説明

鉄筋接合クリップおよびそれを用いた鉄筋固定システム

本発明の固締具装置は、基部と2つの互いに離れて配置されるクランプとを有する単一クリップを含み、各クランプは対向する指部を有し、1つは硬性指部であり、1つは力を受けると偏向するバネ指部である。硬性部材およびバネ部材の遠位端のフランジ面は、バネ部材を偏向し、長尺の円筒形状物、例えば、鉄筋を側面から2つの積み重ねられた導管の1つに挿入するための楔を形成する。2つのクランプ間に形成される領域は、鉄筋をクリップ内の交差した導管に収容できるよう略U字型である。基部は、隣接するクリップを列状に接続するためのオス型付属物とメス型付属物とを含み、さらに、そのような列を個別供給取付装置の走行路内の軌道路に案内するための、前記接続用付属物に交差する向きの2つ以上の案内ピンを含む。前記クリップを表面から所望の高さに持ち上げるための「台座」または台と一体成形することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2004年9月10日に提出した「ユニバーサル鉄筋クリップ(UNIVERSAL REBAR CLIP)」と題する米国仮特許出願第60/608,434号、および2004年9月17日に提出した「ユーティリティクリップ鉄筋ガン(UTILITY CLIP REBAR GUN)」と題する米国仮特許出願第60/610,601号の優先権を主張し、その全ての開示内容をここに参照により援用する。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、一般に、コンクリートスラブ、柱、フーチング(footing)または壁を補強するために2本以上の鉄筋を接合するのに用いられる強化棒(鉄筋)固締具の分野に関し、より詳しくは、2本の鉄筋を互いに様々な向きで2本の鉄筋の接合部でしっかりと固定するのに用いられる鉄筋固締具に関する。
【背景技術】
【0003】
鉄筋固締具は古く、スラブ、柱、フーチングまたは壁などのコンクリート構造物を安定させるため、コンクリート塊の中で2本以上の鉄筋を固定するのに何年間も使用されてきた。鉄筋は通常、延長部として平行に接合されたり、隅角または交差部として垂直に接合される。従来の鉄筋固締具は結束ワイヤーまたは金属クリップで形成されているため、従来の鉄筋固締具を用いて鉄筋を固定するには、複数のワイヤーや形成されたワイヤー固締具や、ペンチまたはやっとこなどの固締道具が必要であり、繰り返し作業となるため怪我をする可能性が高い。また、ワイヤー固締具や金属固締具は、化学反応、例えば、いわゆる「クリーピング」電気分解を起こしたり、鉄筋が被覆されている場合であっても、変色(硬化コンクリート面上の黒っぽいブルーミング)や硬化コンクリートの腐食を起こしたり、鉄筋の接合部の構造的接合性を損なったりし得る状態を作り出す。
【0004】
金属ワイヤーはねじると強度が低下しやすいため、接合部が緩くなり、時間が経つとそれはさらに緩みやすくなる傾向がある。ワイヤーや金属クリップの場合、鉄筋に傷がつき、傷がついた箇所で望ましくない電気分解が促進され、鉄筋の錆および/または腐食が起こる可能性がある。さらに、ワイヤー固締具や金属固締具は、コンクリート構造物を透過できる油、溶媒、酸に弱い。その上、ワイヤー固締具や金属固締具は互いに分離しており、一度に1つずつ用いるよう構成されている。このように、従来の金属固締具は、例えば半自動の鉄筋クリップ固締具「ガン」のマガジンクリップなどからのように連続的に個別供給することができない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の固締具装置は、基部と2つの互いに離れて配置されるクランプとを有する単一クリップを含み、各クランプは対向する指部を有し、1つは硬性指部であり、1つは力を受けると偏向するバネ指部である。硬性部材およびバネ部材の遠位端でのフランジ面は、バネ部材を偏向し、長尺の円筒形状物、例えば、鉄筋を側面から2つの積み重ねられた導管の1つに挿入するための楔を形成する。2つのクランプ間に形成される領域は、鉄筋をクリップ内の交差した導管に収容できるよう略U字型である。