説明

鉱物ウール組成物

本発明は、生理的溶液に溶解させることができる鉱物ウールであって、以下の成分を以下の質量%にしたがって含む鉱物ウール、即ち、SiO2を39〜44%、好ましくは40〜43%、Al23を16〜27%、好ましくは16〜26%、CaOを6〜20%、好ましくは8〜18%、MgOを1〜5%、好ましくは1〜4.9%、Na2Oを0〜15%、好ましくは2〜12%、K2Oを0〜15%、好ましくは2〜12%、R2O(Na2O+K2O)を10〜14.7%、好ましくは10〜13.5%、P25を0〜3%、特には0〜2%、Fe23(全鉄)を1.5〜15%、特には3.2〜8%、B23を0〜2%、好ましくは0〜1%、TiO2を0〜2%、好ましくは0.4〜1%含む鉱物ウールに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人造の鉱物ウールの分野に関する。本発明は、より詳しくは断熱及び/又は防音材料の製造を意図した鉱物ウールに関する。
【0002】
本発明は、より詳しくはロックウールタイプの鉱物ウール、即ち、その化学組成物が高い液相線温度を有し、高いガラス転移温度と組み合わせてそれらの繊維化温度で非常に流動性である鉱物ウールに関する。
【背景技術】
【0003】
通常、このタイプの鉱物ウールは、例えば、欧州特許第0465310号明細書又は同第0439385号明細書において記載されているように、静的な供給装置によって溶融材料が供給される回転ホイールのカスケードを用いたタイプの「外部」遠心法と呼ばれるものによって繊維化される。
【0004】
「内部」遠心法と呼ばれる繊維化プロセス、即ち、高速で回転しかつオリフィスによって貫通されたスピナーを使用するプロセスは、対照的に、概してアルカリ金属酸化物の比較的リッチな組成、低アルミナ含有量、より低い液相線温度を有し、その液相線温度でのウールの粘度がロックウール又は玄武岩ウールの粘度よりも高いガラスウールタイプの鉱物ウールを繊維化するために通常用意される。このプロセスは、例えば、欧州特許第0189354号明細書又は同第0519797号明細書において記載されている。
【0005】
内部遠心法をロックウールの繊維化に適合させる技術的な解決策は、例えば、スピナーの構成材料の組成とスピナーの操作パラメータを変更することにより、国際公開第93/02977号パンフレットから公知である。このような適合により、結果としてこれまで2つのタイプのウール、即ち、ロックウール又はガラスウールの一方又は他方に対してのみ固有のものであった特性を組み合わせることが可能となる。したがって、内部遠心法によって得られるロックウールは、ガラスウールに匹敵する品質であり、通常得られるロックウールよりも繊維化していない粒子の含有量が低い。しかしながら、それは、その化学的な性質に関連する2つの鍵となる利点、即ち、低い化学材料コストと高い耐熱性を保っている。
【0006】
近年、鉱物ウールの生分解性、即ち、吸入によって生体中に最細の繊維が蓄積する可能性と関連した任意の潜在的な病原体の危険を防ぐために生理的溶液に素早く溶けるその能力の基準が、品質並びに産業的及び経済的な実現可能性の基準に加えられたため、それに応じて適合するロックウールタイプの鉱物ウール組成物が国際公開第00/17117号パンフレットにおいて提案されている。以下に詳細に与えられるこの組成は、高いアルミナ含有量と高いアルカリ金属(ナトリウム及びカリウム)酸化物(R2O)含有量を組み合わせることによって特徴付けられる。
SiO2 39〜55%、好ましくは40〜52%
Al23 16〜37%、好ましくは16〜25%
CaO 3〜35%、好ましくは10〜25%
MgO 0〜15%、好ましくは0〜10%
Na2O 0〜15%、好ましくは6〜12%
2O 0〜15%、好ましくは3〜12%
2O(Na2O+K2O) 10〜17%、好ましくは12〜17%
25 0〜3%、特には0〜2%
Fe23(全鉄) 0〜15%
23 0〜8%、好ましくは0〜4%
TiO2 0〜4%
ここで、R2O≦13.0%の場合には、MgOは0〜5%である。
【0007】
生理的溶液への溶解度を高めるこの組成の選択は、実際には、ロックウールをより耐火性でなくし、非常に高い温度でのその特性を制限しがちである。
【0008】
1つの実施態様において、組成物は、5〜12%、特には5〜8%の酸化鉄含有量を有し、それによって鉱物ウールブランケットの耐火性を得ることができ、これは従来のロックウールの典型的な特性である。
【0009】
