説明

鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法

【課題】セパレータ試験片のフヤケ部位における早期の短絡発生に伴う不適正な測定データの発生を防止し、測定データの信頼性が高く測定効率の高い鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法を提供すること。
【解決手段】70mm×70mmの正方形状のセパレータ試験片7を、50mm×50mmの正方形状の2枚の鉛極板5、9間に同心状にかつ前記正方形同士の向きを合わせて挟み込んだ状態で所定の荷重をかけて、所定容器内にセットし、希硫酸電解液を浸した状態で行う、平均繊維径3μm以下の微細ガラス繊維を主体とした不織布シートからなる鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法において、前記セパレータ試験片のフヤケ防止手段を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型鉛蓄電池用リテーナセパレータとして主に用いられる、平均繊維径3μm以下の微細ガラス繊維を主体とした不織布シートからなる鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池用セパレータの耐酸化寿命試験方法として、国鉄法(JRS37506−1E−15AR7Aの蓄電池用合成隔離版 3.4 耐酸化試験方法)が広く普及しており、国内の鉛蓄電池メーカー、鉛蓄電池セパレータメーカーの多くがこの試験方法を採用している。この耐酸化寿命試験方法は、70mm角の試験片を50mm角の2枚の純鉛極板の間に挟み込んだ状態で5kgの荷重をかけて電槽内にセットし、電解液として比重1.30の希硫酸を注液後、45℃に液温を保持し、2.5Aの電流を流し短絡するまでの時間(寿命)を測定する方法である。
【0003】
密閉型鉛蓄電池用リテーナセパレータとして主に用いられる、平均繊維径3μm以下の微細ガラス繊維を主体とした不織布シートからなる鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータにおいても、この耐酸化寿命試験方法は、使用材料の耐酸化性、セパレータの耐短絡性について簡易に行える加速試験的な重要な評価法として位置づけられている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開昭62−195850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記国鉄法に基づく耐酸化寿命試験方法では、負極板の周囲に生成して成長するスポンジ鉛がセパレータを跨いで容易にサイドショートを引き起こすのを防止するために、50mm角の鉛極板に対して試験片は70mm角とサイズを大きくしているが、前記した微細ガラス繊維を主体とした鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの場合、鉛極板に挟まれることなく極板の外側にはみ出した部分のセパレータ試験片が、電解液によって、フヤケ(セパレータ試験片が膨潤を起こしフワフワ状になった状態を指す,ガッシングによっても促進される)を生じるので、このフヤケを生じた部位では、前記スポンジ鉛の成長物あるいは、正極板側から浸透して樹枝状に成長したPbO2粒子が負極板に到達してできるPbのデンドライトが貫通し易く、その部位で短絡を起こし易い。
【0005】
つまり、前記耐酸化寿命試験方法は、本来、前記鉛極板に当接したセパレータ試験片の50mm角の領域内で貫通ショートが発生するまでの寿命を測るのが狙いであるが、その所定領域外で想定外(規格外)の短絡を早期に発生させてしまうことになるため、正確な寿命測定ができなくなり、測定データの信頼性を欠くことになる。
【0006】
よって、従来では、セパレータ試験片のフヤケ部位における早期の短絡発生が起こり不適正な測定データが発生した場合は、再測定や追加測定を行うか、測定当初より測定n数を予め増やす等の対策を講じる必要があり、信頼性が低く、測定効率の悪い試験方法となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、前記従来の問題点に鑑み、密閉型鉛蓄電池用リテーナセパレータとして主に用いられる、平均繊維径3μm以下の微細ガラス繊維を主体とした不織布シートからなる鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法において、セパレータ試験片のフヤケ部位における