説明

鋳片の上に被覆するための装置を有する鋳造設備

本発明は、特に、液状金属用などの流体3用の貯蔵槽2と、結合部4を介して貯蔵槽と結合している排出室5と、流体3を所望の幅8に分配可能でありかつ流体を移動ストリップ9の上に分配可能である被覆するための装置7とを有する鋳造設備1に関し、この場合、排出室5と被覆するための装置7との間の結合部は閉じた管状結合部6として形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に液状金属などの流体を特に請求項1の上位概念によるような鋳片の上に被覆するための装置を有する鋳造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、水平鋳造機が公知であり、この水平鋳造機では、液状鋼が貯蔵槽からの流体として排出室(Ausgabekammer)に導かれ、この排出室から、ロールを中心に回転する可動のエンドレスストリップ(Endlosband)の上に液状鋼を被覆するための装置に導かれる。
【0003】
この場合、液状鋼は貯蔵槽から多少連続的に排出室に導かれ、そこから、被覆するための装置を介して本質的に大きな高低差なしに、通常は冷却された金属ストリップである冷却された移動エンドレスストリップに導かれる。排出室で、液状金属が鋳造速度で搬送され、冷却され、このように金属ストリップに加工される。
【0004】
重要なことは、所望の鋳造幅および厚さの被覆すべき液状金属が、移動ストリップの上に均一にかつ薄く被覆されることであるが、この理由は、さもなければが不均一な鋳造金属ストリップが生じるからである。このことは、排出室の幅が所望の鋳造ストリップ幅に対応し、次に、液状金属が、排出室から平行に移動ストリップの上に被覆するための装置を介して流れることによって行われることが有利である。しかし、このことは、広い幅の排出室を必要とし、この場合、様々な排出室がそれぞれのストリップ幅に応じて必要とされるであろう。
【0005】
同様に、排出室の幅が鋳造すべきストリップの幅よりも小さいことによって、被覆を行うことができ、この場合、液状金属は、被覆するための装置で所望の鋳造幅に拡げられ、このように分配される。
【0006】
しかし、この場合、均一な厚さおよび分配が最適に達成されず、障害となる厚さの変動が生じることが問題である。このことはまた、排出室から移動されるストリップへの経路における液状金属の熱損失の結果であり、これによって、部分的に冷却された液状金属の不均一な鋳造状態が生じ、移動金属ストリップの上で液状金属が十分に延びず、したがって不均一に冷却される。このように生じる表面の波は品質の損失をもたらし、基本的に最終製品の価値および有用性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
上述のこのような装置は、特許文献1によって公知である。この文献は、液状金属を排出室に供給するための貯蔵槽を有する金属ストリップを鋳造するための設備を開示しており、この場合、液状金属は、排出室から開放溝を介して、移動するエンドレスストリップの上に金属を被覆するために拡がる装置の上に流れる。この場合、不均一に鋳造されたストリップの上述の問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第0962271B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、従来技術の欠点を減少するかまたは完全に防ぐ、特に金属などの流体を鋳片の上に被覆するための装置を有する鋳造設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この課題は、特に液状金属用などの流体用の貯蔵槽と、結合部を介して貯蔵槽と結合している排出室と、流体を所望の幅に分配可能でありかつ流体を移動ストリップの上に分配可能である被覆するための装置とを有する鋳造設備によって達成され、この場合、排出室と被覆するための装置との間の結合部は閉じた管状結合部として形成される。
【0011】
このような鋳造設備では、管状結合部が閉じた管である場合に有利である。同様に、他の実施例では、管状結合部が複数の閉じた管を含む場合に有効であり得る。閉じた管によって、流体の露出表面(freie Oberflaeche)が低減される。これによって、高度の断熱が達成され、したがって、液状金属はそれほど著しく冷却されない。
【0012】
さらに、閉じた管の複数が、上下におよび/または互いに並んで配置される場合に有利である。この場合、別の実施例では、閉じた管の複数が互いに平行に配置される場合に有効であり得る。別の実施例では、閉じた管の複数が扇状に互いに配置される場合にさらに有効である。このことは、排出室に向き合う端部の領域の管が、排出室の対向する端部よりも近くに並んで位置するように形成することができる。
