釣合錘
【課題】本発明の目的は、かご重量の増加に伴うウエイトの追加が生じた場合でも、レイアウトを変更せずに、かつ容易に積み足すことが可能な釣合錘を提供することにある。
【解決手段】本発明の釣合錘16は、主枠28、主積載部39、メインウエイト30、補助積載部64を備える。主積載部39は、主枠28で囲われる内側に設けられる。補助積載部64は、主積載部39の下方に設けられる。補助積載部64に、エレベータ11のリニューアル工事に伴い籠側重量が増加した場合に、追加ウエイト31を固定する。追加ウエイト31は、主枠28の直下で昇降路12のピット20に据えられるバッファ27を避けて、このバッファ27の両側に重量が振り分けられる。
【解決手段】本発明の釣合錘16は、主枠28、主積載部39、メインウエイト30、補助積載部64を備える。主積載部39は、主枠28で囲われる内側に設けられる。補助積載部64は、主積載部39の下方に設けられる。補助積載部64に、エレベータ11のリニューアル工事に伴い籠側重量が増加した場合に、追加ウエイト31を固定する。追加ウエイト31は、主枠28の直下で昇降路12のピット20に据えられるバッファ27を避けて、このバッファ27の両側に重量が振り分けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータに用いられる釣合錘に関する。
【背景技術】
【0002】
乗籠と釣合錘とが、巻上機を介してつるべ式に主ロープで吊りさげられているエレベータがある。乗籠と釣合錘とは、それぞれ昇降路に敷設されたレールに案内される。乗籠おおび釣合錘が落下した場合に衝撃を和らげるため、バッファが、乗籠と釣合錘のそれぞれ下方に設けられている。
【0003】
釣合錘は、レールに沿って移動する枠と、枠に積み込まれる複数個のウエイトとを有している。釣合錘の重量は、乗籠の重量と定格積載重量の約半分の重量とを合計した値に調整される。釣合錘は、乗籠側の重量を相殺し、巻上機の両側にかかる荷重を均衡させることで、乗籠を移動させるために巻上機に必要な出力を軽減している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、既設エレベータにおいて、乗籠の意匠を変更したりクーラーを追加したりするリニューアル工事が施される場合がある。乗籠の重量が増加する場合、かごの重量増加に伴って、釣合錘の重量も増加させる必要がある。このとき、釣合錘の枠内に余裕がある場合は、ウエイトを積み足し、枠に余裕がない場合は、枠外へはみ出る大きさのウエイトに交換したり、釣合錘を枠ごと新規のものと交換している。しかし、釣合錘自体を交換するためには、既存の釣合錘を撤去する作業なども含めて大掛かりな工事が必要である。
【0005】
また、リニューアル工事では、短期間で工事を完了することが求められる。そのため、現地での作業は組立作業に留め、工事の負担を減らす必要がある。しかし、枠外にはみ出る大きさのウエイトに既存のウエイトを交換すると、積み替え作業に手間がかかるだけではなく、はみ出した部分と周囲の構造物との間に十分なクリアランスを確保する必要があるため、昇降路内のレイアウトによっては、大幅な重量増加に対応できない。
【0006】
そこで本発明は、リニューアル工事により乗籠の重量が増加した場合に、新規の釣合錘に交換することなく釣合錘の枠外に容易にウエイトを追加することができる釣合錘を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の釣合錘は、エレベータの昇降路内に乗籠とともに主ロープでつるべ式に吊りさげられる。本発明の釣合錘は、主枠、主積載部、メインウエイト、補助積載部を備える。主枠は、前記昇降路に沿って敷設されるカウンターレールに沿って案内される。主枠は、カウンタレールと平行に設けられる一対の縦材、この縦材の上端に掛け渡される上梁、縦材の下端に渡される下梁、で構成される。主積載部は、主枠で囲われる内側に設けられる。メインウエイトは、乗籠自体の重量およびこの乗籠の定格積載量の半分の重量を足し合わせた籠側重量に均衡する錘側重量に調整されて主積載部に搭載される。補助積載部は、主積載部の下方に設けられる。補助積載部に、エレベータのリニューアル工事に伴い籠側重量が増加した場合に、追加ウエイトを固定する。追加ウエイトは、主枠の直下で昇降路のピットの床に据えられるバッファを避けて、このバッファの両側に重量が振り分けられる。
【0008】
この場合、補助積載部は、下梁の下面に設けられたネジ孔を有し、ネジ孔に対応する位置に貫通孔が設けられた追加ウエイトが、貫通孔に通されるボルトで固定されることが好ましい。
【0009】
または、補助積載部は、下梁が延びる主枠の幅方向に沿ってこの下梁の下面に設けられる開口と、主枠の厚み方向に沿って開口を窄める縁部とを有する。補助積載部に、縁部と嵌合するくびれ部が上部に設けられた追加ウエイトが懸垂されることが好ましい。
【0010】
または、補助積載部は、縦材に沿って下梁よりも下方へ延びた補助縦材と、バッファが通過する挿通孔を有して補助縦材の下端の間に渡される補助梁とで構成され、補助梁の上に挿入孔を避けて重量が振り分けられた追加ウエイトが積載されることが好ましい。この場合、補助縦材は、縦材と一続きに設けられることが好ましい。
【0011】
または、補助縦材および補助梁は、主枠と別体に設けられている。追加ウエイトを搭載する場合に、主枠の下端に補助縦材が連結されることが好ましい。
【0012】
この場合、補助積載部に、追加ウエイトを装着する場合、追加ウエイトは、バッファが挿入可能に形成された貫通孔を有することが好ましい。この追加ウエイトは、貫通孔を中心とする両側に重量が振り分けられて一体に形成されている。または、補助積載部に、バッファが下梁に当接する状態で、バッファを中心とする両側に振り分けて別々に配置される複数の追加ウエイトが装着されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る釣合錘によれば、補助積載部を備えるので、リニューアル工事などによって乗籠の重量が増加した場合に、既存の釣合錘を新規の釣合錘に交換することがなく、釣合錘の枠外に容易にウエイトを追加することができる。リニューアル工事の工期を短縮することができる。また、工事費用も少なくおさえることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る第1の実施形態の釣合錘を備えるエレベータについて、図1から図4を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、エレベータ11は、昇降路12と、乗籠13と、主ロープ14と、巻上機15と、釣合錘16と、メインレール17と、カウンタレール18と、ガバナ19と、ピット20と、第1のバッファ26と、第2のバッファ27と、を備えている。ピット20は、昇降路12の下部に設けられている。
【0016】
