説明

鉄筋用スペーサ

【課題】鉄筋と型枠との位置関係を明確にすることができて、型枠構築の作業性の簡素化を図ることのできる鉄筋用スペーサを提供すること。
【解決手段】支持部の一側面を、型枠40を位置決めするための位置決め部分とするとともに、この位置決め部分を形成した側の基台の側面に、ヒンジ部を介して型枠載置部16を形成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋用スペーサに関し、特に、鉄筋が内在されるコンクリート部分を形作るための型枠との関係を考慮した鉄筋用スペーサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
土台等のコンクリート部分には、その強度を補償するための鉄筋が内在されるが、この鉄筋は、コンクリート部分の所定位置になければならないから、生コンクリートを打設する前には、例えば図1あるいは図7に示すように、所謂「スペーサ」を介して所定位置に配筋される。
【0003】
この種の「スペーサ」は、コンクリート部分内に埋設されることが多く、一つのコンクリート部分を形成するためには多数用いるものであるため、比較的安価に提供できるようにしなければならない。また、この種の「スペーサ」は、比較的重量のある鉄筋を支持できる程度の剛性を必要としているだけでなく、鉄筋の支持作業も容易に行えるようにする機能も必要とされている。
【0004】
このような「スペーサ」は、例えば特許文献1にもみられるように、従来より種々なものが提案されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−332629号公報、要約、代表図、図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献1に記載されている「鉄筋受け用スペーサ」は、「鉄筋受け用スペーサにおいて、必要に応じて一段または上下二段の配筋を簡便に保持できるようにする」ことを目的としてなされたもので、図6及び図7に示すように、「スペーサ1に、上筋7と下筋8を型枠内の所定高さに保持する鉄筋保持手段6と、鉄筋保持手段6の側方へ張り出す座板2aと、コンクリートの仕上げ面高さを示す高さ表示手段2fとを設ける。鉄筋保持手段6を、高さ表示手段2fに開口する溝状の上筋保持手段5と、平板状の下筋保持手段2cとで構成する。上筋保持手段5と下筋保持手段2cとを、下筋8の外寸法分位相を上下にずらせて配設する」ものである。
【0007】
この特許文献1に記載されている「鉄筋受け用スペーサ」は、「十字状に交差する鉄筋を少ない個数で所定位置に無理なく保持する。鉄筋の上側のかぶりであるコンクリートの仕上げ面高さも表示する」ことができるものであると考えられるが、構造が複雑なものであるから、コストが掛かるものであると考えられるだけでなく、熟練者でないと施工が簡単には行えないとも考えられる。
【0008】
それだけでなく、この特許文献1に記載されている「鉄筋受け用スペーサ」は、コンクリート部分を構築するための「型枠」との関係をどうするかが全く考慮されていないため、施工性が悪いものとなっていると考えられる。
【0009】
一般に、土台等のコンクリート部分の外形や大きさは、型枠によって規定通りのものに形成されるのであるが、当然、当該コンクリート部分の補強を行うための鉄筋を配筋する位置も規定通りのものにしなければならない。つまり、型枠と鉄筋の位置は、本来的には規定されるべきものであり、鉄筋はスペーサによって支持されるものであるのに、特に、特許文献1のスペーサは、型枠と鉄筋を支持するためのスペーサとの位置関係は全く無視されているものである。
【0010】
また、最近、熟練された「型枠大工」が少なくなってきており、配筋作業を考慮した型枠構築を簡素化する必要が出てきているだけでなく、鉄筋を配筋してから型枠を構築することもなされてきている。このため、鉄筋用スペーサによって、型枠構築の作業性の簡素化が求められてきている実状にもある。
【0011】
そこで、本発明者等は、この種の鉄筋用スペーサについて、コンクリート部分を構築するのに採用されている「鉄筋」と「型枠」との位置関係を明確にすることができて、型枠構築の作業性の簡素化を図ることのできる鉄筋用スペーサとするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0012】
すなわち、本発明の目的とするところは、まず第1に、「鉄筋」と「型枠」との位置関係を明確にすることができて、型枠構築の作業性の簡素化を図ることのできる鉄筋用スペーサを提供することにある。
【0013】
