釣り用リールの糸長表示装置
【課題】糸長を表示するカウンタにおいて、釣り糸の巻き付き具合に応じて糸長を簡単な操作で補正できるようにする。
【解決手段】カウンタ4は、釣り糸の糸長LNを仕掛けの水深として表示する。カウンタ4は、糸長計測手段及び表示制御手段を有するリール制御部30と、表示部5と、記憶操作手段及び補正操作手段を有するスイッチ操作部6と、記憶部43と、を備えている。糸長計測手段は、スプールセンサからの回転位置データと糸長との関係に基づき、回転位置データから糸長を計測する。表示制御手段は、計測された糸長を表示部5に表示させる。記憶操作手段の操作により、リール制御部30は、表示部5に表示された糸長に関連する補正糸長ALDを記憶部43に記憶し、その後の補正操作手段の操作により糸長計測手段により計測された糸長を、記憶部43に記憶された補正糸長に基づいて補正する。
【解決手段】カウンタ4は、釣り糸の糸長LNを仕掛けの水深として表示する。カウンタ4は、糸長計測手段及び表示制御手段を有するリール制御部30と、表示部5と、記憶操作手段及び補正操作手段を有するスイッチ操作部6と、記憶部43と、を備えている。糸長計測手段は、スプールセンサからの回転位置データと糸長との関係に基づき、回転位置データから糸長を計測する。表示制御手段は、計測された糸長を表示部5に表示させる。記憶操作手段の操作により、リール制御部30は、表示部5に表示された糸長に関連する補正糸長ALDを記憶部43に記憶し、その後の補正操作手段の操作により糸長計測手段により計測された糸長を、記憶部43に記憶された補正糸長に基づいて補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用リールの表示装置、特に、釣り用リールのリール本体に装着されるスプールから繰り出されるあるいは巻き取られる釣り糸の糸長を表示する釣り用リールの糸長表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
両軸受リールや電動リール等の釣り用リールにおいて、スプールから繰り出されるあるいは巻き取られる釣り糸の糸長により仕掛けの水深を表示する糸長表示装置を備えたものが知られている。糸長表示装置を設けることで仕掛けを正確に同じ棚位置に下ろしたり、投げ釣り時に仕掛けの飛距離を表示できたりする。
【0003】
この種の糸長表示装置は、スプール回転時のスプールから繰り出された糸長を計測する糸長計測部と、糸長計測部で計測された糸長を仕掛けの水深として表示する例えば液晶ディスプレイからなる水深表示部とを有している。糸長計測部は、スプールの回転位置から糸長を算出している。なお、スプールの糸巻径は、スプールへの巻き初めからの回転位置や糸の太さに応じて変化し、スプール1回転あたりの糸長は糸巻径により変化する。したがって、従来、スプール回転数や糸の太さを考慮してスプール回転数から糸長を算出するようにしている。
【0004】
具体的には、スプールの単位回転当たりの糸長がスプール回転数の一次関数に近似できることに着目して、糸長検出器を用いずに糸長とスプール回転数との関係を算出する技術がすでに提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の技術では、巻終わりの所定長での糸長とスプール回転数とを学習し、巻終わりのスプール総回転数と所定長と巻き付け開始径と所定長でのスプール回転数により一次関数の傾きを求め、切片を巻き付け開始径(通常はスプールの糸巻部分の外径)から求めて、求められた傾きと切片とから一次関数を決定している。そして、この一次関数を巻き初めから現在までのスプール回転数で積分処理することで糸長、つまり水深を算出できる。このような構成の糸長表示装置では、糸長検出器を用いる必要がないので、学習が容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−225632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の構成の糸長表示装置では、糸長検出器を用いる必要がないので、学習が容易である。しかし、学習時と実釣時の張力の違いから低張力で巻き取ると釣り糸がそれより下に巻いてある釣り糸の間に入り込まず、糸巻径が大きくなってしまう。また、高張力で巻き取ると逆に糸巻径が小さくなってしまう。この状態で釣り糸を巻き取ると船べり近くでは既に仕掛けが水面に近い「0」なのに表示値は大きくなる又は小さくなることがある。このような状態で水面での0セットを行なうと、前記従来の構成では、0セットは一次関数の傾きをそのままにして、0の位置をシフトするだけなので、次に仕掛けを投入した際には実際の糸長よりも短い又は長い数値が表示されてしまう。
【0007】
本発明の課題は、スプール回転位置データと糸長との関係に基づいて糸長を表示する装置において、スプールへの釣り糸の巻き付き具合に応じて関係を簡単な操作で補正できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明1に係る釣り用リールの糸長表示装置は、釣り用リールのリール本体に装着されるスプールから繰り出されるあるいは巻き取られる釣り糸の糸長を表示する装置である。糸長表示装置は、糸長計測手段と、表示器と、表示制御手段と、記憶操作手段と、記憶手段と、補正操作手段と、を備えている。糸長計測手段は、スプールの回転位置データを検出する回転位置データ検出手段を有し、検出された回転位置データと糸長との関係に基づき、回転位置データから糸長を計測する。表示器は、糸長を表示可能である。表示制御手段は、計測された糸長を表示器に表示させる。記憶操作手段は、表示器に表示された糸長に関連する補正糸長を記憶する操作を行うための手段である。記憶手段は、記憶操作手段が操作されたときに補正糸長を記憶する。補正操作手段は糸長計測手段により計測された糸長を補正する操作を行うための主段である。表示制御手段は、記憶操作手段が操作された後に補正操作手段が操作されると、補正操作手段が操作されたときに糸長計測手段により計測された糸長を、記憶手段に記憶された補正糸長に基づいて補正する。
【0009】
この糸長表示装置では、スプールの回転位置データにより糸長が表示される。しかし、表示された糸長が実際の糸長と異なることがある。例えば、低張力で巻き取ると、下に巻いてある釣り糸の間に巻き取られる釣り糸が入らずに糸巻径が大きくなり、実際の糸長より短い数値が表示される。釣り糸には、所定間隔(例えば1m間隔及び10m間隔)でマークを付しているものがあり、そのような釣り糸を使用すれば、マークと穂先との関係から実際の糸長を釣り人は認識できる。実際の糸長と計測されて表示される糸長が異なると釣り人が判断すると、記憶操作手段を操作する。すると、その時に計測された糸長が補正糸長として記憶手段に記憶される。そして、釣り人は、釣り糸のマークを見て補正糸長になるように釣り糸を巻き取り又は繰り出しする。そして、マークを目視して実際の糸長が補正糸長になると、釣り人が補正操作手段を操作する。すると、表示制御手段は、補正操作されたときの糸長を補正糸長に補正する。
【0010】
具体的には、例えば、表示された糸長が例えば60mでそのときの実際の糸長が釣り糸のマークを見ると、62mであったとき、釣り人は、記憶操作手段を操作し、そのとき計測された糸長を補正糸長として記憶手段に記憶する。そして、穂先で釣り糸のマークを見ながら60mまで釣り糸を巻き取り、補正操作手段を操作する。すると、そのときの表示が58mであったとしても、補正処理により表示が補正糸長の60mに変更される。そして、回転位置データと糸長との関係が変更される。
【0011】
ここでは、記憶操作手段と、記憶手段と、補正操作手段と、設けているので、実際の糸長を釣り人が認識できれば、2回の操作と、巻き取り又は繰り出し操作を行うだけで、計測された糸長を実際の糸長に基づいて補正できる。このため、スプールへの釣り糸の巻き付き具合に応じてスプール回転位置データと糸長との関係を簡単な操作で補正できるようになる。
【0012】
発明2に係る釣り用リールの糸長表示装置では、発明1に記載の装置において、表示制御手段は、記憶操作手段が操作されると、糸長計測手段の計測結果にかかわらず補正糸長を表示器に一時的に表示させる。ここでは、記憶された糸長が一時的に表示されるので、釣り人がマークを合わせやすくなる。
【0013】
発明3に係る釣り用リールの糸長表示装置は、発明1又は2に記載の装置において、補正糸長は、糸長計測手段で計測された糸長を丸め処理された糸長である。この場合には、補正糸長とマークとの対応が取りやすくなり、釣り人がマークに合わせやすくなる。
【0014】
発明4に係る釣り用リールの糸長表示装置は、発明1から3のいずれかに記載の装置において、糸長計測手段は、スプールに釣り糸を巻き付ける際に略最終巻き付け部分での釣り糸の所定長さと回転位置データ検出手段の検出結果との第1関係に基づき、スプールの単位回転当たりの糸長と回転位置データとの第2関係を、巻付開始時の釣り糸の単位回転当たりの糸長を切片とする一次関数で算出し、回転位置データ検出手段により検出された回転位置データと算出された一次関数とに基づき糸長を求める糸長算出手段を有する。
【0015】
この場合には、回転位置データと糸長との第2関係が一次関数であるので、糸長計測での演算が容易になる。
【0016】
発明5に係る釣り用リールの糸長表示装置は、発明4に記載の装置において、表示制御手段は、補正操作手段が操作されたとき、記憶手段に記憶された補正糸長により一次関数の傾きを変更する。この場合には、傾きを変更するだけで補正できるので、補正処理が容易になる。
【0017】
発明6に係る釣り用リールの糸長表示装置は、発明1から5のいずれかに記載の装置において、補正糸長による補正は電源が遮断されると取り消される。この場合には、釣りを終わって、例えば電源コードを外して電源が遮断されると、補正糸長による補正が取り消されるので、張力が異なる釣りを行っても糸長を精度良く表示できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、記憶操作手段と、記憶手段と、補正操作手段と、設けているので、実際の糸長を釣り人が認識できれば、2回の操作と、巻き取り又は繰り出し操作を行うだけで、計測された糸長を実際の糸長に基づいて補正できる。このため、スプールへの釣り糸の巻き付き具合に応じてスプール回転位置データと糸長との関係を簡単な操作で補正できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態が採用された電動リールの平面図。
【図2】その電動リールの表示部周辺の平面図。
【図3】電動リールの制御ブロック図。
【図4】記憶部の格納内容を示す図。
【図5】スプール回転数とスプール1回転当たりの糸長との関係を示すグラフ。
【図6】使用する釣り糸を示す図。
【図7】補正操作時の表示内容を示す図。
【図8】メインルーチンを示すフローチャート。
【図9】スイッチ入力処理を示すフローチャート。
【図10】学習モード処理を示すフローチャート。
【図11】決定処理を示すフローチャート。
【図12】各モード処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<電動リールの全体構成>
本発明の一実施形態による電動リールは、図1に示すように、釣り竿Rに装着されるリール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用のハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3とを主に備えている。
【0021】
リール本体1は、左右1対の側板7a、7bとそれらを連結する複数の連結部材8とからなるフレーム7と、フレーム7の左右を覆う左右の側カバー9a、9bとを有している。ハンドル2側(図1の右側)の側カバー9bには、ハンドル2の回転軸が回転自在に支持され、ハンドル2と逆側(図1の左側)の側カバー9aには、バッテリ等の外部電源PS接続用の電源コード18を接続するためのコネクタ19が設けられている。
【0022】
