説明

銀鏡薄膜形成設備

【課題】 被処理物の形状により製品品質が低下することを抑止する。
【解決手段】 被処理物2の表面に銀鏡処理を施すための薬液を被処理物2に向けて噴出する薬液噴出手段3A、3Bと、被処理物2を回転させる回転手段5とを設けてある銀鏡薄膜形成設備において、薬液噴出手段3A、3Bによる薬液噴出で被処理物に付着する薬液を回転手段5による被処理物回転での遠心作用により被処理物2から飛散させる構成にするとともに、この飛散薬液の飛散域P1に位置して飛散薬液を受け止める薬液受止体10Aを設け、この薬液受止体10Aを、飛散薬液を受け止める作用位置と被処理物2の経路及びその経路の直上方から外れた待避位置とに切替移動させる受止体移動手段10を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀鏡薄膜形成設備に関し、より詳しくは、被処理物の表面に銀鏡処理を施すための薬液を被処理物に向けて噴出する薬液噴出手段と、被処理物を回転させる回転手段とを設けてある銀鏡薄膜形成設備に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の銀鏡薄膜形成設備は、アンモニア性銀塩水溶液などに含まれる銀イオンが還元されて析出した銀を被処理物の表面に付着させて被処理物の表面に銀鏡薄膜を形成し、これにより、被処理物に金属光沢を付与するものであるが、被処理物の表面に銀鏡処理を施すための薬液として、例えば、活性剤水溶液、アンモニア性硝酸銀水溶液やアンモニア性炭酸銀水溶液などのアンモニア性銀塩水溶液、苛性ソーダ水溶液とブドウ糖や果糖などの炭水化物系の還元剤水溶液との混合液、被処理物を洗浄する洗浄液などの薬液が被処理物に順次噴出される。
【0003】
ところで、従来、この種の設備では、被処理物の表面に銀鏡処理を施すための作業域を形成して、この作業域どうしを仕切る上下動可能な仕切板を設けるとともに、被処理物の表面に銀鏡処理を施すための薬液を作業域内の被処理物に向けて噴出する薬液噴出手段としての噴出ノズルと、作業域内で被処理物を回転させる回転手段とを設け、その回転手段による被処理物の回転により噴出ノズルに対する被処理物の対向面を入れ替えることで、被処理物の各面に対しもれ無く薬液が噴出されるようにしていた。
(下記特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】特開2005−152827号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の如き従来の設備では、被処理物の回転により被処理物の各面に薬液が噴出されるようにしているものの、被処理物の形状によっては噴出された薬液が被処理物表面の窪みなどに溜まる薬液溜まりが発生してしまい、例えば、この薬液溜まりが次工程で噴出される薬液の被処理物表面への均一な付着の妨げとなったり、或いは、混合により銀鏡反応を発現する複数種の薬液を被処理物の表面又はその近傍で反応させる場合には、被処理物における薬液溜まりの生じる部位とそれ以外の部位とで被処理物への析出銀付着量が変化したりするなどのことが生じ、それらのことで、被処理物の表面に形成される銀鏡薄膜に厚みムラや色ムラなどの不良が生じて製品品質の低下を招くことがある問題があった。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な改良により上記の如き問題を効果的に解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は銀鏡薄膜形成設備に係り、その特徴は、
被処理物の表面に銀鏡処理を施すための薬液を被処理物に向けて噴出する薬液噴出手段と、被処理物を回転させる回転手段とを設けてある銀鏡薄膜形成設備であって、
前記薬液噴出手段による薬液噴出で被処理物に付着する薬液を前記回転手段による被処理物回転での遠心作用により被処理物から飛散させる構成にするとともに、
この飛散薬液の飛散域に位置して飛散薬液を受け止める薬液受止体を設け、この薬液受止体を、飛散薬液を受け止める作用位置と被処理物の移動経路及びその経路の直上方から外れた待避位置とに切替移動させる受止体移動手段を設けてある点にある。
【0008】
つまり、上記第1特徴構成であれば、薬液噴出手段による薬液噴出で被処理物に付着する薬液を回転手段による被処理物回転での遠心作用により被処理物から飛散させるから、薬液噴出手段による薬液噴出で被処理物の表面に薬液溜まりが生じることを抑止することができて、前述の如き薬液溜まりに原因する銀鏡薄膜の厚みムラや色ムラなどの不良を効果的に抑止することができる。
【0009】
しかも、被処理物回転による遠心作用により被処理物から飛散する飛散薬液を薬液受止体により受け止めるから、その飛散薬液が噴出対象の被処理物とは異なる別の被処理物に付着したり、外部へ漏出したりするなどの不具合も抑止することができる。
【0010】