メインレール17とカウンタレール18とは、昇降路12からピット20まで鉛直方向に敷設されている。乗籠13と釣合錘16は、主ロープ14を介して連結されている。乗籠13は、下部に籠シーブ131を有し、釣合錘16は、上部にカウンタシーブ29を有している。主ロープ14の端部は、昇降路の上部に設けられるロープヒッチに固定され、乗籠13の籠シーブ131、巻上機15、釣合錘16のカウンタシーブ29にまわし掛けられている。釣合錘16は、乗籠13の最大積載荷重の半分の重量と乗籠13自体の重量とを足し合わせた籠側重量と釣合う錘側重量となるようにメインウエイト30が搭載される。乗籠13は、メインレール17に案内されて、昇降路12を移動する。釣合錘16は、カウンタレール18に案内されて昇降路12を移動する。
【0017】
第1のバッファ26と、第2のバッファ27とは、ピット20の床21に設置される。第1のバッファ26は、乗籠13が、最下階よりも下がった場合に乗籠13の重量を受け止める。第2のバッファ27は、乗籠13が最上階に停止している状態で釣合錘16が保持される位置よりも下がった場合に、釣合錘16の重量を受け止める。
【0018】
釣合錘16は、カウンタレール18の間に配置される主枠28と、カウンタシーブ29と、この主枠28の内側に積載されるメインウエイト30と、を備えている。
【0019】
図2に示すように、主枠28は、一対の縦材35と、上梁36と、下梁37と、を組んで形成されている。
【0020】
縦材35は、軽溝形鋼を所定寸法で切断して形成され、図3に示すように、カウンタレール18の内側に配置される。それぞれの縦材35は、カウンタレール18に遊嵌するガイドシュー38を上寄りおよび下寄りの位置にそれぞれ1つずつ有している。各ガイドシュー38は、カウンタレール18に対して滑軸受として機能する。
【0021】
上梁36は、一対の縦材35の上端どうしの間に水平方向に渡され、カウンタシーブ29が回転可能に装着されている。下梁37は、角鋼管を所定寸法に切断して形成され、一対の縦材35の下端同士の間に水平方向に渡されている。縦材35、上梁36、下梁37によって形成された主枠28の内側に、主積載部39が設けられる。メインウエイト30は、主積載部39に複数個積載されている。積み重ねられた最上部に位置するメインウエイト30の上側には、メインウエイト30を固定する固定部材40が設けられている。
【0022】
また、この主枠28は、図2に示すように、下梁37の下壁に、平板状のバッファ受43があてがわれている。第2のバッファ27は、バッファ受43に突き当たる。下梁37のバッファ受43から外れた位置に、追加ウエイト31を固定するための補助積載部である2つの固定部45が設けられている。そして、下梁37の下壁に設けられる固定部45には、それぞれ2箇所ずつ、合計4箇所のネジ孔37aが設けられている。このネジ孔37aは、追加ウエイト31主枠28にボルト44で固定するために用意されたものである。固定部45において、複数の追加ウエイト31は、下梁37にボルト44で固定される。追加ウエイト31は、バッファ受43を間に挟む両側の2箇所の固定部45に、分配して取り付けられている。
【0023】
追加ウエイト31は、乗籠13の重量が増加する場合に、主積載部39に積まれるメインウエイト30の最大量を超えて釣合錘16の重量を増加させるために取り付けられる。釣合錘16は、初期設置状態で乗籠13自体の重量及び乗籠13の最大積載量の約半分の重量を足し合わせた重量となるようにメインウエイト30が積み込まれる。主枠28は、昇降路12内において最小寸法となるように、初期設置状態で主積載部39にメインウエイト30が満載される大きさに設けられる。
【0024】
しかし、リニューアル工事が施工され、巻上機15を新型のものに交換し、乗籠13の運行速度や始動停止の制御を変えることで、運転中の乗籠13に振動が生ずるなどの場合は、固有振動数をずらすために乗籠13に、デットウエイトを積む。したがって、これに応じた釣合錘16の重量も増加する必要が生ずることもある。
【0025】
また、エレベータ11を設置してから年数が経つと、構造的には耐用年数に至っていなくても、内部が汚れたために、新しい乗籠13に変更したり、意匠を新しいデザインにするために新しい乗籠13に交換することがある。このとき、乗籠13を交換することによって、乗籠13自体の重量や定員が減れば単に何組かのメインウエイト30を降ろせばよい。
【0026】
ところが、必要となる重量が増加すると、メインウエイト30を主枠28に足すことができない。このような場合、本実施形態のエレベータ11は、釣合錘16の下部に設けられた、2つの固定部45に追加ウエイト31が取り付けられる。
【0027】
図3に示すように、各追加ウエイト31は、ボルト44を通すための固定孔47をネジ孔37aに対応させて一対に有している。これらの固定孔47は、長方形に設けられた追加ウエイト31の対角に配置されている。追加ウエイト31を固定するボルト44は、追加ウエイト31の枚数に応じた長さのものを用いる。また、バランスをとる観点から、それぞれの固定部45には、同じ枚数の追加ウエイト31を取り付ける。
【0028】
図4は、第2のバッファ27が作動している状態を示している。図4に示すように、第2のバッファ27の全長Lb、第2のバッファのストローク(沈み込み量)St、衝突後の床21と追加ウエイト31との安全距離δとすると、追加ウエイト31の総寸法L1は、L1=Lb−St−δで定まる値となる。
【0029】
第1の実施形態の釣合錘16は、上述の構成を有しているので、主枠28の主積載部39に規定量のメインウエイト30が積み込まれている場合でも、追加ウエイト31を主枠28の下梁37に吊り下げることで、釣合錘16の重量を増加させることができる。これにより、釣合錘16自体を交換しなければならない事態を回避することができる。また、追加ウエイト31は、バッファ受43から外れた位置に取り付けるので、追加ウエイト31が第2のバッファ27と干渉しない。このため、乗籠13や釣合錘16のレイアウトを変更することなく、釣合錘16の重量を容易に増加できる。また、追加ウエイト31がこのような配置をとることにより、ピット20のスペースを有効に活用することも可能となる。
【0030】
本発明に係る第2の実施形態の釣合錘16について図5から図7を参照して説明する。第2の実施形態の釣合錘16は、追加ウエイト53を主枠28に取り付ける構造が第1の実施形態の場合と異なっている。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。このため、第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる構成について説明し、同じ機能を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
図5に示すように、第2の実施形態の釣合錘16は、下梁37に複数の追加ウエイト53を個別に吊り下げることができる。図6に示すように、下梁37は、断面形状が「C」字形に形成されたいわゆるリップ溝形鋼である。下梁37は、縦材35の下端を結ぶ幅方向に全長にわたって下向きに形成された開口51と、この幅方向に対して直交する厚み方向に、開口51の大きさを規定する縁部52とを有している。図5及び図6に示すように、バッファ受43は、下梁37の幅方向中央部で、厚み方向へ縁部52に渡されて開口51の一部を覆う状態に設けられている。バッファ受43は、図5に示すように、縁部52に対してボルトで固定されている。
【0032】