リール本体1の内部には、ハンドル2に連結されたスプール10が回転自在に支持されている。スプール10の内部には、スプール10を糸巻き上げ方向に回転駆動する直流駆動のモータ12が配置されている。また、リール本体1のハンドル2側側面には、クラッチ操作レバー11と、変更レバー13と、が配置されている。クラッチ操作レバー11は、ハンドル2及びモータ12とスプール10との駆動伝達をオンオフするクラッチ操作を行うために設けられている。このクラッチをオンすると、仕掛けの自重による糸繰り出し中に、糸繰り出し動作を停止できる。変更レバー13は、モータ12の回転をオン、オフするとともに、モータ12の回転を停止状態から最大回転状態まで揺動位置により指定するためのレバー部材である。変更レバー13は、例えば、モータ12を停止から例えば30段階の回転状態に調整できる。変更レバー13は、例えばロータリエンコーダを有しており、その揺動角度により回転の段階を判別可能である。
【0023】
リール本体1の上部にはカウンタ4(糸長表示装置の一例)が固定されている。カウンタ4は、リール本体1の上部に配置され、上面に表示窓20が形成されている。カウンタ4の上面には、図2に示すように、表示窓20を介して仕掛けの水深や棚位置を水面からと底からとの2つの基準で表示するための液晶ディスプレイからなる表示部5が臨んでおり、表示部5の周囲にはスイッチ操作部6が設けられている。カウンタ4の内部には、モータ12及び表示部5を制御するリール制御部30が設けられている。
【0024】
表示部5は、中央に配置された4桁の7セグメント表示の水深表示領域5aと、その右下方に配置された3桁のメモ水深表示領域5bと、水深表示領域5aの左下方に配置された段数表示領域5cとを有している。段数表示領域5cは、変更レバー13の位置(段数)を例えば30段階で表示する。表示部5の水深表示領域5aの上方には「張」、「速」、「底」、「糸送」、及び「さそい」の5つのモードが表示されている。これらのモードは選択されたモードだけが表示され、選択されなかったモードは表示されない。従って、「張」と「速」はいずれかが表示される。また、「底」が表示されない場合は上からモードになる。
【0025】
スイッチ操作部6は、表示部5の図3下側に左右に並べて配置されたメニュースイッチMNと、0セット決定スイッチZDと、メモスイッチMMとを有している。メニュースイッチMNは、押すごとに、「速」(速度一定モード)、「張」(張力一定モード)、「底」(底から表示モード)、「糸送」(糸送りモード)、「さそい」(さそいモード)の表示が順に点滅してそれらの設定をオンオフできる。また、学習モードに設定されると、複数の学習方法(例えば、後述する操作により学習される普通学習、予め記憶された指定糸を設定する指定学習、下巻を学習するための下巻学習等)からいずれかを選択できる。
【0026】
0セット決定スイッチZDは、メニュースイッチMNの操作等で選択されたモードをオンオフする。0セット決定スイッチZDを押すと点滅表示部分をオンオフできる。また、長押しすると、表示部5に表示された仕掛けの水深を0にセットする0セット処理及び釣り糸が切れたときの高切れの補正を行える。0セット及び高切れ補正を行う場合、釣り人は、仕掛けの結ばれた釣り糸の先端が穂先から僅かに出ている状態で仕掛けを水面に合わせて行う。
【0027】
メモスイッチMMは、魚が群れている棚又は海底の水深を後述する表示データ記憶エリア43aに記憶する際に使用される。記憶されたメモ糸長がメモ水深表示領域5bに表示される。さらに、メモスイッチMMと0セット決定スイッチZDとを同時に3秒以上長押し操作すると、補正糸長を記憶する操作を行える。また、メニュースイッチMNと0セット決定スイッチZDとを3秒以上長押し操作すると学習モードに入る。学習モードに入ると、前述したように、メニュースイッチMN及び0セット決定スイッチZDの操作により、複数の学習方法からいずれかを選択できる。
【0028】
リール制御部30は、カウンタ4内に配置されたCPU、RAM、ROM、I/Oインターフェイス等を含むマイクロコンピュータを含んでいる。リール制御部30は、制御プログラムに従って表示部5の表示制御やモータ駆動制御等の各種の制御動作を実行する。リール制御部30には、図3に示すように、変更レバー13と、スイッチ操作部6の各種のスイッチと、スプールセンサ(回転データ検出手段の一例)41と、スプールカウンタ42と、が接続されている。また、リール制御部30には、ブザー40と、PWM駆動回路31と、表示部5と、記憶部43と、他の入出力部とが接続されている。
【0029】
スプールセンサ41は、前後に並べて配置された2つのリードスイッチから構成されており、いずれのリードスイッチが先に検出パルスを発したかによりスプール10の回転方向を検出できる。また、検出パルスによりスプールの回転数を検出できる。スプールカウンタ42は、スプールセンサ41の検出パルスを計数するカウンタであり、この計数値によりスプール10の回転数に関する回転位置データが得られる。スプールカウンタ42は、スプール10が正転(糸繰り出し方向の回転)すると計数値が減少し、逆転すると増加する。この計数値により糸長を計測できる。ブザー40は、警報音を鳴らすために使用される。PWM駆動回路31は、モータ12をPWM駆動するものである。PWM駆動回路31は、リール制御部30によりデューティ比が制御される。リール制御部30は、モータ12を速度一定モード又は張力一定モードのいずれかで制御する。また、リール制御部30、機能構成として表示部5の表示制御手段及び表示する糸長を計測する糸長計測手段を有している。
【0030】
記憶部43は例えばEEPROM等の不揮発メモリから構成されている。記憶部43には、図4に示すように、棚位置等の表示データを記憶する表示データ記憶エリア43aと、実際の糸長とスプール回転数との関係を示す糸長データや補正糸長ALD等を記憶する糸長データ記憶エリア43bと、段数SCに応じたスプール10の巻き上げ速度(rpm)及び巻き上げトルクの上限値を記憶する回転データ記憶エリア43cと、種々のデータを記憶するデータ記憶エリア43dとが設けられている。
【0031】
回転データ記憶エリア43cには、速度一定モードでの段数毎の最大デューティ比及び最小デューティ比のデータや張力一定モードでの最大電流値及び最小電流値が記憶されている。
【0032】
<糸長算出方法>
本実施形態では、スプール1回転当たりの糸長Yとスプール回転数Xとの関係(第2関係の一例)を一次関数に近似させることができることを利用して糸長LNを算出している。太さと全長が不明な釣り糸を糸巻径Bmmからスプール10に層状に巻き付けていき、c回転で全ての釣り糸を巻き終わったとする。次に、その状態からSmm釣り糸を繰り出したとき、スプール10がd回転したとする。この長さSと回転数dとの関係が第1関係である。
【0033】
いま、スプール回転数Xとスプール1回転当たりの糸長Yとの関係を、横軸にスプール回転数Xを、縦軸にスプール1回転当たりの糸長をとると、一次関数で定義できるので、傾きをAとすると、下記式で表せる。
【0034】
Y=AX+Bπ・・・(1)
したがって、スプール回転数Xとスプール1回転当たりの糸長Yとの関係を示すグラフは、図5に示すようになる。
【0035】
いま、スプール10がc回転したときのスプール1回転当たりの糸長をY(c),c回転の巻き取り後、所定長さS繰り出してd回転したときのスプール1回転当たりの糸長をY(c−d)とすると、これらは以下のように表せる。
【0036】
Y(c)=A・c+Bπ・・・(2)
Y(c−d)=A・(c−d)+Bπ・・・(3)
図5に示すグラフでは、ハッチングで示す台形の面積が巻き付け終了後の糸繰り出し長さSに相当しているので、糸繰り出し長さSは以下のように表せる。
【0037】
S=d・{Y(c)+Y(c−d)}/2・・・(4)
(4)式に(2),(3)式を代入すると、
S=d・{A・c+Bπ+A・(c−d)+Bπ}/2
=d・{A・(2c−d)+2Bπ}/2・・・(5)
(5)式を傾きAについて解くと以下のようになる。
【0038】
A=2(S−Bπd)/d(2c−d)・・・(6)
したがって、4つのデータS,B,c,dを(6)式に代入することにより一次関数の傾きAを求めることができることがわかる。例えば、スプール10が巻き初めから2000回転で巻終わり、そこから10m繰り出したときにスプールが60回転した場合、スプール10の糸巻胴径(糸巻径)が30mmであったとすると、一次関数の傾きAは下記のようになる。
【0039】
A=2(10000−94.2*60)/60(2*2000−60)
=0.0368
そして、傾きA,切片Bπの近似の一次関数が決定できれば、一次関数をスプール1回転毎に積分処理(面積算出処理)することで、巻き初めから巻終わりまでの、例えばスプール1回転毎の糸長L1〜LNを求める。そして、巻終わり時のスプール回転数cのときの糸長LXを「0」にセットする。次に、0セットした糸長(L0)から巻き初めまでの糸長LX(=LN)とスプール回転数Xとの関係を算出する。この算出結果を記憶部43の糸長データ記憶エリア43bに例えばマップ形式(LX=MAP(X))で記憶する。
【0040】
実釣り時にスプール10が回転すると、そのときにスプールセンサ41が検出したスプール回転数Xに基づき、記憶部43のマップから糸長LXを読み出し、読み出した糸長LXに基づいて仕掛けの水深を示す糸長LXを表示部5の水深表示領域5aに表示する。
【0041】
このような普通学習モードを実行することにより、仕掛けの水深を示す釣り糸の糸長LXを釣り糸の繰り出し操作を行うだけで、簡単に算出できる。
【0042】
しかし、学習時と実釣時の張力の違いから低張力で巻き取ると、釣り糸がそれより下に巻いてある釣り糸の間に入り込まず、糸巻径が大きくなってしまうことがある。このような場合、釣り糸を巻き取ると船べり近くでは既に仕掛けの水深(糸長L0)が水面に近い「0」なのに表示値は大きくなる(例えば、2m)ことがある。この状態で水面での0セットを行なうと、0セットは一次関数の傾きをそのままにして、0の位置をシフトするだけである。このため、次に仕掛けを投入した際には実際の糸長よりも短い数値が表示されてしまう。このような場合、補正処理を釣り人は選択する。
【0043】
なお、本実施形態では、釣り糸の糸長を目視により判断できるように所定糸長毎にマークが付されている釣り糸を使用することを補正処理の前提としている。このような釣り糸の一例について図6を用いて説明する。なお、図6では、釣り糸の色の相違をハッチングの相違により表している。
【0044】
釣り糸FLは、例えば、ポリエステル繊維の糸を撚って作成された、いわゆるPEラインである。釣り糸FLは、10m毎に異なる色(例えば、青、赤、緑、オレンジ、紫)に着色されており、さらに50m毎にそれらの色を繰り返している。また、10mの長さにおいて、1m毎に10m毎の色と異なる色(例えば、白)のマークM1が形成されている。さらに、5mのところには、1mのマークM1と同じ色であるが異なる形のマークM2が形成されている。
【0045】
このような釣り糸を用いて行われる補正処理の操作手順を、表示部5の画面の変化を示す図7に示す表示画面に基づいて説明する。
【0046】
なお、図7では、ハッチングされたスイッチが釣り人により操作されたスイッチである。図7で示す釣りを行っているときの状況は、例えば、前回メモされた棚が58mで、水深表示領域5aの表示が60.5mであるとき、マークを目視したときの実際の糸長が62mを示している状況である。
【0047】
本実施形態では、表示部5の水深表示領域5aに表示された仕掛けの水深を示す糸長LXと、釣り竿の穂先を基準にして目視した釣り糸のマークが示す糸長との差により、表示された糸長LXを補正することができる。
【0048】
この場合、釣り人は、図7(a)に示すように、メモスイッチMMと0セット決定スイッチZDとを同時長押し操作する。すると、図7(b)に示すように、水深表示領域5aの数値が点滅し、水深表示領域5aに表示された糸長LXが丸め処理(例えば、小数点以下切り捨て)されて、60mになる。また、丸め処理された補正糸長ALD(60m)が糸長データ記憶エリア43bに記憶される。さらに、記憶された補正糸長ALDがメモ水深表示領域5bに表示される。
【0049】