また、上述の如く被処理物からの飛散薬液を薬液受止体により受け止めるのに伴い、例えば、その薬液受止体による飛散薬液の受け止めにより薬液受止体に付着した薬液が被処理物を移動させるときに移動中の被処理物に上方から落下付着することが原因で、銀鏡薄膜に厚みムラや色ムラなどの不良が生じることも考えられるが、被処理物を移動させる際には、受止体移動手段により飛散薬液を受け止める作用位置から被処理物の移動経路及びその経路の直上方から外れた待避位置に薬液受止体を切替移動させることができるから、薬液受止体への付着薬液が移動中の被処理物に対し上方から落下付着することを防止することができ、これにより、薬液受止体に付着した飛散薬液の被処理物への落下付着に原因する上記の如き不具合も確実に防止することができる。
【0011】
すなわち、薬液噴出手段による薬液噴出で被処理物に付着する薬液を被処理物から飛散させることで、銀鏡薄膜の厚みムラや色ムラなどの不良を抑止することができるとともに、その飛散薬液が被処理物に再度付着することに原因する銀鏡薄膜の厚みムラや色ムラなどの不良も抑止することができ、これらのことにより、製品品質を大幅に向上することができるとともに、製品の歩留まりも大幅に向上することができる。
【0012】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記薬液噴出手段は、混合により銀鏡反応を発現する複数種の薬液を被処理物の表面又はその近傍で反応させる状態で噴出する構成にするとともに、
前記回転手段は、前記薬液噴出手段による被処理物に向けた薬液噴出に並行して被処理物を回転させる構成にしてある点にある。
【0013】
つまり、混合により銀鏡反応を発現する複数種の薬液を被処理物の表面又はその近傍で反応させる場合には、被処理物の表面に分散して付着した反応済み薬液が、後続の未反応薬液と混合することで、その後続未反応薬液の濃度が不確定に変化したり、また、被処理物の表面に分散して付着した反応済み薬液が、反応による析出銀と被処理物の表面との間に介在したりするなどのことが生じ、そのことで、銀鏡薄膜の厚みムラや色ムラなどの不良が顕著に現れてしまう。
【0014】
これに対し、上記第2特徴構成であれば、薬液噴出手段による被処理物に向けた薬液噴出で被処理物の表面に付着した反応済み薬液を薬液噴出に並行して被処理物から飛散させることができるから、被処理物に付着した反応済み薬液を被処理物への付着から時間遅れの少ない状態で被処理物から飛散させることができて、上記の如き反応済み薬液に原因する銀鏡薄膜の厚みムラや色ムラなどの不良を効果的に抑止することができる。
【0015】
本発明の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
被処理物の表面に銀鏡処理を施すための作業域どうしを仕切る仕切体を設けるとともに、
前記薬液受止体は、前記仕切体の内側で、且つ、前記作業域に対して被処理物を出し入れする出入口部の上方を前記作用位置とする構成にしてある点にある。
【0016】
つまり、上記第3特徴構成であれば、作業域どうしを仕切る仕切体により作業域間での噴出薬液や域内空気などの混和を抑止することができて、作業域内での作業精度を高く保つことができるとともに、作用位置にある薬液受止体により仕切体の内側面における出入口部の上方に位置する部分に噴出薬液が付着するのを抑止することができるから、仕切体への付着薬液が出入口部を通過中の被処理物に対し上方から落下付着することが原因で、銀鏡薄膜に厚みムラや色ムラなどの不良が生じることも抑止することができる。
【0017】
本発明の第4特徴構成は、第1又は第2特徴構成の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記薬液受止体は、それが前記作用位置にあるとき、被処理物の表面に銀鏡処理を施すための作業域どうしを仕切る構成にしてある点にある。
【0018】
つまり、上記第4特徴構成であれば、被処理物からの飛散薬液を受け止める薬液受止体を、単なる飛散薬液の受け止めにとどまらず作業域どうしを仕切る仕切体として兼用利用するから、設備の簡素化を図りメンテナンス面で有利な設備とすることができながらも、その仕切り機能により作業域間での噴出薬液や域内空気などの混和を抑止することができて、作業域内での作業精度を高く保つことができる。
【0019】
本発明の第5特徴構成は、第4特徴構成の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記薬液受止体は、それが前記作用位置にあるとき、仕切体により仕切られた前記作業域どうしの被処理物出入口部を閉塞する構成にしてある点にある。
【0020】
つまり、上記第5特徴構成であれば、薬液受止体を作業域どうしの被処理物出入口部を開閉する扉に兼用する状態で、その薬液受止体と仕切体とにより作業域どうしを仕切ることになるから、例えば、薬液受止体単独で作業域どうしを仕切る場合に比して、薬液受止体を小さなものとすることができ、これにより、薬液受止体を切替移動させる薬液受止体移動手段の駆動動力の縮小化を図ることができて、コスト面で有利な設備とすることができる。なお、このコスト面での効果は、作業域どうしの仕切り面積が広い場合に特に有効である。
