説明

鋲打機および鋲打機の操作方法

【課題】充電による作業中断を低減する。
【解決手段】鋲打機1は燃焼室12を備え、その内部には、乱気流発生のためにまたは燃焼室を排気するための、電気的駆動装置14が配置され、そしてさらに電力蓄積装置24を備える。鋲打機1の動作をさらに簡単化するため、電力蓄積装置24は非充電式の一次電池セルにより構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼室を備え、その内部には乱気流発生のためまたは燃焼室を排気するための電気的駆動装置が配置され、そしてさらに電力蓄積装置を備えた、鋲打機に関する。本発明は、さらにこのような鋲打機を操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ駆動ファンが配置された第1の燃焼室を有する鋲打機は特許文献1から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7520252号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、鋲打機の動作をさらに単純化することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鋲打機に燃焼室と電力蓄積装置を備え、燃焼室には燃焼室に乱気流を発生させ、そして排気するための電気的駆動装置を配置し、電力蓄積装置は非充電式の一次電池セルにより構成することにより、本課題は解決される。本発明の鋲打機は、燃焼力によって動作する手持ち式の鋲打機であるのが好ましい。留め具をセットするために、ガス・カートリッジからのガスは、例えば、燃焼室の酸素または空気と可燃性の混合気を形成するために混ぜ合わされる。可燃性の混合気が点火されると、急に膨張して作動ピストンを打ち込む。通常の鋲打機は、再充電可能な二次電池セルを収容した電池で動作する。この電池は、鋲打機の動作中に充電されなければならず、そのことは面倒な作業中断を意味する。本発明は、必要に応じて単に取り代えることのできる非充電可式の一次電池セルによる鋲打機の動作を可能にし、それにより長い再充電時間を必要としない。
【0006】
本発明の好ましい態様は、電力蓄積装置が、非充電式の、交換可能な一次電池セルによる動作のために構成されることを特徴とする。本発明の別の特徴によれば、非充電式の一次電池セルは、迅速且つ容易に取り代えることができる。例えば、非充電式の一次電池セルは、迅速且つ容易に幾度も開閉され得る、容易にアクセス可能なバッテリー収納部に収容できる。
【0007】
他の本発明の好ましい態様は、電力蓄積装置が、非充電式の、交換可能な一次電池セルを有するか、そして/または充電可能な二次電池セルにより動作するよう構成されることを特徴とする。本発明の別の特徴によれば、2種類の異なるタイプの電池セルが用いられ得る。これは、鋲打機が、最初に再充電可能な二次電池セルを収容した電池で動作され得るといった利点を提供する。その電池が完全に放電されると、それは再充電され得る。再充電の間、鋲打機は、非充電式の一次電池セルにより動作されるので都合がよい。本発明の鋲打機は、二次電池セルの収容のためと同様に、一次電池セルの収容ために適したバッテリー収納部を備えることができる。しかしながら、鋲打機は、1方は一次電池セルを収容するために適した、そして他方は二次電池セルを収容するために適した、異なるバッテリー収納部を有することもできる。
【0008】
他の本発明の好ましい態様は、鋲打機が一次電池セルまたは二次電池セルを認識するための識別装置を備えることを特徴とする。この識別装置は、鋲打機の動作を簡単にする。異なる電池用に1つのハウジングだけを収容している場合は特にそうである。電池が挿入されたあと、入っているセルの種類は内部的に認識される。
【0009】
他の本発明の好ましい態様は、識別装置が、一次そして/または二次の電池セルの内部抵抗を測定するための、測定装置を備えることを特徴とする。入っている電池の種類は、電池セルの内部抵抗の大きさによって、例えば記憶された比較値に基づいて、内部的に認識される。
【0010】
他の本発明の好ましい態様は、識別装置が、燃焼室に乱気流または排気を生成するための装置に動力を供給する電動モータを駆動する電子制御部装置とつなげられ、そして/または組み合わされることを特徴とする。本発明の別の特徴によれば、電動モータは、電力蓄積装置が一次電池セルか二次電池セルを収容しているかどうかにより、電子制御部装置によって異なるように駆動される。