この表示を見て釣り人は、現在、穂先で62mの位置にある釣り糸を巻き取って60mに合わせる。釣り人がスプール10を回転させると、図7(c)に示すように、点滅表示はオフされ、水深表示領域5aの表示は、60mから徐々に減少する。そして、釣り人が60mまで巻き取って0セット決定スイッチZDを操作するすると、水深表示領域5aの数値が60mになり、メモ水深表示領域5bの数値が直近にメモした棚の水深58mに戻る。
【0050】
0セット決定スイッチZDが操作されると、一次関数の傾きAが上記の水深に基づいて補正される。この補正方法について図5に基づいて説明する。
【0051】
いま、0セット決定スイッチZDを操作したときのスプール回転数Xがeであり、そのときの糸長である面積をS1(例えば60m)とすると、図5に左下がりのハッチングで示すエリアで補正することになる。ここで傾きA’は、上記(6)式のスプール回転数c,dに代えてスプール回転数eを入れ、面積Sに代えて面積S1を入れることにより下記(7)式により求めることができる。
【0052】
A’=2(S1−Bπd)/e2・・・(7)
得られた傾きA’から得られる補正一次関数(Y’=A’・X+Bπ)をスプール1回転毎に積分処理(面積算出処理)することで、普通学習モードと同様の手順で巻き初めから巻終わりまでの、例えばスプール1回転毎の糸長ML1〜MLNを求める。そして、巻終わり時のスプール回転数のときの糸長MLXを「0」にセットする。次に、0セットした糸長(ML0)から巻き初めまでの糸長MLX(=MLN)とスプール回転数Xとの関係を算出する。この算出結果を記憶部43の糸長データ記憶エリア43bに例えば.補正用のマップ形式(MLX=MAP(X))で記憶する。
【0053】
例えば、糸長が60mのときにスプール10が450回転したとすると、傾きA’は、下記のようになる。
【0054】
A’=2(60000−94.2*560)/560*560
=0.04622
<リール制御部の制御>
リール制御部30によって行われる具体的な制御処理を、図8以降の制御フローチャートに従って説明する。
【0055】
電動リールが電源コード18を介して外部電源PSに接続されると、図8のステップS1において初期設定を行う。この初期設定ではスプールカウンタ42の計数値をリセットしたり、各種の変数やフラグをリセットしたりする。また、船縁停止位置FN(停止水深の一例)を標準的な船縁停止位置である6mにセットする。さらに、後述する補正処理で補正糸長ALDに応じた糸長と回転位置データとの関係に基づいたマップ(MAP(X)=MLX)を取り消すために、それを以前に学習したマップ(MAP(X)=LX)をセットする。
【0056】
次にステップS2では表示処理を行う。表示処理では、水深表示等の各種の表示処理を行う。ここで、上からモードのときには、水深表示領域5aに水面基準の水深が表示される。また、メモスイッチMMが棚位置又は底位置で操作されるとその水深がメモ水深表示領域5bに表示される。
【0057】
ステップS3では、スイッチ操作部6の操作による処理が選択されたか否か判断する。またステップS4ではスプール10が回転しているか否かを判断する。この判断は、スプールセンサ41の出力により判断する。ステップS5ではその他の指令や入力がなされたか否かを判断する。スイッチ操作により処理が選択された場合にはステップS3からステップS6に移行し、図9に示すスイッチ操作処理を実行する。またスプール10の回転が検出された場合にはステップS4からステップS7に移行する。ステップS7では、後述する補正フラグPがオンしているか否かを判断する。ステップS8では、補正処理を示す図9のステップS26でセットされた点滅表示させたのをやめて、通常の糸長LXを表示させる。ステップS9では、図12に示す各動作モード処理を実行し、ステップS5に移行する。補正フラグPがオフしている場合は、ステップS9に移行する。
【0058】
その他の指令がなされた場合にはステップS5からステップS10に移行して他の処理を実行する。
【0059】
ステップS6のスイッチ操作処理では、図9のステップS11で学習モード処理が選択されたか否かを判断する。具体的には、前述したように、メニュースイッチMNと0セット決定スイッチZDとが3秒以上長押し操作されたか否かを判断する。ステップS12では、変更レバー13の操作によるモータ12のオンオフ及び速度又は張力の段階変更処理が選択されたか否かを判断する。ステップS13では、水深をメモする水深記憶処理が選択されたか否かを判断する。具体的には、メモスイッチMMが単独操作されたか否かを判断する。ステップS14では、補正処理が選択されたか否かを判断する。具体的には、メニュースイッチMMと0セット決定スイッチZDとが3秒以上長押し操作されたか否かを判断する。
【0060】
ステップS15では、選択された処理を決定するため決定処理が選択されたか否かを判断する。具体的には、0セット決定スイッチZDが単独操作されたか否かを判断する。ステップS16で、メニュースイッチMNの単独道操作等のスイッチ操作によるその他のスイッチ操作処理が選択されたか否かを判断する。具体的には、他のスイッチが操作されたか否かを判断する。この他のスイッチの操作にはメモスイッチMM単独の長押し操作等の他の長押し操作も含まれる。なお、長押し操作は、所定時間(例えば3秒)以上の押圧操作のことをいい、単独操作は所定時間未満の操作をいう。また、補正処理を中断する場合には、メニュースイッチMNの単独操作を行えばよい。この場合、記憶された補正糸長ALDはキャンセルされる。
【0061】
ステップS11で学習モードが選択されたと判断すると、ステップS11からステップS17に移行する。ステップS17では、選択された後のメニュースイッチMN及び0セット決定スイッチZDの操作により、いずれの学習モードが設定されたか否かを判断する。学習モードには、前述したように普通学習モードと、指定学習モードと、下巻学習モードとがある。普通学習モードが設定されると、ステップS17からステップS18に移行し、後述する普通学習処理を実行する。メニュースイッチMNの操作により指定学習モードや下巻学習モード等の他の学習モードが設定された場合には、ステップS17からステップS19に移行し、設定された他の学習モードを実行する。
【0062】
変更レバー13の操作によりモータ制御が選択されると、ステップS12からステップS20のモータ制御処理に移行する。モータ制御処理では、モータ12をオンオフするとともに、速度一定モードの場合は、設定された段数の速度になるようにモータ12を制御する。また、張力一定モードの時は、釣り糸に作用する張力が設定された段数の張力になるようにモータ12を制御する。
【0063】
メモスイッチMMの単独操作により、操作時の水深を記憶する処理が選択されると、ステップS13からステップS21に移行する。ステップS13では、そのときに計測された糸長LXを表示データ記憶エリア43aに記憶する。
【0064】
補正処理が選択されるとステップS14からステップS22に移行する。ステップS22では、糸長LXが10m未満か否かを判断する。糸長LXが10m未満の場合は、補正処理をしないため、以降の処理をスキップしてステップS15に移行する。糸長LXが10m以上の場合は、ステップS23に移行する。ステップS23では、補正フラグPをオンする。補正フラグPは、補正処理に入ったか否かを判断するものである。ステップS24では、表示されている糸長LXを丸め処理する。具体的には、小数点以下を切り下げる丸め処理を行う。ステップS25では、丸め処理された糸長LXを補正糸長ALDとして記憶部43の糸長データ記憶エリア43bに記憶する。ステップS26では、補正糸長ALDが表示された水深表示領域5aを点滅させるとともに、記憶した補正糸長ALDをメモ糸長に代えてメモ水深表示領域5bに表示する。
【0065】
決定処理が選択されたと判断すると、ステップS15からステップS27に移行し、図11に示す設定処理を実行する。
【0066】
他のスイッチ操作がなされると、ステップS16からステップS28に移行し、例えば、メニュースイッチMNの単独操作による2つの表示モードのいずれかの選択、すなわち、上からモードと底からモードの選択、2つのモータ制御モードのいずれかの選択、すなわち、速度一定モードと張力一定モードの選択等の操作されたスイッチ操作に応じた他のスイッチ処理を行う。
【0067】
ステップS18の普通学習処理では、図10のステップS31で糸巻取りが開始されたか否かを判断する。この判断は、スプールセンサ41によりスプール10が回転を開始したことを検出したことにより判断する。ステップS32では、糸巻取りが終了したか否かを判断する。この判断は、所定のスイッチ操作(たとえばメモスイッチMMの所定時間以上の操作)がなされたか否かにより判断する。糸巻取りが終了した後、たとえば10m釣り糸を繰り出してスプール回転数とスプール1回転当たりの糸長との関係を学習する。ステップS33では、その10mの繰り出しが終了したか否かを判断する。この判断も所定のスイッチ操作がなされたか否かにより判断する。なお、釣り糸にたとえば10m毎に異なる色づけがなされている場合には、上記繰り出し操作が行えるが、釣り糸によっては色づけがなされていない場合がある。このような場合には、10mの釣り糸を先端に結んでさらに10m釣り糸を巻き取ってもよい。繰り出しが終了していない場合には、ステップS31に戻る。
【0068】
糸巻取りが開始されるとステップS31からステップS34に移行する。ステップS35では、スプール回転数Xをスプールカウンタ42の値に応じて増加させる。たとえば、スプールセンサ41がスプール1回転当たり10パルス出力し、スプールカウンタ42がスプール1回転当たり10ずつ増加するときには、スプールカウンタ42が10増加するとスプール回転数Xを1増加する。
【0069】
糸巻取りが終了してスプール10の回転が停止するとステップS32からステップS35に移行する。ステップS35では、巻き取り完了したときのスプール回転数Xを総回転数cにセットする。ステップS36では、釣り糸の繰り出しに応じてスプール回転数Xを減じていく。この減算もステップS34と同様にたとえばスプールカウンタ42が10ずつ減じていくとスプール回転数Xを1減少させる。
【0070】
糸繰り出しが終了するとステップS33からステップS37に移行する。ステップS37では、スプール総回転数cから繰り出しにより減少したスプール回転数Xを減算し、減算値を繰り出し回転数dにセットする。この繰り出し回転数dが10m釣り糸を繰り出したときのスプール10の回転数である。ステップS38では、記憶部43から糸巻径Bπ及び繰り出し長さSを読み出す。この2つのデータは、あらかじめ記憶部43に書き込まれている。
【0071】
ステップS39では、得られた4つのデータc,d,Bπ,Sにより上記(6)式により近似一次関数の傾きAを求め、近似一次関数を算出する。これにより、糸径及び長さが未知の釣り糸の全長にわたる、スプール1回転長さYとスプール回転数Xとの関係が決定される。ステップS40では、得られた一次関数を積分処理して巻き初めから巻終わりまでのスプール回転数Xと糸長LNとの関係を算出する。そして、巻終わりを水深0にセットして糸長LNを糸長LXに変換する。これによりスプール回転数Xと糸長LXとの関係が決定される。
【0072】
ステップS41では、得られたスプール回転数Xと糸長LXの関係をマップ形式で記憶部43に記憶してメインルーチンに戻る。これにより、前述した学習処理が実行され、釣り糸全体にわたる学習を行うことなく最終部分のみの学習で糸巻径により変化するスプール回転数と糸長との関係を補正できる。これらの処理が終了するとスイッチ入力ルーチンに戻る。
【0073】
ステップS27の決定処理では、図11のステップS42で補正フラグPがすでにオンしているか否かを判断する。この判断は、補正処理により補正糸長ALDによる補正を行う決定であるか否かを判断するためである。補正フラグPがオンしている場合は、ステップS42からステップS43に移行する。ステップS43では、補正フラグPをオフする。ステップS44では、補正糸長ALDに基づいて補正傾きA’を算出する。ステップS45では、算出された補正傾きA’の一次関数を積分処理して巻き初めから巻終わりまでのスプール回転数Xと糸長LNとの関係を算出する。そして、巻終わりを水深0にセットして糸長LNを糸長LXに変換する。これによりスプール回転数Xと糸長LXとの関係が決定される。ステップS46では、得られたスプール回転数Xと糸長MLXの関係をマップ形式で記憶部43の糸長データ記憶エリア43bに記憶してメインルーチンに戻る。