【0021】
本発明の第6特徴構成は、第1〜第5特徴構成のいずれかの実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
複数の前記作業域に対し前記薬液受止体を夫々設ける構成にするとともに、
前記受止体移動手段は、複数の前記薬液受止体を共通駆動手段により切替移動させる構成にしてある点にある。
【0022】
つまり、上記第6特徴構成であれば、薬液受止体ごとに駆動手段を設ける場合に比して、設備の簡素化を図ることができて、メンテナンス面で一層有利な設備とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、銀鏡薄膜形成設備の全体構成を示し、この設備では、例えば、セラミック、金属、合成樹脂などを材料とした被処理物の表面に銀鏡薄膜を形成する銀鏡処理を実施する。1はトンネル状の銀鏡処理ブースであり、この銀鏡処理ブース1は、被処理物2に向けて活性剤Eを噴出することで被処理物2に活性処理を施す活性化室U1、活性処理後の被処理物2を静置する静置室U2、静置後の被処理物2に向けて洗浄液Dを噴出することで被処理物2に付着した余剰活性剤Eを除去する活性剤洗浄室U3、静置に続き洗浄した被処理物2に向けて混合により銀鏡反応を発現する薬液A(例えば、アンモニア性銀塩水溶液)、薬液B(例えば、苛性ソーダ水溶液と還元剤水溶液との混合液)を噴出することで被処理物2に銀鏡処理を施す銀鏡室U4、銀鏡処理後の被処理物2に向けて洗浄液Cを噴出することで被処理物2に付着した余剰薬液A、Bを除去する銀鏡薬液洗浄室U5、銀鏡処理に続き洗浄した被処理物2に向けて水切用空気A1を噴出することで被処理物2に付着した洗浄液Cを吹き飛ばす水切室U6を、その順に被処理物搬送方向の上手側から並べて配置した構成にしてある。
【0024】
前記活性化室U1、活性剤洗浄室U3、銀鏡室U4、銀鏡薬液洗浄室U5の各々には、銀鏡処理ブース1外に配置された薬液A〜Eごとの圧送タンクTa〜TeからポンプPにより薬液供給路Ra〜Reを通じて個別に導かれた所定薬液を被処理物2の上方から被処理物2に向けて噴出する薬液噴出ユニット3Aを配設するとともに、同様にして導かれた所定薬液を被処理物2の側方から被処理物2に向けて噴出する補助薬液噴出ユニット3B(図2、図3を参照のこと)を配設してある。また、水切室U6には、銀鏡処理ブース1外に配置された空調機SA1で新鮮空気Aoを温湿度調整して生成したのちにファンdにより空気供給路RA1を通じて導かれた水切用空気A1を被処理物2の上方から被処理物2に向けて噴出する空気噴出具4を配設してある。
【0025】
6は、被処理物2を載置する略円盤形状の載置台Tを活性化室U1に給送する被処理物供給部、7は水切室U6から載置台Tを受ける被処理物受け部である。また、8は複数の載置台Tを被処理物供給部6から各室U1〜U6を経て被処理物受け部7まで順次に搬送する搬送手段である。
【0026】
5は、各室U1〜U6の各々に配設された回転手段としての回転支持装置であり、この回転支持装置5は、搬送手段8により室内に搬送された載置台Tを支持するとともに、薬液噴出ユニット3A及び補助薬液噴出ユニット3Bによる被処理物2への薬液噴出に並行して載置台Tとともに被処理物2を縦軸芯X周りで適宜回転させ、これにより、薬液噴出ユニット3A及び補助薬液噴出ユニット3Bによる薬液噴出で被処理物2に付着する各薬液A〜Eを被処理物2の回転での遠心作用により被処理物2から飛散させるものである。
【0027】
9は、室天井部から垂下して各室U1〜U6の上部域どうしを仕切ることで隣接室間での噴出薬液や室内空気Auの混和を阻止する仕切体としての透光性の仕切壁であり、各室U1〜U6どうしの間、被処理物供給部6と活性化室U1との間、水切室U6と被処理物受け部7との間に夫々配設してある。
【0028】
10Aは、(図2、図3を参照)各室U1〜U6において被処理物2から飛散する飛散薬液の飛散域P1に位置して飛散薬液を受け止める薬液受止体としての薬液受止板であり、10は、薬液受止板10Aを被処理物2からの飛散薬液を受け止める作用位置と後述する待避位置とに切替移動させる受止体移動手段である。この薬液受止板10Aは、各室U1〜U6において仕切壁9の下に形成される被処理物出し入れ用の室出入口部を開閉する仕切扉として兼用され、受止体移動手段10による薬液受止板10Aの作用位置と待避位置との切替移動により室出入口部を開閉する。
【0029】
つまり、この銀鏡薄膜形成設備は、受止体移動手段10との連携下で搬送手段8により複数の被処理物2を各室U1〜U6に順次に搬送するとともに、各室U1〜U6において搬送手段8との連携下で回転支持装置5により被処理物2を適宜回転させながら各処理を実行することで、被処理物2の表面に銀鏡薄膜を形成する銀鏡処理を複数の被処理物2に対し順次、自動的に実施する構成にしてある。なお、銀鏡処理ブース1内で噴出された各薬液A〜Eは、銀鏡処理ブース1下部の薬液ごとの専用回収槽15に貯留されたのち、専用排液通路16を通じて廃棄又は再利用される。