また、本発明の他に目的とするところは、型枠によって押さえることと、その押さえを省略することとの選択が自由に行えて、型枠構築の作業性の簡素化を図ることのできる鉄筋用スペーサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「地面上に載置される基台11と、この基台11から立ち上がる支持部12と、この支持部12上に形成されて、鉄筋20を支承する支承面13とを備えた鉄筋用スペーサ10であって、
支持部12の一側面を、型枠40を位置決めするための位置決め部分とするとともに、この位置決め部分を形成した側の基台11の側面に、ヒンジ部15を介して型枠載置部16を形成したことを特徴とする鉄筋用スペーサ10」
である。
【0015】
この請求項1に係る鉄筋用スペーサ10は、図1または図6に示すように、ある程度組まれた複数の鉄筋20の一つをその支承面13上に載置しながら、基台11を土間等のコンクリート部分30を形成すべき地上に設置して、各鉄筋20をコンクリート部分30内の所定位置に配筋するものである。なお、支承面13は、基台11から立ち上がる支持部12上に形成したものであり、後述する実施形態の鉄筋用スペーサ10では、支承面13は、図3にも示すように、長い平らな面である第1支承面13aや、大小の第2支承面13bあるいは第3支承面13cのように、複数種類のものとしてあるから、選択された鉄筋20の支承面13としては、これらの内の適宜なものが選択される。
【0016】
また、この請求項1の鉄筋用スペーサ10では、基台11から立ち上がる支持部12の一側面を、型枠40を位置決めするための位置決め部分としてある。図2に示す実施形態では、この支持部12は3本あり、この内の図示右端の支持部12の右端面を、型枠40を位置決めするための位置決め部分としたのである。この請求項1の鉄筋用スペーサ10では、後述する型枠位置決め部14は想定していない。
【0017】
この請求項1に係る鉄筋用スペーサ10は、図1〜図3を例に採ると、その基台11の一方に突出する型枠載置部16がコンクリート部分30の外側に向かうように設置するものであり、そうすることによって、当該型枠載置部16が形成してある側の支持部12の側面に形成した位置決め部分も外側に向かうように設置される。
【0018】
そこで、図1または図6に示すように、この位置決め部分に型枠40の内面側を当接させれば、型枠40の鉄筋20に対する位置決めがなされるのであり、位置決め部分が上下方向に垂直な面を形成しているから、当該鉄筋用スペーサ10の外側に設置されて位置決め部分に当接されるべき型枠40は、地面に対して垂直に立設できるのである。
【0019】
この型枠40の設置にあたっては、各位置決め部分が外側に向かっているとともに、型枠40を設置すべき地面上には型枠載置部16が突出させてあるから、型枠40の設置作業者は、これらの位置決め部分及び型枠載置部16を目印とすることにより、設置作業に必要な鉄筋20に対する寸法取りが簡単に行えることになる。勿論、鉄筋用スペーサ10全体が「白色」等の目立つ色にしておけば、当該鉄筋用スペーサ10自体が型枠40の設置作業における目印とすることができる。
【0020】
この型枠40の設置作業にあたって、当該鉄筋用スペーサ10の型枠載置部16は、図1に示すように、これを目印としてその上に型枠40を載置するようにしてもよい。このように、鉄筋用スペーサ10側の型枠載置部16上に型枠40を載置すれば、図1に示すように、当該鉄筋用スペーサ10全体が型枠40によって押さえられることにもなり、当該鉄筋用スペーサ10の地面上に対する固定もなされたことになる。
【0021】
一方、鉄筋用スペーサ10側の型枠載置部16上に型枠40を載置することが不必要な場合あるいは作業者は、当該型枠載置部16を、図5の(b)あるいは図6に示すように、この型枠載置部16を型枠40の内側になるように折り曲げておけばよい。型枠載置部16の折り曲げは、当該型枠載置部16と基台11との境界に形成したヒンジ部15を利用すれば、簡単に行える。
【0022】
以上の結果、本発明に係る鉄筋用スペーサ10は、型枠40によって押さえることと、その押さえを省略することとの選択が自由に行えて、型枠構築の作業性の簡素化が図られていることになるのである。
【0023】
従って、本発明に係る鉄筋用スペーサ10は、鉄筋20と型枠40との位置関係を明確にすることができ、型枠40によって押さえることと、その押さえを省略することとの選択が自由に行えて、型枠構築の作業性の簡素化が図れるものとなっているのである。
【0024】
また、上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の取った手段は、上記請求項1に記載の鉄筋用スペーサ10について、
