説明

【解決手段】回動支持部3で互いに開閉動可能に支持した一対の鋏片1,2のうち、第一の鋏片1には一対の刃板8を備え、第二の鋏片2には第一の鋏片1の両刃板8間に挿入される刃板9を備えている。第二の鋏片2の刃板9において回動支持部3と刃先部10aとの間で設けた刃縁10には凸部12と凹部13とを刃縁10に沿って交互に並設した凹凸刃11を設けている。文字が書かれた書面を両鋏片1,2により切断すると、その文字区域を各小片に分断し、その各小片の文字の判別を難しくする。また、第二の鋏片の刃板において刃縁には刃先部から連続する凸刃を設けた。
【効果】鋏にシュレッダー的機能を持たせることができる。また、文字区域を書面から短冊状の切断片として切り離し易くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュレッダー的機能を有する鋏、並びに、短冊状に切り離す鋏に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1にかかる鋏では、回動支持部で互いに開閉動可能に支持した一対の鋏片のうち、一方の鋏片には互いに間隔をあけて並べた一対の刃板を備え、他方の鋏片にはこの一方の鋏片の両刃板間に挿入される刃板を備えている。
【特許文献1】特開平9−84968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1にかかる鋏では、図18(a)に示すように文字30が書かれた書面29においてその文字30がある区域31の表裏両面に両鋏片の刃板を当てがい、その文字区域31をそれらの刃板により切断すると、図18(b)に示すように、その文字区域31には互いに平行な縦の両切り込み32が形成される。この文字区域31をその切り込み32で切り抜いても、図18(c)に示すように、この文字区域31を書面29から短冊状に切り離せないことが多々あり、その際にはこの文字区域31を破って書面29から短冊状に切り離す必要があった。また、この文字区域31を短冊状に切り離すことができるか否かにかかわらず、文字30が切断されずに残るため、その文字30を十分に読み取ることができる。
【0004】
さらに、両鋏片のうち一方の鋏片の刃板が凹凸状に形成された散髪用すき鋏では、図19(a)に示すように文字30が書かれた書面29においてその文字30がある区域31の表裏両面に両鋏片の刃板を当てがい、その文字区域31をそれらの刃板により切断すると、図19(b)に示すように、その文字区域31には縦横の切り込み48が形成される。しかし、この文字区域31は書面29から切り離されずに書面29にそのまま残るため、その文字30を十分に読み取ることができる。
【0005】
いずれにしても、これらの鋏はシュレッダー的機能を持たせる目的で設計されたものではない。
この発明はシュレッダー的機能を持たせる全く新しい発想のもとで設計された鋏を提供することを目的としている。また、この発明は文字区域を書面から短冊状に切り離し易くすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態の図面(図1,2,5に示す第1実施形態、図3,5に示す第2実施形態、図4,5に示す第3実施形態、図6に示す第1〜3実施形態の別例1、図7に示す第1〜3実施形態の別例2、図8に示す第1〜3実施形態の別例3、図9に示す第1〜3実施形態の別例4、図10に示す第1〜3実施形態の別例5、図11に示す第1〜3実施形態の別例6、図12に示す第1〜3実施形態の別例7、図13に示す第1〜3実施形態の別例8、図14に示す第1〜3実施形態の別例9、図15〜17に示す第4実施形態)の符号を援用して本発明にかかる鋏(洋鋏または和鋏)を説明する。
【0007】
請求項1の発明にかかる鋏は、第1〜3実施形態及びそれらの実施形態の別例1〜9に対応し、下記のように構成されている。
回動支持部3で互いに開閉動可能に支持した一対の鋏片1,2のうち、第一の鋏片1には互いに並べた一対の刃板8を備え、第二の鋏片2にはこの第一の鋏片1の両刃板8間に挿入される刃板9を備えている。この第二の鋏片2の刃板9において回動支持部3と刃先部10aとの間に設けた刃縁10には凸部12と凹部13とを刃縁10に沿って交互に並設した凹凸刃11を設けている。
【0008】