【0030】
11は、予め記憶させた設定生産スケジュールに従って、又は、被処理物受け部6に装備した検出手段としての被処理物検出器17による被処理物2の形状種や素材種などの種別の検出に基づいて、後述する各制御を行う制御盤である。
【0031】
SA2は、空気供給部から供給された新鮮空気Aoの温度及び湿度を調整して換気用空気A2を生成する空調機であり、13は、ファンdにより空調機SA2から空気供給路RA2を通じて各室U1〜U6の室天井部に導かれた換気用空気A2を室天井部のほぼ全面から室内に下向き層流状に噴出するエアチャンバである。また、14は、各室U1〜U6の室内空気Auを下方から排出するとともに、その排出空気をファンdにより排気路14aを通じて外部に排出する排出口であり、空調機SA2により各室U1〜U6における室内空気Auの温度及び湿度を調整するとともに、エアチャンバ13からの空気吹き出しと室内空気Auの下方への排出とで発生する層流状の下向き室内気流及び重力により室内におけるミスト状の浮遊薬液(すなわち、噴出に伴いミスト化した薬液や後述する被処理物2の回転による被処理物2からの離脱飛散に伴いミスト化した薬液など)を室内から効率良く排出する。
【0032】
図2〜図5は銀鏡室U4を示し、これに代表するように、前記回転支持装置5は、室内の平面視中央部において上向きに突出する縦ケース部と、その縦ケース部の下端部からブース横側方に延びる横ケース部とからなる正面視L字状の載置台支持ケース5Aを備えており、縦ケース部の上端には、載置台Tの中央部に形成した嵌合孔tに対し下方から嵌入させる位置決め手段としての嵌入凸部5eを設けた載置台受座5dを縦軸芯X周りで回転自在に設けてある。
【0033】
また、載置台支持ケース5Aには、ブース外側面部に設置したモータ5Bの回転力を載置台受座5dに伝達する回転シャフト5a、5c、べベルギア5bを内装してあり、嵌入凸部5eを嵌合孔tに嵌入させて載置台Tを載置台受座5dに受け止め支持させた状態において、モータ5Bの回転により載置台受座5dを回転させることで載置台Tをそれに載置の被処理物2とともに縦軸芯X周りで回転させる構成にしてある。
【0034】
前記回転モータ5Bは、活性化室U1、洗浄室U3、U5、及び、水切室U6においては、薬液噴出ユニット3A及び補助薬液噴出ユニット3Bによる被処理物2に向けた薬液噴出で被処理物2に付着した薬液を遠心作用により被処理物2から飛散させる比較的低い各々所定の回転速度(例えば、30回転/分程度)で被処理物2を回転させるように速度調整され、また、銀鏡室U4においては、薬液噴出ユニット3A及び補助薬液噴出ユニット3Bによる被処理物2に向けた薬液噴出に並行して、その薬液噴出で被処理物2に付着した反応済み薬液を遠心作用により付着してからの時間遅れの少ない状態で被処理物2から離脱飛散させる比較的高い回転速度(例えば、120回転/分程度)で被処理物2を回転させるように速度調整される。
【0035】
なお、静置室U2においては、載置台Tを回転させることなく、その載置台Tに載置の被処理物2を静置する。
【0036】
前記薬液噴出ユニット3Aは、略下向き四つ又形状の支持部材3aにおける下方先端部の夫々に薬液噴出ガン3bを被処理物搬送方向に駆動揺動させる状態に取り付けるとともに、駆動チェーン3cを介して支持部材3aの上部に連結した駆動モータ3dの正逆回転により被処理物搬送方向に対して直交する横方向(以下、搬送直交方向と称することがある。)で往復移動する構成にしてあり、これら揺動動作及び往復移動により被処理物2に対して噴出角度、噴出位置を変更しながら均一に各薬液A〜Eを噴出するようにしてある。
【0037】
また、前記補助薬液噴出ユニット3Bは、室内壁部に配設された略横向き二又形状の支持部の先端に一対の薬液噴出ガン3bを取り付けて構成し、この補助薬液噴出ユニット3Bにより被処理物2の側面にも各薬液A〜Eを噴出するようにしてある。
【0038】
薬液噴出ユニット3A及び補助薬液噴出ユニット3Bの薬液噴出ガン3bには、図示しないが、対応の各薬液A〜Eを各別に供給する薬液供給路Ra〜Reと空気供給路RA3とを接続してあり、空調機SA3で温湿度調整した新鮮空気Aoを薬液噴出用空気A3として空気供給路RA3を通じ薬液供給路Ra〜Reからの各薬液A〜Eとともに薬液噴出ガン3bに個別に供給するようにしてある。
【0039】
すなわち、空気供給路RA3を通じて薬液噴出ガン3bに供給した薬液噴出用空気A3を薬液噴出ガン3bから各薬液A〜Eとともに被処理物2に向けて噴出させ、これにより、各薬液A〜Eを噴霧状態(すなわち、スプレー状態)で被処理物2に向けて噴出させる。
【0040】
銀鏡室U4の薬液噴出ガン3bは、図6に示すように、一対の薬液噴出ガン3bを一セットとして、一方の薬液噴出ガン3bに薬液A供給用の薬液供給路Raを接続し、他方の薬液噴出ガン3bに薬液B供給用の薬液供給路Rbを接続してあり、その一セットの薬液噴出ガン3bを、それらの先端部どうしが近づく側に夫々所定角度に傾けて配置することで、一方の薬液噴出ガン3bから噴出される薬液Aと他方の薬液噴出ガン3bから噴出される薬液Bとが被処理物2の近傍から被処理物2の表面に至る重複領域P2で混合して銀鏡反応を発現する構成にしてある。
