングに対して回転させて、内側ハウジング内に配置された針用ホルダに可動式に配置された複数の針のうちの1つを選択する動作とを含む方法を提供することによって実現される。その方法はさらに、外側ハウジングを内側ハウジングに対して軸方向遠位に薬物送達デバイスから離れる方に移動させ、それにより、複数の針のうちの選択した1つの針をリザーバと流体連結させ、選択した針の患者側の端部を装置の外側に露出する動作と、外側ハウジングを軸方向近位に移動させて、選択した針を内側ハウジング内に再収容する動作とを含む。
【0015】
本発明の前述の態様および/または他の態様はやはり、薬物送達デバイスと連結する、針を格納および交換するための装置であって、内側ハウジングと、内側ハウジング内に配置されたリザーバと、薬物送達デバイスの薬物容器をリザーバと流体連結するための、内側ハウジング内に配置された針用ホルダとを含む装置を提供することによって実現される。その装置はさらに、針用ホルダに移動可能に配置された複数の患者用の針と、複数の患者用の針のうちの1つを選択するために内側ハウジングに対して回転可能であり、選択した針をリザーバと連結し、選択した針を注射のために装置の外側に露出し、選択した針を内側ハウジング内に再収容するために内側ハウジングに対して軸方向に移動可能である、外側ハウジングとを含む。
【0016】
本発明の追加の態様および/または他の態様、ならびに利点は、以下の説明に一部を記載し、その説明から一部が明らかになり、または本発明を実施することによってそれらを習得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の上記の態様および/または他の態様、ならびに実施形態は、添付の図面を併せて、以下の詳細な説明から明らかになり、より簡単に理解されるであろう。
【図1】例示的なドラッグ送達ペンの斜視図である。
【図2】図1の例示的なドラッグ送達ペンの分解図である。
【図3】本発明の一実施形態による針交換デバイスの斜視図である。
【図4】図3の針交換デバイスの分解斜視図である。
【図5】図3の針交換デバイスの、図3の線5−5に沿った断面斜視図である。
【図6】図3の針交換デバイスの針の斜視図である。
【図7】図3の針交換デバイスの針の代替的実施形態を示す斜視図である。
【図8】図3の針交換デバイスの針の代替的実施形態を示す斜視図である。
【図9】図3の針交換デバイスの針の代替的実施形態を示す斜視図である。
【図10】図3の針交換デバイスの針の代替的実施形態を示す斜視図である。
【図11】図3の針交換デバイスの針の代替的実施形態を示す斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態による、図11の針を用いる針交換デバイスの断面斜視図である。
【図13】図1のペン型注射器および図3の針交換デバイスの接続前の斜視図である。
【図14】図1のペン型注射器および図3の針交換デバイスの接続した状態の斜視図であり、それらの動作の概要を示す。
【図15】図1のペン型注射器および図3の針交換デバイスの接続した状態の斜視図であり、それらの動作の概要を示す。
【図16】図1のペン型注射器および図3の針交換デバイスの接続した状態の斜視図であり、それらの動作の概要を示す。
【図17】図3の針交換デバイスの動作をより詳細に示す部分切欠斜視図である。
【図18】図3の針交換デバイスの動作をより詳細に示す部分切欠斜視図である。
【図19】図3の針交換デバイスの動作をより詳細に示す部分切欠斜視図である。
【図20】図3の針交換デバイスの動作をより詳細に示す部分切欠斜視図である。
【図21】図3の針交換デバイスの動作をより詳細に示す部分切欠斜視図である。
【図22】図3の針交換デバイスの動作をより詳細に示す部分切欠斜視図である。
【図23】図3の針交換デバイスの動作をより詳細に示す部分切欠斜視図である。
【図24】図3の針交換デバイスの動作をより詳細に示す部分切欠斜視図である。
【図25】図3の針交換デバイスの動作をより詳細に示す部分切欠斜視図である。
【図26】図3の針交換デバイスの動作をより詳細に示す部分切欠斜視図である。
【図27】図3の針交換デバイスの動作をより詳細に示す部分切欠斜視図である。
【図28】図3の針交換デバイスの動作をより詳細に示す部分切欠斜視図である。
【図29】図3の針交換デバイスの動作をより詳細に示す部分切欠斜視図である。
【図30】図3の針交換デバイス用の第1の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図31】図3の針交換デバイス用の第1の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図32】図3の針交換デバイス用の第2の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図33】図3の針交換デバイス用の第3の代替的無菌バリアを示す断面斜視図である。
【図34】図3の針交換デバイス用の第3の代替的無菌バリアを示す斜視図である。
【図35】図3の針交換デバイス用の第4の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図36】図3の針交換デバイス用の第4の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図37】隔壁プレートの斜視図である。
【図38】図37の隔壁プレートを用いる、図3の針交換デバイス用の第4の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図39】図3の針交換デバイス用の第5の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図40】図3の針交換デバイス用の第5の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図41】図3の針交換デバイス用の第5の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図42】図3の針交換デバイス用の第5の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図43】図3の針交換デバイス用の第6の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図44】図3の針交換デバイス用の第6の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図45】図3の針交換デバイス用の第7の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図46】図3の針交換デバイス用の第7の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図47】図3の針交換デバイス用の第8の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図48】図3の針交換デバイス用の第8の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図49】図3の針交換デバイス用の第9の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図50】図3の針交換デバイス用の第10の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図51】図3の針交換デバイス用の第11の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図52】図3の針交換デバイス用の第12の代替的無菌バリアの断面斜視図である。
【図53】本発明の別の実施形態による、ペン型注射デバイスおよび針交換デバイスの斜視図である。
【図54】図53の針交換デバイスの斜視図である。
【図55】図53の針交換デバイスの分解斜視図である。
【図56】図53の針交換デバイスの断面斜視図である。
【図57】図53の針交換デバイスの針の斜視図である。
【図58】図53の針交換デバイスのチャネルディスクの底面斜視図である。
【図59】図53の針交換デバイスのアダプタチャネルの上面断面斜視図である。
