鉄塔強度検討装置
【課題】鉄塔組立施工時の各施工節における塔体の強度を検討できる鉄塔強度検討装置を提供する。
【解決手段】情報を記憶する記憶部1と、情報を入力する入力部3と、情報を表示する表示部2と、記憶部1に記憶されている情報と、入力部3を用いて入力された情報とを用いて計算を行い、計算結果を表示部2に表示させる制御部4とからなり、制御部4は入力部3を用いて入力された情報と、記憶部1にあらかじめ記憶されている情報とを用いて、鉄塔の重量を算出する計算を行い、計算結果を表示部2に表示させる装置であって、制御部4で行う鉄塔の重量を算出する計算は、建設する鉄塔の各部材の位置を2次元平面の座標で表し、当該座標から各部材の長さを算出し、算出された部材の長さに部材の単位重量を乗じて、当該鉄塔の節毎の重量を算出し、節毎の重量を集計する構成とする。
【解決手段】情報を記憶する記憶部1と、情報を入力する入力部3と、情報を表示する表示部2と、記憶部1に記憶されている情報と、入力部3を用いて入力された情報とを用いて計算を行い、計算結果を表示部2に表示させる制御部4とからなり、制御部4は入力部3を用いて入力された情報と、記憶部1にあらかじめ記憶されている情報とを用いて、鉄塔の重量を算出する計算を行い、計算結果を表示部2に表示させる装置であって、制御部4で行う鉄塔の重量を算出する計算は、建設する鉄塔の各部材の位置を2次元平面の座標で表し、当該座標から各部材の長さを算出し、算出された部材の長さに部材の単位重量を乗じて、当該鉄塔の節毎の重量を算出し、節毎の重量を集計する構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クライミングクレーン工法(以下、CC工法)・スチフレッグデリック・ジンポールデリック(以下、SD工法)ならびに簡易フロートデリック(以下、KFD工法)による送電用の鉄塔組立施工時の各施工節における塔体の強度を検討できる鉄塔強度検討装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送電用の鉄塔は、架設する送電線から受ける張力に対応した強度が求められる。そのため鉄塔は架設する送電線から受ける張力に対応できるような構造や使用部材を選定して設計する必要がある。設計した鉄塔の強度が適正であるかどうかを判断するためには、鉄塔を構成する各部材について、送電線の張力によって掛かる応力を計算する。そして、各部材ごとの応力が、その部材自体の耐荷重以下であるかどうかを検討する。具体的には鉄塔の設計仕様に基づく鉄塔の所要箇所のサイズ、鉄塔を構成する部材やその配置など、詳細なパラメータを所定の計算式に代入して求める。
【特許文献1】特開2003−289209
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、鉄塔完成体の強度計算は行っているが、鉄塔組立時の各施工節における塔体の強度計算は行っていなかった。また、強度計算はクレモナ図を描いたり、実際に手で計算して行うため、時間と手間がかかり、計算結果が間違っていることもあった。
【0004】
そこでこの発明では、鉄塔の構造部材等のパラメータを入力するだけで、各施工節における塔体の強度を計算し、強度を検討できる鉄塔強度検討装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、情報を記憶する記憶部と、
情報を入力する入力部と、
情報を表示する表示部と、
記憶部に記憶されている情報と、入力部を用いて入力された情報とを用いて計算を行い、計算結果を前記表示部に表示させる制御部とからなり、
前記制御部は前記入力部を用いて入力された情報と、前記記憶部にあらかじめ記憶されている情報とを用いて、鉄塔の重量を算出する計算を行い、計算結果を表示部に表示させる装置であって、
前記制御部で行う鉄塔の重量を算出する計算は、建設する鉄塔の各部材の位置を2次元平面の座標で表し、当該座標から各部材の長さを算出し、算出された部材の長さに部材の単位重量を乗じて、当該鉄塔の節毎の重量を算出し、節毎の重量を集計する、鉄塔強度検討装置とした。
【0006】
また、請求項2の発明は、情報を記憶する記憶部と、
情報を入力する入力部と、
情報を表示する表示部と、
記憶部に記憶されている情報と、入力部を用いて入力された情報とを用いて計算を行い、計算結果を前記表示部に表示させる制御部とからなり、
前記制御部は前記入力部を用いて入力された情報と、前記記憶部にあらかじめ記憶されている情報とを用いて、鉄塔の応力を算出する計算を行い、計算結果を表示部に表示させる装置であって、
前記制御部で行う鉄塔の応力を算出する計算は、建設する鉄塔の各部材の位置を2次元平面の座標で表し、当該座標から建設する鉄塔の各節点における単位応力係数を算出し、算出された各単位応力係数に実荷重を乗じて各節点の応力を求め、各節点の応力を集計する計算である、鉄塔強度検討装置とした。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、送電用の鉄塔の基本構造や構造部材のパラメータ等を入力するだけで、鉄塔の節毎の重量を得ることができる。それにより建設する鉄塔の規模等を詳細に把握することができ、便宜である。
【0008】
また請求項2の発明によれば、送電用の鉄塔の基本構造や構造部材のパラメータ等を入力するだけで、鉄塔の各節点における応力や強度検討結果を得ることができる。それによりこれらの応力や強度検討結果を用いて、建設する鉄塔の構造や部材等の検討を行うことができ、便宜である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
情報を記憶する記憶部と、情報を入力する入力部と、情報を表示する表示部と、記憶部に記憶されている情報と、入力部を用いて入力された情報とを用いて計算を行い、計算結果を前記表示部に表示させる制御部とからなり、前記制御部は前記入力部を用いて入力された情報と、前記記憶部にあらかじめ記憶されている情報とを用いて、鉄塔の重量を算出する計算を行い、計算結果を表示部に表示させる装置であって、前記制御部で行う鉄塔の重量を算出する計算は、建設する鉄塔の各部材の位置を2次元平面の座標で表し、当該座標から各部材の長さを算出し、算出された部材の長さに部材の単位重量を乗じて、当該鉄塔の節毎の重量を算出し、節毎の重量を集計する構成とすることにより、建設する鉄塔の規模等を詳細に把握することができ、便宜である。
【実施例1】
【0010】
以下、この発明の実施例1を図1〜12及び表1〜23に基づいて説明する。図1はこの発明を概念的に示すブロック図であり、本実施例に係る鉄塔強度検討装置Aが示されている。記憶部1は、各種の情報や各種機能を実行するためのプログラムを格納する箇所である。具体的には、例えばRAM、ROM、ハードディスクである。特に記憶部1には、各部材の単位重量、各部材のフランジ巾等の部材情報や割増係数や基準風圧値や地震係数や各部材の許容応力の理論値等の各種の情報が記憶されている。表示部2は、インターフェイスとしての役割を果たす。具体的には表示部2は、例えばモニタ、ディスプレイである。特にパラメータの入力画面や、計算結果や強度検討結果の表示画面として用いる。入力部3は、情報の入力や選択に用いる、具体的には入力部3は、例えばキーボード、タッチパネル、マウスである。特に、パラメータの入力に用いる。制御部4は、四則演算を行い、また各部に動作命令を送信する。具体的には制御部4は、例えばCPUである。特に、入力されたパラメータを特定された計算式にあてはめて計算し、計算結果を表示部2で表示させる。
【0011】