請求項2の発明にかかる鋏は、第1〜3実施形態及びそれらの実施形態の別例1〜9に対応し、下記のように構成されている。
回動支持部3で互いに開閉動可能に支持した一対の鋏片1,2のうち、第一の鋏片1には互いに並べた一対の刃板8を備え、第二の鋏片2にはこの第一の鋏片1の両刃板8間に挿入される刃板9を備えている。この第一の鋏片1の両刃板8において回動支持部3と刃先部27aとの間に設けた刃縁27にはその刃縁27の延設方向Xに沿って延びる縦切刃28を設けている。この第二の鋏片2の刃板9において回動支持部3と刃先部10aとの間に設けた刃縁10で厚み方向Zの両側には両鋏片1,2の開閉時にこの第一の鋏片1の両刃板8の縦切刃28に噛み合う縦切刃23,26を設けるとともに、この第二の鋏片2の刃板9における刃縁10でこの両縦切刃23,26間には複数の横切刃22を刃縁10の延設方向Xに沿って並設している。
【0009】
請求項1の発明を前提とする請求項3の発明にかかる鋏は、第1〜3実施形態及びそれらの実施形態の別例1〜9に対応し、下記のように構成されている。
前記第一の鋏片1の両刃板8において回動支持部3と刃先部27aとの間に設けた刃縁27にはその刃縁27の延設方向Xに沿って延びる縦切刃28を設けている。前記第二の鋏片2の刃板9において刃縁10の凹凸刃11の凸部12及び凹部13で厚み方向Zの両側には両鋏片1,2の開閉時にこの第一の鋏片1の両刃板8の縦切刃28に噛み合う縦切刃23を設けるとともに、この第二の鋏片2の刃板9において刃縁10の凹凸刃11の凸部12でこの両縦切刃23間に横切刃22を設けて刃縁10の延設方向Xに沿って並設している。
【0010】
請求項2または請求項3の発明で、第二の鋏片2の刃板9において、横切刃22は、両縦切刃23間でその縦切刃23に対し連続していることが好ましいが、切断可能であれば連続していなくてもよい。
【0011】
請求項1〜3の発明では、文字30が書かれた書面29においてその文字区域31を各小片34に分断し、その各小片34の文字30の判別を難しくすることができる。
請求項1または請求項3の発明を前提とする請求項4の発明(第1,3実施形態及びそれらの実施形態の別例1〜9に対応)において、前記第二の鋏片2の刃板9で凹凸刃11は、刃先部10aから回動支持部3側に延びる先端側刃縁域14を外してその先端側刃縁域14から回動支持部3側に延びる基端側刃縁域15に設けられている。その基端側刃縁域15は、先端側刃縁域14から回動支持部3までの全域に設けても、先端側刃縁域14から回動支持部3に至る途中まで設けてもよい。請求項4の発明では、凹凸刃11のない先端側刃縁域14を利用すれば、書面29を短冊状にも切断することができる。
【0012】
請求項1または請求項3の発明を前提とする請求項5の発明(第2実施形態及びその実施形態の別例1〜9に対応)において、前記第二の鋏片2の刃板9で凹凸刃11は、刃先部10aから回動支持部3側に延びる刃縁域35に設けられている。その刃縁域35は、刃先部10aから回動支持部3までの全域に設けても、刃先部10aから回動支持部3に至る途中まで設けてもよい。請求項5の発明では、一度の切断により各小片34に分断し得る文字区域31を長くすることができる。
【0013】
請求項3の発明を前提とする請求項6の発明(第1〜3実施形態の別例6〜9に対応)において、前記凹凸刃11の凸部12は、刃縁10の延設方向Xで互いに並ぶ両横切刃22と刃縁10の厚み方向Zで互いに並ぶ両縦切刃23とで囲まれた端部21で突出する押圧部42を有している。例えば、この押圧部42は尖端部43を有している。請求項6の発明では、切断時に押圧部42が書面29の文字区域31にくい込むので、文字区域31の分断をより一層確実に行うことができる。
【0014】
請求項3の発明を前提とする請求項7の発明(第1〜3実施形態の別例2〜5,7,8に対応)において、前記凹凸刃11の凸部12は尖端部41,43を有し、その凸部12の尖端部41,43に前記横切刃22を設けている。請求項7の発明では、切断時に横切刃22を有する尖端部41,43が書面29の文字区域31にくい込むので、文字区域31の分断をより一層確実に行うことができる。
【0015】
請求項8の発明にかかる鋏は、第4実施形態に対応し、下記のように構成されている。
