鋭利なアンダーカッター及びアンダーカッターの製作
本発明は、剃毛性能を向上させるために、電気かみそりのアンダーカッターに鋸歯状エッジ又は貝殻状エッジ(7)を用いている。この改善は、体毛の捕捉及び保持の改善並びに体毛を切断するために必要な切断力の減少によって達成した。鋸歯状及び/又は貝殻状(9)は、捕捉した体毛の保持を手助けし、その結果、体毛切断効率を増加させる。それらは、更に、フォイル開口のエッジに沿って体毛が「ロール」する傾向を、開口角にそれが捕捉されるまで減少させる。これは、より密着したシェービングを促進する。鋸歯状エッジは、様々な方法によって作成することができる。本開示では、いくつかの可能性のある方法が記載されている。好ましい作成方法は、アンダーカッターブレードの外表面上に溶着ビードを形成し、該ビードを研磨して、溶着ビードに沿った鋭いエッジを形成するものである。これを実施する際に、該溶着ビードは、鋸歯状パターンを形成する。鋸歯状の形状は、溶着ビードの形状によって決定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気かみそり用カッターアセンブリ、電気かみそり用アンダーカッター、及びアンダーカッター製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気かみそり用従来型アンダーカッターは、複数個の弓形ブレード要素を有し、その各々は、カッター要素の主面とほぼ直角の部分的に環状の円形端を有する。電気かみそりに使用する際には、フォイル型外側カッターと相まって、実質的にフォイルとアンダーカッターの間のせん断作用により、体毛が切断される。これは、その本来の目的のために十分機能しつつ、満足できるだけのきれいなシェービングを得るために必要な時間を減らすため、シェービングの効率を改善することができるものである。
【0003】
米国特許出願第4,589,205号(タナハシ)は、球状インデント(図5)を有する外観で、各刃先に沿った角度が一定(90度)である、アンダーカッターブレードを開示している。他の外観のアンダーカッターブレードは、米国特許出願第4,044,636号(Kolodziej)、同第5,214,833号(ヤダ)及びPCT国際公開特許WO03/022535(オタニ(Othani)ら)のものが知られている。ヤダの参照特許は、図2〜4にて、外周縁37の鋭い刃先41を形成するように、外周縁37に沿った各個別のブレード30上の単一の弓形インデント39を開示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら全ての従前の提案では、基本的切断機構、即ちフォイルとアンダーカッターの間のせん断作用については、変更されていない。
【0005】
かなりの部分のひげが、スライシング動作又はスライシング/せん断組合せ動作によって、より効率的に切断されるような鋭い刃先を有する、満足できるアンダーカッターを経済的な方法にて作成することは、以前は全くできていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、快適性を犠牲にすることなく、電気かみそりの効率を向上させることである。
【0007】
本発明の別の目的は、体毛の捕捉、保持及び切断を向上させることである。
【0008】
本発明の一態様では、複数個のブレード要素を備え、各々がブレード要素端を有し、少なくとも1つのブレード要素端が、複数個の一連の側面突出部を有して、それがそれらの間に谷間を画定し、各谷間内に鋭利な刃先を有する、電気かみそり用アンダーカッターが提供される。
【0009】
本発明の別の態様では複数個の体毛収納開口を有する外側カッターと、外側カッターに対して移動可能に取り付けられて、複数個のブレード要素を有する、本発明の該一態様に記載のアンダーカッター、を有する電気かみそり用カッターアセンブリが提供される。
【0010】
本発明の別の態様では、上記で定義したアンダーカッターの製造方法を提供する。
【0011】
本発明は、剃毛性能を向上させるために、電気かみそりのアンダーカッターに鋸歯状エッジ又は貝殻状エッジを用いる。この改善は、体毛の捕捉及び保持の改善並びに体毛を切断するために必要な切断力の減少によって達成された。鋸歯状及び/又は貝殻状の形は、捕捉した体毛の保持を手助けし、その結果、体毛切断効率を増加させる。それらは、更に、フォイル開口のエッジに沿って体毛が「ロール」する傾向を、開口角にそれが捕捉されるまで減少させる。これは、より密着したシェービングを促進する。
【0012】
鋸歯状エッジは、様々な方法によって作成することができる。本開示では、いくつかの可能性のある方法が提案されている。
【0013】
好ましい作成方法は、アンダーカッターブレードの外表面上に溶着ビードを形成し、該ビードを研磨して、溶着ビードに沿った鋭いエッジを形成するものである。これを実施する際に、該溶着ビードは、鋸歯状パターンを形成する。鋸歯の形状は、溶着ビードの形状によって決定される。
【0014】
溶着ビードは、適した金属溶融プロセス、例えば、電子ビーム溶接によって形成される。ビード形成プロセスは、アンダーカッター金属の硬度を増大させる。次に、固化した溶着ビードを削り、フォイルとアンダーカッター本体の間の咬合表面になるような平滑表面を形成する。溶着ビードを形成する際には、それは一連の相互に接続した小球として形成されるが、しかしそれらを削ると、これらの小球は鋸歯状の鋭いエッジのペアを形成する。鋸歯のピッチは、小球の原寸及び研削プロセス中に除去した金属量によって決まる。鋭いエッジの歯先角は、ビードから除去した金属量によって決まる。例えば、溶着ビードをその赤道又は大きな外周まで削った場合、チップエッジ角は90度となり、最初の垂直直径の約20%のみ削った場合には、該エッジ角は45度となる。研磨が、垂直直径の50%未満である場合、歯先角は鈍角となる。
【0015】
貝殻状エッジが、体毛捕捉を向上させ、より密着した体毛切断を促進することが、高速ビデオで確認された。貝殻状エッジと典型的リニアエッジの比較は、同一試験条件下では、典型的リニアエッジは、ブレードパスの約47%で体毛と係合し、貝殻状エッジは、パスの約65%で同一体毛と係合することを示した。従来のアンダーカッターでは、体毛が開口周辺の角に捕捉されるまで、体毛がブレードに沿って移動できるが、貝殻状エッジでは、体毛は貝殻状のエッジに捕捉され、フォイル開口の最も密接に接触しているエッジにて切断されることが判明した。更に、体毛が引き延ばされ、カンチレバー状態で切断される、この両方がシェービングの密着性と効率を促進していることを証明するビデオもある。
【0016】
高速度ビデオ撮影は、約50%の体毛が貝殻状エッジブレードで切断され、開口側、体毛及びアンダーカッターブレードの間で接触が生じるとすぐに、フォイル開口エッジで切断されることを示した。従来のリニアブレードの場合、全ての体毛は開口角で切断される。
【0017】
電子溶接プロセスは、溶着ビード形状をその形成中に調整することにより、改善してもよい。これは、規則的パターンのより良いコントロール並びに刃先の歯先角の最適化を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明をより理解するために、それをいかに実行に移すかを示すために、実施例として、添付図面を参照に用いる。
【0019】
添付図面である図1は、ブラウンAG社(Braun AG)製電気かみそり用の標準的アンダーカッター部分の拡大図を示す。そのような標準的アンダーカッターは、複数個の環状ブレード要素を有する。そのような2つのブレード要素1及び2を、図1に示す。全ブレード要素は、実質的に同一である。ブレード要素1を参照すれば、それは第1及び第2主面、図1に明示されている1つの第3主面を有する。それは、更に環状エッジ面4を有する。主面3とエッジ面4との交差部分は、実質的に線形であり、円の弧を描く。
【0020】
図2は、本発明の第1の実施形態によるアンダーカッターの2つのブレード要素5及び6の拡大図を示す。図2に明示する2つのブレード要素5及び6の各々は、エッジ面7、鋸歯状又は貝殻状として形成された一連の突出部9を示す外側縁8を有する。それ故に、各ブレード要素の各主面3及び外側縁部7の境界部分は、図3で示すように、複数の弓形の領域と尖った先端を描く。各突出部9は、290ミクロン〜310ミクロンの範囲内の、好ましくは300ミクロンの長さL、及び少なくとも35ミクロンの幅Wを有する。各突出部は、60ミクロン〜120ミクロンの範囲内の、好ましくは約100ミクロンの高さH(図3の平面に対して直角)を有する。図8aは、溶着ビードの1つの小球9の断面図を模式的に示す。該小球は、高さDを有し、平面Pまで研磨後には、残留高さHを有するが、これが各突出部9の高さである。刃先の形状については、より詳細に後述する。
【0021】
図2に示されたブレード要素のエッジ形状は、図1のようなアンダーカッターのブレード要素の外側領域の溶融を、別個の小球が切断面の周囲に図4に示すように形成されるようにコントロールすることによって形成可能である。これらの小球は、更に、研削によって修正され、鋸歯状の刃先を持つ貝殻状類似の形体が生じる。アンダーカッターの最外領域のコントロールされた溶融は、順番に、正確に且つ局所的に、適合した電子ビーム溶接技術を使用して、アンダーカッターブレードエッジを溶融することで達成できる。
【0022】
電子ビーム溶接(EBW)は、通常は、金属部品を結合する方法として用いられる。それは、非常に高速度の加速電子を使用する高密度エネルギー拡散プロセスである。これらの速度は、光速の0.3倍〜0.7倍の範囲であり、印加電圧に依存し、通常は、25〜200キロボルトである。ビーム電流は、2〜1,000ミリアンペアの間で変化する。典型的ビームエネルギー密度は、平方センチメートル当たり約107ワットであり、これは毎分100〜5,000ミリメートル(材料に依存する)の溶接速度を実現することができる。
【0023】
電子は、通常は、タングステン又はタンタルを有する金属性カソード上で発生し、約0.013Pa(10−4トール)の真空及び約2,500℃の温度にて用いる。
【0024】
ワークピースを、運用真空度が約1.33Pa(10−2トール)の真空チャンバ内に保持する。しかしながら、作業チャンバ内の真空度は、ビーム強度及び広がり(即ち、コリメーション度)に影響し、従って、より高いビーム解像度を得るためには、より高い真空度が効果的である。ビーム精度は、ワークピース内のあらゆる残留磁気によって損なわれる。なぜならば、電子ビームは偏向及びひずみの影響を受けやすいためである。従って、該ワークピースを加工前に消磁することが重要である。
【0025】
電子ビーム溶接と他の高エネルギー溶接技術との主要な違いの1つは、電子ビームがワークピースと衝突する際の及びワークピースを突き抜ける際の、運動エネルギーから熱エネルギーへのほぼ瞬間的な変換にある。電子ビームは、ワークピースへ小さな固有の貫通としてのみ作用し、これは、高出力密度と組み合わさって、ほとんど瞬間的なワークピースの溶融及び蒸発をもたらす。それ故に、他のほとんどの溶接技術とは異なり、電子ビーム溶接では溶融速度は熱伝導によって制限されない。このような高出力密度は、約106℃/cmの温度勾配を生じ、これが次に表面張力により引き起こされた、表面速度がほぼ毎秒1メートル程度の熱毛管流(又はマランゴニ対流)を生じる。対流は、得られる溶融池の形状に影響する唯一の最も重要な要因であり、貫通の変動、多孔性及び融合不良などのような欠陥を生じ得る。対流は、混合にも影響を与え、従って、溶融池の組成に影響を与える。
【0026】
EBWは、他の技術を超える利点を提供する。例えば、低入熱を、例えば、アーク溶接と比較すると、熱の影響を受けた領域により良い縦横比が得られ、これがワークピースへの熱的効果をより少なくする。
【0027】
アンダーカッターエッジの溶着ビード化は、電子ビーム溶接機にてアンダーカッター上面の溶融を制御することによって達成される。ビームエネルギー及びプロセス用パラメータの精密制御が、適したエッジを得るために重要である。
【0028】