以下、鉄塔強度検討装置Aの操作手順を、説明する。最初に、図2に示すように鉄塔の重量等を算出する。鉄塔強度検討装置Aの利用者は入力部3を操作して、計算対象の鉄塔Bの(1)線路名称(2)鉄塔番号(3)鉄塔型等の基本情報を入力する。次に、鉄塔Bの基本形状である(1)鉄塔の高さ(2)ベント開き(ベント点{=主柱材曲点}の塔体幅)(3)標準根開き等の鉄塔形状基本情報を入力する。具体的には図3に示すH1、H2、B0〜B2の値を入力する。次に、(1)パネル寸法(2)部材名称(3)ボルト名称(4)ボルト本数等のパネル及び部材の寸法を入力する。そして、腕金の形状・寸法を入力する。また片継脚を設ける場合には、その形状や寸法も入力する。さらに、(1)本点又は偏心点から±0脚までの高さ(2)作業時(16m/s)及び強風時の風速(55m/s)(3)基準風圧値(40m/s)(4)地震係数(5)主柱材継手長(6)プレートボルト率等の諸条件を入力する。なお、パネルとは骨組構成の単位ブロック(主柱材・腹材交点間)を指し、図3では鉄塔頂部より、第n+3節、第n+2節、第n+1節…とする。
【0012】
鉄塔強度検討装置Aの制御部4は、利用者によって入力された上述のパラメータを後述する計算式にあてはめて、(1)鉄塔重量及び腕金重量(2)当該送電用鉄塔に加わる風圧荷重(3)地震荷重を計算し、計算結果をディスプレイ等の表示部2に表示させる。
【0013】
制御部4は計算に先立ち、鉄塔Bの各部材の位置を、図3に示す通り2次元平面の座標で表し、表示部2に表示させる。鉄塔Bの横(=幅)方向をX、高さ方向をYとする。また鉄塔Bの右側面部をr、左側面部をlとする。座標の計算式は以下の通りとする。なお、αは鉄塔Bの傾きであり、ベント点を挟んで鉄塔Bの下部からα1、α2とする。
【0014】
【数1】
【0015】
鉄塔重量(wt)は、部材の長さに部材の単位重量と割増係数を乗じたものとし、節毎に計算し、鉄塔B全体で集計する。
主柱材n節の長さ(Ln)
Ln=√(rx(n)−rx(n−1))2+(ry(n)−ry(n−1))2
腹材n節の長さ(LFn)
LFn=√(rx(n)−lx(n−1))2+(ry(n)−ry(n−1))2
【0016】
なお各部材の単位重量と割増係数は、記憶部1にあらかじめ記憶させておき、重量計算をする際に呼び出して用いる。また部材の数量は、例えば四角鉄塔の場合、節当たり主柱材4本、腹材8本となる。
【0017】
風圧荷重(=Hf)は、鉄塔の投影面積に基準風圧値を乗じたものとし、節毎に集計する。なお、投影面積は部材のフランジ巾に部材長を乗じたものである。また、各部材のフランジ巾及び基準風圧値は、記憶部1にあらかじめ記憶させておき、計算をする際に呼び出して用いる。
【0018】
地震荷重は、節毎の鉄塔重量に地震係数(通常は0.2)を乗じた値である。また、地震係数は、記憶部1にあらかじめ記憶させておき、計算をする際に呼び出して用いる。
【0019】
上記の計算の流れを、図4を用いて例示する。図4で示されている鉄塔Cは、7節の鉄塔であり、B 0=6000(mm)、B 1=2000(mm)、B2=1000(mm)、H1=10300(mm)、H2=8000(mm)である。これらの数値を、上記のα1及びα2の式にあてはめる。
tanα1=(B0−B1)/(2×H1)
=(6000−2000)/(2×10300)
=0.194175
α1=tan-1(0.194175)=10.98865(°)=0.191788(rad)
tanα2=(B1−B2)/(2×H2)
=(2000−1000) /(2×8000)
=0.062500
α2=tan-1(0.062500)=3.576334(°)=0.062419(rad)
次に、上記の座標の計算式にあてはめて、各座標lx(i)、ly(i)、rx(i)、ry(i)を算出する。例えば、第1節の座標を計算する。その場合、Σh1は、表1に示すように4300(mm)であり、H1より小さい。
【0020】
【数2】
【0021】
【表1】
【0022】
次に、鉄塔重量を算出するために、各部材の長さを算出する。例えば、第2節の計算をする。
主柱材L2=√(rx(2)−rx(2−1))2+(ry(2)−ry(2−1))2
=√(1583−2165)2+(7300−4300)2
≒3056(mm)
腹材LF2=√(rx(2)−lx(2−1))2+(ry(2)−ry(2−1))2
=√(1583+2165)2+(7300−4300)2
≒4800(mm)
このようにして、表2の部材長計算表に示すように、各部材の長さを算出した後、記憶部1に記憶されている単位重量、部材の数量、Si換算係数、割増係数等の情報を呼び出して、算出された各部材の長さに各部材の単位重量と、部材の数量とSi換算係数(≒9.81)と割増係数(プレートボルト率)(=1.10)を乗じて、表3〜4の鉄塔重量計算表に示すように節毎の鉄塔重量(Wt)を計算し、表5の鉄塔重量集約表に示すように鉄塔B全体で集計する。なお、割増係数(プレートボルト率)とは、割増率で表した数値であり、鉄塔の構成要素のうち、部材(=アングル材又は鋼管)以外のプレート・ボルト(鋼板)の重量を考慮するためのものである。
例えば、第2節の主柱材の計算をする。
3056(mm)=3.056(m)×14.9(kg/m)×4(本)×9.81(=Si換算係数)×1.10≒1965(N)
次に、第2節の腹材の計算をする。
4800(mm)=4.8(m)×4.55(kg/m)×8(本)×9.81(=Si換算係数)×1.10≒1885(N)
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】
次に、表6の鉄塔風圧計算表に示すように風圧荷重を計算する。例えば、第2節の場合、記憶部1に記憶されている各部材のフランジ巾(m)に各部材の長さ(m)を乗じて、受風面積(m2)を算出し、算出された受風面積に基準風圧値、例えば2850(Pa)を乗じて、部材毎の風荷重を算出し、主柱材と腹材を合計して、節毎の風荷重を算出する。
主柱材:0.1(m)×3.056(m)×2850(Pa)≒872(N)
腹材:0.06(m)×4.8(m)×2850(Pa)≒821(N)
第2節の風荷重:871+821=1693(N)
【0028】
【表6】
【0029】
更に、表7の地震荷重表に示すように、節毎の鉄塔重量に地震係数(=0.2)を乗じて、地震荷重を算出する。例えば、第2節の場合は以下の通りとなる。
3850(N)×0.2=770(N)
【0030】
【表7】
【0031】
このように、建設する鉄塔の節毎の重量、風圧荷重、地震荷重を計算し、鉄塔全体で集計することによって、建設する鉄塔の規模等を詳細に把握することができ、便宜である。
【0032】
そして、利用者はCC(=クライミングクレーン)工法と、SD(=スチフレッグデリック)工法、KFD(=簡易フロートデリック)工法のいずれかの工法を選択する。利用者は上記の鉄塔Cの重量等の計算結果から建設する鉄塔Cの規模を把握し、クレーンや台棒能力との適合性を検討し、鉄塔Cの組み立てに関して、いずれの工法を用いるのかを決定する。
【0033】
次に、鉄塔Cの応力を検討する。以下は利用者がCC工法を選択した場合を、図5を用いて説明する。まず利用者は入力部3を操作して、施行節を入力する。入力した当該施行節で組み立てるパネルの位置を入力する。当該施工節で組み立てを開始するパネル高を入力する。ステー(=支線)の本数を入力する。腕金重量や風圧を考慮するかどうかを設定する(当該施行節が腕金を組立てる節である場合のみ)。固定荷重を考慮するかどうかを設定する。CC機種を入力する。ステーの取り付け位置を入力する。データが記憶部1に記憶されている場合は、ステーの張力が自動で計算される。データが記憶されていない場合には、強風時の張力を入力し、作業時及び地震時の張力を入力する。
【0034】
制御部4は、利用者によって入力された上述のパラメータを後述する計算式にあてはめて、各施工節の応力を計算し、計算結果をディスプレイ等の表示部2に表示させる。また、制御部4は、各施工節における応力をそれぞれ計算し、計算結果を一括してディスプレイ等の表示部2に表示させることもできる。
【0035】
次に制御部4が行う各施工節における応力の計算式について説明する。なお、鉄塔の節間に水平材が設けられている場合にはダブルワーレン形式で計算し、鉄塔の節間に水平材が設けられていない場合には、シングルワーレン形式で計算する。
【0036】
まず鉄塔Cのように、計算対象の鉄塔がダブルワーレン形式である場合について説明する。鉄塔にかかる鉄塔風荷重・地震荷重およびステー(=支線)張力は水平方向の荷重であり、これら水平方向の荷重が鉄塔に作用した場合の応力を計算する。具体的には、水平荷重(=P1)を0.5として計算する。また、荷重は全節点に加わるので各節点における単位応力係数を求め、単位応力係数に風圧荷重・地震荷重およびステー(=支線)張力等の実荷重を乗じて各節点の応力を求め、重ね合わせの法則に従って各部材の応力を集計し、鉄塔Cの全応力を算出する。
【0037】
各節点における単位応力係数の計算式について、図4及び図6を用いて説明する。まず荷重の位置がいずれかの節点にある場合ごとの各節点の主柱材及び腹材の単位応力係数を求める。例えば、図4に示す鉄塔Cのように、鉄塔が7つの節点を有している場合には、荷重の位置が第1節〜7節にある各場合における、各節点の主柱材及び腹材の単位応力係数を求める。例えば荷重の位置が第7節にある場合において、第7節(=第7パネル)の主柱材の単位応力係数であるPR7と第7節の腹材の単位応力係数であるFR7は、正弦定理を用いた以下の式によって求められる。なお、θ(i)は、表1で求めたlx(i)、ly(i)、rx(i)、ry(i)の各座標から、算出することができる。各θ(i)の算出方法を、表8〜14を用いて説明する。表8〜14に示されているdx(i)は、lx(i)−rx(i+1)によって求められた値である。dy(i)は、ly(i+1)−ly(i)によって求められた値である。そして、θ(i)は、tan-1(−1×dx/dy)によって求める。例えば表8のdx(7)、dy(7)の値は以下の通り算出する。
dx(7)=lx(6)−rx(7)=−625−(500)=−1125
dy(7)=ly(7)−ly(6)=18300−16300=2000
θ(7)=tan-1(−1×−1125/2000)≒29.358°
PR7=sin(90−θ(7))×P1/sin(α2+θ(7))
=sin(90−29.358)×0.5/sin(3.581+29.358)
≒0.80
FR7=sin(90−α2)×P1/sin(α2+θ(7))
=sin(90−3.581)×0.5/sin(3.581+29.358)
≒0.92
また、第6節の主柱材の単位応力係数であるPR6と第6節の腹材の単位応力係数であるFR6は、以下の式によって求められる。
【0038】
【数3】
【0039】
【表8】
【0040】
【表9】
【0041】
【表10】
【0042】
【表11】
【0043】
【表12】
【0044】
【表13】
【0045】
【表14】
【0046】
そして、表15に示すようにまとめ、記憶部1に記憶する。そしてこれらの単位応力係数に実荷重(=J)を乗じ、行の部分を集計したものがその部材に加わる、例えば、表16に示す風圧荷重応力となる。単位応力係数に風圧荷重を乗じたものが風圧荷重応力であり、単位応力係数に地震荷重を乗じたものが表17に示す地震荷重応力であり、単位応力係数にステー(=支線)張力を乗じたものがステー応力である。そして表18に示すように、これら風圧荷重応力、地震荷重応力、ステー応力等を合計して部材に加わる応力を集計する。一方、記憶部1には、あらかじめ各部材の許容応力の理論値を記憶させておく。そして図5に示すように、集計された各部材の応力の値をあらかじめ記憶されている許容応力の理論値で除して、安全率を計算し、各部材の強度に問題がないかどうか判定する。判定は計算された安全率の値が一定値を超えているかどうかで行う。一定値とは通常、1.0の値である。安全率が一定値を超えていない場合にはワイヤ位置や支線位置等を変更し、安全率が一定値を超えるかどうか確認する。
【0047】
【表15】
【0048】
【表16】
【0049】
【表17】
【0050】
【表18】
【0051】
次に計算対象の鉄塔がシングルワーレン形式である場合について説明する。計算対象の鉄塔がシングルワーレン形式の鉄塔である場合には、水平荷重(=P1)を1として計算する。また、シングルワーレン形式である場合についても、ダブルワーレン形式の場合と同様に各節点における単位応力係数を求め、単位応力係数に実荷重を乗じて各節点の応力を求め、重ね合わせの法則に従って各部材の応力を集計し、全応力を算出する。
【0052】
各節点における単位応力係数の計算式について、図7及び図8を用いて説明する。
fR1(x)、fL1(x)、fR2(x)、fL2(x)を関数化して、y=ax+bの一次関数の式にあてはめる。これにより主柱材の位置が関数化される。
b=−0.5/tan(α1)より
fR1(x)=x/tanα1−0.5/tanα1 fL1(x)=−x/tanα1−0.5/tanα1
b=−0.5/tan(α2)より
fR2(x)= x/tanα2−0.5/tanα2 fL2(x)=−x/tanα2−0.5/tanα2
計算対象の鉄塔の節数iをn節と入力し、回数Jを0回と入力する。そして、当該鉄塔の節数iに1を足したn+1節のx座標(=xBR)を0.5、y座標(=yBR)を0.0とする。そして回数Jに1を足す。次に回数Jが奇数か偶数かを判定する。回数Jが奇数の場合には、腹材の位置を以下の通り関数化する。
b=−y(i+1)−x(i+1)/tan(θ(i))より、
fFR(x)=x/tanθ(i)−y(i+1)−x(i+1)/tan(θ(i))
次に、節数nがベント点(=主柱材曲点)より上か、ベント点より下かで判断する。節数nが、ベント点より上の場合には、
fP(x)=fL2(x)
節数nが、ベント点より下の場合には、
fP(x)=fL1(x)
fFR(x)=fP(x)により交点座標x(i),y(i)を求める。
次に、ピタゴラスの定理を用いて単位応力係数を求める。
主柱材(PF)
PF=√(xBL−x(i))2+(yBL−y(i))2
腹材(FF)
FF=√(x(i+1)−x(i))2+(y(i+1)−y(i))2
【0053】
節数iから1を引き、iが0かどうか判断し、0でない場合には、開数Jに1を足し、開数Jが奇数か偶数かを判定する。回数Jが偶数の場合には、腹材の位置を以下の通り関数化する。
b=y(i+1)+x(i+1)/tan(θ(i))より
fFR(x)=−x/tanθ(i)+y(i+1)+x(i+1)/tan(θ(i))
次に、節数nがベント点より上か、ベント点より下かで判断する。節数nが、ベント点より上の場合には、
fP(x)=fR2(x)
節数nが、ベント点より下の場合には、
fP(x)=fR1(x)
fFR(x)=fP(x)により交点座標x(i),y(i)を求める。
次に、ピタゴラスの定理を用いて単位応力係数を求める。
主柱材(PF)
PF=√(xBR−x(i))2+(yBR−y(i))2
腹材(FF)
FF=√(x(i+1)−x(i))2+(y(i+1)−y(i))2
【0054】
さらに節数iから1を引き、iが0かどうか判断し、0でない場合には、また上記の流れを繰り返し、節数iが0になるまで繰り返し計算を行って、当該鉄塔の全ての節について単位応力係数を導き出す。またこの計算は荷重が各節点にある場合について、それぞれ行う。そして、それらの単位応力係数に実荷重を乗じて各節点の応力を求め、重ね合わせの法則に従って各部材の応力を集計し、全応力を算出する。
【0055】
上記の計算の流れを、図9に示す鉄塔Dを用いて例示する。まずfR1(x)、fL1(x)、fR2(x)、fL2(x)を関数化して、y=ax+bの式にあてはめる。なお、α1=0.191788(rad)=10.98865(°)、α2=0.062419(rad)=3.576334(°)とする。
b=−0.5/tanα1より
fR1(x)= x/tanα1−0.5/tanα1≒5.15 x−2.575
fL1(x)=−x/tanα1−0.5/tanα1≒−5.15 x−2.575
b=−0.5/tanα2より
fR2(x)=x/tanα2−0.5/tanα2≒16 x−8
fL2(x)=−x/tanα2−0.5/tanα2≒−16 x−8
【0056】
荷重の位置が5節にあるとして、鉄塔Dの節数iを5と入力し、回数Jを0回と入力する。そして、図10に示す通り当該鉄塔の節数5に1を足した節数6のx座標(=xBR)を0.5、y座標(=yBR)を0.0とする。そして回数Jに1を足す。次に回数Jが奇数か偶数かを判定する。回数Jが1で奇数であるため、腹材の位置を以下の通り関数化する。
【0057】
fFR(x)=x/tanθ(i)−y(i+1)−x(i+1)/tan(θ(i))より、
fFR(5)=x/tanθ(5)−y(5+1)−x(5+1)/tan(θ(5))
=1.231 x−0−0.5/tan(39.094°)
=1.231 x−0.615
第5節は、ベント点(=主柱材曲点)より上にあるため、
fP(x)=fL2(x)より
1,231 x−0.615=−16 x−8
17.231 x=−7.385
よって交点座標は、
x(5)=−0.429 y(5)=−1.143
更に単位応力係数は、
主柱材(PF)
PF=√(xBL−x(5))2+(yBL−y(5))2
=√(−0.5−(−0.429))2+(0−(−1.143)) 2
≒1.15
腹材(FF)
FF=√(0.5−x(5))2+(0−y(5))2
=√(0.5−(−0.429))2+(0−(−1.143)) 2
≒1.47
【0058】
節数5から1を引くと節数は4となり、節数4は0でなく、回数Jに1を足し、回数2が奇数か偶数かを判定する。回数2は偶数であるため、腹材の位置を以下の通り関数化する。
【0059】
b=y(i+1)+x(i+1)/tan(θ(i))より
fFR(4)=−x/tanθ(4))+y(4+1)+x(4+1)/tan(θ(4))
=−1.067 x+(−1.143)+(−0.429)/tan(43.152°)
=−1.067 x−1.6
第4節は、ベント点(=主柱材曲点)より上にあるため、
fP(x)=fR2(x)より
−1.067 x−1.6=16 x−8
−17.067 x=−6.4
よって交点座標は、
x(4)=0.375 y(4)=−2.0
更に単位応力係数は、
主柱材(PF)
PF=√(xBR−x(4))2+(yBR−y(4))2
=√(0.5−(0.375))2+(0−(−2.0)) 2
≒2.00
腹材(FF)
FF=√(x(5)−x(4))2+( y(5)−y(4))2
=√(−0.429−(0.375))2+(−1.143−(−2.0)) 2
≒1.17
【0060】
さらに節数4から1を引き節数を3とし、3が0かどうか判断し、0でないため、また上記の流れを繰り返し、節数iが0になるまで繰り返し計算を行って、表19に示すように、鉄塔Dの5〜1の全ての節について単位応力係数を導き出す。またこの計算を、表20〜22に示すように、荷重が節点4〜1にある場合についてそれぞれ行い(なお、荷重位置が第3節にある場合については、表を省略する)、表23に示すように集計する。そしてこれらの単位応力係数に実荷重を乗じて各節点の応力を求め、重ね合わせの法則に従って各部材の応力を集計し、全応力を算出する。
【0061】
【表19】
【0062】
【表20】
【0063】
【表21】
【0064】
【表22】
【0065】
【表23】
【0066】
次に、図11を用いて利用者がSD工法を選択した場合について説明する。利用者は入力部3を操作して、施工節を入力する。当該施工節で組み立てるパネルの位置を入力する。当該施工節で組み立てを開始するパネル高を入力する。腕金重量や風圧を考慮するかどうかを設定する(当該施行節が腕金を組立てる節である場合のみ)。塔外に付けるデリックの有無を設定する。固定荷重を考慮するかどうかを設定する。起伏ワイヤの位置・デリック支持点位置を入力する。吊上荷重、起伏ワイヤ衝撃係数、デリック衝撃係数、デリックの基本寸法を入力する。デリックの形式、起伏ワイヤの地上での引き留め位置を入力する。
【0067】
次に図12を用いて利用者がKFD工法を選択した場合について説明する。なおKFD工法を選択する場合には、鉄塔構造図・鉄塔強度計算書に基づき塔体分割重量・腕金重量を求める。そして鉄塔重量、部材長及び塔体分割重量・腕金重量に基づき簡易フロートデリックの能力との適合性を検討する。つまり、組み立てを行う鉄塔の規模を把握した上で、使用する簡易フロートデリックを用いることが適切か否かを検討する。検討の結果、KFD工法を選択した場合には、利用者は入力部3を操作して、施工節を入力する。当該施工節で組み立てるパネルの位置を入力する。当該施工節で組み立てを開始するパネル高を入力する。腕金重量や風圧を考慮するかどうかを設定する(当該施工節が腕金を組み立てる節である場合のみ)。固定荷重を考慮するかどうかを設定する。第一支線の取り付け位置(パネル)を入力する。第二支線及び斜支線の取り付け位置(パネル)を入力する。ステー張力は固定値であるため、通常は、設定は不要であるが、変更がある場合には入力する。
【0068】
制御部4は、SD工法及びKFD工法のいずれの工法においても、利用者によって入力された上述の各パラメータを、上述したダブルワーレンあるいはシングルワーレンの計算式にあてはめて、各施工節のパネル毎の応力や安全率等を計算し、計算結果をディスプレイ等の表示部2に表示させる。また、制御部4は、各施工節における応力をそれぞれ計算し、計算結果を一括してディスプレイ等の表示部2に表示させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施例における鉄塔強度検討装置の全体を示す概念図である。
【図2】本実施例における鉄塔強度検討装置の鉄塔の重量等を算出するまでの流れを示す流れ図である。
【図3】本実施例における鉄塔強度検討装置が鉄塔の各部材の位置を2次元平面で座標化することを示す説明図である。
【図4】本実施例における鉄塔強度検討装置が計算対象として例示したダブルワーレン式の鉄塔の各部材の位置を2次元平面で座標化したことを示す説明図である。
【図5】本実施例における鉄塔強度検討装置が、CC工法を選択した場合に、鉄塔の応力等を算出するまでの流れを示す流れ図である。
【図6】本実施例における鉄塔強度検討装置が計算対象として例示したダブルワーレン式の鉄塔の主柱材と腹材の単位応力係数を算出する計算式を説明する説明図である。
【図7】本実施例における鉄塔強度検討装置がシングルワーレン式の鉄塔の主柱材と腹材の単位応力係数を算出する計算式を説明する説明図である。
【図8】本実施例における鉄塔強度検討装置がシングルワーレン式の鉄塔の主柱材と腹材の単位応力係数を算出するまでの流れを説明する流れ図である。
【図9】本実施例における鉄塔強度検討装置が計算対象として例示したシングルワーレン式の鉄塔の各部材の位置を2次元平面で座標化したことを示す説明図である。
【図10】本実施例における鉄塔強度検討装置が計算対象として例示したシングルワーレン式の鉄塔の主柱材と腹材の単位応力係数を算出する計算式を説明する説明図である。
【図11】本実施例における鉄塔強度検討装置が、SD工法を選択した場合に、鉄塔の応力等を算出するまでの流れを示す流れ図である。
【図12】本実施例における鉄塔強度検討装置が、KFD工法を選択した場合に、鉄塔の応力等を算出するまでの流れを示す流れ図である。
【符号の説明】
【0070】
A:鉄塔強度検討装置、B:鉄塔、C:鉄塔、D:鉄塔、1:記憶部、2:表示部、3:入力部、4:制御部
【技術分野】
【0001】
この発明は、クライミングクレーン工法(以下、CC工法)・スチフレッグデリック・ジンポールデリック(以下、SD工法)ならびに簡易フロートデリック(以下、KFD工法)による送電用の鉄塔組立施工時の各施工節における塔体の強度を検討できる鉄塔強度検討装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送電用の鉄塔は、架設する送電線から受ける張力に対応した強度が求められる。そのため鉄塔は架設する送電線から受ける張力に対応できるような構造や使用部材を選定して設計する必要がある。設計した鉄塔の強度が適正であるかどうかを判断するためには、鉄塔を構成する各部材について、送電線の張力によって掛かる応力を計算する。そして、各部材ごとの応力が、その部材自体の耐荷重以下であるかどうかを検討する。具体的には鉄塔の設計仕様に基づく鉄塔の所要箇所のサイズ、鉄塔を構成する部材やその配置など、詳細なパラメータを所定の計算式に代入して求める。
【特許文献1】特開2003−289209
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、鉄塔完成体の強度計算は行っているが、鉄塔組立時の各施工節における塔体の強度計算は行っていなかった。また、強度計算はクレモナ図を描いたり、実際に手で計算して行うため、時間と手間がかかり、計算結果が間違っていることもあった。
【0004】
そこでこの発明では、鉄塔の構造部材等のパラメータを入力するだけで、各施工節における塔体の強度を計算し、強度を検討できる鉄塔強度検討装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、情報を記憶する記憶部と、
情報を入力する入力部と、
情報を表示する表示部と、
記憶部に記憶されている情報と、入力部を用いて入力された情報とを用いて計算を行い、計算結果を前記表示部に表示させる制御部とからなり、
前記制御部は前記入力部を用いて入力された情報と、前記記憶部にあらかじめ記憶されている情報とを用いて、鉄塔の重量を算出する計算を行い、計算結果を表示部に表示させる装置であって、
前記制御部で行う鉄塔の重量を算出する計算は、建設する鉄塔の各部材の位置を2次元平面の座標で表し、当該座標から各部材の長さを算出し、算出された部材の長さに部材の単位重量を乗じて、当該鉄塔の節毎の重量を算出し、節毎の重量を集計する、鉄塔強度検討装置とした。
【0006】
また、請求項2の発明は、情報を記憶する記憶部と、
情報を入力する入力部と、
情報を表示する表示部と、
記憶部に記憶されている情報と、入力部を用いて入力された情報とを用いて計算を行い、計算結果を前記表示部に表示させる制御部とからなり、
前記制御部は前記入力部を用いて入力された情報と、前記記憶部にあらかじめ記憶されている情報とを用いて、鉄塔の応力を算出する計算を行い、計算結果を表示部に表示させる装置であって、
前記制御部で行う鉄塔の応力を算出する計算は、建設する鉄塔の各部材の位置を2次元平面の座標で表し、当該座標から建設する鉄塔の各節点における単位応力係数を算出し、算出された各単位応力係数に実荷重を乗じて各節点の応力を求め、各節点の応力を集計する計算である、鉄塔強度検討装置とした。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、送電用の鉄塔の基本構造や構造部材のパラメータ等を入力するだけで、鉄塔の節毎の重量を得ることができる。それにより建設する鉄塔の規模等を詳細に把握することができ、便宜である。
【0008】
また請求項2の発明によれば、送電用の鉄塔の基本構造や構造部材のパラメータ等を入力するだけで、鉄塔の各節点における応力や強度検討結果を得ることができる。それによりこれらの応力や強度検討結果を用いて、建設する鉄塔の構造や部材等の検討を行うことができ、便宜である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
情報を記憶する記憶部と、情報を入力する入力部と、情報を表示する表示部と、記憶部に記憶されている情報と、入力部を用いて入力された情報とを用いて計算を行い、計算結果を前記表示部に表示させる制御部とからなり、前記制御部は前記入力部を用いて入力された情報と、前記記憶部にあらかじめ記憶されている情報とを用いて、鉄塔の重量を算出する計算を行い、計算結果を表示部に表示させる装置であって、前記制御部で行う鉄塔の重量を算出する計算は、建設する鉄塔の各部材の位置を2次元平面の座標で表し、当該座標から各部材の長さを算出し、算出された部材の長さに部材の単位重量を乗じて、当該鉄塔の節毎の重量を算出し、節毎の重量を集計する構成とすることにより、建設する鉄塔の規模等を詳細に把握することができ、便宜である。
【実施例1】
【0010】
以下、この発明の実施例1を図1〜12及び表1〜23に基づいて説明する。図1はこの発明を概念的に示すブロック図であり、本実施例に係る鉄塔強度検討装置Aが示されている。記憶部1は、各種の情報や各種機能を実行するためのプログラムを格納する箇所である。具体的には、例えばRAM、ROM、ハードディスクである。特に記憶部1には、各部材の単位重量、各部材のフランジ巾等の部材情報や割増係数や基準風圧値や地震係数や各部材の許容応力の理論値等の各種の情報が記憶されている。表示部2は、インターフェイスとしての役割を果たす。具体的には表示部2は、例えばモニタ、ディスプレイである。特にパラメータの入力画面や、計算結果や強度検討結果の表示画面として用いる。入力部3は、情報の入力や選択に用いる、具体的には入力部3は、例えばキーボード、タッチパネル、マウスである。特に、パラメータの入力に用いる。制御部4は、四則演算を行い、また各部に動作命令を送信する。具体的には制御部4は、例えばCPUである。特に、入力されたパラメータを特定された計算式にあてはめて計算し、計算結果を表示部2で表示させる。
【0011】
以下、鉄塔強度検討装置Aの操作手順を、説明する。最初に、図2に示すように鉄塔の重量等を算出する。鉄塔強度検討装置Aの利用者は入力部3を操作して、計算対象の鉄塔Bの(1)線路名称(2)鉄塔番号(3)鉄塔型等の基本情報を入力する。次に、鉄塔Bの基本形状である(1)鉄塔の高さ(2)ベント開き(ベント点{=主柱材曲点}の塔体幅)(3)標準根開き等の鉄塔形状基本情報を入力する。具体的には図3に示すH1、H2、B0〜B2の値を入力する。次に、(1)パネル寸法(2)部材名称(3)ボルト名称(4)ボルト本数等のパネル及び部材の寸法を入力する。そして、腕金の形状・寸法を入力する。また片継脚を設ける場合には、その形状や寸法も入力する。さらに、(1)本点又は偏心点から±0脚までの高さ(2)作業時(16m/s)及び強風時の風速(55m/s)(3)基準風圧値(40m/s)(4)地震係数(5)主柱材継手長(6)プレートボルト率等の諸条件を入力する。なお、パネルとは骨組構成の単位ブロック(主柱材・腹材交点間)を指し、図3では鉄塔頂部より、第n+3節、第n+2節、第n+1節…とする。
【0012】
鉄塔強度検討装置Aの制御部4は、利用者によって入力された上述のパラメータを後述する計算式にあてはめて、(1)鉄塔重量及び腕金重量(2)当該送電用鉄塔に加わる風圧荷重(3)地震荷重を計算し、計算結果をディスプレイ等の表示部2に表示させる。
【0013】
制御部4は計算に先立ち、鉄塔Bの各部材の位置を、図3に示す通り2次元平面の座標で表し、表示部2に表示させる。鉄塔Bの横(=幅)方向をX、高さ方向をYとする。また鉄塔Bの右側面部をr、左側面部をlとする。座標の計算式は以下の通りとする。なお、αは鉄塔Bの傾きであり、ベント点を挟んで鉄塔Bの下部からα1、α2とする。
【0014】
【数1】
【0015】
鉄塔重量(wt)は、部材の長さに部材の単位重量と割増係数を乗じたものとし、節毎に計算し、鉄塔B全体で集計する。
主柱材n節の長さ(Ln)
Ln=√(rx(n)−rx(n−1))2+(ry(n)−ry(n−1))2
腹材n節の長さ(LFn)
LFn=√(rx(n)−lx(n−1))2+(ry(n)−ry(n−1))2
【0016】
なお各部材の単位重量と割増係数は、記憶部1にあらかじめ記憶させておき、重量計算をする際に呼び出して用いる。また部材の数量は、例えば四角鉄塔の場合、節当たり主柱材4本、腹材8本となる。
【0017】
風圧荷重(=Hf)は、鉄塔の投影面積に基準風圧値を乗じたものとし、節毎に集計する。なお、投影面積は部材のフランジ巾に部材長を乗じたものである。また、各部材のフランジ巾及び基準風圧値は、記憶部1にあらかじめ記憶させておき、計算をする際に呼び出して用いる。
【0018】
地震荷重は、節毎の鉄塔重量に地震係数(通常は0.2)を乗じた値である。また、地震係数は、記憶部1にあらかじめ記憶させておき、計算をする際に呼び出して用いる。
【0019】
上記の計算の流れを、図4を用いて例示する。図4で示されている鉄塔Cは、7節の鉄塔であり、B 0=6000(mm)、B 1=2000(mm)、B2=1000(mm)、H1=10300(mm)、H2=8000(mm)である。これらの数値を、上記のα1及びα2の式にあてはめる。
tanα1=(B0−B1)/(2×H1)
=(6000−2000)/(2×10300)
=0.194175
α1=tan-1(0.194175)=10.98865(°)=0.191788(rad)
tanα2=(B1−B2)/(2×H2)
=(2000−1000) /(2×8000)
=0.062500
α2=tan-1(0.062500)=3.576334(°)=0.062419(rad)
次に、上記の座標の計算式にあてはめて、各座標lx(i)、ly(i)、rx(i)、ry(i)を算出する。例えば、第1節の座標を計算する。その場合、Σh1は、表1に示すように4300(mm)であり、H1より小さい。
【0020】
【数2】
【0021】
【表1】
【0022】
次に、鉄塔重量を算出するために、各部材の長さを算出する。例えば、第2節の計算をする。
主柱材L2=√(rx(2)−rx(2−1))2+(ry(2)−ry(2−1))2
=√(1583−2165)2+(7300−4300)2
≒3056(mm)
腹材LF2=√(rx(2)−lx(2−1))2+(ry(2)−ry(2−1))2
=√(1583+2165)2+(7300−4300)2
≒4800(mm)
このようにして、表2の部材長計算表に示すように、各部材の長さを算出した後、記憶部1に記憶されている単位重量、部材の数量、Si換算係数、割増係数等の情報を呼び出して、算出された各部材の長さに各部材の単位重量と、部材の数量とSi換算係数(≒9.81)と割増係数(プレートボルト率)(=1.10)を乗じて、表3〜4の鉄塔重量計算表に示すように節毎の鉄塔重量(Wt)を計算し、表5の鉄塔重量集約表に示すように鉄塔B全体で集計する。なお、割増係数(プレートボルト率)とは、割増率で表した数値であり、鉄塔の構成要素のうち、部材(=アングル材又は鋼管)以外のプレート・ボルト(鋼板)の重量を考慮するためのものである。
例えば、第2節の主柱材の計算をする。
3056(mm)=3.056(m)×14.9(kg/m)×4(本)×9.81(=Si換算係数)×1.10≒1965(N)
次に、第2節の腹材の計算をする。
4800(mm)=4.8(m)×4.55(kg/m)×8(本)×9.81(=Si換算係数)×1.10≒1885(N)
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】
次に、表6の鉄塔風圧計算表に示すように風圧荷重を計算する。例えば、第2節の場合、記憶部1に記憶されている各部材のフランジ巾(m)に各部材の長さ(m)を乗じて、受風面積(m2)を算出し、算出された受風面積に基準風圧値、例えば2850(Pa)を乗じて、部材毎の風荷重を算出し、主柱材と腹材を合計して、節毎の風荷重を算出する。
主柱材:0.1(m)×3.056(m)×2850(Pa)≒872(N)
腹材:0.06(m)×4.8(m)×2850(Pa)≒821(N)
第2節の風荷重:871+821=1693(N)
【0028】
【表6】
【0029】
更に、表7の地震荷重表に示すように、節毎の鉄塔重量に地震係数(=0.2)を乗じて、地震荷重を算出する。例えば、第2節の場合は以下の通りとなる。
3850(N)×0.2=770(N)
【0030】
【表7】
【0031】
このように、建設する鉄塔の節毎の重量、風圧荷重、地震荷重を計算し、鉄塔全体で集計することによって、建設する鉄塔の規模等を詳細に把握することができ、便宜である。
【0032】
そして、利用者はCC(=クライミングクレーン)工法と、SD(=スチフレッグデリック)工法、KFD(=簡易フロートデリック)工法のいずれかの工法を選択する。利用者は上記の鉄塔Cの重量等の計算結果から建設する鉄塔Cの規模を把握し、クレーンや台棒能力との適合性を検討し、鉄塔Cの組み立てに関して、いずれの工法を用いるのかを決定する。
【0033】
次に、鉄塔Cの応力を検討する。以下は利用者がCC工法を選択した場合を、図5を用いて説明する。まず利用者は入力部3を操作して、施行節を入力する。入力した当該施行節で組み立てるパネルの位置を入力する。当該施工節で組み立てを開始するパネル高を入力する。ステー(=支線)の本数を入力する。腕金重量や風圧を考慮するかどうかを設定する(当該施行節が腕金を組立てる節である場合のみ)。固定荷重を考慮するかどうかを設定する。CC機種を入力する。ステーの取り付け位置を入力する。データが記憶部1に記憶されている場合は、ステーの張力が自動で計算される。データが記憶されていない場合には、強風時の張力を入力し、作業時及び地震時の張力を入力する。
【0034】
制御部4は、利用者によって入力された上述のパラメータを後述する計算式にあてはめて、各施工節の応力を計算し、計算結果をディスプレイ等の表示部2に表示させる。また、制御部4は、各施工節における応力をそれぞれ計算し、計算結果を一括してディスプレイ等の表示部2に表示させることもできる。
【0035】
次に制御部4が行う各施工節における応力の計算式について説明する。なお、鉄塔の節間に水平材が設けられている場合にはダブルワーレン形式で計算し、鉄塔の節間に水平材が設けられていない場合には、シングルワーレン形式で計算する。
【0036】
まず鉄塔Cのように、計算対象の鉄塔がダブルワーレン形式である場合について説明する。鉄塔にかかる鉄塔風荷重・地震荷重およびステー(=支線)張力は水平方向の荷重であり、これら水平方向の荷重が鉄塔に作用した場合の応力を計算する。具体的には、水平荷重(=P1)を0.5として計算する。また、荷重は全節点に加わるので各節点における単位応力係数を求め、単位応力係数に風圧荷重・地震荷重およびステー(=支線)張力等の実荷重を乗じて各節点の応力を求め、重ね合わせの法則に従って各部材の応力を集計し、鉄塔Cの全応力を算出する。
【0037】
各節点における単位応力係数の計算式について、図4及び図6を用いて説明する。まず荷重の位置がいずれかの節点にある場合ごとの各節点の主柱材及び腹材の単位応力係数を求める。例えば、図4に示す鉄塔Cのように、鉄塔が7つの節点を有している場合には、荷重の位置が第1節〜7節にある各場合における、各節点の主柱材及び腹材の単位応力係数を求める。例えば荷重の位置が第7節にある場合において、第7節(=第7パネル)の主柱材の単位応力係数であるPR7と第7節の腹材の単位応力係数であるFR7は、正弦定理を用いた以下の式によって求められる。なお、θ(i)は、表1で求めたlx(i)、ly(i)、rx(i)、ry(i)の各座標から、算出することができる。各θ(i)の算出方法を、表8〜14を用いて説明する。表8〜14に示されているdx(i)は、lx(i)−rx(i+1)によって求められた値である。dy(i)は、ly(i+1)−ly(i)によって求められた値である。そして、θ(i)は、tan-1(−1×dx/dy)によって求める。例えば表8のdx(7)、dy(7)の値は以下の通り算出する。
dx(7)=lx(6)−rx(7)=−625−(500)=−1125
dy(7)=ly(7)−ly(6)=18300−16300=2000
θ(7)=tan-1(−1×−1125/2000)≒29.358°
PR7=sin(90−θ(7))×P1/sin(α2+θ(7))
=sin(90−29.358)×0.5/sin(3.581+29.358)
≒0.80
FR7=sin(90−α2)×P1/sin(α2+θ(7))
=sin(90−3.581)×0.5/sin(3.581+29.358)
≒0.92
また、第6節の主柱材の単位応力係数であるPR6と第6節の腹材の単位応力係数であるFR6は、以下の式によって求められる。
【0038】
【数3】
【0039】
【表8】
【0040】
【表9】
【0041】
【表10】
【0042】
【表11】
【0043】
【表12】
【0044】
【表13】
【0045】
【表14】
【0046】
そして、表15に示すようにまとめ、記憶部1に記憶する。そしてこれらの単位応力係数に実荷重(=J)を乗じ、行の部分を集計したものがその部材に加わる、例えば、表16に示す風圧荷重応力となる。単位応力係数に風圧荷重を乗じたものが風圧荷重応力であり、単位応力係数に地震荷重を乗じたものが表17に示す地震荷重応力であり、単位応力係数にステー(=支線)張力を乗じたものがステー応力である。そして表18に示すように、これら風圧荷重応力、地震荷重応力、ステー応力等を合計して部材に加わる応力を集計する。一方、記憶部1には、あらかじめ各部材の許容応力の理論値を記憶させておく。そして図5に示すように、集計された各部材の応力の値をあらかじめ記憶されている許容応力の理論値で除して、安全率を計算し、各部材の強度に問題がないかどうか判定する。判定は計算された安全率の値が一定値を超えているかどうかで行う。一定値とは通常、1.0の値である。安全率が一定値を超えていない場合にはワイヤ位置や支線位置等を変更し、安全率が一定値を超えるかどうか確認する。
【0047】
【表15】
【0048】
【表16】
【0049】
【表17】
【0050】
【表18】
【0051】
次に計算対象の鉄塔がシングルワーレン形式である場合について説明する。計算対象の鉄塔がシングルワーレン形式の鉄塔である場合には、水平荷重(=P1)を1として計算する。また、シングルワーレン形式である場合についても、ダブルワーレン形式の場合と同様に各節点における単位応力係数を求め、単位応力係数に実荷重を乗じて各節点の応力を求め、重ね合わせの法則に従って各部材の応力を集計し、全応力を算出する。
【0052】
各節点における単位応力係数の計算式について、図7及び図8を用いて説明する。
fR1(x)、fL1(x)、fR2(x)、fL2(x)を関数化して、y=ax+bの一次関数の式にあてはめる。これにより主柱材の位置が関数化される。
b=−0.5/tan(α1)より
fR1(x)=x/tanα1−0.5/tanα1 fL1(x)=−x/tanα1−0.5/tanα1
b=−0.5/tan(α2)より
fR2(x)= x/tanα2−0.5/tanα2 fL2(x)=−x/tanα2−0.5/tanα2
計算対象の鉄塔の節数iをn節と入力し、回数Jを0回と入力する。そして、当該鉄塔の節数iに1を足したn+1節のx座標(=xBR)を0.5、y座標(=yBR)を0.0とする。そして回数Jに1を足す。次に回数Jが奇数か偶数かを判定する。回数Jが奇数の場合には、腹材の位置を以下の通り関数化する。
b=−y(i+1)−x(i+1)/tan(θ(i))より、
fFR(x)=x/tanθ(i)−y(i+1)−x(i+1)/tan(θ(i))
次に、節数nがベント点(=主柱材曲点)より上か、ベント点より下かで判断する。節数nが、ベント点より上の場合には、
fP(x)=fL2(x)
節数nが、ベント点より下の場合には、
fP(x)=fL1(x)
fFR(x)=fP(x)により交点座標x(i),y(i)を求める。
次に、ピタゴラスの定理を用いて単位応力係数を求める。
主柱材(PF)
PF=√(xBL−x(i))2+(yBL−y(i))2
腹材(FF)
FF=√(x(i+1)−x(i))2+(y(i+1)−y(i))2
【0053】
節数iから1を引き、iが0かどうか判断し、0でない場合には、開数Jに1を足し、開数Jが奇数か偶数かを判定する。回数Jが偶数の場合には、腹材の位置を以下の通り関数化する。
b=y(i+1)+x(i+1)/tan(θ(i))より
fFR(x)=−x/tanθ(i)+y(i+1)+x(i+1)/tan(θ(i))
次に、節数nがベント点より上か、ベント点より下かで判断する。節数nが、ベント点より上の場合には、
fP(x)=fR2(x)
節数nが、ベント点より下の場合には、
fP(x)=fR1(x)
fFR(x)=fP(x)により交点座標x(i),y(i)を求める。
次に、ピタゴラスの定理を用いて単位応力係数を求める。
主柱材(PF)
PF=√(xBR−x(i))2+(yBR−y(i))2
腹材(FF)
FF=√(x(i+1)−x(i))2+(y(i+1)−y(i))2
【0054】
さらに節数iから1を引き、iが0かどうか判断し、0でない場合には、また上記の流れを繰り返し、節数iが0になるまで繰り返し計算を行って、当該鉄塔の全ての節について単位応力係数を導き出す。またこの計算は荷重が各節点にある場合について、それぞれ行う。そして、それらの単位応力係数に実荷重を乗じて各節点の応力を求め、重ね合わせの法則に従って各部材の応力を集計し、全応力を算出する。
【0055】
上記の計算の流れを、図9に示す鉄塔Dを用いて例示する。まずfR1(x)、fL1(x)、fR2(x)、fL2(x)を関数化して、y=ax+bの式にあてはめる。なお、α1=0.191788(rad)=10.98865(°)、α2=0.062419(rad)=3.576334(°)とする。
b=−0.5/tanα1より
fR1(x)= x/tanα1−0.5/tanα1≒5.15 x−2.575
fL1(x)=−x/tanα1−0.5/tanα1≒−5.15 x−2.575
b=−0.5/tanα2より
fR2(x)=x/tanα2−0.5/tanα2≒16 x−8
fL2(x)=−x/tanα2−0.5/tanα2≒−16 x−8
【0056】
荷重の位置が5節にあるとして、鉄塔Dの節数iを5と入力し、回数Jを0回と入力する。そして、図10に示す通り当該鉄塔の節数5に1を足した節数6のx座標(=xBR)を0.5、y座標(=yBR)を0.0とする。そして回数Jに1を足す。次に回数Jが奇数か偶数かを判定する。回数Jが1で奇数であるため、腹材の位置を以下の通り関数化する。
【0057】
fFR(x)=x/tanθ(i)−y(i+1)−x(i+1)/tan(θ(i))より、
fFR(5)=x/tanθ(5)−y(5+1)−x(5+1)/tan(θ(5))
=1.231 x−0−0.5/tan(39.094°)
=1.231 x−0.615
第5節は、ベント点(=主柱材曲点)より上にあるため、
fP(x)=fL2(x)より
1,231 x−0.615=−16 x−8
17.231 x=−7.385
よって交点座標は、
x(5)=−0.429 y(5)=−1.143
更に単位応力係数は、
主柱材(PF)
PF=√(xBL−x(5))2+(yBL−y(5))2
=√(−0.5−(−0.429))2+(0−(−1.143)) 2
≒1.15
腹材(FF)
FF=√(0.5−x(5))2+(0−y(5))2
=√(0.5−(−0.429))2+(0−(−1.143)) 2
≒1.47
【0058】
節数5から1を引くと節数は4となり、節数4は0でなく、回数Jに1を足し、回数2が奇数か偶数かを判定する。回数2は偶数であるため、腹材の位置を以下の通り関数化する。
【0059】
b=y(i+1)+x(i+1)/tan(θ(i))より
fFR(4)=−x/tanθ(4))+y(4+1)+x(4+1)/tan(θ(4))
=−1.067 x+(−1.143)+(−0.429)/tan(43.152°)
=−1.067 x−1.6
第4節は、ベント点(=主柱材曲点)より上にあるため、
fP(x)=fR2(x)より
−1.067 x−1.6=16 x−8
−17.067 x=−6.4
よって交点座標は、
x(4)=0.375 y(4)=−2.0
更に単位応力係数は、
主柱材(PF)
PF=√(xBR−x(4))2+(yBR−y(4))2
=√(0.5−(0.375))2+(0−(−2.0)) 2
≒2.00
腹材(FF)
FF=√(x(5)−x(4))2+( y(5)−y(4))2
=√(−0.429−(0.375))2+(−1.143−(−2.0)) 2
≒1.17
【0060】
さらに節数4から1を引き節数を3とし、3が0かどうか判断し、0でないため、また上記の流れを繰り返し、節数iが0になるまで繰り返し計算を行って、表19に示すように、鉄塔Dの5〜1の全ての節について単位応力係数を導き出す。またこの計算を、表20〜22に示すように、荷重が節点4〜1にある場合についてそれぞれ行い(なお、荷重位置が第3節にある場合については、表を省略する)、表23に示すように集計する。そしてこれらの単位応力係数に実荷重を乗じて各節点の応力を求め、重ね合わせの法則に従って各部材の応力を集計し、全応力を算出する。
【0061】
【表19】
【0062】
【表20】
【0063】
【表21】
【0064】
【表22】
【0065】
【表23】
【0066】