回動支持部3で互いに開閉動可能に支持した一対の鋏片1,2のうち、第一の鋏片1には互いに並べた一対の刃板8を備え、第二の鋏片2にはこの第一の鋏片1の両刃板8間に挿入される刃板9を備えている。この第二の鋏片2の刃板9において回動支持部3と刃先部10aとの間に設けた刃縁10には凸刃44を設けている。
【0016】
請求項8の発明では、刃板9の凸刃44が両刃板8間に押し込まれるので、この凸刃44により、縦の両切り込み32と連続する横の切り込み33が形成され易くなる。この縦の両切り込み32と横の切り込み33とにより、文字区域31は書面29から短冊状の切断片47として切り離される。
【0017】
請求項9の発明にかかる鋏は、第4実施形態に対応し、下記のように構成されている。
回動支持部3で互いに開閉動可能に支持した一対の鋏片1,2のうち、第一の鋏片1には互いに並べた一対の刃板8を備え、第二の鋏片2にはこの第一の鋏片1の両刃板8間に挿入される刃板9を備えている。この第一の鋏片1の両刃板8において回動支持部3と刃先部27aとの間に設けた刃縁27にはその刃縁27の延設方向Xに沿って延びる縦切刃28を設けている。この第二の鋏片2の刃板9において回動支持部3と刃先部10aとの間に設けた刃縁10には凸部44を設け、この凸部44を含む刃縁10で厚み方向Zの両側には両鋏片1,2の開閉時にこの第一の鋏片1の両刃板8の縦切刃28に噛み合う縦切刃26,45を設けるとともに、この第二の鋏片2の刃板9における刃縁10の凸部44でこの両縦切刃28間には横切刃46を設けている。
【0018】
請求項9の発明では、刃板9で縦切刃45及び横切刃46を有する凸部44が両刃板8間に押し込まれるので、この凸部44の横切刃46により、縦の両切り込み32と連続する横の切り込み33が形成され易くなる。この縦の両切り込み32と横の切り込み33とにより、文字区域31は書面29から短冊状の切断片47として切り離される。
【0019】
請求項9の発明を前提とする請求項10の発明(第4実施形態に対応)において、前記第二の鋏片2の刃板9における刃縁10で凸部44は刃先部10aから連続して形成されている。請求項10の発明では、回動支持部3から刃先部10aにわたる長い範囲で短冊状の切断片47を切り離すことができる。
【0020】
次に、請求項以外の技術的思想について実施形態の図面の符号を援用して説明する。
請求項1から請求項7のうちいずれかの請求項の発明を前提とする第11の発明は、第1〜3実施形態及びそれらの実施形態の別例1〜9に対応する洋鋏に係り、下記のように構成されている。
【0021】
この洋鋏においては、一対の鋏片1,2を回動支持部3でX状に交差させて互いに開閉動可能に支持し、この両鋏片1,2で回動支持部3よりも基端側に柄部4,5を設けるとともに回動支持部3よりも先端側に刃部6,7を設けている。第一の鋏片1の刃部6には互いに間隔Sをあけて並べた一対の刃板8を備えている。第二の鋏片2の刃部7にはこの第一の鋏片1の両刃板8間に挿入される刃板9を備えている。第11の発明では、請求項1から請求項7のうちいずれかの請求項の発明の効果を洋鋏において発揮させることができる。
【0022】
第11の発明を前提とする第12の発明は、第1実施形態及びその実施形態の別例1〜9に対応し、下記のように構成されている。
前記両鋏片1,2間の回動支持部3では第一の鋏片1の刃部6の両刃板8間に第二の鋏片2の刃部7の刃板9を挟持している。前記第一の鋏片1の柄部4において第一の鋏片1の刃部6の両刃板8から前記回動支持部3を介して延設された支持板16間に連結板17を挟持し、その連結板17に指掛部18を設けている。前記第二の鋏片2の柄部5において第二の鋏片2の刃部7の刃板9から延設された支持板19に指掛部20を設けている。第12の発明では、洋鋏において第一の鋏片1の構造を簡単にすることができる。
【0023】
第11の発明を前提とする第13の発明は、第2実施形態及びその実施形態の別例1〜9に対応し、下記のように構成されている。