基部は、隣接するクリップを列状に接続するためのオス型付属物とメス型付属物とを含み、さらに、そのような列を個別供給式取付装置(dispensing applicator)の走行路内の軌道路に案内するための、前記接続用付属物に交差する向きの2つ以上の案内ピンを含む。前記クリップを表面から所望の高さに持ち上げるための「台座」または台と一体成形することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の好ましい実施形態は、2本の長尺略円筒形状物、例えば、2本の鉄筋を互いに対して平行または垂直な向きに配置して固定するような大きさおよび構成にされた一体成形型略C字型ナイロンクリップに関する。このクリップを地上から所望の高さに配置しそこに接合部を形成できるよう、いわゆる「台座」または持ち上げ部を設けてもよい。
【0007】
当業者に理解されるように、2本の鉄筋を互いに対して所定の向きにしっかりと固定するのに本発明は特に適しているが、これ以外の用途も本発明の趣旨および範囲に含まれる。例えば、本発明の固締具を用いて、銅管、銅パイプまたはPVCパイプと他の配管具とを接合することができる。電気用途としては、本発明の固締具を用いたコンピュータコードやイーサネットコードなどの電化製品のケーブルやコードの接合がある。様々な暖房・換気・空調設備(HVAC)用途にも用いられる。本発明の固締具を用いて、2つ以上の柔軟性または剛性を有する管、ロッド、棒または長尺略円筒形状物を接合することが可能である。このように、鉄筋接合部は単なる例示の1つであり、本発明の固締具を用いた場合に特に有用である。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態に係る鉄筋固締クリップ10の等角図である。クリップ10はポリマー(例えば、ナイロン)からなり一体成形された単一部品であることが好ましい。望ましい材料強度、耐久性および信頼性を発揮すると認められていることから、材料はナイロン6が好ましい。本発明の一実施形態に係るクリップ10は、基部12と、基部12から延び軸方向に離れて鏡像に配置されたクランプ14、16とを含む。クランプ14は、いわゆる硬性指部18と、いわゆるバネ指部20とを含み、この2つの指部は、互いに略平行に基部から上方向に延びている。クランプ16は、硬性指部22と、バネ指部24とを含み、この2つの指部も、互いに略平行に基部から上方向に延びている。
【0009】
次に図1と図2を合わせて参照すると、硬性指部18、22およびバネ指部20、24は複雑に湾曲した内面を有し、これらが共同して、互いに平行なクランプ14、16の合わされた軸に沿って延びる2つの略円筒導管C1、C2を形成していることがわかる。これら導管の長軸は、図1では一点鎖線で示されており、図2では+記号で示されている。尚、本発明によると、導管C1、C2は、任意のゲージを有する2本の強化棒(鉄筋)を実質的に平行に配列し収容できるような大きさを有している。これについては、装置10に鉄筋を平行に配置した場合を示す図5Aにおいてより明確に示されている。
【0010】
次に図1と図3とを合わせて参照すると、軸方向に離れて配置されたクランプ14、16の間に略U字型の開口部26が、その底部において、導管C1、C2の軸に対して垂直な軸に沿って延びる第3の略円筒導管C3を形成している。導管C3は、図1では一点鎖線で示されており、図3では+記号で示されている。図3において、導管C1、C2は一点鎖線で示されている。図3から、導管C2およびC3が基部12からほぼ同じ高さにあることが好適であることを当業者であれば理解できる。尚、本発明によると、導管C3は、任意のゲージを有する鉄筋を実質的に平行に配列し収容できるような大きさである。これについては、装置10に2本の鉄筋を垂直に配置した別の場合を示す図5Bにおいてより明確に示されている。
【0011】