追加ウエイト53は、開口51より薄いプレート状の本体53aと、本体53aの上部に設けられ開口51より細く形成されたくびれ部53bと、本体53aの上端に設けられて縁部52に引っ掛かる鍔部53cとを有している。追加ウエイト53は、鍔部53cが縁部52に引っ掛かることにより、下梁37に懸垂される。追加ウエイト53は、通しボルト55が貫通される連結孔54が本体53aの上半分と下半分のそれぞれに1個ずつ厚み方向に形成されている。
【0033】
第2の実施形態において、追加ウエイト53の鍔部53cの下面から本体53aの下端までの最大寸法L2は、第2のバッファ27の全長Lb、第2のバッファ27のストローク(沈み込み量)St、第2のバッファ27が最下限まで作動した状態での、ピット20の床21と追加ウエイト53の下端との安全距離δとしたときに、L2=Lb−St−δで定まる値となる。
【0034】
次に、図7を参照して、追加ウエイト53を下梁37に装着する手順を説明する。追加ウエイト53を下梁37に固定するには、まず、図7(a)に示すように、下梁37の開口51に沿う方向に鍔部53cをそろえて追加ウエイト53を、開口51に対してくびれ部53bまで挿入する。図7(b)に示すように、鍔部53cが延びる追加ウエイト53の幅方向を下梁37が延びる方向と直交する方向に90度回転させる。鍔部53cは縁部52に対して掛止されるので、図7(c)に示すように、そのまま開口51に沿って追加ウエイト31を縦材35に向かってスライドさせる。同じ要領で複数の追加ウエイト53を他の追加ウエイト53に厚み方向に重ね合せる。複数の追加ウエイト53は、まとまった束の状態で、通しボルト55が連結孔54に挿入され一体に連結される。最後に、バッファ受43を下梁37の中央部に固定して追加ウエイト53の束が開口51に沿ってずれないように押さえ、追加ウエイト53の装着作業が終了する。
【0035】
第2の実施形態によれば、主枠28の内側に規定量のメインウエイト30が積み込まれている場合でも、追加ウエイト53を主枠28の下梁37に懸垂させることで、釣合錘16の重量を増加させることができる。本実施形態では、追加ウエイト53を下梁37に固定する際に、追加ウエイト53を1個ずつ順次固定することができる。このため、第1の実施形態と比べて、作業者にかかる負担を低減することができる。また、それぞれの追加ウエイト53を装着した後に連結することで、個々の追加ウエイト53が回転しない。従って、下梁37から追加ウエイト53が脱落することを防止できる。
【0036】
本発明の第3の実施形態について、図8と図9を参照して、説明する。第3の実施形態の釣合錘16は、追加ウエイト31を主枠28に取り付ける構造が第1の実施形態の場合と異なっている。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、第3の実施形態では、第1の実施形態と異なる構成について説明し、同じ機能を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
第3の実施形態の釣合錘16は、主枠28と、この主枠28から下方に延びる補助枠62とを備えている。補助枠62の補助縦材62aは、主枠28の縦材35と一続きに形成されている。つまり、第3の実施形態では、一対の縦材35が、第1の実施形態のものよりも下梁37を超えて下方へ長く延びている。縦材35に渡された下梁37と平行に、縦材35の下端には、補助梁63が渡されている。
【0038】
バッファ受43は、下梁37の下面中央部に固定されている。補助梁63は、中空方形の断面形状を有した角鋼管を所定寸法で切断して形成されている。第3の実施形態では、主枠28の下部に設けられるガイドシュー38が、補助枠62の補助縦材62aに取り付けられている。
【0039】
上梁36と下梁37とで挟まれる主枠28に囲まれた領域は、メインウエイト30が搭載される主積載部39となっている。また、下梁37と補助梁63と補助縦材62aで囲まれる領域は、追加ウエイト31が搭載される補助積載部64となっている。補助積載部64には、バッファ受43を挟んだ2箇所に重量を振り分けて追加ウエイト31を配置する2つの固定部45が設けられている。追加ウエイト31は、それぞれの固定部45に、分けて固定されている。補助積載部64に積み重ねられた追加ウエイト31は、2本のボルト44によって補助梁63に固定される。すなわち、第3の実施形態では、追加ウエイト31は、補助枠62を介して主枠28に固定されている。
【0040】
図9に示すように、補助梁63には、第2のバッファ27を通過させるための円形の挿通孔65が設けられている。追加ウエイト31のそれぞれには、一対の固定孔47が設けられている。なお、第3の実施形態における追加ウエイト31は、第1の実施形態のものと同じ形態のものを使用している。
【0041】
第3の実施形態において、第2のバッファ27の全長Lb、第2のバッファのストローク(沈み込み量)St、衝突後の床21と追加ウエイト31との安全距離δとすると、下梁37から補助梁63までの距離L3は、L3=Lb−St−δで定まる値となる。
【0042】
第3の実施形態によれば、主枠28の下部に補助枠62を有しているので、追加ウエイト31を主枠28に対して、安定的に固定することができる。また、追加ウエイト31を補助枠62に固定する場合には、補助梁63上に載せた状態で追加ウエイト31にボルト44を通すことができる。このため、ボルト44を通すまで追加ウエイト31を保持しておく必要がなく、作業者にかかる負担を軽減できる。
【0043】
また、本実施形態では、補助枠62が主枠28と一体に形成されている。このため、追加ウエイト31を足す必要が生じた場合に、この追加ウエイト31および固定用のボルト44を現地に持ち込めばよいだけである。また、補助枠62ががたつくことなく、滑らかに乗籠13と釣合錘16を昇降させることができる。さらに、主枠28の上端と補助枠62の下端とにガイドシュー38を配置することで、ガイドシュー38のスパンを長く取ることができ、カウンタレール18に沿って移動する釣合錘16の動きが滑らかになる。
【0044】
第4の実施形態にかかる釣合錘16について、図10と図11を参照して説明する。第4の実施形態の釣合錘16は、追加ウエイト73を取り付ける構造及びここに取り付けられる追加ウエイト73の形状が第3の実施形態の釣合錘16と異なっている。このため、第3の実施形態に記載の釣合錘16と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
図10に示す第4の実施形態の釣合錘16は、第3の実施形態における補助枠62と同様に主枠28から一続きに設けられた補助枠68を備えている。追加ウエイト73を固定するための補助積載部64は、補助枠68の内側に設けられている。補助枠68を形成する縦材35の上側の一部には、補助梁63と同じ寸法かそれよりも小さい追加ウエイト73を補助積載部64に挿入するための切欠部66が設けられている。切欠部66は、第2のバッファ27のバッファ受43を中心とする対称の位置で、コ字型断面の縦材68aの一方の線に設けられていればよい。本実施形態の補助枠68は、切欠部66が設けられている点において、第3の実施形態の補助枠62と異なっている。
【0046】