前記両鋏片1,2間の回動支持部3では第一の鋏片1の刃部6の両刃板8間に第二の鋏片2の刃部7の刃板9を挟持している。前記第一の鋏片1の柄部4において第一の鋏片1の刃部6の両刃板8から前記回動支持部3を介して延設された支持板16のうち、一方の刃板8から延設された一方の支持板16に指掛部36を設けるとともに、他方の刃板8から延設された他方の支持板16に折曲部37を設けてその折曲部37を一方の支持板16に重ねて連結している。前記第二の鋏片2の柄部5において第二の鋏片2の刃部7の刃板9から延設された支持板19に指掛部20を設けている。第13の発明では、洋鋏において第一の鋏片1の構造を簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は鋏にシュレッダー的機能を持たせることができる。また、本発明は文字区域31を書面29から短冊状の切断片47として切り離し易くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
まず、本発明の第1実施形態にかかる鋏について図1,2,5を参照して説明する。
一対の鋏片1,2が回動支持部3でX状に交差して互いに開閉動可能に支持されたいわゆる洋鋏において、この両鋏片1,2で回動支持部3よりも基端側に柄部4,5が設けられているとともに回動支持部3よりも先端側に刃部6,7が設けられている。第一の鋏片1の刃部6は互いに間隔Sをあけて並べられた一対の刃板8を備えている。第二の鋏片2の刃部7はこの第一の鋏片1の両刃板8間に挿入される刃板9を備えている。
【0026】
この第二の鋏片2の刃板9において回動支持部3と刃先部10aとの間で設けられた刃縁10には凹凸刃11が設けられている。この凹凸刃11においては、複数の凸部12と複数の凹部13とが刃縁10の延設方向Xに沿って交互に並設されている。この凹凸刃11は、刃先部10aから回動支持部3側に延びる先端側刃縁域14を外してその先端側刃縁域14から回動支持部3までの全域で延びる基端側刃縁域15に設けられている。
【0027】
前記両鋏片1,2間の回動支持部3では第一の鋏片1の刃部6の両刃板8間に第二の鋏片2の刃部7の刃板9が挟持されている。第一の鋏片1の柄部4において第一の鋏片1の刃部6の両刃板8から回動支持部3を介して延設された支持板16間には連結板17が挟持されて取着され、その連結板17に環状の指掛部18が設けられている。第二の鋏片2の柄部5において第二の鋏片2の刃部7の刃板9から延設された支持板19には環状の指掛部20が設けられている。
【0028】
前記凹凸刃11の各凸部12において平坦な端部21は長方形状をなしている。刃縁10の延設方向Xで対辺になる端部21の角縁には横切刃22が刃縁10の厚み方向Zに沿って互いに平行に延びるように形成されているとともに、刃縁10の厚み方向Zで対辺になる端部21の角縁には縦切刃23が刃縁10の延設方向Xに沿って互いに平行に延びるように形成されている。この両横切刃22と両縦切刃23とは互いに連続して端部21を囲っている。この各凸部12においては、その端部21の両横切刃22から各凹部13の底部に向けて刃縁10の幅方向Yへ延びる内側面24と、その端部21の両縦切刃23から各凹部13の底部に向けて刃縁10の幅方向Yへ延びる外側面25とが設けられている。前記凹凸刃11の各凹部13において刃縁10の厚み方向Zで対辺になる底部の角縁や、この両内側面24と両外側面25との境になる角縁にも縦切刃23が形成されている。この凹凸刃11において、各凸部12の横切刃22は各凹部13で互いに間隔をあけて刃縁10の延設方向Xに沿って並設されているとともに、各凸部12及び各凹部13の縦切刃23は刃縁10の延設方向Xに沿って延設されている。この各凸部12で刃縁10の延設方向Xの長さは各凹部13で刃縁10の延設方向Xの長さよりも大きくなっている。
【0029】
第二の鋏片2の刃板9の刃縁10において凹凸刃11のない先端側刃縁域14で厚み方向Zの両側には縦切刃26が刃縁10の延設方向Xに沿って連続的に形成されている。第一の鋏片1の両刃板8において回動支持部3と刃先部27aとの間で設けられた刃縁27には縦切刃28が刃縁27の延設方向Xに沿って連続的に形成されている。両鋏片1,2の開閉時には、第一の鋏片1の両刃板8の刃縁27における縦切刃28と第二の鋏片2の刃板9における刃縁10の各縦切刃23及び縦切刃26とが互いに噛み合い、第二の鋏片2の刃板9における刃縁10の各横切刃22が第一の鋏片1の両刃板8の刃縁27における縦切刃28間でその縦切刃28に連続する。なお、実際には、この両刃板8の刃縁27の刃先部27aは、噛み合い抵抗を持たせるために互いに接触し、両刃板8間に対する刃板9の挿入により互いに広がる。
【0030】