「支持部12の型枠載置部16を形成した側の面にストッパ17を形成して、このストッパ17に折り曲げた型枠載置部16を係止し得るようにしたこと」
である。
【0025】
この請求項2に係る鉄筋用スペーサ10は、図3の(a)中の点線にて示すように、その支持部12の型枠載置部16を形成した側の面にストッパ17が形成してあるから、このストッパ17に、図5の(b)または図6に示すように、折り曲げた型枠載置部16の先端を係止させれば、その固定が行え、型枠載置部16を使用しない場合に、この型枠載置部16が邪魔にならないようにすることができるのである。
【0026】
従って、この請求項2に係る鉄筋用スペーサ10は、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、折り曲げた型枠載置部16を、ストッパ17によって係止させることができて邪魔にならないようにし得るものとなっているのである。
【0027】
さらに、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の取った手段は、
「地面上に載置される基台11と、この基台11から立ち上がる支持部12と、この支持部12上に形成されて、鉄筋20を支承する支承面13とを備えた鉄筋用スペーサ10であって、
支持部12の一側面に型枠位置決め部14を形成するとともに、基台11の、型枠位置決め部14を形成した側の側面に、ヒンジ部15を介して型枠載置部16を形成したことを特徴とする鉄筋用スペーサ10」
である。
【0028】
この請求項3に係る鉄筋用スペーサ10は、図1〜図3に示すように、その基台11の一方に突出する型枠載置部16がコンクリート部分30の外側に向かうように設置するものであることは請求項1に係るそれと同様であるが、支持部12の一側面に型枠位置決め部14を形成すしたことが、請求項1に係るそれと異なるものである。そして、これら各型枠位置決め部14も外側に向かうように設置されるのである。
【0029】
そこで、図1または図6に示すように、これらの型枠位置決め部14に型枠40の内面側を当接させれば、型枠40の鉄筋20に対する位置決めがなされるのであり、実施形態では型枠位置決め部14が上下一対のものとしてあるから、当該鉄筋用スペーサ10の外側に設置されるべき型枠40は、地面に対して垂直に立設できるのである。
【0030】
この型枠40の設置にあたっては、各型枠位置決め部14が外側に向かっているとともに、型枠40を設置すべき地面上には型枠載置部16が突出させてあるから、型枠40の設置作業者は、これらの型枠位置決め部14及び型枠載置部16を目印とすることにより、設置作業に必要な鉄筋20に対する寸法取りが簡単に行えることになる。勿論、鉄筋用スペーサ10全体が「白色」等の目立つ色にしておけば、当該鉄筋用スペーサ10自体が型枠40の設置作業における目印とすることができる。
【0031】
この型枠40の設置作業にあたって、当該鉄筋用スペーサ10の型枠載置部16は、図1に示すように、これを目印としてその上に型枠40を載置するようにしてもよい。このように、鉄筋用スペーサ10側の型枠載置部16上に型枠40を載置すれば、図1に示すように、当該鉄筋用スペーサ10全体が型枠40によって押さえられることにもまり、当該鉄筋用スペーサ10の地面上に対する固定もなされたことになる。
【0032】
従って、この請求項3に係る鉄筋用スペーサ10は、鉄筋20と型枠40との位置関係を明確にすることができ、型枠40によって押さえることと、その押さえを省略することとの選択が自由に行えて、型枠構築の作業性の簡素化が図れるものとなっているのである。
【0033】
また、上記課題を解決するために、請求項4に係る発明の採った手段は、上記請求項3に記載の鉄筋用スペーサ10について、
「型枠位置決め部14にストッパ17を形成して、このストッパ17に折り曲げた型枠載置部16を係止し得るようにしたこと」
である。
【0034】
この請求項4に係る鉄筋用スペーサ10は、その型枠位置決め部14にストッパ17が形成してあるから、このストッパ17に、図5の(b)または図6に示すように、折り曲げた型枠載置部16の先端を係止させれば、その固定が行えるのである。
【0035】
従って、この請求項4に係る鉄筋用スペーサ10は、上記請求項3のそれと同様な機能を発揮する他、折り曲げた型枠載置部16をストッパ17によって係止させることができるものとなっているのである。
【0036】
さらに、上記課題を解決するために、請求項5に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜4のいずれかに記載の鉄筋用スペーサ10について、
