説明

【課題】理美容鋏において、使用者が独自で使用目的に合った切れ味を確保することが出来、軽快かつ確実に毛髪を切断する出来るようにすることを課題とする。
【解決手段】別個に製造した刃身部1と平身部2の凹凸部を嵌め合わせ、刃身部1と平身部2との嵌合部分を貫通するように側面より穴加工を施し、接合ピン3を挿入する。次に角度調整プレート4を、3個の平身部固定ネジ5で平身部2に固着ことで、平身部2と角度調整プレート4は一体し、その鋏の刃と刃の噛み合わせは、すなわち鋏の使用者は角度調整プレート4の2個のネジ(調整ネジ6と引上げネジ8)の締め具合で上刃体10に曲線状の撓みをもたせ、相対的角度変化が可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は従来の理美容鋏を改良したものである。
【背景技術】
【0002】
従来の理美容鋏(主に毛髪を切断する為に使用する鋏をいう)は、刃身部と平身部が一体となった上刃体と下刃体が要部(通常ネジ部)でネジ接合されている。その鋏は、両刃体が接触する接点部(以下触点という)が存し、両刃体の開閉においては絶えず、触点が、接触、接圧しながら力点となり、要部を支点とし、作用点としての両刃体が毛髪を切断する構造であった。従って、毛髪を切断するためには、両刃体間に微妙な噛み合わせが要請されることになる。両刃体が直線であればこの噛み合わせは生じず、両刃体を噛み合わすためには、製造過程において両刃体に常に適切な曲線状の撓みを持たせる製造元や専門家の技術が不可欠であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
理美容鋏は、使用者が使用(毛髪の切断)を重ねるにつれ、使い傷みによる歪み、あるいは使用者の癖、または不慮の落下等様々な要因により、製造時の適切な撓みから逸脱し、歪みを生ずる場合がある。この歪みは、毛髪を切断する際の切れの悪さや、使用者への不快な使用感、しいては疲労の増大へとつながることもある。こうした歪みが生じた場合は、使用者本人による適切な撓みへの修正は困難なものであり、大抵が製造元や専門家へ修正を依頼するのが一般的である。そうなれば、使用者は時間的・経済的損失を招くことになり、この歪みの修正を使用者本人が可能にすることが解決しようとする課題の一つである。
【0004】
理美容鋏の使用者は、使用目的(カット技法等)や使用者の好み(使用感)を、この適切な撓みを微調整することにより、より効率的、また快適に鋏を使用することができるのだが、一つめの課題同様、目的に応じた適切な撓みへの調整は、歪みの修正と同様の技術を要し、使用者本人には困難なものである。
本発明が解決しようとする課題は、使用者が理美容鋏を、より快適且つ目的に応じた使用とするための適切な撓みの微調整を、製造元や専門家に依頼することなく、使用者本人が独自で調整・修正を可能とし、時間的・経済的負担が軽減されることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鋏の両刃体の開閉時における噛み合わせを、簡単な方法で調節する手段としては、両刃体、もしくは一方の刃体において、刃身部と平身部とを別個に製造し、刃身部が擦り合わす相手の刃身部への噛み合わせ圧力を平身部に対して調整するようにすればよい。
すなわち平身部は相手刃体と貫通ネジで開閉できる程度に締結されているのであるから刃身部が平身部に対し、ピンもしくはネジ等で相対的角度が調節する事ができれば、鋏の開閉時における噛み合わせが、調節される事になる。
本発明は、平身部に角度調整プレートを固着し、2個のネジ(調整ネジと引上げネジ)とを相互に調整する事で、鋏の開閉時における噛み合わせを調節することを可能とするものである。
【発明の効果】
【0006】
使用者が、製造元や専門家の技術に頼ることなく鋏の調整が出来、独自でネジを調整することにより鋏の切れを確保し、使用目的に合った調整を可能とする効果が得られる。
【0007】
使用者は往々にして、理美容鋏の使用時において、使用者個々の癖が生じる場合がある。従来の一体製造型刃体の理美容鋏の場合、柄部で起こす使用者の癖が、柄部から平身部へ伝わり、最終的に作用点である刃身部にまで影響を及ぼすことになる。しかし、別個に製造した刃身部と平身部を可動する形で接合することにより、接合部位において使用者の癖の影響を吸収し、刃身部への伝播を防ぐ事が可能となる。すなわち、使用者の癖による刃身部への悪影響を軽減させることにより、刃部へのダメージを低減させるという効果も生じることとなる。
【実施例1】
【0008】
図1の分解図に基づいて説明する。
別個に製造した刃身部1と平身部2の凹凸部を嵌め合わせ、刃身部1と平身部2との嵌合部分を貫通するように側面より穴加工を施し、接合ピン3を挿入する。次に角度調整プレート4を、3個の平身部固定ネジ5で平身部2に固着する。
そうすることで、平身部2と角度調整プレート4は一体化されたことになる。
以上の構造から別個に製造された刃身部1と平身部2は、接合ピン3の軸を中心として相対的角度変化が可能となる。
以上のように構成された上刃体10を下刃体9と貫通ネジ7で接合し1丁の鋏を形成させ、その鋏の刃と刃の噛み合わせは、以下の方法で調整する。
すなわち鋏の使用者は角度調整プレート4の2個のネジ(調整ネジ6と引上げネジ8)の締め具合で上刃体10に曲線状の撓みをもたせることができ、この撓みを微調整することにより、使用者は目的と好みに合った刃と刃の噛み合わせを作り出すことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0009】
2枚の刃、すなわち上刃と下刃を要部で接合して、擦り合わせて切る構造の鋏において、例えば、園芸鋏や刈り込み鋏等は太い枝や固い枝を剪定すれば鋏の歪みも生じ易い。またラシャ切り等も厚地を裁断すると噛み合わせがくるって、薄地を裁断する際は生地が逃げたり、噛んだりする。このように歪んだ用具は、大半が使い捨てられるものであった。本発明の構造を利用すれば、木々の剪定や生地の裁断する用途に合わせて適宜ネジ調整が出来て歪みも解消される為、用具を長く軽快に使用することが可能とされるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】請求項1の要部分解斜視図である。
【符号の説明】
1 刃身部
2 平身部
3 接合ピン
4 角度調整プレート
5 平身部固定ネジ
6 調整ネジ
7 貫通ネジ
8 引上げネジ
9 下刃体
10 上刃体
11 柄部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の刃、すなわち上刃体と下刃体を要部で接合して開閉させる鋏において、上刃体もしくは下刃体、あるいは両刃体を、刃身部と平身部を個別に製造し、両者を可動が可能な方法で接合する。前記により、刃身部から平身部までが一体となった刃体となすものである。よってこの鋏は、従来の一体的な刃体とは異なり、接合部が可動することにより、平身部に対する刃身部の角度をネジで容易に調整できる構造。

【図1】
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【公開番号】特開2009−82669(P2009−82669A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279614(P2007−279614)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(598138659)有限会社河島製鋏所 (3)
【Fターム(参考)】