早期の短絡発生に伴う不適正な測定データの発生を防止し、測定データの信頼性が高く測定効率の高い鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法は、前記目的を達成するべく、請求項1に記載の通り、70mm×70mmの正方形状のセパレータ試験片を、50mm×50mmの正方形状の2枚の鉛極板間に同心状にかつ前記正方形同士の向きを合わせて挟み込んだ状態で所定の荷重をかけて、所定容器内にセットし、希硫酸電解液を浸した状態で行う、平均繊維径3μm以下の微細ガラス繊維を主体とした不織布シートからなる鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法において、前記セパレータ試験片のフヤケ防止手段を施すようにしたことを特徴とする。
また、請求項2記載の鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法は、請求項1記載の鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法において、前記セパレータ試験片のフヤケ防止手段として、70mm×70mmの正方形状の絶縁板の中心を50mm×50mmの正方形状に開口し(ただし、前記絶縁板の外形の正方形と前記開口部の正方形とが同じ向きとなるようにする)、該開口部に50mm×50mmの正方形状の鉛板を埋め込んだものを前記鉛極板として用いるようにしたことを特徴とする。
また、請求項3記載の鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法は、請求項1記載の鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法において、前記セパレータ試験片のフヤケ防止手段として、前記セパレータ試験片の前記鉛極板が当接する50mm×50mmの正方形状の部分を除いた領域の表裏面に撥水コーティング等により撥水性被膜を設けるか、あるいは、前記領域に溶融樹脂を含浸する等して前記領域の繊維材料を強固に結着するようにしたことを特徴とする。
また、請求項4記載の鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法は、請求項1記載の鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法において、前記セパレータ試験片のフヤケ防止手段として、前記セパレータ試験片と前記鉛極板との間に、中心を40mm×40mm〜50mm×50mmの正方形状に開口した70mm×70mmの正方形状の厚さ0.05〜0.20mmの無孔質絶縁フィルム(ただし、前記絶縁フィルムの外形の正方形と前記開口部の正方形とが同じ向きとなるようにする)を同心状にかつ前記正方形同士の向きを合わせて挟み込むようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、密閉型鉛蓄電池用リテーナセパレータとして主に用いられる、平均繊維径3μm以下の微細ガラス繊維を主体とした不織布シートからなる鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法において、簡易な方法によりセパレータ試験片のフヤケ防止手段を施すようにしたので、セパレータ試験片のフヤケ部位における早期の短絡発生に伴う不適正な測定データの発生を防止し、測定データの信頼性が高く測定効率の高い鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の平均繊維径3μm以下の微細ガラス繊維を主体とした不織布シートからなる鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法は、70mm×70mmの正方形状のセパレータ試験片を、50mm×50mmの正方形状の2枚の鉛極板間に同心状にかつ前記正方形同士の向きを合わせて挟み込んだ状態で所定の荷重をかけて、所定容器内にセットし、希硫酸電解液を浸した状態で行う耐酸化寿命試験方法において、前記セパレータ試験片のフヤケ防止手段を施すようにしたことを条件とする。
尚、本願における「正方形の向きを合わせる」や「正方形の向きを同じにする」とは、例えば、正方形Aの中心部と角部を結んだ直線上に正方形Bの角部が位置するように、正方形A,Bの向きを設定することを意味する。
【0011】
前記セパレータ試験片のフヤケ防止手段としては、例えば、次の3つの方法が挙げられる。