図1、図2および図3を合わせて参照しながら、クランプ14と16およびU字型開口部26ならびに異なる角度で鉄筋を接合する際のこれら部材の連係について詳細に説明する。導管C1とC2は、ここでは「口」と呼ぶ閉鎖可能な開口部28を有することがわかる。図1,2からわかるように、開口部は通常実質的に閉じているが、図2の鎖線は、クランプ14(および並んで配置されたクランプ16、図示せず)のバネ指部20(および並んで配置されたバネ指部24、図2に図示せず)の開放または偏向した位置を示している。この位置において、1本以上の鉄筋(図示せず)を側面から導管C1、C2のいずれか、あるいは両方に挿入することができる。基部方向の力ベクトル(および図2の矢印方向)が硬性指部18とバネ指部20の遠位端にかかることにより、バネ指部20が仮想線20’で示される開放位置に一時的に偏向した後、バネ作用によりバネ指部20は開口部28を実質的に閉じ、1本以上の鉄筋を導管C1、C2のいずれか、あるいは両方において適切な軸方向に合わせて収めることができる。
【0012】
または、導管C3とC2を用いて、以下の方法で2本の鉄筋を互いに対して実質的に垂直な配置で固定することができる。第1の導管を基部に押し当てるようにU字型開口部26に挿入する。このとき、鉄筋長さの長軸が導管C3の軸方向に一致するように挿入する。次に、第2の鉄筋を、第1の鉄筋に押し当てるように開口部28に挿入する。このとき、第2の鉄筋の長軸が導管C2の軸方向に一致するように挿入する。尚、バネ腕部20のバネ作用により導管C2の開口部28が閉鎖されるが、導管C3の開口部26は第2の鉄筋が導管C2に挿入されることにより効果的に閉鎖される。
【0013】
図1および図2を合わせて参照すると、硬性腕部18、22は、好ましくは、基部12から面平行に外側に上向きに延びるリブ30、32を含むことがわかる。リブ30、32が硬性腕部18、22を補強するため、硬性腕部18、22は基部12に対して容易に偏向しない(例えば、基部12に固定され動かない)ことは当業者であれば理解できる。本発明の一実施形態によると、リブ30、32は、基部12から実質的に外側に上向きに延び(図2において最もよく示される)、実質的に厚みを有する(図3において最もよく示される)。リブ30、32がそれぞれ、硬性腕部18、22の実質的に全長にわたり、その外面に沿って延びていることは、当業者であれば理解できる。尚、リブ30、32は上側に向かって延出長さに沿ってテーパー状になっているため、フランジ33近くよりも基部12近くの方が硬性が若干高いことが分かる。
【0014】
本発明の一実施形態によると、金型を用いてナイロン6を成形して得られる鉄筋固締具装置10は約165ポンドの耐荷力を有し、硬性腕部18、22の第1のフランジ33と、バネ腕部20、24の第2のフランジ34との間にその大きさの衝撃がかかってもしっかりと耐えることができる。材料や構造の細部を変更して得られる鉄筋固締具装置の性能は低くなるものの、それらも本発明の趣旨および範囲に含まれる。
【0015】
さらに、リブ30、32およびその硬性指部18、22は、その遠位端近くで水平から約45°に傾いた第1の面(図2の右上)で終結しているのが分かる。この面をここでは第1フランジ33と呼ぶ(図2の一点鎖線)。バネ指部20、24は、その遠位端近くで水平から約45°に傾いた第2の面(図2の左上)で終結しているのが分かる。この面をここでは第2フランジ34と呼ぶ(図2の一点鎖線)。例えば、鉄筋を側面から開口部28に人手により挿入する際の力など、図2の下方向の力の衝撃を受けると、鋭角に対向する第1および第2フランジ33、34は一時的に楔作用を発揮し、バネ指部20が閉じた状態から開いた状態になることは、当業者であれば理解できる。開口部28を通過し導管C1またはC2に鉄筋を挿入した後、バネ指部20、24の遠位端が即座に硬性指部18、22の遠位端すぐ横の閉鎖位置にパチンと戻ることは理解される。
【0016】
当業者であれば、工業規格サイズであるゲージ3、4、5、6、7、8、9、10を含む様々な大きさの鉄筋を固定するように本発明の鉄筋クリップの大きさを設定し得ることがわかる。ここで、鉄筋ゲージは、1/8インチの倍数で表される鉄筋の直径であり、例えば、工業規格サイズ4の鉄筋の直径は、公称1/2インチである。
【0017】
このように、略円筒導管C1、C2およびC3に挿入し接合される鉄筋ゲージに応じて、略円筒導管C1、C2およびC3の直径は様々であり得る。これは、必要とされる現行のゲージおよび将来のゲージに対応する鉄筋の公称径に応じて、基部および対向する指部の大きさを決定するという単純なことである。尚、他の導管径が得られるように成形道具を作ってもよく、様々な鉄筋ゲージに適した様々な装置サイズのものを蓄えておいてもよいことが分かる。本発明の別の形態によると、1つの固締具装置で、例えば、C1、C2およびC3の直径の1つまたはそれ以上が他の導管の直径と異なる場合など、様々な鉄筋サイズに適応できる。また、本発明の一実施形態によると、発明された装置に色コードを付すことができる。例えば、ナイロン成型材料を染色することにより様々な鉄筋ゲージに対応する導管サイズまたはサイズの組合せが素早く視覚的にわかるようにできる。
