説明

鋳型設計及び粉末成形プロセス

【課題】従来の鋳型と比較してより均一で再現性の高い圧縮を提供し、より寸法的に正確で再現性の高い表面特徴を備えた圧縮構造の製造に使用されて、より良好かつより最適なニアネット成形部品を提供する。
【解決手段】実質的に凹状の部分26と、この実質的に凹状の部分26に除去可能に取り付けられるよう構成され、かつ実質的に硬質の材料から形成されたマンドレル20を含むキャップ部分18と、を備える鋳型であって、キャップ部分18と実質的に凹状26の部分とは、取り付けられた際に、三次元形状を有する内部空間を画定する鋳型を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ多孔質金属構造体を製造する方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
冷間等方圧加工法は、ニアネット成形された圧縮粉を調製する有効な方法である。この方法は、鋳型を粉末で充填することと、充填された鋳型を、粉末を圧縮して圧縮塊(未焼結体(green body))とするのに使用される圧力容器内に配置することとを含む。冷間等方圧加工は、多くの場合、金属と空間充填物との粉末混合物を圧縮するのに使用され、空間充填物は圧縮後に除去されて、細孔を有する金属構造が得られる。多孔質金属構造体は、とりわけ、整形外科用インプラント、触媒用の担体、骨増殖基材(bone growth substrate)及びフィルターとして広く使用されている。
【0003】
圧縮粉の伝統的な調製方法は、組立鋳型を充填することを含み、この鋳型の内部空間は、実質的に、その鋳型を充填する粉末の圧縮により生じる未焼結体の形状に一致する。組立鋳型は、金属粉末又は粉末混合物を鋳型内の小さい開口部を介して流し込むことにより充填され、その後、この開口部は圧縮前に塞がれる。例えば、寛骨臼カップの形態の金属構造体を調製するよう設計された鋳型は、一般に端部キャップ及びドームにより特徴付けられ、ドームの頂点は鋳型を充填するために粉末が流し込まれる孔を含む。充填後、圧縮を開始する前に、栓を使用して鋳型を封止する。
【0004】
しかしながら、この種類の従来の鋳型は、多数の点で不十分な結果を生じる可能性がある。例えば、充填鋳型に圧力を加えることにより生じる未焼結体間の寸法のばらつきが度々存在し、カップ形状の鋳型の場合、例えばカップの内半径及び外半径がそれぞれ未焼結体ごとに異なる場合がある。
【0005】
他の問題は、小孔を介して鋳型を充填し、栓を使用して鋳型を封止することにより、得られた未焼結体の塞いだ開口部の位置にて欠陥が生じる場合があることである。
【0006】
そのような金属を充填するプロセスもまた、困難であり時間がかかる。一般に、可能な限り多量の粉末を開口部を介して鋳型に充填した後、鋳型を閉鎖し、硬表面に軽く打ち付けて粉末を可能な限り沈降させる。より多量の粉末を導入できるよう孔も充填し、このプロセスは、鋳型が可能な限り完全に充填される迄、反復される。充填プロセスは煩わしく時間がかかるだけでなく、粉末漏出を生じる場合があり、この粉末漏出は廃物を生じ、また作業者が、漏れた粉末に暴露される危険があり得る。加えて、そのような尽力にも関わらず、このプロセスは、しばしば充填が不十分な鋳型を生じる。
【0007】
鋳型の粉末による過充填は、鋳型の部品間の間隙の形成の原因となり得る。充填鋳型の圧縮は、圧縮媒体としての水の使用を含むことがあり、それにより、特に鋳型が過充填されている場合、水の漏洩が生じる。そのような漏洩は、圧縮体を形成する試みにおいて失敗に繋がり得る。
【0008】
従来の鋳型の更なる問題は、反復使用が、度々、鋳型の他の部分と比較して端部キャップのマンドレル部分上に摩損をもたらすことである。マンドレル形状が摩損により変化した場合、摩損した鋳型内で形成される未焼結体は、所望の形状から逸脱し得る。マンドレルの過剰な摩損により、鋳型のその部分上に割れ及び裂けも生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのような問題のいくつか又は全部を克服するよう設計され、均一性及び再現性を有する圧縮プロセスを付与することが可能な鋳型が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本発明は、実質的に凹状の部分と、この実質的に凹状の部分に対して除去可能に取り付けられるよう構成されたキャップ部分と、を備える鋳型を提供し、キャップ部分と実質的に凹状の部分とは、取り付けられた際に、三次元形状を有する内部空間を画定し、キャップ部分は、実質的に硬質の材料から形成され、かつ内部空間を画定するキャップ部分の表面上に配置されている、マンドレルを含む。
【0011】
別の態様において、本発明は、実質的に凹状の部分と、この実質的に凹状の部分に対して除去可能に取り付けられるよう構成されたキャップ部分とを備える鋳型を提供することと、この実質的に凹状の部分内に金属粉末を配置することと、金属粉末を実質的に凹状の部分内に配置した後、キャップ部分を実質的に凹状の部分に取り付けることと、を含む、方法を開示する。
【0012】
鋳型の実質的に凹状の部分内に金属粉末を配置することであって、ここでこの鋳型は、実質的に凹状の部分に対して除去可能に取り付けられるよう構成されかつ実質的に硬質の材料から形成されたマンドレルを含む、キャップ部分を更に備える、ことと、この鋳型を圧縮して金属粉末を含む未焼結体を形成することと、を含む、方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】先行技術による鋳型アセンブリを示す。
【図2】本発明による端部キャップの斜視図及び断面図を提供する。
【図3A】端部キャップから分離されると共に、粉末で充填された、例示的な実質的に凹状の部分を示し。
【図3B】実質的に凹状の部分内に粉末が配置された後に、図3Aの端部キャップが実質的に凹状の部分に連結される方法を示す。
【図4】それぞれ、従来の鋳型及び本発明による鋳型を使用して調製された未焼結体の写真画像を提供する。
【図5】それぞれ、従来の鋳型及び本発明の鋳型を使用して得られた未焼結状態の部品の寸法測定値を提供する。
【図6】それぞれ、従来の鋳型及び本発明による鋳型を使用して調製された未焼結体の写真画像を含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、本開示の一部を形成する、添付図面及び実施例に関連して解釈される以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。本発明は、本明細書に記載する及び/又は示す特定の製品、方法、条件又はパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用される専門用語は実施例を用いて具体的な実施形態を記載する目的のためだけのものであり、請求した発明を制限することを意図するものではないことが理解されるべきである。
【0015】
本開示では、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に明示しない限り、複数の参照及び少なくともその特定の値を含む特定の数値の参照を含む。したがって、例えば「粉末」に対する参照は、当業者周知のそれらの粉末及びその等価物等の1つ以上に対する参照である。値が先行詞「約」を用いることにより近似値として表現されるとき、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されよう。本明細書で使用するとき、「約X(Xは数値である)」は、好ましくは包括的に列挙した値の±10%(上限及び下限を含む)を指す。例えば、表現「約8」は、好ましくは7.2〜8.8(上限及び下限を含む)の値を指し、他の例として、表現「約8%」は、好ましくは7.2%〜8.8%(上限及び下限を含む)の値を指す(整数の量が考えられる場合、最も近い整数に四捨五入される)。存在する場合、全ての範囲は上限及び下限を含み、かつ組み合わせ可能である。例えば、「1〜5」の範囲を列挙するとき、列挙された範囲は、「1〜4」、「1〜3」、「1〜2」、「1〜2、及び4〜5」、「1〜3、及び5」、「2〜5」等を含むと解釈するべきである。更に、選択肢の一覧を肯定的に提供するとき、このような一覧は、選択肢のいずれかが、例えば、特許請求の範囲中の否定的限定により除外される場合があることを意味すると解釈できる。例えば、「1〜5」の範囲を列挙するとき、列挙された範囲は、1、2、3、4又は5のいずれかが否定的に除外される状況を含むと解釈してもよく、したがって「1〜5」の列挙は「1及び3〜5であるが2ではない」又は簡単に「2は含まれない」と解釈することもできる。
【0016】
本明細書に引用又は記載する各特許、特許出願及び刊行物の開示は、参照することによりその全文が本明細書に組み込まれる。
【0017】
特に指示がない限り、本開示の1つの実施形態に関連して記載された構成要素又は工程の特徴は、本開示の他の実施形態の構成要素又は工程に適用することができる。
【0018】
本発明は、とりわけ、金属粉末をはじめとする粉末から調製された未焼結体等の、圧縮された粒子を含む構造を調製するデバイス及び方法を提供する。開示する方法及びデバイスは、一般に、従来の鋳型と比較してより均一で再現性の高い圧縮を提供し、例えばより寸法的に正確で再現性の高い表面特徴を備えた圧縮構造の製造に使用されて、より良好かつより最適なニアネット成形部品を得ることができる。加えて、本開示は、所定の実施形態において、鋳型に対する粉末の迅速かつばらつきのない充填に適合性を有する方法及びデバイスを提供する。これら及び他の利点は、以下に提供する詳細な説明から、より容易に明らかとなるであろう。
【0019】
一態様において、本発明は、実質的に凹状の部分と、この実質的に凹状の部分に対して除去可能に取り付けられるよう構成されたキャップ部分と、を備える鋳型を提供し、キャップ部分と実質的に凹状の部分とは、取り付けられた際に、三次元形状を有する内部空間を画定し、キャップ部分は、実質的に硬質の材料から形成され、かつ内部空間を画定するキャップ部分の表面上に配置されている、マンドレルを含む。
【0020】
冷間等方圧加工は、多くの場合、従来の鋳型内の金属粉末をはじめとする粉末又は粉末混合物の圧縮に使用される。図1に、解体された従来の鋳型2が示されている。このような鋳型は、一般にゴムから形成されており、マンドレル6を有する端部キャップ4と、開口部10を含む主本体8とを備えることがあり、主本体8と端部キャップ4とが鋳型2に組み立てられた際に、粉末又は粉末混合物が開口部10内に流し込まれて鋳型を充填する。鋳型を組み立てるために、主本体8が端部キャップ4上に固定され、ここでマンドレル6は鋳型2の内部空間内に配置される。端部キャップ4の外側縁のリブ14は、主本体8の端部16の内側表面と共に密封を形成する。組立鋳型を充填した後、充填された鋳型2を圧縮する前に、栓12で開口部10を封止する。
【0021】
従来の鋳型で形成された圧縮部品間には、多くの場合、一つには鋳型を形成している材料の可撓性により、幾分かの寸法のばらつきが存在する。しかしながら、現在では、実質的に硬質の材料から形成されたマンドレルを鋳型の端部キャップ内に組み込むことにより、圧縮プロセスの再現性が有意に改善され、本発明の鋳型の使用ごとに、精密かつ正確に成形された圧縮部品の調製が可能となることが発見されている。またこの再現性は圧縮部品(未焼結体)の正確な機械加工の基礎を提供し、そのような再現性の不在下では、正確に機械加工するための未焼結体の配置が困難であり、それにより精密に形成された最終部品の製造が困難となる。加えて、本発明の鋳型を使用して製造された未焼結体は、組立鋳型の部品により画定される内部空間の形状に対してより確実に近づくだけ、必要な機械加工が低減され、このことは時間及びエネルギーを節約し、また粉末損失量も低下させる。
【0022】
また実質的に硬質の材料から形成されたマンドレルを含めることは、鋳型の摩損に対する抵抗を補助する。従来の鋳型は反復使用後に劣化し、本発明者らは、可撓性マンドレルの裂け及び割れは、本発明の鋳型のマンドレル上に知覚可能ないずれかの摩損が出現するかなり前に生じることを発見した。したがって、実質的に硬質の材料から形成されたマンドレルの使用により鋳型の寿命が改善でき、このことは摩損した鋳型が冷間等方圧加工手順中に水を受け入れ得ることから重要である。水の鋳型内への漏洩は、部品を損傷又は破壊する可能性があり、粉末を圧力チャンバへ進入させ得る。したがって、本発明の鋳型は、多くの場合、鋳型の寿命を延長し、役立たない部品の発生を低減し、粉末材料からの未焼結体の調製プロセスの安全性を改善することができる。
【0023】
本発明の鋳型は、粉末混合物から、異なる種類の粒子間の分離が低減された未焼結体を度々製造できることも発見された。そのような結果は、下記の実施例2に記載されている。粒子分散の一様性は、完成品構造体においてより均一な多孔性と、他の構造的特性に関して高い均一性とを提供する。
【0024】
組立鋳型の内部空間は、任意の三次元形状を画定することができ、好ましくは、医療用インプラント、触媒、又は未焼結体から製造される他の構造の形状に実質的に一致する三次元形状を画定する。例えば、組立鋳型で画定される内部空間の三次元形状は、実質的に中空の半球形の形状を有してもよい。実質的に中空の半球形の形状を有する内部空間を備えた鋳型は、次に寛骨臼カップ整形外科用インプラントに形成され得る未焼結体を形成するよう使用されてもよい。
【0025】
本発明の鋳型は、従来の技術に従って、即ち、金属粉末又は粉末混合物等の充填材料を、組立鋳型内の開口部内に流し込むことにより充填されてもよい。例えば、実質的に凹状の部分は、金属粉末を受容して鋳型を充填するよう構成された開口部を含んでもよい。鋳型が充填されたら、圧縮前に開口部を塞いでもよい。別の実施形態では、実質的に凹状の部分は開口部を含まず、鋳型は組み立てられた状態にて充填されない。そのような実施形態を、以下により完全に記載する。
【0026】
キャップ部分は、実質的に硬質の材料から形成されたマンドレルを含む。実質的に硬質の材料は、マンドレルを、従来の可撓性マンドレル(例えば、ゴムマンドレル)よりも硬質とする、任意の材料又は材料の混合物であってよい。好ましくは、マンドレルは、限定された変形を伴い、約20〜約912kPa(60ksi)の圧力に耐え得る任意の材料を含んでもよい。本明細書で使用されるとき、「限定された変形」は、好ましくは、約0.5%未満、約0.3%未満、約0.2%未満、又は約0.1%未満の変形を指す。実質的に硬質の材料は、例えば金属、金属合金、セラミック又は合成ポリマーであってもよい。好適なポリマーの非限定的な例としては、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルイミド及びそれらの炭素繊維強化又はガラス繊維強化物が挙げられる。好適な金属の非限定的な例としては、ステンレス鋼、炭素鋼、合金鋼、チタン、チタン合金(例えば、Ti−6Al−4V)、コバルト−クロム合金、アルミニウム又はアルミニウム合金、モリブデン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、タングステン、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。好適なセラミックの非限定的な例としては、アルミナ、ジルコニア、炭化物、窒化物、ホウ化物及びケイ化物が挙げられる。マンドレルは、任意の三次元の幾何学的形状又は不規則な形状であってもよい。例えば、マンドレルは実質的に半球形、実質的に立方形、実質的に円錐形、実質的に角錘形、実質的に円筒形、又は規則的な若しくは不規則な他の三次元の幾何学的物体等の形状であってもよい。
【0027】
端部キャップは、実質的に凹状の1つ以上の面(aspect)を含んでもよい。しかしながら、多数の実施形態において、本明細書に開示した鋳型の実質的に凹状の部分は、それぞれの部品の容積を比較した場合に、端部キャップよりも大きい容積の充填材料を保持するよう構成される。実質的に凹状の部分は、半球形であってもよい。例えば、実質的に凹状の部分は、文字通り半球(球の半分)であってもよく、又は球のより小さい若しくは大きい部分、又は卵形のような他の回転楕円体であってもよい。別の実施形態において、実質的に凹状の部分は、多面体等の三次元物体であってもよい。したがって、実質的に凹状の部分は、実質的に立方形、実質的に矩形角柱、実質的に円筒形、実質的に円錐形、実質的に角錘形、又は規則的な若しくは不規則な他の三次元の幾何学的物体等の形状であってもよい。
【0028】
実質的に凹状の部分は、可撓性材料から形成されてもよい。これら及び他の実施形態において、キャップ部分は、マンドレルに固定的に取り付けられる可撓性材料を含んでもよい。キャップ部分が、マンドレルに固定的に取り付けられた可撓性材料を含む場合、可撓性材料は、マンドレルの外側縁に固定的に取り付けられた環を含んでもよい。マンドレルの外側縁は(マンドレル自体の形状に応じて)任意の形状であり得るため、「環」は、マンドレルの外側縁の形状に実質的に一致する内側縁を有し、かつ実質的に凹状の部分の内側又は外側縁の形状に実質的に一致する外側縁を有する任意の形状を指すことがある。本明細書で使用されるとき、「可撓性」材料とは、例えば鋼等の実質的に硬質の材料と比較して柔軟なものである。従来の鋳型構成要素は、多くの場合、ゴムからなり、実質的に凹状の部分、マンドレルに固定的に取り付けられたキャップ部分の一部、又はその両方は、従来のゴム(天然若しくは合成)又は同様の性質を有する他の材料からなっていてもよい。他の可能な材料としては、とりわけ、ポリイソプレン、ネオプレン、クロロプレン、シリコーン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ニトリル、酢酸ビニル、エチレンプロピレンジエンM−クラスゴム(EPDM)、フッ素化炭化水素又はViton(登録商標)フッ素エラストマー(DuPont Performance Elastomers,Wilmington,DE)、架橋ポリエチレン(XLPE)、ブチルゴム、フルオロシリコーンゴム、ポリウレタン等が挙げられる。実質的に凹状の部分及びキャップ部分の可撓性材料の物理的寸法は、それぞれ、使用者の特定の要求によって変動し得る。例えば、実質的に凹状の部分及びキャップ部分の可撓性材料は、独立して、約0.76〜約12.7mm(約0.03〜約0.50インチ)の厚さを有してもよい。別の実施形態では、いずれかの構成要素の可撓性材料の厚さは、約1.27〜約7.6mm(約0.05〜約0.30インチ)、約2.5〜約5.1mm、又は約3.175mm(約0.10〜約0.20インチ、又は約0.125インチ)であってもよい。
【0029】
本発明の鋳型のキャップ部分は、実質的に凹状の部分に除去可能に取り付けられるよう構成され、かつ実質的に硬質の材料から形成されたマンドレルを含む。実質的に凹状の部分に除去可能に取り付けられるようにキャップ部分を構成することは、当業者に馴染みのある従来の設計に従っていてもよい。図1に、従来の端部キャップ4を示し、この端部キャップは、鋳型2がその組み立てられた状態にあるときに、主本体8の末端16の内側面と共に密封を形成する、リブ14を含む。別の実施形態では、キャップ部分の周辺は、実質的に凹状の部分の外側縁に対して密封するリップを含んでもよい。図2Aに、本発明による例示的な端部キャップ18を示す。端部キャップ18は、実質的に硬質の材料を含むマンドレル20と、マンドレル20の外側縁に固定的に取り付けられた可撓性材料からなる環22とを備える。図2Bに、図2Aに示した端部キャップ18の断面図を提供し、端部キャップ18は本発明による例示的な実質的に凹状の部分26に除去可能に取り付けられている。可撓性材料からなる環22は、その最も外側の縁においてリップ24にて終端し、リップは、実質的に凹状の部分26の一端部の外側縁に除去可能に取り付けられるよう構成されている。この方法で、端部キャップ18は、実質的に凹状の部分26と、鋳型の構成要素間に確実な密封を形成するよう連結される。リップ24を介した、又は他の実施形態に従った他の手段による端部キャップ18の除去可能な固定により、とりわけ、圧縮プロセス中の鋳型への水の進入が防止され、また鋳型の内部空間から圧縮チャンバ内へ粉末が漏れることを防止する密封が提供される。実質的に凹状の部分に対する端部キャップの除去可能な固定は、例えばそれらの間に任意の好適な重なり合い又は連結を提供する等、適切な方法により達成することができる。
【0030】
別の態様において、本発明は、実質的に凹状の部分と、この実質的に凹状の部分に対して除去可能に取り付けられるよう構成されたキャップ部分とを備える鋳型を提供することと、この実質的に凹状の部分内に金属粉末を配置することと、金属粉末を実質的に凹状の部分の内部に配置した後、キャップ部分を実質的に凹状の部分に取り付けることと、を含む、方法を提供する。このような方法は、実質的に凹状の部分が開口部を含まず、鋳型が組み立てられた状態にて充填されない、上述した、本発明の鋳型の特定の実施形態を用いる。ここでは、鋳型は、端部部分へ取り付ける前に、実質的に凹状の部分内に金属粉末を配置することにより充填される。そのような方法によれば、金属粉末の所望の量(詳細には、鋳型を精密に充填することが既知の量)は重量により決定され、即ち、粉末を実験室のはかり等の好適な器具上で計量することにより決定される。粉末の所望の量が得られたら、粉末を実質的に凹状の部分内に配置する。図3Aに、端部キャップ32から分離されると共に、粉末30で充填された、例示的な実質的に凹状の部分28を示す。図3Bに示すように、粉末30が実質的に凹状の部分28内に配置されたら、端部キャップ32を実質的に凹状の部分28に連結し、それにより粉末30は鋳型内に収容される。実質的に凹状の部分内での使用に好適な精密な量の粉末を使用することにより、過剰量の粉末(即ち、鋳型の適切な組み立てを困難とし得る、及び/若しくは圧縮中に鋳型の部品を分離させ得る、鋳型の過充填)又は過少量の粉末(即ち、得られた未焼結体が適切な形状を有することを妨げ得る、鋳型の充填不足)が実質的に凹状の粉末内に配置される状態が防止される。本方法は、鋳型を圧縮して、金属粉末を含む未焼結体を形成することを更に含んでもよい。鋳型を組み立てる前に、所望の量の粉末を実質的に凹状の部分内に配置する能力は、組立鋳型の圧縮により形成される未焼結体間のより高い程度の一貫性を確実にし、よりニアネットに成形された部品の形成を可能とし、機械加工プロセスを改善する。
【0031】
また、鋳型の実質的に凹状の部分内に金属粉末を配置することであって、ここでこの鋳型は、実質的に凹状の部分に対して除去可能に取り付けられるよう構成されかつ実質的に硬質の材料から形成されたマンドレルを含む、キャップ部分を更に備える、ことと、鋳型を圧縮して金属粉末を含む未焼結体を形成すること、とを含む、方法も開示する。このような方法によれば、金属粉末は、キャップ部分を実質的に凹状の部分に取り付ける前に、鋳型の実質的に凹状の部分内に配置されてもよい。このような実施形態では、本方法は、鋳型を圧縮する前に、キャップ部分を実質的に凹状の部分に取り付けることを更に含んでもよい。別の実施形態では、キャップ部分が実質的に凹状の部分に取り付けられる間に、金属粉末が鋳型の実質的に凹状の部分内に配置される。例えば、金属粉末は、実質的に凹状の部分内の開口部を介して、鋳型の実質的に凹状の部分内に配置されてもよい。金属粉末を鋳型内に配置した後、例えば栓を使用して実質的に凹状の部分内の開口部を閉鎖し、充填された鋳型を圧縮して未焼結体を形成する間、閉鎖状態のままにしてもよい。
【0032】
本明細書に開示した任意の方法に関連して、金属粉末は、1種以上の金属を、場合により抽出可能物質と組み合わせて、含んでもよい。抽出可能物質は、「スペースホルダー」法に従って多孔質構造体を形成するために含まれてもよい。スペースホルダー法は金属発泡体構造の形成のための周知のプロセスであり、溶解可能な又は別様に除去可能な空間保持(space-holding)材料を使用し、この材料は、金属粉末と組み合わされた後、熱又は液体溶解を含む様々な方法により組み合わせから除去されて、金属粉末から形成された多孔質マトリックスを残留させる。次に、多孔質マトリックス材料を焼結して、マトリックス構造を更に強化する。スペースホルダー概念に関する多数の変形が当技術分野にて公知である。例えば、米国特許第3,852,045号、同第6,849,230号、米国特許公開第2005/0249625号、同第2006/0002810号を参照されたい。
【0033】
金属粉末、ひいては得られた未焼結体及び多孔質構造体は、任意の生体適合性金属を含んでもよく、その非限定的な例としては、チタン、チタン合金(例えば、Ti−6Al−4V)、コバルト−クロム合金、アルミニウム、モリブデン、タンタル、マグネシウム、ニオブ、ジルコニウム、ステンレス鋼、ニッケル、タングステン、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。金属粉末を使用して未焼結体及び多孔質構造体を形成する公知の方法によれば、金属粉末粒子は実質的に均一であってもよく、又は様々な形状及び寸法を構成していてもよく、例えばそれらの三次元形態において多種多様であってもよく、及び/又はそれらのそれぞれの主要寸法において多種多様であってもよいことが容易に理解されるだろう。所定の粒子の主要寸法に関して測定して、粒子サイズは、約20μm〜約100μm、約25μm〜約50μm、又は約50μm〜約80μmであってもよい。金属粉末粒子は、回転楕円体、略円筒形、プラトンの立体(platonic solid)、多面体、皿若しくは瓦形、不規則な形状、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。好ましい実施形態において、金属粉末は、実質的に同様の形状及び実質的に同様の寸法を有する粒子を含む。
【0034】
抽出可能物質は、水性流体、有機溶媒、そのような溶媒の組み合わせ、又は任意の他の好適な溶媒に可溶な物質であってもよい。抽出可能物質は、塩、砂糖、固体炭化水素、尿素誘導体、ポリマー、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。非限定的な例としては、重炭酸アンモニウム、尿素、ビウレット、メラミン、炭酸アンモニウム、ナフタレン、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カリウム、塩化ニッケル、塩化亜鉛、重炭酸アンモニウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素カリウム、亜リン酸水素カリウム、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、アルカリ土類金属ハロゲン化物、結晶糖質(スクロース及びラクトース、又は単糖、二糖若しくは三糖として分類される他の材料を含む)、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンワックス(商標PROPYLTEX(登録商標)でMicro Powders,Inc.,Tarrytown,NYから入手可能なもの等)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。代替的に又は付加的に、抽出可能物質は、熱及び/又は圧力条件下で除去されてもよく、例えば抽出可能物質は、加熱により揮発し、融解し、又は別様に消散してもよい。そのような抽出可能物質の例としては、重炭酸アンモニウム、尿素、ビウレット、メラミン、炭酸アンモニウム、ナフタレン、重炭酸ナトリウム、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0035】