正確なビード形成は、本質的に、ビームエネルギー、ブレード回転速度及びビード/ブレード相互作用(即ち、溶着ビード形成)の適切な組み合わせによって達成される。
【0029】
典型的な電子ビーム溶接機の運転中に調整可能な、最大18個の変数がある。実プロセス用パラメータは、個々の電子ビーム溶接機の特性に依存する。
【0030】
標準サイズのブラウン社(Braun)製アンダーカッターを使用して、一例を挙げれば、該機械を操作してブレード当たり29個の溶接小球を作成し、各溶接作業毎に16Wの電力を使用した。
【0031】
実際には、ビームのポテンシャルエネルギーは、刃先を溶融するために必要なエネルギーより遙かに大きいために、該ビームを一組の「ビームレット」に分割し、各ビームレットがマルチブレードアンダーカッターの1つのブレードを横断するようにする。このようにして、完成したアンダーカッターをビームレットの下で回転することができ、一回のスイープで図4に示す構造を作成することができる。すべてのアンダーカッターブレードは、同時に処理されるため、ビームレットのエネルギーが均一であることが重要である。得られたビード処理したブレードの高さが不均一となった場合、研磨が問題なく行われていたことが無駄になる。
【0032】
図5に示すように、アンダーカッター11を細長い治具10で保持し、その長手方向の周りに回転させ、電子ビームがカッターの各ブレードのエッジを横切るようにする。ビームは、本プロセス中にパルス照射されて、各刃先に沿った一連の溶接小球を有する溶着ビードを形成する。
【0033】
アンダーカッター11は、シャフト12上に取り付けられ、冶具の本体13内に挿入される。本体13は、切り抜き区画14を有する。図6aは、本体13から取り外されたシャフト12を示す。図6bは、シャフト12及びアンダーカッター11が無い、本体13を示す。
【0034】
アンダーカッターブレードは、治具の切り抜き区画14内に配置する。治具アセンブリ10は、所定の速度で回転し、電子ビームが、治具本体13に「当たり」、その結果、ブレードの局所的な過熱及び金属損失が回避される。それは、更に、ワークピース上の熱平衡の確立を可能にする。
【0035】
ビード化プロセス中、刃先が融解し、構造の局所的変化が生じる。平均で約755±50Hv、最大硬度で790Hvまで、得られた硬度は増大する。
【0036】
調査により、熱の影響を受ける領域が溶着ビード領域に限定されているということ、及び最初のブレード材料がビード形成プロセス中にその構造を変えないことが示された。樹状及び層状成長が、固化プロセスによって引き起こされ、それらの成長は、合金鋼のマランゴニ対流特性と関連している。
【0037】
ビームが、最初にアンダーカッターワークピース11にあたり、過剰な金属損失が生じると、図7に示すようにブレード内に局所的脆弱性が生じ得る。これにより、ブレード破損が、特に後の研磨操作にて生じ得る。試験中、そのような破損が起きた場合、それは図7に示すように常にブレード17の同一領域15と関連づけられた。本脆弱性は、最初の溶接小球16とアンダーカッター本体18との接合部での目に見える金属損失と関連するが、異なる局所的熱処理とその結果生じる脆化も要因である。このような領域は、従来の溶接にてよく見られる「熱の影響を受けた領域」に類似している。そのような破損は、ブレードを露出させたままにするアセンブリ内にアンダーカッターを取り付け、ブレード溶融の前後でビームに「ヒートシンク」を提供することにより、克服することができる。冶具10は、そのようなアセンブリを提供する。これは、ブレードとアンダーカッター本体との間の接合部に、脆弱領域が発生するのを防止する。
【0038】
完成品の製作に成功するには、溶着ビードの中央合わせが重要である。アンダーカッターブレードとの関係での溶着ビードの位置は、冷却速度及び電子ビームの相対的位置によって決定される。鋼鉄のマランゴニ対流特性により、正確なビーム位置の他に、冷却速度をある程度決定する。図8aは、正しく中央に位置合わせした溶着ビードを示しているが、これに対して、誤って位置合わせされた溶着ビードを図8bに示す。
【0039】
マランゴニ対流特性は、包含物又は不純物の存在により影響を受けるため、あらゆる加工助剤から包含物又は不純物を無くすことが重要である。主として重要なことは、ケイ酸塩などの非金属性不純物が存在しないことである。なぜなら、これらは、溶融池の流れ特性に大きな影響を与えるからである。刃先に対する電子ビームの位置が重要である。アンダーカッターブレードは、わずか100ミクロンの厚みであり、従ってビームが正しく金属と相互作用し、問題なくビードが形成されるためには、50ミクロンより上の位置精度が要求される。この相互作用は、「一次ビーム偏向」によって制御される。しかしながら、ブレード間距離は可変であるために、更にビームを、刃先を横切るように横方向に「振動させて」二次ビーム偏向させる。これは、刃先を横切る方向でのビーム移動距離を広げ、ピッチ変化の影響を減少させ、その結果、エッジ上の溶着ビードを中央に集めるという効果を有する。そのような二次ビーム偏向の効果が図8aに示されており、これに対して、二次ビーム偏向が無い場合の結果が図8bに示されている。
【0040】
基本的操作条件の制御もまた、良好なビード形成には必須である。アンダーカッターブレードが過大なエネルギーに晒されると過度の溶融が生じ、その結果、図9に示すようにブレードが崩壊する。
【0041】
極めて過剰なビームエネルギーでは、アンダーカッターブレード全体が溶融するが、わずかに過剰であるに過ぎないエネルギーでは、溶着ビードが刃先から流れ落ちる(図10)。これは、アンダーカッターのエッジを得るために必要な金属量に、許容できない程の損失量をもたらす。それは更に、溶着ビードの均一性が欠如するため、溶着ビードの研磨中に、鋸歯状エッジが完全に除去される可能性を高める。
【0042】
過剰なビームエネルギーは、単純に回転速度を上げるだけで補正することはできない。というのも、これにより生成される溶接小球の数が減少し、小球間に究極的に最終の鋸歯状の形状間にギャップが生じるからである。高すぎる回転速度と高エネルギーの組合せは、図11に示すように、溶接小球間の望ましくない隆起した領域となって現れる。
【0043】
放電はほとんど連続的であるため、現在のところ、各電子ビーム「パルス」の放電期間を変更することはできない。
【0044】
不十分なエネルギーが、溶着ビードに与えられた場合、不十分な溶融が生じ、図12に示すように、溶着ビードが小さすぎて良好なエッジ形状を生成できない。
【0045】
満足できる溶着ビードの形成は、図13で示されるように、溶融池底部での平滑外表面及び一貫したフローパターンにより代表される。
【0046】
刃先の周囲に「ビードの連続」を問題なく作成するためには、各小球が、次の小球が形成される前に固結することが重要であり、そうでないと合体してしまう。小球数が多すぎると固化前に溶融池が結合し、その結果、溶融した金属の過剰な流れが生じ、引き続いて図14に示されたように溶着ビードパターンが歪む。
【0047】
ビード形成したアンダーカッターを走査電子顕微鏡により検査して、ビード形成が適切に行われて、更なる処理に適していることを確認する。
【0048】
鋸歯状エッジは、1つの特定の実施例では、60〜80ミクロンのグリットで、半径3mmに形成した砥石車を用いた溶着ビードの非円筒形表面研磨によって作成した。本操作中のブレードの破壊を防止するために、アンダーカッターにサーモジェット(Thermojet)(登録商標)3Dラピッドプロトタイピングワックス(3D rapid prototyping wax)を充填する。研削後、該ワックスは、それを熱風乾燥機で加熱することにより取り除く。
【0049】
次に、研磨したアンダーカッターは、6ミクロンのダイヤモンドペーストを使用してラップし、最終的に適合性を検査した。
【0050】
新しいアンダーカッターは、ブラウン社(Braun GmbH)が供給するような、従来のアンダーカッター材料から作成される。これは、1.4034ステンレス鋼(BS420及びX40Cr13に相当)及び以下の組成を有する。
C 0.40〜0.46重量%
Si 0.3〜0.5重量%
Mn 0.4〜0.6重量%
P 0.03重量%
S 0.02重量%
Cr 12.5〜14.5重量%
Fe 残部重量%
【0051】
鋼鉄は、溶着ビーディングに先立って、650±50Hvの硬度になるまで熱処理する。
【0052】
溶接小球は非対称で、球形よりは卵形により近いため、研削プロセスにより、図15及び16で示すように平たくした上面及び周縁部で様々に角度が変化する曲線が生まれる。
【0053】
更に、小球は刃先の周囲に沿って幾分引き延ばされるので、最大小球高さはその長さの半分未満であり、エッジ角は元々の刃先に向かって、一連の突出部の間に形成される谷間内にて、より鋭利となる。これは、図16、16a及び16bにて明確に示されている。
【0054】
図16は、刃先の外側縁部7に沿って平坦に研磨された刃先に沿った、一連の3個の側面突出部9を示している。従って、谷間25は、一連の突出部ペアの間に作成される。各突出部9の頂点22から、各谷間25の底部に向かって動くと、ブレード角は次第により鋭くより鋭利となる。従って、鋭利な刃先27が各谷間の壁の最下部に作成され、このエッジが谷間の壁から頂点22に向かって動くと、次第により鋭利でなくなる。角度は各突出部の先端又は頂点22での約90°から、より鋭いエッジ27である谷間最下部での約55°まで変化する。
【0055】
ブレードの刃先形状は、図16a及び16bからより明確に理解できる。図16aは、第1弓形区画A〜B、第2弓形区画B〜C及び第3弓形区画C〜Dに沿って延びる刃先の略図を示す。図16bは、ブレードの刃先角が、溶着ビードに沿った距離の関数として点A及びCを横断する直線に沿って測定した際に、いかに連続的且つスムーズに変化するかを示している。点Aの近辺では刃先角が約50°であり、点Bが極大値である95°に近づくに従って、連続的且つスムーズに増大するということに留意すべきである。次に、刃先角は、点Cに近づくに従い連続的且つスムーズに減少し、極小値である約50°まで減少する。
【0056】
この角度変化は、該突出部が高さ方向より長さ方向において遙かに大きい、即ち、寸法L(図3)が寸法H(図8a)より遙かに大きいことで実現される。
【0057】
長さL(図16aのAC間距離)は約300ミクロン(400ミクロン)、幅W(線ACから点Bまでの距離)は約40ミクロン、高さHは約90ミクロンとする。従って、LはおよそHの3倍である。切削角は、突出部表面が様々な曲率の部分を持つと言われるように、突出部高さにおける垂直位置に応じても変化するということにも注意すべきである。
【0058】
刃先は、二次元(アンダーカッターの動作方向に対して、平行及び横断方向)なので、その切断プロセスはせん断力とスライスの両方の組合せと考えることができる。従来の電気かみそり用リニアアンダーカッターは、ほぼ純粋なせん断作用を使用して、電気かみそりにおいて通常見られる、良く認識された「ニブリング」動作を生じる。
【0059】
鋸歯の寸法は、体毛のおおよその形状に十分配慮して定められた。鋸歯長(又はピッチ)は、体毛がエッジのくぼんだ領域(谷間)に収まり、保持されるようなものにする。更に、鋸歯の幅(又は振幅点)は、切断領域への体毛の貫通に対して悪影響を及ぼすことなく、体毛を保持できるようなものにすべきである。
【0060】
更に、各々の湾曲したアンダーカッター突出部の先導領域は、フォイル開口を突き抜ける体毛及び皮膚を管理して、その結果、過度の剥脱作用から保護する。それは、更に貫通する体毛を優先的切断位置に向けるような仕組みも提供する。
【0061】
更に可能な製造方法としては、電子ビーム溶接に代わるレーザービーム溶接、3次元プレス成形用金型を使用した空押し及び金属片の変形、例えば3次元プレス成形用金型を用いたストリップ形態の個々のブレードの空押し、ワイヤースパーキング(wire sparking)、エレクトロフォーミング(electroforming)、高圧注入モールディング又はYAGレーザープロファイリングが挙げられる。
【0062】