「ヒンジ部15を、基台11と型枠載置部14との間に形成した薄肉部分とすることにより、このヒンジ部15にて型枠載置部14の折り取りを可能にしたこと」
である。
【0037】
この請求項5に係る鉄筋用スペーサ10では、例えば図5の(a)で示すように、ヒンジ部15を基台11と型枠載置部14との間に形成した薄肉部分としたから、型枠載置部16を基台11から簡単に折り取ることができるのである。
【0038】
この型枠載置部16は、当該鉄筋用スペーサ10を図1に示すような状態で使用すると、コンクリート部分30が完成して型枠40を取り外すと、この型枠40に下側にあった型枠載置部16がコンクリート部分30の外側に突出することになる。この型枠載置部16だけがコンクリート部分30の外側に突出していれば、邪魔になるしみっともないから、ヒンジ部15にてこの型枠載置部16を折り取れば、スッキリすることになるのである。
【0039】
従って、この請求項5の鉄筋用スペーサ10は、上記請求項1〜4のいずれかに係るそれと同様な機能を発揮する他、邪魔になるときの型枠載置部16の折り取りが簡単に行えるものとなっているのである。
【発明の効果】
【0040】
以上説明した通り、本発明においては、
「地面上に載置される基台11と、この基台11から立ち上がる支持部12と、この支持部12上に形成されて、鉄筋20を支承する支承面13とを備えた鉄筋用スペーサ10であって、
支持部12の一側面を、型枠40を位置決めするための位置決め部分とするとともに、この位置決め部分を形成した側の基台11の側面に、ヒンジ部15を介して型枠載置部16を形成したこと」
あるいは、
「地面上に載置される基台11と、この基台11から立ち上がる支持部12と、この支持部12上に形成されて、鉄筋20を支承する支承面13とを備えた鉄筋用スペーサ10であって、
支持部12の一側面に型枠位置決め部14を形成するとともに、基台11の、型枠位置決め部14を形成した側の側面に、ヒンジ部15を介して型枠載置部16を形成したこと」
にその構成上の特徴があり、これにより、鉄筋20と型枠40との位置関係を明確にすることができるだけでなく、型枠40によって押さえることと、その押さえを省略することとの選択が自由に行えて、型枠構築の作業性の簡素化を図ることのできる鉄筋用スペーサ10を提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る鉄筋用スペーサ10を使用して支持した鉄筋20と、この鉄筋20の型枠載置部16上に型枠40を載置したときの斜視図である。
【図2】同鉄筋用スペーサ10の拡大斜視図である。
【図3】同鉄筋用スペーサ10を示すもので、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図4】同鉄筋用スペーサ10の(a)左側面図及び(b)右側面図である。
【図5】同鉄筋用スペーサ10を構成している型枠載置部16を示すもので、(a)は通常の展開した状態の部分拡大正面図、(b)は折り畳んだ型枠載置部16の先端をストッパ17に係止させた状態の部分拡大正面図である。
【図6】同鉄筋用スペーサ10を使用して支持した鉄筋20と、この鉄筋20の折り畳んだ型枠載置部16の側方に型枠40を載置したときの斜視図である。
【図7】特許文献1に示されている従来技術を示す部分斜視図である。
【図8】特許文献1に示されている従来技術を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に、上記のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した実施の形態である鉄筋用スペーサ10について説明するが、この実施形態の鉄筋用スペーサ10は、上記各発明の全てを含むものである。
【0043】
この鉄筋用スペーサ10は、例えばポリプロピレンを代表とする合成樹脂を材料として一体成形したものであり、図2に示したように、地面上に載置される基台11と、この基台11から立ち上がる支持部12と、この支持部12上に形成されて、鉄筋20を支承する支承面13とを備えたものである。なお、この鉄筋用スペーサ10は、図4で示した基台11及び型枠載置部16の幅が約50mm、同支持部12の幅が約8mm、同高さが約125mmであり、図3の(a)で示した横幅は約160mm程度の大きさのものである。
【0044】
本実施例における鉄筋用スペーサ10の支持部12は、複数の枠材からなっており、この支持部12の上部には、図2及び図3に示したように、複数の案内部12a〜12cが一体的に形成してある。そして、図3の(a)に示した鉄筋用スペーサ10の、図示右方部分にある支持部12上は、所定幅(本実施形態では、約90mm)の支承面13(これを第1支承面13aという)となっており、案内部12aと案内部12bとの間は約9mm幅で35mm深さの第2支承面13bとなっており、案内部12bと案内部12cとの間は約16mm幅で約40mm深さの第3支承面13cとなっている。これらの第1支承面13a、第2支承面13b、及び第3支承面13cは、後に支承面13として纏めて言うことがある。
