説明

鉄道車両軸受用グリースおよび鉄道車両用軸受

【課題】安価でかつ電食による損傷を効果的に抑制できる鉄道車両軸受用グリースおよび鉄道車両用軸受を提供する。
【解決手段】鉄道車両用軸受は、内輪2と、外輪3と、内外輪間に介在する複数の転動体4とを備え、転動体4の周囲に鉄道車両軸受用グリース7を封止するためのシール部材6を内外輪の軸方向両端開口部8a、8bに設けてなり、上記グリース7は、基油と増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、上記添加剤は少なくともエポキシ化合物を含有し、該エポキシ化合物の配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道車両軸受用グリースおよび該グリースを封入した鉄道車両用軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両に用いられる転がり軸受は、主電動機の電流を車輪からレールへ接地する接地用集電装置が不完全な場合に、主電動機の電流が転がり軸受の内外輪および転動体を通って、車軸軸受、車輪とレール間に流れる。このため、主電動機軸受、車軸軸受において、転動体と外輪の転走面の間、または転動体と内輪の転走面の間でスパークし、いわゆる電食を生じて軸受寿命を縮めることがある。そのため、外輪のハウジングへの取付面に樹脂製の絶縁層を被覆したものが提案されている。しかし、樹脂層は、線膨張係数が大きく、軸受の運転に伴う発熱で、外輪とハウジングとの嵌め合いに誤差が生じる。絶縁層としては、線膨張係数が低く、高い電気絶縁性が得られることで、セラミックスが好ましく、絶縁層としてセラミックス層を溶射したもの(特許文献3および特許文献4参照)が知られている。しかし、セラミックスは軸受軌道輪の材料に馴染み難く、容易に溶射されなくて、外輪との密着性に問題がある。また、外輪をハウジングに圧入するときに、剥離が生じる恐れがある。
【0003】
このような課題を解消するものとして、金属層、セラミックスの絶縁層、金属層からなる3層構造の被覆層を、外輪のハウジングへの取付面に施したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。各層は溶射により設けられる。上記3層のうち、内層側の金属層は、絶縁層のセラミックスが、軸受軌道輪の材料に馴染み難く、容易に溶射されないため、絶縁層の密着性を改善するために設けられる。外層側の金属層は、外輪をハウジングに締まり嵌めする場合に、圧入時に絶縁層が剥離し難いように設けられる。しかしながら、このような軸受は高価となり、安価な対策が望まれている。
【0004】
また、特許文献1の3層構造の被覆層の代わりに、軸受軌道輪の内層側に硬質な絶縁膜を被覆し、この絶縁膜上に金属膜を被覆した2層構造の被覆層としたもの(特許文献2参照)が知られているが、やはりこのような軸受は2層構造にするためのコストがかかるという問題がある。
【特許文献1】実開平02−46119号公報
【特許文献2】実開平02−80221号公報
【特許文献3】特開平01−182621号公報
【特許文献4】実開平61−2454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、安価でかつ電食による損傷を効果的に抑制できる鉄道車両軸受用グリースおよび鉄道車両用軸受の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鉄道車両軸受用グリースは、鉄道車両の回転機器を支持する軸受に用いられる鉄道車両軸受用グリースであって、該グリースは、基油と増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、該添加剤は少なくともエポキシ化合物を含有し、該エポキシ化合物の配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部であることを特徴とする。
また、上記エポキシ化合物は、分子内に複数のエポキシ基を有し、特にビスフェノールAタイプおよびビスフェノールFタイプから選ばれた少なくとも1つのエポキシ化合物であることを特徴とする。
上記増ちょう剤は、ウレア系またはリチウム石けん系増ちょう剤であることを特徴とする。
上記基油は、エステル油およびポリ-α-オレフィン油から選ばれた少なくとも1つの油であることを特徴とする。
【0007】
本発明の鉄道車両用軸受は、鉄道車両の回転機器を支持する鉄道車両用軸受であって、内輪と、外輪と、この内外輪間に介在する複数の転動体とを備え、この転動体の周囲にグリースを封止するためのシール部材を上記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けてなり、上記グリースは上記鉄道車両軸受用グリースであることを特徴とする。
また、上記内輪、外輪および転動体が鉄系合金からなっていることを特徴とする。
また、上記鉄道車両用軸受が車軸用軸受または主電動機用軸受であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の鉄道車両軸受用グリースは、基油と増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、該添加剤は少なくともエポキシ化合物を含有し、該エポキシ化合物の配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部であるので、封入された軸受の転走面にエポキシ化合物被膜を形成することができる。このため主電動機等から電流が流れ込むことにより起こる軸受の損傷(電食)を効果的かつ安価に抑制できる。
【0009】
本発明の鉄道車両用軸受は、上記グリースを封入するので、電食による損傷を抑制でき、長時間の使用が可能となる。また、軸受の内輪、外輪、転動体は鉄系合金を使用することができ、セラミックス等を使用する必要がないため安価に得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
鉄道車両の回転機器を支持する軸受に用いられる鉄道車両軸受用グリースについて鋭意検討の結果、基油と増ちょう剤とからなるベースグリースに少なくともエポキシ化合物を、ベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部添加したグリースは、主電動機等から電流が流れ込むことにより起こる軸受の損傷(電食)を効果的かつ安価に抑制できることがわかった。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0011】
本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は鉄道車両用軸受の一例として深溝玉軸受を示す断面図である。図1に示すように深溝玉軸受1は、外周面に内輪転走面2aを有する内輪2と内周面に外輪転走面3aを有する外輪3とが同心に配置され、内輪転走面2aと外輪転走面3aとの間に複数個の転動体4が配置される。この複数個の転動体4を保持する保持器5および外輪3等に固定されるシール部材6が内輪2および外輪3の軸方向両端開口部8a、8bにそれぞれ設けられている。少なくとも転動体4の周囲に後述するエポキシ系添加剤を配合した鉄道車両軸受用グリース7が封入される。該グリースに、エポキシ化合物が配合されており、エポキシ化合物被膜が軸受転走面2a、3aに生成される。軸受転走面2a、3aに生成したエポキシ化合物被膜は、通電時に絶縁層となり、軸受転走面2a、3aの摩耗を低減させる効果があると考えられるため、電食を防止できる。
【0012】
図2は本発明の鉄道車両用軸受の他の例として車軸用軸受を示す断面図である。車軸18の両端部は車両台枠(図示せず)に取り付けられた円すいころ軸受11により支持され、この円すいころ軸受11は、内輪12と、外輪13と、この内輪12および外輪13間に介在し回転自在に転動する複数の円すいころ14と、この円すいころ14を保持する保持器15と、隣り合う内輪12の間に介在する内輪間座16と、この円すいころ14に本発明の鉄道車両軸受用グリースを供給する注入孔17とが配置されている。
また、主電動機用軸受に関しては、円筒ころ軸受または玉軸受が用いられ、円筒ころまたは玉に鉄道車両軸受用グリースが供給される。該グリースに配合されているエポキシ化合物による電食防止効果は上述のとおりである。主電動機の回転出力は、主電動機の出力回転軸から、主電動機の出力回転軸に嵌合された歯車に伝達される。この歯車の回転は、車軸に嵌合された歯車に噛合伝達され、車軸の回転として伝達される。
【0013】
図3は本発明の鉄道車両用軸受の他の例としてころ軸受を示す一部切り欠き斜視図である。ころ軸受21は内輪22と外輪23との間にころ24が保持器25を介して配置されている。ころ24は内輪22の転走面22aと外輪23の転走面23aとの間でころがり摩擦を受け、内輪22のつば部22bとの間ですべり摩擦を受ける。これらの摩擦を低減するため、エポキシ系添加剤を配合した鉄道車両軸受用グリースが封入されている。このグリースからエポキシ化合物被膜が軸受転走面22a、23aに生成される。該エポキシ化合物被膜による電食防止効果は上述のとおりである。
【0014】
本発明のグリースに添加するエポキシ系添加剤は、分子内に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物としては、液状封止用エポキシ樹脂組成物として一般に使用されているエポキシ樹脂成分として知られているエポキシ化合物を用いることができる。このエポキシ化合物は、固形、液状のどちらか一方を用いても両者を併用してもよい。たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂をはじめとするフェノール類とアルデヒド類とを縮合または共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したノボラック型エポキシ樹脂、フタル酸、ダイマー酸等の多塩基酸とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等のポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で好ましくは下記式のものが挙げられる。
本発明においては、グリースへの溶解性が良いことより、下記の化1で表されるビスフェノールAタイプまたは化2で表されるビスフェノールFタイプのエポキシ化合物が好ましく、より好ましくはビスフェノールAとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂である。
【0015】
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

式中、Rは水素原子またはメチル基等のアルキル基を示す。nは 1 以上の整数であり、好ましくは 1〜10、より好ましくは 1〜5 である。
【0016】
本発明に用いるグリースにおいて、添加剤として以上のようなエポキシ系添加剤を配合することにより、エポキシ化合物被膜が軸受転走面に生成される。軸受転走面に生成したエポキシ化合物被膜は、通電時の摩耗を低減させる効果があり、電食を防止できる。
【0017】
本発明のグリースに使用できるエポキシ系添加剤において、エポキシ化合物の配合割合は、後述するベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部である。好ましくは 0.1〜5 重量部である。エポキシ化合物の配合割合が、0.05 重量部未満であると転走面等での電食による摩耗を十分に低減できない。また、10 重量部をこえると異常摩耗を生じる。
【0018】
本発明に使用できる基油としては、スピンドル油、冷凍機油、タービン油、マシン油、ダイナモ油等の鉱油、高度精製鉱油、流動パラフィン油、ポリブテン油、フィッシャー・トロプシュ法により合成されたGTL油、ポリ-α-オレフィン油、アルキルナフタレン油、脂環式化合物等の炭化水素系合成油、または、天然油脂、ポリオールエステル油、リン酸エステル油、ポリマーエステル油、芳香族エステル油、炭酸エステル油、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、アルキルベンゼン油、フッ素化油等の非炭化水素系合成油等が挙げられる。これらの基油は単独で、または 2 種類以上組み合せて用いることができる。
これらの中で、耐熱性、潤滑性および低騒音性に優れたエステル油またはポリ-α-オレフィン油を用いることが好ましい。
【0019】
本発明に使用できる増ちょう剤としては、ベントン、シリカゲル、フッ素化合物、リチウム石けん、リチウムコンプレックス石けん、力ルシウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウム石けん、アルミニウムコンプレックス石けん等の石けん類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられる。
これらの中で、低騒音性、耐熱性、コスト等を考慮するとウレア系またはリチウム石けん化合物が望ましく、より望ましくはウレア系化合物である。
【0020】
ウレア系化合物は、イソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させることにより得られる。反応性のある遊離基を残さないため、イソシアネート化合物のイソシアネート基とアミン化合物のアミノ基とは略当量となるように配合することが好ましい。
【0021】
ジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミンとの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネー卜等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アニリン、p-トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。ポリウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミン、ジアミンとの反応で得られる。ジイソシアネート、モノアミンとしては、ジウレア化合物の生成に用いられるものと同様のものが挙げられ、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
【0022】
基油にウレア系化合物等の増ちょう剤を配合して、上記エポキシ系添加剤等を配合するためのベースグリースが得られる。ウレア系化合物を増ちょう剤とするベースグリースは、基油中でイソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させて作製する。
ベースグリース 100 重量部中に占める増ちょう剤の配合割合は、1 重量部〜40 重量部、好ましくは 3 重量部〜25 重量部配合される。増ちょう剤の含有量が 1 重量部未満では、増ちょう効果が少なくなり、グリース化が困難となり、40 重量部をこえると得られたベースグリースが硬くなりすぎ、所期の効果が得られ難くなる。
【0023】
また、本発明においてエポキシ系添加剤とともに、必要に応じて公知のグリース用添加剤を含有させることができる。
グリース用添加剤としては、アミン系酸化防止剤を配合することが好ましい。アミン系酸化防止剤の中でも芳香族アミン化合物が好ましい。
他の添加剤として、例えば、有機亜鉛化合物、フェノール系化合物の酸化防止剤、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレン等の粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、金属スルホネート、多価アルコールエステルなどの防錆剤、有機モリブデンなどの摩擦低減剤、エステル、アルコールなどの油性剤、リン系化合物などの摩耗防止剤等が挙げられる。これらを単独で、または 2 種類以上組み合せて添加できる。
【0024】
本発明の鉄道車両軸受用グリースは、電食による摩耗を抑制できるので、このグリースを封入した軸受の寿命を向上させることができる。このため、玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト円すいころ軸受、スラスト針状ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受等の封入グリースとして使用できる。
【実施例】
【0025】
実施例1〜実施例5および比較例1〜比較例3
表1に示した基油の半量に、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT、以下、MDIと記す)を表1に示す割合で溶解し、残りの半量の基油にMDIの2倍当量となるモノアミンを溶解した。それぞれの配合割合および種類は表1のとおりである。
MDIを溶解した溶液を撹拌しながらモノアミンを溶解した溶液を加えた後、100℃〜120℃で 30 分間撹拌を続けて反応させて、ジウレア化合物を基油中に生成させた。
これにエポキシ化合物および酸化防止剤を表1に示す配合割合で加えてさらに 100℃〜120℃で 10 分間撹拌した。その後冷却し、三本ロールで均質化し、供試グリースを得た。
得られた供試グリースについて以下に示す音響測定および通電摩耗試験を行なった。結果を表1に併記する。
【0026】
<音響測定>
表1に示すグリースを 0.1 g 封入した深溝玉軸受(軸受寸法:φ8×φ22×7(mm))を用意し、この軸受に 7.8 N のアキシアル荷重をかけ、1800 rpm で 30 秒運転し、振動値G(RMS値)を測定した。得られた測定値を下記のように3段階評価した。
◎:振動値が 25 mG 未満
○:振動値が 25 mG 以上、 50 mG 未満
×:振動値が 50 mG 以上
【0027】
<通電摩耗試験>
転がり軸受(51106)に各実施例で得られたグリースをそれぞれ 0.5 g 封入し、室温、アキシアル荷重 1450 N 下で 2 A の電流を外輪、内輪間に負荷した状態で 2600 rpm の回転数で回転させ、24 時間後に、電食による内、外輪の摩耗量を重量減少量にて測定した。得られた測定値を下記のように3段階評価した。
◎:摩耗量が 1 mg 未満
○:摩耗量が 1 mg 以上、 2 mg 未満
×:摩耗量が 2 mg 以上
【0028】
【表1】

【0029】
表1に示すように、各実施例は転がり軸受の転走面で生じる電食を効果的に防止できた。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の鉄道車両軸受用グリースは、少なくとも所定のエポキシ化合物を含有するので、封入された軸受の転走面にエポキシ化合物被膜を形成し、主電動機等の電流が流れ込むことにより起こる軸受の損傷(電食)を抑制できる。このため、このグリースを封入した軸受は車両用軸受や主電動機用軸受等の鉄道車両用軸受として好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の鉄道車両用軸受の一例として深溝玉軸受を示す断面図である。
【図2】本発明の鉄道車両用軸受の他の例として車軸用軸受を示す断面図である。
【図3】本発明の鉄道車両用軸受の他の例としてころ軸受を示す一部切欠き斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 深溝玉軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 鉄道車両軸受用グリース
8a 開口部
8b 開口部
11 円すいころ軸受
12 内輪
13 外輪
14 円すいころ
15 保持器
16 内輪間座
17 注入孔
18 車軸
21 ころ軸受
22 内輪
23 外輪
24 ころ
25 保持器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の回転機器を支持する軸受に用いられる鉄道車両軸受用グリースであって、該グリースは、基油と増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、該添加剤は少なくともエポキシ化合物を含有し、該エポキシ化合物の配合割合はベースグリース 100 重量部に対して 0.05〜10 重量部であることを特徴とする鉄道車両軸受用グリース。
【請求項2】
前記エポキシ化合物は、分子内に複数のエポキシ基を有することを特徴とする請求項1記載の鉄道車両軸受用グリース。
【請求項3】
前記エポキシ化合物は、ビスフェノールAタイプおよびビスフェノールFタイプから選ばれた少なくとも1つのエポキシ化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の鉄道車両軸受用グリース。
【請求項4】
前記ビスフェノールAタイプのエポキシ化合物は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項3記載の鉄道車両軸受用グリース。
【請求項5】
前記ビスフェノールFタイプのエポキシ化合物は、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項3記載の鉄道車両軸受用グリース。
【請求項6】
前記増ちょう剤は、ウレア系またはリチウム石けん系増ちょう剤であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の鉄道車両軸受用グリース。
【請求項7】
前記基油は、エステル油およびポリ-α-オレフィン油から選ばれた少なくとも1つの油であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の鉄道車両軸受用グリース。
【請求項8】
前記ベースグリースにアミン系酸化防止剤が配合されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載の鉄道車両軸受用グリース。
【請求項9】
鉄道車両の回転機器を支持する鉄道車両用軸受であって、
該軸受は内輪と、外輪と、この内外輪間に介在する複数の転動体とを備え、この転動体の周囲にグリースを封止するためのシール部材を前記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けてなり、
前記グリースは請求項1ないし請求項8のいずれか1項記載の鉄道車両軸受用グリースであることを特徴とする鉄道車両用軸受。
【請求項10】
前記内輪、外輪および転動体が鉄系合金からなっていることを特徴とする請求項9記載の鉄道車両用軸受。
【請求項11】
前記鉄道車両用軸受が車軸用軸受または主電動機用軸受であることを特徴とする請求項9または請求項10記載の鉄道車両用軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−1429(P2010−1429A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163318(P2008−163318)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】