YAGレーザープロファイリングの場合、アンダーカッターブレードをYAGレーザーで穴開けをして、外側走行表面からカッター中心に向かって、必要なパターンを形成する。これにより、90°のブレード角を持つ貝殻状の形状のエッジを作成する。該貝殻状のエッジは、フォイルに対して直角なブレード面に組み込まれる。貝殻状のピッチは、あごひげの断面と類似の大きさでなければならず、それは50ミクロン〜250ミクロンである。振幅点は、ピッチの約半分である。
【0063】
より厚いブレード(250〜300ミクロン)のアンダーカッターは、両側をレーザープロファイルして、ピッチが150ミクロン及び(好ましい)振幅点が100ミクロンの貝殻状パターンを得る。レーザー穴あけでブレードが破断したり、使用する上で弱すぎたりしないように、厚みを増やす必要がある。得られたアンダーカッターブレードを、図17に示す。、以後「レーザーにより穴あけした」ブレードと称する。
【0064】
レーザー切断した鋸歯状エッジプロセスは、貝殻状のピッチ及び振幅を最適化して、貝殻状表面をレーザー切断後に滑らかにすることによって改善できる。
【0065】
鋸歯状エッジのアンダーカッターの製作については、上述した。要約すると、該アンダーカッターは、好ましくは従来のブラウンフレックスインテグラルウルトラスピード(Braun Flex Integral UltraSpeed)電気かみそり用アンダーカッターの外周の制御した溶融により作成し、わずかに硬度が増した(標準的アンダーカッターが650Hvであるのに対して、755Hv)溶着ビードを得る。該溶着ビードは、非円筒形オフセット研磨によって研磨して、平滑な鋸歯状エッジを作成できる。
【0066】
かなりの量の金属がアンダーカッターから取り外されるので、直径は減少する。試験目的のために、アンダーカッターが電気かみそり用フォイルの下面に確実に設定されるために、それをプラスチックキャリアに取り付け、最終的な適正高さになるように取り付けた。アンダーカッターは、オフセット研磨で処理されるので、フォイル/アンダーカッター相互作用形状には、わずかな変化しか生じなかった。標準ブラウンフレックスインテグラルウルトラスピード(Braun Flex Integral UltraSpeed)電気かみそりの主要シェービング領域は、フォイル上部中央線のいずれかの側にある3列開口である。これは、鋸歯状エッジのアンダーカッターと共に維持されるが、このアンダーカッターと本領域の外側にあるフォイルの下面との間の「フォールアウェイ(fall away)」は、わずかに増加する。多くの標準的アンダーカッターブレードがフォイルと接触せず、オフセット研磨によって引き起こされる実際の形状変化が最小限のものであったために、このわずかな変化が、その性能に悪影響をもたらすとは考えられなかった。
【0067】
鋸歯状エッジ形状が、電気かみそりのアンダーカッターに及ぼす性能上の効果を以下に説明する。
【0068】
一旦取り付けると、バネ荷重(「プレロード」)が確認され、ブラウンフレックスインテグラルウルトラスピード(Braun Flex Integral UltraSpeed)試験用かみそりのそれらに合うように調整される。
【0069】
貝殻状の形状は、人毛の典型的形状に適合するように選択され、およそ楕円形、細いもので約60〜80ミクロンの軸、主要軸で100〜120ミクロンと考えられている。
【0070】
鋸歯状エッジの詳細な形状は、剃毛性能と関連があり得る。ポストビーディング製作の程度が、最終の鋸歯状の形状に影響を与え、従って、あらゆる所与のビードに対して形状及び寸法が相互に関係する。
【0071】
可能な小球数は、製造経路及び処理装置のみによって、各刃先にて最大29個に制限された。これは一方で、ビード小球の最適平均長を決定し、それを約289〜325ミクロンに制限するが、これは、ビーディングがブレード周辺部の180°又は160°を超えて生じるか否かに依存する。平均小球長さが275ミクロン未満の場合、一連のビードが不連続となり、その結果、刃先が事実上、当初標準の90°のアンダーカッターブレードエッジの領域となる。図18は、平均先端角と溶接小球の長さ及び高さとの相関関係を示す。
【0072】
他の装置では、約35個程度までの小球を作成できた。
【0073】
図18の相関係数の傾向は、95%超の信頼水準であり、6個のデータセットの相関係数(R2)は、95%信頼水準にて0.6577であり、図18には、0.7744及び0.838のものが示されている。従って、アンダーカッターの剃毛性能が、ビード形状で決定されるのであれば、様々な剃毛性能基準と形状との間の多数の相互関係が存在することが期待できる。
【0074】
異なる鋸歯状のアンダーカッター形状の性能は、標準ブラウンフレックスインテグラルウルトラスピード(Braun Flex Integral UltraSpeed)かみそりに対して評価した。図19〜21は、鋸歯状エッジの異なる角度の走査電子顕微鏡写真を示す。比較のために、図22はブラウンフレックスインテグラルウルトラスピード(Braun Flex Integral UltraSpeed)の典型的エッジを示す。
【0075】
最終エッジ生成のために使用した研削及びラッピング工程が、エッジに結合した直径2〜3ミクロンのバリを生じたことが確認できる。これらのバリは、図22に示すように、標準的アンダーカッターの未使用エッジに通常伴うようなものより小さい。
【0076】
しかしながら、鋸歯状の形状及びひげそり性能との関係に関する限り、定量的特性は、アンダーカッターエッジと最上表面との間の「より大きな」角度である。この角度は、バリ形状により影響される。バリ形成は、アンダーカッター最上表面の研削中に生じ、溶着ビード形状と直接には関係しない。シェービング試験から得られた性能データは、最適先端角があることを示している。簡単に述べると、この角度は鋸歯状の一番前の箇所から始まり、バリの「マクロ形状」を含む。
【0077】
実際には、各公称先端角には範囲があり、これは好ましい角度値に包絡線を与える。最適に近似させた好ましい値は、92°であり、好ましくは、86°〜100°であるが、平均的ユーザーの場合は、82°〜104°の範囲内の先端角にて、一般的にメリットがある。しかしながら、他の利点は、先端角が大きくて107°、小さくて78°であることで得られ、この範囲が、多かれ少なかれアグレッシブなシェービングシステムに必要とされる顧客の要求に適合することができるからである。
【0078】
剃毛効率は、再度約92°の先端角にて最大化され、この値から角度が離れるに従い、コントロールカッターが一致するまで減少する。最高性能のためには、この角度が87°〜97°の間に保持されなければならない。しかしながら、範囲が80°〜105°の間で増加しても、依然として利点は維持され、この範囲を超える形状ではアンダーカッターの性能が損なわれる。もし、この角度があまりに鈍角となると、該エッジの切断効率は落ち、一方で、それがより鋭角となると、鋭いエッジによって生じる不快感というリスクが増加する。
【0079】
効果の無い範囲が98°〜107°であると示されているが、先端角が104°未満には、剃毛時の効果が得られた。この範囲は、よりしっかりとした又はよりゆったりした剃毛のいずれかを希望するユーザーに対応する。すべてのユーザーに効果を認めさせるには、従って、先端角を98°未満に制限するのが合理的であるが、より大きな角度のアンダーカッターが、よりゆったりした剃毛を要求する顧客に提供される。
【0080】
鋸歯の幅は、標準ブラウンフレックスインテグラルウルトラスピード(Braun Flex Integral UltraSpeed)と比較した際に、鋸歯状エッジのアンダーカッターの性能に限界効果のみを有することが証明された。しかし、性能上の利点のためには、鋸歯は少なくとも35ミクロン幅でなければならない。
【0081】
アンダーカッターエッジの性能が損なわれないように、鋸歯の高さは60ミクロン〜120ミクロンでなければならず、目標は100ミクロンである。
【0082】
アンダーカッター性能と鋸歯状エッジの突出部の長さとの間に強い相関関係は無い。しかしながら、該長さが250ミクロン未満まで減少すると、アンダーカッターの一般性能は悪影響を受け、標準コントロールアンダーカッターより性能が劣化する場合もあることを示唆している。これは、刃先が標準コントロールアンダーカッターの形状に向かって退行する際の、鋸歯の損失により説明できる。従って、鋸歯状エッジの利点は、向上した体毛捕捉及び/又は切断が、鋸歯状エッジの局所的損失によって失われるまで、漸次減少する。
【0083】
鋸歯状エッジの目標形状を推定することは、可能である。下記パラメータを決定することができる。
【表1】
【0084】
目標平均先端角(92°)は、当初は期待されていなかった。しかしながら、鋸歯の形は、体毛が鋸歯状エッジを横切り、アンダーカッターブレード本体の方向に向かう際に、刃先角が減少するようなものである。あらゆるアンダーカッターブレード/皮膚の相互作用が最初にゆるやかな鈍角であれば、快適性が向上する。更に、研磨前の現在のビード形状は、鋭角より鈍角に遙かに成りやすく、先端角分布がより大きな角度に偏る。実際には、90°の平均先端角が、わずかに鈍角である92°とほとんど同様に機能する。好ましい鋸歯長は、電子ビーム特性によって決定され、実際には可変プロセス用パラメータの範囲外である。鋸歯の幅及び高さは、全体の形状に依存し、ビード形成プロセス及び先端角の両方に関係する。これら2つの特性が、最終的な鋸歯の形を画定する手助けをするが、それらはアンダーカッターの最終性能へ二次的な効果のみを有する。
【0085】
鋸歯状エッジのアンダーカッターと標準的アンダーカッターとの間で、同一条件下にて、摩耗特性の直接比較を行った。鋸歯状エッジのアンダーカッターは、標準コントロールアンダーカッターと比較した場合に、いかなる不都合な特性も持たず、更に、制御されたアンダーカッターが、金属変形に耐えている間、鋸歯状エッジが鋭いバリを持つエッジを維持するということが見出された。ニッケルは、かみそり用フォイルの下面から磨損により失われ、アンダーカッターブレード表面に軽く付着するのみであった。アンダーカッター又はバリに、ニッケルが堆積するという証拠は無かった。
【0086】
鋸歯状エッジのアンダーカッターの事前に選択した異なる先端角の切断力を、標準コントロールアンダーカッターのものと比較した。各先端角データセットは、同一体毛ストランドから得られた。体毛内の厚みの変化による効果を最小化するために、鋸歯状エッジの値は、標準的アンダーカッターと代わる代わる得た。
【0087】
表2は、得られた切断力を示している。
【表2】
【0088】
しかしながら、鋸歯状エッジのアンダーカッターで切断された体毛の末端部は、図25に示すように、非常にわずかな皮膚原線維と共にはるかにスムーズな切断表面を示す。
【0089】
比較のために、マッハ3(Mach3)(登録商標)ブレードで作成された体毛末端部が図26に示されている。図24〜26の比較により、鋸歯状エッジのアンダーカッターは、典型的な電気かみそりのせん断よりもウェットシェーブのスライシングにより類似した切断動作を生じることができることを確認した。
【0090】
高速度ビデオ解析は、鋸歯状エッジのアンダーカッターのブレードが、それに対応する標準コントロールアンダーカッターよりもより硬いように見えることを示した。標準的アンダーカッターブレードは、体毛と相互作用する際に曲がることが分かったが、鋸歯状エッジについてはこのことがそれ程明白ではない。これはおそらく、フォイル、アンダーカッター及び体毛の間で相互作用が起きる間際での、鋸歯状エッジのアンダーカッターの増大したブレード幅と増大した硬度によるものである。
【0091】
鋸歯状エッジのアンダーカッターは、体毛及び開口エッジと相互作用する際に、従来のリニアブレードアンダーカッターとほとんど同一のせん断作用を有する。しかしながら、鋸歯状エッジは、それが開口エッジと相互作用する際に、次第に減少するエッジ角による体毛のスライシングにより、体毛スライシングを促進することもできる。
【0092】