しかしながら、この特性は示されておらず、即ち、アニーリング温度に関する情報のみ与えられ、これは鉱物の使用温度範囲を示すものであるが、非常に高い温度(1000℃程度)での燃焼挙動については与えられていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、生分解性及び内部遠心法により繊維化される能力を維持しながら、高温特性、より詳しくは耐火性を最大にする、ある範囲のロックタイプの鉱物ウール組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の主題は、生理的溶液に溶解させることができる鉱物ウールであって、以下の成分を以下の質量%で含む鉱物ウールである。
SiO2 39〜44%、好ましくは40〜43%
Al23 16〜27%、好ましくは16〜26%
CaO 6〜20%、好ましくは8〜18%
MgO 1〜5%、好ましくは1〜4.9%
Na2O 0〜15%、好ましくは2〜12%
2O 0〜15%、好ましくは2〜12%
2O(Na2O+K2O) 10〜14.7%、好ましくは10〜13.5%
25 0〜3%、特には0〜2%
Fe23(全鉄) 1.5〜15%、特には3.2〜8%
23 0〜2%、好ましくは0〜1%
TiO2 0〜2%、好ましくは0.4〜1%
(本明細書の以降の部分において、組成物の成分の任意の割合は、質量%として解されるべきである。)
【0012】
本発明による組成物は、16〜27%の、好ましくは17%よりも大きく及び/又は好ましくは25%よりも小さい高アルミナ含有量と、57〜75%の、好ましくは60%よりも大きく及び/又は好ましくは72%よりも小さい網状構造形成要素、即ち、シリカとアルミナの合計と、比較的高いが10〜13.5%に制限されたアルカリ金属(ナトリウム及びカリウム)酸化物(R2O)の量と、少なくとも1%の量のマグネシアとの組み合わせによっている。
【0013】
これらの組成物は、国際公開第00/17117号パンフレットにより公知の組成物と類似しているように見えるかもしれないが、これらの組成物は、非常に高い温度で顕著に改善された挙動を示す。
【0014】
如何なる特定の科学的な理論にも縛られることを意図するものではないが、この組成範囲では、結晶種が低温で核形成することができ、これらの結晶種により、材料の軟化又は焼結がまだ有効であることができない十分低い温度でも結晶が出現又は成長する。ガラス組成物全体よりも可溶性の成分を結晶化することにより、残りのガラスの粘度が高くなり、焼結に必要な表面力がもはや粘性の凝集力を超えて広がるほど高くないとみなすことができる。
【0015】
好ましくは、アルミナは、17〜25.5wt%、特には20〜25wt%、とりわけ21〜24.5wt%、特には約22〜23又は24wt%の量において存在している。
【0016】
有利には、優れた耐火性は、マグネシアの含有量を特には少なくとも1.5%、とりわけ2%、特には2.5%又は3%以上に調整することで得ることができる。高含有量のマグネシアにより低温の結晶化効果が得られ、これによって高温で一般に観測される粘度の低下を阻み、それゆえ材料の焼結を防ぐ。
【0017】
1つの有利な組成の選択は、所要最小量のマグネシアを提供することにあり、マグネシアの量が大きくなるにつれ、アルミナの量が小さくなる。
【0018】
したがって、アルミナが少なくとも22wt%の量で存在する場合には、マグネシアの量は好ましくは少なくとも1%、有利には約1〜4%、好ましくは1〜2%、特には1.2〜1.6%である。アルミナ含有量は、十分低い液相線温度を維持するために25%に制限されることが好ましい。アルミナがより低い量、例えば、約17〜22%の量で存在する場合には、マグネシアの量は好ましくは少なくとも2%、特には約2〜5%である。
【0019】
石灰は、有利には9.5〜20%、好ましくは10〜18%、さらにより好ましくは11〜16%の含有量で存在する。
【0020】
石灰とマグネシアの合計量は、有利には約14〜20%、特には15〜19%であることができる。
【0021】
アルカリ土類金属酸化物(石灰、マグネシア、酸化バリウム及び酸化ストロンチウム)の合計量は、好ましくは10〜20%、特には12〜18%である。
【0022】
シリカの量は、有利には約40〜43wt%、より特には41〜42wt%である。
【0023】
本発明の実施態様によれば、アルカリ金属酸化物の含有量は、好ましくは13.2%以下、又は13.0%でさえあり、特には約10〜12.5%、とりわけ10.2〜12%又はそれよりも小さい。酸化ナトリウムと酸化カリウムは、それぞれ3〜9wt%の量で存在することができる。
【0024】
この範囲内のアルカリ金属酸化物含有量において、R2O/Al23のモル比が1未満、とりわけ0.9未満、特には最大0.8、とりわけ最大0.75になるように、アルカリ金属酸化物含有量/アルミナ含有量の比を選択することが有利であるとわかっている。
【0025】
モル比が0.9を超える場合には、マグネシアの含有量は、低温の結晶化効果を得るのに十分高いことが好ましく、例えば、少なくとも2%又は少なくとも2.5%であり、そうでなければ、極端に低いガラス転移温度が得られ、非常に高い温度での挙動に悪影響を及ぼす。
【0026】