【0074】
補正フラグPがオフしている場合は、ステップS42からステップS47に移行し、例えば表示モードやモータ制御モード等の他の処理の選択結果の決定処理を行う。
【0075】
ステップS9の各動作モード処理では、図12のステップS51でスプール10の回転方向が糸繰り出し方向か否かを判断する。この判断は、スプールセンサ41のいずれのリードスイッチが先にパルスを発したか否かにより判断する。スプール10の回転方向が糸繰り出し方向と判断するとステップS51からステップS52に移行する。ステップS52では、スプール回転数Xを1ずつ減少させる。このステップは、図9のステップS36と同様である。ステップS53では、減少する毎にスプール回転数Xから記憶部43に記憶されたマップを読み出し、糸長LXをセットする。このとき、補正マップが記憶されている場合は、補正マップから糸長MLXをセットする。この糸長LX又はMLXが仕掛けの水深としてステップS2の表示処理で水深表示領域5aに表示される。ステップS53では、得られた糸長LXが底位置に一致したか、つまり、仕掛けが底に到達したか否かを判断する。底位置は、前述したように仕掛けが底に到達したときにメモスイッチMMを押すことで記憶部43の表示データ記憶エリア43aにセットされる。ステップS54では、他のモードか否かを判断する。他のモードではない場合には、各動作モード処理を終わりメインルーチンに戻る。
【0076】
糸長LXが底位置に一致するとステップS53からステップS55に移行し、仕掛けが底に到達したことを報知するためにブザー40を鳴らす。他のモードの場合には、ステップS54からステップS56に移行し、指定された他のモードを実行する。
【0077】
スプール10の回転が糸巻取り方向と判断するとステップS51からステップS57に移行する。ステップS57では、スプール回転数を1ずつ増加させる。ステップS58では、増加する毎にスプール回転数Xから記憶部43に記憶されたマップを読み出し、糸長LXをセットする。このとき、補正マップが記憶されている場合は、補正マップから糸長MLXをセットする。この糸長LX又はMLXが仕掛けの水深としてステップS2の表示処理で表示される。ステップS59では、水深が船縁停止位置に一致したか否かを判断する。船縁停止位置まで巻き取っていない場合にはメインルーチンに戻る。船縁低地位置に到達するとステップS59からステップS60に移行する。ステップS60では、仕掛けが船縁に手有ることを報知するためにブザー40を鳴らす。ステップS61では、モータ12をオフする。これにより魚が釣れたときに取り込みやすい位置に魚が配置される。この船縁停止位置は、たとえば水深6m以内で所定時間以上モータ12が停止しているとセットされる。
【0078】
ここでは、未知の釣り糸のスプール回転数と糸長との関係を算出するための普通学習を釣り糸の略最終糸巻部分の短い糸長でのみ行っているので、糸長検出器を装着することなく、糸長を計測することができる。
【0079】
<発明の特徴>
(A)カウンタ4は、電動リールのリール本体1に装着されるスプール10から繰り出されるあるいは巻き取られる釣り糸の糸長LNを仕掛けの水深として表示する装置である。カウンタ4は、機能構成としての糸長計測手段及び表示制御手段を有するリール制御部30と、表示部5と、機能構成としての記憶操作手段及び補正操作手段を有するスイッチ操作部6と、記憶部43と、を備えている。糸長計測手段は、スプール10の回転位置データを検出する回転位置データ検出手段としてのスプールセンサを有し、検出された回転位置データと糸長との関係に基づき、回転位置データから糸長を計測する。表示部5は、計測された糸長を仕掛けの水深として表示可能である。表示制御手段は、計測された糸長を表示部5に表示させる。記憶操作手段は、表示部5に表示された糸長に関連する補正糸長ALDを記憶する操作を行うための手段である。記憶部43は、記憶操作手段が操作されたときに補正糸長ALDを記憶する。補正操作手段は糸長計測手段により計測された糸長を補正する操作を行うための主段である。表示制御手段は、記憶操作手段が操作された後に補正操作手段が操作されると、補正操作手段が操作されたときに糸長計測手段により計測された糸長を、記憶部43に記憶された補正糸長に基づいて補正する。
【0080】
このカウンタ4では、スプール10の回転位置データにより糸長が表示される。しかし、表示された糸長が実際の糸長と異なることがある。例えば、低張力で巻き取ると、下に巻いてある釣り糸の間に巻き取られる釣り糸が入らずに糸巻径が大きくなり、実際の糸長より短い数値が表示される。釣り糸には、所定間隔(例えば1m間隔及び10m間隔)でマークを付しているものがあり、そのような釣り糸を使用すれば、マークと穂先との関係から実際の糸長を釣り人は認識できる。実際の糸長と計測されて表示される糸長が異なると釣り人が判断すると、記憶操作手段を操作する。すると、その時に計測された糸長が補正糸長として記憶手段に記憶される。そして、釣り人は、釣り糸のマークが示す糸長が補正糸長になるように釣り糸を巻き取り又は繰り出しする。そして、マークを目視して実際の糸長が補正糸長になると、釣り人が補正操作手段を操作する。すると、表示制御手段は、補正操作されたときの糸長を補正糸長に補正する。
【0081】
具体的には、例えば、表示された糸長が例えば60mで、そのときの実際の糸長が釣り糸のマークを見ると、62mであったとき、釣り人は、記憶操作手段を操作し、そのとき計測された糸長を補正糸長として記憶手段に記憶する。そして、穂先で釣り糸のマークを見ながら60mまで釣り糸を巻き取り、補正操作手段を操作する。すると、そのときの表示が58mであったとしても、補正処理により表示が補正糸長の60mに変更される。そして、回転位置データと糸長との関係が変更される。
【0082】
ここでは、記憶操作手段と、記憶手段と、補正操作手段と、設けているので、実際の糸長を釣り人が認識できれば、2回の操作と、巻き取り又は繰り出し操作を行うだけで、計測された糸長を実際の糸長に基づいて補正できる。このため、スプールへの釣り糸の巻き付き具合に応じてスプール回転位置データと糸長との関係を簡単な操作で補正できるようになる。
【0083】
(B)カウンタ4において、表示制御手段は、記憶操作手段が操作されると、糸長計測手段の計測結果にかかわらず補正糸長を表示部5に一時的に表示させる。ここでは、記憶された糸長が一時的に表示されるので、釣り人がマークを合わせやすくなる。
【0084】
(C)カウンタ4において、補正糸長は、糸長計測手段で計測された糸長を丸め処理された糸長である。この場合には、補正糸長とマークとの対応が取りやすくなり、釣り人がマークに合わせやすくなる。
【0085】
(D)カウンタ4において、糸長計測手段は、糸長算出手段を有している。糸長算出手段は、スプール10に釣り糸を巻き付ける際に略最終巻き付け部分での釣り糸の所定長さと回転位置データ検出手段の検出結果との第1関係に基づき、スプールの単位回転当たりの糸長と回転位置データとの第2関係を、巻付開始時の釣り糸の単位回転当たりの糸長を切片とする一次関数で算出し、回転位置データ検出手段により検出された回転位置データと算出された一次関数とに基づき糸長を求める。
【0086】
この場合には、回転位置データと糸長との第2関係が一次関数であるので、糸長計測での演算が容易になる。
【0087】
(E)カウンタ4において、表示制御手段は、補正操作手段が操作されたとき、記憶部43に記憶された補正糸長により一次関数の傾きを変更する。この場合には、傾きを変更するだけで補正できるので、補正処理が容易になる。
【0088】
(F)カウンタ4において、補正糸長による補正は電源が遮断されると取り消される。この場合には、釣りを終わって、例えば電源コードを外して電源が遮断されると、補正糸長による補正が取り消されるので、張力が異なる釣りを行っても糸長を精度良く表示できる。
【0089】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0090】
(a)前記実施形態で、補正処理時に一次関数の傾きを変更しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、補正処理時に目視された糸長と表示された糸長との相違の割合DR(例えば、前記実施形態では、DR=60/58.5)でマップ形式の糸長LNを書き換えてもよい。
【0091】
(b)電動リールに代えて、水深表示機構を有する手巻きリールにも本発明を適用できる。
【0092】
(c)前記実施形態では、一次関数により糸長を計測したが、予め回転位置データXと糸長との関係が設定されている場合にも、本発明を適用できる。また、糸長検出器を用いて学習されている場合にも本発明を適用できる。これらの場合には、前述したように、一次関数の傾きではなく、補正処理時に目視された糸長と表示された糸長との相違の割合DRで補正するようにしてもよい。
【0093】
(d)前記実施形態では、表示部5に表示された糸長を基準に補正処理を行っているが、実際に目視された糸長を元に補正処理を行うようにしてもよい。
【0094】
(e)補正操作手段はボタン等スイッチの操作でなく、記憶操作以降に所定時間以上巻上げを停止させる操作でもよい。また、スプール回転方向の変更操作、例えば、巻上げから繰り出しへの変更操作でもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 リール本体
4 カウンタ(糸長表示装置の一例)
5 表示部
6 スイッチ操作部
10 スプール
18 電源コード
19 コネクタ
30 リール制御部
41 スプールセンサ
42 スプールカウンタ
43 記憶部
43b 糸長データ記憶エリア
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用リールの表示装置、特に、釣り用リールのリール本体に装着されるスプールから繰り出されるあるいは巻き取られる釣り糸の糸長を表示する釣り用リールの糸長表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
両軸受リールや電動リール等の釣り用リールにおいて、スプールから繰り出されるあるいは巻き取られる釣り糸の糸長により仕掛けの水深を表示する糸長表示装置を備えたものが知られている。糸長表示装置を設けることで仕掛けを正確に同じ棚位置に下ろしたり、投げ釣り時に仕掛けの飛距離を表示できたりする。
【0003】
この種の糸長表示装置は、スプール回転時のスプールから繰り出された糸長を計測する糸長計測部と、糸長計測部で計測された糸長を仕掛けの水深として表示する例えば液晶ディスプレイからなる水深表示部とを有している。糸長計測部は、スプールの回転位置から糸長を算出している。なお、スプールの糸巻径は、スプールへの巻き初めからの回転位置や糸の太さに応じて変化し、スプール1回転あたりの糸長は糸巻径により変化する。したがって、従来、スプール回転数や糸の太さを考慮してスプール回転数から糸長を算出するようにしている。
【0004】