【0013】
流体の流出に関し、少なくとも1つの管の端部輪郭が平坦にされおよび/または拡げられ、この結果、最適化された流出を行うことができる場合に、さらに有効である。
【0014】
同様に、別の有利な実施例では、排出室の領域の流体または液状金属用の管の入口が、設備の運転中に、排出室内の流体または液体金属の表面の下方にある場合に有効である。
【0015】
有利な発展形態が、下位請求項に記載されている。
【0016】
以下に、実施例に基づき図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】特に液状金属または液状鋼などの流体を鋳片の上に被覆するための装置を有する本発明による鋳造設備の概略図である。
【図2】被覆するための装置の概略図である。
【図3】図2による被覆するための装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明による鋳造設備1を概略的に示している。鋳造設備1は、好ましくは液状金属3などの流体が生成され、ならびに加熱されおよび/または液化されあるいは用意される貯蔵槽2を備える。液状金属は、管4を介して排出室5内に達し、そこから、閉じた管6を介して被覆するための装置7の上に所望の幅8に分配され、移動金属ストリップ9の上に分配される。この場合、金属ストリップ9は、エンドレスストリップとして1対の圧延機10を中心に移動され、この場合、圧延機10が1つだけ図1に示されている。他の圧延機は認識できない。この場合、エンドレスに形成された金属ストリップ9は、両方の圧延機10の周りに巻かれて、閉じたストリップに結合される。
【0019】
図1による鋳造設備の本発明による形態に対応して、管6は閉じて形成されるので、流体の露出表面が低減される。その限りで、管が被覆するための装置7で拡げられ、移動金属ストリップ9の上に被覆され、そこでさらに冷却される前に、管は断熱部として使用され、貫流する高温の液状金属3はこれによってほとんど冷却しない。これによって、本質的に均一に形成された鋳造金属ストリップ11が得られる。排出室5と被覆するための装置7との間の結合部として閉じた管6を形成することによって、露出表面が低減されるので、貫流する液状金属の熱損失が低減される。さらに、結合部を閉じた管6として形成することが有利であるが、この理由は、被覆するための装置7を除いて、液状金属の冷却または酸化をもたらすであろう露出表面がほとんど存在しないかまたは存在しないので、閉じた管6の領域の液状金属3の不活性化も低減できるからである。
【0020】
さらに、本発明による装置では、排出室5の領域の管6の入口12が、液状金属の表面の下方に位置し、この結果、管6が運転時に液状金属のレベルの下方に位置することが有利である。これによって、排出室内への液状金属の流入の際に生じる表面の波は、管内の液状金属の上にそれほど強く伝播せず、この結果、鋳造プロセスはこれによって本質的に強く影響を受けず、そして鋳造製品は、これによっても表面の滑らかさに関し有利な影響を受ける。同様に、管の入口12を液面の下方の排出室の領域に配置することにより、貫流の際に圧力損失が生じるため、管6内の流体変動(Fluidschwingungen)および流れから、室5内の流体変動および流れが同様に分離し、この結果、管内の流体変動および流れがもう一度低減されることが有利である。したがって、このことは、これによって排出室5の容積を小さく保持できるのでさらに有利である。
【0021】
図示した管6の代わりに、複数の管6も使用することができ、これらの管は、排出室5と被覆するための装置7との間に配置される。例えば、2つ以上の管6を平行に互いに並んでおよび/または重なり合って配置することができる。同様に、ほぼ扇状に拡げて配置される管6を設けることができる。
【0022】
1つまたは複数の管6の場合、液状金属の均一な流出を保証する端部輪郭13の流出形状が存在することがさらに有利である。このことは、例えば、管6が、端部輪郭13の端部で平坦にされるかおよび/または被覆するための装置7の平面で拡げられることによって達成することができる。
【0023】
有利に、管6は、断熱管6として、例えば二重壁の管として形成できるので、管6を流れる液状金属は、ほぼ影響を受けずにその温度を維持し、避けられない温度低下が最小であることが有利である。
【0024】
図2は、被覆するための装置20を概略的に示しており、図3は、これに関する断面図を示している。装置20は、底部21と、向かい合う2つの側壁22、23とを備える。液状金属は、管6から底部21を介して、矢印方向Rに前に置かれた壁部25に流れ、壁部25の高さは、両方の側壁22、23よりも低いように寸法決めされる。次に、液状金属は、壁部25を越え、開口部27を通して壁部25と閉鎖壁26との間に流れ落ち、この結果、液状金属の流れは本質的に90°下方に方向転換される。この場合、閉鎖壁26は、底部21に対する液状金属の流れ方向に対し本質的に直角に方向付けられるように形成される。底部に対し直角に観測した高さで、閉鎖壁26は、両方の側壁22、23と本質的に同一の高さを有するように寸法決めされることが好ましい。