図5(a)に示すように文字30が書かれた書面29においてその文字30がある区域31の表裏両面に両鋏片1,2の刃部6,7を当てがい、その文字区域31を凹凸刃11により切断すると、図5(b)に示すように、その文字区域31には、両刃板8の刃縁27の縦切刃28と、刃板9の刃縁10で凹凸刃11の各凸部12及び各凹部13の縦切刃23との噛み合いにより、互いに平行な縦の両切り込み32が形成されるとともに、刃板9の刃縁10で凹凸刃11の各凸部12の横切刃22により、この両切り込み32と連続する横の切り込み33が形成される。この文字区域31をそれらの切り込み32,33で切り抜くと、図5(c)(d)に示すように、この文字区域31は各小片34に分断されて切り離され、その各小片34の文字30を判別することが難しくなる。また、この凹凸刃11を使用せず、両刃板8の刃縁27の縦切刃28と、刃板9の刃縁10で先端側刃縁域14の両縦切刃26との噛み合いにより、書面29を短冊状にも切断することができる。
【0031】
次に、本発明の第2実施形態にかかる鋏について第1実施形態との相違点を中心に図3,5を参照して説明する。
前記第二の鋏片2の刃板9において凹凸刃11は、刃先部10aから回動支持部3までの全部にある刃縁域35に設けられている。第一の鋏片1の刃部6の両刃板8における刃縁27には縦切刃28を付けるための刃付け面27bが傾斜状に形成されている。
【0032】
前記第一の鋏片1の柄部4において第一の鋏片1の刃部6の両刃板8から前記回動支持部3を介して延設された支持板16のうち、一方の刃板8から延設された一方の支持板16には環状の指掛部36が設けられているとともに、他方の刃板8から延設された他方の支持板16には折曲部37が設けられてその折曲部37が一方の支持板16に対し直接重ねられて連結されている。
【0033】
なお、この第2実施形態の洋鋏においても、図5(a)(b)(c)(d)に示す第1実施形態の洋鋏による切断作用と同様に、文字30が書かれた書面29から各小片34が分断されて切り離され、その各小片34の文字30を判別することが難しくなる。
【0034】
次に、本発明の第3実施形態にかかる鋏について第1実施形態との相違点を中心に図4,5を参照して説明する。
前記第一の鋏片1の柄部4において第一の鋏片1の刃部6の両刃板8から前記回動支持部3を介して延設された支持板16のうち、一方の刃板8から延設された一方の支持板16には環状の指掛部36が設けられているとともに、他方の刃板8から延設された他方の支持板16とこの一方の支持板16との間に間隔保持板38が挟持されてこの両支持板16がこの間隔保持板38を介して互いに連結されている。この間隔保持板38はプラスチックにより成形してもよい。
【0035】
第一の鋏片1の柄部4において一方の支持板16に形成された両切欠部39,40のうち、狭い切欠部39はCDROMやFPディスクなど比較的折り易い薄目の電子部品を折る際に使用し、広い切欠部40はPCカードやスティックメモリなど比較的折りにくい厚目の電子部品を折る際に使用する。
【0036】
なお、この第2実施形態の洋鋏においても、図5(a)(b)(c)(d)に示す第1実施形態の洋鋏による切断作用と同様に、文字30が書かれた書面29から各小片34が分断されて切り離され、その各小片34の文字30を判別することが難しくなる。
【0037】
次に、第1〜3実施形態の別例1〜9について図6〜14を参照して説明する。これらの別例1〜9は第1〜3実施形態における凹凸刃11の形態を変更している。
図6に示す第1〜3実施形態の別例1は第1実施形態と比較して下記の点で異なる。
【0038】
凹凸刃11の各凸部12において、各凹部13で相対向する内側面24の間隔が凸部12の端部21から凹部13の底部へ向うに従い次第に狭まり、両外側面25で両内側面24との境となる両角縁の縦切刃23が凸部12の端部21から凹部13の底部へ向うに従い次第に広がるように傾斜している。
【0039】
図7に示す第1〜3実施形態の別例2は第1実施形態と比較して下記の点で異なる。
凹凸刃11の各凸部12において、両外側面25が鋸刃状をなし、この両外側面25の頂部を結ぶ尖端部41に横切刃22が形成されている。
【0040】
図8に示す第1〜3実施形態の別例3は、上記別例2と比較して、鋸刃状をなす両外側面25の向きが逆になっている点で異なる。
図9に示す第1〜3実施形態の別例4は第1実施形態と比較して下記の点で異なる。