【0045】
さて、この鉄筋用スペーサ10を構成している支持部12の、図3に示した右端に位置するものについては、基台11に対して直立するものとしてあり、その外側面には、約70mmの間隔をおいて上下2つの型枠位置決め部14が一体成形してある。勿論、これらの型枠位置決め部14の支持部12からの外方への突出量は同じにしてあって、これらの両型枠位置決め部14に型枠40の内面を当接させたとき、基台11が水平に設置されていれば、当該型枠40は垂直になるようにしてある。
【0046】
この鉄筋用スペーサ10が有している図示下側の型枠位置決め部14の下面には、図3の(a)にも示したように、後述する型枠載置部16の先端が係止できるストッパ17が一体成形してある。このストッパ17には、図5の(b)に示したように、折り曲げた型枠載置部16の先端が係止される。
【0047】
また、本実施形態の鉄筋用スペーサ10を構成している基台11の、図3に示した図示右方には、薄肉によって形成したヒンジ部15を介して型枠載置部16が一体成形してある。つまり、この型枠載置部16は、ヒンジ部15を介して折り曲げが可能であり、さらにヒンジ部15を薄肉にしたことによって、折り取りも可能になっているものである。
【0048】
以上のように構成した鉄筋用スペーサ10は、図1または図6に示したように、ある程度組み込んだ複数の鉄筋20の内の一部を支持するとともに、当該鉄筋用スペーサ10の各型枠位置決め部14に対して型枠40の内面が当接されることになるものであり、これによって、コンクリート部分30を構成するための鉄筋20と、コンクリート部分30の外形を形作るための型枠40との位置関係を規定することになるものである。なお、この鉄筋用スペーサ10は、必要に応じて図1に示した複数の鉄筋20の左方部分をも支持する等、多数のものが使用されることは言うまでもない。
【0049】
また、本実施例に係る鉄筋用スペーサ10は、鉄筋20のための支承面13として、幅や深さが異なる第1支承面13a、第2支承面13b、及び第3支承面13cを備えているのであるから、これらを選択することによって、鉄筋20の太さに合わせることができるだけでなく、鉄筋20の土間からの高さ調整も行うことができるものである。
【符号の説明】
【0050】
10 鉄筋用スペーサ
11 基台
12 支持部
12a・12b・12c 案内部
13 支承面
13a 第1支承面
13b 第2支承面
13c 第3支承面
14 型枠位置決め部
15 ヒンジ部
16 型枠載置部
17 ストッパ
20 鉄筋
30 コンクリート部分
40 型枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面上に載置される基台と、この基台から立ち上がる支持部と、この支持部上に形成されて、鉄筋20を支承する支承面とを備えた鉄筋用スペーサであって、
前記支持部の一側面を、型枠40を位置決めするための位置決め部分とするとともに、この位置決め部分を形成した側の前記基台の側面に、ヒンジ部を介して型枠載置部を形成したことを特徴とする鉄筋用スペーサ。
【請求項2】
前記支持部の前記型枠載置部を形成した側の面一側面にストッパを形成して、このストッパに折り曲げた前記型枠載置部を係止し得るようにしたことを特徴とする請求項1に記載の鉄筋用スペーサ。
【請求項3】
地面上に載置される基台と、この基台から立ち上がる支持部と、この支持部上に形成されて、鉄筋20を支承する支承面とを備えた鉄筋用スペーサであって、
前記支持部の一側面に型枠位置決め部を形成するとともに、前記基台の、前記型枠位置決め部を形成した側の側面に、ヒンジ部を介して型枠載置部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の鉄筋用スペーサ。
【請求項4】
前記型枠位置決め部にストッパを形成して、このストッパに折り曲げた前記型枠載置部を係止し得るようにしたことを特徴とする請求項3に記載の鉄筋用スペーサ。
【請求項5】
前記ヒンジ部を、前記基台と型枠載置部との間に形成した薄肉部分とすることにより、このヒンジ部にて前記型枠載置部の折り取りを可能にしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の鉄筋用スペーサ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate