説明

鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導構造物、及び鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導方法

【課題】 切替時間が迅速な鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導構造物、及び鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導方法を提供する。
【解決手段】 鉄道レールRを支持し鉄道レールRの踏面と同一高さのゴムタイヤ走行面を鉄道レールRの外方となる両側位置に有する基板部材1〜3と、ゴムタイヤ走行面に垂直となる第1誘導内壁面S3、S4を有し鉄道レールRの外方でゴムタイヤ走行面の外方となる両側位置に配置され第1誘導内壁面S3とS4の距離である第1内壁幅員が逆八字状に減少するように設置される第1誘導壁部と、ゴムタイヤ走行面に垂直となる第2誘導内壁面S5、S6を有し、鉄道レールRの外方でゴムタイヤ走行面の外方となる両側位置に配置され、第2誘導内壁面S5とS6の距離である第2内壁幅員が第1内壁幅員の一方の端部の最小値と等しくレール方向に一定となるように設置される第2誘導壁部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道・道路両用車両を道路から鉄道レールへ誘導する鉄道線路誘導構造物及び鉄道線路誘導方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道レールと道路の両方を走行可能な車両については、いくつかの提案がなされている(特許文献1を参照)。
【0003】
しかし、車輪等を道路から鉄道レールの上へ切り替える作業に、複雑な手順を要したり、切替時間が非常に長くかかる、等の問題点があり、実用化の例はほとんどない。
【特許文献1】特開2003−48415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、切替時間が迅速な鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導構造物、及び鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導構造物は、
前輪ゴムタイヤと後輪ゴムタイヤを有し道路上は前記ゴムタイヤで走行し、鉄道レール上では前部レールガイド車輪と後部レールガイド車輪を降下させた後に前記前輪ゴムタイヤを引き上げて前記後輪ゴムタイヤと前部レールガイド車輪と後部レールガイド車輪によって走行する鉄道・道路両用車両を道路から鉄道レールへ誘導する鉄道線路誘導構造物であって、
2本の鉄道レールを支持し、前記鉄道レールの踏面と同一高さのゴムタイヤ走行面を前記2本の鉄道レールの外方となる両側位置に有する基板部材と、
前記ゴムタイヤ走行面に垂直となる第1誘導内壁面を有し、2本の鉄道レールの外方で前記ゴムタイヤ走行面の外方となる両側位置に配置され、前記第1誘導内壁面どうしの距離である第1内壁幅員が逆八字状に減少するように設置される第1誘導壁部と、
前記ゴムタイヤ走行面に垂直となる第2誘導内壁面を有し、2本の鉄道レールの外方で前記ゴムタイヤ走行面の外方となる両側位置に配置され、前記第2誘導内壁面どうしの距離である第2内壁幅員が前記第1内壁幅員の一方の端部の最小値と等しくレール方向に一定となるように設置される第2誘導壁部を備えること
を特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導方法は、
前輪ゴムタイヤと後輪ゴムタイヤを有し道路上は前記ゴムタイヤで走行し、鉄道レール上では前部レールガイド車輪と後部レールガイド車輪を降下させた後に前記前輪ゴムタイヤを引き上げて前記後輪ゴムタイヤと前部レールガイド車輪と後部レールガイド車輪によって走行する鉄道・道路両用車両を道路から鉄道レールへ誘導する鉄道線路誘導方法であって、
2本の鉄道レールを支持し、前記鉄道レールの踏面と同一高さのゴムタイヤ走行面を前記2本の鉄道レールの外方となる両側位置に有する基板部材と、
前記ゴムタイヤ走行面に垂直となる第1誘導内壁面を有し、2本の鉄道レールの外方で前記ゴムタイヤ走行面の外方となる両側位置に配置され、前記第1誘導内壁面どうしの距離である第1内壁幅員が逆八字状に減少するように設置される第1誘導壁部と、
前記ゴムタイヤ走行面に垂直となる第2誘導内壁面を有し、2本の鉄道レールの外方で前記ゴムタイヤ走行面の外方となる両側位置に配置され、前記第2誘導内壁面どうしの距離である第2内壁幅員が前記第1内壁幅員の一方の端部の最小値と等しくレール方向に一定となるように設置される第2誘導壁部を用い、
前記道路上を走行してきた前記鉄道・道路両用車両を前記第1誘導壁部の内部のレール方向へ進入させ、前記前輪ゴムタイヤと前記後輪ゴムタイヤが前記ゴムタイヤ走行面上を走行するようにさせ、
次いで、前記鉄道・道路両用車両の前部から略水平外方の両側へ前部ガイドローラを突出させるとともに前記鉄道・道路両用車両の後部から略水平外方の両側へ後部ガイドローラを突出させて前記第1誘導内壁面に接触させて誘導しつつ前記第1誘導壁部から前記第2誘導壁部の内部のレール方向へ進入させ、前記後輪ゴムタイヤが前記鉄道レールの踏面上を走行するようにさせ、
次いで、前記前部レールガイド車輪と前記後部レールガイド車輪を降下させ前記鉄道レール上に乗せた後に前記前輪ゴムタイヤを前記鉄道レールから引き上げること
を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導構造物、及び鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導方法は、2本の鉄道レールを支持し、鉄道レールの踏面と同一高さのゴムタイヤ走行面を2本の鉄道レールの外方となる両側位置に有する基板部材と、ゴムタイヤ走行面に垂直となる第1誘導内壁面を有し、2本の鉄道レールの外方でゴムタイヤ走行面の外方となる両側位置に配置され、第1誘導内壁面どうしの距離である第1内壁幅員が逆八字状に減少するように設置される第1誘導壁部と、ゴムタイヤ走行面に垂直となる第2誘導内壁面を有し、2本の鉄道レールの外方でゴムタイヤ走行面の外方となる両側位置に配置され、第2誘導内壁面どうしの距離である第2内壁幅員が第1内壁幅員の一方の端部の最小値と等しくレール方向に一定となるように設置される第2誘導壁部を備えるようにした。これにより、道路上を走行してきた鉄道・道路両用車両を第1誘導壁部の内部のレール方向へ進入させ、前輪ゴムタイヤと後輪ゴムタイヤがゴムタイヤ走行面上を走行するようにさせ、次いで、鉄道・道路両用車両の前部から略水平外方の両側へ前部ガイドローラを突出させるとともに鉄道・道路両用車両の後部から略水平外方の両側へ後部ガイドローラを突出させて第1誘導内壁面に接触させて誘導しつつ第1誘導壁部から第2誘導壁部の内部のレール方向へ進入させ、後輪ゴムタイヤが鉄道レールの踏面上を走行するようにさせ、次いで、前部レールガイド車輪と後部レールガイド車輪を降下させ鉄道レール上に乗せた後に前輪ゴムタイヤを鉄道レールから引き上げることができ、道路から鉄道への切替時間が非常に迅速である、という効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に説明する実施例は、2本の鉄道レールを支持し、鉄道レールの踏面と同一高さのゴムタイヤ走行面を2本の鉄道レールの外方となる両側位置に有する基板部材と、ゴムタイヤ走行面に垂直となる第1誘導内壁面を有し、2本の鉄道レールの外方でゴムタイヤ走行面の外方となる両側位置に配置され、第1誘導内壁面どうしの距離である第1内壁幅員が逆八字状に減少するように設置される第1誘導壁部と、ゴムタイヤ走行面に垂直となる第2誘導内壁面を有し、2本の鉄道レールの外方でゴムタイヤ走行面の外方となる両側位置に配置され、第2誘導内壁面どうしの距離である第2内壁幅員が第1内壁幅員の一方の端部の最小値と等しくレール方向に一定となるように設置される第2誘導壁部を備えるようにしたものである。このため、道路上を走行してきた鉄道・道路両用車両を第1誘導壁部の内部のレール方向へ進入させ、前輪ゴムタイヤと後輪ゴムタイヤがゴムタイヤ走行面上を走行するようにさせ、次いで、鉄道・道路両用車両の前部から略水平外方の両側へ前部ガイドローラを突出させるとともに鉄道・道路両用車両の後部から略水平外方の両側へ後部ガイドローラを突出させて第1誘導内壁面に接触させて誘導しつつ第1誘導壁部から第2誘導壁部の内部のレール方向へ進入させ、後輪ゴムタイヤが鉄道レールの踏面上を走行するようにさせ、次いで、次いで、前部レールガイド車輪と後部レールガイド車輪を降下させ鉄道レール上に乗せた後に前輪ゴムタイヤを鉄道レールから引き上げることができ、本発明を実現するための構成として最良の形態である。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、本発明の第1実施例である鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導構造物の全体構成を示す図であり、図1(A)は鉄道線路誘導構造物の平面図を、また図1(B)は鉄道線路誘導構造物の側面図を、それぞれ示している。
【0011】
図1に示すように、この鉄道線路誘導構造物100は、基板部材1と、基板部材2と、複数の基板部材3を有している。これらの基板部材1〜3は、PC鋼棒41によってレール方向に連結されている。また、基板部材1〜3の上には、第1ガイドウェイ部材4、5と、第2ガイドウェイ部材6、7が取付ボルトにより取り付けられている。
【0012】
図2は、本発明の第1実施例である鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導構造物のさらに詳細な構成を示す横断面図であり、図2(A)はA−A断面における鉄道線路誘導構造物の横断面図を、また図2(B)はB−B断面における鉄道線路誘導構造物の横断面図を、それぞれ示している。
【0013】
図2(A)に示すように、A−A断面においては、基板部材2の上に第1ガイドウェイ部材4、5が取付ボルト13により取り付けられている。基板部材2は、鉄筋コンクリート等からなる板状部材である。基板部材2の上面の左右両端部には、高さが中央部よりも低い平面状の段差部21、22が形成されている。段差部21の高さと段差部22の高さは等しい値に設定されている。また、基板部材2の上面の中央部には、高さが段差部21、22よりも高い平面状の凸部23が形成されている。段差部21、22には、取付ボルト13をねじ込み可能なボルト孔が形成されている。また、基板部材2には、レール方向に貫通するPC鋼棒孔28が複数個、形成されており、このPC鋼棒孔28にPC鋼棒41が挿通されて緊張される。
【0014】
第1ガイドウェイ部材4、5は、鋼等からなり、略「L」字状の断面を有する部材である。また、第1ガイドウェイ部材4、5の平面形状は、図1(A)に示すように、湾曲した曲線状となっている。
【0015】
第1ガイドウェイ部材4、5の底部をなす平板部には、ボルト挿通用の孔が形成されている。第1ガイドウェイ部材4、5は、ボルト挿通用の孔が形成されたゴム製の薄板であるゴムパッド11を介して段差部21、22のボルト孔の上方位置に載置され、第1ガイドウェイ部材4、5の底部をなす平板部の上に、ボルト挿通用の孔が形成されたゴム製の薄板である他のゴムパッド12を載置した状態で、取付ボルト13をねじ込むことにより、基板部材2の段差部21、22に取り付けられる。
【0016】
この場合、図2(A)に示すように、第1ガイドウェイ部材5の断面は、基板部材2の中心線に対して第1ガイドウェイ部材4の断面と鏡対称になっている。また、この場合、第1ガイドウェイ部材4、5におけるゴムパッド12の上面の高さは、凸部23の上部の平面S1及びS2の高さと等しくなっている。以下、凸部23の上部の平面S1及びS2と、第1ガイドウェイ部材4、5におけるゴムパッド12の上面を、「ゴムタイヤ走行面」という。
【0017】
また、第1ガイドウェイ部材4、5の壁状部をなす平板部のうち、基板部材2の中央の凸部23の側の平面S3、S4は、図2(A)に示すように、ゴムタイヤ走行面(凸部23の上部の平面S1及びS2と、第1ガイドウェイ部材4、5におけるゴムパッド12の上面)と垂直となっている。以下、平面S3、S4を、「第1誘導内壁面」という。
【0018】
また、第1ガイドウェイ部材4のうち右端P1から点P3までの部分と、第1ガイドウェイ部材5のうち右端P2から点P4までの部分は、第1誘導内壁面S3とS4の距離(以下、「第1内壁幅員」という。)が、徐々に減少するように設定されている。これにより、第1ガイドウェイ部材4、5がなす平面形状は、図1(A)に示すように、逆八字状となっている。第1ガイドウェイ部材4のうち右端P1から点P3までの部分と、第1ガイドウェイ部材5のうち右端P2から点P4までの部分を、以下、「第1誘導壁部」という。
【0019】
なお、基板部材1も、鉄筋コンクリート等からなる板状部材であり、基板部材2と同様の構成を有している。基板部材1が基板部材2と異なる点は、その幅員が基板部材2より大きい点である。基板部材1の部分におけるゴムタイヤ走行面の高さは、基板部材2の部分におけるゴムタイヤ走行面の高さと等しくなっている。また、基板部材1と基板部材2の境界位置における第1内壁幅員は等しくなっており、基板部材1の部分における第1内壁幅員は、基板部材1の右端に向かうにつれて大きくなり、基板部材1の部分における第1ガイドウェイ部材4、5がなす平面形状は、図1(A)に示すように、逆八字状となっている。
【0020】
また、図2(B)に示すように、B−B断面においては、基板部材3の上に第2ガイドウェイ部材6、7が取付ボルト13により取り付けられている。基板部材3は、鉄筋コンクリート等からなる板状部材である。基板部材3の上面の左右両端部には、隣接する凸部33、34よりも高さが低い平面状の段差部31、32が形成されている。段差部31の高さと段差部32の高さは等しい値に設定されている。また、段差部31、32の中央側に隣接する基板部材3の部分には、高さが段差部31、32よりも高く上面が平面となっている凸部33、34が形成されている。また、凸部33、34の中央側に隣接する基板部材3の部分には、高さが段差部31、32よりも低い溝状のレール収容凹部35、36が形成されている。また、基板部材3の上面の中央部には、高さがレール収容凹部35、36よりも高い平面状の中央部37が形成されている。また、段差部31、32には、取付ボルト13をねじ込み可能なボルト孔が形成されている。また、基板部材3には、レール方向に貫通するPC鋼棒孔38が複数個、形成されており、このPC鋼棒孔38にPC鋼棒41が挿通されて緊張される。
【0021】
第2ガイドウェイ部材6、7は、鋼等からなり、略「L」字状の断面を有する部材である。また、第2ガイドウェイ部材6、7の平面形状は、図1(A)に示すように、レール方向に延びる直線状となっている。
【0022】
第2ガイドウェイ部材6、7の底部をなす平板部には、ボルト挿通用の孔が形成されている。第2ガイドウェイ部材6、7は、ボルト挿通用の孔が形成されたゴム製の薄板であるゴムパッド11を介して段差部31、32のボルト孔の上方位置に載置され、第2ガイドウェイ部材6、7の底部をなす平板部の上に、ボルト挿通用の孔が形成されたゴム製の薄板である他のゴムパッド12を載置した状態で、取付ボルト13をねじ込むことにより、基板部材3の段差部31、32に取り付けられる。
【0023】
この場合、図2(B)に示すように、第2ガイドウェイ部材7の断面は、基板部材3の中心線に対して第2ガイドウェイ部材6の断面と鏡対称になっている。また、この場合、第2ガイドウェイ部材6、7におけるゴムパッド12の上面の高さは、凸部33、34の上部の平面S8及びS9の高さと等しく、かつ、鉄道レールRの上部の鉄道車輪が走行時に乗る面(以下、「踏面」という。)S7の高さと等しくなっている。以下、凸部33、34の上部の平面S8及びS9と、第2ガイドウェイ部材6、7におけるゴムパッド12の上面を、「ゴムタイヤ走行面」という。図2(B)におけるゴムタイヤ走行面の高さ(基板部材1、2上のゴムタイヤ走行面の高さ)は、図2(A)におけるゴムタイヤ走行面の高さ(基板部材3上のゴムタイヤ走行面の高さ)と等しくなっている。
【0024】
また、第2ガイドウェイ部材6、7の壁状部をなす平板部のうち、基板部材3の中央の側の平面S5、S6は、図2(B)に示すように、ゴムタイヤ走行面(凸部33、34の上部の平面S8及びS9と、第2ガイドウェイ部材6、7におけるゴムパッド12の上面)と垂直となっている。以下、平面S5、S6を、「第2誘導内壁面」という。
【0025】
また、第2ガイドウェイ部材6のうち右端P5から左端P7までの部分と、第2ガイドウェイ部材7のうち右端P6から左端P8までの部分は、第2誘導内壁面S5とS6の距離(以下、「第2内壁幅員」という。)が、一定値となるように設定されている。これにより、第2ガイドウェイ部材6、7がなす平面形状は、図1(A)に示すように、平行な2直線の状態となっている。
【0026】
また、図1(A)に示すように、点P3と点P5の間の区間では、第1ガイドウェイ部材4の左端付近は、基板部材3の上に取り付けられる。点P3と点P5の間の区間では、第1ガイドウェイ部材4は、レール方向に延びる直線状となっている。同様に、点P4と点P6の間の区間では、第1ガイドウェイ部材5の左端付近は、基板部材3の上に取り付けられる。点P4と点P6の間の区間では、第1ガイドウェイ部材5は、レール方向に延びる直線状となっている。そして、第1ガイドウェイ部材4のうち点P3から点P5までの部分と、第1ガイドウェイ部材5のうち点P4から点P6までの部分は、第1誘導内壁面S3とS4の距離である第1内壁幅員が、一定値となるように設定されている。これにより、点P3と点P5の間の区間(点P4と点P6の間の区間)では、第1ガイドウェイ部材4、5がなす平面形状は、図1(A)に示すように、平行な2直線の状態となっている。
【0027】
また、点P3及び点P4の位置においては、第1誘導内壁面S3とS4の距離である第1内壁幅員の値は連続している。また、点P5及び点P6の位置においては、第1内壁幅員と第2内壁幅員の値は等しくなっており、第1ガイドウェイ部材4と第2ガイドウェイ部材6、第1ガイドウェイ部材5と第2ガイドウェイ部材7は、連続している。
【0028】
以下、第1ガイドウェイ部材4のうち点P3から左端P5までの部分と、第1ガイドウェイ部材5のうち点P4から左端P6までの部分と、第2ガイドウェイ部材6の右端P5から左端P7までの部分と、第2ガイドウェイ部材7の右端P6から左端P8までの部分を、「第2誘導壁部」という。
【0029】
次に、第1実施例の鉄道線路誘導構造物100に対応する鉄道・道路両用車両について説明する。
【0030】
図4は、本発明の第1実施例に用いる鉄道・道路両用車両が道路上を走行する場合の全体構成を示す側面図である。また、図5は、本発明の第1実施例に用いる鉄道・道路両用車両が道路上を走行する場合の車輪部分の構成を示す平面図である。また、図6は、本発明の第1実施例に用いる鉄道・道路両用車両が道路上を走行する場合の全体構成を示す正面図である。
【0031】
図4〜9に示すように、この鉄道・道路両用車両50は、前輪ゴムタイヤ51と、後輪ゴムタイヤ52を有している。後輪ゴムタイヤ52は、二重のタイヤとなっている。また、ディーゼルエンジン等の駆動源からの駆動力は、後輪ゴムタイヤ52の車軸を駆動するように構成されている。この鉄道・道路両用車両50は、道路90の上を走行する場合には、前輪ゴムタイヤ51と後輪ゴムタイヤ52及び53を使用する。また、前輪ゴムタイヤ51の車軸には、油圧昇降機構が取り付けられている。このため、この油圧昇降機構を操作することにより、前輪ゴムタイヤ51を降下させて道路90の上に乗せ、あるいは道路90上の前輪ゴムタイヤ51を上昇させて道路90から引き上げることができるようになっている。
【0032】
また、図4〜9に示すように、この鉄道・道路両用車両50は、前部レールガイド車輪55と、後部レールガイド車輪56を有している。前部レールガイド車輪55の車軸には、油圧昇降機構が取り付けられている。このため、この油圧昇降機構を操作することにより、前部レールガイド車輪55を降下させて鉄道レールRの上に乗せ、あるいは鉄道レールR上の前部レールガイド車輪55を上昇させて鉄道レールRから引き上げることができるようになっている。また、後部レールガイド車輪56の車軸には、油圧昇降機構が取り付けられている。このため、この油圧昇降機構を操作することにより、後部レールガイド車輪56を降下させて鉄道レールRの上に乗せ、あるいは鉄道レールR上の後部レールガイド車輪56を上昇させて鉄道レールRから引き上げることができるようになっている。
【0033】
また、図4〜9に示すように、この鉄道・道路両用車両50は、前部ガイドローラ57と、後部ガイドローラ58を有している。前部ガイドローラ57には、油圧昇降機構が取り付けられている。このため、この油圧昇降機構を操作することにより、前部ガイドローラ57を略水平外方の両側へ突出させて第1ガイドウェイ部材4、5等へ接触させ、あるいは突出した前部ガイドローラ57を略水平内方へ引き込ませて第1ガイドウェイ部材4、5等から離すことができるようになっている。また、後部ガイドローラ58には、油圧昇降機構が取り付けられている。このため、この油圧昇降機構を操作することにより、後部ガイドローラ58を略水平外方の両側へ突出させて第1ガイドウェイ部材4、5等へ接触させ、あるいは突出した後部ガイドローラ58を略水平内方へ引き込ませて第1ガイドウェイ部材4、5等から離すことができるようになっている。前部ガイドローラ57と後部ガイドローラ58は、略水平外方の両側へ突出した状態では、各ローラの回転中心線は、ほぼ鉛直方向の直線となる。
【0034】
このような構成により、この鉄道・道路両用車両50は、鉄道レールRの上を走行する場合には、前部レールガイド車輪55と後部レールガイド車輪56を油圧昇降機構により降下させて鉄道レールR上に乗せた後に、前輪ゴムタイヤを油圧昇降機構により引き上げ、後輪ゴムタイヤ52及び53を駆動する。
【0035】
次に、第1実施例の鉄道線路誘導構造物100を用いて鉄道・道路両用車両50を道路から鉄道レールへ誘導する方法について、図1〜図9を参照しつつ詳細に説明する。
【0036】
図1において、鉄道線路誘導構造物100の左端から左方へ向かう鉄道レールRは、例えば、鉄道の側線などに連絡しているものとする。また、鉄道線路誘導構造物100の右端から右方は、道路に連絡しているものとする。
【0037】
まず、鉄道・道路両用車両50は、図1の右端よりも右側で走行する場合には、図4〜6の状態で走行する。次に、鉄道・道路両用車両50は、図1の右端から図の左方へ向かって進入し、鉄道線路誘導構造物100の第1ガイドウェイ部材4、5の逆八字状の部分によって構成される第1誘導壁部の内部へ入る。この場合には、鉄道・道路両用車両50は、前輪ゴムタイヤ51と後輪ゴムタイヤ52及び53が、基板部材1の右端付近のゴムタイヤ走行面の上を走行する。
【0038】
次に、鉄道・道路両用車両50が鉄道線路誘導構造物100の第1ガイドウェイ部材4、5の第1誘導壁部の内部(レール方向の左方)へ入った後には、各ガイドローラの油圧昇降機構を操作して鉄道・道路両用車両50の前部から略水平外方の両側へ前部ガイドローラ57を突出させ、同時に鉄道・道路両用車両50の後部から略水平外方の両側へ後部ガイドローラ58を突出させる。
【0039】
これにより、鉄道・道路両用車両50が鉄道線路誘導構造物100の第1ガイドウェイ部材4、5の第1誘導壁部の内部(レール方向の左方)へある程度進入すると、前部ガイドローラ57と後部ガイドローラ58は、第1誘導内壁面S3、S4に接触する。これにより、鉄道・道路両用車両50は、左右の横方向にぶれないように誘導され、鉄道・道路両用車両50の中心線が鉄道線路誘導構造物100の中心線と一致するようになる。また、この状態では、前輪ゴムタイヤ51と後輪ゴムタイヤ52及び53が、基板部材2のゴムタイヤ走行面(凸部23の上部の平面S1及びS2と、第1ガイドウェイ部材4、5におけるゴムパッド12の上面)の上を走行する。この状態を示した図が図3(A)である。図3(A)では、後輪ゴムタイヤ52、53の部分の横断面を図示している。
【0040】
次に、鉄道・道路両用車両50が鉄道線路誘導構造物100の第1ガイドウェイ部材4、5の点P3及び点P4の位置から第2誘導壁部の内部(レール方向の左方)へ進入すると、後輪ゴムタイヤ53が鉄道レールRの踏面S7の上を走行するようになる。この状態を示した図が図3(B)である。図3(B)では、後輪ゴムタイヤ52、53の部分の横断面を図示している。
【0041】
次に、鉄道・道路両用車両50が鉄道線路誘導構造物100の第2ガイドウェイ部材6、7の第2誘導壁部の内部(レール方向の左方)へ十分進入した場合には、その位置でいったん停止し、油圧昇降機構の操作により、前部レールガイド車輪55と後部レールガイド車輪56を降下させ鉄道レールR上に乗せた後に、前輪ゴムタイヤ51の油圧昇降機構を操作し、前輪ゴムタイヤ51を鉄道レールRから引き上げる。その後、後輪ゴムタイヤ52及び53を駆動することにより、鉄道・道路両用車両50は、鉄道レールR上を走行する。
【0042】
最後に、鉄道・道路両用車両50が鉄道線路誘導構造物100の第2ガイドウェイ部材6、7の左端(点P7、点P8)から外方(レール方向の左方)へ進行した場合には、油圧昇降機構を操作することにより、前部ガイドローラ57及び後部ガイドローラ58を略水平内方へ引き込ませる。以後は、図7〜9に示す状態で鉄道レールR上を走行する。
【0043】
上記したように、本発明の第1実施例の鉄道線路誘導構造物100によれば、鉄道・道路両用車両50を迅速に道路から鉄道レールへ誘導することができる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではない。上記実施例は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0045】
例えば、上記した第1実施例の鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導構造物においては、鉄道線路誘導構造物が設置される箇所として側線を例に挙げたが、本発明はこの例には限定されず、他の箇所、例えば、踏切に設けてもよい。この場合は、には、図1(A)において、鉄道レールRは点P3、P4よりも右側の基板部材1、2の上にも設置され、基板部材1の右端より右側は踏切となる。踏切箇所では、基板部材1、2は、鉄道レールの踏面と同一高さのゴムタイヤ走行面を2本の鉄道レールR、Rの外方となる両側位置に有することになる。また、踏切の場合には、第1誘導壁部は、2本の鉄道レールR、Rの外方でゴムタイヤ走行面S1、S2の外方となる両側位置に配置されることになる。
【0046】
また、上記した第1実施例とは異なり、第1誘導壁部と第2誘導壁部は、必ずしも略「L」字状断面の鋼材で構成しなくてもよく、他の断面形状の鋼材で構成してもよい。また、第1誘導壁部と第2誘導壁部は鋼材で構成しなくてもよい。基板部材の端部を側壁状に突出させ、その内壁面を第1誘導内壁面、第2誘導内壁面として利用するようにしてもよい。
【0047】
また、上記した第1実施例とは異なり、後輪ゴムタイヤは、二重のタイヤではなく、1つのタイヤであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導構造物、又は鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導方法は、鉄道を運営する鉄道事業で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1実施例である鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導構造物の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施例である鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導構造物のさらに詳細な構成を示す横断面図である。
【図3】本発明の第1実施例である鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導構造物の作用を説明する図である。
【図4】本発明の第1実施例に用いる鉄道・道路両用車両が道路上を走行する場合の全体構成を示す側面図である。
【図5】本発明の第1実施例に用いる鉄道・道路両用車両が道路上を走行する場合の車輪部分の構成を示す平面図である。
【図6】本発明の第1実施例に用いる鉄道・道路両用車両が道路上を走行する場合の全体構成を示す正面図である。
【図7】本発明の第1実施例に用いる鉄道・道路両用車両が鉄道レール上を走行する場合の全体構成を示す側面図である。
【図8】本発明の第1実施例に用いる鉄道・道路両用車両が鉄道レール上を走行する場合の車輪部分の構成を示す平面図である。
【図9】本発明の第1実施例に用いる鉄道・道路両用車両が鉄道レール上を走行する場合の全体構成を示す正面図である。
【符号の説明】
【0050】
1〜3 基板部材
4、5 第1ガイドウェイ部材
6、7 第2ガイドウェイ部材
11、12 ゴムパッド
13 取付ボルト
21、22 段差部
23 凸部
28 PC鋼棒孔
31、32 段差部
33、34 凸部
35、36 レール収容凹部
37 中央部
38 PC鋼棒孔
41 PC鋼棒
50 鉄道・道路両用車両
51 前輪ゴムタイヤ
52、53 後輪ゴムタイヤ
55 前部レールガイド車輪
56 後部レールガイド車輪
57 前部ガイドローラ
58 後部ガイドローラ
90 道路
100 鉄道線路誘導構造物
R レール