(1)70mm×70mmの正方形状の絶縁板(例えば、樹脂板)の中心を50mm×50mmの正方形状に開口し(ただし、前記絶縁板の外形の正方形と前記開口部の正方形とが同じ向きとなるようにする)、該開口部に50mm×50mmの正方形状の鉛板を埋め込んだものを前記鉛極板として用いるようにする。
(2)前記セパレータ試験片の前記鉛極板が当接する50mm×50mmの正方形状の部分を除いた領域の表裏面に撥水コーティング等により撥水性被膜を設けるか、あるいは、前記領域に溶融樹脂を含浸する等して前記領域の繊維材料を強固に結着するようにする。
(3)前記セパレータ試験片と前記鉛極板との間に、中心を40mm×40mm〜50mm×50mmの正方形状に開口した70mm×70mmの正方形状の厚さ0.05〜0.20mmの無孔質絶縁フィルム(ただし、前記絶縁フィルムの外形の正方形と前記開口部の正方形とが同じ向きとなるようにする)を同心状にかつ前記正方形同士の向きを合わせて挟み込むようにする。
【0012】
前記(3)のフヤケ防止手段に用いる前記無孔質絶縁フィルムの材質としては、電気絶縁性、耐酸性、耐酸化性が良好な材質であればよく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、フッ素樹脂等が好ましい。特に、フッ素樹脂を使用した場合は、耐酸性とともに耐酸化性が優れ、耐酸化寿命試験後もフィルムの劣化が起きにくいため、前記無孔質絶縁フィルムを繰り返し使用することができ好ましい。
【0013】
また、前記(3)のフヤケ防止手段に用いる前記無孔質絶縁フィルムの厚さを0.05〜0.20mmとするのは、前記無孔質絶縁フィルムの厚さが0.05mm未満では、該フィルムの剛性が十分でなく前記セパレータ試験片の表面に接した積層状態を維持しにくくなり、前記セパレータ試験片のフヤケ防止効果が十分に発揮されにくくなるため不適であり、0.20mmを超えると、前記セパレータ試験片と極板とが接しにくくなり、前記耐酸化寿命試験による耐酸化性及び耐短絡性の正確な評価ができにくくなるため不適であるからである。このため、前記無孔質絶縁フィルムの厚さは、0.05〜0.15mmであればより好ましい。
【0014】
前記(3)のフヤケ防止手段を用いた耐酸化寿命試験は、例えば、図1に示した方法によって行うことができる。まず、電槽1内に下から、耐酸性樹脂台2、70mm×70mmの正方形状のガラス板3、50mm×50mmの正方形状の当て板(絶縁板)4、50mm×50mmの正方形状の正極板(純鉛)5、40mm×40mmの正方形状の開口6aを中心に設けた70mm×70mmの正方形状の無孔質絶縁フィルム6、70mm×70mmの正方形状のセパレータ試験片7、40mm×40mmの正方形状の開口8aを中心に設けた70mm×70mmの正方形状の無孔質絶縁フィルム8、50mm×50mmの負極板(純鉛)9、50mm×50mの当て板(絶縁板)10、70mm×70mmのガラス板11、底面が70mm×70mmの正方形状の直方体からなる5.0kgの重り12の順に、すべて同心状にかつ各正方形状が同じ向きとなるように積層する。次に、電槽内に所定比重の希硫酸13を所定量注液して、恒温水槽中に配置し、希硫酸を所定の一定温度に保持しながら所定の一定電流を連続通電する。電極間の電圧が2.6V以下になった時点を短絡と判断し、この時点までのトータルの通電時間を耐酸化寿命とする。
【0015】
尚、通電する電流値は、従来の耐酸化寿命試験方法での電流値が、極板の電池反応に関与する有効面積(以下、極板の有効面積と言う)が2500mm2(50mm×50mm)に対して、2.5Aを基準としており、本発明の前記(3)のフヤケ防止手段を用いる場合は、例えば、極板の有効面積が1600mm2(40mm×40mm)となっており、極板の単位有効面積当たりの電流値を合わせるため、1.6Aを基準とするが、電流値を変化させ、セパレータに与える負荷を変化させた試験方法も可能である。また、希硫酸電解液の温度も45℃を基準とするが、電解液温度を変化させ、セパレータに与える負荷を変化させた試験方法も可能である。
【実施例】
【0016】
次に、本発明の実施例について比較例及び従来例と共に一部図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施例)
セパレータ試験片は、平均繊維径0.7μmのCガラス短繊維100質量%をpH2.5の水中にて分散後、通常の抄紙機にて湿式抄造し、200℃にて乾燥して得た、厚さ0.8mm、密度0.155g/cm3のガラス繊維不織布シートからなる鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータを使用した。