【図60】図3の針交換デバイスまたは図53の針交換デバイスと共に使用するための最後の針である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を詳細に参照し、それらの実施形態の例を添付の図面に示す。同様の参照番号は全体を通して同様の要素を指す。本明細書で説明する実施形態は、図面を参照することによって本発明を例示するが、限定するものではない。当業者には理解されるように、up(上)、down(下)、bottom(底部)、およびtop(上部)などの用語は相対的なものであり、図示を助けるために用いており、限定するものではない。
【0019】
図3は、本発明の一実施形態による、ペン型注射器(図示せず)に連結するように構成された針交換デバイス100の斜視図である。簡潔にするために、「針交換デバイス100」の代わりに、本明細書で以下に語句「交換デバイス100」を使用する。図3に示すように、交換デバイス100は、外側ハウジング104、内側ハウジング108、およびカウンタリング保持器112を含む。外側ハウジング104は、ユーザインターフェースを提供し、内側ハウジング108に対して可動式に配置されている。カウンタリング保持器112は、(以下でさらに詳細に説明する)針カウンタまたはカウンタリング116を保持し、交換デバイス100中の残りの未使用の針の数を見るための窓120がその中に配置されている。
【0020】
図4は、交換デバイス100の分解斜視図である。外側ハウジング104、内側ハウジング108、およびカウンタリング保持器112に加えて、図4に示すように、交換デバイス100は、針カウンタ116、針用ホルダ124、(分かり易くするために、図4に示すのは単一の針128のみであるが)複数の針128、セルフシール式の環状のリザーバの隔壁132、リザーバのプレート136、およびセルフシール式の患者側の端部の隔壁140も含む。リザーバのプレート136は、その中に凹所を有し、リザーバの隔壁132と共にリザーバ148を形成する。
【0021】
図4には図示せず、以下でさらに詳細に説明するが、針用ホルダ124は、ペン型注射器50の薬物カートリッジ12など、ペン型注射器の薬物カートリッジとリザーバ148を連結するための(図5で見ることができる)管腔部材または隔壁貫通針カニューレ144も含む。他のペン型注射器を使用できることを当業者は理解するが、簡潔にするために、本明細書で以下に、例示的なペン型注射器としてペン型注射器50を使用する。
【0022】
交換デバイス100を組み立てる方法が、リザーバの隔壁132を針用ホルダ124の底部に挿入する動作と、リザーバのプレートを針用ホルダ124中にかつリザーバの隔壁132上に挿入してリザーバ148を形成する動作とを含む。その方法はまた、複数の針128を針用ホルダ124に挿入する動作と、複数の針128の患者側の端部を患者側の端部の隔壁140に挿入する動作と、カウンタリング116およびカウンタリング保持器112を針用ホルダ124の上部に挿入する動作と、患者側の端部の隔壁140が内側ハウジング108の患者側の端部に配置されるように針用ホルダ124を内側ハウジング108中に挿入する動作と、内側ハウジング108およびカウンタリング保持器112を外側ハウジング104内に挿入する動作とを含む。
【0023】
図5は、図3の線5−5に沿った交換デバイス100の断面斜視図である。図5に、針用ホルダ124の外側に沿って円周方向に配列された複数の針128を示す。図5に示すように、リザーバのプレート136は、リザーバの隔壁132と共にリザーバ148を形成する。交換デバイス100の患者側ではない側の端部が、例えば、ねじ山156を用いてペン型注射器50を交換デバイス100にねじ込むことによってペン型注射器50を交換デバイス100に連結するための空間152を含む。さらに、隔壁貫通針カニューレ144により、リザーバ148が空間152と流体連結する。ペン型注射器50が交換デバイス100に連結されると、隔壁貫通針カニューレ144により、リザーバ148が薬物カートリッジ12と流体連結する。
【0024】
さらに、図5に示すように、患者側の端部の隔壁140は、交換デバイス100の患者側の端部に配置される。格納中は、使用前にも後にも、それぞれの針128の患者側の端部は、患者側の端部の隔壁140内に配置される。したがって、患者側の端部の隔壁148は、針128のための無菌バリアを提供する。同様に、使用前にも後にも、それぞれの針128の患者側ではない側の端部は、リザーバの隔壁132内に配置され、それにより、無菌バリアが提供される。
【0025】
図6に示すように、耳形の針128は、患者用部分160と、隔壁を貫通する部分(以下、隔壁貫通部分)164と、隔壁貫通部分164と患者用部分160を流体連結させる連結部分168とを含む。患者用部分160および隔壁貫通部分164の両方が、実質的に同じ方向を指している。すなわち、患者用部分160および隔壁貫通部分164は、互いに実質的に平行であり、実質的に同じ方向を向いている。言い換えると、患者用部分160および隔壁貫通部分164は両方とも、交換デバイス100の患者側の端部を指している。
【0026】
図5に戻ると、上記で説明した針の形状により、リザーバの隔壁132は、典型的なカートリッジの隔壁の方向に対して逆になっている。したがって、隔壁貫通部分164は、リザーバの隔壁132を上から貫通する。図6に示すように、また以下でさらに詳細に説明するように、連結部分168の(針用ホルダ124に対して)外側には、連結部分168上に針の上側隆起部172および下側隆起部174が配置されている。
【0027】
一実施形態によれば、患者用部分160および貫通部分164の両方が、金属、例えば、鋼またはステンレス鋼から形成されている。あるいは、患者用部分160および貫通部分は、プラスチックから形成することができる。さらに、一実施形態によれば、連結部分168は、プラスチック、例えば、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)から形成される。さらに、一実施形態によれば、連結部分168は、例えば、医療用の接着剤によって、患者用部分160および貫通部分164を連結部分168に取り付けることによって、単一のユニットとして一体に形成される。
【0028】
図7〜図10は、交換デバイス100の針の代替的実施形態を示す斜視図である。図7では、対向する2つの側面の部品176および178が、隔壁用の針180および患者用の針184を捕捉することによって一緒にシールされる。隔壁用の針180は、患者のインターフェースとはならないので、金属、あるいは、プラスチックから形成することができる。さらに、代替的実施形態(図示せず)では、隔壁用のプラスチック製の針180を、対向する2つの側面の部品176および178のいずれかに組み込むこともでき、隔壁用のプラスチック製の針180の対合する半分をそれぞれ側面の部品176および178上に配置することができる。側面の部品176および178はそれぞれ、内部に窪んだチャネルを有する。側面の部品176および178が(例えば、医療用の接着剤、または熱もしくは放射線によって)一緒にシールされると、凹所によって、隔壁用の針180と患者用の針184との間に流体用通路が形成される。
【0029】
図8に、湾曲した針192上に針用レセプタクル188がオーバーモールドされた実施形態を示す。図9に示すように、隔壁用の針200と患者用の針204との間に流体の通路を設けるチューブ196が、針用レセプタクル212の凹所208にクリップ留めされる。それらの2つの針は、チューブ196、あるいはレセプタクル212に結合されている。図10では、薄い半分の部品216および220が隔壁用の針224および患者用の針228を覆うように結合され、流体用通路が隔壁用の針224と患者用の針228との間に設けられ、針232が作られる。
【0030】
図11は、交換デバイス100用の針の別の代替的実施形態の斜視図である。図11に示すように、針232は、隔壁側の端部236および患者側の端部240を有する単一の針である。隔壁側の端部236は、リザーバの隔壁132を穿刺し、それにより、リザーバ148と患者側の端部240とを流体連結するためのものである。針232は、リザーバ240に対して針232を動かすための針用レセプタクル244も含む。図12は、本発明の一実施形態による、図11の針を用いる針交換デバイスの断面斜視図である。図12に、針232の展開の前の交換デバイス100の状態を示す。図12に示すように、針232の隔壁側の端部236は、リザーバの隔壁132を貫通し、患者側の端部240は、患者側の端部の隔壁140を貫通する。さらに、外側ハウジング104は、針用レセプタクル244に係合されており、したがって、以下でさらに詳細に説明するように、針232は展開の準備ができている。