【0011】
他の本発明の好ましい態様は、乱気流の生成ためのまたは燃焼室を排気するための装置には、少なくとも一つのファンが含まれることを特徴とする。このファンは、電動モータにより駆動される。電動モータを駆動するために必要とされる電力は、電力蓄積装置により供給される。
【0012】
上述した鋲打機を操作する方法では、上記の課題は、これとは別に又は追加的に、鋲打機の動作の前に、電力蓄積装置が非充電式の一次電池セルそして/または再充電可能な二次電池セルからなるかどうかを内部的に検出することにより解決される。そのために、例えば誤った電池を用いることによる、望ましくない鋲打機の動作の中断は避けられ得る。本発明の別の特徴によれば、一次電池セルおよび二次電池セルを収容するのに適当な共有電池収納部が、一次電池セルだけまたは二次電池セルだけを収容しているかどうかも、識別装置で検出される。本発明の別の特徴によれば、鋲打機は、一次電池セルおよび二次電池セルを同時に使用するためにも適する。
【0013】
本方法の好ましい態様は、鋲打機に使用される電池の種類によって決まる、いくつかの電圧低下遮断電圧が鋲打機のスイッチを切るために使われることを特徴とする。これは、簡単な方法で、使用中の電池の耐用年数にわたる、鋲打機の安定した動作を許容する。この電池は電力蓄積装置とも呼ばれ得る。
【0014】
他の本方法の好ましい態様は、鋲打機の充電状態表示装置が、鋲打機に挿入され使われる電力蓄積装置の種類によって、別々に切替えられることを特徴とする。本発明の別の態様によれば、一次電池セルが用いられるときに、そして、二次電池セルが使われるときに、現在使用中の電池セルで鋲打機が使える、残りの時間が示される。
【0015】
本発明の別の利点、特徴および詳細は、各種の実施態様が、図面を参照して詳細に説明される以下の記載から導き出すことができる
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の鋲打機の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、ハウジング2を有する鋲打機1のきわめて簡略化された図である。ハウジング2にはハンドル4が備えられ、それにより留め具を打ち込むための鋲打機1を把持する。留め具は、留め具設定端部5で鋲打機1から出て、基礎に打ち込まれ得る。
【0018】
使用する留め具は、鋲打機1の留め具設定端部5の近くに取り付けられる、内部マガジン6から供給されるのが好ましい。留め具は、自動的にマガジン6から取り出されて、留め具設定端部5に供給されるのが好ましい。
【0019】
基礎に留め具を打ち込むために必要とされるエネルギーは、鋲打機1内部のガス容器またはガス・カートリッジ8に備えられている。ガス・カートリッジ8はガス容器室に収容されることができ、調節可能すなわち制御可能な計量バルブ10およびガスライン11を介して、燃焼室すなわち燃焼空間12に接続され得る。
【0020】
ガス・カートリッジ8からのガスは、例えば基礎へのボルトまたは釘のような留め具を打ち込むために点火される、可燃混合気を形成するために、燃焼空間12の空気と混合される。打ち込むために必要とされるエネルギーは、留め具設定端部5で、燃焼空間12から留め具に、例えば作動ピストン(図示せず)によって伝達される。
【0021】
燃焼空間12内に乱気流を発生させるために、そして燃焼空間12を排気そして/または冷やすために用いる装置14が燃焼空間12内に配置される。装置14には、電動モータ18により駆動されるファン15が備えられる。電動モータ18は電子制御部装置20により駆動される。
【0022】
点火ケーブル21は電子制御部装置20から燃焼空間12に延びる。燃焼空間12の可燃混合気は、この点火ケーブル21を介して点火される。
【0023】
電動モータ18は、同様にモータ制御ライン22を介して、電子制御部装置20に接続されている。加えて、電動モータ18がその駆動力を得る、電力蓄積装置24が制御装置20に接続している。
【0024】
本発明の本質的な態様によれば、電力蓄積装置24は非充電式の一次電池セルからなり得る。非充電式の一次電池セルは、簡単な方法で交換され得るのが好ましい。
【0025】
電力蓄積装置24は、例えばバッテリー収納部からなり、バッテリー収納部カバーによって閉じることができる。バッテリー収納部カバーは、電池セルを挿入するために、容易に開いたり閉じたりすることができる。
【0026】