2O/Al23モル比が0.9よりも小さいと、特に低温での耐火性、それゆえ軟化点及び焼結温度に有利な効果が得られる。
【0027】
しかしながら、この組成範囲内では、繊維化のための粘性に対応する温度と結晶化する相の液相線温度との間に十分大きな差が維持される。したがって優れた繊維化条件が得られる。
【0028】
組成物中に存在する酸化鉄は、低温における種の成長の核形成に関してプラスの効果を有し、一方で、依然として液相線を制限する。しかしながら、その量は、酸性媒体における生溶解性に不利に影響しないよう制限されることが好ましい。本発明の好ましい実施態様においては、組成物は、2〜6%、好ましくは約3〜6%の酸化鉄含有量を有する。
【0029】
酸化チタンは、ガラス質マトリックス内でのスピネルの高温及び低温における核形成に関して非常に顕著な効果を与える。1%以下程度の含有量が有利であるとわかっている。
【0030】
25を0〜3%、特には0.1〜1.2%の含有量で用いて中性pHでの生溶解性を高めることができる。
【0031】
他の酸化物、例えば、BaO、SrO、MnO、Cr23及びZrO2は、それぞれ最大約2%の含有量で以って組成物中に存在させることができる。
【0032】
log2.5で表される102.5ポアズ(dPa・s)の粘度に対応する温度とTliqで表される結晶化相の液相線との差は、好ましくは少なくとも10℃である。この差、Tlog2.5−Tliqは、本発明の組成物の「使用範囲」、即ち、最も特には内部遠心法によって繊維化が可能な温度範囲を規定する。この差は、好ましくは少なくとも10、20又は30℃、好ましくは40℃であり、さらには50℃を超え、特には100℃を超える。
【0033】
70ポアズを超える、特には約75〜250ポアズの、1400℃の温度における粘度を有する組成物が内部遠心繊維化法にとって十分適している。
【0034】
本発明による組成物は、高いガラス転移温度、特には600℃を超え、とりわけ650℃以上のガラス転移温度を有する。Tannealingで表されるこれら組成物のアニーリング温度は、600℃よりも十分高く、特には約670℃以上、しばしば700℃以上である。
【0035】
生成物の耐火性は、700℃よりも高く最大1000℃の温度で以って生成物に対して実施される収縮測定及び/又はクリープ変形測定によって決定することができる。
【0036】
耐火性は、圧縮微粉に関する高温の焼結収縮の測定とかなりよく相関している。本発明による組成物は、40%よりも低い、特には約20〜40%、さらによいのは20%よりも低い700℃収縮によって特徴付けられ、90%よりも低い、特には約75〜90%、さらによいのは75%よりも低い800℃収縮によって特徴付けられる。
【0037】
上記のように、鉱物ウールは、特に酸性pHで十分なレベルの生溶解性を示す。したがって、鉱物ウールは、一般に、NF T 03−410規格に記載されている方法と同様の方法によってpH4.5で測定された1時間当たり少なくとも30、好ましくは少なくとも40又は50ng/cm2の、特にはシリカに関して測定された溶解速度を有する。
【0038】
高アルミナ含有量及び高アルカリ金属酸化物含有量を有するこのタイプの組成物は、有利には燃焼ガラス炉又は電気ガラス炉において溶融させることができる。
【0039】
本発明はまた、耐火性構造システムにおける上記鉱物ウールの使用に関する。
【0040】
「耐火性構造システム」という表現は、熱の伝播を効果的に遅らせることができ、さらには火炎及び高温ガスに対する保護を提供し、火災の際に機械強度を維持することができる、特には鉱物ウールに基づいた材料と金属プレートのアセンブリを一般に含むシステムを意味すると解される。
【0041】
標準化された試験により、特には、例えば、バーナーの炎又は電気炉によって発生する熱流束にさらされる構造システムの反対側で所与の温度に達するのに要する時間として表される耐火性の度合いが規定される。
【0042】
構造システムは、とりわけ以下の試験の1つの要件を満たすことができれば、十分な耐火性を示すとみなされる。即ち、
・防火扉試験:ドイツ規格DIN 18 089−第1部(又はそれと同等なもの)において規定される鉱物質繊維板に関する試験;
・ドイツ規格DIN 4102(又はそれと同等なもの)において規定される建築材料及び部材の燃焼挙動。とりわけ、規格DIN 4102−第5部は耐火性のクラスを決定するために実規模試験に関して考慮され、及び/又は規格DIN 4102−第8部は小さなテストベッドを用いた試験片に対する試験に関して考慮される;及び
・「船舶」タイプの用途、特には船の隔壁に関する一般的な耐火性試験の要件を記載している標準化試験OMI A 754(18)(又はそれと同等なもの)。これらの試験は、3m×3mの炉を用いて大きな試験片について実施される。例えば、断熱側が火災の場合の要求性能が少なくとも60分間にわたって断熱基準を満たすことである鋼甲板の場合を挙げることができる。