更に、あごひげは鋸歯により捕捉され、刃先に沿ったくぼみへと導かれる。これが、体毛とアンダーカッターがフォイル開口エッジの任意の場所と相互作用する際に、2つの隣接する鋸歯のエッジによる3エッジ動作で、捕捉された体毛が切断されることを可能にする。従って、鋸歯のくぼみは、別の噛み合わせ角として作用し、それらはあたかも別の開口取り込み角であるかのように振る舞う。切断が、開口角に捕捉された体毛に依存するため、これは、従来のリニアエッジアンダーカッターでは不可能である。
【0093】
体毛が切断された場所でのアンダーカッターと体毛間の相互作用の解析は、表3に示すように、すべての3つのプロセスが生じたことを示す。
【表3】
【0094】
様々な角度での切断力の違いを図23に示す。
【0095】
先端角72°は、標準的アンダーカッターと比較した場合、体毛の平均切断力を約17%減少させることができる。他方では、先端角があまりに鈍角(110°)であると、平均切断力は約8%増えることができる。
【0096】
コントロールアンダーカッターと鋸歯状エッジとの間の切断力に違いがない場合の先端角が、約95°であることが図23で分かる。これは、標準コントロールアンダーカッターブレードの丸いエッジとバリが、ターゲット角と異なる効果的な切削角を与えるという効果に起因しうる。
【0097】
これらの観察は更に、標準ならしアンダーカッターの実際の刃先が、バリの影響を受けており、有効切削角95°を有していることを暗示している。標準アンダーカッターをより詳細に試験することで、バリが95〜104°の有効先端角を生じていることが判明した。更に、これは直径で約5〜8ミクロンのバリと対応している。これらのデータは、バリ形成に関する他の観察に極めて類似している。
【0098】
更に、鈍角での切断により、体毛のスカイビングも観察された。これは、体毛が完全には切断されず、カッターが体毛に沿って縦方向に動いて、長い先細りにするものである。
【0099】
鋸歯状エッジのアンダーカッターを使用して切断した体毛末端の走査電子顕微鏡調査は、ウェットシェービングで見られるものに類似したスライシング動作のみでなく、電気かみそりに通常伴う従来のせん断加工の証拠も示した。
【0100】
図24は、従来の電気かみそりにより切断された体毛末端部を示しており、皮膚原線維がギザギザの末端部として非常にはっきりと確認できる。
【0101】
従来の標準的体毛切断は、開口隅に捕捉され、アンダーカッターブレードを通過しながら切断される体毛によるものであり、これが切断動作の39%であることが確認できている。しかしながら、鋸歯状エッジのアンダーカッターは、開口周縁のあらゆる箇所で体毛を切断でき、これが切断動作の45%であることが確認できている。更に、鋸歯状エッジは、体毛をその輪郭の周りに「導き」、それを鋸歯状のくぼみで捕捉し、次にそれを開口エッジの任意の部分で切断する。これは、相互作用の約16%で見られた。標準的アンダーカッターによる高速ビデオによる切断工程の比較調査は、全ての切断が六角形の角度内で生じていることを示した。
【0102】
電子ビームにより溶着ビードを形成し、ビードを研削することにより作成した鋸歯状エッジのアンダーカッターは、平坦な上面を持つ三次元の刃先を生み、標準的ブラウン社(Braun)製アンダーカッターよりもひげそり性能に優れている。該新規アンダーカッターは、様々な電気かみそり属性において、統計的に優れた性能を発揮することができる。
【0103】
鋸歯状エッジのアンダーカッターは、より小さいバリのより堅牢なエッジを提供する増大した硬度を有する。本修正エッジは、フォイルとアンダーカッター間の摩擦的相互作用に対していかなる悪影響も持たない。
【0104】
電子ビームシステムによって作成された鋸歯状エッジの好ましい形状は、溶着ビードであると分かっており、長さ約300ミクロンの小球を有し、アンダーカッター切断面周辺で連続している。該ビード高さは、約100ミクロンであり、元々の刃先からの幅は、約30〜40ミクロンである。本形状は、約92°の先端切削角を生じる。先端角は、研磨した完成溶着ビード間に生じるエッジ角より鈍角であり、切断力はより鋭いエッジの導入により減少する。
【0105】
更に、走査電子顕微鏡写真により、鋸歯状エッジのアンダーカッターにより切断した末端部が、電気かみそりせん断加工より従来のウェットシェービングスライシングにより近い面を有していることが分かった。
【0106】
剃毛システム、皮膚及び体毛間の相互作用を高速ビデオで調査すると、鋸歯状エッジのアンダーカッターが、従来のせん断加工によってのみでなく、体毛のスライシングによっても体毛を切断できることが分かった。更に、鋸歯状エッジは、体毛を「導いて」非従来的な切断を実現し、その結果、切断効率を向上させる。鋸歯状エッジはまた、優れたスキンマネジメントも提供し、アンダーカッター/皮膚相互作用の可能性及びその結果としての剃毛後のヒリヒリ感を低減する。鋸歯状エッジのアンダーカッターは、体毛に遭遇した際に、標準コントロールアンダーカッター程には曲がらないことも示された。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】ブラウンAG社(Braun AG)製標準フレックスインテグラルウルトラスピード(Flex Integral UltraSpeed)アンダーカッター(モデル6016)のブレード要素。
【図2】本発明の実施形態に記載のアンダーカッターのブレード要素。
【図3】図2のブレード要素の1つのエッジ部分の概略図。
【図4】図1のアンダーカッターの刃先に沿った溶着ビード化。
【図5】ビード形成中のアンダーカッターを保持するための治具。
【図6】図5の治具の分解図。
【図7】溶着ビード開始時の脆弱性。
【図8】二次ビーム偏向による集中効果。
【図9】過剰な高ビームエネルギーからのブレード損傷。
【図10】ブレードの過度の溶融。
【図11】過剰エネルギー及び過剰回転の効果。
【図12】溶融不足の効果。
【図13】望ましい溶融パターン。
【図14】不十分な合体。
【図15】刃先上の溶着ビード。
【図16】エッジ角の変化を示す、刃先の詳細。
【図16a】ブレードの刃先の概略図。
【図16b】溶着ビードに沿った距離に対する刃先角のグラフ。
【図17】レーザーにより穴あけした刃先。
【図18】先端角並びにビード長さ及び高さの相関関係。
【図19】鋭い鋸歯状エッジ。
【図20】90°の鋸歯状エッジ。
【図21】鈍角のエッジ。
【図22】バリ付き典型的アンダーカッターエッジ。
【図23】先端角に対する体毛切断力の変化のグラフ。
【図24】従来の電気かみそりによる体毛末端部。
【図25】鋸歯状エッジカッターによる体毛末端部。
【図26】ウェットシェービングによる体毛末端部。
【符号の説明】
【0108】
1,2 ブレード要素
3 表面
4 エッジ面
5,6 ブレード要素
7 エッジ面
8 側面エッジ
9 側面突起部
10 治具
11 アンダーカッター
12 シャフト
13 本体
14 切り抜き区画
15 領域
16 溶接小球
17 ブレード
18 本体
22 側面突起部の頂点
25 谷間
27 谷間最下部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気かみそり用カッターアセンブリ、電気かみそり用アンダーカッター、及びアンダーカッター製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気かみそり用従来型アンダーカッターは、複数個の弓形ブレード要素を有し、その各々は、カッター要素の主面とほぼ直角の部分的に環状の円形端を有する。電気かみそりに使用する際には、フォイル型外側カッターと相まって、実質的にフォイルとアンダーカッターの間のせん断作用により、体毛が切断される。これは、その本来の目的のために十分機能しつつ、満足できるだけのきれいなシェービングを得るために必要な時間を減らすため、シェービングの効率を改善することができるものである。
【0003】
米国特許出願第4,589,205号(タナハシ)は、球状インデント(図5)を有する外観で、各刃先に沿った角度が一定(90度)である、アンダーカッターブレードを開示している。他の外観のアンダーカッターブレードは、米国特許出願第4,044,636号(Kolodziej)、同第5,214,833号(ヤダ)及びPCT国際公開特許WO03/022535(オタニ(Othani)ら)のものが知られている。ヤダの参照特許は、図2〜4にて、外周縁37の鋭い刃先41を形成するように、外周縁37に沿った各個別のブレード30上の単一の弓形インデント39を開示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら全ての従前の提案では、基本的切断機構、即ちフォイルとアンダーカッターの間のせん断作用については、変更されていない。
【0005】
かなりの部分のひげが、スライシング動作又はスライシング/せん断組合せ動作によって、より効率的に切断されるような鋭い刃先を有する、満足できるアンダーカッターを経済的な方法にて作成することは、以前は全くできていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、快適性を犠牲にすることなく、電気かみそりの効率を向上させることである。
【0007】
本発明の別の目的は、体毛の捕捉、保持及び切断を向上させることである。
【0008】
本発明の一態様では、複数個のブレード要素を備え、各々がブレード要素端を有し、少なくとも1つのブレード要素端が、複数個の一連の側面突出部を有して、それがそれらの間に谷間を画定し、各谷間内に鋭利な刃先を有する、電気かみそり用アンダーカッターが提供される。
【0009】
本発明の別の態様では複数個の体毛収納開口を有する外側カッターと、外側カッターに対して移動可能に取り付けられて、複数個のブレード要素を有する、本発明の該一態様に記載のアンダーカッター、を有する電気かみそり用カッターアセンブリが提供される。
【0010】
本発明の別の態様では、上記で定義したアンダーカッターの製造方法を提供する。
【0011】
本発明は、剃毛性能を向上させるために、電気かみそりのアンダーカッターに鋸歯状エッジ又は貝殻状エッジを用いる。この改善は、体毛の捕捉及び保持の改善並びに体毛を切断するために必要な切断力の減少によって達成された。鋸歯状及び/又は貝殻状の形は、捕捉した体毛の保持を手助けし、その結果、体毛切断効率を増加させる。それらは、更に、フォイル開口のエッジに沿って体毛が「ロール」する傾向を、開口角にそれが捕捉されるまで減少させる。これは、より密着したシェービングを促進する。
【0012】
鋸歯状エッジは、様々な方法によって作成することができる。本開示では、いくつかの可能性のある方法が提案されている。
【0013】
好ましい作成方法は、アンダーカッターブレードの外表面上に溶着ビードを形成し、該ビードを研磨して、溶着ビードに沿った鋭いエッジを形成するものである。これを実施する際に、該溶着ビードは、鋸歯状パターンを形成する。鋸歯の形状は、溶着ビードの形状によって決定される。
【0014】
溶着ビードは、適した金属溶融プロセス、例えば、電子ビーム溶接によって形成される。ビード形成プロセスは、アンダーカッター金属の硬度を増大させる。次に、固化した溶着ビードを削り、フォイルとアンダーカッター本体の間の咬合表面になるような平滑表面を形成する。溶着ビードを形成する際には、それは一連の相互に接続した小球として形成されるが、しかしそれらを削ると、これらの小球は鋸歯状の鋭いエッジのペアを形成する。鋸歯のピッチは、小球の原寸及び研削プロセス中に除去した金属量によって決まる。鋭いエッジの歯先角は、ビードから除去した金属量によって決まる。例えば、溶着ビードをその赤道又は大きな外周まで削った場合、チップエッジ角は90度となり、最初の垂直直径の約20%のみ削った場合には、該エッジ角は45度となる。研磨が、垂直直径の50%未満である場合、歯先角は鈍角となる。
【0015】