【0041】
つまり、この銀鏡薄膜形成設備では、薬液噴出ユニット3A及び補助薬液噴出ユニット3Bによる薬液噴出で被処理物2に付着する薬液を前述の被処理物2の回転での遠心作用により被処理物2から飛散させることによって、被処理物2の形状によって被処理物2の表面に薬液溜まりなどが生じることを抑止して、その薬液溜まりに原因する銀鏡薄膜の厚みムラや色ムラなどの不良を効果的に抑止し、そして、特に銀鏡室U4においては、薬液噴出ユニット3A及び補助薬液噴出ユニット3Bから被処理物2に向けて噴出された薬液A、Bが被処理物2への到達直後又は到達過程である重複領域P2で銀鏡反応を発現するため、この銀鏡反応による析出銀と反応済み薬液との両方が被処理物2の表面に分散して付着することになるが、その付着反応済み薬液を被処理物2から素早く離脱飛散させることによって、その付着反応済み薬液が後続の未反応薬液A、Bと混合して、その後続未反応薬液A、Bの濃度が不確定に変化したり、また、付着反応済み薬液が後続薬液A、Bの反応による析出銀と被処理物2の表面との間に介在したりするなどのことに原因する銀鏡薄膜の厚みムラや色ムラなどの不良を効果的に防止する。
【0042】
また、図6に示す銀鏡室U4の薬液噴出ガン3bに代表するように、薬液噴出ガン3bにおける薬液供給路Ra〜Reの接続部から薬液吐出口3eに至る薬液通路には、その先端の薬液吐出口3eに極力近付けて、薬液通路開閉用の開閉弁3fを設けてあり、これにより、開閉弁3fを開いた薬液噴出状態から開閉弁3fを閉じて薬液噴出を停止したときの薬液吐出口3eからの薬液落下を防止して、薬液噴出後の被処理物2に薬液吐出口3eからの落下薬液が付着することによる製品の品質低下を防止するようにしてある。
【0043】
さらにまた、銀鏡室U4の薬液噴出ガン3bは、図3に示す如く、回転支持装置5による被処理物2の回転で被処理物2の周りに形成される反応済み薬液飛散域P1の上方位置に配置することで、この飛散域P1から外れた位置から薬液A、Bを噴出するようにしてあり、これにより、これら薬液噴出ガン3bから噴出された薬液A、Bと飛散域P1内を飛散する反応済み薬液との衝突の確率を低減するようにしてある。
【0044】
前記空気供給路RA2の銀鏡室U4に対する分流路部分には、銀鏡室U4に供給する換気用空気A2の温湿度を個別に調整する空調機18を介装してあり、具体的には、この空調機18は、銀鏡室U4内に配設した温湿度検出器19により検出される銀鏡室U4の室内温度及び室内湿度に基づき銀鏡室U4に対する換気用空気A2の温湿度を個別に調整することで、銀鏡室U4の室内温度又は室内湿度を設定値に調整する構成にしてある。
【0045】
これに対し、前記制御盤11は、前記の設定生産スケジュールに従って、又は、被処理物検出器17による被処理物2の種別の検出に基づいて、銀鏡室U4の室内温湿度の設定値を銀鏡室U4に搬入される被処理物2の種別に応じて自動的に変更する構成にしてあり、これにより、銀鏡室U4の室内温湿度を被処理物2夫々の種別に応じた銀鏡反応上の好適な温湿度に自動的に変更するようにしてある。
【0046】
また、銀鏡室U4で用いる銀鏡処理用薬液A、Bの圧送タンクTa、Tbには、それら圧送タンクTa、Tb内の薬液A、Bの温度(つまり、銀鏡室U4において薬液噴出ガン3bから噴出する薬液A、Bの温度)を設定値に調整する薬液温度制御器S1、S2を設け、これに対し、前記制御部11は、前記の生産スケジュールに従って、又は、被処理物検出器17による被処理物2の種別の検出に基づいて、薬液A、Bの温度の設定値を銀鏡室U4に搬入される被処理物2の種別に応じて自動的に変更する構成にしてあり、これにより、銀鏡室U4において薬液噴出ガン3bから噴出する薬液A、Bの温度を被処理物2夫々の種別に応じた銀鏡反応上の好適な温度に自動的に変更するようにしてある。
【0047】
さらに、前記空気供給路RA3の銀鏡室U4に対する分流路部分には、銀鏡室U4に供給する薬液噴出用空気A3の温湿度を設定値に調整する空調機20を介装し、これに対し、前記制御盤11は、前記の生産スケジュールに従って、又は、被処理物検出器17による被処理物2の種別の検出に基づいて、銀鏡室U4に供給する薬液噴出用空気A3の設定値を銀鏡室U4に搬入される被処理物2の種別に応じて自動的に変更する構成にしてあり、これにより、銀鏡室U4において噴出する薬液噴出用空気A3の温湿度を被処理物2夫々の種別に応じた銀鏡反応上の好適な温湿度に自動的に変更するようにしてある。
【0048】
そしてまた、制御盤11は、前記の設定生産スケジュールに従って、又は、被処理物検出器17による被処理物2の種別の検出に基づいて、銀鏡室U4の回転モータ5Bの回転速度を銀鏡室U4に搬入される被処理物2の種別に応じて自動的に変更する構成にしてあり、これにより、銀鏡室U4における被処理物2の回転速度を被処理物2夫々の種別に応じて、適度な反応時間を確保しながら反応済み薬液を極力効果的に離脱飛散させ得る最適の回転速度に自動的に変更するようにしてある。