抽出可能物質が粒子を含む場合、そのような粒子は互いに関して実質的に均一であってもよく、又は多様な形状及び寸法を構成してもよく、例えばそれらの三次元形態において多種多様であってもよく、及び/又はそれらのそれぞれの主要寸法において多種多様であってもよい。抽出可能物質は、所望の孔サイズ及び孔サイズ分布を生じるのに好適な、非常に様々な粒子サイズ及び粒子サイズ分布にて存在してもよい。所定の好ましい粒子サイズの範囲は、約200μm〜約600μm、約200μm〜約300μm、及び約425μm〜約600μmである。抽出可能物質粒子は、回転楕円体、略円筒形、プラトンの立体、多面体、皿若しくは瓦形、不規則な形状、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。好ましい実施形態において、空間充填物は、実質的に同様の形状及び実質的に同様の寸法を有する粒子を含む。金属粉末と抽出可能物質との混合物から最終的に生じる多孔質構造体の孔の寸法及び形状は、抽出可能物質の粒子の寸法及び形状におおよそ一致するため、当業者は、結果として得られる多孔質製品の孔の所望の形態に従って抽出可能物質の粒子の特徴を選択できることを容易に理解するであろう。本発明によれば、抽出可能物質が、実質的に同様の形状及び実質的に同様の寸法を有する粒子を含む場合、このタイプの抽出可能物質を使用して最終的に形成される多孔質構造体の多孔性は、実質的に均一となる。
【0036】
粉末混合物は、約5体積パーセント〜約45体積パーセント、好ましくは約15体積パーセント〜約40体積パーセントの量の金属粉末を含んでもよく、粉末混合物の残部は、抽出可能物質を含む。抽出可能物質が、本方法の後の段階で、金属粉末と抽出可能物質との混合物から形成された未焼結体から除去された後、得られた未焼結体の多孔性は、約55%〜約95%、好ましくは約60%〜約85%であってもよい。未焼結体を形成する粉末混合物は、約18重量%〜約67重量%の金属粉末を含んでもよく、粉末混合物の残部は、抽出可能物質を含む。
【0037】
金属粉末を抽出可能物質と混合する好適な技術は、当業者により容易に理解されるであろう。例えば、米国特許第3,852,045号、同第6,849,230号、米国特許公開第2005/0249625号、同第2006/0002810号を参照されたい。理想的には、混合により、粉末混合物の主要な部分をなす粒子間に、粉末混合物の少量成分をなす実質的に均一な粒子分散物が生じる。金属粉末は、粉末混合物の約18〜約67重量パーセントを構成してもよく、粉末混合物の残部は、抽出可能物質を含む。抽出可能物質が、本方法の後の段階で、未焼結体から除去された後、得られた未焼結体の多孔性は、約50%〜約90%、好ましくは約60%〜約85%であってもよい。抽出可能物質の除去は、2009年5月22日出願のPCT/US2009/044970号、2009年5月21出願の米国特許出願第12/470,397号に、より完全に記載されており、これらは両方とも、参照することによりそれらの全文が本明細書に組み込まれる。
【0038】
いくつかの実施形態において、鋳型は、ニアネット成形部品、又は、その成形された形態が所望の最終的な焼結部品に類似する部品の製造のために設計されている必要はなく、鋳型は棒、細棒、板又は塊等の一般的な形状を製造してもよく、これらは次に未焼結状態で機械加工されて、焼結誘導による収縮後に、場合によっては焼結部品の機械加工を加えて、最終的な製品の所望の形状に非常に近い部品が製造されてもよい。そのような目的のための鋳型及び鋳型アセンブリは、当業者に周知であり、例えば球形、回転楕円体、卵形、半球形、直平行六面体、円筒形、円錐曲線回転体(toriod)、円錘形、凹状半球形(即ち、カップ形)、不規則、又は任意の他の所望の三次元形態を有する本体を調製することができる。前述したところに従って粉末又は粉末混合物から形成した後、得られた成形物体を圧縮して未焼結体を形成してもよい。成形物体は、鋳型アセンブリ内に収容されている間に、圧縮される。圧縮は、一軸、多軸、又は等方圧であってもよい。好ましい実施形態において、冷間等方圧加工を使用して粉末を未焼結体に圧縮する。圧縮手順の後、得られた未焼結体を鋳型から除去してもよく、そして加工してもよい。加工は、未焼結体の形状を機械加工し、又は別様に精密化することを含んでもよい。
【実施例】
【0039】
実施例1−寛骨臼カップ
寛骨臼カップ整形外科用デバイスを形成するための未焼結体を、従来の鋳型と、本発明による鋳型とから形成した。従来の鋳型は、図1に示すように、端部キャップ4と実質的に凹状の部分8とを備えていた。本発明の鋳型は、図2Aに示すような端部キャップ18を備え、この端部キャップは、実質的に硬質の材料を含むマンドレル20と、マンドレル20の外側縁に固定的に取り付けられた可撓性材料からなる環22とを含んでいた。本発明の鋳型は、図3Aに示すような実質的に凹状の部分28も備えていた。
【0040】
端部キャップ4を実質的に凹状の部分8に取り付け、抽出可能物質と混合したチタン又はチタン合金を含む金属粉末を、実質的に凹状の部分8の開口部10内に流し込むことにより従来の鋳型を充填した。開口部10は制限されかつ小さいため、漏斗を使用して粉末を鋳型内に流し込んだ。漏斗を使用しても、充填プロセス中に幾分かの空気が鋳型内に残留した。鋳型を混合粉末で可能な限り完全に充填するために、多段階工程を実施し、この工程の間中、粉末をすくって鋳型内に供給する間の一次停止中、鋳型を繰り返し振盪又は振動させた。次に、ストッパー12を使用して開口部10を封止し、圧力媒体としての水で充填された圧力容器(Cold Isostatic Press,CIP42260,Avure Autoclave Systems,Inc.,Kent,WA)の圧縮チャンバ内に鋳型を配置した。圧力容器を標準的な手順に従って閉鎖し、鋳型を含む容器の内容物を、684kPa(45ksi)の圧力で約15秒間、冷間等方圧加工法に供した。次に圧力容器を開放し、鋳型を除去した。次に鋳型を解体し、圧縮した金属部品を抜き取った。