具体的には、スプールの単位回転当たりの糸長がスプール回転数の一次関数に近似できることに着目して、糸長検出器を用いずに糸長とスプール回転数との関係を算出する技術がすでに提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の技術では、巻終わりの所定長での糸長とスプール回転数とを学習し、巻終わりのスプール総回転数と所定長と巻き付け開始径と所定長でのスプール回転数により一次関数の傾きを求め、切片を巻き付け開始径(通常はスプールの糸巻部分の外径)から求めて、求められた傾きと切片とから一次関数を決定している。そして、この一次関数を巻き初めから現在までのスプール回転数で積分処理することで糸長、つまり水深を算出できる。このような構成の糸長表示装置では、糸長検出器を用いる必要がないので、学習が容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−225632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の構成の糸長表示装置では、糸長検出器を用いる必要がないので、学習が容易である。しかし、学習時と実釣時の張力の違いから低張力で巻き取ると釣り糸がそれより下に巻いてある釣り糸の間に入り込まず、糸巻径が大きくなってしまう。また、高張力で巻き取ると逆に糸巻径が小さくなってしまう。この状態で釣り糸を巻き取ると船べり近くでは既に仕掛けが水面に近い「0」なのに表示値は大きくなる又は小さくなることがある。このような状態で水面での0セットを行なうと、前記従来の構成では、0セットは一次関数の傾きをそのままにして、0の位置をシフトするだけなので、次に仕掛けを投入した際には実際の糸長よりも短い又は長い数値が表示されてしまう。
【0007】
本発明の課題は、スプール回転位置データと糸長との関係に基づいて糸長を表示する装置において、スプールへの釣り糸の巻き付き具合に応じて関係を簡単な操作で補正できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明1に係る釣り用リールの糸長表示装置は、釣り用リールのリール本体に装着されるスプールから繰り出されるあるいは巻き取られる釣り糸の糸長を表示する装置である。糸長表示装置は、糸長計測手段と、表示器と、表示制御手段と、記憶操作手段と、記憶手段と、補正操作手段と、を備えている。糸長計測手段は、スプールの回転位置データを検出する回転位置データ検出手段を有し、検出された回転位置データと糸長との関係に基づき、回転位置データから糸長を計測する。表示器は、糸長を表示可能である。表示制御手段は、計測された糸長を表示器に表示させる。記憶操作手段は、表示器に表示された糸長に関連する補正糸長を記憶する操作を行うための手段である。記憶手段は、記憶操作手段が操作されたときに補正糸長を記憶する。補正操作手段は糸長計測手段により計測された糸長を補正する操作を行うための主段である。表示制御手段は、記憶操作手段が操作された後に補正操作手段が操作されると、補正操作手段が操作されたときに糸長計測手段により計測された糸長を、記憶手段に記憶された補正糸長に基づいて補正する。
【0009】
この糸長表示装置では、スプールの回転位置データにより糸長が表示される。しかし、表示された糸長が実際の糸長と異なることがある。例えば、低張力で巻き取ると、下に巻いてある釣り糸の間に巻き取られる釣り糸が入らずに糸巻径が大きくなり、実際の糸長より短い数値が表示される。釣り糸には、所定間隔(例えば1m間隔及び10m間隔)でマークを付しているものがあり、そのような釣り糸を使用すれば、マークと穂先との関係から実際の糸長を釣り人は認識できる。実際の糸長と計測されて表示される糸長が異なると釣り人が判断すると、記憶操作手段を操作する。すると、その時に計測された糸長が補正糸長として記憶手段に記憶される。そして、釣り人は、釣り糸のマークを見て補正糸長になるように釣り糸を巻き取り又は繰り出しする。そして、マークを目視して実際の糸長が補正糸長になると、釣り人が補正操作手段を操作する。すると、表示制御手段は、補正操作されたときの糸長を補正糸長に補正する。
【0010】
具体的には、例えば、表示された糸長が例えば60mでそのときの実際の糸長が釣り糸のマークを見ると、62mであったとき、釣り人は、記憶操作手段を操作し、そのとき計測された糸長を補正糸長として記憶手段に記憶する。そして、穂先で釣り糸のマークを見ながら60mまで釣り糸を巻き取り、補正操作手段を操作する。すると、そのときの表示が58mであったとしても、補正処理により表示が補正糸長の60mに変更される。そして、回転位置データと糸長との関係が変更される。
【0011】
ここでは、記憶操作手段と、記憶手段と、補正操作手段と、設けているので、実際の糸長を釣り人が認識できれば、2回の操作と、巻き取り又は繰り出し操作を行うだけで、計測された糸長を実際の糸長に基づいて補正できる。このため、スプールへの釣り糸の巻き付き具合に応じてスプール回転位置データと糸長との関係を簡単な操作で補正できるようになる。
【0012】
発明2に係る釣り用リールの糸長表示装置では、発明1に記載の装置において、表示制御手段は、記憶操作手段が操作されると、糸長計測手段の計測結果にかかわらず補正糸長を表示器に一時的に表示させる。ここでは、記憶された糸長が一時的に表示されるので、釣り人がマークを合わせやすくなる。
【0013】
発明3に係る釣り用リールの糸長表示装置は、発明1又は2に記載の装置において、補正糸長は、糸長計測手段で計測された糸長を丸め処理された糸長である。この場合には、補正糸長とマークとの対応が取りやすくなり、釣り人がマークに合わせやすくなる。
【0014】
発明4に係る釣り用リールの糸長表示装置は、発明1から3のいずれかに記載の装置において、糸長計測手段は、スプールに釣り糸を巻き付ける際に略最終巻き付け部分での釣り糸の所定長さと回転位置データ検出手段の検出結果との第1関係に基づき、スプールの単位回転当たりの糸長と回転位置データとの第2関係を、巻付開始時の釣り糸の単位回転当たりの糸長を切片とする一次関数で算出し、回転位置データ検出手段により検出された回転位置データと算出された一次関数とに基づき糸長を求める糸長算出手段を有する。
【0015】
この場合には、回転位置データと糸長との第2関係が一次関数であるので、糸長計測での演算が容易になる。
【0016】
発明5に係る釣り用リールの糸長表示装置は、発明4に記載の装置において、表示制御手段は、補正操作手段が操作されたとき、記憶手段に記憶された補正糸長により一次関数の傾きを変更する。この場合には、傾きを変更するだけで補正できるので、補正処理が容易になる。
【0017】
発明6に係る釣り用リールの糸長表示装置は、発明1から5のいずれかに記載の装置において、補正糸長による補正は電源が遮断されると取り消される。この場合には、釣りを終わって、例えば電源コードを外して電源が遮断されると、補正糸長による補正が取り消されるので、張力が異なる釣りを行っても糸長を精度良く表示できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、記憶操作手段と、記憶手段と、補正操作手段と、設けているので、実際の糸長を釣り人が認識できれば、2回の操作と、巻き取り又は繰り出し操作を行うだけで、計測された糸長を実際の糸長に基づいて補正できる。このため、スプールへの釣り糸の巻き付き具合に応じてスプール回転位置データと糸長との関係を簡単な操作で補正できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態が採用された電動リールの平面図。
【図2】その電動リールの表示部周辺の平面図。
【図3】電動リールの制御ブロック図。
【図4】記憶部の格納内容を示す図。
【図5】スプール回転数とスプール1回転当たりの糸長との関係を示すグラフ。
【図6】使用する釣り糸を示す図。
【図7】補正操作時の表示内容を示す図。
【図8】メインルーチンを示すフローチャート。
【図9】スイッチ入力処理を示すフローチャート。
【図10】学習モード処理を示すフローチャート。
【図11】決定処理を示すフローチャート。
【図12】各モード処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<電動リールの全体構成>
本発明の一実施形態による電動リールは、図1に示すように、釣り竿Rに装着されるリール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用のハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3とを主に備えている。
【0021】
リール本体1は、左右1対の側板7a、7bとそれらを連結する複数の連結部材8とからなるフレーム7と、フレーム7の左右を覆う左右の側カバー9a、9bとを有している。ハンドル2側(図1の右側)の側カバー9bには、ハンドル2の回転軸が回転自在に支持され、ハンドル2と逆側(図1の左側)の側カバー9aには、バッテリ等の外部電源PS接続用の電源コード18を接続するためのコネクタ19が設けられている。
【0022】
リール本体1の内部には、ハンドル2に連結されたスプール10が回転自在に支持されている。スプール10の内部には、スプール10を糸巻き上げ方向に回転駆動する直流駆動のモータ12が配置されている。また、リール本体1のハンドル2側側面には、クラッチ操作レバー11と、変更レバー13と、が配置されている。クラッチ操作レバー11は、ハンドル2及びモータ12とスプール10との駆動伝達をオンオフするクラッチ操作を行うために設けられている。このクラッチをオンすると、仕掛けの自重による糸繰り出し中に、糸繰り出し動作を停止できる。変更レバー13は、モータ12の回転をオン、オフするとともに、モータ12の回転を停止状態から最大回転状態まで揺動位置により指定するためのレバー部材である。変更レバー13は、例えば、モータ12を停止から例えば30段階の回転状態に調整できる。変更レバー13は、例えばロータリエンコーダを有しており、その揺動角度により回転の段階を判別可能である。
【0023】
リール本体1の上部にはカウンタ4(糸長表示装置の一例)が固定されている。カウンタ4は、リール本体1の上部に配置され、上面に表示窓20が形成されている。カウンタ4の上面には、図2に示すように、表示窓20を介して仕掛けの水深や棚位置を水面からと底からとの2つの基準で表示するための液晶ディスプレイからなる表示部5が臨んでおり、表示部5の周囲にはスイッチ操作部6が設けられている。カウンタ4の内部には、モータ12及び表示部5を制御するリール制御部30が設けられている。
【0024】
表示部5は、中央に配置された4桁の7セグメント表示の水深表示領域5aと、その右下方に配置された3桁のメモ水深表示領域5bと、水深表示領域5aの左下方に配置された段数表示領域5cとを有している。段数表示領域5cは、変更レバー13の位置(段数)を例えば30段階で表示する。表示部5の水深表示領域5aの上方には「張」、「速」、「底」、「糸送」、及び「さそい」の5つのモードが表示されている。これらのモードは選択されたモードだけが表示され、選択されなかったモードは表示されない。従って、「張」と「速」はいずれかが表示される。また、「底」が表示されない場合は上からモードになる。
【0025】
スイッチ操作部6は、表示部5の図3下側に左右に並べて配置されたメニュースイッチMNと、0セット決定スイッチZDと、メモスイッチMMとを有している。メニュースイッチMNは、押すごとに、「速」(速度一定モード)、「張」(張力一定モード)、「底」(底から表示モード)、「糸送」(糸送りモード)、「さそい」(さそいモード)の表示が順に点滅してそれらの設定をオンオフできる。また、学習モードに設定されると、複数の学習方法(例えば、後述する操作により学習される普通学習、予め記憶された指定糸を設定する指定学習、下巻を学習するための下巻学習等)からいずれかを選択できる。
【0026】
0セット決定スイッチZDは、メニュースイッチMNの操作等で選択されたモードをオンオフする。0セット決定スイッチZDを押すと点滅表示部分をオンオフできる。また、長押しすると、表示部5に表示された仕掛けの水深を0にセットする0セット処理及び釣り糸が切れたときの高切れの補正を行える。0セット及び高切れ補正を行う場合、釣り人は、仕掛けの結ばれた釣り糸の先端が穂先から僅かに出ている状態で仕掛けを水面に合わせて行う。
【0027】
メモスイッチMMは、魚が群れている棚又は海底の水深を後述する表示データ記憶エリア43aに記憶する際に使用される。記憶されたメモ糸長がメモ水深表示領域5bに表示される。さらに、メモスイッチMMと0セット決定スイッチZDとを同時に3秒以上長押し操作すると、補正糸長を記憶する操作を行える。また、メニュースイッチMNと0セット決定スイッチZDとを3秒以上長押し操作すると学習モードに入る。学習モードに入ると、前述したように、メニュースイッチMN及び0セット決定スイッチZDの操作により、複数の学習方法からいずれかを選択できる。