【0049】
加えて、制御盤11は、前記の生産スケジュールに従って、又は、被処理物検出器17による被処理物2の種別の検出に基づいて、銀鏡室U4の回転モータ5Bの回転方向、及び、回転方向の経時的切り替えパターンを自動的に変更する構成にしてあり、これにより、銀鏡室U4における被処理物2の回転方向、及び、回転方向の経時的切り替えパターンを被処理物2夫々の種別に応じて、被処理物2から反応済み薬液を効果的かつ確実に離脱飛散させ得る最適なものに自動的に変更するようにしてある。
【0050】
すなわち、この銀鏡薄膜形成設備では、設定生産スケジュール、又は、被処理物検出器17からの被処理物2の種別の検出に基づいて、銀鏡室U4内に搬送された被処理物2の種別に応じ、被処理物2の回転速度、被処理物2の回転方向及び回転方向の経時的切り替えパターンを被処理物2夫々に応じた最適なものに自動変更するとともに、薬液噴出用空気A3の温湿度、銀鏡処理用の薬液A、Bの温度、銀鏡室U4の室内温湿度を被処理物2夫々に応じた好適なものに自動変更することで、複数の被処理物2を順次、自動的に処理する場合において、銀鏡薄膜の厚みムラや色ムラなどの不良を一層効果的かつ確実に防止する。
【0051】
前記薬液受止板10Aは、図3に示す如く、被処理物2から飛散する飛散薬液の飛散域P1に位置する前述の作用位置において、被処理物2の搬送方向視で隣室から見て被処理物2及びその周囲を十分に覆い隠し、かつ、上縁部が仕切壁9の下縁部とラップする横寸法L1と縦寸法L2とを有するもの(本例では、被処理物2とそれを載置する載置台Tとの横方向における最大直径Rよりも大なる横寸法L1で、かつ、仕切壁9の下縁部から載置台Tの下端までの長さLよりも大なる縦寸法L2)にしてあり、前記室出入口部を閉塞する状態で、被処理物2から飛散する薬液(銀鏡室U4においては、反応済み薬液)を受け止め、特に、隣室側の被処理物2に向かう飛散薬液を確実に受け止めるようにしてある。
【0052】
前記受止体移動手段10は、図2〜図5に示す如く、被処理物受け部7付近に配設のエアシリンダ10Cに連結された各室U1〜U6に対する共通回動シャフト10Bに、各室U1〜U6に対する前記薬液受止板10Aを取り付けて構成してあり、搬送手段8との連携下で共通駆動手段としてのエアシリンダ10Cにより共通回動シャフト10Bをシャフト軸芯周り約90度の範囲で回動操作することで、薬液受止板10Aを共通回動シャフト10Bのシャフト軸芯周りで揺動させて、図3、図5に示す前記作用位置(前記室出入口部を閉じた状態)と図2、図4に示す待避位置(前記室出入口部を開いた状態)とに切替移動させる構成にしてある。そして、待避位置においては、薬液受止板10Aが被処理物2の移動経路及びその経路の直上方から外れた位置に、詳しくは、搬送手段8による被処理物搬送により被処理物2が通過する前記移動経路としての被処理物通過域、及び、室内において被処理物通過域の直上方に形成される移動経路直上域hから側方に外れた位置に位置するようにしてある。
【0053】
つまり、この受止体移動手段10により薬液噴出ユニット3A及び補助薬液噴出ユニット3Bからの薬液噴出の際、薬液受止板10Aを前記作用位置に位置させておくことで、室出入口部を通じた作業域間での噴出薬液及び域内空気Auの混和を抑止するとともに、回転支持装置5による回転遠心力で被処理物2から飛散する薬液(銀鏡室U4においては、反応済み薬液)が隣室まで飛散するのを効果的に抑止し、これにより、飛散薬液が隣室内の被処理物2などに付着するなどの不具合を抑止する。
【0054】
また、被処理物2を搬送するときには、薬液受止板10Aを移動経路及び移動経路直上域hから側方に外れた退避位置に位置させることで、回転遠心力により被処理物2から離脱飛散して作用位置の薬液受止板10Aに付着した薬液が室出入口部を通過する被処理物2に落下付着することを防止し、飛散薬液の落下付着に原因する銀鏡薄膜の厚みムラや色ムラなどの不良も効果的かつ確実に防止する。
【0055】
前記搬送手段8は、図7、図8に示す如く、載置台Tを被処理物搬送方向の上手室における回転支持装置5の載置台受座5dから下手側隣接室における回転支持装置5の載置台受座5dまで略水平に移送する移送装置8Aと、この移送装置8Aを昇降させることで、各室U1〜U6における回転支持装置5の載置台受座5dに対して載置台Tを離着座させる昇降装置8Bとから構成してあり、昇降装置8Bによる移送装置8Aの上昇により載置台Tを載置台受座5dから上方に離座させる上昇工程と、離座させた載置台Tを移送装置8Aにより下手側隣接室へ移送する往動工程(図7(イ)〜(ロ)参照)と、昇降装置8Bによる移送装置8Aの下降により載置台Tを下手側隣接室の載置台受座5dに着座させる下降工程(図8(イ)〜(ロ)参照)と、載置台Tを下手側隣接室に残して下降状態の移送装置8Aを上手側に戻す復動工程とを、その順に繰り返すことで載置台T及びそれに載置の被処理物2を搬送方向下手側へ順次送るようにしてある。
【0056】