【0041】
本発明の鋳型を、例えば塩化ナトリウムと混合したチタンを含む131.9gの金属粉末を電子はかり(XS16001L Precision Balance,Mettler−Toledo,Inc.,Columbus,OH)上で計量し、計量した金属粉末のアリコートを実質的に凹状の部分28内に流し込むことにより充填した。端部キャップ18を実質的に凹状の部分28に取り付けることにより、鋳型を閉鎖した。本発明の鋳型を、圧力媒体としての水で充填された圧力容器(Cold Isostatic Press,CIP42260,Avure Autoclave Systems,Inc.,Kent,WA)の圧縮チャンバ内に配置した。圧力容器を標準的な手順に従って閉鎖し、本発明の鋳型を含む容器の内容物を、684kPa(45ksi)の圧力で約15秒間、冷間等方圧加工法に供した。次に圧力容器を開放し、本発明の鋳型を除去した。次に鋳型を解体し、圧縮した金属部品を抜き取った。
【0042】
図4Aに、従来の鋳型から除去された未焼結体34の写真画像を示すと共に、図4Bに、本発明の鋳型から除去された未焼結体38の写真画像を提供する。圧縮部品の視覚分析では、未焼結体34が正確な半球体ではなく、粒子の分散は不均一であることが明らかとなった。従来の鋳型は、小さい、制限された開口部を所有していたため、少量にて何度もすくって鋳型を充填する必要があり、これは鋳型が容量一杯に充填されるに近づくにつれ累進的に困難となった。鋳型は、充填中、カウンター上で振盪、振動又は叩かれる必要があり、これは乾燥と、金属粒子とスペースホルダー材料との間における粉末混合物の分離とを招いた。図4Aにおいて、未焼結体34上の比較的暗い帯は、スペースホルダー材料と比較してより高い割合の金属粉末を含む部分を示し、比較的明るい帯は、金属粉末と比較してより高い割合の空間充填物材料を有する部分を示す。加えて、未焼結体34は、鋳型の充填中に金属粉末を受容する、実質的に凹状の部分内の開口部の位置に一致した汚点36を含んでいた。対照的に、未焼結体38は、正確な半球体により近く、均一な粒子分散を特徴とし、実質的に滑らかな表面プロファイルを有していた。図5に、それぞれ従来の鋳型及び本発明の鋳型を使用して得られた未焼結状態の部品のカップ寸法測定値を示す。従来の鋳型を使用して調製した未焼結体の標準偏差値は、本発明による鋳型を使用して調製したものよりも大きかった。また、本発明の鋳型を使用して調製したカップに関して、「R」と「H」の半径値の間の変動(「R−H」として表す)は、従来の鋳型を使用して調製したカップに関して測定したものよりもかなり小さかった。このことは、本発明の鋳型の使用によって、従来の鋳型を使用して形成した未焼結体よりも、鋳型形状の正確な近似物に遙かに近い未焼結体の調製が可能となることを示している。
【0043】
実施例2−再現性
本発明の鋳型を、予測可能な形状及び粒子分散を有する未焼結体を一貫して製造する能力に関して試験した。寛骨臼カップ用の本発明の鋳型の1つを充填し、上記の実施例1に記載した条件に従って圧縮に供し、このプロセスを3回繰り返して3つの別個の未焼結体を得た。未焼結体を、視覚検査及び物理的測定により比較した。本発明の鋳型を使用して製造した未焼結体は、実質的に均一な形状を有し、従来の鋳型を使用して製造した未焼結体間で予想される汚点又は他の物理的相違を含まないことが見出された。下記の表1に、本発明の鋳型を使用して製造した未焼結体に関して測定されたR、H、及びR−H値についての標準偏差(それぞれ0.020、0.23及び0.26)が、従来の鋳型を使用して製造した未焼結体に関して測定されたもの(それぞれ0.31、0.94及び0.90)よりも小さいことを示すデータを提供する。
【表1】

【0044】
図6Aに、本発明の鋳型を使用して製造した未焼結体40、42、44の画像を示す。図4Bに示した未焼結体と同様、未焼結体40、42、44は正確な半球体に近く、均一な粒子分散を特徴とし、実質的に滑らかな表面プロファイルを有した。図6Aはまた、本発明の鋳型が、未焼結体間で実質的に均一な形状を有し、また従来の鋳型を使用して製造した未焼結体にて予想される汚点又は他の物理的相違を含まない、未焼結体を製造することも示す。相対的に、図6Bは、従来の鋳型を使用して製造した未焼結体46、48、50、52が、形状、表面プロファイル及び粒子分散のパラメータに関して互いに変動したことを示す。
【0045】
〔実施の態様〕
(1) 実質的に凹状の部分と、
前記実質的に凹状の部分に対して除去可能に取り付けられるよう構成されたキャップ部分と、を備える鋳型であって、
前記キャップ部分と前記実質的に凹状の部分とは、取り付けられた際に、三次元形状を有する内部空間を画定し、前記キャップ部分は、実質的に硬質の材料から形成され、かつ前記内部空間を画定する前記キャップ部分の表面上に配置されている、マンドレルを含む、鋳型。
(2) 前記実質的に凹状の部分が、金属粉末を受容するよう構成された開口部を含む、実施態様1に記載の鋳型。
(3) 前記実質的に凹状の部分が半球形である、実施態様1に記載の鋳型。
(4) 前記キャップ部分と前記実質的に凹状の部分とが、取り付けられた際に、実質的に中空の半球形の形状を有する内部空間を画定する、実施態様3に記載の鋳型。
(5) 前記実質的に凹状の部分が、可撓性材料から形成されている、実施態様1に記載の鋳型。
(6) 前記実質的に硬質の材料が金属を含む、実施態様1に記載の鋳型。
(7) 前記キャップ部分が、前記マンドレルに固定的に取り付けられた可撓性材料を含む、実施態様1に記載の鋳型。
(8) 前記キャップ部分の前記可撓性材料が、前記マンドレルの外側周辺に固定的に取り付けられた環を含む、実施態様7に記載の鋳型。