【0031】
図13は、ペン型注射器50および交換デバイス100の接続前の斜視図である。ペン型注射器50を交換デバイス100と連結するには、一実施形態によれば、ユーザは、例えば、ねじ山156を使用してペン型注射器50を交換デバイス100にねじ込む。
【0032】
図14〜図16は、ペン型注射器50および交換デバイス100の接続した状態の斜視図であり、それらの動作の概要を示す。図14に示すように、ユーザはまず、外側ハウジング104を回転させて、未使用の針、例えば、針128または針232を選択する。それに続いて、図15に示すように、ユーザは、軸方向にペン型注射器50から離れる方に外側ハウジング104を動かし、それにより、針128を露出させる。すなわち、ユーザは、外側ハウジング104を下に、すなわちペン型注射器50に対して遠位に摺動させて、針128を露出する。薬物を供給した後で、図16に示すように、ユーザは、外側ハウジング104をペン型注射器50に向かって動かし、それにより、針128を再収容する。言い換えると、ユーザは、外側ハウジング104を上に、すなわち、ペン型注射器50に対して近位に摺動させて、針128を引き抜き、それにより、効果的かつ安全に使用済みの針128を格納する。
【0033】
次に、交換デバイス100の動作を図17〜図29に関してより詳細に考察する。図17に示すように、針用ホルダ124は、針用ホルダ124の周りに径方向に配列された、軸方向のスロット248を複数含む。カウンタリング保持器112は回転防止部材252を含む。一実施形態によれば、回転防止部材252は片持ちアーム256を備え、片持ちアーム256の自由端にはロッキングヘッド260が配置されている。外側ハウジング104は、カウンタリング保持器112の隆起部264(例えば、図4参照)と接続され、そのため、カウンタリング保持器112が外側ハウジング104と一緒に回転する。ユーザが外側ハウジング104を回転させて次の未使用の針128を選択するときに、回転防止部材252が、次の未使用の針128に対応する軸方向のスロット248中に摺動する。より具体的には、片持ちアーム256の付勢下で、ロッキングヘッド260は、図18に示すように、軸方向のスロット248中に摺動し、それに係合する。ロッキングヘッド260が軸方向のスロット248と係合すると、外側ハウジング104およびカウンタリング保持器112の円周方向の回転が防止される。
【0034】
やはり図18(ならびに、図3)に示すように、外側ハウジング104は、針128の一部に選択的に係合するための係合アーム268を含む。図19に示すように、係合アーム268は歯272を有する。歯272は、上部276および底部280を有する。上部276は実質的に平坦であり、底部280は、平坦な部分およびベベル状部分を有する。ユーザが外側ハウジングを軸方向にペン型注射器50から離れる方に動かすと、図20に示すように、歯272の底部280の平坦な部分は、針の下側隆起部174の上部に係合し(図6も参照)、それにより、針128を軸方向にペン型注射器50から離れる方に押しやる。このように針128が軸方向に動くと、針128の隔壁貫通部分164が、リザーバの隔壁132を完全に貫通してリザーバ148中に入る。
【0035】
さらに、針128がこのように軸方向に動くと、針128の患者用部分160が患者側の端部の隔壁140を通って完全に貫通し、図21に示すように、交換デバイス100の外側に延びる。したがって、外側ハウジング104の軸方向のストロークは、患者用部分160とリザーバ148との間に流体連結をもたらす。一実施形態によれば、針128の患者用部分160は、患者への注射を容易にするために潤滑剤がその上に配置されている。やはり図21に示すように、内側ハウジング108は、針128の軸方向の動きを案内するスロット284を複数含む。さらに、針128の露出した患者用部分160は、交換デバイス100の中心に対して径方向に移動している。すなわち、針128の露出した患者用部分は中心からずれている。
【0036】
針128の患者用部分160が完全に延びると、ユーザが外側ハウジング104を軸方向にペン型注射器50から離れる方に動かし続けるときに、図22に示すように、歯272の底部280のベベル状部分により、係合アーム268の歯272が針の下側隆起部174上を摺動する。歯272が針の下側隆起部174の底部から離れると、片持ち式の係合アーム268が径方向内側にカチッと戻って、図23に示すように歯272の上部276が針の下側隆起部174の底部に係合する。
【0037】
交換デバイス100を初めて使用するときは、ユーザはデバイス100に呼び水をして、薬物の1滴または数滴を針128の患者用部分160から押し出して、流体用通路をテストし、確実に流体用通路中の気泡をなくす。こうした呼び水によりチャンバ148が充填され、したがって、デバイス100の使用中のさらなる呼び水は実質的に不要である。呼び水中の薬物の浪費を最小限に抑えるためには、リザーバ148の体積を最小にする。外側ハウジング104がストロークの底部に到達したら、ユーザは所望の体積の薬物を注射する。
【0038】
図24に示すように、外側ハウジング104の下側部分にはリリーフスロット288が複数あり、そのため、外側ハウジング104がそのストロークの底部に到達するときに、外側ハウジング104の下側部分は、内側ハウジング108の円周方向のハブ292上を越え、径方向外側に弾性変形する。こうした弾性変形は外側ハウジング104を付勢して、後続の外側ハウジング104の(軸方向にペン型注射器50に向かう)上への動きが容易になる。
【0039】
薬物を投与した後で、ユーザは、外側ハウジング104を軸方向にペン型注射器50に向かって動かして、針128の患者用部分160を患者側の端部の隔壁140内に再収容し、隔壁貫通部分164をリザーバの隔壁132に対して移動させ、そのため、針128の隔壁貫通部分164はもはやリザーバ148中に延びていない。
【0040】
図25を参照すると、ユーザが外側ハウジング104を軸方向にペン型注射器50に向かって動かすときは、係合アーム268と針の下側隆起部174の底部との間の係合により、針の上側隆起部172の上部がカウンタリング保持器112の隆起部264の下側部分296に係合する。一実施形態によれば、隆起部264の下側部分296は片持ち式である。図25に示すように、下側部分296はベベル状部分300および保持部分304を有する。外側ハウジング104が針128を軸方向にペン型注射器50に向かって動かすと、針の上側隆起部172の上部がベベル状部分300に係合して、隆起部264を偏向(すなわち、弾性変形)させて、下側部分296を径方向外側に移動させる。
【0041】
針128をさらに軸方向上側に動かすと、外側ハウジング104がそのストロークの上部に到達するときに、針の上側隆起部172が隆起部264の下側部分296を通過し、その下側部分296が径方向内側にカチッと戻り、そのため、図26に示すように保持部分304が針の上側隆起部172の底部に係合する。さらに、このように針128がさらに軸方向上側に動くことにより、針128の上部が、カウンタリング保持器112の回転防止部材252のロッキングヘッド260に係合しそれを移動させ、それにより、ロッキングヘッド260が軸方向のスロット248に対するロック位置から係合解除される。
【0042】
さらに、分かり易くするために図26では省略しているが、図27に示すように、外側ハウジング104がそのストロークの上部に到達するときに、針128の上部が内側ハウジング108の保持クリップ308に到達して、残りの未使用の針128に対して軸方向に上昇した位置に使用済みの針128を保持する(使用済みの針128および未使用の針128の相対位置に関しては図26参照)。保持クリップ308が針128を保持することにより、その針128が次の未使用の針として選択されることが防止され、それにより、その針128の再使用が防止される。
【0043】