【0018】
本発明のナイロン製鉄筋クリップは錆びず、建設現場において一般的に見られる、クリーピング電気分解や、酸や溶媒との化学反応に対する耐性を有する。従来の鉄筋は、被覆された鉄で作られることが好ましいが、本発明の鉄筋クリップはこれに限定されない。本発明の趣旨および範囲内であれば、発明された鉄筋クリップは、金属、金属合金、プラスチック、ガラス、ポリマーまたはその他の鉄筋材料と一緒に用いることが可能であり、これらは被覆されていてもよく被覆されていなくてもよい。
【0019】
図4は、鉄筋固締具10の上面図である。固締具10の基部12は、図示されているように概ね矩形であり、平面性および強度を高めるためのリブ状底面(図1参照)を有する。基部12は、共通する軸Aに沿って基部12からそれぞれ反対方向に、外側に延びるオス型付属物36と、それに対応するメス型付属物38とを含む。オスおよびメス型付属物36、38は、共通する軸Aに沿って配置された隣接する1つ以上の固締具装置10の対応するメスおよびオス型付属物(ここでは、オス/メス対と呼ぶ)とそれぞれしっかりと嵌合することができる。従って、本発明の一実施形態によると、オス/メス対を用いて、複数の装置10を列状に物理的に接続することができる。これにより、半自動手段を介して固締具装置10を連続して個別供給(dispensing)し取り付ける(applying)ことができる。
【0020】
本発明のオスおよびメス型付属物36、38は、図1〜4においておそらく最もよく示されているように、略長円筒形または樽状を有し、樽状オス型付属物は、メス型付属物の樽状開口部にわずかに締まりばめ(スナップフィット)されるように形成されている。これにより、複数の結合された固締具10の走行方向にオス/メス対の軸を交差させて合わせることができ(走行方向は軸Aに沿うことが好ましい)、確実に安定して列をつくることができる。これ以外の形状および配置も本発明の趣旨および範囲内に含まれる。例えば、球形のオス型付属物と球形のメス開口部でも、隣接する固締具装置を堅固に接続することができる。この場合、装置の列に加わる、例えば軸Aに交差する力などの横方向の力に対する安定性は低くなる。
【0021】
図4はまた、軸Aに対して垂直な軸に沿って配置され、反対方向に外側に向いた案内ピン対40a、40b、42a、42bを示す。本発明の一実施形態によると、このような案内ピン対を設けることにより、接続された固締具装置10の列を、「ガン」の走行路またはマガジンに設けられた軌道路に沿って誘導送出し、装置10を鉄筋接合部に連続して個別供給し取り付けることができる。このような「ガン」については、上述した同時係属中の米国仮特許出願第60/610,601号に記載および図示されている。案内ピン40a、40b、42a、42bを軸Aに沿って配置し、オスおよびメス型付属物36、38を軸Aに対して垂直に配置して、装置20の基部12に対する接続構造および案内構造の位置を置き変えても良いことは本発明の趣旨および範囲に含まれることは当業者であれば理解できる。
【0022】
従来の金属ワイヤー鉄筋固締具の取り付け速度は、1分当たりわずか約4つであるため、1日当たりの平均的作業員の取り付け量は、わずか約1920である。これとは全く異なり、本発明のクリップならば、ハンマーを用いて1分間に約20個ものクリップを取り付けることができ、5倍もの増加となる。また、帯状に相互接続して連結された複数のクリップの連続送出および供給に対応したバネ付マガジンを備えた個別供給式ガンを用いると1時間あたり1920の取り付けが可能となり、速度が桁違いに速くなると共に人件費が下がる。
【0023】