図11に示すように、追加ウエイト73の外形は、メインウエイト30の外形と同形状である。そして、追加ウエイト73は、中央部に第2のバッファ27が遊嵌する貫通孔67を有している。さらに、追加ウエイト73は、ボルト44が挿入される固定孔47を貫通孔67の両側にそれぞれ2箇所ずつ、合計4箇所有している。
【0047】
第4の実施形態において、補助積載部64に追加ウエイト73を固定する場合は、図10に示す切欠部66を通して追加ウエイト73を一枚ずつ縦材35の間に落とし込む。そして、増加した籠側重量と均衡する錘側重量となるまで、補助積載部64に所望の枚数の追加ウエイト73を搭載する。補助積載部64に搭載された追加ウエイト73は、ボルト44によって補助枠68の補助梁63に固定される。
【0048】
第4の実施形態によれば、追加ウエイト73が補助積載部64を囲う縦材35の間に嵌まり込むようになっているので、追加ウエイト73が補助積載部64から不用意に脱落しない。
【0049】
第5の実施形態に係る釣合錘16について、図12を参照して説明する。第5の実施形態の釣合錘16は、主枠28に対して、補助枠70が別体に設けられている点が第3の実施形態の釣合錘16と異なっている。これ以外の構成は、第3の実施形態と同じ機能を有しているので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
補助枠70は、主枠28の縦材35の下方延長上に配置される一対の縦枠部材71と、縦枠部材71の下端に渡された補助梁63と、を備えている。補助梁63は、第2のバッファ27が挿入されるための挿通孔65を有している。補助枠70は、縦材35と縦枠部材71とを連結する合計4枚の連結プレート72によって主枠28に取り付けられる。各連結プレート72は、主枠28の縦材35と補助枠70の縦枠部材71とにそれぞれボルトで固定される。この補助枠70は、必要に応じて後から主枠28に現地で組み付けることができる。取り付けられた補助枠70に、追加ウエイト31が積載され、ボルト44で固定される。
【0051】
第5の実施形態によれば、主積載部39に載せされるメインウエイト30の重量以上に錘側重量を増加させる場合、補助枠70を主枠28の下側に一体のユニットとして装着し、補助枠70に設けられる補助積載部64に、追加ウエイト31を搭載することができる。必要に応じて補助枠70を装着するだけで簡単に錘側重量を増量できる。このように、釣合錘16に補助枠70を常設しておく必要がない。また、連結プレート72を取り付けるネジ穴だけ予め設けておけばよい。乗籠13の改修によって増加した籠側重量に合わせて、補助枠70を増設した後、再び仕様変更によって、乗籠13の重量が減少した場合、補助枠70を追加ウエイト31とともに撤去することで、簡単に釣合錘16の重量を減少させることができる。
【0052】
また、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、第2の実施形態において、追加ウエイト53を本体53a、くびれ部53b、鍔部53cからなる形状にしているが、鍔部53cに代えて、フック形状等にしてもよい。すなわち、第2の実施形態にかかる追加ウエイト53は、下梁37に引っ掛かる形状であればどのような形状であっても良い。この場合には、前記フック形状が引っ掛かる棒状の部材を別途、下梁37の下側に設けるようにしても良いし、フック形状部分を縁部52に引っ掛けるようにしても良い。このほか、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るエレベータを示す斜視図。
【図2】図1に示す釣合錘を正面から示す断面図。
【図3】図2に示す釣合錘をA−A線の位置で切断した断面図。
【図4】図2に示す釣合錘が第2のバッファに突き当たった状態を示す断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る釣合錘を示す断面図。
【図6】図5に示す釣合錘をB−B線の位置で切断した断面図。
【図7】図5に示す釣合錘の下梁に、追加ウエイトを固定する過程を示す下面図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る釣合錘を示す断面図。
【図9】図8に示す釣合錘をC−C線の位置で切断した断面図。
【図10】本発明の第4の実施形態に係るエレベータの釣合錘を示す断面図。
【図11】図10に示す釣合錘をD−D線の位置で切断した断面図。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る釣合錘を示す断面図。
【符号の説明】
【0054】
11…エレベータ、12…昇降路、16…釣合錘、27…第2のバッファ、28…主枠、30…メインウエイト、31、53、73…追加ウエイト、37…下梁、43…バッファ受、44…ボルト、51…開口、52…縁部、53a…本体、53b…くびれ部、53c…鍔部、62、68、70…補助枠、65…挿通孔、67…貫通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータに用いられる釣合錘に関する。
【背景技術】
【0002】
乗籠と釣合錘とが、巻上機を介してつるべ式に主ロープで吊りさげられているエレベータがある。乗籠と釣合錘とは、それぞれ昇降路に敷設されたレールに案内される。乗籠おおび釣合錘が落下した場合に衝撃を和らげるため、バッファが、乗籠と釣合錘のそれぞれ下方に設けられている。
【0003】
釣合錘は、レールに沿って移動する枠と、枠に積み込まれる複数個のウエイトとを有している。釣合錘の重量は、乗籠の重量と定格積載重量の約半分の重量とを合計した値に調整される。釣合錘は、乗籠側の重量を相殺し、巻上機の両側にかかる荷重を均衡させることで、乗籠を移動させるために巻上機に必要な出力を軽減している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、既設エレベータにおいて、乗籠の意匠を変更したりクーラーを追加したりするリニューアル工事が施される場合がある。乗籠の重量が増加する場合、かごの重量増加に伴って、釣合錘の重量も増加させる必要がある。このとき、釣合錘の枠内に余裕がある場合は、ウエイトを積み足し、枠に余裕がない場合は、枠外へはみ出る大きさのウエイトに交換したり、釣合錘を枠ごと新規のものと交換している。しかし、釣合錘自体を交換するためには、既存の釣合錘を撤去する作業なども含めて大掛かりな工事が必要である。
【0005】
また、リニューアル工事では、短期間で工事を完了することが求められる。そのため、現地での作業は組立作業に留め、工事の負担を減らす必要がある。しかし、枠外にはみ出る大きさのウエイトに既存のウエイトを交換すると、積み替え作業に手間がかかるだけではなく、はみ出した部分と周囲の構造物との間に十分なクリアランスを確保する必要があるため、昇降路内のレイアウトによっては、大幅な重量増加に対応できない。
【0006】
そこで本発明は、リニューアル工事により乗籠の重量が増加した場合に、新規の釣合錘に交換することなく釣合錘の枠外に容易にウエイトを追加することができる釣合錘を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の釣合錘は、エレベータの昇降路内に乗籠とともに主ロープでつるべ式に吊りさげられる。本発明の釣合錘は、主枠、主積載部、メインウエイト、補助積載部を備える。主枠は、前記昇降路に沿って敷設されるカウンターレールに沿って案内される。主枠は、カウンタレールと平行に設けられる一対の縦材、この縦材の上端に掛け渡される上梁、縦材の下端に渡される下梁、で構成される。主積載部は、主枠で囲われる内側に設けられる。メインウエイトは、乗籠自体の重量およびこの乗籠の定格積載量の半分の重量を足し合わせた籠側重量に均衡する錘側重量に調整されて主積載部に搭載される。補助積載部は、主積載部の下方に設けられる。補助積載部に、エレベータのリニューアル工事に伴い籠側重量が増加した場合に、追加ウエイトを固定する。追加ウエイトは、主枠の直下で昇降路のピットの床に据えられるバッファを避けて、このバッファの両側に重量が振り分けられる。
【0008】
この場合、補助積載部は、下梁の下面に設けられたネジ孔を有し、ネジ孔に対応する位置に貫通孔が設けられた追加ウエイトが、貫通孔に通されるボルトで固定されることが好ましい。
【0009】
または、補助積載部は、下梁が延びる主枠の幅方向に沿ってこの下梁の下面に設けられる開口と、主枠の厚み方向に沿って開口を窄める縁部とを有する。補助積載部に、縁部と嵌合するくびれ部が上部に設けられた追加ウエイトが懸垂されることが好ましい。
【0010】
または、補助積載部は、縦材に沿って下梁よりも下方へ延びた補助縦材と、バッファが通過する挿通孔を有して補助縦材の下端の間に渡される補助梁とで構成され、補助梁の上に挿入孔を避けて重量が振り分けられた追加ウエイトが積載されることが好ましい。この場合、補助縦材は、縦材と一続きに設けられることが好ましい。
【0011】
または、補助縦材および補助梁は、主枠と別体に設けられている。追加ウエイトを搭載する場合に、主枠の下端に補助縦材が連結されることが好ましい。
【0012】
この場合、補助積載部に、追加ウエイトを装着する場合、追加ウエイトは、バッファが挿入可能に形成された貫通孔を有することが好ましい。この追加ウエイトは、貫通孔を中心とする両側に重量が振り分けられて一体に形成されている。または、補助積載部に、バッファが下梁に当接する状態で、バッファを中心とする両側に振り分けて別々に配置される複数の追加ウエイトが装着されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る釣合錘によれば、補助積載部を備えるので、リニューアル工事などによって乗籠の重量が増加した場合に、既存の釣合錘を新規の釣合錘に交換することがなく、釣合錘の枠外に容易にウエイトを追加することができる。リニューアル工事の工期を短縮することができる。また、工事費用も少なくおさえることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る第1の実施形態の釣合錘を備えるエレベータについて、図1から図4を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、エレベータ11は、昇降路12と、乗籠13と、主ロープ14と、巻上機15と、釣合錘16と、メインレール17と、カウンタレール18と、ガバナ19と、ピット20と、第1のバッファ26と、第2のバッファ27と、を備えている。ピット20は、昇降路12の下部に設けられている。
【0016】
メインレール17とカウンタレール18とは、昇降路12からピット20まで鉛直方向に敷設されている。乗籠13と釣合錘16は、主ロープ14を介して連結されている。乗籠13は、下部に籠シーブ131を有し、釣合錘16は、上部にカウンタシーブ29を有している。主ロープ14の端部は、昇降路の上部に設けられるロープヒッチに固定され、乗籠13の籠シーブ131、巻上機15、釣合錘16のカウンタシーブ29にまわし掛けられている。釣合錘16は、乗籠13の最大積載荷重の半分の重量と乗籠13自体の重量とを足し合わせた籠側重量と釣合う錘側重量となるようにメインウエイト30が搭載される。乗籠13は、メインレール17に案内されて、昇降路12を移動する。釣合錘16は、カウンタレール18に案内されて昇降路12を移動する。
【0017】
第1のバッファ26と、第2のバッファ27とは、ピット20の床21に設置される。第1のバッファ26は、乗籠13が、最下階よりも下がった場合に乗籠13の重量を受け止める。第2のバッファ27は、乗籠13が最上階に停止している状態で釣合錘16が保持される位置よりも下がった場合に、釣合錘16の重量を受け止める。
【0018】
釣合錘16は、カウンタレール18の間に配置される主枠28と、カウンタシーブ29と、この主枠28の内側に積載されるメインウエイト30と、を備えている。
【0019】
図2に示すように、主枠28は、一対の縦材35と、上梁36と、下梁37と、を組んで形成されている。
【0020】
縦材35は、軽溝形鋼を所定寸法で切断して形成され、図3に示すように、カウンタレール18の内側に配置される。それぞれの縦材35は、カウンタレール18に遊嵌するガイドシュー38を上寄りおよび下寄りの位置にそれぞれ1つずつ有している。各ガイドシュー38は、カウンタレール18に対して滑軸受として機能する。
【0021】
上梁36は、一対の縦材35の上端どうしの間に水平方向に渡され、カウンタシーブ29が回転可能に装着されている。下梁37は、角鋼管を所定寸法に切断して形成され、一対の縦材35の下端同士の間に水平方向に渡されている。縦材35、上梁36、下梁37によって形成された主枠28の内側に、主積載部39が設けられる。メインウエイト30は、主積載部39に複数個積載されている。積み重ねられた最上部に位置するメインウエイト30の上側には、メインウエイト30を固定する固定部材40が設けられている。
【0022】
また、この主枠28は、図2に示すように、下梁37の下壁に、平板状のバッファ受43があてがわれている。第2のバッファ27は、バッファ受43に突き当たる。下梁37のバッファ受43から外れた位置に、追加ウエイト31を固定するための補助積載部である2つの固定部45が設けられている。そして、下梁37の下壁に設けられる固定部45には、それぞれ2箇所ずつ、合計4箇所のネジ孔37aが設けられている。このネジ孔37aは、追加ウエイト31主枠28にボルト44で固定するために用意されたものである。固定部45において、複数の追加ウエイト31は、下梁37にボルト44で固定される。追加ウエイト31は、バッファ受43を間に挟む両側の2箇所の固定部45に、分配して取り付けられている。
【0023】
追加ウエイト31は、乗籠13の重量が増加する場合に、主積載部39に積まれるメインウエイト30の最大量を超えて釣合錘16の重量を増加させるために取り付けられる。釣合錘16は、初期設置状態で乗籠13自体の重量及び乗籠13の最大積載量の約半分の重量を足し合わせた重量となるようにメインウエイト30が積み込まれる。主枠28は、昇降路12内において最小寸法となるように、初期設置状態で主積載部39にメインウエイト30が満載される大きさに設けられる。
【0024】
しかし、リニューアル工事が施工され、巻上機15を新型のものに交換し、乗籠13の運行速度や始動停止の制御を変えることで、運転中の乗籠13に振動が生ずるなどの場合は、固有振動数をずらすために乗籠13に、デットウエイトを積む。したがって、これに応じた釣合錘16の重量も増加する必要が生ずることもある。