一実施例(図示せず)において、バッテリー収納部は、ガス容器収納部と共に、供給収納部をそのカバーとともに形成し、その収納部にガス容器および電池セルが挿入され得る。電池セルおよびガス容器は、好ましくは互いに永久に接続していて、エネルギー供給装置を形成する。エネルギー供給装置が供給収納部に挿入されたとき、それによって鋲打機は駆動される。
【0027】
本発明の別の特徴によれば、電力蓄積装置24は、再充電可能な二次電池セルからなることもできる。このために、制御装置20は、一次電池セルまたは二次電池セルがバッテリー収納部に挿入されているかどうかを認識するために用いられる、識別装置を備える。電動モータ20は、バッテリー収納部に挿入された電池セルによって決まる、別々の制御装置18を介して駆動される。
【符号の説明】
【0028】
1 鋲打機
2 ハウジング
4 ハンドル
5 留め具設定端部
6 内部マガジン
8 ガス・カートリッジ
10 調節可能であるか制御可能な計量バルブ
11 ガスライン
12 燃焼室
14 装置
15 ファン
18 電動モータ
20 制御装置
21 点火ケーブル
22 モータ制御ライン
24 電力蓄積装置






【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室(12)を含み、当該燃焼室(12)の乱気流生成のためまたは排気するための電気駆動装置(14)を備え、電力蓄積装置(24)を有する鋲打機において、
当該電力蓄積装置(24)は、非充電式の一次電池セルによる動作のために構成される、
ことを特徴とする鋲打機。
【請求項2】
前記電力蓄積装置(24)は、非充電式の、交換可能な前記一次電池セルによる動作のために構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の鋲打機。
【請求項3】
前記電力蓄積装置(24)は、非充電式の前記一次電池セルによるそして/または再充電可能な二次電池セルによる動作のために構成される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の鋲打機。
【請求項4】
前記一次電池または前記二次電池を認識するための識別装置を備える、ことを特徴とする前記請求項のいずれか1に記載の鋲打機。
【請求項5】
前記識別装置は、前記一次そして/または前記二次の電池セルの内部抵抗を測定するための測定装置を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の鋲打機。
【請求項6】
前記識別装置は、当該燃焼室(12)の乱気流生成のためのまたは排気するための装置(14)を駆動する電動モータ(18)を動作させる電子制御部装置(20)につながる、そして/または、と組み合わされる、ことを特徴とする請求項4または5に記載の鋲打機。
【請求項7】
前記燃焼室(12)の乱気流生成のためのまたは排気するための前記装置(14)は、少なくとも一つのファン(15)を含む、ことを特徴とする前記請求項のいずれか1に記載の鋲打機。
【請求項8】
前記電力蓄積装置(24)が非充電式の前記一次電池セルか、そして/または再充電可能な前記二次電池セルからなるかどうかを、前記鋲打機(1)の動作の前に内部的に検出すること、ことを特徴とする前記請求項のいずれか1に記載の鋲打機(1)を操作する方法。
【請求項9】
前記鋲打機(1)に使用される電池セルの種類によって決まる、いくつかのの電圧低下遮断電圧が、前記鋲打機(1)のスイッチを切るために使われる、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記鋲打機(1)の充電状態表示装置が、前記鋲打機(1)に挿入され使用される前記電力蓄積装置の種類によって、それぞれ切替えられる、ことを特徴とする請求項8または9に記載の方法。





【図1】
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【公開番号】特開2012−240194(P2012−240194A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−106635(P2012−106635)
【出願日】平成24年5月8日(2012.5.8)
【出願人】(591010170)ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト (339)
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
【Fターム(参考)】