【0025】
側壁22、23は、装置20の上に液状金属が塗布される領域24から、金属の拡張方向または流れ方向Rに対し横方向に、両方の壁部25、26の方向に拡がるように形成されることが有利である。この場合、拡がりの側方の制限は、段状にまたは連続的に行われる。
【符号の説明】
【0026】
1 鋳造設備
2 貯蔵槽
3 流体、液状金属
4 管
5 排出室
6 閉じた管
7 被覆するための装置
8 幅
9 移動金属ストリップ
10 圧延機
11 鋳造金属ストリップ
12 入口
13 端部輪郭
20 被覆するための装置
21 底部
22 側壁
23 側壁
24 領域
25 壁部
26 閉鎖壁
27 開口部
28 流れ方向
29 区間
30 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に液状金属用などの流体(3)用の貯蔵槽(2)と、結合部(4)を介して貯蔵槽と結合している排出室(5)と、流体を所望の幅(8)に分配可能でありかつ流体を移動ストリップ(9)の上に分配可能である被覆するための装置(7)とを有する鋳造設備(1)において、
排出室(5)と被覆するための装置(7)との間の結合部が、閉じた管状結合部(6)として形成されることを特徴とする鋳造設備(1)。
【請求項2】
管状結合部(6)が閉じた管であることを特徴とする、請求項1に記載の鋳造設備。
【請求項3】
管状結合部(6)が複数の閉じた管を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の鋳造設備。
【請求項4】
閉じた管(6)の複数が、上下におよび/または互いに並んで配置されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋳造設備。
【請求項5】
閉じた管(6)の複数が、互いに平行に配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の鋳造設備。
【請求項6】
閉じた管(6)の複数が、扇状に互いに配置されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の鋳造設備。
【請求項7】
少なくとも1つの管(6)の端部輪郭(13)が、平坦にされること、および/または拡げられることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の鋳造設備。
【請求項8】
排出室(5)の領域の液状金属用などの流体用の入口(12)が、設備の運転中に、排出室(5)内の流体(3)の表面の下方にあることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の鋳造設備。
【請求項9】
被覆するための装置(20)が、側壁(22、23)を有する底部(21)を備え、さらに排出室と反対側の装置(20)の端部に、閉鎖壁(26)が設けられ、閉鎖壁(26)と前に置かれた壁部(25)との間に、流出開口部(27)が設けられることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の鋳造設備。
【請求項10】
流出開口部(27)が底部(21)に設けられることを特徴とする、請求項9に記載の鋳造設備。
【請求項11】
側壁(22、23)および閉鎖壁(26)が、本質的に同一の高さを有することを特徴とする、請求項9または10に記載の鋳造設備。
【請求項12】
前に置かれた壁部(25)の高さが、側壁(22、23)および/または閉鎖壁(26)の高さより低いことを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一項に記載の鋳造設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−511882(P2011−511882A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533505(P2010−533505)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009662
【国際公開番号】WO2009/065531
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(390035426)エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト (320)
【Fターム(参考)】