【0025】
また、エレベータ11を設置してから年数が経つと、構造的には耐用年数に至っていなくても、内部が汚れたために、新しい乗籠13に変更したり、意匠を新しいデザインにするために新しい乗籠13に交換することがある。このとき、乗籠13を交換することによって、乗籠13自体の重量や定員が減れば単に何組かのメインウエイト30を降ろせばよい。
【0026】
ところが、必要となる重量が増加すると、メインウエイト30を主枠28に足すことができない。このような場合、本実施形態のエレベータ11は、釣合錘16の下部に設けられた、2つの固定部45に追加ウエイト31が取り付けられる。
【0027】
図3に示すように、各追加ウエイト31は、ボルト44を通すための固定孔47をネジ孔37aに対応させて一対に有している。これらの固定孔47は、長方形に設けられた追加ウエイト31の対角に配置されている。追加ウエイト31を固定するボルト44は、追加ウエイト31の枚数に応じた長さのものを用いる。また、バランスをとる観点から、それぞれの固定部45には、同じ枚数の追加ウエイト31を取り付ける。
【0028】
図4は、第2のバッファ27が作動している状態を示している。図4に示すように、第2のバッファ27の全長Lb、第2のバッファのストローク(沈み込み量)St、衝突後の床21と追加ウエイト31との安全距離δとすると、追加ウエイト31の総寸法L1は、L1=Lb−St−δで定まる値となる。
【0029】
第1の実施形態の釣合錘16は、上述の構成を有しているので、主枠28の主積載部39に規定量のメインウエイト30が積み込まれている場合でも、追加ウエイト31を主枠28の下梁37に吊り下げることで、釣合錘16の重量を増加させることができる。これにより、釣合錘16自体を交換しなければならない事態を回避することができる。また、追加ウエイト31は、バッファ受43から外れた位置に取り付けるので、追加ウエイト31が第2のバッファ27と干渉しない。このため、乗籠13や釣合錘16のレイアウトを変更することなく、釣合錘16の重量を容易に増加できる。また、追加ウエイト31がこのような配置をとることにより、ピット20のスペースを有効に活用することも可能となる。
【0030】
本発明に係る第2の実施形態の釣合錘16について図5から図7を参照して説明する。第2の実施形態の釣合錘16は、追加ウエイト53を主枠28に取り付ける構造が第1の実施形態の場合と異なっている。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。このため、第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる構成について説明し、同じ機能を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
図5に示すように、第2の実施形態の釣合錘16は、下梁37に複数の追加ウエイト53を個別に吊り下げることができる。図6に示すように、下梁37は、断面形状が「C」字形に形成されたいわゆるリップ溝形鋼である。下梁37は、縦材35の下端を結ぶ幅方向に全長にわたって下向きに形成された開口51と、この幅方向に対して直交する厚み方向に、開口51の大きさを規定する縁部52とを有している。図5及び図6に示すように、バッファ受43は、下梁37の幅方向中央部で、厚み方向へ縁部52に渡されて開口51の一部を覆う状態に設けられている。バッファ受43は、図5に示すように、縁部52に対してボルトで固定されている。
【0032】
追加ウエイト53は、開口51より薄いプレート状の本体53aと、本体53aの上部に設けられ開口51より細く形成されたくびれ部53bと、本体53aの上端に設けられて縁部52に引っ掛かる鍔部53cとを有している。追加ウエイト53は、鍔部53cが縁部52に引っ掛かることにより、下梁37に懸垂される。追加ウエイト53は、通しボルト55が貫通される連結孔54が本体53aの上半分と下半分のそれぞれに1個ずつ厚み方向に形成されている。
【0033】
第2の実施形態において、追加ウエイト53の鍔部53cの下面から本体53aの下端までの最大寸法L2は、第2のバッファ27の全長Lb、第2のバッファ27のストローク(沈み込み量)St、第2のバッファ27が最下限まで作動した状態での、ピット20の床21と追加ウエイト53の下端との安全距離δとしたときに、L2=Lb−St−δで定まる値となる。
【0034】
次に、図7を参照して、追加ウエイト53を下梁37に装着する手順を説明する。追加ウエイト53を下梁37に固定するには、まず、図7(a)に示すように、下梁37の開口51に沿う方向に鍔部53cをそろえて追加ウエイト53を、開口51に対してくびれ部53bまで挿入する。図7(b)に示すように、鍔部53cが延びる追加ウエイト53の幅方向を下梁37が延びる方向と直交する方向に90度回転させる。鍔部53cは縁部52に対して掛止されるので、図7(c)に示すように、そのまま開口51に沿って追加ウエイト31を縦材35に向かってスライドさせる。同じ要領で複数の追加ウエイト53を他の追加ウエイト53に厚み方向に重ね合せる。複数の追加ウエイト53は、まとまった束の状態で、通しボルト55が連結孔54に挿入され一体に連結される。最後に、バッファ受43を下梁37の中央部に固定して追加ウエイト53の束が開口51に沿ってずれないように押さえ、追加ウエイト53の装着作業が終了する。
【0035】
第2の実施形態によれば、主枠28の内側に規定量のメインウエイト30が積み込まれている場合でも、追加ウエイト53を主枠28の下梁37に懸垂させることで、釣合錘16の重量を増加させることができる。本実施形態では、追加ウエイト53を下梁37に固定する際に、追加ウエイト53を1個ずつ順次固定することができる。このため、第1の実施形態と比べて、作業者にかかる負担を低減することができる。また、それぞれの追加ウエイト53を装着した後に連結することで、個々の追加ウエイト53が回転しない。従って、下梁37から追加ウエイト53が脱落することを防止できる。
【0036】
本発明の第3の実施形態について、図8と図9を参照して、説明する。第3の実施形態の釣合錘16は、追加ウエイト31を主枠28に取り付ける構造が第1の実施形態の場合と異なっている。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、第3の実施形態では、第1の実施形態と異なる構成について説明し、同じ機能を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
第3の実施形態の釣合錘16は、主枠28と、この主枠28から下方に延びる補助枠62とを備えている。補助枠62の補助縦材62aは、主枠28の縦材35と一続きに形成されている。つまり、第3の実施形態では、一対の縦材35が、第1の実施形態のものよりも下梁37を超えて下方へ長く延びている。縦材35に渡された下梁37と平行に、縦材35の下端には、補助梁63が渡されている。
【0038】
バッファ受43は、下梁37の下面中央部に固定されている。補助梁63は、中空方形の断面形状を有した角鋼管を所定寸法で切断して形成されている。第3の実施形態では、主枠28の下部に設けられるガイドシュー38が、補助枠62の補助縦材62aに取り付けられている。