図5Aおよび図5Bはそれぞれ、2本の鉄筋を平行に固定した場合および2本の鉄筋を垂直に固定した場合の鉄筋固締具10の等角図である。図5Aでは、鉄筋R1、R2は装置10において、互いに平行に配置されしっかりと固定されている。このような「延長型」鉄筋固締は、長尺鉄筋が延びる範囲を延長するのに有用である。また、図5Bでは、鉄筋R1、R2は装置10において、互いに垂直に配置されしっかりと固定されている。このような別の「交差型」鉄筋固締は、鉄筋格子、いわゆる「マット」を形成するのに有用である。図5Aおよび図5Bのどちらの場合も、上述したようにR2を固締具装置10に挿入する前にR1を挿入することは、当業者であれば理解できる。
【0024】
図6は、クリップを地面より高く持ち上げるためのいわゆる「台座」または台と一体成形した本発明の別の形態に係る鉄筋固締具10の等角図である。コンクリートのスラブのほぼ中央の内部領域に鉄筋接合部があるのが最も有用であることは、当業者であれば理解できる。従って、コンクリートフーチングやスラブにおいては、多くの場合、充填されたコンクリートスラブまたは層内の中間高さの1つに一致する高さ、例えばおおよそ中間の高さに鉄筋接合部を配置して補強を最大限にする必要がある。本発明の別の形態によると、簡便かつ新規な台44を備えることにより、本発明のクリップで固定される鉄筋接合部を支持し安定させることができる。
【0025】
台44は、リブ補強された土台部46と、高さ(H)調節可能なリブ補強された垂直部48と、略平面な上部延接部50とを含む。上部延接部50は通常、支持される固締具装置10の基部12と実質的に合致(共存)するような形状および大きさを有する。本発明の一実施形態によると、構造的耐久性および一体性の観点から、台44もナイロン6から、例えば、好ましくは成形されることは、当業者であれば理解できる。台44と固締具装置10を別々に成形した場合、鉄筋を上向き開口部26および/または上向き開口部28に取り付けたまま、台44と固締具装置10とを単に鉛直方向に配置するだけでよい。あるいは、固締具装置10の基部12と台44の上部延接部50とをぴったりと接着してもよい。たいていのコンクリートスラブに適用する場合、高さHは通常、約3〜5インチである。
【0026】
本発明の好ましい一実施形態によると、固締具装置10と台44は、ナイロン成型材料からの一体型構造の形をとる、すなわち、一体成形される。台44と装置10の有用な組合せに関する他の形態も本発明の趣旨および範囲に含まれる。
【0027】
尚、本発明は、本明細書に記載および図示された構成方法、構成の詳細、製造、材料、適用や用途に限定されず、様々な好適な製造、用途、適用も別の形態であると解釈され、よって、これらも本発明の趣旨および範囲に含まれる。
【0028】
以上より、本発明の利点には以下のものが含まれることは当業者であれば理解できる。
【0029】
本発明は、低コストな、鉄筋固定のための人件費を抑えることのできる単品部品を提供する。本発明は、製造が容易かつ低コストであり、繰り返し作業による怪我をさせることなく容易かつ迅速に取り付けられる新しい鉄筋接合部固締具を提供する。この鉄筋固締具は、2本の長尺略円筒形状物、例えば、2本の鉄筋を、いわゆる延長型として平行に、またはいわゆる交差型として垂直に配置して接合するよう一意的に構成されている。この鉄筋固締具は、様々なゲージの鉄筋に適応するよう様々な大きさにすることができる。また、サイズを素早く簡単に判断できるよう様々なサイズに色コードを付すこともできる。鉄筋固締具は、鉄筋と反応しないナイロンから作られることが好ましい。これにより、鉄筋の腐食や、いわゆるコンクリートブルーミングを避けることができる。また、本発明の鉄筋固締具は、半自動のいわゆる「ガン」内に相互連結された一連の固締具を保持するマガジンから一度に1つずつ固締具を個別供給し取り付けるためのフックを備える。本発明は、地上などの支持面から任意の高さに鉄筋接合部を持ち上げるための、必要により一体成形された任意の台またはいわゆる「台座」を備える。
【0030】
尚、本明細書の詳細な説明や図面に具体的に記載されていない分野、適用、使用方法、操作方法、製造方法、形状、大きさ、材料を変更することにより得られる本発明の他のいかなる形態も当業者には明白または自明であると考えられ、本発明の趣旨および範囲に含まれるものとする。
【0031】