耐酸化寿命試験は、図1に示したように、まず、電槽1内に下から、耐酸性樹脂台2、70mm×70mmの正方形状のガラス板(厚さ5mm)3、50mm×50mmの正方形状の当て板(絶縁板,厚さ3mm)4、50mm×50mmの正方形状の正極板(純鉛,厚さ3mm)5、40mm×40mmの正方形状の開口6aを中心に設けた70mm×70mmの正方形状の無孔質絶縁フィルム(PTFEフィルム,厚さ0.13mm)6、70mm×70mmの正方形状のセパレータ試験片7、40mm×40mmの正方形状の開口8aを中心に設けた70mm×70mmの正方形状の無孔質絶縁フィルム(PTFEフィルム,厚さ0.13mm)8、50mm×50mmの負極板(純鉛,厚さ3mm)9、50mm×50mの当て板(絶縁板,厚さ3mm)10、70mm×70mmのガラス板(厚さ5mm)11、底面が70mm×70mmの正方形状の直方体からなる5.0kgの重り(鉛ブロック)12の順に、すべて同心状にかつ各正方形状が同じ向きとなるように積層した。次に、電槽内に比重1.30(20℃)の希硫酸13を約1000mL注液して、恒温水槽中に配置し、希硫酸温度を45±2℃に保持しながら1.6Aの電流(直流)を連続通電し、電極間の電圧が2.6V以下になった時点を短絡と判断し、この時点までのトータルの通電時間を耐酸化寿命とした。結果を表1に示す。
【0017】
(比較例1)
実施例において、無孔質絶縁フィルム6,8の厚さを0.03mmとした以外は、実施例と同様にして、耐酸化寿命試験を行った。結果を表1に示す。
【0018】
(比較例2)
実施例において、無孔質絶縁フィルム6,8の厚さを0.30mmとした以外は、実施例と同様にして、耐酸化寿命試験を行った。結果を表1に示す。
【0019】
(従来例)
実施例において、無孔質絶縁フィルムを使用せず、通電電流値を2.5Aとした以外は、実施例と同様にして、耐酸化寿命試験を行った。結果を表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
表1の結果から以下のことが分かった。
(1)セパレータ試験片のフヤケ防止手段として厚さ0.13mmの無孔質絶縁フィルムを使用した実施例の耐酸化寿命試験方法では、無孔質絶縁フィルムが十分な剛性を有してセパレータ試験片の表面に接した良好な積層状態を維持することができ、セパレータ試験片のフヤケの発生がセパレータ試験片の周縁部を除いて基本的になく、セパレータ試験片の短絡も、「極板の電池反応に関与する有効領域(40mm×40mm)に当接したセパレータ試験片の40mm×40mmの領域」内で発生しており、また、セパレータ試験片のフヤケ防止手段を施さなかった従来例の耐酸化寿命試験方法に比較して、耐酸化寿命測定結果も平均で約2.7倍に向上しており、セパレータ試験片の耐酸化性及び耐短絡性の正当な評価に基づく適正な耐酸化寿命測定データが得られることが分かった。
(2)これに対し、セパレータ試験片のフヤケ防止手段として厚さ0.03mmの無孔質絶縁フィルムを使用した比較例1の耐酸化寿命試験方法では、無孔質絶縁フィルムの厚さが薄くて剛性が十分でなかったため、特にセパレータ試験片下面側(正極板側)の無孔質絶縁フィルムが下方に垂れる形となってセパレータ試験片の表面(下面)に接した良好な積層状態を維持することができず、その結果、セパレータ試験片のフヤケが、「50mm×50mmの極板位置に重なるセパレータ試験片の50mm×50mmの領域」外(周辺部)で発生し、更に「極板の電池反応に関与する有効領域(40mm×40mm)に当接したセパレータ試験片の40mm×40mmの領域」内の周縁部にまでフヤケが及び、この周縁部のフヤケ部位で早期の短絡を発生させてしまう結果となった。ただし、「極板の電池反応に関与する有効領域(40mm×40mm)に当接したセパレータ試験片の40mm×40mmの領域」外の周辺部の領域でセパレータ試験片のフヤケは発生したが、この領域では、正・負極板間に無孔質絶縁フィルムが介在しているために、この領域を介してスポンジ鉛の成長物やPbのデンドライトが正・負極板間を導通する現象(短絡)を招くことはない。したがって、耐酸化寿命測定結果は、セパレータ試験片のフヤケ防止手段を施さなかった従来例の耐酸化寿命試験方法に比較して、平均で約1.4倍に向上したものの、実施例の耐酸化寿命試験の約2.7倍には遠く及ばず(実施例の耐酸化寿命測定結果の平均91hというレベルが当該セパレータ試験片の真の実力値に近いレベルと思われるため)、セパレータ試験片の耐酸化性及び耐短絡性の正当な評価に基づく適正な耐酸化寿命測定データを得たとは必ずしも言えない結果となった。