【0039】
上梁36と下梁37とで挟まれる主枠28に囲まれた領域は、メインウエイト30が搭載される主積載部39となっている。また、下梁37と補助梁63と補助縦材62aで囲まれる領域は、追加ウエイト31が搭載される補助積載部64となっている。補助積載部64には、バッファ受43を挟んだ2箇所に重量を振り分けて追加ウエイト31を配置する2つの固定部45が設けられている。追加ウエイト31は、それぞれの固定部45に、分けて固定されている。補助積載部64に積み重ねられた追加ウエイト31は、2本のボルト44によって補助梁63に固定される。すなわち、第3の実施形態では、追加ウエイト31は、補助枠62を介して主枠28に固定されている。
【0040】
図9に示すように、補助梁63には、第2のバッファ27を通過させるための円形の挿通孔65が設けられている。追加ウエイト31のそれぞれには、一対の固定孔47が設けられている。なお、第3の実施形態における追加ウエイト31は、第1の実施形態のものと同じ形態のものを使用している。
【0041】
第3の実施形態において、第2のバッファ27の全長Lb、第2のバッファのストローク(沈み込み量)St、衝突後の床21と追加ウエイト31との安全距離δとすると、下梁37から補助梁63までの距離L3は、L3=Lb−St−δで定まる値となる。
【0042】
第3の実施形態によれば、主枠28の下部に補助枠62を有しているので、追加ウエイト31を主枠28に対して、安定的に固定することができる。また、追加ウエイト31を補助枠62に固定する場合には、補助梁63上に載せた状態で追加ウエイト31にボルト44を通すことができる。このため、ボルト44を通すまで追加ウエイト31を保持しておく必要がなく、作業者にかかる負担を軽減できる。
【0043】
また、本実施形態では、補助枠62が主枠28と一体に形成されている。このため、追加ウエイト31を足す必要が生じた場合に、この追加ウエイト31および固定用のボルト44を現地に持ち込めばよいだけである。また、補助枠62ががたつくことなく、滑らかに乗籠13と釣合錘16を昇降させることができる。さらに、主枠28の上端と補助枠62の下端とにガイドシュー38を配置することで、ガイドシュー38のスパンを長く取ることができ、カウンタレール18に沿って移動する釣合錘16の動きが滑らかになる。
【0044】
第4の実施形態にかかる釣合錘16について、図10と図11を参照して説明する。第4の実施形態の釣合錘16は、追加ウエイト73を取り付ける構造及びここに取り付けられる追加ウエイト73の形状が第3の実施形態の釣合錘16と異なっている。このため、第3の実施形態に記載の釣合錘16と同じ機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
図10に示す第4の実施形態の釣合錘16は、第3の実施形態における補助枠62と同様に主枠28から一続きに設けられた補助枠68を備えている。追加ウエイト73を固定するための補助積載部64は、補助枠68の内側に設けられている。補助枠68を形成する縦材35の上側の一部には、補助梁63と同じ寸法かそれよりも小さい追加ウエイト73を補助積載部64に挿入するための切欠部66が設けられている。切欠部66は、第2のバッファ27のバッファ受43を中心とする対称の位置で、コ字型断面の縦材68aの一方の線に設けられていればよい。本実施形態の補助枠68は、切欠部66が設けられている点において、第3の実施形態の補助枠62と異なっている。
【0046】
図11に示すように、追加ウエイト73の外形は、メインウエイト30の外形と同形状である。そして、追加ウエイト73は、中央部に第2のバッファ27が遊嵌する貫通孔67を有している。さらに、追加ウエイト73は、ボルト44が挿入される固定孔47を貫通孔67の両側にそれぞれ2箇所ずつ、合計4箇所有している。
【0047】
第4の実施形態において、補助積載部64に追加ウエイト73を固定する場合は、図10に示す切欠部66を通して追加ウエイト73を一枚ずつ縦材35の間に落とし込む。そして、増加した籠側重量と均衡する錘側重量となるまで、補助積載部64に所望の枚数の追加ウエイト73を搭載する。補助積載部64に搭載された追加ウエイト73は、ボルト44によって補助枠68の補助梁63に固定される。
【0048】
第4の実施形態によれば、追加ウエイト73が補助積載部64を囲う縦材35の間に嵌まり込むようになっているので、追加ウエイト73が補助積載部64から不用意に脱落しない。
【0049】
第5の実施形態に係る釣合錘16について、図12を参照して説明する。第5の実施形態の釣合錘16は、主枠28に対して、補助枠70が別体に設けられている点が第3の実施形態の釣合錘16と異なっている。これ以外の構成は、第3の実施形態と同じ機能を有しているので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
補助枠70は、主枠28の縦材35の下方延長上に配置される一対の縦枠部材71と、縦枠部材71の下端に渡された補助梁63と、を備えている。補助梁63は、第2のバッファ27が挿入されるための挿通孔65を有している。補助枠70は、縦材35と縦枠部材71とを連結する合計4枚の連結プレート72によって主枠28に取り付けられる。各連結プレート72は、主枠28の縦材35と補助枠70の縦枠部材71とにそれぞれボルトで固定される。この補助枠70は、必要に応じて後から主枠28に現地で組み付けることができる。取り付けられた補助枠70に、追加ウエイト31が積載され、ボルト44で固定される。
【0051】
第5の実施形態によれば、主積載部39に載せされるメインウエイト30の重量以上に錘側重量を増加させる場合、補助枠70を主枠28の下側に一体のユニットとして装着し、補助枠70に設けられる補助積載部64に、追加ウエイト31を搭載することができる。必要に応じて補助枠70を装着するだけで簡単に錘側重量を増量できる。このように、釣合錘16に補助枠70を常設しておく必要がない。また、連結プレート72を取り付けるネジ穴だけ予め設けておけばよい。乗籠13の改修によって増加した籠側重量に合わせて、補助枠70を増設した後、再び仕様変更によって、乗籠13の重量が減少した場合、補助枠70を追加ウエイト31とともに撤去することで、簡単に釣合錘16の重量を減少させることができる。
【0052】
また、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、第2の実施形態において、追加ウエイト53を本体53a、くびれ部53b、鍔部53cからなる形状にしているが、鍔部53cに代えて、フック形状等にしてもよい。すなわち、第2の実施形態にかかる追加ウエイト53は、下梁37に引っ掛かる形状であればどのような形状であっても良い。この場合には、前記フック形状が引っ掛かる棒状の部材を別途、下梁37の下側に設けるようにしても良いし、フック形状部分を縁部52に引っ掛けるようにしても良い。このほか、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るエレベータを示す斜視図。
【図2】図1に示す釣合錘を正面から示す断面図。
【図3】図2に示す釣合錘をA−A線の位置で切断した断面図。