図28を参照すると、針128の軸方向上向きの動きによってロッキングヘッド260は軸方向のスロット248に対してロック姿勢から自由になっているので、ユーザは外側ハウジング104およびカウンタリング保持器112を再度円周方向に回転させることができる。ユーザが外側ハウジング104およびカウンタリング保持器112を回転させると、ロッキングヘッド260のベベル面312が軸方向のスロット248の側面に接触して、ロッキングヘッドが上方向に動き、片持ちアーム256がエネルギーを蓄える。ロッキングヘッド260が軸方向のスロット248の縁部から離れると、ユーザが外側ハウジングを続けて回転させることで回転防止部材252が次の軸方向のスロットに動いて、図29に示すように次の未使用の針128を選択する。
【0044】
一実施形態によれば、ユーザは、外側ハウジング104を約15°回転させて、次の未使用の針128を選択する。しかし、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、回転の他の増加分を用いることができると理解するであろう。さらに、上記で説明した実施形態では隣接する針128が順次選択されているが、順次選択される針が隣接している必要がないことを当業者は理解するであろう。例えば、次の未使用の針として、1つおき、または2つおきの針128を選択して、外側ハウジングの回転の範囲をより大きくして、患者のインターフェースに対する所望の患者の感覚に対応することができる。こうした実施形態では、未使用の針を全て使い果たすのに、外側ハウジングを2または3回完全に回転させることができる。針カウンタ上の針の計数は、当然、適切に変更する必要がある。
【0045】
さらに、上記で説明した実施形態の計数システムは針の数に関して数え上げているが、本発明の範囲から逸脱することなく、交換デバイス100が残りの未使用の針の数を反映するように逆に計数できることが理解されよう。
【0046】
図30および図31は、交換デバイス100用の第1の代替的無菌バリアの断面斜視図である。図30に示すように、複数のチューブ316がそれぞれ、複数の針128の底部分の周りに配置されている。内側隔壁320が内側ハウジング108の底部に配置されており、非再シール性の膜324が内側隔壁320の底部をカバーしている。内側隔壁320は環状のスナップ328を有し、そのスナップ328は内側隔壁320をガイド332内に固定する。ガイド332は、チューブ316がガイド332を通るときにそれを案内するために貫通孔を有する。
【0047】
動作の際には、展開前に、チューブ316がそれぞれ、針128のうちの皮膚を貫通しない部分をカバーし、そのため、無菌の患者用部分160のみが空気にさらされる。展開の際には、針128が交換デバイス100の外側に露出するときに、チューブ316は針128と一緒に下に動く。患者用部分160がその下方向に動き続けて、膜324を穿刺し、交換デバイス100の外側に露出されるときに、チューブ316の底部は、内側隔壁320中に埋め込まれたままになる。それに続いて、針128が軸方向にペン型注射器50に向かって動くときは、図31に示すように、チューブ316は内側隔壁320に埋め込まれたままになり、未使用の針が汚染から保護される。
【0048】
図32は、交換デバイス100用の第2の代替的無菌バリアの断面斜視図である。図30および図31の実施形態と同様に、内側隔壁336が内側ハウジング108の底部に配置されており、非再シール性の膜340が内側隔壁336の底部をカバーしている。さらに、内側隔壁336は環状のスナップ344を有し、そのスナップ344は内側隔壁336をガイド348内に固定する。ガイド348は、針128を案内するために貫通孔を有する。さらに、複数のチューブ352が複数の針128に対応している。しかし、それらのチューブ352は、少なくとも1つのバンド356によって互いに連結されており、内側隔壁336中で固定して配置されている。チューブ352が内側隔壁336中で固定して配置されているので、チューブ352によって未使用の針128が汚染から保護される。動作の際には、針128は固定したチューブ352に対して動く。
【0049】
図33は断面斜視図であり、図34は斜視図であり、両図とも交換デバイス100用の第3の代替的無菌バリアを示す。図33に示すように、針128の患者用部分160は、中空のシリンダ360内に収容されており、そのシリンダ360は、内側ハウジング108の底部で柔軟な隔壁364に接触している。作動時には、図33および図34に示すように、シリンダ360は、膜すなわち隔壁364を穿刺して、露出する患者用部分160のための通路を開ける。患者用部分160はシリンダ360に接触しない。図34に示す一実施形態によれば、隔壁364は、穿刺を容易にするために+形またはX形(十字形)のミシン目を有する。
【0050】
図35および図36は、交換デバイス100用の第4の代替的無菌バリアの断面斜視図である。図35に示すように、鋭利な特徴部368が内側ハウジング108の床に複数配置されている。内側ハウジング108の床は、鋭利な特徴部368それぞれの内部に対応する貫通孔370を有する。患者用部分160の周りの無菌バリアは、剛体のプラスチックシェル372であり、そのシェル372は患者用部分160に接触しない。剛体のプラスチックシェル372は、例えば、PE製またはPP製でよい。動作の際には、図36に示すように、ユーザが外側ハウジング104を介して針128を軸方向にペン型注射器50から離れる方に動かすときに、鋭利な特徴部368はシェル372を穿刺し、患者用部分160は孔370を通って延びる。
【0051】
一実施形態によれば、鋭利な特徴部368およびシェル372は、同様に隔壁貫通部分164に応用される。例えば、図37に示すように、リザーバの隔壁132の上部に配置された環状の隔壁プレート374上には、鋭利な特徴部368が複数配置されている。この実施形態では、鋭利な特徴部は円錐台または切頭円錐である。本発明の範囲から逸脱することなく、鋭利な特徴部に他の形状が可能であることを当業者は理解するであろう。動作の際には、図38に示すように、ユーザが外側ハウジング104を介して針128を軸方向にペン型注射器50から離れる方に動かすときに、鋭利な特徴部368はシェル372を穿刺し、隔壁貫通部分164はセルフシール式のリザーバの隔壁132中にそれを通って延びる。
【0052】
図39〜図42は、交換デバイス100用の第5の代替的無菌バリアの断面斜視図である。図39〜図42に、剛体のプラスチック無菌バリア376を示し、その無菌バリア376は、針が内側ハウジング108の床と係合する間に一部分が壊れる。剛体のプラスチックバリア376は、例えば、PE製またはPP製でよい。一実施形態によれば、バリア376は、リビングヒンジを介して患者用部分160のハブと一体になっている。一実施形態によれば、無菌バリア376は、隔壁貫通部分164に同様に応用することができ、リザーバの隔壁132は、リザーバの隔壁132に孔が予め存在しないことを除き、内側ハウジング108の床と同様にして機能する。
【0053】
図43および図44は、交換デバイス100用の第6の代替的無菌バリアの断面斜視図である。図43に示すように、患者用部分160にはハブ380が配置されており、ハブ380には無菌バリア384が摺動可能に配置されている。動作の際には、図44に示すように、ユーザが外側ハウジング104を介して針128を軸方向にペン型注射器50から離れる方に動かすときに、バリア384が内側ハウジング108の床に接触すると、バリア384がハブ380を上に摺動させることによって折り畳まれる。バリア384が折り畳まれるときに、患者用部分160は、バリア384を穿刺し、内側ハウジング108の床の孔388を通って延びる。一実施形態によれば、ハブ380およびバリア384は、同様に隔壁貫通部分164に応用され、リザーバの隔壁132は、リザーバの隔壁132に孔が予め存在しないことを除き、内側ハウジング108の床と同様にして機能する。
【0054】