(3)また、セパレータ試験片のフヤケ防止手段として厚さ0.30mmの無孔質絶縁フィルムを使用した比較例2の耐酸化寿命試験方法では、実施例と同様、無孔質絶縁フィルムが十分な剛性を有してセパレータ試験片の表面に接した良好な積層状態を維持することができ、セパレータ試験片のフヤケの発生がセパレータ試験片の周縁部を除いて基本的になく、セパレータ試験片の短絡も、「極板の電池反応に関与する有効領域(40mm×40mm)に当接したセパレータ試験片の40mm×40mmの領域」外で早期に発生させることを防止できたが、無孔質絶縁フィルムの厚さが厚くて、セパレータ試験片と極板とが接しにくい状態を作ってしまい、セパレータ試験片の短絡が起こりにくくなって、耐酸化寿命測定結果は異常に高い異常値(当該セパレータ試験片の真の実力値のレベルを大きく超えると思われる)となり、セパレータ試験片の耐酸化性及び耐短絡性の正当な評価に基づく適正な耐酸化寿命測定データを得ることはできにくいことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】耐酸化寿命試験に用いた装置の概略断面図
【符号の説明】
【0023】
1 電槽
2 耐酸性樹脂台
3 70mm×70mmの正方形状のガラス板
4 50mm×50mmの正方形状の当て板
5 50mm×50mmの正方形状の正極板
6 40mm×40mmの正方形状の開口を中心に設けた70mm×70mm
の正方形状の無孔質絶縁フィルム
7 70mm×70mmの正方形状の試験片
8 40mm×40mmの正方形状の開口を中心に設けた70mm×70mm
の正方形状の無孔質絶縁フィルム
9 50mm×50mmの正方形状の負極板
10 50mm×50mmの正方形状の当て板
11 70mm×70mmの正方形状のガラス板
12 底面が70mm×70mmの正方形状の直方体からなる重り
13 希硫酸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
70mm×70mmの正方形状のセパレータ試験片を、50mm×50mmの正方形状の2枚の鉛極板間に同心状にかつ前記正方形同士の向きを合わせて挟み込んだ状態で所定の荷重をかけて、所定容器内にセットし、希硫酸電解液を浸した状態で行う、平均繊維径3μm以下の微細ガラス繊維を主体とした不織布シートからなる鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法において、前記セパレータ試験片のフヤケ防止手段を施すようにしたことを特徴とする鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法。
【請求項2】
前記セパレータ試験片のフヤケ防止手段として、70mm×70mmの正方形状の絶縁板の中心を50mm×50mmの正方形状に開口し(ただし、前記絶縁板の外形の正方形と前記開口部の正方形とが同じ向きとなるようにする)、該開口部に50mm×50mmの正方形状の鉛板を埋め込んだものを前記鉛極板として用いるようにしたことを特徴とする請求項1記載の鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法。
【請求項3】
前記セパレータ試験片のフヤケ防止手段として、前記セパレータ試験片の前記鉛極板が当接する50mm×50mmの正方形状の部分を除いた領域の表裏面に撥水コーティング等により撥水性被膜を設けるか、あるいは、前記領域に溶融樹脂を含浸する等して前記領域の繊維材料を強固に結着するようにしたことを特徴とする請求項1記載の鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法。
【請求項4】
前記セパレータ試験片のフヤケ防止手段として、前記セパレータ試験片と前記鉛極板との間に、中心を40mm×40mm〜50mm×50mmの正方形状に開口した70mm×70mmの正方形状の厚さ0.05〜0.20mmの無孔質絶縁フィルム(ただし、前記絶縁フィルムの外形の正方形と前記開口部の正方形とが同じ向きとなるようにする)を同心状にかつ前記正方形同士の向きを合わせて挟み込むようにしたことを特徴とする請求項1記載の鉛蓄電池用ガラス繊維セパレータの耐酸化寿命試験方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−103019(P2007−103019A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287372(P2005−287372)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】