【0028】
リール制御部30は、カウンタ4内に配置されたCPU、RAM、ROM、I/Oインターフェイス等を含むマイクロコンピュータを含んでいる。リール制御部30は、制御プログラムに従って表示部5の表示制御やモータ駆動制御等の各種の制御動作を実行する。リール制御部30には、図3に示すように、変更レバー13と、スイッチ操作部6の各種のスイッチと、スプールセンサ(回転データ検出手段の一例)41と、スプールカウンタ42と、が接続されている。また、リール制御部30には、ブザー40と、PWM駆動回路31と、表示部5と、記憶部43と、他の入出力部とが接続されている。
【0029】
スプールセンサ41は、前後に並べて配置された2つのリードスイッチから構成されており、いずれのリードスイッチが先に検出パルスを発したかによりスプール10の回転方向を検出できる。また、検出パルスによりスプールの回転数を検出できる。スプールカウンタ42は、スプールセンサ41の検出パルスを計数するカウンタであり、この計数値によりスプール10の回転数に関する回転位置データが得られる。スプールカウンタ42は、スプール10が正転(糸繰り出し方向の回転)すると計数値が減少し、逆転すると増加する。この計数値により糸長を計測できる。ブザー40は、警報音を鳴らすために使用される。PWM駆動回路31は、モータ12をPWM駆動するものである。PWM駆動回路31は、リール制御部30によりデューティ比が制御される。リール制御部30は、モータ12を速度一定モード又は張力一定モードのいずれかで制御する。また、リール制御部30、機能構成として表示部5の表示制御手段及び表示する糸長を計測する糸長計測手段を有している。
【0030】
記憶部43は例えばEEPROM等の不揮発メモリから構成されている。記憶部43には、図4に示すように、棚位置等の表示データを記憶する表示データ記憶エリア43aと、実際の糸長とスプール回転数との関係を示す糸長データや補正糸長ALD等を記憶する糸長データ記憶エリア43bと、段数SCに応じたスプール10の巻き上げ速度(rpm)及び巻き上げトルクの上限値を記憶する回転データ記憶エリア43cと、種々のデータを記憶するデータ記憶エリア43dとが設けられている。
【0031】
回転データ記憶エリア43cには、速度一定モードでの段数毎の最大デューティ比及び最小デューティ比のデータや張力一定モードでの最大電流値及び最小電流値が記憶されている。
【0032】
<糸長算出方法>
本実施形態では、スプール1回転当たりの糸長Yとスプール回転数Xとの関係(第2関係の一例)を一次関数に近似させることができることを利用して糸長LNを算出している。太さと全長が不明な釣り糸を糸巻径Bmmからスプール10に層状に巻き付けていき、c回転で全ての釣り糸を巻き終わったとする。次に、その状態からSmm釣り糸を繰り出したとき、スプール10がd回転したとする。この長さSと回転数dとの関係が第1関係である。
【0033】
いま、スプール回転数Xとスプール1回転当たりの糸長Yとの関係を、横軸にスプール回転数Xを、縦軸にスプール1回転当たりの糸長をとると、一次関数で定義できるので、傾きをAとすると、下記式で表せる。
【0034】
Y=AX+Bπ・・・(1)
したがって、スプール回転数Xとスプール1回転当たりの糸長Yとの関係を示すグラフは、図5に示すようになる。
【0035】
いま、スプール10がc回転したときのスプール1回転当たりの糸長をY(c),c回転の巻き取り後、所定長さS繰り出してd回転したときのスプール1回転当たりの糸長をY(c−d)とすると、これらは以下のように表せる。
【0036】
Y(c)=A・c+Bπ・・・(2)
Y(c−d)=A・(c−d)+Bπ・・・(3)
図5に示すグラフでは、ハッチングで示す台形の面積が巻き付け終了後の糸繰り出し長さSに相当しているので、糸繰り出し長さSは以下のように表せる。
【0037】
S=d・{Y(c)+Y(c−d)}/2・・・(4)
(4)式に(2),(3)式を代入すると、
S=d・{A・c+Bπ+A・(c−d)+Bπ}/2
=d・{A・(2c−d)+2Bπ}/2・・・(5)
(5)式を傾きAについて解くと以下のようになる。
【0038】
A=2(S−Bπd)/d(2c−d)・・・(6)
したがって、4つのデータS,B,c,dを(6)式に代入することにより一次関数の傾きAを求めることができることがわかる。例えば、スプール10が巻き初めから2000回転で巻終わり、そこから10m繰り出したときにスプールが60回転した場合、スプール10の糸巻胴径(糸巻径)が30mmであったとすると、一次関数の傾きAは下記のようになる。
【0039】
A=2(10000−94.2*60)/60(2*2000−60)
=0.0368
そして、傾きA,切片Bπの近似の一次関数が決定できれば、一次関数をスプール1回転毎に積分処理(面積算出処理)することで、巻き初めから巻終わりまでの、例えばスプール1回転毎の糸長L1〜LNを求める。そして、巻終わり時のスプール回転数cのときの糸長LXを「0」にセットする。次に、0セットした糸長(L0)から巻き初めまでの糸長LX(=LN)とスプール回転数Xとの関係を算出する。この算出結果を記憶部43の糸長データ記憶エリア43bに例えばマップ形式(LX=MAP(X))で記憶する。
【0040】
実釣り時にスプール10が回転すると、そのときにスプールセンサ41が検出したスプール回転数Xに基づき、記憶部43のマップから糸長LXを読み出し、読み出した糸長LXに基づいて仕掛けの水深を示す糸長LXを表示部5の水深表示領域5aに表示する。
【0041】
このような普通学習モードを実行することにより、仕掛けの水深を示す釣り糸の糸長LXを釣り糸の繰り出し操作を行うだけで、簡単に算出できる。
【0042】
しかし、学習時と実釣時の張力の違いから低張力で巻き取ると、釣り糸がそれより下に巻いてある釣り糸の間に入り込まず、糸巻径が大きくなってしまうことがある。このような場合、釣り糸を巻き取ると船べり近くでは既に仕掛けの水深(糸長L0)が水面に近い「0」なのに表示値は大きくなる(例えば、2m)ことがある。この状態で水面での0セットを行なうと、0セットは一次関数の傾きをそのままにして、0の位置をシフトするだけである。このため、次に仕掛けを投入した際には実際の糸長よりも短い数値が表示されてしまう。このような場合、補正処理を釣り人は選択する。
【0043】
なお、本実施形態では、釣り糸の糸長を目視により判断できるように所定糸長毎にマークが付されている釣り糸を使用することを補正処理の前提としている。このような釣り糸の一例について図6を用いて説明する。なお、図6では、釣り糸の色の相違をハッチングの相違により表している。
【0044】
釣り糸FLは、例えば、ポリエステル繊維の糸を撚って作成された、いわゆるPEラインである。釣り糸FLは、10m毎に異なる色(例えば、青、赤、緑、オレンジ、紫)に着色されており、さらに50m毎にそれらの色を繰り返している。また、10mの長さにおいて、1m毎に10m毎の色と異なる色(例えば、白)のマークM1が形成されている。さらに、5mのところには、1mのマークM1と同じ色であるが異なる形のマークM2が形成されている。
【0045】
このような釣り糸を用いて行われる補正処理の操作手順を、表示部5の画面の変化を示す図7に示す表示画面に基づいて説明する。
【0046】
なお、図7では、ハッチングされたスイッチが釣り人により操作されたスイッチである。図7で示す釣りを行っているときの状況は、例えば、前回メモされた棚が58mで、水深表示領域5aの表示が60.5mであるとき、マークを目視したときの実際の糸長が62mを示している状況である。
【0047】
本実施形態では、表示部5の水深表示領域5aに表示された仕掛けの水深を示す糸長LXと、釣り竿の穂先を基準にして目視した釣り糸のマークが示す糸長との差により、表示された糸長LXを補正することができる。
【0048】
この場合、釣り人は、図7(a)に示すように、メモスイッチMMと0セット決定スイッチZDとを同時長押し操作する。すると、図7(b)に示すように、水深表示領域5aの数値が点滅し、水深表示領域5aに表示された糸長LXが丸め処理(例えば、小数点以下切り捨て)されて、60mになる。また、丸め処理された補正糸長ALD(60m)が糸長データ記憶エリア43bに記憶される。さらに、記憶された補正糸長ALDがメモ水深表示領域5bに表示される。
【0049】
この表示を見て釣り人は、現在、穂先で62mの位置にある釣り糸を巻き取って60mに合わせる。釣り人がスプール10を回転させると、図7(c)に示すように、点滅表示はオフされ、水深表示領域5aの表示は、60mから徐々に減少する。そして、釣り人が60mまで巻き取って0セット決定スイッチZDを操作するすると、水深表示領域5aの数値が60mになり、メモ水深表示領域5bの数値が直近にメモした棚の水深58mに戻る。
【0050】
0セット決定スイッチZDが操作されると、一次関数の傾きAが上記の水深に基づいて補正される。この補正方法について図5に基づいて説明する。
【0051】
いま、0セット決定スイッチZDを操作したときのスプール回転数Xがeであり、そのときの糸長である面積をS1(例えば60m)とすると、図5に左下がりのハッチングで示すエリアで補正することになる。ここで傾きA’は、上記(6)式のスプール回転数c,dに代えてスプール回転数eを入れ、面積Sに代えて面積S1を入れることにより下記(7)式により求めることができる。
【0052】
A’=2(S1−Bπd)/e2・・・(7)
得られた傾きA’から得られる補正一次関数(Y’=A’・X+Bπ)をスプール1回転毎に積分処理(面積算出処理)することで、普通学習モードと同様の手順で巻き初めから巻終わりまでの、例えばスプール1回転毎の糸長ML1〜MLNを求める。そして、巻終わり時のスプール回転数のときの糸長MLXを「0」にセットする。次に、0セットした糸長(ML0)から巻き初めまでの糸長MLX(=MLN)とスプール回転数Xとの関係を算出する。この算出結果を記憶部43の糸長データ記憶エリア43bに例えば.補正用のマップ形式(MLX=MAP(X))で記憶する。
【0053】
例えば、糸長が60mのときにスプール10が450回転したとすると、傾きA’は、下記のようになる。
【0054】
A’=2(60000−94.2*560)/560*560
=0.04622
<リール制御部の制御>
リール制御部30によって行われる具体的な制御処理を、図8以降の制御フローチャートに従って説明する。
【0055】
電動リールが電源コード18を介して外部電源PSに接続されると、図8のステップS1において初期設定を行う。この初期設定ではスプールカウンタ42の計数値をリセットしたり、各種の変数やフラグをリセットしたりする。また、船縁停止位置FN(停止水深の一例)を標準的な船縁停止位置である6mにセットする。さらに、後述する補正処理で補正糸長ALDに応じた糸長と回転位置データとの関係に基づいたマップ(MAP(X)=MLX)を取り消すために、それを以前に学習したマップ(MAP(X)=LX)をセットする。
【0056】
次にステップS2では表示処理を行う。表示処理では、水深表示等の各種の表示処理を行う。ここで、上からモードのときには、水深表示領域5aに水面基準の水深が表示される。また、メモスイッチMMが棚位置又は底位置で操作されるとその水深がメモ水深表示領域5bに表示される。
【0057】
ステップS3では、スイッチ操作部6の操作による処理が選択されたか否か判断する。またステップS4ではスプール10が回転しているか否かを判断する。この判断は、スプールセンサ41の出力により判断する。ステップS5ではその他の指令や入力がなされたか否かを判断する。スイッチ操作により処理が選択された場合にはステップS3からステップS6に移行し、図9に示すスイッチ操作処理を実行する。またスプール10の回転が検出された場合にはステップS4からステップS7に移行する。ステップS7では、後述する補正フラグPがオンしているか否かを判断する。ステップS8では、補正処理を示す図9のステップS26でセットされた点滅表示させたのをやめて、通常の糸長LXを表示させる。ステップS9では、図12に示す各動作モード処理を実行し、ステップS5に移行する。補正フラグPがオフしている場合は、ステップS9に移行する。