図45および図46は、交換デバイス100用の第7の代替的無菌バリアの断面斜視図である。図45に示すように、患者用部分160上にはハブ392が配置されており、ハブ392上には無菌バリア396が配置されている。動作の際には、図46に示すように、ユーザが外側ハウジング104を介して針128を軸方向にペン型注射器50から離れる方に動かすときに、バリア396が内側ハウジング108の床に接触すると、バリア396は折り畳まれ、患者用部分160は、バリア396を穿刺して、内側ハウジング108の床の孔388を通って延びる。一実施形態によれば、ハブ392およびバリア396は、同様に隔壁貫通部分164に応用され、リザーバの隔壁132は、リザーバの隔壁132に孔が予め存在しないことを除き、内側ハウジング108の床と同様にして機能する。
【0055】
図47および図48は、交換デバイス100用の第8の代替的無菌バリアの断面斜視図である。図47に示すように、患者用部分160上にはハブ400が配置されており、ハブ400上には無菌バリア404が配置されている。バリア404は、ベロー408および端部の部品412を含む。一実施形態によれば、その端部の部品412は紙製である。動作の際には、図48に示すように、ユーザが外側ハウジング104を介して針128を軸方向にペン型注射器50から離れる方に動かすときに、バリア404が内側ハウジング108の床に接触すると、ベロー408が折り畳まれ、患者用部分160が端部の部品412を穿刺して、内側ハウジング108の床の孔388を通って延びる。一実施形態によれば、無菌バリア404は、同様に隔壁貫通部分164に応用され、リザーバの隔壁132は、リザーバの隔壁132に孔が予め存在しないことを除き、内側ハウジング108の床と同様にして機能する。
【0056】
図49は、無菌バリア416が外側ハウジング104の回転中に切り取られる、交換デバイス100用の第9の代替的無菌バリア416の部分断面斜視図である。一実施形態によれば、バリア416は紙のバリア416である。図49に示すように、外側ハウジング104は切り取りアーム420を有し、その切り取りアーム420は内側ハウジング108中を下に延びている。分かり易くするために、針128を1つしか示していない。切り取りアーム420には、その遠位端にブレード424が配置されている。外側ハウジング104の回転中に、そのブレードが、次の未使用の針128の無菌バリア416をスライスして開くか、または剥ぎ取る。
【0057】
図50は、交換デバイス100用の第10の代替的無菌バリア428の部分断面斜視図である。分かり易くするために、単一の針128の患者側の端部しか示していない。無菌バリア428は、内側ハウジング108の遠位端に配置された無菌の床432と、針128の患者側の端部の一部分の周りに配置された針用のハブ136と、イントロデューサ440とを含む。一実施形態によれば、無菌の床432は隔壁432である。あるいは、無菌の床432は、プラスチックハウジングの床、穿刺可能な薄いフォイルの床、またはフォイルもしくはフィルムを閉じ込めた床である。イントロデューサ440は、ショルダ444と、少なくとも1つの内側に突出する円周方向の隆起部448とを有し、その隆起部448は、針用のハブ436の円周方向の窪み452に選択的に係合する。さらに、イントロデューサ440は、ベベル状の遠位の切り取り先端部またはたがね456を有する。イントロデューサ440は、例えば、金属製またはプラスチック製でよい。
【0058】
図50に中間の動作を示すように、針128が遠位に移動するときは、円周方向の隆起部448と円周方向の窪み452との間の摩擦係合により、遠位の切り取り先端部456は、無菌の床432の一部分を切り取る。こうした切り取った後に、針128を続けて遠位に移動させることでショルダ444が無菌の床432に係合すると、針128がさらに遠位に移動することにより、円周方向の窪み452が円周方向の隆起部448から係合解除され、針用のハブ436がイントロデューサ440に対して遠位に移動し、それにより、針128の遠位端が交換デバイス100の外側に露出される。針128を内側ハウジング108内に再収容するときは、針用のハブ436およびイントロデューサ440は針のストロークの遠位端で有する相対位置を維持する。
【0059】
一実施形態によれば、イントロデューサ440の遠位の切り取り先端部456は、イントロデューサ440の遠位端の外周に沿って配置されている。別の実施形態によれば、遠位の切り取り先端部456は、イントロデューサ440の遠位端の外周の一部分にのみ(例えば、180°または270°)配置されている。こうした実施形態では、イントロデューサ440は、針128がデバイス100の外側に露出されるときに外側に折り畳まれるフラップを形成する。こうした実施形態はまた、粒子(例えば、無菌の床432から全体に切除された部片)が交換デバイス100から落ちることも防止する。
【0060】
図51は、交換デバイス100用の第11の代替的無菌バリア460の部分断面斜視図である。分かり易くするために、単一の針128の患者側の端部しか示していない。無菌バリア460は、針128の患者側の端部の一部分に沿って配置された針用のハブ464と、イントロデューサ468と、ブーツ472とを含む。針用のハブ164は少なくとも1つの円周方向の窪みを含み、その窪みは、イントロデューサ468上の対応する円周方向の隆起部480と選択的に係合する。イントロデューサ468は、ショルダ484およびベベル状の遠位の切り取り先端部またはたがね488も有する。
【0061】
図51に示すように、内側ハウジング108の床には、複数の針128それぞれに対応する貫通開口部492がある。それらの開口部492は、内側ハウジング108の中心軸から径方向に間隔をあけて配置されている。
【0062】
図51に中間の動作を示すように、針128が遠位に移動するときは、円周方向の隆起部480と円周方向の窪み476との間の摩擦係合、ならびにイントロデューサ468とブーツ472との間の摩擦係合により、ブーツ472が内側ハウジング108の床に接触するまで、無菌バリア460は針128と一緒に進む。
【0063】
針128を続けて遠位に移動することで、ブーツ472とイントロデューサ468との間の摩擦が克服され、遠位の切り取り先端部488がブーツ472の床を切り、ショルダ484がブーツ472の近位端に接触するまで針128と一緒に遠位に進む。針128をさらに遠位に移動させることで、円周方向の窪み476と円周方向の隆起部480との間の摩擦が克服され、針128の遠位端が、遠位の切り取り先端部488によって切り取られたブーツ472の開口部を通り、内側ハウジング108の床の開口部492を通って交換デバイス100の外側に露出される。針128を内側ハウジング108内に再収容するときは、針用のハブ464、イントロデューサ468、およびブーツ472は、針のストロークの遠位端で有する相対位置を維持する。
【0064】
図52は、交換デバイス100用の第12の代替的無菌バリア500の部分断面斜視図である。分かり易くするために、単一の針128の患者側の端部しか示していない。無菌バリア500はブーツ504を含む。図52に示すように、内側ハウジング108の床には、複数の針128のそれぞれに対応する貫通開口部508がある。それらの開口部508は、内側ハウジング108の中心軸から径方向に間隔をあけて配置されている。
【0065】
図52に中間の動作を示すように、針128が遠位に移動するときは、ブーツ504は、内側ハウジング108の床に接触するまで針128と共に進む。さらに遠位に移動することで、針128は、ブーツ500を穿刺し、開口部508を通して交換デバイス100の外側に露出される。一実施形態によれば、内側ハウジング108の床はカラー512も含み、そのカラー512は、ブーツ504を案内するためのベベル状の近位の縁部を有する。針128を内側ハウジング108内に再収容するときは、ブーツ504は、針のストロークの遠位端で有する相対位置を維持する。
【0066】
図53は、ペン型注射器50および本発明の別の実施形態による針交換デバイス520(簡潔にするために、本明細書では以下、交換デバイス520)の斜視図である。交換デバイス100と比較すると、交換デバイス520は外形が小さい。好都合な格納のために、キャップ524が交換デバイス520をカバーし、交換デバイス520はペン型注射器50に連結されている。
【0067】
図54は交換デバイス520の斜視図であり、図55は交換デバイス520の分解斜視図であり、図56は交換デバイス520の断面斜視図である。図54、図55、および図56に示すように、交換デバイス520は、交換デバイス520をペン型注射器50、外側ハウジング536、および内側ハウジング540と連結するアダプタ524を含む。外側ハウジング536は、内側ハウジング540に対して回転し軸方向に移動する。内側ハウジング540の底部の床544は、内側ハウジング540内に配置された複数の針552にそれぞれ対応する貫通開口部548を複数含む。