S1、S2 ゴムタイヤ走行面
S3、S4 第1誘導内壁面
S5、S6 第2誘導内壁面
S7 踏面
S8、S9 ゴムタイヤ走行面
T まくらぎ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪ゴムタイヤと後輪ゴムタイヤを有し道路上は前記ゴムタイヤで走行し、鉄道レール上では前部レールガイド車輪と後部レールガイド車輪を降下させた後に前記前輪ゴムタイヤを引き上げて前記後輪ゴムタイヤと前部レールガイド車輪と後部レールガイド車輪によって走行する鉄道・道路両用車両を道路から鉄道レールへ誘導する鉄道線路誘導構造物であって、
2本の鉄道レールを支持し、前記鉄道レールの踏面と同一高さのゴムタイヤ走行面を前記2本の鉄道レールの外方となる両側位置に有する基板部材と、
前記ゴムタイヤ走行面に垂直となる第1誘導内壁面を有し、2本の鉄道レールの外方で前記ゴムタイヤ走行面の外方となる両側位置に配置され、前記第1誘導内壁面どうしの距離である第1内壁幅員が逆八字状に減少するように設置される第1誘導壁部と、
前記ゴムタイヤ走行面に垂直となる第2誘導内壁面を有し、2本の鉄道レールの外方で前記ゴムタイヤ走行面の外方となる両側位置に配置され、前記第2誘導内壁面どうしの距離である第2内壁幅員が前記第1内壁幅員の一方の端部の最小値と等しくレール方向に一定となるように設置される第2誘導壁部を備えること
を特徴とする鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導構造物。
【請求項2】
前輪ゴムタイヤと後輪ゴムタイヤを有し道路上は前記ゴムタイヤで走行し、鉄道レール上では前部レールガイド車輪と後部レールガイド車輪を降下させた後に前記前輪ゴムタイヤを引き上げて前記後輪ゴムタイヤと前部レールガイド車輪と後部レールガイド車輪によって走行する鉄道・道路両用車両を道路から鉄道レールへ誘導する鉄道線路誘導方法であって、
2本の鉄道レールを支持し、前記鉄道レールの踏面と同一高さのゴムタイヤ走行面を前記2本の鉄道レールの外方となる両側位置に有する基板部材と、
前記ゴムタイヤ走行面に垂直となる第1誘導内壁面を有し、2本の鉄道レールの外方で前記ゴムタイヤ走行面の外方となる両側位置に配置され、前記第1誘導内壁面どうしの距離である第1内壁幅員が逆八字状に減少するように設置される第1誘導壁部と、
前記ゴムタイヤ走行面に垂直となる第2誘導内壁面を有し、2本の鉄道レールの外方で前記ゴムタイヤ走行面の外方となる両側位置に配置され、前記第2誘導内壁面どうしの距離である第2内壁幅員が前記第1内壁幅員の一方の端部の最小値と等しくレール方向に一定となるように設置される第2誘導壁部を用い、
前記道路上を走行してきた前記鉄道・道路両用車両を前記第1誘導壁部の内部のレール方向へ進入させ、前記前輪ゴムタイヤと前記後輪ゴムタイヤが前記ゴムタイヤ走行面上を走行するようにさせ、
次いで、前記鉄道・道路両用車両の前部から略水平外方の両側へ前部ガイドローラを突出させるとともに前記鉄道・道路両用車両の後部から略水平外方の両側へ後部ガイドローラを突出させて前記第1誘導内壁面に接触させて誘導しつつ前記第1誘導壁部から前記第2誘導壁部の内部のレール方向へ進入させ、前記後輪ゴムタイヤが前記鉄道レールの踏面上を走行するようにさせ、
次いで、前記前部レールガイド車輪と前記後部レールガイド車輪を降下させ前記鉄道レール上に乗せた後に前記前輪ゴムタイヤを前記鉄道レールから引き上げること
を特徴とする鉄道・道路両用車両の鉄道線路誘導方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−138107(P2006−138107A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328367(P2004−328367)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(590003825)北海道旅客鉄道株式会社 (94)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(000230825)日本軌道工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】