従って、上記の発明された装置の実施形態を参照して本発明を示し説明したが、添付の特許請求の範囲において定義された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなしに形状や詳細を変更して良いことは当業者に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明の一実施形態により作られる固締具の等角図である。
【図2】図2は、図1の固締具の一部を形成する弾性留め具の開口位置を仮想線で示し、閉鎖位置を実線で示す左正面図である。
【図3】図3は、図1の固締具の正面立面図である。
【図4】図4は、図1の固締具の上面図である。
【図5】図5Aおよび図5Bは、図1の固締具に2本の鉄筋を平行に固定した場合と垂直に固定した場合の等角図である。
【図6】図6は、図1の鉄筋固締具に固締具を地上などのコンクリート充填表面から様々な高さに持ち上げる台を一体成形した場合の等角図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本までの鉄筋を通して収容するように構成された2つ以上の導管を含む単一クリップを具備する強化棒(鉄筋)固締具装置であって、前記2つ以上の導管のうち少なくとも2つが互いに実質的に平行または垂直に配置され、
前記2つ以上の導管がそれぞれ、鉄筋を挿入するための閉鎖可能な開口部を有し、前記閉鎖可能な開口部の少なくとも1つが、前記単一クリップの基部から延びる長尺閉鎖部材のバネ作用により閉鎖されることを特徴とする固締具装置。
【請求項2】
前記単一クリップが3つ以上の導管を含み、そのうち少なくとも2つの導管が互いに実質的に平行に配置され、少なくとも2つの導管が互いに実質的に垂直に配置され、
第2の鉄筋を前記2つ以上の導管の1つの導管に挿入配置した後に、第2の鉄筋を前記少なくとも1つの閉鎖可能な開口部に挿入することにより、前記2つ以上の導管の別の導管の閉鎖可能な開口部が閉鎖可能であることを特徴とする請求項2に記載の固締具装置。
【請求項3】
請求項2に記載の固締具装置であって、前記基部から前記閉鎖部材の反対側に延びる長尺のリブ状部材をさらに具備し、
前記互いに実質的に平行に配置された少なくとも2つの導管に沿って前記固締具装置を見た場合に、前記閉鎖部材、前記基部および前記リブ状部材が略U字型空間を形成することを特徴とする固締具装置。
【請求項4】
前記閉鎖部材が偏向可能な遠位端を前記基部の反対側に含み、前記遠位端は閉鎖位置に静止するようになっているが、前記リブ状部材から離れて外側に偏向し開くことが可能であり、前記遠位端は、実質的に閉鎖するために前記リブ状部材に向かって内側に湾曲する第1の領域と、前記リブ状部材から離れて外側に急激に湾曲してフランジを形成する、前記第1の領域の遠位の第2領域とを含み、前記フランジは、前記フランジおよび前記リブ状部材の遠位端が前記基部に向かって内側に印加される力にあたると前記閉鎖部材の遠位端を開くことを特徴とする請求項3に記載の固締具装置。
【請求項5】
前記基部が、共通する軸に沿って反対方向に、前記基部から外向きに延びるオス型付属物とメス型付属物とを含み、前記オス型付属物および前記メス型付属物は、前記共通する軸に沿って配置された隣接する1つ以上の固締具装置の対応するメス型付属物および対応するオス型付属物にそれぞれしっかりと係合可能であることを特徴とする請求項4に記載の固締具装置。
【請求項6】
前記オスおよびメス型付属物が長尺の略円筒形であり、円筒形の中心長軸が前記共通する軸と交差することを特徴とする請求項5に記載の固締具。
【請求項7】
前記基部が、前記共通する軸と交差する軸に沿って前記基部から外向きに延びる2つ以上の案内ピンをさらに具備し、前記案内ピンが、個別供給式取付装置(dispensing applicator)の外付けの複数装置マガジン(external plural-device magazine)の軌道路に従って進むよう構成されていることを特徴とする請求項5に記載の固締具装置。
【請求項8】
前記2つ以上の案内ピンの数が4つであり、前記基部のいずれの側にも配置されているピン対は、互いに離れていることを特徴とする請求項7記載の固締具装置。
【請求項9】
前記単一クリップが一体成形されていることを特徴とする請求項8に記載の固締具装置。
【請求項10】
前記単一クリップがナイロンを含む材料からなることを特徴とする請求項9に記載の固締具装置。