【0068】
さらに、交換デバイス520はアダプタカニューレ532を含み、そのアダプタカニューレ532は、アダプタ528、上部の隔壁556、チャネルディスク560、アダプタチャネル564、およびリザーバの隔壁568に連結されている。針カウンタおよび針選択機構など、交換デバイス520の他の詳細は、簡潔かつ明確にするために省略する。以下でさらに詳細に説明する顕著な除外事項以外は、交換デバイス520は、上記で説明した交換デバイス100と実質的に同様に機能する。
【0069】
図57は、交換デバイス520の針552の斜視図である。針128との比較で最も顕著なことは、針552が実質的に直線的であることである。針552は、リザーバの隔壁568を穿刺しリザーバと連絡するための隔壁部分572と、選択機構と相互作用するハブまたは係合部分576と、患者の皮膚を穿刺するための、隔壁部分572と流体連絡している患者用部分580とを含む。一実施形態によれば、針552の近位端は、以下でさらに詳細に説明するリザーバ604と連絡するために開いている。別の実施形態によれば、針552の近位端は閉じており、側方の開口部が、リザーバ604との連絡のために針552の近位端から遠位に間隔をあけて配置されている。
【0070】
図58は、チャネルディスク560の底部斜視図である。図58に示すように、チャネルディスク560は中心アパーチャ584を含み、その中心アパーチャ584はアダプタカニューレ532と連絡することができ、そのアダプタカニューレ532はペン型注射器50の薬物カートリッジ12と連絡する。チャネルディスク560はまた、複数の針552にそれぞれ対応する複数の貫通開口部588と、中心アパーチャ504と連結し、やはり複数の針552にそれぞれ対応する複数の径方向チャネル592とを含む。
【0071】
図59は、アダプタチャネル564の上面断面斜視図であり、アダプタチャネル564は、その床を通る複数の開口部596と、複数の開口部596と流体連絡する、対応する複数の径方向チャネル600とを有する。複数の開口部596および複数の径方向チャネル600は、複数の針552にそれぞれ対応する。図58および図59を併せて参照すると、径方向チャネル592および600は協働してリザーバ604を形成する。
【0072】
図55および図56に戻ると、針552を選択する前に、針552の隔壁用部分572は、隔壁用部分572の近位端が上部の隔壁556内に配置されるように隔壁568、開口部596、および開口部588を貫通し、そのため隔壁用部分572の近位端のための無菌のバリアが提供される。上記で説明した無菌バリアは、複数の針552の患者用部分580の遠位端のための無菌のバリアとして働く。
【0073】
針552が選択されると、外側ハウジング536の遠位への移動により、選択した針552が遠位に移動する。針552の遠位のストロークの終わりに、選択した針の隔壁用部分572(したがって、患者用部分580)は、リザーバ604と流体連絡し、それにより、薬物カートリッジからアダプタカニューレ532、アダプタ528、リザーバ664、および選択した針552を通って患者に至る薬物の注射が可能になる。それに続いて、外側ハウジング536が近位に移動するのと共に、選択した針552が近位に移動して、患者用部分580を内側ハウジング540内に再収容し、隔壁用部分572の近位端を上部の隔壁556内に再収容する。
【0074】
一実施形態によれば、ユーザが外側ハウジング104または536を回転させて次の針を選択した後には、所与の針200または552を再使用することができない。しかし、緊急の状況に対応するために、ユーザが、例えば、複数の針のうちの最後の針にアクセスしそれを再使用できるように役立つ。図60に、交換デバイス100または交換デバイス520と共に使用する最後の針620を示す。図60に示すように、最後の針620は、針選択用機構と相互作用して最後の針620に繰り返しアクセスできるようにする構造624を有する。一実施形態によれば、その構造624は針の上側隆起部624である。ただし、図6に示す針200とは異なり、最後の針620の針の上側隆起部624は、その遠位面に面取り箇所628を有する。したがって、こうした面取り箇所628によって、隆起部264のベベル状部分300は、例えば、最後の針620に対して近位に移動することができ、そのため、遠位への移動、したがって、再使用のために、最後の針620を再度選択することができる。
【0075】
上記で説明した実施形態はペン型注射デバイスに言及しているが、シリンジなど、他の薬物注射デバイスと共に本発明の実施形態を使用できることも当業者には理解されよう。
【0076】
ペン型注射器用の典型的なペン/針アセンブリを交換するには、ペンに装着しペンから取り外すためにユーザによる6つのステップが行われる。さらに、ユーザは、ペン/針アセンブリを操作するときに誤って針を突き刺すことがある。本発明の実施形態は、収容式、効率的、かつユーザフレンドリに針を交換する新規の手段を提供する。配列した針を、交換デバイス内に収めるか、典型的なペンの端部に取り付けるか、または同様に特別に設計した送達デバイスに組み込む。交換デバイス自体が、ユーザが使用する新しい針を採用するために、外部のツイストダイヤル(例えば、外側ハウジング104)を有する。次いで、そのダイヤルを、ペン型注射器に対して遠位方向に押すことができる。ユーザがダイヤルまたは外側ハウジングを遠位に押すときに、新しい針の近位端は、隔壁アダプタを穿刺して、ペンのカートリッジへの流体用通路を開け、新しい針の遠位端は、送達場所に挿入するために露出される。送達が完了すると、ユーザは単純にダイヤルを近位に引っ張って、露出した針を収容する。そこで、ユーザは、ダイヤルを次の針まで前進させ、再度プロセスを開始することができる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態では、アダプタは、普通なら典型的な注射ペンの遠位端に向いている典型的なカートリッジの隔壁の方向を変更する。こうしたアダプタは、組み込まれた針でカートリッジの隔壁に孔を開けながら、ペンの直径の周りでリング形の隔壁にクランプ留めされる。近位にペンに対して上に向くこのリング形の隔壁と、カートリッジの孔との間には、流体用の小さい空隙が作られる。針はフック形であり、これはリング形の隔壁を穿刺するのに使用される方の端部が180°曲がっていることを意味し、そのため、その端部が針の遠位端と実質的に同じ方向に延びる。この形状により、ペンの周りで円周方向に針を格納することが可能になる。一実施形態によれば、選択する前に、針は全て、逆向きの隔壁に部分的に挿入されている。別の実施形態によれば、選択する前に、どの針も逆向きの隔壁に挿入されていないが、各針は、針の選択時に逆向きの隔壁に挿入する準備ができている。この部分的な挿入は、無菌バリアならびにデバイス中に針を確実に固定する手段として働く。径方向にダイヤルを回すときに、径方向のダイヤルのセレクタの特徴部が個々の針に係合する。垂直にペンの下方向にダイヤルを動かすことによって、フック形の針は、逆向きの隔壁を穿刺し、針自体がデバイスの遠位端に組み込まれた別の隔壁を通って露出する。ダイヤルまたは外側ハウジングを引っ張ることによって、針が収容され、名目上の格納状態に戻る。
【0078】
現在、市場には完全に自動の針交換デバイスはない。針の格納、針の取り付け、針の取り外し、および針の廃棄を含む針交換プロセスの個々のステップを助けるデバイスの多くの例があるが、これらのデバイスはいずれも針交換プロセスを1つのデバイスに組み込んでいない。
【0079】
針をペンの円周の周りに格納することによって、ユーザは、かさばる注射「キット」を運ぶことを避けることができる。デバイスを組み込むことによって、全ての針をペンによって格納することができる。さらに、一実施形態によれば、このデバイスは、新しい針を無菌状態で格納して、無菌バリアとして働く隔壁内に針を格納する。これにより、新しい針の横に使用済みの針を格納することが可能になる。したがって、デバイスは、使用済みの鋭利なものの容器として機能することもできる。
【0080】