【0043】
他の詳細及び有利な特徴は、限定的でない好ましい実施態様である以下の記載から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
下表1に本発明による例の化学組成物が与えられ、さらに以下の特性が示される。
・液相線温度(Tliq)並びに粘度が103ポアズ及び102.5ポアズに等しい温度、それぞれ(Tlog3)及び(Tlog2.5)(3つの温度は℃で表される);
・1400℃での粘度;
・700℃及び800℃での粉末に関する収縮;
・アニーリング温度及びガラス転移温度(Tg)。
【0045】
全成分の全含有量の合計が100%よりもわずかに小さいか又は100%よりもわずかに大きい場合、100%との差は、常には分析されないか又は微量では分析できない少量の成分/不純物に相当するか及び/又は単に使用される分析方法においてこの分野で許容される近似によるものであると解されるべきである。
【0046】
粉末収縮試験の目的は、粉末の状態で利用されるこの材料の緻密化を測定することによって組成物の耐熱性を定量することである。手順は以下のとおりである。
【0047】
組成物160gをリングミルにおいて8分間粉砕し、次いで粉末を80μmのスクリーン、続いて40μmのスクリーンで12分間ふるい分ける。40μm未満の粒子サイズを有する粉末の一部を8wt%の水と混合し、この混合物からペレットを製造する。直径10mmの炭化タングステンライニングされたペレタイザー本体をプレス用支持体の上に置き、これをピストンに対して導入する。粉末/水の混合物3.110gを計量してペレタイザーに導入し、次いでピストンを導入して、高さ37mmの硬化用スペーサーをペレタイザーの本体とピストンの上部の間に配置する。粉末をプレスし、確実にピストンの上部をスペーサーの上に載せる。高さ28mm、直径10mmの試験片を取り出す。この試験片を炉内の平坦な支持体上に置き、炉を360℃/hの温度上昇で以って700〜1150℃の操作範囲内の試験温度に加熱する。炉を試験温度で16時間維持し、次いで冷却するままにする。上部直径、下部直径及び平均高さを冷却した試験片について測定し、それから%で表される体積収縮を推定する。試験片の一般的な外観も書き留める。
【0048】
これらの例による組成物は、特には上記の国際公開第93/02977号パンフレットの教示に従って内部遠心法により繊維化することができる。
【0049】
log2.5−Tliqの差によって規定されるそれらの使用範囲は大きくかつ正であり、特に50℃よりも大きく又は100℃でさえあり、さらには150℃よりも大きい。
【0050】
液相線温度は比較的低く、特には1200℃以下であり、さらには1150℃である。
【0051】
102.5ポアズの粘度に対応する温度(Tlog2.5)は、特には国際公開第93/02977号パンフレットにおいて記載されている操作条件下での高温繊維化のための遠心スピナーの使用と適合している。
【0052】
好ましい組成物は、特にTlog2.5が1350℃未満、好ましくは1300℃未満のものである。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
例2、10及び11並びに比較例2の組成物は、内部遠心技術によって鉱物ウールブランケットを製造するのに使用した。得られた繊維及びブランケットの特性を下表2に与える。
【0056】
繊維の繊度は、この表において種々の方法で表される。この量がl/分で表される場合、これは国際公開第03/098209号パンフレットにおいて記載されている鉱物繊維の繊度を測定する方法を用いて実施される測定を意味する。他の繊度の値は、DIN 53941又はASTM D 1448規格において記載されている手順によって繊維5gについて測定した「ミクロネール」値である。
【0057】
これらブランケットの試験片を用いて非常に高い温度で熱安定性試験にさらし、試験片の減少をNORDTEST(NT FIRE XX− NORDTEST REMISS NO.1114−93)によって提案されているドラフト規格「断熱材:熱安定性」において規定される手順に従って測定した。断熱材の試験片(特には高さ25mm及び直径25mm)を、試験片の減少を試験片がさらされる温度の関数として観測できる炉に導入した。炉の温度は室温から最大約1000℃又はそれよりも高い温度に5℃/分で上昇させた。
【0058】
(室温での)試験片の初期厚さに対する所与の温度で測定した試験片の残りの厚さは「相対厚さ」と呼ばれる。所与の温度での値(1−相対厚さ)は「減少度」と称される。
【0059】
図1は、4つの鉱物ウール試験片の相対厚さにおける変化を温度の関数として示している。図1は、比較例2の試験片が720℃〜800℃よりも高い温度で急激に減少し、相対厚さが850℃以降で25%よりも小さいことを示している。