貝殻状エッジが、体毛捕捉を向上させ、より密着した体毛切断を促進することが、高速ビデオで確認された。貝殻状エッジと典型的リニアエッジの比較は、同一試験条件下では、典型的リニアエッジは、ブレードパスの約47%で体毛と係合し、貝殻状エッジは、パスの約65%で同一体毛と係合することを示した。従来のアンダーカッターでは、体毛が開口周辺の角に捕捉されるまで、体毛がブレードに沿って移動できるが、貝殻状エッジでは、体毛は貝殻状のエッジに捕捉され、フォイル開口の最も密接に接触しているエッジにて切断されることが判明した。更に、体毛が引き延ばされ、カンチレバー状態で切断される、この両方がシェービングの密着性と効率を促進していることを証明するビデオもある。
【0016】
高速度ビデオ撮影は、約50%の体毛が貝殻状エッジブレードで切断され、開口側、体毛及びアンダーカッターブレードの間で接触が生じるとすぐに、フォイル開口エッジで切断されることを示した。従来のリニアブレードの場合、全ての体毛は開口角で切断される。
【0017】
電子溶接プロセスは、溶着ビード形状をその形成中に調整することにより、改善してもよい。これは、規則的パターンのより良いコントロール並びに刃先の歯先角の最適化を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明をより理解するために、それをいかに実行に移すかを示すために、実施例として、添付図面を参照に用いる。
【0019】
添付図面である図1は、ブラウンAG社(Braun AG)製電気かみそり用の標準的アンダーカッター部分の拡大図を示す。そのような標準的アンダーカッターは、複数個の環状ブレード要素を有する。そのような2つのブレード要素1及び2を、図1に示す。全ブレード要素は、実質的に同一である。ブレード要素1を参照すれば、それは第1及び第2主面、図1に明示されている1つの第3主面を有する。それは、更に環状エッジ面4を有する。主面3とエッジ面4との交差部分は、実質的に線形であり、円の弧を描く。
【0020】
図2は、本発明の第1の実施形態によるアンダーカッターの2つのブレード要素5及び6の拡大図を示す。図2に明示する2つのブレード要素5及び6の各々は、エッジ面7、鋸歯状又は貝殻状として形成された一連の突出部9を示す外側縁8を有する。それ故に、各ブレード要素の各主面3及び外側縁部7の境界部分は、図3で示すように、複数の弓形の領域と尖った先端を描く。各突出部9は、290ミクロン〜310ミクロンの範囲内の、好ましくは300ミクロンの長さL、及び少なくとも35ミクロンの幅Wを有する。各突出部は、60ミクロン〜120ミクロンの範囲内の、好ましくは約100ミクロンの高さH(図3の平面に対して直角)を有する。図8aは、溶着ビードの1つの小球9の断面図を模式的に示す。該小球は、高さDを有し、平面Pまで研磨後には、残留高さHを有するが、これが各突出部9の高さである。刃先の形状については、より詳細に後述する。
【0021】
図2に示されたブレード要素のエッジ形状は、図1のようなアンダーカッターのブレード要素の外側領域の溶融を、別個の小球が切断面の周囲に図4に示すように形成されるようにコントロールすることによって形成可能である。これらの小球は、更に、研削によって修正され、鋸歯状の刃先を持つ貝殻状類似の形体が生じる。アンダーカッターの最外領域のコントロールされた溶融は、順番に、正確に且つ局所的に、適合した電子ビーム溶接技術を使用して、アンダーカッターブレードエッジを溶融することで達成できる。
【0022】
電子ビーム溶接(EBW)は、通常は、金属部品を結合する方法として用いられる。それは、非常に高速度の加速電子を使用する高密度エネルギー拡散プロセスである。これらの速度は、光速の0.3倍〜0.7倍の範囲であり、印加電圧に依存し、通常は、25〜200キロボルトである。ビーム電流は、2〜1,000ミリアンペアの間で変化する。典型的ビームエネルギー密度は、平方センチメートル当たり約107ワットであり、これは毎分100〜5,000ミリメートル(材料に依存する)の溶接速度を実現することができる。
【0023】
電子は、通常は、タングステン又はタンタルを有する金属性カソード上で発生し、約0.013Pa(10−4トール)の真空及び約2,500℃の温度にて用いる。
【0024】
ワークピースを、運用真空度が約1.33Pa(10−2トール)の真空チャンバ内に保持する。しかしながら、作業チャンバ内の真空度は、ビーム強度及び広がり(即ち、コリメーション度)に影響し、従って、より高いビーム解像度を得るためには、より高い真空度が効果的である。ビーム精度は、ワークピース内のあらゆる残留磁気によって損なわれる。なぜならば、電子ビームは偏向及びひずみの影響を受けやすいためである。従って、該ワークピースを加工前に消磁することが重要である。
【0025】
電子ビーム溶接と他の高エネルギー溶接技術との主要な違いの1つは、電子ビームがワークピースと衝突する際の及びワークピースを突き抜ける際の、運動エネルギーから熱エネルギーへのほぼ瞬間的な変換にある。電子ビームは、ワークピースへ小さな固有の貫通としてのみ作用し、これは、高出力密度と組み合わさって、ほとんど瞬間的なワークピースの溶融及び蒸発をもたらす。それ故に、他のほとんどの溶接技術とは異なり、電子ビーム溶接では溶融速度は熱伝導によって制限されない。このような高出力密度は、約106℃/cmの温度勾配を生じ、これが次に表面張力により引き起こされた、表面速度がほぼ毎秒1メートル程度の熱毛管流(又はマランゴニ対流)を生じる。対流は、得られる溶融池の形状に影響する唯一の最も重要な要因であり、貫通の変動、多孔性及び融合不良などのような欠陥を生じ得る。対流は、混合にも影響を与え、従って、溶融池の組成に影響を与える。
【0026】
EBWは、他の技術を超える利点を提供する。例えば、低入熱を、例えば、アーク溶接と比較すると、熱の影響を受けた領域により良い縦横比が得られ、これがワークピースへの熱的効果をより少なくする。
【0027】
アンダーカッターエッジの溶着ビード化は、電子ビーム溶接機にてアンダーカッター上面の溶融を制御することによって達成される。ビームエネルギー及びプロセス用パラメータの精密制御が、適したエッジを得るために重要である。
【0028】
正確なビード形成は、本質的に、ビームエネルギー、ブレード回転速度及びビード/ブレード相互作用(即ち、溶着ビード形成)の適切な組み合わせによって達成される。
【0029】
典型的な電子ビーム溶接機の運転中に調整可能な、最大18個の変数がある。実プロセス用パラメータは、個々の電子ビーム溶接機の特性に依存する。
【0030】
標準サイズのブラウン社(Braun)製アンダーカッターを使用して、一例を挙げれば、該機械を操作してブレード当たり29個の溶接小球を作成し、各溶接作業毎に16Wの電力を使用した。
【0031】
実際には、ビームのポテンシャルエネルギーは、刃先を溶融するために必要なエネルギーより遙かに大きいために、該ビームを一組の「ビームレット」に分割し、各ビームレットがマルチブレードアンダーカッターの1つのブレードを横断するようにする。このようにして、完成したアンダーカッターをビームレットの下で回転することができ、一回のスイープで図4に示す構造を作成することができる。すべてのアンダーカッターブレードは、同時に処理されるため、ビームレットのエネルギーが均一であることが重要である。得られたビード処理したブレードの高さが不均一となった場合、研磨が問題なく行われていたことが無駄になる。
【0032】
図5に示すように、アンダーカッター11を細長い治具10で保持し、その長手方向の周りに回転させ、電子ビームがカッターの各ブレードのエッジを横切るようにする。ビームは、本プロセス中にパルス照射されて、各刃先に沿った一連の溶接小球を有する溶着ビードを形成する。
【0033】
アンダーカッター11は、シャフト12上に取り付けられ、冶具の本体13内に挿入される。本体13は、切り抜き区画14を有する。図6aは、本体13から取り外されたシャフト12を示す。図6bは、シャフト12及びアンダーカッター11が無い、本体13を示す。
【0034】
アンダーカッターブレードは、治具の切り抜き区画14内に配置する。治具アセンブリ10は、所定の速度で回転し、電子ビームが、治具本体13に「当たり」、その結果、ブレードの局所的な過熱及び金属損失が回避される。それは、更に、ワークピース上の熱平衡の確立を可能にする。
【0035】
ビード化プロセス中、刃先が融解し、構造の局所的変化が生じる。平均で約755±50Hv、最大硬度で790Hvまで、得られた硬度は増大する。
【0036】
調査により、熱の影響を受ける領域が溶着ビード領域に限定されているということ、及び最初のブレード材料がビード形成プロセス中にその構造を変えないことが示された。樹状及び層状成長が、固化プロセスによって引き起こされ、それらの成長は、合金鋼のマランゴニ対流特性と関連している。
【0037】
ビームが、最初にアンダーカッターワークピース11にあたり、過剰な金属損失が生じると、図7に示すようにブレード内に局所的脆弱性が生じ得る。これにより、ブレード破損が、特に後の研磨操作にて生じ得る。試験中、そのような破損が起きた場合、それは図7に示すように常にブレード17の同一領域15と関連づけられた。本脆弱性は、最初の溶接小球16とアンダーカッター本体18との接合部での目に見える金属損失と関連するが、異なる局所的熱処理とその結果生じる脆化も要因である。このような領域は、従来の溶接にてよく見られる「熱の影響を受けた領域」に類似している。そのような破損は、ブレードを露出させたままにするアセンブリ内にアンダーカッターを取り付け、ブレード溶融の前後でビームに「ヒートシンク」を提供することにより、克服することができる。冶具10は、そのようなアセンブリを提供する。これは、ブレードとアンダーカッター本体との間の接合部に、脆弱領域が発生するのを防止する。
【0038】
完成品の製作に成功するには、溶着ビードの中央合わせが重要である。アンダーカッターブレードとの関係での溶着ビードの位置は、冷却速度及び電子ビームの相対的位置によって決定される。鋼鉄のマランゴニ対流特性により、正確なビーム位置の他に、冷却速度をある程度決定する。図8aは、正しく中央に位置合わせした溶着ビードを示しているが、これに対して、誤って位置合わせされた溶着ビードを図8bに示す。
【0039】
マランゴニ対流特性は、包含物又は不純物の存在により影響を受けるため、あらゆる加工助剤から包含物又は不純物を無くすことが重要である。主として重要なことは、ケイ酸塩などの非金属性不純物が存在しないことである。なぜなら、これらは、溶融池の流れ特性に大きな影響を与えるからである。刃先に対する電子ビームの位置が重要である。アンダーカッターブレードは、わずか100ミクロンの厚みであり、従ってビームが正しく金属と相互作用し、問題なくビードが形成されるためには、50ミクロンより上の位置精度が要求される。この相互作用は、「一次ビーム偏向」によって制御される。しかしながら、ブレード間距離は可変であるために、更にビームを、刃先を横切るように横方向に「振動させて」二次ビーム偏向させる。これは、刃先を横切る方向でのビーム移動距離を広げ、ピッチ変化の影響を減少させ、その結果、エッジ上の溶着ビードを中央に集めるという効果を有する。そのような二次ビーム偏向の効果が図8aに示されており、これに対して、二次ビーム偏向が無い場合の結果が図8bに示されている。
【0040】
基本的操作条件の制御もまた、良好なビード形成には必須である。アンダーカッターブレードが過大なエネルギーに晒されると過度の溶融が生じ、その結果、図9に示すようにブレードが崩壊する。
【0041】
極めて過剰なビームエネルギーでは、アンダーカッターブレード全体が溶融するが、わずかに過剰であるに過ぎないエネルギーでは、溶着ビードが刃先から流れ落ちる(図10)。これは、アンダーカッターのエッジを得るために必要な金属量に、許容できない程の損失量をもたらす。それは更に、溶着ビードの均一性が欠如するため、溶着ビードの研磨中に、鋸歯状エッジが完全に除去される可能性を高める。
【0042】
過剰なビームエネルギーは、単純に回転速度を上げるだけで補正することはできない。というのも、これにより生成される溶接小球の数が減少し、小球間に究極的に最終の鋸歯状の形状間にギャップが生じるからである。高すぎる回転速度と高エネルギーの組合せは、図11に示すように、溶接小球間の望ましくない隆起した領域となって現れる。
【0043】
放電はほとんど連続的であるため、現在のところ、各電子ビーム「パルス」の放電期間を変更することはできない。