煩わしく潜在的に危険な針の取り付けを、ユーザにとってより簡単にする。本発明の実施形態のインターフェースは、典型的なペン/針用のハブよりもユーザフレンドリである。本発明の場合は、ユーザは、ダイヤルをインターフェースとし、ひねることで新しい針を前進させ、ペン型注射器を上方向に引き上げること(外側ハウジングまたはダイヤル上に下方向に押し下げること)で隔壁を穿刺する。ペン型注射器に使用される現行の針の場合は、ユーザは、針の容器の上部を取り外し、針をペン上でひねり、針の容器を取り外し、次いで最後に針のキャップを取り外さなければならない。針用のハブをペン上に配置するのを助ける何らかの針格納デバイスがあるが、ユーザは、なお、内側の針のシースを含む、針用のハブの包装を取り除いて、針用のハブを典型的なペン型注射器上に配置し、注射のために準備しなければならない。本発明の実施形態の場合は、小型の鋭利な針用のハブに対する典型的な4つの細かいステップを減らして、人間工学的なユーザインターフェースに対する直感的な3つのステップにすることができる。
【0081】
針の取り除きおよび廃棄を、本発明の実施形態によって単純化することもできる。使用後にペンから針を取り外すのを助ける多くのデバイスがあり、それらのデバイスには、針をクリップ留めするデバイス、およびペン本体から針を引っ張る鋭利なものの容器が含まれる。しかし、これらのデバイスは本発明の実施形態よりも使用するのが煩わしい。本発明の実施形態の場合は、ユーザは、単純にダイヤルを近位にペンに対して上に摺動させて、露出した針を自動的に再収容することができる。
【0082】
本発明の実施形態は、針交換プロセスを単一のデバイスに組み込むことができる。針の格納、針の取り付け、針の取り外し、および針の廃棄を、今では単一のシステムによって実現することができる。いくつかの実施形態では、フック形の針を、デバイスの外周に沿って配置し、逆向きの隔壁中に挿入する。他の実施形態では、直線の針を、同様に、デバイスの外周に沿って配列する。ユーザが外部のダイヤルを回すと、垂直に動く特徴部が、新しい針に向かって動く。ユーザがこのダイヤルを遠位に押すときは、選択した針は、リザーバの隔壁を穿刺して、流体用通路が開く。さらに、遠位の隔壁(無菌バリア)に針を埋めることができる。選択した針は、遠位の隔壁を穿刺して、注射のためにその針自体を露出させる。ユーザがダイヤルを引き上げるときに、針はデバイス中に引き戻される。
【0083】
一実施形態によれば、手動による針の後退は、薬の送達を感知する手段として針シールド(図示せず)をデバイス中に組み込むことによって自動化することができる。別の実施形態によれば、針シールドは、安全装置として働き、シールドがデバイス中に圧縮されるまで針の遠位端からの流体の流れを防止することができる。さらに別の実施形態(図示せず)によれば、針のシールドをデバイス中に圧縮すると、ばねの復帰を引き起こして、針をデバイス中に自動的に後退させることができる。
【0084】
本発明の実施形態では、針アセンブリ全体は、プラスチックチューブから作製することができ、針を作動させて隔壁を穿刺するために、両端に取り付けた金属の針、および特徴部を有する。対照的に、直線の金属の針が所望の形状に曲げられた実施形態では、曲げた点では、曲げ半径が小さいと、針の内径がわずかに小さくなる場合がある。このように内径が小さくなると、注射圧力が上昇する恐れがある。しかし、本発明の例示的な実施形態の曲げ半径は、こうした注射圧力の上昇を最小限に抑えるのに十分に大きいと考えられる。代替形態としては、曲げた後に所望の内径を実現するように内径がより大きい金属針を用いることができるが、この部分により、デバイスの製造費用が高くなり、針の外径が患者にとって望ましくないものになる可能性がある。それでも、プラスチック製チューブおよび金属製の針の実施形態では、高い注射圧力を防止し、針の所望の外径を有する針を実装し、針アセンブリをより単純に製造することができる。
【0085】
本発明の例示的な実施形態では、針交換デバイスに格納された新しい針(すなわち、注射のために使用する前の針)はそれぞれ、個別に無菌であり、それにより、使用済みの針による新しい針の汚染が防止される。例えば、無菌バリアは新しい針それぞれに提供される。
【0086】
本発明の別の例示的な実施形態では、使用済みの針はそれぞれ、アクセス可能なままであり、そのため、ユーザは、緊急の場合に使用済みの針へのアクセスを有する。あるいは、使用済みの針のうち、最後に使用した針のみが常にアクセス可能であり、それにより、緊急の場合に利用可能な針が提供される。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態のみを示し説明してきたが、本発明は、説明した実施形態に限定されるものではない。そうではなく、本発明の原理および精神から逸脱することなくそれらの実施形態を変更でき、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲およびその等価物によって定義されることが当業者には理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスと連結する、針を格納および交換するための装置であって、
内側ハウジングと、
前記内側ハウジング内に配置されたリザーバと、
前記薬物送達デバイスの薬物容器を前記リザーバと流体連結するための、前記内側ハウジング内に配置された針用ホルダと、
前記針用ホルダに移動可能に配置された複数の患者用の針と、
前記複数の患者用の針のうちの1つを個別に選択し、前記選択した針を前記リザーバと連結し、前記選択した針を注射のために前記装置の外側に露出し、前記選択した針を格納するようにユーザインターフェースを提供するための、前記内側ハウジングの周りに移動可能に配置された外側ハウジングと
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記針用ホルダが、前記薬物送達デバイスの前記薬物容器を前記リザーバと流体連結させるための管腔部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記リザーバがリザーバの隔壁を備え、
患者用の針がそれぞれ、患者の皮膚を穿刺するための患者用部分と、前記リザーバと連絡するための、前記患者用部分と流体連絡した隔壁用部分とを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
選択した針の患者用部分の端部が前記リザーバと連絡して、前記リザーバから前記患者用部分への前記薬物用の通路を設けることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
選択した針の患者用部分のうちの前記患者用部分の端部から間隔をあけて配置された部分が、前記リザーバと連絡して、前記リザーバから前記患者用部分への薬物用の通路を設けることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記隔壁用部分のうちの少なくとも一部分が前記リザーバの隔壁と常に接触することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記患者用部分の端部および前記隔壁用部分の端部が、同じ方向に向いていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記患者用部分の端部および前記隔壁用部分の端部が、反対方向を向いていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項9】
前記患者用の針が実質的に耳形であることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項10】
前記患者用の針が実質的に直線であることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項11】
前記外側ハウジングが、選択した患者用の針を選択し移動させるための選択機構を備え、
各患者用の針がさらに、前記選択機構と相互作用するための係合部分を備えることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項12】