前記移送装置8Aは、搬送対象の載置台Tを載置支持する一対の搬送レール8aをブース長手方向にわたらせた状態で複数のレール受け部材8bにより被処理物搬送方向に摺動自在に支持するとともに、この搬送レール8aを被処理物搬送方向で押し引き操作するレール駆動部8cをレール受け部材8bの下部に固定して構成してあり、このレール駆動部8cによる押し引き操作により搬送レール8aを被処理物搬送方向で往復摺動させることで、その往動をもって前記往動工程を行い、また、その復動をもって前記復動工程を行うようにしてある。
【0057】
前記レール駆動部8cは、ボールネジ8eを回転自在な状態でレール受け部材8bに対し連結固定するとともに、そのボールネジ8eに螺合させたスライダ8fの上端を搬送レール8aに連結して構成してあり、搬送レール8aの押し引き操作としては、駆動モータ8dによるボールネジ8eの正逆回転駆動によりスライダ8fを被処理物搬送方向で往復移動させることで、搬送レール8aを図7(イ)の状態と図7(ロ)の状態とに亘って室間隔で往復移動させる構成にしてある。
【0058】
前記昇降装置8Bは、一対の長尺角棒状の支持フレーム8gを被処理物供給部6と被処理物受け部7とにわたらせて固設し、この支持フレーム8gを基台として、エアシリンダ8hによる共通操作棒8iの押し引き操作により移送装置8Aのレール受け部材8bを昇降させるリンクユニット8Dを2室ごとに1個の間隔で複数個設けて構成してある。
【0059】
前記リンクユニット8Dは、上端を前記レール受け部材8bに枢支連結した第1リンク部材8jと、上端を第1リンク部材8jの中央部に枢支連結するとともに、下端を支持フレーム8gに枢支連結した第2リンク部材8kとを備え、これら第1、第2リンク部材8j、8kは、レール受け部材8bと第1リンク部材8jとの枢支点が側面視で支持フレーム8gと第2リンク部材8kとの枢支点の直上方に位置する状態に組み付けてある。
【0060】
また、第1リンク部材8jの下端には、支持フレーム8g上を被処理物搬送方向に転動させる転輪8mを取り付けてあり、各第1リンク部材8jの転輪8mを前記共通操作棒8iに対し枢着することで、エアシリンダ8hによる共通操作棒8iの押し引き操作により各第1リンク部材8jの転輪8mを支持フレーム8g上で同調させて転動させる構成にしてある。
【0061】
つまり、共通操作棒8iの押し引き操作により各第1リンク部材8jの転輪8mを第2リンク部材8k側に寄せて、各第1リンク部材8jの傾き角度をK2からK1にする(図8(イ)(ロ)参照)ことで、レール受け部材8bを上昇させて搬送レール8aを上昇させる前記上昇工程を行い、また、共通操作棒8iの押し引き操作により各第1リンク部材8jの転輪8mを第2リンク部材から離れる側に寄せて、各第1リンク部材8jの傾き角度をK1からK2にすることで、レール受け部材8bを下降させて搬送レール8aを下降させる前記下降工程を行うようにしてある。
【0062】
なお、薬液噴出ユニット3A及び補助薬液噴出ユニット3Bは、被処理物2の表面に銀鏡処理を施すための薬液A〜Eを被処理物2に向けて噴出する薬液噴出手段に相当し、各室U1〜U6は、被処理物2の表面に銀鏡処理を施すための作業域に相当する。
【0063】
[別実施形態]
次に本発明の別実施形態を列記する。
前述の実施形態では、各室U1〜U6の上部域どうしを仕切る仕切体を設けるとともに、その仕切壁9の下に形成される室出入口部を薬液受止体で仕切ることで、仕切体と薬液受止体とにより室どうしを仕切る構成にしていたが、仕切壁9を設けずに薬液受止体10Aにより各室U1〜U6の上部域から室出入口部に亘る部分どうしを仕切る、或いは、室どうしを完全に仕切るなど、薬液受止体を仕切体として兼用する構成にしてもよい。
【0064】
前述の実施形態では、各室U1〜U6の上部域どうしを仕切る仕切壁9を設けるとともに、その仕切壁9の下に形成される室出入口部を薬液受止板10Aの作用位置とする構成にしていたが、仕切壁9の内側における室出入口部の上方部分を薬液受止板10Aの作用位置とする構成にして、薬液受止体10Aにより仕切壁9の内側面における室出入口部の上方に位置する部分に噴出薬液や飛散薬液が付着するのを抑止するようにしてもよい。
【0065】
前述の実施形態では、薬液噴出ユニット3A及び補助薬液噴出ユニット3Bによる被処理物2への薬液噴出に並行して被処理物2を回転させる構成にしていたが、例えば、薬液噴出ユニット3A及び補助薬液噴出ユニット3Bによる被処理物2への薬液噴出後に被処理物2を回転させる構成にしてもよい。
【0066】
前述の実施形態では、被処理物2の移動経路及びその移動経路の直上方から側方に外れた位置を薬液受止板10Aの待避位置としていたが、被処理物2の移動経路及びその移動経路の直上方から下方に外れた位置を薬液受止板10Aの待避位置としてもよく、また、被処理物2の移動経路及びその移動経路の直上方を蓋する別部材を配設して、その別部材の上方位置を薬液受止板10Aの待避位置としてもよい。
【0067】
前述の実施形態では、被処理物2から飛散する飛散薬液を受け止める薬液受止体として板状形状の薬液受止板10Aを例に示したが、薬液受止体の形状はドーム型形状や箱型形状やリング型形状など種々の形状であってもよい。