【0041】
凹凸刃11の各凸部12において、両外側面25が二等辺三角形状をなし、この両外側面25の頂部を結ぶ尖端部41に横切刃22が形成されている。
図10に示す第1〜3実施形態の別例5は、上記別例4と比較して、尖端部41に僅かな丸みを持たせている点で異なる。
【0042】
図11に示す第1〜3実施形態の別例6は第1実施形態と比較して下記の点で異なる。
凹凸刃11の各凸部12において、両横切刃22と両縦切刃23とで囲まれた端部に押圧部42が突設されている。両内側面24で押圧部42は二等辺三角形状をなし、両横切刃22間の頂部を結ぶ尖端部43が形成されている。
【0043】
図12に示す第1〜3実施形態の別例7は第1実施形態と比較して下記の点で異なる。
凹凸刃11の各凸部12において、両横切刃22と両縦切刃23とで囲まれた端部に押圧部42が突設されている。両外側面25で押圧部42は二等辺三角形状をなし、両縦切刃23間の頂部を結ぶ尖端部43に横切刃22が形成されている。
【0044】
図13に示す第1〜3実施形態の別例8は、上記別例7と比較して、各凹部13の底部の形状を変更している点で異なる。
図14に示す第1〜3実施形態の別例9は第1実施形態と比較して下記の点で異なる。
【0045】
凹凸刃11の各凸部12において、両横切刃22と両縦切刃23とで囲まれた端部に正四角錐形状の押圧部42が突設され、その押圧部42の頂部に尖端部43が形成されている。
【0046】
次に、本発明の第4実施形態にかかる鋏について第1実施形態との相違点を中心に図15〜17を参照して説明する。
第1実施形態において第二の鋏片2の刃板9の刃縁10に設けられた凹凸刃11が省略され、その刃縁10で凸刃としての凸部44が刃先部10aから連続して形成されている。この凸部44のない刃縁10で厚み方向Zの両側には両鋏片1,2の開閉時に第一の鋏片1の両刃板8の縦切刃28に噛み合う縦切刃26が形成されている。この刃縁10の凸部44において、厚み方向の両側には両鋏片1,2の開閉時に第一の鋏片1の両刃板8の縦切刃28に噛み合う縦切刃45が前記縦切刃26から連続して形成されているとともに、この両縦切刃45間には横切刃46が形成されている。この凸部44の形状としては図16(d)(e)(f)に示すものなど各種のものを採用することができる。
【0047】
文字30が書かれた書面29においてその文字30がある区域31の表裏両面に両鋏片1,2の刃板8,9を当てがい、その文字区域31をそれらの刃板8,9により切断すると、その文字区域31には互いに平行な縦の両切り込み32が形成されるとともに、刃板9の凸部44が両刃板8間に押し込まれ、この凸部44の横切刃46により、この両切り込み32と連続する横の切り込み33が形成される。そのため、この文字区域31をその切り込み32,33で切り抜くと、図17(c)(d)に示すように、この文字区域31は短冊状の切断片47として書面29から切り離される。
【0048】
前記各実施形態以外にも下記のように構成してもよい。
* 第1〜3実施形態にかかる第一の鋏片1の刃部6において両刃板8の刃縁27の刃先部27a間は互いに離間しているが、この刃先部27a間を互いに繋げる。
【0049】
* 第1〜3実施形態にかかる第二の鋏片2の刃部7の刃板9において凹凸刃11については、刃板9をプレスにより一体成形して切込みにより舌片板を設けた後、その舌片板を起こして凸部と凹部とを形成する。
【0050】
* 第4実施形態にかかる第二の鋏片2の刃部7の刃板9において凸部44を刃縁10の刃先部10aから少し離して設ける。
* 第1〜4実施形態では、第一の鋏片1の刃部6に二枚の刃板8を設けるとともに、第二の鋏片2の刃部7にはこの両刃板8間に挿入される一枚の刃板9を設けた。そのほか、刃部6に三枚の刃板8を設けるとともに、刃部7にはこの各刃板8間に挿入される二枚の刃板9を設けてもよい。すなわち、三枚の刃板8は中間の刃板8とその中間の刃板8を挟む一側の刃板8及び他側の刃板8とからなり、中間の刃板8と一側の刃板8との間に一枚の刃板9を挿入して一組の刃板群(一対の刃板8とそれらの刃板8間に挿入される刃板9)になるとともに、中間の刃板8と他側の刃板8との間に一枚の刃板9を挿入して一組の刃板群(一対の刃板8とそれらの刃板8間に挿入される刃板9)になる。その場合、二組の刃板群において中間の刃板8は兼用される。