前記係合部分が、前記患者用部分と前記隔壁用部分との間に配置されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記係合部分が、前記選択機構と相互作用するための径方向の隆起部を少なくとも2つ備えることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記複数の針が最後の針を含み、前記最後の針が、前記選択機構と相互作用し前記最後の患者用の針に繰り返しアクセスできるようにする構造を有することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記外側ハウジングが、前記内側ハウジングに対して円周方向かつ軸方向に移動することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項16】
針カウンタと、
前記外側ハウジングと一緒に回転するカウンタリング保持器と
をさらに備え、
前記針用ホルダが、前記患者用の針の移動を案内するための、前記患者用の針に対応する、径方向に配列された複数の軸方向のスロットを備え、
前記カウンタリング保持器が、前記選択した針に対応する前記スロットに係合して、前記選択した針が露出する前に前記外側ハウジングおよび前記カウンタリング保持器の回転を防止するための回転防止部材を備える
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記選択機構が、前記選択した針の前記係合部分に係合するための片持ち式の係合アームを備えることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記片持ち式の係合アームが、前記選択した針の前記係合部分に係合するように、径方向に内側の突出する歯を有し、
遠位方向に前記薬物送達デバイスから離れる方に、前記外側ハウジングが軸方向に移動すると、前記選択した針が同じ方向に移動して、前記選択した針と前記リザーバとの間に流体連絡が設けられ、前記選択した針の前記患者側の端部が注射のために前記装置の外側に露出されることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記外側ハウジングが軸方向に前記遠位方向にさらに移動すると、前記歯が前記係合部分上を摺動し、前記係合部分の遠位部分に係合することを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記外側ハウジングが、少なくとも1つのリリーフスロットを有し、そのため、前記外側ハウジングがそのストロークの遠位端に達するときに、前記外側ハウジングの遠位部分が、前記内側ハウジングの円周方向のハブ上を通過し、径方向外側に弾性変形して、前記外側ハウジングを付勢して、後続の前記外側ハウジングの近位への移動が容易になることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
後続の前記外側ハウジングの近位への移動により、前記内側ハウジング内の前記選択した針の前記患者側の端部が引き出され、前記リザーバと前記選択した針との間の流体連絡が中断され、前記回転防止部材が前記選択した針に対応する前記スロットから係合解除され、それにより、前記外側ハウジングの円周方向の回転および別の患者用の針の選択が可能になることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記装置の前記外側に露出する前に各針の前記患者用部分を確実に無菌にする無菌バリアをさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項23】
前記無菌バリアが、前記内側ハウジングの遠位端に配置された患者側の端部の隔壁を備えることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記無菌バリアが、
前記ハウジングの遠位端に配置された無菌の床と、
前記針の前記患者用部分の一部分の周りに配置された針用のハブと、
前記針用のハブに対して摺動可能なイントロデューサと
を備え、
前記イントロデューサが、前記無菌の床の一部分を切り取る遠位の切り取り先端部と、前記無菌の床を切り取った後に前記無菌の床に係合するための近位のショルダとを有し、
前記近位のショルダと前記無菌の床との間の係合の後に、前記針がさらに遠位に移動すると、前記針用のハブを前記イントロデューサに対して遠位に移動させ、前記患者用部分の端部を前記装置の前記外側に露出することを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記無菌バリアが、
前記針の前記患者用部分の一部分の周りに配置された針用のハブと、
前記針用のハブに対して摺動可能なイントロデューサと、
前記イントロデューサに対して摺動可能なブーツであって、ブーツの遠位端に無菌の床を有する、ブーツと
を備え、
前記イントロデューサが、前記無菌の床の一部分を切り取る遠位の切り取り先端部と、前記ブーツに係合するための近位のショルダとを有し、
前記針が遠位に移動する間に、前記ブーツと前記内側ハウジングの床とが接触した後に、前記イントロデューサが前記ブーツに対して遠位に移動し、前記無菌の床を切り取り、
前記近位のショルダと前記ブーツとが係合した後に、前記針がさらに遠位に移動すると、前記針用のハブが前記イントロデューサに対して遠位に移動し、前記患者用部分の端部を前記装置の前記外側に露出することを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項26】
前記無菌バリアが、前記針の前記患者用部分の遠位端に配置されたブーツを備え、
前記針が遠位に移動する間に、前記ブーツと前記内側ハウジングの床とが接触した後に、前記針が、前記ブーツの遠位端を穿刺し、前記内側ハウジングの前記床の開口部を貫通して、前記患者用部分の端部を前記装置の前記外側に露出させることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項27】
薬物容器を有する薬物送達デバイス用の針を選択する方法であって、
前記薬物送達デバイスを、針を格納および交換するための装置に連結するステップと、
前記薬物容器と前記装置の内側ハウジング内のリザーバとの間に流体連絡を設けるステップと、
前記装置の外側ハウジングを前記内側ハウジングに対して回転させて、前記内側ハウジング内に配置された針用ホルダに可動式に配置された複数の針のうちの1つを選択するステップと、
前記外側ハウジングを前記内側ハウジングに対して軸方向遠位に前記薬物送達デバイスから離れる方に移動させ、それにより、前記複数の針のうちの選択した1つの針を前記リザーバと流体連結させ、前記選択した針の患者側の端部を前記装置の外側に露出するステップと、
前記外側ハウジングを軸方向近位に移動させて、前記選択した針を前記内側ハウジング内に再収容するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
前記外側ハウジングを前記内側ハウジングに対して回転させて、前記複数の針のうちの別の1つの針を選択するステップをさらに含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
薬物送達デバイス用の針を格納および交換するための装置であって、
内側ハウジングと、
前記内側ハウジング内に配置されたリザーバと、
前記薬物送達デバイスの薬物容器を前記リザーバと流体連結するための、前記内側ハウジング内に配置された針用ホルダと、
前記針用ホルダに移動可能に配置された複数の患者用の針と、
前記複数の患者用の針のうちの1つを選択するために前記内側ハウジングに対して回転可能であり、前記選択した針を前記リザーバと連結し、前記選択した針を注射のために前記装置の外側に露出し、前記選択した針を前記内側ハウジング内に再収容するために前記内側ハウジングに対して軸方向に移動可能である、外側ハウジングと
を備えることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【公開番号】特開2012−50821(P2012−50821A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−177949(P2011−177949)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】