(9) 実質的に凹状の部分と、前記実質的に凹状の部分に対して除去可能に取り付けられるよう構成されたキャップ部分とを備える鋳型を提供することと、
前記実質的に凹状の部分内に金属粉末を配置することと、
前記金属粉末を前記実質的に凹状の部分の内部に配置した後、前記キャップ部分を前記実質的に凹状の部分に取り付けることと、を含む、方法。
(10) 前記キャップ部分と前記実質的に凹状の部分とが、取り付けられた際に、三次元形状を有する内部空間を画定する、実施態様9に記載の方法。
【0046】
(11) 前記キャップ部分と前記実質的に凹状の部分とが、取り付けられた際に、実質的に中空の半球形の形状を有する内部空間を画定する、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記キャップ部分が、実質的に硬質の材料から形成されたマンドレルを含む、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記鋳型を圧縮して、前記金属粉末を含む未焼結体を形成することを更に含む、実施態様9に記載の方法。
(14) 鋳型の実質的に凹状の部分内に金属粉末を配置することであって、ここで前記鋳型は、前記実質的に凹状の部分に対して除去可能に取り付けられるよう構成されかつ実質的に硬質の材料から形成されたマンドレルを含む、キャップ部分を更に備える、ことと、
前記鋳型を圧縮して前記金属粉末を含む未焼結体を形成することと、を含む、方法。
(15) 前記金属粉末が、前記キャップ部分を前記実質的に凹状の部分に取り付ける前に前記鋳型の前記実質的に凹状の部分内に配置され、前記方法が、前記鋳型を圧縮する前に、前記キャップ部分を前記実質的に凹状の部分に取り付けることを更に含む、実施態様14に記載の方法。
(16) 前記金属粉末が、前記キャップ部分が実質的に凹状の部分に取り付けられる間に、前記鋳型の前記実質的に凹状の部分内に配置される、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記金属粉末が、前記実質的に凹状の部分内の開口部を介して、前記鋳型の前記実質的に凹状の部分内に配置される、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記キャップ部分と前記実質的に凹状の部分とが、取り付けられた際に、三次元形状を有する内部空間を画定する、実施態様14に記載の方法。
(19) 前記キャップ部分と前記実質的に凹状の部分とが、取り付けられた際に、実質的に中空の半球形の形状を有する内部空間を画定する、実施態様18に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に凹状の部分と、
前記実質的に凹状の部分に対して除去可能に取り付けられるよう構成されたキャップ部分と、を備える鋳型であって、
前記キャップ部分と前記実質的に凹状の部分とは、取り付けられた際に、三次元形状を有する内部空間を画定し、前記キャップ部分は、実質的に硬質の材料から形成され、かつ前記内部空間を画定する前記キャップ部分の表面上に配置されている、マンドレルを含む、鋳型。
【請求項2】
前記実質的に凹状の部分が、金属粉末を受容するよう構成された開口部を含む、請求項1に記載の鋳型。
【請求項3】
前記実質的に凹状の部分が半球形である、請求項1に記載の鋳型。
【請求項4】
前記キャップ部分と前記実質的に凹状の部分とが、取り付けられた際に、実質的に中空の半球形の形状を有する内部空間を画定する、請求項3に記載の鋳型。
【請求項5】
前記実質的に凹状の部分が、可撓性材料から形成されている、請求項1に記載の鋳型。
【請求項6】
前記実質的に硬質の材料が金属を含む、請求項1に記載の鋳型。
【請求項7】
前記キャップ部分が、前記マンドレルに固定的に取り付けられた可撓性材料を含む、請求項1に記載の鋳型。
【請求項8】
前記キャップ部分の前記可撓性材料が、前記マンドレルの外側周辺に固定的に取り付けられた環を含む、請求項7に記載の鋳型。
【請求項9】
実質的に凹状の部分と、前記実質的に凹状の部分に対して除去可能に取り付けられるよう構成されたキャップ部分とを備える鋳型を提供することと、
前記実質的に凹状の部分内に金属粉末を配置することと、
前記金属粉末を前記実質的に凹状の部分の内部に配置した後、前記キャップ部分を前記実質的に凹状の部分に取り付けることと、を含む、方法。
【請求項10】
前記キャップ部分と前記実質的に凹状の部分とが、取り付けられた際に、三次元形状を有する内部空間を画定する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記キャップ部分と前記実質的に凹状の部分とが、取り付けられた際に、実質的に中空の半球形の形状を有する内部空間を画定する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記キャップ部分が、実質的に硬質の材料から形成されたマンドレルを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記鋳型を圧縮して、前記金属粉末を含む未焼結体を形成することを更に含む、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−58095(P2011−58095A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−200562(P2010−200562)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】