【0051】
* 第一の鋏片1の刃部6に二枚の刃板8を設けるとともに、第二の鋏片2の刃部7にも二枚の刃板9を設け、二枚の刃板9のうち一方の刃板9を両刃板8間に挿入し、二枚の刃板8のうち一方の刃板8を両刃板9間に挿入する。すなわち、二枚の刃板8は中間の刃板8と一側の刃板8とからなり、二枚の刃板9は中間の刃板9と他側の刃板9とからなり、中間の刃板9が中間の刃板8と一側の刃板8との間に挿入されて一組の刃板群(一対の刃板8とそれらの刃板8間に挿入される刃板9)になるとともに、中間の刃板8が中間の刃板9と他側の刃板9との間に挿入されて一組の刃板群(一対の刃板9とそれらの刃板9間に挿入される刃板8)になる。その場合、二組の刃板群において中間の刃板8,9は兼用される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】(a)は第1実施形態にかかる鋏において開状態を示す斜視図であり、(b)は同じく正面図である。
【図2】(a)は第1実施形態にかかる鋏において閉状態を示す正面図であり、(b)は同じく部分平面図であり、(c)は(a)に示す刃部の部分断面図であり、(d)は図1に示す凹凸刃の部分正面図であり、(e)は(d)の平面図である。
【図3】(a)は第2実施形態にかかる鋏において開状態を示す正面図であり、(b)は第2実施形態にかかる鋏において閉状態を示す部分平面図であり、(c)は(b)に示す刃部の部分断面図である。
【図4】(a)は第3実施形態にかかる鋏において開状態を示す正面図であり、(b)は第3実施形態にかかる鋏において閉状態を示す部分平面図である。
【図5】(a)(b)(c)(d)は第1〜3実施形態にかかる鋏による切断作用を説明するための模式図である。
【図6】(a)は第1〜3実施形態の別例1において凹凸刃の部分正面図であり、(b)は(a)の平面図である。
【図7】(a)は第1〜3実施形態の別例2において凹凸刃の部分正面図であり、(b)は(a)の平面図である。
【図8】(a)は第1〜3実施形態の別例3において凹凸刃の部分正面図であり、(b)は(a)の平面図である。
【図9】(a)は第1〜3実施形態の別例4において凹凸刃の部分正面図であり、(b)は(a)の平面図である。
【図10】(a)は第1〜3実施形態の別例5において凹凸刃の部分正面図であり、(b)は(a)の平面図である。
【図11】(a)は第1〜3実施形態の別例6において凹凸刃の部分正面図であり、(b)は(a)の平面図であり、(c)は(a)の部分斜視図である。
【図12】(a)は第1〜3実施形態の別例7において凹凸刃の部分正面図であり、(b)は(a)の平面図であり、(c)は(a)の部分斜視図である。
【図13】(a)は第1〜3実施形態の別例8において凹凸刃の部分正面図であり、(b)は(a)の平面図であり、(c)は(a)の部分斜視図である。
【図14】(a)は第1〜3実施形態の別例9において凹凸刃の部分正面図であり、(b)は(a)の平面図であり、(c)は(a)の部分斜視図である。
【図15】(a)は第4実施形態にかかる鋏において開状態を示す斜視図であり、(b)は同じく正面図である。
【図16】(a)は第4実施形態にかかる鋏において閉状態を示す正面図であり、(b)は同じく部分平面図であり、(c)は(a)に示す刃部の部分断面図であり、(d)は図15に示す凸刃の部分斜視図であり、(e)は第4実施形態の別例1にかかる凸刃の部分斜視図であり、(f)は第4実施形態の別例2にかかる凸刃の部分斜視図である。
【図17】(a)(b)(c)(d)は第4実施形態にかかる鋏による切断作用を説明するための模式図である。
【図18】(a)(b)(c)は従来の鋏による切断作用を説明するための模式図である。
【図19】(a)(b)は従来の鋏による切断作用を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0053】