【0044】
不十分なエネルギーが、溶着ビードに与えられた場合、不十分な溶融が生じ、図12に示すように、溶着ビードが小さすぎて良好なエッジ形状を生成できない。
【0045】
満足できる溶着ビードの形成は、図13で示されるように、溶融池底部での平滑外表面及び一貫したフローパターンにより代表される。
【0046】
刃先の周囲に「ビードの連続」を問題なく作成するためには、各小球が、次の小球が形成される前に固結することが重要であり、そうでないと合体してしまう。小球数が多すぎると固化前に溶融池が結合し、その結果、溶融した金属の過剰な流れが生じ、引き続いて図14に示されたように溶着ビードパターンが歪む。
【0047】
ビード形成したアンダーカッターを走査電子顕微鏡により検査して、ビード形成が適切に行われて、更なる処理に適していることを確認する。
【0048】
鋸歯状エッジは、1つの特定の実施例では、60〜80ミクロンのグリットで、半径3mmに形成した砥石車を用いた溶着ビードの非円筒形表面研磨によって作成した。本操作中のブレードの破壊を防止するために、アンダーカッターにサーモジェット(Thermojet)(登録商標)3Dラピッドプロトタイピングワックス(3D rapid prototyping wax)を充填する。研削後、該ワックスは、それを熱風乾燥機で加熱することにより取り除く。
【0049】
次に、研磨したアンダーカッターは、6ミクロンのダイヤモンドペーストを使用してラップし、最終的に適合性を検査した。
【0050】
新しいアンダーカッターは、ブラウン社(Braun GmbH)が供給するような、従来のアンダーカッター材料から作成される。これは、1.4034ステンレス鋼(BS420及びX40Cr13に相当)及び以下の組成を有する。
C 0.40〜0.46重量%
Si 0.3〜0.5重量%
Mn 0.4〜0.6重量%
P 0.03重量%
S 0.02重量%
Cr 12.5〜14.5重量%
Fe 残部重量%
【0051】
鋼鉄は、溶着ビーディングに先立って、650±50Hvの硬度になるまで熱処理する。
【0052】
溶接小球は非対称で、球形よりは卵形により近いため、研削プロセスにより、図15及び16で示すように平たくした上面及び周縁部で様々に角度が変化する曲線が生まれる。
【0053】
更に、小球は刃先の周囲に沿って幾分引き延ばされるので、最大小球高さはその長さの半分未満であり、エッジ角は元々の刃先に向かって、一連の突出部の間に形成される谷間内にて、より鋭利となる。これは、図16、16a及び16bにて明確に示されている。
【0054】
図16は、刃先の外側縁部7に沿って平坦に研磨された刃先に沿った、一連の3個の側面突出部9を示している。従って、谷間25は、一連の突出部ペアの間に作成される。各突出部9の頂点22から、各谷間25の底部に向かって動くと、ブレード角は次第により鋭くより鋭利となる。従って、鋭利な刃先27が各谷間の壁の最下部に作成され、このエッジが谷間の壁から頂点22に向かって動くと、次第により鋭利でなくなる。角度は各突出部の先端又は頂点22での約90°から、より鋭いエッジ27である谷間最下部での約55°まで変化する。
【0055】
ブレードの刃先形状は、図16a及び16bからより明確に理解できる。図16aは、第1弓形区画A〜B、第2弓形区画B〜C及び第3弓形区画C〜Dに沿って延びる刃先の略図を示す。図16bは、ブレードの刃先角が、溶着ビードに沿った距離の関数として点A及びCを横断する直線に沿って測定した際に、いかに連続的且つスムーズに変化するかを示している。点Aの近辺では刃先角が約50°であり、点Bが極大値である95°に近づくに従って、連続的且つスムーズに増大するということに留意すべきである。次に、刃先角は、点Cに近づくに従い連続的且つスムーズに減少し、極小値である約50°まで減少する。
【0056】
この角度変化は、該突出部が高さ方向より長さ方向において遙かに大きい、即ち、寸法L(図3)が寸法H(図8a)より遙かに大きいことで実現される。
【0057】
長さL(図16aのAC間距離)は約300ミクロン(400ミクロン)、幅W(線ACから点Bまでの距離)は約40ミクロン、高さHは約90ミクロンとする。従って、LはおよそHの3倍である。切削角は、突出部表面が様々な曲率の部分を持つと言われるように、突出部高さにおける垂直位置に応じても変化するということにも注意すべきである。
【0058】
刃先は、二次元(アンダーカッターの動作方向に対して、平行及び横断方向)なので、その切断プロセスはせん断力とスライスの両方の組合せと考えることができる。従来の電気かみそり用リニアアンダーカッターは、ほぼ純粋なせん断作用を使用して、電気かみそりにおいて通常見られる、良く認識された「ニブリング」動作を生じる。
【0059】
鋸歯の寸法は、体毛のおおよその形状に十分配慮して定められた。鋸歯長(又はピッチ)は、体毛がエッジのくぼんだ領域(谷間)に収まり、保持されるようなものにする。更に、鋸歯の幅(又は振幅点)は、切断領域への体毛の貫通に対して悪影響を及ぼすことなく、体毛を保持できるようなものにすべきである。
【0060】
更に、各々の湾曲したアンダーカッター突出部の先導領域は、フォイル開口を突き抜ける体毛及び皮膚を管理して、その結果、過度の剥脱作用から保護する。それは、更に貫通する体毛を優先的切断位置に向けるような仕組みも提供する。
【0061】
更に可能な製造方法としては、電子ビーム溶接に代わるレーザービーム溶接、3次元プレス成形用金型を使用した空押し及び金属片の変形、例えば3次元プレス成形用金型を用いたストリップ形態の個々のブレードの空押し、ワイヤースパーキング(wire sparking)、エレクトロフォーミング(electroforming)、高圧注入モールディング又はYAGレーザープロファイリングが挙げられる。
【0062】
YAGレーザープロファイリングの場合、アンダーカッターブレードをYAGレーザーで穴開けをして、外側走行表面からカッター中心に向かって、必要なパターンを形成する。これにより、90°のブレード角を持つ貝殻状の形状のエッジを作成する。該貝殻状のエッジは、フォイルに対して直角なブレード面に組み込まれる。貝殻状のピッチは、あごひげの断面と類似の大きさでなければならず、それは50ミクロン〜250ミクロンである。振幅点は、ピッチの約半分である。
【0063】
より厚いブレード(250〜300ミクロン)のアンダーカッターは、両側をレーザープロファイルして、ピッチが150ミクロン及び(好ましい)振幅点が100ミクロンの貝殻状パターンを得る。レーザー穴あけでブレードが破断したり、使用する上で弱すぎたりしないように、厚みを増やす必要がある。得られたアンダーカッターブレードを、図17に示す。、以後「レーザーにより穴あけした」ブレードと称する。
【0064】
レーザー切断した鋸歯状エッジプロセスは、貝殻状のピッチ及び振幅を最適化して、貝殻状表面をレーザー切断後に滑らかにすることによって改善できる。
【0065】
鋸歯状エッジのアンダーカッターの製作については、上述した。要約すると、該アンダーカッターは、好ましくは従来のブラウンフレックスインテグラルウルトラスピード(Braun Flex Integral UltraSpeed)電気かみそり用アンダーカッターの外周の制御した溶融により作成し、わずかに硬度が増した(標準的アンダーカッターが650Hvであるのに対して、755Hv)溶着ビードを得る。該溶着ビードは、非円筒形オフセット研磨によって研磨して、平滑な鋸歯状エッジを作成できる。
【0066】
かなりの量の金属がアンダーカッターから取り外されるので、直径は減少する。試験目的のために、アンダーカッターが電気かみそり用フォイルの下面に確実に設定されるために、それをプラスチックキャリアに取り付け、最終的な適正高さになるように取り付けた。アンダーカッターは、オフセット研磨で処理されるので、フォイル/アンダーカッター相互作用形状には、わずかな変化しか生じなかった。標準ブラウンフレックスインテグラルウルトラスピード(Braun Flex Integral UltraSpeed)電気かみそりの主要シェービング領域は、フォイル上部中央線のいずれかの側にある3列開口である。これは、鋸歯状エッジのアンダーカッターと共に維持されるが、このアンダーカッターと本領域の外側にあるフォイルの下面との間の「フォールアウェイ(fall away)」は、わずかに増加する。多くの標準的アンダーカッターブレードがフォイルと接触せず、オフセット研磨によって引き起こされる実際の形状変化が最小限のものであったために、このわずかな変化が、その性能に悪影響をもたらすとは考えられなかった。
【0067】
鋸歯状エッジ形状が、電気かみそりのアンダーカッターに及ぼす性能上の効果を以下に説明する。
【0068】
一旦取り付けると、バネ荷重(「プレロード」)が確認され、ブラウンフレックスインテグラルウルトラスピード(Braun Flex Integral UltraSpeed)試験用かみそりのそれらに合うように調整される。
【0069】
貝殻状の形状は、人毛の典型的形状に適合するように選択され、およそ楕円形、細いもので約60〜80ミクロンの軸、主要軸で100〜120ミクロンと考えられている。
【0070】
鋸歯状エッジの詳細な形状は、剃毛性能と関連があり得る。ポストビーディング製作の程度が、最終の鋸歯状の形状に影響を与え、従って、あらゆる所与のビードに対して形状及び寸法が相互に関係する。
【0071】
可能な小球数は、製造経路及び処理装置のみによって、各刃先にて最大29個に制限された。これは一方で、ビード小球の最適平均長を決定し、それを約289〜325ミクロンに制限するが、これは、ビーディングがブレード周辺部の180°又は160°を超えて生じるか否かに依存する。平均小球長さが275ミクロン未満の場合、一連のビードが不連続となり、その結果、刃先が事実上、当初標準の90°のアンダーカッターブレードエッジの領域となる。図18は、平均先端角と溶接小球の長さ及び高さとの相関関係を示す。
【0072】
他の装置では、約35個程度までの小球を作成できた。
【0073】
図18の相関係数の傾向は、95%超の信頼水準であり、6個のデータセットの相関係数(R2)は、95%信頼水準にて0.6577であり、図18には、0.7744及び0.838のものが示されている。従って、アンダーカッターの剃毛性能が、ビード形状で決定されるのであれば、様々な剃毛性能基準と形状との間の多数の相互関係が存在することが期待できる。
【0074】
異なる鋸歯状のアンダーカッター形状の性能は、標準ブラウンフレックスインテグラルウルトラスピード(Braun Flex Integral UltraSpeed)かみそりに対して評価した。図19〜21は、鋸歯状エッジの異なる角度の走査電子顕微鏡写真を示す。比較のために、図22はブラウンフレックスインテグラルウルトラスピード(Braun Flex Integral UltraSpeed)の典型的エッジを示す。
【0075】
最終エッジ生成のために使用した研削及びラッピング工程が、エッジに結合した直径2〜3ミクロンのバリを生じたことが確認できる。これらのバリは、図22に示すように、標準的アンダーカッターの未使用エッジに通常伴うようなものより小さい。
【0076】
しかしながら、鋸歯状の形状及びひげそり性能との関係に関する限り、定量的特性は、アンダーカッターエッジと最上表面との間の「より大きな」角度である。この角度は、バリ形状により影響される。バリ形成は、アンダーカッター最上表面の研削中に生じ、溶着ビード形状と直接には関係しない。シェービング試験から得られた性能データは、最適先端角があることを示している。簡単に述べると、この角度は鋸歯状の一番前の箇所から始まり、バリの「マクロ形状」を含む。
【0077】
実際には、各公称先端角には範囲があり、これは好ましい角度値に包絡線を与える。最適に近似させた好ましい値は、92°であり、好ましくは、86°〜100°であるが、平均的ユーザーの場合は、82°〜104°の範囲内の先端角にて、一般的にメリットがある。しかしながら、他の利点は、先端角が大きくて107°、小さくて78°であることで得られ、この範囲が、多かれ少なかれアグレッシブなシェービングシステムに必要とされる顧客の要求に適合することができるからである。