【0068】
また、薬液受止体の形状をドーム型形状、箱型形状、リング型形状などの形状とする場合において、薬液受止体が被処理物2を囲う位置を作用位置とし、被処理物2を囲う状態を脱する位置を待避位置とする構成にして、被処理物2の移動経路を適宜設定できるようにしてもよい。
【0069】
前述の実施形態では、銀鏡処理ブース1と、銀鏡処理ブース1の天井部から垂下する仕切壁9とを設け、その仕切壁9の下方に形成される室出入口部を薬液受止体としての薬液受止板10Aにより仕切ることで、被処理物2の表面に銀鏡処理するための作業域としての各室U1〜U6を形成していたが、薬液受止体の形状をドーム型形状、箱型形状にするとともに、薬液受止体が被処理物2を囲う位置を前記作用位置とする構成にして、その作用位置において薬液受止体単独で作業域を形成するようにしてもよい。
【0070】
前述の実施形態では、活性化室U1、活性剤洗浄室U2、銀鏡室U4、銀鏡薬液洗浄室U5の夫々を1室づつ設けていたが、これらの室を必要に応じて分割してもよい。
【0071】
また、上述の如く室を分割した場合において、分割した室の前段と後段とで、回転支持装置5による回転速度や回転方向、回転方向の切り替えパターンを必要に応じ変更してもよく、また、薬噴出手段から噴出される薬液A〜Eの濃度や噴出量、銀鏡処理用薬液A、Bの混合比率などを必要に応じ変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】銀鏡薄膜形成設備の全体構成を示す説明図
【図2】被処理物搬送時における銀鏡室の被処理物搬送直交方向断面図
【図3】薬液噴出時における銀鏡室の被処理物搬送直交方向断面図
【図4】被処理物搬送時における銀鏡室の被処理物搬送方向断面図
【図5】薬液噴出時における銀鏡室の被処理物搬送方向断面図
【図6】混合により銀鏡反応を発現する薬液の噴出状態を示す説明図
【図7】搬送装置の説明図
【図8】搬送装置の説明図
【符号の説明】
【0073】
2 被処理物
3A 薬液噴出手段(薬液噴出ユニット)
3B 薬液噴出手段(補助薬液噴出ユニット)
5 回転手段(回転支持装置)
9 仕切体(仕切壁)
10 受止体移動手段
10A 薬液受止体(薬液受止板)
10C 共通駆動手段(エアシリンダ)
A〜E 薬液
P1 飛散域
U1〜U6 作業域(活性室、静置室、活性剤洗浄室、銀鏡室、銀鏡薬液洗浄室、水切室)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物の表面に銀鏡処理を施すための薬液を被処理物に向けて噴出する薬液噴出手段と、被処理物を回転させる回転手段とを設けてある銀鏡薄膜形成設備であって、
前記薬液噴出手段による薬液噴出で被処理物に付着する薬液を前記回転手段による被処理物回転での遠心作用により被処理物から飛散させる構成にするとともに、
この飛散薬液の飛散域に位置して飛散薬液を受け止める薬液受止体を設け、この薬液受止体を、飛散薬液を受け止める作用位置と被処理物の移動経路及びその経路の直上方から外れた待避位置とに切替移動させる受止体移動手段を設けてある銀鏡薄膜形成設備。
【請求項2】
前記薬液噴出手段は、混合により銀鏡反応を発現する複数種の薬液を被処理物の表面又はその近傍で反応させる状態で噴出する構成にするとともに、
前記回転手段は、前記薬液噴出手段による被処理物に向けた薬液噴出に並行して被処理物を回転させる構成にしてある請求項1記載の銀鏡薄膜形成設備。
【請求項3】
被処理物の表面に銀鏡処理を施すための作業域どうしを仕切る仕切体を設けるとともに、
前記薬液受止体は、前記仕切体の内側で、且つ、前記作業域に対して被処理物を出し入れする出入口部の上方を前記作用位置とする構成にしてある請求項1又は2記載の銀鏡薄膜形成設備。
【請求項4】
前記薬液受止体は、それが前記作用位置にあるとき、被処理物の表面に銀鏡処理を施すための作業域どうしを仕切る構成にしてある請求項1又は2記載の銀鏡薄膜形成設備。
【請求項5】
前記薬液受止体は、それが前記作用位置にあるとき、仕切体により仕切られた前記作業域どうしの被処理物出入口部を閉塞する構成にしてある請求項4記載の銀鏡薄膜形成設備。
【請求項6】
複数の前記作業域に対し前記薬液受止体を夫々設ける構成にするとともに、
前記受止体移動手段は、複数の前記薬液受止体を共通駆動手段により切替移動させる構成にしてある請求項1〜5のいずれか1項に記載の銀鏡薄膜形成設備。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−217721(P2007−217721A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−36542(P2006−36542)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000149790)株式会社大気社 (136)
【出願人】(506012534)有限会社ジェイ・エー・コーティング (2)
【Fターム(参考)】