次に、図11を用いて利用者がSD工法を選択した場合について説明する。利用者は入力部3を操作して、施工節を入力する。当該施工節で組み立てるパネルの位置を入力する。当該施工節で組み立てを開始するパネル高を入力する。腕金重量や風圧を考慮するかどうかを設定する(当該施行節が腕金を組立てる節である場合のみ)。塔外に付けるデリックの有無を設定する。固定荷重を考慮するかどうかを設定する。起伏ワイヤの位置・デリック支持点位置を入力する。吊上荷重、起伏ワイヤ衝撃係数、デリック衝撃係数、デリックの基本寸法を入力する。デリックの形式、起伏ワイヤの地上での引き留め位置を入力する。
【0067】
次に図12を用いて利用者がKFD工法を選択した場合について説明する。なおKFD工法を選択する場合には、鉄塔構造図・鉄塔強度計算書に基づき塔体分割重量・腕金重量を求める。そして鉄塔重量、部材長及び塔体分割重量・腕金重量に基づき簡易フロートデリックの能力との適合性を検討する。つまり、組み立てを行う鉄塔の規模を把握した上で、使用する簡易フロートデリックを用いることが適切か否かを検討する。検討の結果、KFD工法を選択した場合には、利用者は入力部3を操作して、施工節を入力する。当該施工節で組み立てるパネルの位置を入力する。当該施工節で組み立てを開始するパネル高を入力する。腕金重量や風圧を考慮するかどうかを設定する(当該施工節が腕金を組み立てる節である場合のみ)。固定荷重を考慮するかどうかを設定する。第一支線の取り付け位置(パネル)を入力する。第二支線及び斜支線の取り付け位置(パネル)を入力する。ステー張力は固定値であるため、通常は、設定は不要であるが、変更がある場合には入力する。
【0068】
制御部4は、SD工法及びKFD工法のいずれの工法においても、利用者によって入力された上述の各パラメータを、上述したダブルワーレンあるいはシングルワーレンの計算式にあてはめて、各施工節のパネル毎の応力や安全率等を計算し、計算結果をディスプレイ等の表示部2に表示させる。また、制御部4は、各施工節における応力をそれぞれ計算し、計算結果を一括してディスプレイ等の表示部2に表示させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施例における鉄塔強度検討装置の全体を示す概念図である。
【図2】本実施例における鉄塔強度検討装置の鉄塔の重量等を算出するまでの流れを示す流れ図である。
【図3】本実施例における鉄塔強度検討装置が鉄塔の各部材の位置を2次元平面で座標化することを示す説明図である。
【図4】本実施例における鉄塔強度検討装置が計算対象として例示したダブルワーレン式の鉄塔の各部材の位置を2次元平面で座標化したことを示す説明図である。
【図5】本実施例における鉄塔強度検討装置が、CC工法を選択した場合に、鉄塔の応力等を算出するまでの流れを示す流れ図である。
【図6】本実施例における鉄塔強度検討装置が計算対象として例示したダブルワーレン式の鉄塔の主柱材と腹材の単位応力係数を算出する計算式を説明する説明図である。
【図7】本実施例における鉄塔強度検討装置がシングルワーレン式の鉄塔の主柱材と腹材の単位応力係数を算出する計算式を説明する説明図である。
【図8】本実施例における鉄塔強度検討装置がシングルワーレン式の鉄塔の主柱材と腹材の単位応力係数を算出するまでの流れを説明する流れ図である。
【図9】本実施例における鉄塔強度検討装置が計算対象として例示したシングルワーレン式の鉄塔の各部材の位置を2次元平面で座標化したことを示す説明図である。
【図10】本実施例における鉄塔強度検討装置が計算対象として例示したシングルワーレン式の鉄塔の主柱材と腹材の単位応力係数を算出する計算式を説明する説明図である。
【図11】本実施例における鉄塔強度検討装置が、SD工法を選択した場合に、鉄塔の応力等を算出するまでの流れを示す流れ図である。
【図12】本実施例における鉄塔強度検討装置が、KFD工法を選択した場合に、鉄塔の応力等を算出するまでの流れを示す流れ図である。
【符号の説明】
【0070】
A:鉄塔強度検討装置、B:鉄塔、C:鉄塔、D:鉄塔、1:記憶部、2:表示部、3:入力部、4:制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶する記憶部と、
情報を入力する入力部と、
情報を表示する表示部と、
記憶部に記憶されている情報と、入力部を用いて入力された情報とを用いて計算を行い、計算結果を前記表示部に表示させる制御部とからなり、
前記制御部は前記入力部を用いて入力された情報と、前記記憶部にあらかじめ記憶されている情報とを用いて、鉄塔の重量を算出する計算を行い、計算結果を表示部に表示させる装置であって、
前記制御部で行う鉄塔の重量を算出する計算は、建設する鉄塔の各部材の位置を2次元平面の座標で表し、当該座標から各部材の長さを算出し、算出された部材の長さに部材の単位重量を乗じて、当該鉄塔の節毎の重量を算出し、節毎の重量を集計する計算であることを特徴とする、鉄塔強度検討装置。
【請求項2】
情報を記憶する記憶部と、
情報を入力する入力部と、
情報を表示する表示部と、
記憶部に記憶されている情報と、入力部を用いて入力された情報とを用いて計算を行い、計算結果を前記表示部に表示させる制御部とからなり、
前記制御部は前記入力部を用いて入力された情報と、前記記憶部にあらかじめ記憶されている情報とを用いて、鉄塔の応力を算出する計算を行い、計算結果を表示部に表示させる装置であって、
前記制御部で行う鉄塔の応力を算出する計算は、建設する鉄塔の各部材の位置を2次元平面の座標で表し、当該座標から建設する鉄塔の各節点における単位応力係数を算出し、算出された各単位応力係数に実荷重を乗じて各節点の応力を求め、各節点の応力を集計する計算であることを特徴とする、鉄塔強度検討装置。
【請求項1】
情報を記憶する記憶部と、
情報を入力する入力部と、
情報を表示する表示部と、
記憶部に記憶されている情報と、入力部を用いて入力された情報とを用いて計算を行い、計算結果を前記表示部に表示させる制御部とからなり、
前記制御部は前記入力部を用いて入力された情報と、前記記憶部にあらかじめ記憶されている情報とを用いて、鉄塔の重量を算出する計算を行い、計算結果を表示部に表示させる装置であって、
前記制御部で行う鉄塔の重量を算出する計算は、建設する鉄塔の各部材の位置を2次元平面の座標で表し、当該座標から各部材の長さを算出し、算出された部材の長さに部材の単位重量を乗じて、当該鉄塔の節毎の重量を算出し、節毎の重量を集計する計算であることを特徴とする、鉄塔強度検討装置。
【請求項2】
情報を記憶する記憶部と、
情報を入力する入力部と、
情報を表示する表示部と、
記憶部に記憶されている情報と、入力部を用いて入力された情報とを用いて計算を行い、計算結果を前記表示部に表示させる制御部とからなり、
前記制御部は前記入力部を用いて入力された情報と、前記記憶部にあらかじめ記憶されている情報とを用いて、鉄塔の応力を算出する計算を行い、計算結果を表示部に表示させる装置であって、
前記制御部で行う鉄塔の応力を算出する計算は、建設する鉄塔の各部材の位置を2次元平面の座標で表し、当該座標から建設する鉄塔の各節点における単位応力係数を算出し、算出された各単位応力係数に実荷重を乗じて各節点の応力を求め、各節点の応力を集計する計算であることを特徴とする、鉄塔強度検討装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−38253(P2011−38253A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183735(P2009−183735)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(505272618)株式会社TLC (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(505272618)株式会社TLC (18)
【Fターム(参考)】
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