【0058】
その他の指令がなされた場合にはステップS5からステップS10に移行して他の処理を実行する。
【0059】
ステップS6のスイッチ操作処理では、図9のステップS11で学習モード処理が選択されたか否かを判断する。具体的には、前述したように、メニュースイッチMNと0セット決定スイッチZDとが3秒以上長押し操作されたか否かを判断する。ステップS12では、変更レバー13の操作によるモータ12のオンオフ及び速度又は張力の段階変更処理が選択されたか否かを判断する。ステップS13では、水深をメモする水深記憶処理が選択されたか否かを判断する。具体的には、メモスイッチMMが単独操作されたか否かを判断する。ステップS14では、補正処理が選択されたか否かを判断する。具体的には、メニュースイッチMMと0セット決定スイッチZDとが3秒以上長押し操作されたか否かを判断する。
【0060】
ステップS15では、選択された処理を決定するため決定処理が選択されたか否かを判断する。具体的には、0セット決定スイッチZDが単独操作されたか否かを判断する。ステップS16で、メニュースイッチMNの単独道操作等のスイッチ操作によるその他のスイッチ操作処理が選択されたか否かを判断する。具体的には、他のスイッチが操作されたか否かを判断する。この他のスイッチの操作にはメモスイッチMM単独の長押し操作等の他の長押し操作も含まれる。なお、長押し操作は、所定時間(例えば3秒)以上の押圧操作のことをいい、単独操作は所定時間未満の操作をいう。また、補正処理を中断する場合には、メニュースイッチMNの単独操作を行えばよい。この場合、記憶された補正糸長ALDはキャンセルされる。
【0061】
ステップS11で学習モードが選択されたと判断すると、ステップS11からステップS17に移行する。ステップS17では、選択された後のメニュースイッチMN及び0セット決定スイッチZDの操作により、いずれの学習モードが設定されたか否かを判断する。学習モードには、前述したように普通学習モードと、指定学習モードと、下巻学習モードとがある。普通学習モードが設定されると、ステップS17からステップS18に移行し、後述する普通学習処理を実行する。メニュースイッチMNの操作により指定学習モードや下巻学習モード等の他の学習モードが設定された場合には、ステップS17からステップS19に移行し、設定された他の学習モードを実行する。
【0062】
変更レバー13の操作によりモータ制御が選択されると、ステップS12からステップS20のモータ制御処理に移行する。モータ制御処理では、モータ12をオンオフするとともに、速度一定モードの場合は、設定された段数の速度になるようにモータ12を制御する。また、張力一定モードの時は、釣り糸に作用する張力が設定された段数の張力になるようにモータ12を制御する。
【0063】
メモスイッチMMの単独操作により、操作時の水深を記憶する処理が選択されると、ステップS13からステップS21に移行する。ステップS13では、そのときに計測された糸長LXを表示データ記憶エリア43aに記憶する。
【0064】
補正処理が選択されるとステップS14からステップS22に移行する。ステップS22では、糸長LXが10m未満か否かを判断する。糸長LXが10m未満の場合は、補正処理をしないため、以降の処理をスキップしてステップS15に移行する。糸長LXが10m以上の場合は、ステップS23に移行する。ステップS23では、補正フラグPをオンする。補正フラグPは、補正処理に入ったか否かを判断するものである。ステップS24では、表示されている糸長LXを丸め処理する。具体的には、小数点以下を切り下げる丸め処理を行う。ステップS25では、丸め処理された糸長LXを補正糸長ALDとして記憶部43の糸長データ記憶エリア43bに記憶する。ステップS26では、補正糸長ALDが表示された水深表示領域5aを点滅させるとともに、記憶した補正糸長ALDをメモ糸長に代えてメモ水深表示領域5bに表示する。
【0065】
決定処理が選択されたと判断すると、ステップS15からステップS27に移行し、図11に示す設定処理を実行する。
【0066】
他のスイッチ操作がなされると、ステップS16からステップS28に移行し、例えば、メニュースイッチMNの単独操作による2つの表示モードのいずれかの選択、すなわち、上からモードと底からモードの選択、2つのモータ制御モードのいずれかの選択、すなわち、速度一定モードと張力一定モードの選択等の操作されたスイッチ操作に応じた他のスイッチ処理を行う。
【0067】
ステップS18の普通学習処理では、図10のステップS31で糸巻取りが開始されたか否かを判断する。この判断は、スプールセンサ41によりスプール10が回転を開始したことを検出したことにより判断する。ステップS32では、糸巻取りが終了したか否かを判断する。この判断は、所定のスイッチ操作(たとえばメモスイッチMMの所定時間以上の操作)がなされたか否かにより判断する。糸巻取りが終了した後、たとえば10m釣り糸を繰り出してスプール回転数とスプール1回転当たりの糸長との関係を学習する。ステップS33では、その10mの繰り出しが終了したか否かを判断する。この判断も所定のスイッチ操作がなされたか否かにより判断する。なお、釣り糸にたとえば10m毎に異なる色づけがなされている場合には、上記繰り出し操作が行えるが、釣り糸によっては色づけがなされていない場合がある。このような場合には、10mの釣り糸を先端に結んでさらに10m釣り糸を巻き取ってもよい。繰り出しが終了していない場合には、ステップS31に戻る。
【0068】
糸巻取りが開始されるとステップS31からステップS34に移行する。ステップS35では、スプール回転数Xをスプールカウンタ42の値に応じて増加させる。たとえば、スプールセンサ41がスプール1回転当たり10パルス出力し、スプールカウンタ42がスプール1回転当たり10ずつ増加するときには、スプールカウンタ42が10増加するとスプール回転数Xを1増加する。
【0069】
糸巻取りが終了してスプール10の回転が停止するとステップS32からステップS35に移行する。ステップS35では、巻き取り完了したときのスプール回転数Xを総回転数cにセットする。ステップS36では、釣り糸の繰り出しに応じてスプール回転数Xを減じていく。この減算もステップS34と同様にたとえばスプールカウンタ42が10ずつ減じていくとスプール回転数Xを1減少させる。
【0070】
糸繰り出しが終了するとステップS33からステップS37に移行する。ステップS37では、スプール総回転数cから繰り出しにより減少したスプール回転数Xを減算し、減算値を繰り出し回転数dにセットする。この繰り出し回転数dが10m釣り糸を繰り出したときのスプール10の回転数である。ステップS38では、記憶部43から糸巻径Bπ及び繰り出し長さSを読み出す。この2つのデータは、あらかじめ記憶部43に書き込まれている。
【0071】
ステップS39では、得られた4つのデータc,d,Bπ,Sにより上記(6)式により近似一次関数の傾きAを求め、近似一次関数を算出する。これにより、糸径及び長さが未知の釣り糸の全長にわたる、スプール1回転長さYとスプール回転数Xとの関係が決定される。ステップS40では、得られた一次関数を積分処理して巻き初めから巻終わりまでのスプール回転数Xと糸長LNとの関係を算出する。そして、巻終わりを水深0にセットして糸長LNを糸長LXに変換する。これによりスプール回転数Xと糸長LXとの関係が決定される。
【0072】
ステップS41では、得られたスプール回転数Xと糸長LXの関係をマップ形式で記憶部43に記憶してメインルーチンに戻る。これにより、前述した学習処理が実行され、釣り糸全体にわたる学習を行うことなく最終部分のみの学習で糸巻径により変化するスプール回転数と糸長との関係を補正できる。これらの処理が終了するとスイッチ入力ルーチンに戻る。
【0073】
ステップS27の決定処理では、図11のステップS42で補正フラグPがすでにオンしているか否かを判断する。この判断は、補正処理により補正糸長ALDによる補正を行う決定であるか否かを判断するためである。補正フラグPがオンしている場合は、ステップS42からステップS43に移行する。ステップS43では、補正フラグPをオフする。ステップS44では、補正糸長ALDに基づいて補正傾きA’を算出する。ステップS45では、算出された補正傾きA’の一次関数を積分処理して巻き初めから巻終わりまでのスプール回転数Xと糸長LNとの関係を算出する。そして、巻終わりを水深0にセットして糸長LNを糸長LXに変換する。これによりスプール回転数Xと糸長LXとの関係が決定される。ステップS46では、得られたスプール回転数Xと糸長MLXの関係をマップ形式で記憶部43の糸長データ記憶エリア43bに記憶してメインルーチンに戻る。
【0074】
補正フラグPがオフしている場合は、ステップS42からステップS47に移行し、例えば表示モードやモータ制御モード等の他の処理の選択結果の決定処理を行う。
【0075】
ステップS9の各動作モード処理では、図12のステップS51でスプール10の回転方向が糸繰り出し方向か否かを判断する。この判断は、スプールセンサ41のいずれのリードスイッチが先にパルスを発したか否かにより判断する。スプール10の回転方向が糸繰り出し方向と判断するとステップS51からステップS52に移行する。ステップS52では、スプール回転数Xを1ずつ減少させる。このステップは、図9のステップS36と同様である。ステップS53では、減少する毎にスプール回転数Xから記憶部43に記憶されたマップを読み出し、糸長LXをセットする。このとき、補正マップが記憶されている場合は、補正マップから糸長MLXをセットする。この糸長LX又はMLXが仕掛けの水深としてステップS2の表示処理で水深表示領域5aに表示される。ステップS53では、得られた糸長LXが底位置に一致したか、つまり、仕掛けが底に到達したか否かを判断する。底位置は、前述したように仕掛けが底に到達したときにメモスイッチMMを押すことで記憶部43の表示データ記憶エリア43aにセットされる。ステップS54では、他のモードか否かを判断する。他のモードではない場合には、各動作モード処理を終わりメインルーチンに戻る。
【0076】
糸長LXが底位置に一致するとステップS53からステップS55に移行し、仕掛けが底に到達したことを報知するためにブザー40を鳴らす。他のモードの場合には、ステップS54からステップS56に移行し、指定された他のモードを実行する。
【0077】
スプール10の回転が糸巻取り方向と判断するとステップS51からステップS57に移行する。ステップS57では、スプール回転数を1ずつ増加させる。ステップS58では、増加する毎にスプール回転数Xから記憶部43に記憶されたマップを読み出し、糸長LXをセットする。このとき、補正マップが記憶されている場合は、補正マップから糸長MLXをセットする。この糸長LX又はMLXが仕掛けの水深としてステップS2の表示処理で表示される。ステップS59では、水深が船縁停止位置に一致したか否かを判断する。船縁停止位置まで巻き取っていない場合にはメインルーチンに戻る。船縁低地位置に到達するとステップS59からステップS60に移行する。ステップS60では、仕掛けが船縁に手有ることを報知するためにブザー40を鳴らす。ステップS61では、モータ12をオフする。これにより魚が釣れたときに取り込みやすい位置に魚が配置される。この船縁停止位置は、たとえば水深6m以内で所定時間以上モータ12が停止しているとセットされる。
【0078】
ここでは、未知の釣り糸のスプール回転数と糸長との関係を算出するための普通学習を釣り糸の略最終糸巻部分の短い糸長でのみ行っているので、糸長検出器を装着することなく、糸長を計測することができる。
【0079】
<発明の特徴>