【0078】
剃毛効率は、再度約92°の先端角にて最大化され、この値から角度が離れるに従い、コントロールカッターが一致するまで減少する。最高性能のためには、この角度が87°〜97°の間に保持されなければならない。しかしながら、範囲が80°〜105°の間で増加しても、依然として利点は維持され、この範囲を超える形状ではアンダーカッターの性能が損なわれる。もし、この角度があまりに鈍角となると、該エッジの切断効率は落ち、一方で、それがより鋭角となると、鋭いエッジによって生じる不快感というリスクが増加する。
【0079】
効果の無い範囲が98°〜107°であると示されているが、先端角が104°未満には、剃毛時の効果が得られた。この範囲は、よりしっかりとした又はよりゆったりした剃毛のいずれかを希望するユーザーに対応する。すべてのユーザーに効果を認めさせるには、従って、先端角を98°未満に制限するのが合理的であるが、より大きな角度のアンダーカッターが、よりゆったりした剃毛を要求する顧客に提供される。
【0080】
鋸歯の幅は、標準ブラウンフレックスインテグラルウルトラスピード(Braun Flex Integral UltraSpeed)と比較した際に、鋸歯状エッジのアンダーカッターの性能に限界効果のみを有することが証明された。しかし、性能上の利点のためには、鋸歯は少なくとも35ミクロン幅でなければならない。
【0081】
アンダーカッターエッジの性能が損なわれないように、鋸歯の高さは60ミクロン〜120ミクロンでなければならず、目標は100ミクロンである。
【0082】
アンダーカッター性能と鋸歯状エッジの突出部の長さとの間に強い相関関係は無い。しかしながら、該長さが250ミクロン未満まで減少すると、アンダーカッターの一般性能は悪影響を受け、標準コントロールアンダーカッターより性能が劣化する場合もあることを示唆している。これは、刃先が標準コントロールアンダーカッターの形状に向かって退行する際の、鋸歯の損失により説明できる。従って、鋸歯状エッジの利点は、向上した体毛捕捉及び/又は切断が、鋸歯状エッジの局所的損失によって失われるまで、漸次減少する。
【0083】
鋸歯状エッジの目標形状を推定することは、可能である。下記パラメータを決定することができる。
【表1】
【0084】
目標平均先端角(92°)は、当初は期待されていなかった。しかしながら、鋸歯の形は、体毛が鋸歯状エッジを横切り、アンダーカッターブレード本体の方向に向かう際に、刃先角が減少するようなものである。あらゆるアンダーカッターブレード/皮膚の相互作用が最初にゆるやかな鈍角であれば、快適性が向上する。更に、研磨前の現在のビード形状は、鋭角より鈍角に遙かに成りやすく、先端角分布がより大きな角度に偏る。実際には、90°の平均先端角が、わずかに鈍角である92°とほとんど同様に機能する。好ましい鋸歯長は、電子ビーム特性によって決定され、実際には可変プロセス用パラメータの範囲外である。鋸歯の幅及び高さは、全体の形状に依存し、ビード形成プロセス及び先端角の両方に関係する。これら2つの特性が、最終的な鋸歯の形を画定する手助けをするが、それらはアンダーカッターの最終性能へ二次的な効果のみを有する。
【0085】
鋸歯状エッジのアンダーカッターと標準的アンダーカッターとの間で、同一条件下にて、摩耗特性の直接比較を行った。鋸歯状エッジのアンダーカッターは、標準コントロールアンダーカッターと比較した場合に、いかなる不都合な特性も持たず、更に、制御されたアンダーカッターが、金属変形に耐えている間、鋸歯状エッジが鋭いバリを持つエッジを維持するということが見出された。ニッケルは、かみそり用フォイルの下面から磨損により失われ、アンダーカッターブレード表面に軽く付着するのみであった。アンダーカッター又はバリに、ニッケルが堆積するという証拠は無かった。
【0086】
鋸歯状エッジのアンダーカッターの事前に選択した異なる先端角の切断力を、標準コントロールアンダーカッターのものと比較した。各先端角データセットは、同一体毛ストランドから得られた。体毛内の厚みの変化による効果を最小化するために、鋸歯状エッジの値は、標準的アンダーカッターと代わる代わる得た。
【0087】
表2は、得られた切断力を示している。
【表2】
【0088】
しかしながら、鋸歯状エッジのアンダーカッターで切断された体毛の末端部は、図25に示すように、非常にわずかな皮膚原線維と共にはるかにスムーズな切断表面を示す。
【0089】
比較のために、マッハ3(Mach3)(登録商標)ブレードで作成された体毛末端部が図26に示されている。図24〜26の比較により、鋸歯状エッジのアンダーカッターは、典型的な電気かみそりのせん断よりもウェットシェーブのスライシングにより類似した切断動作を生じることができることを確認した。
【0090】
高速度ビデオ解析は、鋸歯状エッジのアンダーカッターのブレードが、それに対応する標準コントロールアンダーカッターよりもより硬いように見えることを示した。標準的アンダーカッターブレードは、体毛と相互作用する際に曲がることが分かったが、鋸歯状エッジについてはこのことがそれ程明白ではない。これはおそらく、フォイル、アンダーカッター及び体毛の間で相互作用が起きる間際での、鋸歯状エッジのアンダーカッターの増大したブレード幅と増大した硬度によるものである。
【0091】
鋸歯状エッジのアンダーカッターは、体毛及び開口エッジと相互作用する際に、従来のリニアブレードアンダーカッターとほとんど同一のせん断作用を有する。しかしながら、鋸歯状エッジは、それが開口エッジと相互作用する際に、次第に減少するエッジ角による体毛のスライシングにより、体毛スライシングを促進することもできる。
【0092】
更に、あごひげは鋸歯により捕捉され、刃先に沿ったくぼみへと導かれる。これが、体毛とアンダーカッターがフォイル開口エッジの任意の場所と相互作用する際に、2つの隣接する鋸歯のエッジによる3エッジ動作で、捕捉された体毛が切断されることを可能にする。従って、鋸歯のくぼみは、別の噛み合わせ角として作用し、それらはあたかも別の開口取り込み角であるかのように振る舞う。切断が、開口角に捕捉された体毛に依存するため、これは、従来のリニアエッジアンダーカッターでは不可能である。
【0093】
体毛が切断された場所でのアンダーカッターと体毛間の相互作用の解析は、表3に示すように、すべての3つのプロセスが生じたことを示す。
【表3】
【0094】
様々な角度での切断力の違いを図23に示す。
【0095】
先端角72°は、標準的アンダーカッターと比較した場合、体毛の平均切断力を約17%減少させることができる。他方では、先端角があまりに鈍角(110°)であると、平均切断力は約8%増えることができる。
【0096】
コントロールアンダーカッターと鋸歯状エッジとの間の切断力に違いがない場合の先端角が、約95°であることが図23で分かる。これは、標準コントロールアンダーカッターブレードの丸いエッジとバリが、ターゲット角と異なる効果的な切削角を与えるという効果に起因しうる。
【0097】
これらの観察は更に、標準ならしアンダーカッターの実際の刃先が、バリの影響を受けており、有効切削角95°を有していることを暗示している。標準アンダーカッターをより詳細に試験することで、バリが95〜104°の有効先端角を生じていることが判明した。更に、これは直径で約5〜8ミクロンのバリと対応している。これらのデータは、バリ形成に関する他の観察に極めて類似している。
【0098】
更に、鈍角での切断により、体毛のスカイビングも観察された。これは、体毛が完全には切断されず、カッターが体毛に沿って縦方向に動いて、長い先細りにするものである。
【0099】
鋸歯状エッジのアンダーカッターを使用して切断した体毛末端の走査電子顕微鏡調査は、ウェットシェービングで見られるものに類似したスライシング動作のみでなく、電気かみそりに通常伴う従来のせん断加工の証拠も示した。
【0100】
図24は、従来の電気かみそりにより切断された体毛末端部を示しており、皮膚原線維がギザギザの末端部として非常にはっきりと確認できる。
【0101】
従来の標準的体毛切断は、開口隅に捕捉され、アンダーカッターブレードを通過しながら切断される体毛によるものであり、これが切断動作の39%であることが確認できている。しかしながら、鋸歯状エッジのアンダーカッターは、開口周縁のあらゆる箇所で体毛を切断でき、これが切断動作の45%であることが確認できている。更に、鋸歯状エッジは、体毛をその輪郭の周りに「導き」、それを鋸歯状のくぼみで捕捉し、次にそれを開口エッジの任意の部分で切断する。これは、相互作用の約16%で見られた。標準的アンダーカッターによる高速ビデオによる切断工程の比較調査は、全ての切断が六角形の角度内で生じていることを示した。
【0102】
電子ビームにより溶着ビードを形成し、ビードを研削することにより作成した鋸歯状エッジのアンダーカッターは、平坦な上面を持つ三次元の刃先を生み、標準的ブラウン社(Braun)製アンダーカッターよりもひげそり性能に優れている。該新規アンダーカッターは、様々な電気かみそり属性において、統計的に優れた性能を発揮することができる。
【0103】
鋸歯状エッジのアンダーカッターは、より小さいバリのより堅牢なエッジを提供する増大した硬度を有する。本修正エッジは、フォイルとアンダーカッター間の摩擦的相互作用に対していかなる悪影響も持たない。
【0104】
電子ビームシステムによって作成された鋸歯状エッジの好ましい形状は、溶着ビードであると分かっており、長さ約300ミクロンの小球を有し、アンダーカッター切断面周辺で連続している。該ビード高さは、約100ミクロンであり、元々の刃先からの幅は、約30〜40ミクロンである。本形状は、約92°の先端切削角を生じる。先端角は、研磨した完成溶着ビード間に生じるエッジ角より鈍角であり、切断力はより鋭いエッジの導入により減少する。
【0105】
更に、走査電子顕微鏡写真により、鋸歯状エッジのアンダーカッターにより切断した末端部が、電気かみそりせん断加工より従来のウェットシェービングスライシングにより近い面を有していることが分かった。
【0106】
剃毛システム、皮膚及び体毛間の相互作用を高速ビデオで調査すると、鋸歯状エッジのアンダーカッターが、従来のせん断加工によってのみでなく、体毛のスライシングによっても体毛を切断できることが分かった。更に、鋸歯状エッジは、体毛を「導いて」非従来的な切断を実現し、その結果、切断効率を向上させる。鋸歯状エッジはまた、優れたスキンマネジメントも提供し、アンダーカッター/皮膚相互作用の可能性及びその結果としての剃毛後のヒリヒリ感を低減する。鋸歯状エッジのアンダーカッターは、体毛に遭遇した際に、標準コントロールアンダーカッター程には曲がらないことも示された。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】ブラウンAG社(Braun AG)製標準フレックスインテグラルウルトラスピード(Flex Integral UltraSpeed)アンダーカッター(モデル6016)のブレード要素。
【図2】本発明の実施形態に記載のアンダーカッターのブレード要素。
【図3】図2のブレード要素の1つのエッジ部分の概略図。
【図4】図1のアンダーカッターの刃先に沿った溶着ビード化。
【図5】ビード形成中のアンダーカッターを保持するための治具。
【図6】図5の治具の分解図。
【図7】溶着ビード開始時の脆弱性。
【図8】二次ビーム偏向による集中効果。
【図9】過剰な高ビームエネルギーからのブレード損傷。
【図10】ブレードの過度の溶融。
【図11】過剰エネルギー及び過剰回転の効果。
【図12】溶融不足の効果。
【図13】望ましい溶融パターン。
【図14】不十分な合体。
【図15】刃先上の溶着ビード。
【図16】エッジ角の変化を示す、刃先の詳細。
【図16a】ブレードの刃先の概略図。
【図16b】溶着ビードに沿った距離に対する刃先角のグラフ。
【図17】レーザーにより穴あけした刃先。
【図18】先端角並びにビード長さ及び高さの相関関係。
【図19】鋭い鋸歯状エッジ。
【図20】90°の鋸歯状エッジ。