【請求項11】
基部から延び軸方向に離れて配置された2つのクランプを含む単一クリップを具備する強化棒(鉄筋)固締具装置であって、
各クランプは、硬性指部と、前記硬性指部との間で口を開口するよう弾力的に変形可能なバネ指部とからなる一対の対向する指部を含み、前記硬性指部と前記バネ指部とが共同してその間に軸が平行に配置された第1および第2の略円筒導管を形成し、前記第1および第2の導管が、1本以上の鉄筋を収容するよう構成されており、
前記軸方向に離れて配置された2つのクランプがその間に、略U字型の開口部を形成し、その先端部が、前記第1および第2の導管に対し実質的に垂直な第3の略円筒導管を形成し、前記第3の導管が鉄筋をそれに通して収容するように構成されていることを特徴とする固締具装置。
【請求項12】
各クランプの硬性指部の遠位端が第1のフランジを含み、各クランプのバネ指部の遠位端が第2のフランジを含み、前記第1および第2のフランジは開口可能な口として構成されており、前記基部に向かう力ベクトルがかかると前記第1および第2のフランジが共同して楔として機能し、前記バネ指部を前記硬性指部から離して外側に弾力的に偏向させることにより、各クランプの前記口を一時的に開口することを特徴とする請求項11に記載の固締具装置。
【請求項13】
各クランプの硬性指部が、その外周面の実質的に周りに延びた補強リブを含むことを特徴とする請求項12に記載の固締具装置。
【請求項14】
前記基部が、共通する軸に沿って反対方向に、前記基部から外向きに延びるオス型付属物とメス型付属物とを含み、前記オス型付属物および前記メス型付属物は、前記共通する軸に沿って配置された隣接する固締具装置の対応するメス型付属物および対応するオス型付属物にそれぞれ連結可能であることを特徴とする請求項13に記載の固締具装置。
【請求項15】
前記基部が、前記共通する軸から実質的に垂直に反対方向に前記基部から外側に延びる2つ以上の案内ピンをさらに具備し、前記案内ピンが、前記固締具装置が複数連結したものを装填できる個別供給式マガジンの軌道路に滑合するよう構成されていることを特徴とする請求項14に記載の固締具装置。
【請求項16】
前記単一クリップが一体成形されていることを特徴とする請求項15に記載の固締具装置。
【請求項17】
前記単一クリップがナイロンを含む材料からなることを特徴とする請求項16に記載の固締具装置。
【請求項18】
耐久性を有する弾性材料から一体成形された鉄筋クリップであって、前記クリップは3つの略円筒導管を含み、そのうち2つの導管が互いに実質的に平行であり、1つの導管が前記実質的に平行な2つの導管に対して実質的に垂直であり、前記実質的に平行な2つの導管が、2本の鉄筋を実質的に平行に配置し固定するよう構成されており、前記実質的に垂直な1つの導管が、前記実質的に平行な2つの導管の1つに鉄筋が固定された状態で、1本の鉄筋を実質的に垂直に配置し固定するよう構成されている鉄筋クリップと、
前記鉄筋クリップを所定の位置および向きに支持するための台であって、前記台を支持する面より高く前記鉄筋クリップを持ち上げるため所定の高さを有する台とを具備する強化棒(鉄筋)固締具システム。
【請求項19】
前記鉄筋クリップが、基部と、前記基部の反対側にバネ付口とを有し、前記鉄筋クリップが、前記基部を下向きに前記口を上向きにして、前記台により支持されていることを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記鉄筋クリップおよび前記台が一体成形されていることを特徴とする請求項19に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−512589(P2008−512589A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531194(P2007−531194)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/030270
【国際公開番号】WO2006/031407
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(506388624)
【出願人】(506389001)
【Fターム(参考)】