1…第一の鋏片、2…第二の鋏片、3…回動支持部、8…刃板、9…刃板、10…刃板の刃縁、10a…刃先部、11…凹凸刃、12…凹凸刃の凸部、13…凹凸刃の凹部、14…先端側刃縁域、15…基端側刃縁域、21…端部、22…横切刃、23…縦切刃、26…縦切刃、27…刃縁、27a…刃先部、28…縦切刃、35…刃縁域、41…尖端部、42…押圧部、43…尖端部、44…凸刃としての凸部、45…縦切刃、46…横切刃、S…間隔、X…刃縁の延設方向、Z…刃縁の厚み方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動支持部で互いに開閉動可能に支持した一対の鋏片のうち、第一の鋏片には互いに並べた一対の刃板を備え、第二の鋏片にはこの第一の鋏片の両刃板間に挿入される刃板を備え、この第二の鋏片の刃板において回動支持部と刃先部との間に設けた刃縁には凸部と凹部とを刃縁に沿って交互に並設した凹凸刃を設けたことを特徴とする鋏。
【請求項2】
回動支持部で互いに開閉動可能に支持した一対の鋏片のうち、第一の鋏片には互いに並べた一対の刃板を備え、第二の鋏片にはこの第一の鋏片の両刃板間に挿入される刃板を備え、この第一の鋏片の両刃板において回動支持部と刃先部との間に設けた刃縁にはその刃縁の延設方向に沿って延びる縦切刃を設け、この第二の鋏片の刃板において回動支持部と刃先部との間に設けた刃縁で厚み方向の両側には両鋏片の開閉時にこの第一の鋏片の両刃板の縦切刃に噛み合う縦切刃を設けるとともに、この第二の鋏片の刃板における刃縁でこの両縦切刃間には複数の横切刃を刃縁の延設方向に沿って並設したことを特徴とする鋏。
【請求項3】
前記第一の鋏片の両刃板において回動支持部と刃先部との間に設けた刃縁にはその刃縁の延設方向に沿って延びる縦切刃を設け、前記第二の鋏片の刃板において刃縁の凹凸刃の凸部及び凹部で厚み方向の両側には両鋏片の開閉時にこの第一の鋏片の両刃板の縦切刃に噛み合う縦切刃を設けるとともに、この第二の鋏片の刃板において刃縁の凹凸刃の凸部でこの両縦切刃間に横切刃を設けて刃縁の延設方向に沿って並設したことを特徴とする請求項1に記載の鋏。
【請求項4】
前記第二の鋏片の刃板において凹凸刃は、刃先部から回動支持部側に延びる先端側刃縁域を外してその先端側刃縁域から回動支持部側に延びる基端側刃縁域に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の鋏。
【請求項5】
前記第二の鋏片の刃板において凹凸刃は、刃先部から回動支持部側に延びる刃縁域に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の鋏。
【請求項6】
前記凹凸刃の凸部は、刃縁の延設方向で互いに並ぶ両横切刃と刃縁の厚み方向で互いに並ぶ両縦切刃とで囲まれた端部で突出する押圧部を有していることを特徴とする請求項3に記載の鋏。
【請求項7】
前記凹凸刃の凸部は尖端部を有し、その凸部の尖端部に前記横切刃を設けたことを特徴とする請求項3に記載の鋏。
【請求項8】
回動支持部で互いに開閉動可能に支持した一対の鋏片のうち、第一の鋏片には互いに並べた一対の刃板を備え、第二の鋏片にはこの第一の鋏片の両刃板間に挿入される刃板を備え、この第二の鋏片の刃板において回動支持部と刃先部との間に設けた刃縁には凸刃を設けたことを特徴とする鋏。
【請求項9】
回動支持部で互いに開閉動可能に支持した一対の鋏片のうち、第一の鋏片には互いに並べた一対の刃板を備え、第二の鋏片にはこの第一の鋏片の両刃板間に挿入される刃板を備え、
この第一の鋏片の両刃板において回動支持部と刃先部との間に設けた刃縁にはその刃縁の延設方向に沿って延びる縦切刃を設け、
この第二の鋏片の刃板において回動支持部と刃先部との間に設けた刃縁には凸部を設け、この凸部を含む刃縁で厚み方向の両側には両鋏片の開閉時にこの第一の鋏片の両刃板の縦切刃に噛み合う縦切刃を設けるとともに、この第二の鋏片の刃板における刃縁の凸部でこの両縦切刃間には横切刃を設けた
ことを特徴とする鋏。
【請求項10】
前記第二の鋏片の刃板における刃縁で凸部は刃先部から連続して形成されていることを特徴とする請求項9に記載の鋏。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−68975(P2007−68975A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104373(P2006−104373)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(000165365)兼松工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】