【図21】鈍角のエッジ。
【図22】バリ付き典型的アンダーカッターエッジ。
【図23】先端角に対する体毛切断力の変化のグラフ。
【図24】従来の電気かみそりによる体毛末端部。
【図25】鋸歯状エッジカッターによる体毛末端部。
【図26】ウェットシェービングによる体毛末端部。
【符号の説明】
【0108】
1,2 ブレード要素
3 表面
4 エッジ面
5,6 ブレード要素
7 エッジ面
8 側面エッジ
9 側面突起部
10 治具
11 アンダーカッター
12 シャフト
13 本体
14 切り抜き区画
15 領域
16 溶接小球
17 ブレード
18 本体
22 側面突起部の頂点
25 谷間
27 谷間最下部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のブレード要素(5、6)を備え、各々がブレード要素端(7)を有し、少なくとも1つのブレード要素端(7)が、複数個の一連の側面突出部(9)を有して、それらの間に谷間(25)を画定し、そして各谷間内に鋭利な刃先(27)を有する、電気かみそり用アンダーカッター。
【請求項2】
一連の側面突出部が、一連の側面突出部の外面に沿って延びる刃先(27)を画定し、該刃先(27)が、該谷間の各々に隣接した領域内に鋭利な切削角を有する、請求項1に記載のアンダーカッター。
【請求項3】
該切削角が、各突出部の頂点にて最大となり、そして各谷間の底部に隣接した領域にて最小となる、請求項2に記載のアンダーカッター。
【請求項4】
該切削角が、最大角から最小角まで連続的に変化する、請求項3に記載のアンダーカッター。
【請求項5】
該各突出部が、様々な曲率の部分を持つ表面を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアンダーカッター。
【請求項6】
該各谷間が、各々の体毛捕捉領域を提供する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアンダーカッター。
【請求項7】
各側面突出部の頂点(22)でのブレード角が、85°〜105°の範囲内にある、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアンダーカッター。
【請求項8】
各側面突出部の頂点(22)でのブレード角が、約92°である、請求項7に記載のアンダーカッター。
【請求項9】
各突出部の高さ(H)が、60ミクロン〜120ミクロンの範囲内である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のアンダーカッター。
【請求項10】
各突出部の高さ(H)が、約100ミクロンである、請求項9に記載のアンダーカッター。
【請求項11】
各突出部の幅(W)が、約35〜45ミクロンである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のアンダーカッター。
【請求項12】
各突出部の長さ(L)が、290ミクロン〜310ミクロンの範囲内である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のアンダーカッター。
【請求項13】
各突出部の長さ(L)が、約300ミクロンである、請求項12に記載のアンダーカッター。
【請求項14】
複数個の体毛収納開口を有する外側カッターと、
外側カッターに対して移動可能に取り付けられ、そして複数個のブレード要素(5、6)を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のアンダーカッターと、
を備えた、電気かみそり用カッターアセンブリ。
【請求項15】
エッジ領域を有する、少なくとも1つのアンダーカッターブレード(5、6)を提供する工程と、
少なくとも1つのアンダーカッターブレードのエッジ領域(7)を電子ビーム溶接して、複数の一連の小球(16)を有する溶着ビードをエッジ領域に沿って作成する工程と、
溶着ビードを研いで、複数の側面突出部(9)を有するとともにそれらの間の谷間に鋭利な刃先(27)を有する、通常は平滑であるエッジ(7)を作成する工程と、
を備えた、少なくとも1つのブレードを有する鋭いアンダーカッターの製作方法。
【請求項16】
一連の側面突出部が、一連の側面突出部の外面に沿って延びる刃先(27)を画定し、該刃先(27)が、該谷間の各々に隣接した領域内に鋭利な切削角を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該刃先に、280〜325ミクロンの範囲内の平均長を有する小球(16)を設けた、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
各小球(16)の材料の約半分を削り取る、請求項15、16又は17に記載の方法。
【請求項19】
複数のブレード(5、6)を有するアンダーカッターアセンブリに、電子ビーム溶接を施し、各ブレードのエッジ領域に沿って複数の小球(16)を有する溶着ビードを作成する、請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
該複数ブレードを同時に処理する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該アンダーカッターアセンブリが、電子ビーム溶接を施す際にヒートシンク(10)内に保持される、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
該ヒートシンク(10)が、溶接プロセス中に回転させられる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
該アンダーカッターアセンブリが、溶接中にチューブ状ヒートシンク(10)内に保持される、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項1】
複数個のブレード要素(5、6)を備え、各々がブレード要素端(7)を有し、少なくとも1つのブレード要素端(7)が、複数個の一連の側面突出部(9)を有して、それらの間に谷間(25)を画定し、そして各谷間内に鋭利な刃先(27)を有する、電気かみそり用アンダーカッター。
【請求項2】
一連の側面突出部が、一連の側面突出部の外面に沿って延びる刃先(27)を画定し、該刃先(27)が、該谷間の各々に隣接した領域内に鋭利な切削角を有する、請求項1に記載のアンダーカッター。
【請求項3】
該切削角が、各突出部の頂点にて最大となり、そして各谷間の底部に隣接した領域にて最小となる、請求項2に記載のアンダーカッター。
【請求項4】
該切削角が、最大角から最小角まで連続的に変化する、請求項3に記載のアンダーカッター。
【請求項5】
該各突出部が、様々な曲率の部分を持つ表面を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアンダーカッター。
【請求項6】
該各谷間が、各々の体毛捕捉領域を提供する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアンダーカッター。
【請求項7】
各側面突出部の頂点(22)でのブレード角が、85°〜105°の範囲内にある、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアンダーカッター。
【請求項8】
各側面突出部の頂点(22)でのブレード角が、約92°である、請求項7に記載のアンダーカッター。
【請求項9】
各突出部の高さ(H)が、60ミクロン〜120ミクロンの範囲内である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のアンダーカッター。
【請求項10】
各突出部の高さ(H)が、約100ミクロンである、請求項9に記載のアンダーカッター。
【請求項11】
各突出部の幅(W)が、約35〜45ミクロンである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のアンダーカッター。
【請求項12】
各突出部の長さ(L)が、290ミクロン〜310ミクロンの範囲内である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のアンダーカッター。
【請求項13】
各突出部の長さ(L)が、約300ミクロンである、請求項12に記載のアンダーカッター。
【請求項14】
複数個の体毛収納開口を有する外側カッターと、
外側カッターに対して移動可能に取り付けられ、そして複数個のブレード要素(5、6)を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のアンダーカッターと、
を備えた、電気かみそり用カッターアセンブリ。
【請求項15】
エッジ領域を有する、少なくとも1つのアンダーカッターブレード(5、6)を提供する工程と、
少なくとも1つのアンダーカッターブレードのエッジ領域(7)を電子ビーム溶接して、複数の一連の小球(16)を有する溶着ビードをエッジ領域に沿って作成する工程と、
溶着ビードを研いで、複数の側面突出部(9)を有するとともにそれらの間の谷間に鋭利な刃先(27)を有する、通常は平滑であるエッジ(7)を作成する工程と、
を備えた、少なくとも1つのブレードを有する鋭いアンダーカッターの製作方法。
【請求項16】
一連の側面突出部が、一連の側面突出部の外面に沿って延びる刃先(27)を画定し、該刃先(27)が、該谷間の各々に隣接した領域内に鋭利な切削角を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該刃先に、280〜325ミクロンの範囲内の平均長を有する小球(16)を設けた、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
各小球(16)の材料の約半分を削り取る、請求項15、16又は17に記載の方法。
【請求項19】
複数のブレード(5、6)を有するアンダーカッターアセンブリに、電子ビーム溶接を施し、各ブレードのエッジ領域に沿って複数の小球(16)を有する溶着ビードを作成する、請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
該複数ブレードを同時に処理する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該アンダーカッターアセンブリが、電子ビーム溶接を施す際にヒートシンク(10)内に保持される、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
該ヒートシンク(10)が、溶接プロセス中に回転させられる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
該アンダーカッターアセンブリが、溶接中にチューブ状ヒートシンク(10)内に保持される、請求項21又は22に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図16a】
【図16b】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図16a】
【図16b】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2008−510500(P2008−510500A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522749(P2007−522749)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/025872
【国際公開番号】WO2006/012411
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/025872
【国際公開番号】WO2006/012411
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]