【図4】図2に示す釣合錘が第2のバッファに突き当たった状態を示す断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る釣合錘を示す断面図。
【図6】図5に示す釣合錘をB−B線の位置で切断した断面図。
【図7】図5に示す釣合錘の下梁に、追加ウエイトを固定する過程を示す下面図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る釣合錘を示す断面図。
【図9】図8に示す釣合錘をC−C線の位置で切断した断面図。
【図10】本発明の第4の実施形態に係るエレベータの釣合錘を示す断面図。
【図11】図10に示す釣合錘をD−D線の位置で切断した断面図。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る釣合錘を示す断面図。
【符号の説明】
【0054】
11…エレベータ、12…昇降路、16…釣合錘、27…第2のバッファ、28…主枠、30…メインウエイト、31、53、73…追加ウエイト、37…下梁、43…バッファ受、44…ボルト、51…開口、52…縁部、53a…本体、53b…くびれ部、53c…鍔部、62、68、70…補助枠、65…挿通孔、67…貫通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの昇降路内に乗籠とともに主ロープでつるべ式に吊りさげられる釣合錘において、
前記昇降路に沿って敷設されるカウンターレールに沿って案内され、前記カウンタレールと平行に設けられる一対の縦材、この縦材の上端に掛け渡される上梁、前記縦材の下端に渡される下梁で構成される主枠と、
前記主枠で囲われる内側に設けられる主積載部と、
前記乗籠自体の重量およびこの乗籠の定格積載量の半分の重量を足し合わせた籠側重量に均衡する錘側重量に調整されて前記主積載部に搭載されるメインウエイトと、
前記エレベータのリニューアル工事に伴い前記籠側重量が増加した場合に、前記主枠の直下で前記昇降路のピットの床に据えられるバッファを避けて、このバッファの両側に重量が振り分けられる追加ウエイトを固定するために、前記主積載部の下方に設けられる補助積載部と、
を備えることを特徴とする釣合錘。
【請求項2】
前記補助積載部は、前記下梁の下面に設けられたネジ孔を有し、前記ネジ孔に対応する位置に貫通孔が設けられた追加ウエイトが、前記貫通孔に通されるボルトで固定されることを請求項1に記載の釣合錘。
【請求項3】
前記補助積載部は、前記下梁が延びる前記主枠の幅方向に沿ってこの下梁の下面に設けられる開口と、前記主枠の厚み方向に沿って前記開口を窄める縁部とを有し、前記縁部と嵌合するくびれ部が上部に設けられた追加ウエイトが懸垂されることを特徴とする請求項1に記載の釣合錘。
【請求項4】
前記補助積載部は、前記縦材に沿って前記下梁よりも下方へ延びた補助縦材と、前記バッファが通過する挿通孔を有して前記補助縦材の下端の間に渡される補助梁とで構成され、前記補助梁の上に前記挿入孔を避けて重量が振り分けられた前記追加ウエイトが積載されることを特徴とする請求項1に記載の釣合錘。
【請求項5】
前記補助縦材は、前記縦材と一続きに設けられることを特徴とする請求項4に記載の釣合錘。
【請求項6】
前記補助縦材および前記補助梁は、前記主枠と別体に設けられ、前記追加ウエイトを搭載する場合に、前記主枠の下端に前記補助縦材が連結されることを特徴とする請求項4に記載の釣合錘。
【請求項7】
前記補助積載部に、前記バッファが挿入可能に形成された貫通孔を中心とする両側に重量が振り分けられて一体に形成された追加ウエイトが装着されることを特徴とする請求項1、2、4、5および6のいずれか1項に記載の釣合錘。
【請求項8】
前記補助積載部に、前記バッファが前記下梁に当接する状態で、前記バッファを中心とする両側に振り分けて別々に配置される複数の追加ウエイトが装着されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の釣合錘。
【請求項1】
エレベータの昇降路内に乗籠とともに主ロープでつるべ式に吊りさげられる釣合錘において、
前記昇降路に沿って敷設されるカウンターレールに沿って案内され、前記カウンタレールと平行に設けられる一対の縦材、この縦材の上端に掛け渡される上梁、前記縦材の下端に渡される下梁で構成される主枠と、
前記主枠で囲われる内側に設けられる主積載部と、
前記乗籠自体の重量およびこの乗籠の定格積載量の半分の重量を足し合わせた籠側重量に均衡する錘側重量に調整されて前記主積載部に搭載されるメインウエイトと、
前記エレベータのリニューアル工事に伴い前記籠側重量が増加した場合に、前記主枠の直下で前記昇降路のピットの床に据えられるバッファを避けて、このバッファの両側に重量が振り分けられる追加ウエイトを固定するために、前記主積載部の下方に設けられる補助積載部と、
を備えることを特徴とする釣合錘。
【請求項2】
前記補助積載部は、前記下梁の下面に設けられたネジ孔を有し、前記ネジ孔に対応する位置に貫通孔が設けられた追加ウエイトが、前記貫通孔に通されるボルトで固定されることを請求項1に記載の釣合錘。
【請求項3】
前記補助積載部は、前記下梁が延びる前記主枠の幅方向に沿ってこの下梁の下面に設けられる開口と、前記主枠の厚み方向に沿って前記開口を窄める縁部とを有し、前記縁部と嵌合するくびれ部が上部に設けられた追加ウエイトが懸垂されることを特徴とする請求項1に記載の釣合錘。
【請求項4】
前記補助積載部は、前記縦材に沿って前記下梁よりも下方へ延びた補助縦材と、前記バッファが通過する挿通孔を有して前記補助縦材の下端の間に渡される補助梁とで構成され、前記補助梁の上に前記挿入孔を避けて重量が振り分けられた前記追加ウエイトが積載されることを特徴とする請求項1に記載の釣合錘。
【請求項5】
前記補助縦材は、前記縦材と一続きに設けられることを特徴とする請求項4に記載の釣合錘。
【請求項6】
前記補助縦材および前記補助梁は、前記主枠と別体に設けられ、前記追加ウエイトを搭載する場合に、前記主枠の下端に前記補助縦材が連結されることを特徴とする請求項4に記載の釣合錘。
【請求項7】
前記補助積載部に、前記バッファが挿入可能に形成された貫通孔を中心とする両側に重量が振り分けられて一体に形成された追加ウエイトが装着されることを特徴とする請求項1、2、4、5および6のいずれか1項に記載の釣合錘。
【請求項8】
前記補助積載部に、前記バッファが前記下梁に当接する状態で、前記バッファを中心とする両側に振り分けて別々に配置される複数の追加ウエイトが装着されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の釣合錘。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−238208(P2007−238208A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−59733(P2006−59733)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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