(A)カウンタ4は、電動リールのリール本体1に装着されるスプール10から繰り出されるあるいは巻き取られる釣り糸の糸長LNを仕掛けの水深として表示する装置である。カウンタ4は、機能構成としての糸長計測手段及び表示制御手段を有するリール制御部30と、表示部5と、機能構成としての記憶操作手段及び補正操作手段を有するスイッチ操作部6と、記憶部43と、を備えている。糸長計測手段は、スプール10の回転位置データを検出する回転位置データ検出手段としてのスプールセンサを有し、検出された回転位置データと糸長との関係に基づき、回転位置データから糸長を計測する。表示部5は、計測された糸長を仕掛けの水深として表示可能である。表示制御手段は、計測された糸長を表示部5に表示させる。記憶操作手段は、表示部5に表示された糸長に関連する補正糸長ALDを記憶する操作を行うための手段である。記憶部43は、記憶操作手段が操作されたときに補正糸長ALDを記憶する。補正操作手段は糸長計測手段により計測された糸長を補正する操作を行うための主段である。表示制御手段は、記憶操作手段が操作された後に補正操作手段が操作されると、補正操作手段が操作されたときに糸長計測手段により計測された糸長を、記憶部43に記憶された補正糸長に基づいて補正する。
【0080】
このカウンタ4では、スプール10の回転位置データにより糸長が表示される。しかし、表示された糸長が実際の糸長と異なることがある。例えば、低張力で巻き取ると、下に巻いてある釣り糸の間に巻き取られる釣り糸が入らずに糸巻径が大きくなり、実際の糸長より短い数値が表示される。釣り糸には、所定間隔(例えば1m間隔及び10m間隔)でマークを付しているものがあり、そのような釣り糸を使用すれば、マークと穂先との関係から実際の糸長を釣り人は認識できる。実際の糸長と計測されて表示される糸長が異なると釣り人が判断すると、記憶操作手段を操作する。すると、その時に計測された糸長が補正糸長として記憶手段に記憶される。そして、釣り人は、釣り糸のマークが示す糸長が補正糸長になるように釣り糸を巻き取り又は繰り出しする。そして、マークを目視して実際の糸長が補正糸長になると、釣り人が補正操作手段を操作する。すると、表示制御手段は、補正操作されたときの糸長を補正糸長に補正する。
【0081】
具体的には、例えば、表示された糸長が例えば60mで、そのときの実際の糸長が釣り糸のマークを見ると、62mであったとき、釣り人は、記憶操作手段を操作し、そのとき計測された糸長を補正糸長として記憶手段に記憶する。そして、穂先で釣り糸のマークを見ながら60mまで釣り糸を巻き取り、補正操作手段を操作する。すると、そのときの表示が58mであったとしても、補正処理により表示が補正糸長の60mに変更される。そして、回転位置データと糸長との関係が変更される。
【0082】
ここでは、記憶操作手段と、記憶手段と、補正操作手段と、設けているので、実際の糸長を釣り人が認識できれば、2回の操作と、巻き取り又は繰り出し操作を行うだけで、計測された糸長を実際の糸長に基づいて補正できる。このため、スプールへの釣り糸の巻き付き具合に応じてスプール回転位置データと糸長との関係を簡単な操作で補正できるようになる。
【0083】
(B)カウンタ4において、表示制御手段は、記憶操作手段が操作されると、糸長計測手段の計測結果にかかわらず補正糸長を表示部5に一時的に表示させる。ここでは、記憶された糸長が一時的に表示されるので、釣り人がマークを合わせやすくなる。
【0084】
(C)カウンタ4において、補正糸長は、糸長計測手段で計測された糸長を丸め処理された糸長である。この場合には、補正糸長とマークとの対応が取りやすくなり、釣り人がマークに合わせやすくなる。
【0085】
(D)カウンタ4において、糸長計測手段は、糸長算出手段を有している。糸長算出手段は、スプール10に釣り糸を巻き付ける際に略最終巻き付け部分での釣り糸の所定長さと回転位置データ検出手段の検出結果との第1関係に基づき、スプールの単位回転当たりの糸長と回転位置データとの第2関係を、巻付開始時の釣り糸の単位回転当たりの糸長を切片とする一次関数で算出し、回転位置データ検出手段により検出された回転位置データと算出された一次関数とに基づき糸長を求める。
【0086】
この場合には、回転位置データと糸長との第2関係が一次関数であるので、糸長計測での演算が容易になる。
【0087】
(E)カウンタ4において、表示制御手段は、補正操作手段が操作されたとき、記憶部43に記憶された補正糸長により一次関数の傾きを変更する。この場合には、傾きを変更するだけで補正できるので、補正処理が容易になる。
【0088】
(F)カウンタ4において、補正糸長による補正は電源が遮断されると取り消される。この場合には、釣りを終わって、例えば電源コードを外して電源が遮断されると、補正糸長による補正が取り消されるので、張力が異なる釣りを行っても糸長を精度良く表示できる。
【0089】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0090】
(a)前記実施形態で、補正処理時に一次関数の傾きを変更しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、補正処理時に目視された糸長と表示された糸長との相違の割合DR(例えば、前記実施形態では、DR=60/58.5)でマップ形式の糸長LNを書き換えてもよい。
【0091】
(b)電動リールに代えて、水深表示機構を有する手巻きリールにも本発明を適用できる。
【0092】
(c)前記実施形態では、一次関数により糸長を計測したが、予め回転位置データXと糸長との関係が設定されている場合にも、本発明を適用できる。また、糸長検出器を用いて学習されている場合にも本発明を適用できる。これらの場合には、前述したように、一次関数の傾きではなく、補正処理時に目視された糸長と表示された糸長との相違の割合DRで補正するようにしてもよい。
【0093】
(d)前記実施形態では、表示部5に表示された糸長を基準に補正処理を行っているが、実際に目視された糸長を元に補正処理を行うようにしてもよい。
【0094】
(e)補正操作手段はボタン等スイッチの操作でなく、記憶操作以降に所定時間以上巻上げを停止させる操作でもよい。また、スプール回転方向の変更操作、例えば、巻上げから繰り出しへの変更操作でもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 リール本体
4 カウンタ(糸長表示装置の一例)
5 表示部
6 スイッチ操作部
10 スプール
18 電源コード
19 コネクタ
30 リール制御部
41 スプールセンサ
42 スプールカウンタ
43 記憶部
43b 糸長データ記憶エリア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り用リールのリール本体に装着されるスプールから繰り出されるあるいは巻き取られる釣り糸の糸長を表示する釣り用リールの糸長表示装置であって、
前記スプールの回転位置データを検出する回転位置データ検出手段を有し、検出された前記回転位置データと前記糸長との関係に基づき、前記回転位置データから前記糸長を計測する糸長計測手段と、
糸長を表示可能な表示器と、
前記計測された糸長を前記表示器に表示させる表示制御手段と、
前記表示器に表示された糸長に関連する補正糸長を記憶する操作を行うための記憶操作手段と、
前記記憶操作手段が操作されたときに前記補正糸長を記憶する記憶手段と、
前記糸長計測手段により計測された糸長を補正する操作を行うための補正操作手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記記憶操作手段が操作された後に前記補正操作手段が操作されると、前記補正操作手段が操作されたときに前記糸長計測手段により計測された糸長を、前記記憶手段に記憶された前記補正糸長に基づいて補正する、釣り用リールの糸長表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記記憶操作手段が操作されると、前記糸長計測手段の計測結果にかかわらず前記補正糸長を前記表示器に一時的に表示させる、請求項1に記載の釣り用リールの糸長表示装置。
【請求項3】
前記補正糸長は、前記糸長計測手段で計測された糸長を丸め処理された糸長である、請求項1又は2に記載の釣り用リールの糸長表示装置。
【請求項4】
前記糸長計測手段は、
前記スプールに釣り糸を巻き付ける際に略最終巻き付け部分での釣り糸の所定長さと前記回転位置データ検出手段の検出結果との第1関係に基づき、前記スプールの単位回転当たりの糸長と前記回転位置データとの第2関係を、巻付開始時の前記釣り糸の単位回転当たりの糸長を切片とする一次関数で算出し、前記回転位置データ検出手段により検出された回転位置データと算出された前記一次関数とに基づき前記糸長を求める糸長算出手段を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の釣り用リールの糸長表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記補正操作手段が操作されたとき、前記記憶手段に記憶された前記補正糸長により前記一次関数の傾きを変更する、請求項4に記載の釣り用リールの糸長表示装置。
【請求項6】
前記補正糸長による補正は電源が遮断されると取り消される、請求項1から5のいずれか1項に記載の釣り用リールの糸長表示装置。
【請求項1】
釣り用リールのリール本体に装着されるスプールから繰り出されるあるいは巻き取られる釣り糸の糸長を表示する釣り用リールの糸長表示装置であって、
前記スプールの回転位置データを検出する回転位置データ検出手段を有し、検出された前記回転位置データと前記糸長との関係に基づき、前記回転位置データから前記糸長を計測する糸長計測手段と、
糸長を表示可能な表示器と、
前記計測された糸長を前記表示器に表示させる表示制御手段と、
前記表示器に表示された糸長に関連する補正糸長を記憶する操作を行うための記憶操作手段と、
前記記憶操作手段が操作されたときに前記補正糸長を記憶する記憶手段と、
前記糸長計測手段により計測された糸長を補正する操作を行うための補正操作手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記記憶操作手段が操作された後に前記補正操作手段が操作されると、前記補正操作手段が操作されたときに前記糸長計測手段により計測された糸長を、前記記憶手段に記憶された前記補正糸長に基づいて補正する、釣り用リールの糸長表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記記憶操作手段が操作されると、前記糸長計測手段の計測結果にかかわらず前記補正糸長を前記表示器に一時的に表示させる、請求項1に記載の釣り用リールの糸長表示装置。
【請求項3】
前記補正糸長は、前記糸長計測手段で計測された糸長を丸め処理された糸長である、請求項1又は2に記載の釣り用リールの糸長表示装置。
【請求項4】
前記糸長計測手段は、
前記スプールに釣り糸を巻き付ける際に略最終巻き付け部分での釣り糸の所定長さと前記回転位置データ検出手段の検出結果との第1関係に基づき、前記スプールの単位回転当たりの糸長と前記回転位置データとの第2関係を、巻付開始時の前記釣り糸の単位回転当たりの糸長を切片とする一次関数で算出し、前記回転位置データ検出手段により検出された回転位置データと算出された前記一次関数とに基づき前記糸長を求める糸長算出手段を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の釣り用リールの糸長表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記補正操作手段が操作されたとき、前記記憶手段に記憶された前記補正糸長により前記一次関数の傾きを変更する、請求項4に記載の釣り用リールの糸長表示装置。
【請求項6】
前記補正糸長による補正は電源が遮断されると取り消される、請求項1から5のいずれか1項に記載の釣り用リールの糸長表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−97831(P2011−97831A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252769(P2009−252769)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】
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