【0060】
さらには、試験後の試験片の目視検査では顕著な変形が見られ、その形状は、上部直径6mm及び下部直径14mmの裁頭円錐形(frustoconical)であった。
【0061】
本発明による鉱物ウールの試験片は実質的により小さい減少を示し、一方で、それらの形状をよく維持し、試験の開始と比較した半径方向寸法の減少もより小さい。
【0062】
【表3】

【0063】
本発明による鉱物ウールは、とりわけ上記の構造システムに適用できるが、特に過熱産業配管など、過酷な条件下に設置することを意図する断熱材の任意の公知の形態の用途にも適用できることに注目すべきである。
【0064】
したがって、本発明はまた、断熱製品、特にはブランケット、ロール、パネル又はシェルの形態の断熱製品に関する。とりわけ、本発明の主題は、配管、特には産業配管を断熱するための、本願で規定される鉱物ウールを含むシェル形態の製品であり、その繊維は4μm以下の平均直径を有し、40〜100kg/m3の密度と約4〜7wt%の結合剤含有量を有する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
(原文に記載なし)
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理的溶液に溶解させることができる鉱物ウールであって、以下の成分を以下の質量%で含むことを特徴とする鉱物ウール。
SiO2 39〜44%、好ましくは40〜43%
Al23 16〜27%、好ましくは16〜26%
CaO 6〜20%、好ましくは8〜18%
MgO 1〜5%、好ましくは1〜4.9%
Na2O 0〜15%、好ましくは2〜12%
2O 0〜15%、好ましくは2〜12%
2O(Na2O+K2O) 10〜14.7%、好ましくは10〜13.5%
25 0〜3%、特には0〜2%
Fe23(全鉄) 1.5〜15%、特には3.2〜8%
23 0〜2%、好ましくは0〜1%
TiO2 0〜2%、好ましくは0.4〜1%
【請求項2】
CaO含有量が9.5〜20%、好ましくは10〜18%であることを特徴とする、請求項1に記載の鉱物ウール。
【請求項3】
20〜25%のアルミナを含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の鉱物ウール。
【請求項4】
アルミナが22%未満、特には17〜22%の量で存在する場合には、少なくとも2%、特には約2〜5%のMgOを含有し、アルミナが少なくとも22wt%の量で存在する場合には、1〜4%、好ましくは1〜2%のMgOを含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉱物ウール。
【請求項5】
アルカリ金属酸化物の含有量が、好ましくは13.0%以下、特には約10〜12.5%、とりわけ12%以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉱物ウール。
【請求項6】
2O/Al23のモル比が、0.9未満、特には最大0.8、とりわけ最大0.75であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の鉱物ウール。
【請求項7】
2〜6%の酸化鉄を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の鉱物ウール。
【請求項8】
1%以下の酸化チタンを含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の鉱物ウール。
【請求項9】
70ポアズを超える、特には約75〜250ポアズの、1400℃の温度における粘度を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の鉱物ウール。
【請求項10】
700℃での収縮が40%未満であり、800℃での収縮が90%未満であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の鉱物ウール。
【請求項11】
耐火性構造システムにおける又は高温で用いられる断熱材としての、請求項1〜10のいずれか1項に記載の鉱物ウールの使用。

【公表番号】特表2007−507413(P2007−507413A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530455(P2006−530455)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050480
【国際公開番号】WO2005/033032
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(502425053)
【Fターム(参考)】